JP2019052858A - 化粧料の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧料が塗布された皮膚の感触を官能評価によらず客観的に評価することができる方法を提供すること。【解決手段】本発明の化粧料の評価方法は、化粧料が塗布された皮膚を評価対象部位として用い、該評価対象部位に、制御された変形量又は制御された力を加え、そのときの力学応答特性を計測し、計測結果に基づき前記化粧料の特性を評価する。前記評価対象部位を含む被測定体を固定して不動とした状態下に、制御された前記変形量又は制御された前記力を加えることが好適である。【選択図】図5

Description

本発明は化粧料の評価方法に関する。
動的粘弾性測定装置を用いて皮膚の変形挙動を測定し、貯蔵弾性率G’や損失弾性率G”と筋肉の緊張状態との関係を調べる技術が知られている。例えば非特許文献1には、レオメーター下部の測定ステージに被験者の前腕部を配置し、前腕部内側にプローブを当接させてずり変形を与え、粘弾性特性値を求めることが記載されている。同文献においては、このような測定を行うことで、褥瘡周辺のひずみ分布と創の形成との関係を検討している。
「実験化学」、2011年3月、Vol.11、No.1、pp.30−34
しかし前記の文献に記載の技術では、褥瘡周辺のひずみ分布に基づき、創の形成過程が推定できるのにとどまり、皮膚に関する他の情報、例えば化粧料を塗布した状態の皮膚に関する情報を得ることまでは検討されていない。また、前記の文献に記載の測定方法を採用した場合、測定対象である前腕部を確実に固定しておかない場合には、測定を行っている間に前腕部が意図せず動いてしまい、精度の高い測定を行うことが容易でない。
したがって本発明の課題は、化粧料が塗布された皮膚を評価対象部位として用いた化粧料の評価方法を提供することにある。
本発明は、化粧料が塗布された皮膚を評価対象部位として用い、該評価対象部位に、制御された変形量又は制御された力を加え、そのときの力学応答特性を計測し、計測結果に基づき前記化粧料の特性を評価する、化粧料の評価方法を提供するものである。
本発明によれば、化粧料が塗布された皮膚の感触を官能評価によらず客観的に評価することができる。
図1は、本発明の被測定物の保持具とともに用いられる力学特性計測装置を示す模式図である。 図2は、本発明の被測定物の保持具の一実施形態を示す斜視図である。 図3は、本発明の被測定物の保持具を用いて被測定物を測定する前の状態を示す斜視図である。 図4は、本発明の被測定物の保持具を用いて被測定物を測定している状態を示す斜視図である。 図5は、化粧料を塗布した皮膚のトルクの値の変化率と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示すグラフである。 図6は、化粧料を塗布した皮膚の摩擦係数の測定結果を示すグラフである。 図7(a)ないし(c)は、化粧料を塗布した皮膚の静摩擦係数μsの値と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示すグラフである。 図8(a)及び(b)は、化粧料を塗布した皮膚の動摩擦係数μdの値と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示すグラフである。 図9は、化粧料を塗布した皮膚を押し込んだときの法線力の値の変化率と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示すグラフである。 図10(a)及び(b)は、化粧料を塗布した皮膚のタック幅の測定結果を示すグラフである。 図11は、化粧料を塗布した皮膚の力学応答特性を測定するために用いられるプローブの一例を示す斜視図である。 図12は、化粧料を塗布した皮膚のタック力のピーク値と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示す棒グラフである。 図13は、化粧料を塗布した皮膚のタック幅と、化粧料を塗布してからの経過時間との関係を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、化粧料が塗布されたヒトの皮膚を評価対象部位として用いた化粧料の評価方法に関する。詳細には、前記評価対象部位に、制御された変形量又は制御された力を加え、そのときの力学応答特性を計測し、計測結果に基づき化粧料の特性を評価する。化粧料の特性には、化粧料が塗布された皮膚の潤い感、化粧料が塗布された皮膚の柔らかさ、化粧料が塗布された皮膚のもちもち感、化粧料が塗布された皮膚のべたつきの無さ、化粧料を皮膚に塗布している最中のみずみずしさ、及び化粧料を皮膚に塗布するときの馴染みの速さなどが挙げられるが、これらに限られない。
本発明の評価方法においては、皮膚における評価対象部位に、(i)制御された変形量又は(ii)制御された力を加える。(i)の制御された変形量としては、例えば一定速度での押し込み、一定速度での引き上げ、一定速度での正逆回動振動、一定速度での一方向への回転などが挙げられる。(ii)の制御された力としては、例えば一定荷重での押し付けなどが挙げられる。
