JP6628711B2 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、水中油型乳化組成物に関する。
従来から、水性飲料及び水性食品、並びに水性化粧料に油性成分を添加することは行われてきた。しかし、油性成分は水に対して不溶性又は難溶性のため、乳化等の手段を用いて、油性成分を水性媒体中に分散し、水中油型乳化組成物とすることが一般的であった。水中油型乳化組成物では、油性成分を含む分散粒子の粒径に依存して光を散乱するため、粒径が十分に小さい場合には目視で透明の外観を呈するが、粒径が大きい場合は、目視による透明性が低下し、濁りが生じる場合があり、外観上好ましくない事態を招く。
乳化組成物は、一般に準安定状態であり、調製直後は目視で透明であっても、保存中に乳化粒子の凝集が進行することがあり、凝集が進行すると乳化粒径の増大による濁りが発生し、透明性が低下することが懸念される。特に、乳化粒子が小さいほど、安定化は困難である。
このため、乳化組成物において、小粒径の分散粒子を安定に保持する目的で、種々の検討がなされている。
例えば、油相にカロテノイドとトコフェロールとレシチンとを含有し、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される水溶性乳化剤を含有する、乳化粒子が小さく、透明性と安定性に優れたエマルジョン組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、脂溶性成分と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、リン脂質と、ポリオールとを特定量含み、飲食品にも適用可能な乳化安定性に優れたエマルジョン組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、水に難溶な成分であるチオクト酸を含み、HLB(Hydrophile Lipophile Balance:親水親油バランス)が9以上の乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含む安定性に優れた組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第5459939号公報 特許第5675079号公報 特開2007−16000号公報
上記の各特許文献に記載の技術では、確かに油性成分を含む分散粒子は小粒径であり、保存安定性として、室温以上の温度条件下における経時安定性の検討もなされてはいるが、低温(例えば10℃以下)における経時安定性についての検討はなされていない。これは、一般的に乳化組成物における経時安定性、言い換えれば、乳化粒子の安定性は、室温条件以上での加速試験とすることが必要であるためである。すなわち、乳化組成物を室温条件以上にて保存することで、乳化粒子の運動性が高まり、乳化粒子同士の衝突の結果生じる乳化粒子の凝集が生じやすくなり、これにより低温条件下よりも乳化粒子の凝集が生じやすくなる条件にて評価することにより、乳化組成物の安定性の評価が可能とされていたためである。
ところで、水中油型乳化組成物を、化粧料、飲料等に適用する場合、組成物中に含まれる有効成分の安定性をより向上させる目的で、10℃以下といった冷蔵保存がなされることがある。
10℃以下の低温においては、乳化組成物に含まれる油脂、添加剤等の結晶化が進行することがある。結晶化が進行すると、生成した結晶を介して乳化粒子が凝集し、乳化組成物の透明性低下が生じる懸念がある。
本発明者らの検討によれば、特許文献1〜特許文献3に記載のエマルジョン組成物においては、上述のような室温条件以上での加速試験により経時安定性を評価した場合、乳化粒子の凝集に問題がない場合であっても、低温条件における経時安定性には問題があることが新たにわかった。本発明者らがこの低温条件における経時安定性についてさらに検討を重ねたところ、低温条件における経時安定性の低下は、室温条件以上では発生しない、乳化粒子中の析出物が原因であることを突き止めた。具体的には、冷蔵経時により結晶が析出し、結晶析出に起因する乳化粒子の凝集、ひいてはエマルジョン組成物における透明性の低下が生じることがあることが判明した。
本発明の一実施形態の課題は、長期間に亘り低温保存した場合においても、固形分の析出及び濁度の上昇が抑制され、低温での保存安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む。
<1> モノエステル体を80質量%〜100質量%含むショ糖ステアリン酸エステルと、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステルと、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体と、水と、を含む水中油型乳化組成物。
<2> ショ糖ステアリン酸エステルにおけるモノエステル体の含有量が90質量%〜100質量%である<1>に記載の水中油型乳化組成物。
<3> さらに、カロテノイドを含む<1>又は<2>に記載の水中油型乳化組成物。
<4> カロテノイドがアスタキサンチンを含む<3>に記載の水中油型乳化組成物。
<5> ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度が6〜20である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<6> ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸構造は、炭素数16〜22の分岐脂肪酸構造及び炭素数16〜22の不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<7> ポリグリセリン脂肪酸エステルが、イソステアリン酸ポリグリセリル及びオレイン酸ポリグリセリルからなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<8> ビタミンの油溶性エステル誘導体が、ニコチン酸トコフェロール及びパルミチン酸レチノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
本発明の一実施形態によれば、長期間に亘り低温保存した場合においても、固形分の析出及び濁度の上昇が抑制され、低温での保存安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供することができる。
以下、本発明を適用した水中油型乳化組成物の実施形態の一例について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「水相」との語は、溶媒の種類にかかわらず、「油相」に対する語として使用する。
本明細書において低温とは「10℃」以下の温度を意味する。
<水中油型乳化組成物>
本実施形態の水中油型乳化組成物(以下、乳化組成物と称することがある)は、モノエステル体を80質量%〜100質量%含有するショ糖ステアリン酸エステルと、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステルと、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体と、水と、を含む。
本実施形態の乳化組成物は、所定量のモノエステル体を含むショ糖ステアリン酸エステルと、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステルと、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体と、水と、を含むことにより、長期間に亘り低温保存した場合においても、固形分の析出及び濁度の上昇が抑制され、低温での保存安定性に優れる。
本実施形態の乳化組成物の作用機構は明確ではないが以下のように推定している。
水中油型乳化組成物では、油相粒子が水相中に分散して存在している。
ショ糖ステアリン酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルはいずれも乳化剤として有用であることが知られており、併用することも可能である。