皮膚における評価対象部位に、上述した(i)制御された変形量又は(ii)制御された力を加えるのに先立ち、別の制御された変形量又は制御された力を加えることができる。例えば(ア)制御された変形量として、一定速度での正逆回動振動を評価対象部位に加えるのに先立ち、該部位に、制御された力として、一定荷重での押し付けを加えることができる。あるいは(イ)制御された変形量として、一定速度での引き上げを評価対象部位に加えるのに先立ち、該部位に、制御された変形量として一定速度での押し込みを加えるか、又は制御された力として一定荷重での押し付けを加えることができる。あるいは(ウ)制御された変形量として、一定速度での一方向への回転を評価対象部位に加えるのに先立ち、該部位に、制御された変形量として一定荷重での押し付けを加えることができる。
皮膚における評価対象部位に、上述した(i)制御された変形量又は(ii)制御された力を加え、そのときに計測する力学応答特性としては、(i)及び(ii)の具体的な内容に応じて種々の力学的特性をすることができる。力学応答特性の例としては、トルク、静摩擦係数、動摩擦係数、法線力、タック力、弾性率、粘度などが挙げられるが、これらに限られない。これらの力学的特性の計測結果に基づき、上述した化粧料の特性を評価する。
本発明において評価の対象となる化粧料の種類に特に制限はなく、美容の目的で使用される化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、洗浄料、液状ファンデーション、口紅、マッサージ料などと呼ばれるものを広く包含する。化粧料は、水系のものであってもよく、油系のものであってもよく、あるいは乳化系のものであってもよい。化粧料の粘度にも特に制限はなく、水に近い流動性の高いものから、クリーム状の流動性の低いものまでを包含する。
本発明の評価方法においては、評価対象部位を含む被測定体を固定して不動とした状態下に、制御された変形量又は制御された力を加えることが、測定の精度や再現性を高める点から好ましい。この目的のために、本発明においては、例えば図1に示す動的粘弾性測定装置10を用いることが好ましい。この動的粘弾性測定装置10は、装置本体11を備えており、該装置本体11にはプローブ12が取り付けられている。プローブ12は、被測定物に与える変形の種類に応じ、種々の形状のものが用いられる。プローブ12は、装置本体11から鉛直下方に向けて垂下するように取り付けられている。尤も、プローブ12の取付態様はこれに限られず、例えば装置本体11から水平方向に張り出すように取り付けられてもよい。プローブ12の取付態様は、被測定物に与える変形の種類、プローブ12の形状、被測定物の種類、被測定物の形状等に応じて適宜決定される。
動的粘弾性測定装置10は、ヒトの皮膚に、制御された変形量又は制御された力を加え、その力学応答特性としての力又は変形を検出するための機構を備えていることが好ましい。具体的には、以下の(1)−(3)のいずれかの装置を用いることが好ましい。
(1)皮膚測定表面部位の中心点への接面に垂直な方向への押し付け力又は押し付け変位を与えつつ、接面に平行な方向での正逆回動振動変形又は一方向への回転変形を与えることにより力学計測を行い得る装置。
(2)皮膚測定表面部位の中心点への接面に垂直な方向への一定力や変形での押し付け、あるいは制御された押し付け力又は移動速度で押し付けや引き上げを行うことで力学計測を行い得る装置。
(3)(1)及び(2)の両方のモードを組み合わせた計測を行い得る装置。
特に、精度の高い測定を行うためには、以下の性能を有する装置を用いることが好適である。
・検出可能な最小トルク(振動):1nNm以上1μNm以下
・検出可能な最小トルク(回転):5nNm以上1μNm以下
・計測可能な最大トルク:10mNm以上300mNm以下
・トルク分解能:0.07nNm以上100nNm以下
・設定可能角度:0.07μrad以上
・回転角分解能:7nrad以上70nrad以下
・ステップ速度(応答時間):3ms以上30ms以下
・ステップ歪み(応答時間):8ms以上50ms以下
・ステップ時間(設定値の99%):10ms以上200ms以下
・角速度範囲:10−4−1〜314s−1程度
・角周波数範囲:10−3−1〜628s−1程度
・法線力範囲:0.005N以上50N以下
・法線力分解能:0.5mN
動的粘弾性測定装置10は、テーブル13の載置面13a上に載置されている。動的粘弾性測定装置10に隣接した位置には架台14が設置されている。架台14は、被測定物(図示せず)が載置される。したがって架台14の載置面14aは、少なくともプローブ12の直下に位置している。
図2には、図1に示す動的粘弾性測定装置10とともに用いられる保持具20が示されている。保持具20は、被測定物の外形に合わせて該被測定物の保持が可能な形状に変形可能になされている。これとともに保持具20は、計測時に該形状が保持可能になされている。このような構成を達成するために、保持具20は、変形可能な気密袋21を備えている。気密袋21は気体非透過性のシート材料から構成されている。保持具20の肌触りを良好にすることを目的として、気密袋21は高分子材料又は発泡高分子シート等のフレキシブルな素材であることが好ましい。更に気密袋21は、その外面が布で覆われていてもよい。布で覆うことは、被測定物がヒトの身体の一部である場合に特に有用である。気密袋21の内部には顆粒状物質(図示せず)が封入されている。顆粒状物質は一般にその平均的な大きさが、気密袋21内を減圧したときに、ある程度の柔軟性を保つようにする観点から、1mm以上で、被測定物の外形への追従性を維持する観点から、8mm以下の粒状体からなる。この粒状体は、被測定物の測定時に加わる荷重に対して実質的に変形しない程度の剛性を有する固体物質から構成されている。また、この粒状体は中実体であるか、又は中空体である。中実体と中空体との混合物を用いてもよい。
顆粒状物質はその形状に特に制限はなく、例えば球状、多面体状、楕円球状、紡錘状、不定形等であり得る。これらの形状の組み合わせを用いてもよい。気密袋21の内部での顆粒状物質の充填性を高め、被測定物の測定時に保持具20の形状を確実に保持する観点からは、略球状の形状を有する顆粒状物質を用いることが好ましい。
顆粒状物質は、気密袋21内において流動可能な状態で封入されている。それによって、保持具20はその外形を自由に変形させることが可能となる。また被測定物の外形に適応して形状に容易に変形し得る点から、保持具20はその外形が、図2に示すとおり扁平体であることが好ましい。
保持具20の気密袋21には連通部22が備えられている。連通部22は気密袋21の内部と外部とを繋ぐ部材である。図2に示す実施形態では連通部22は筒状の形状をしている。この筒には、例えば、二方弁(図示せず)が設けられている。この二方弁は、連通部22を通じての気密袋21の内部から外部への気体の排気及び外部から内部への気体の流入を調整できる構造を有している。なお、二方弁に替えて逆止弁を用いることもできる。
以上のとおりの構成を有する保持具20は、いわゆる減圧式ビーズマットという称呼で広く知られている物品である。この種の保持具20を用いる場合には、保持具20とは別に用意しておいた排気ポンプ40の排気管41を、気密袋21に取り付けられている連通部22と接続する。この時点では、気密袋21内には空気が存在している。また気密袋21内に封入されている顆粒状物質は流動状態を保っており、保持具20も、外力によって変形可能な状態を保っている。この状態から排気ポンプ40を作動させると、気密袋21内に存在している空気が次第に排気されて気密袋21は次第に縮小していくとともに、顆粒状物質が流動性を次第に喪失していき締め固まった状態となる。そして気密袋21内を−20〜−40kPa(ゲージ圧)程度の吸引力で減圧すると、顆粒状物質は流動性をほぼ喪失し、ほぼ変形不能な締め固まった状態となる。このようにして、保持具20はその形状が保持可能になる。
図3には、動的粘弾性測定装置10及び保持具20を用いて、本発明の評価方法を行う状態の一例が示されている。同図においては、ヒト30の前腕部31の内側の皮膚を評価対象部位とした状態が示されている。図3に示す実施形態においては、例えば美容の目的、皮膚に塗布する化粧料の開発又は選定の目的、皮膚に塗布する医薬部外品の開発又は選定の目的などの非医療行為を目的として評価を行っている。
図3においては、被験者であるヒト30が架台14に隣接している椅子15に腰掛け、左腕の前腕部31を、その内側がプローブ12と対向するように、架台14の載置面14aに載置している状態が示されている。前腕部31と載置面14aとの間には保持具20が配置されている。保持具20が縦長の形状をした扁平体であり、その長手方向が前腕部31の延びる方向と一致するように、前腕部31と載置面14aとの間に配置されている。
この場合、保持具20の両端域23a及び23bが、架台14の載置面14aにおける前後の端縁から外方に延出し、且つ鉛直下方に向けて垂下するように、該保持具20を配置する位置を調整する。次に、図3に示す状態にある保持具20と前腕部31とを良く馴染ませて、両者が極力密着し、両者間に隙間が極力生じないように、保持具20を変形させる。この状態下に、保持具20における連通部(図示せず)に、図2に示す排気ポンプ40を接続し、保持具20の気密袋21内の気体を脱気する。この脱気によって、保持具20の気密袋21が次第に縮小していき、顆粒状物質は流動性をほぼ喪失してほぼ変形不能な締め固まった状態となる。これによって被測定物である前腕部31の固定状態が完成する。その結果、測定の間にわたり前腕部31の動きが阻止される。また、この状態は、ヒト30が自然な姿勢になっているので、肉体的な負担が少ない。また、保持具20による前腕部31の固定状態では過度な締め付けは起こらないので、例えば血流の変化や筋肉の弛緩等、測定に影響を来すような身体的変化が生じにくい。
このようにして前腕部31の固定状態が完成したら、評価対象部位の中心点の接面と直交する方向へ、制御された変形量で押し込みを行う又は制御された力で押し付けを行う。例えば図4に示すとおり、動的粘弾性測定装置10の装置本体11に取り付けられているプローブ12を降下させて、前腕部31の皮膚(この皮膚には予め化粧料が塗布されている。)に当接させ、制御された力としての一定荷重での押し付けを行う。「評価対象部位の中心点」とは、二次元的な広がりを持つ評価対象部位における図心の位置のことである。プローブ12は、評価対象部位の中心点を含む二次元領域に当接する。
制御された力としての一定荷重での押し付けの荷重は、化粧料の種類及びプローブ12のサイズなどに応じて適切な値を選択できる。加える荷重は制御の安定性の観点より、0.4N以上であることが好ましく、0.5N以上であることが更に好ましく、0.6N以上であることが一層好ましい。また、被験者へ与えるストレスの抑制という観点より、5.0N以下であることが好ましく、3.0N以下であることが更に好ましく、1.5N以下であることが一層好ましい。加える荷重は、0.4N以上5.0N以下であることが好ましく、0.5N以上3.0N以下であることが更に好ましく、0.6N以上1.5N以下であることが一層好ましい。
プローブ12によって評価対象部位を一定荷重で押し付けた状態下に、制御された変形量又は制御された力を該評価対象部位に加える。例えば、制御された変形量として、評価対象部位の中心点の接面と平行な方向へ、制御された正逆回動振動変形又は制御された一方向への回転変形を加えることができる。そして、制御された変形量を加えたときの力学的特性を計測する。
制御された変形量として、例えば制御された正逆回動振動変形を加える場合、プローブ12の正逆回動振動の周波数は、測定時間の短縮ひいては測定精度を高める点から0.8Hz以上であることが好ましく、1.3Hz以上であることが更に好ましく、1.8Hz以上であることが一層好ましい。また、測定データの信頼性を確保する意味で7.0Hz以下であることが好ましく、5.0Hz以下であることが更に好ましく、3.0Hz以下であることが一層好ましい。周波数は、0.8Hz以上7.0Hz以下であることが好ましく、1.3Hz以上5.0Hz以下であることが更に好ましく、1.8Hz以上3.0Hz以下であることが一層好ましい。この測定は動的粘弾性測定であるので、正逆回動振動の変位(振幅)は、線形歪み以下の変形量に設定する必要がある。なお、本計測を行う場合には、プローブ12が皮膚の表面で滑らないようにするために、例えば、後述する図11に示すような、皮膚との当接面に複数条の溝25が設けられたプローブ12を用いることが好ましい。
プローブ12によって評価対象部位に正逆回動振動を加えることで、そのときの力学応答特性を計測する。力学応答特性としては例えばプローブ12を正逆回動振動させるときに受けるトルクが好適なものとして挙げられる。詳細には、プローブ12を一定の周波数及び変位(振幅)で正逆回動振動させ、その間のトルクの値を計測する。この計測を所定の時間おきに複数回にわたって行う。この計測によって評価対象部位に化粧料を塗布してからの時間とその時間でのトルクの値との関係を求める。そして、図5に示すとおり、ある特定の時間でのトルクの値に着目し、そのトルクの値の大小に基づき、評価対象部位における化粧料の特性を評価する。なお図5の縦軸はトルクそのものの値ではなく、化粧料未塗布時のトルクの値に対する変化率に換算してあるが、本質に変わりはない。本発明者の検討の結果、トルクの値の大小は、化粧料を塗布した後の皮膚に化粧料由来の成分等が浸透することによって知覚される「内から潤う」感と相関を有することが判明した。詳細には、トルクの値が低いほど内から潤う感が高いと知覚される。このように本発明によれば、化粧料の特性の一つとしての内から潤う感を客観的に評価することができる。
図4において、プローブ12によって評価対象部位を一定荷重で押し込んだ状態下に、制御された変形量として、上述の正逆回動振動変形を加えることに代えて、制御された一方向への回転変形を、評価対象部位の中心点への接面と平行な方向へ加えることができる。この場合、プローブ12の一方向への回転数は、測定時間の短縮ひいては測定精度を高める点から1rpm以上であることが好ましく、2rpm以上であることが更に好ましく、3rpm以上であることが一層好ましい。また、被験者へのストレスの軽減とスリップ抑制の観点より、12rpm以下であることが好ましく、10rpm以下であることが更に好ましく、8rpm以下であることが一層好ましい。プローブ12の一方向への回転数は、1rpm以上12rpm以下であることが好ましく、2rpm以上10rpm以下であることが更に好ましく、3rpm以上8rpm以下であることが一層好ましい。
プローブ12によって評価対象部位に一方向への回転を加えることで、そのときの力学応答特性を計測する。力学応答特性としては例えばプローブ12を一方向への回転させるときに生じる摩擦力が好適なものとして挙げられる。評価対象部位にはプローブ12によって一定の荷重が加わっているので、計測によって得られるトルクの値は摩擦係数に換算できる。つまり、プローブ12によって評価対象部位に一方向への回転を加えることで、そのときの摩擦係数を計測できる。摩擦係数には静摩擦係数及び動摩擦係数があるところ、本発明においては力学応答特性として静摩擦係数及び動摩擦係数の双方を採用することができる。実際の計測においては、プローブ12を一定の回転数で一方向へ回転させ、その間の摩擦係数の値を所定の時間にわたり計測する。この計測を所定の時間おきに複数回にわたって行い、評価対象部位に化粧料を塗布してからの時間とその時間での摩擦係数の値との関係を求める。この場合、各計測において得られる摩擦係数の情報は、図6に示すとおり、プローブ12の回転初期に得られる静摩擦係数μsの情報と、プローブ12の回転が開始してから所定時間後に得られる動摩擦係数μdの情報とからなる。このように、各計測において静摩擦係数μs及び動摩擦係数μdが得られ、この計測を所定の時間おきに複数回にわたって行うことで、評価対象部位に化粧料を塗布してからの時間とその時間での静摩擦係数μs及び動摩擦係数μdの値との関係をそれぞれ求める。
本発明者の検討の結果、静摩擦係数μsと、化粧料を皮膚に塗布してからの経過時間とをプロットしたグラフにおいて、静摩擦係数μsにピークが観察されるか否かが、化粧料を塗布している間の皮膚のみずみずしさと相関することが判明した。化粧料の塗布中の皮膚のみずみずしさは、化粧料を塗布しているときに化粧料に加わる剪断力に起因して化粧料から水が分離し、その水の存在を知覚することに由来するものであると本発明者は推察している。そして、図7(a)に示すとおり、静摩擦係数μsにピークが観察される化粧料は、塗布中に皮膚のみずみずしさが知覚される。一方、図7(c)に示すとおり、静摩擦係数μsにピークが観察されない化粧料は、塗布中に皮膚のみずみずしさは知覚されない。
化粧料の塗布中のみずみずしさの程度は、静摩擦係数μsと時間とをプロットしたグラフにおいて、静摩擦係数μsのピークの値の大小と相関があることも、本発明者の検討の結果判明した。詳細には、静摩擦係数μsのピークの値が大きいほど、その化粧料は塗布中のみずみずしさの程度が高いと判断できる。例えば図7(a)と図7(b)の測定結果はいずれも静摩擦係数μsにピークが観察されるところ、ピークの値が大きい図7(a)の化粧料の方が、図7(b)の化粧料よりも、化粧料の塗布中のみずみずしさが一層強く知覚される。
以上は、プローブ12を一定の回転数で一方向へ回転させたときに得られる静摩擦係数μsに基づく化粧料の特性の評価に関するものである。一方、動摩擦係数μdに関しては、動摩擦係数μdと、化粧料を皮膚に塗布してからの経過時間とをプロットしたグラフにおいて、動摩擦係数μdにピークが観察されるか否かが、化粧料の皮膚への馴染みの速さと相関することが判明した。化粧料の皮膚への馴染みの速さとは、化粧料を皮膚に塗布し、化粧料が皮膚に浸透して塗布が完了したと知覚するまでの時間の速さのことである。動摩擦係数μdにピークが観察される化粧料は、該化粧料を皮膚に塗布したときの馴染みが速いものであると考えられる。
化粧料の皮膚への馴染みの速さの程度は、動摩擦係数μdと時間とをプロットしたグラフにおいて、動摩擦係数μdのピークの値の大小と相関があることも、本発明者の検討の結果判明した。詳細には、動摩擦係数μdのピークの値が大きいほど、その化粧料は皮膚に素早く浸透して馴染みの程度が高いと判断できる。例えば、図8(a)に示すとおり、動摩擦係数μdにピークが観察される化粧料は、皮膚への馴染みが速いと知覚される。一方、図8(b)に示すとおり、動摩擦係数μdにピークが観察されない化粧料は、皮膚への馴染みの速さが知覚されない。
これまでの説明は、図3及び図4において、評価対象部位の中心点の接面と平行な方向へ、制御された正逆回動振動変形又は制御された一方向への回転変形を加えたときの力学応答特性を計測することに関してのものであるが、これに代えて、評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行い、そのときの力学応答特性を計測してもよい。詳細には、図3に示す固定状態が完成したら、評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量でプローブ12の押し込みを行うか、又は制御された力でプローブ12の押し付けを行う。例えばプローブ12を一定速度で降下させて評価対象部位を押し込むことができる。そして、一定速度での押し込み時にプローブ12が受ける法線力を計測する。
制御された変形量としての一定速度での押し込みは、計測時間の短縮とデータのサンプリング速度を考慮し、適切な値を選択できる。プローブ12の降下速度は、例えば0.1mm/s以上であることが好ましく、0.5mm/s以上であることが更に好ましく、1.0mm/s以上であることが一層好ましい。また3.0mm/s以下であることが好ましく、2.5mm/s以下であることが更に好ましく、2.0mm/s以下であることが一層好ましい。プローブ12の降下速度は、0.1mm/s以上3.0mm/s以下であることが好ましく、0.5mm/s以上2.5mm/s以下であることが更に好ましく、1.0mm/s以上2.0mm/s以下であることが一層好ましい。
上述の押し込み速度でプローブ12を評価対象部位に一定速度で押し込みつつ、該プローブ12が受ける法線力を計測する。この計測を所定の時間おきに複数回にわたって行う。そして、評価対象部位に化粧料を塗布してからの時間とその時間での法線力の値との関係を求める。そして、ある特定の時間での法線力の値に着目し、その法線力の値の大小に基づき、評価対象部位における化粧料の特性を評価する。本発明者の検討の結果、法線力の値の大小は、化粧料を塗布した皮膚の柔らかさと相関を有することが判明した。具体的には、図9に示すとおり、法線力の値が小さいほど、化粧料を塗布した皮膚は柔らかいと知覚される。このように本発明によれば、化粧料の特性の一つとしての皮膚の柔らかさを客観的に評価することができる。なお図9の縦軸は法線力そのものの値ではなく、ブランクの法線力の値に対する変化率に換算してあるが、本質に変わりはない。
前記の法線力を計測する場合には、プローブ12を評価対象部位に一定荷重で押し込みそのときの力学応答特性としての法線力を測定したが、押し込み動作に代えて、制御された変形量として、押し込みが完了した後に一定速度でのプローブ12の引き上げ動作を行い、そのときの力学応答特性を計測することもできる。詳細には、制御された力として一定荷重を評価対象部位にプローブ12によって加え、所定時間経過後に、制御された変形量としての一定速度でのプローブ12の引き上げを行うことができる。
プローブ12を一定速度で引き上げるときの力学応答特性としては、例えばタックが挙げられる。この場合、プローブ12を一定速度で引き上げつつ、該プローブ12が受けるタックに関する応答特性を計測する。そして、評価対象部位に化粧料を塗布してからの時間とその時間でのタックに関する応答特性の値との関係を求める。タックに関する応答特性としては、例えばタック力のピーク値や、タック力の持続時間などが挙げられる。タック力の持続時間とは、タック幅とも呼ばれるものである。化粧料を塗布した皮膚にプローブを押し込んでいき、次いで該プローブ12を一定速度で引き上げていくと、プローブ12に粘着して皮膚がプローブ12とともに引き上げられ、ついには皮膚がプローブ12から剥離する現象が観察されるところ、原点からの皮膚の引き上げ距離のことを、タック力の持続時間又はタック幅という。したがってタック幅が大きいほど、皮膚はプローブ12とともに上方まで引き上げられる。本発明者の検討の結果、タックに関する応答特性のうちタック力のピーク値は、化粧料を塗布した皮膚のべたつきの無さと相関を有することが判明した。具体的には、タック力のピーク値が小さいほど、化粧料を塗布した皮膚はべたつきが少ないと知覚される。このように本発明によれば、化粧料の特性の一つとしてのべたつきの無さを客観的に評価することができる。
タックに関する応答特性としては、タック力のピーク値のほかに、上述したタック幅が挙げられる。本発明者の検討の結果、タック幅の値は、化粧料を塗布した皮膚のもちもち感と相関を有することが判明した。具体的には、タック幅の値が大きいほど、化粧料を塗布した皮膚はもちもち感を有すると知覚される。例えば、図10(a)と図10(b)との比較から明らかなとおり、タック幅W1が広い図10(a)の化粧料の方が、タック幅W2が狭い図10(b)の化粧料よりも、強いもちもち感が知覚される。本発明におけるもちもち感とは、皮膚上に化粧料を手で塗り伸ばした場合にもちもちと感じる塗り心地であり、化粧料由来の塗膜が皮膚上に形成されることによって知覚される。このように本発明によれば、化粧料の特性の一つとしてのもちもち感を客観的に評価することができる。なお図10(a)及び図10(b)の測定結果は、異なる2種類の化粧料を対象として、これらの化粧料を皮膚に塗布してから所定時間経過後に測定したものである。
タックに関する応答特性を計測するときのプローブ12の引き上げ速度は、計測時間の短縮とデータのサンプリング速度を考慮し、適切な値を選択できる。プローブ12の引き上げ速度は、例えば0.1mm/s以上であることが好ましく、0.5mm/s以上であることが更に好ましく、1.0mm/s以上であることが一層好ましい。また3.0mm/s以下であることが好ましく、2.5mm/s以下であることが更に好ましく、2.0mm/s下であることが一層好ましい。プローブ12の引き上げ速度は、0.1mm/s以上3.0mm/s以下であることが好ましく、0.5mm/s以上2.5mm/s以下であることが更に好ましく、1.0mm/s以上2.0mm/s以下であることが一層好ましい。
制御された変形量としての一定速度でのプローブ12の引き上げを行い、そのときの力学応答特性としてタック幅を採用する場合には、一定速度でのプローブ12の引き上げを行うに先立ち、制御された力としての一定荷重での押し付けに代えて、制御された変形量としての一定速度での押し込みを行うことが好ましい。つまり、制御された変形量としての一定速度でのプローブ12の押し込みを行い、次いで制御された変形量としての一定速度でのプローブ12の引き上げを行うことが好ましい。このようにすることで、タック幅に基づく評価対象部位のもちもち感を一層精度良く評価することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば制御された変形量及び制御された力と、そのときの応答特性との組み合わせは上述したものに限られず、評価対象となる化粧料の種類に応じ適切に選択すればよい。
また、前記実施形態においては、図1に示す動的粘弾性測定装置10を、図2に示す保持具20と併用したが、計測中に被測定物を不動にできる限り、保持具20以外の道具を用いてもよく、あるいは道具を用いずに計測を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
本実施例においては、評価対象部位としてヒトの上腕内側部を用い、化粧料を塗布した皮膚の力学応答特性を測定した。測定には、図1に示す動的粘弾性測定装置10及び図2に示す保持具20を用いた。保持具20としては減圧式ビーズマットを用いた。保持具20を図3に示すとおりに装置10に設置し、保持具20によってヒトの上腕内側部を保持した。動的粘弾性測定装置10に取り付けるプローブとしては図11に示す、溝形成による滑り止め処理を施した直径8mmのアルミニウム合金製の円板プローブを用いた。この測定により得られるトルク値は、化粧料を塗布したヒトの皮膚の柔らかさの指標となるものである。測定は2段階で行った。最初に、プローブが計測対象部位を1Nの押し付け力で押すように制御し(全5秒間)、続いて押し付け力を1Nに制御し、正逆回動振動(正弦振動)を与えつつ一定の時間間隔で10点の測定を行った。周波数は2Hzで、振幅は0.8度(線形歪みの範囲内)とした。測定は、化粧料を塗布してから12分が経過するまで行った。化粧料として、市販の化粧水1A、1B及び1Cを用いた。測定結果を図5に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、化粧料を塗布してから10分経過後で比較すると、トルクの値は化粧水1A、1B、1Cの順で低くなっていることが判る。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、化粧水1A、1B、1Cの順で「内から潤う」感が高くなった。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料の「内から潤う」感の評価に有用であることが確認された。
〔実施例2〕
プローブとして直径8mmのジルコニア製円板を用いた。円板の表面は平滑なものであった。測定は2段階で行った。最初に、プローブが計測対象部位を1Nの押し付け力で押すように制御し(全5秒間)、続いて押し付け力を1Nに制御し、6rpmで一方向への回転変形を与えた。測定開始から0.04秒経過後を始点とし、測定開始から0.2秒経過後を終点とし、始点から終点までの間で60点の摩擦係数を測定し、その最大値を静摩擦係数μsの値とした。また、測定開始から0.2秒経過後を始点とし、測定開始から0.4秒経過後を終点とし、始点から終点までの間で70点の摩擦係数を測定し、その平均値を動摩擦係数μdの値とした。測定は、化粧料を塗布してから20分が経過するまで、所定の時間間隔で行った。静摩擦係数μsの測定においては、化粧料として、市販のジェル状化粧料2A,2B及び2Cを用いた。動摩擦係数μdの測定においては、化粧料として、市販の化粧乳液2D及び2Eを用いた。これら以外は実施例1と同様の操作を行った。
静摩擦係数μsの値と、皮膚に化粧料を塗布してからの経過時間との関係を図7(a)−(c)に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、図7(a)及び図7(b)のジェル状化粧料2A及び2Bには静摩擦係数μsにピークが観察されるが、図7(c)のジェル状化粧料2Cには静摩擦係数μsにピークが観察されない。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、ジェル状化粧料2C、2B、2Aの順で塗布中のみずみずしさが高くなった。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料の塗布中のみずみずしさの評価に有用であることが確認された。
一方、動摩擦係数μdに関しては、動摩擦係数μdの値と、皮膚に化粧料を塗布してからの経過時間との関係を図8(a)及び(b)に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、図8(a)の化粧乳液2Dには動摩擦係数μdにピークが観察されるが、図8(b)の化粧乳液2Eには動摩擦係数μdにピークが観察されない。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、化粧乳液2E、2Dの順で化粧乳液の馴染みの速さが高くなった。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料の馴染みの速さの評価に有用であることが確認された。
〔実施例3〕
プローブ12として直径8mmのジルコニア製円板を用いた。円板の表面は平滑なものであった。測定は1段階で行った。プローブが計測対象部位を1.5mm/sの速度で押し込むように制御し、2mmの深さまで押し込みを行った。そして、押し込み深さが2mmのときの法線力を測定した。測定は、化粧料を塗布してから12分が経過するまで、所定の時間間隔で行った。化粧料として、市販の化粧水3A,3B及び3Cを用いた。これら以外は実施例1と同様の操作を行った。測定結果を図9に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、化粧料を塗布してから8分経過後で比較すると、法線力の値は化粧水3C、3B、3Aの順で低くなっていることが判る。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、化粧水3C、3B、3Aの順で皮膚の柔らかさが強く知覚された。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料が塗布された皮膚の柔らかさの評価に有用であることが確認された。
〔実施例4〕
プローブ12として直径8mmのジルコニア製円板を用いた。円板の表面は平滑なものであった。測定は2段階で行った。最初に、プローブが計測対象部位を1Nの押し付け力で押すように制御し(全5秒間)、次いでプローブを1.5mm/sの速度で引き上げた。そのときのタック力のピーク値を測定した。測定は、化粧料を塗布してから10分が経過するまで、所定の時間間隔で行った。化粧料として、市販の化粧クリーム4A及び4Bを用いた。測定結果を図12に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、化粧料を塗布した時点、2.5分経過後、及び5分経過後のいずれであっても、タック力のピークの値は化粧クリーム4Aの方が4Bよりも高くなっていることが判る。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、化粧クリーム4A、4Bの順でべたつきの無さが知覚された。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料のべたつきの無さの評価に有用であることが確認された。
〔実施例5〕
プローブ12として直径8mmのジルコニア製円板を用いた。円板の表面は平滑なものであった。測定は2段階で行った。最初に、プローブが計測対象部位を1.5mm/sの速度で押し込むように制御し、4mmの深さまで押し込みを行った。次いでプローブを1.5mm/sの速度で引き上げた。そのときのタック幅の値を測定した。測定は、化粧料を塗布してから10分が経過するまで、所定の時間間隔で行った。化粧料として、市販の化粧水5A、5B及び5Cを用いた。測定結果を図13に示す。同図における3分経過後のタック幅の値は化粧水5A、5B及び5Cの順で大きくなっていることが判る。この測定と別途に行った専門パネラによる官能評価では、化粧水5A、5B及び5Cの順で強いもちもち感が知覚された。このように、測定結果と官能評価は相関しており、本実施例の方法が、化粧料のもちもち感の評価に有用であることが確認された。
10 動的粘弾性測定装置
11 装置本体
12 プローブ
13 テーブル
14 架台
14a 載置面
20 保持具
20a 凹部
21 気密袋
22 連通部
30 ヒト
31 前腕部

Claims (10)

  1. 化粧料が塗布された皮膚を評価対象部位として用い、該評価対象部位に、制御された変形量又は制御された力を加え、そのときの力学応答特性を計測し、計測結果に基づき前記化粧料の特性を評価する、化粧料の評価方法。
  2. 前記評価対象部位の中心点の接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行った後、該接面と平行な方向へ、制御された正逆回動振動変形又は制御された一方向への回転変形を加え、そのときの力学応答特性を計測する請求項1に記載の化粧料の評価方法。
  3. 前記評価対象部位の中心点の接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行った後、該接面と平行な方向へ、制御された正逆回動振動変形を加えてトルクを計測する請求項2に記載の化粧料の評価方法。
  4. 前記評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行った後、該接面と平行な方向へ、制御された一方向への回転変形を加えて静摩擦係数を計測する請求項2に記載の化粧料の評価方法。
  5. 前記評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行った後、該接面と平行な方向へ、制御された一方向への回転変形を加えて動摩擦係数を計測する請求項2に記載の化粧料の評価方法。
  6. 前記評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行い、そのときの法線力を計測する請求項1に記載の化粧料の評価方法。
  7. 前記評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力で押し込みを行い、次いで制御された力又は制御された変形量で引き上げを行ったときに観察されるタック力の持続時間を計測する請求項1に記載の化粧料の評価方法。
  8. 前記評価対象部位の中心点への接面と直交する方向へ、制御された変形量又は制御された力を予め加えておき、次いで制御された力又は制御された変形量で引き上げを行ったときに観察されるタック力のピーク値を計測する請求項1に記載の化粧料の評価方法。
  9. 前記評価対象部位を含む被測定体を固定して不動とした状態下に、制御された前記変形量又は制御された前記力を加える請求項1ないし8のいずれか一項に記載の化粧料の評価方法。
  10. 前記評価対象部位を含む前記被測定体の外形に合わせて該被測定体の保持が可能な形状に変形可能になされているとともに、計測時に該形状が保持可能になされている保持具を用いて該被測定体を固定して不動とする請求項9に記載の化粧料の評価方法。
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