ショ糖ステアリン酸エステルは、通常は、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体等の混合物であり、油相粒子に吸着した場合、ジエステル体及びトリエステル体は、モノエステル体と比較して、油相中の炭化水素鎖と相互作用し易く、より結晶し易い傾向にある。本実施形態においては、モノエステル体を80質量%以上含有するショ糖ステアリン酸エステルを含有することで、ジエステル体、トリエステル体等の含有量が多いショ糖ステアリン酸エステルに比較して、油相粒子の界面での結晶化を抑制することができる。
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルも乳化能を有し、油相粒子の界面に吸着して分散安定性の向上に寄与する。ここで、油相粒子の表面に吸着するポリグリセリン脂肪酸エステルが、脂肪酸構造として直鎖であり且つ飽和構造の脂肪酸構造を有する場合、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステルである場合に比較して、既述のショ糖ステアリン酸エステルと油相粒子界面においてより相互作用し易くなり、ショ糖脂肪酸エステルに起因する結晶化の促進が懸念される。本実施形態におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有することで、低温条件下においても、結晶化が抑制される。
また、油相粒子に、抗酸化能を有するビタミンであるビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンを、安定性向上の目的で含有しうることが知られている。本実施形態においては、これらビタミンの油溶性エステル誘導体を含有することで、油相粒子に含まれる油性成分との親和性が、ビタミン単体を含有する場合よりも、より良好となり、油相粒子の内部における安定性がより向上すると考えられる。さらに、油相溶媒の増量による結晶化の抑制効果も期待できる。このため、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体を含有することにより、既述のショ糖ステアリン酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの機能と相俟って、10℃以下といった低温条件下においても、乳化組成物における油相粒子の内部及び界面における油性成分、脂肪酸含有成分の結晶化が抑制され、油相粒子界面における結晶の生成に起因する油相粒子の凝集、さらには、乳化組成物の濁りの発生が効果的に抑制されると考えている。
なお、本開示は、上記推定機構に何ら制限されない。
以下、本実施形態の乳化組成物に含まれる各成分について説明する。
[モノエステル体を80質量%〜100質量%含むショ糖ステアリン酸エステル]
本実施形態の乳化組成物は、モノエステル体を80質量%〜100質量%含むショ糖ステアリン酸エステル(以下、成分(a)と称することがある)を含有する。
本実施形態におけるショ糖ステアリン酸エステルは、乳化組成物中に含まれるショ糖ステアリン酸エステル全量に対し、モノエステル体の含有量が80質量%〜100質量%であり、90質量%〜100質量%であることが好ましく、95質量%〜100質量%であることがより好ましい。
ショ糖ステアリン酸エステルにおけるモノエステル体の含有率は、以下の方法により測定することができる。
[ショ糖ステアリン酸エステルにおけるモノエステル体の含有率の測定]
<試料の調製>
ショ糖ステアリン酸エステルを、1mg/mLとなる量でテトラヒドロフランへ添加し、溶解して試料溶液を得る。
<測定条件>
使用装置: 高速液体クロマトグラフィー prominence (株式会社島津製作所)
検出方法: コロナ荷電化粒子検出
カラム: Capcellpack C18 UG120 4.6×150mm(株式会社資生堂)
カラム温度: 40℃
溶離液: 0分〜20分:水/メタノール50/50、7mM酢酸アンモニウム;20分〜30分:メタノール、7mM酢酸アンモニウム
流量: 1mL/min
注入量: 10μL
<モノエステル体の含有率算出方法>
高速液体クロマトグラフィーにおける保持時間15分〜30分におけるピーク総面積に対する保持時間17分〜22分におけるピーク面積の割合を算出し、これをモノエステル体の含有率とする。
成分(a)は市販品を用いてもよい。以下に示す市販品において、モノエステル体の含有量が80質量%以上であるものを選択して用いることができる。また、以下の市販品を複数混合してモノエステル体の含有量を80質量%以上とした混合物を用いてもよく、モノエステル体の含有量が80質量%未満の市販品を精製することで、モノエステル体の含有量を80質量%以上に高めた精製品を使用してもよい。
市販品としては、例えば、リョートー(登録商標)シュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670(以上、商品名、三菱化学フーズ(株)製)、DKエステル(登録商標)SS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−20W、F−10、FA−10E、コスメライク、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190 (以上、商品名、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
なかでも、リョートーシュガーエステルS−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、DKエステルSS、F160、F140、F110、コスメライクS−110、S−160、S−19等が好ましい。成分(a)としては、モノエステル体の含有量の比率が高いことから、DKエステルSSのみからなることが最も好ましい。このような構成とすることで、上述したような油相中の炭化水素鎖との相互作用が低減され、乳化組成物における結晶化生成をより効果的に抑制することができる。
本実施形態の乳化組成物は、成分(a)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本実施形態の乳化組成物における成分(a)の含有量は、乳化組成物の全量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜6質量%であることがより好ましく、2質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
乳化組成物における成分(a)の含有量が上記範囲において、乳化組成物を化粧料、飲料等に適用した場合における安定性の向上及び低温下の結晶化抑制の両効果が得られる。
[分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステル]
本実施形態の乳化組成物は、分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、成分(b)と称することがある)を含む。
本実施形態におけるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が好ましくは6〜20、より好ましくは8〜16、さらに好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸及び炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる脂肪酸のエステルが挙げられる。なお、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸には、炭素数8〜22の直鎖状不飽和脂肪酸及び炭素数8〜22の分岐不飽和脂肪酸が含まれる。
ポリグリセリンの重合度が上記範囲にあることで、乳化安定性が良好となる。
成分(b)としては、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸構造及び炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸構造から選ばれる脂肪酸構造を有するエステルが好ましく、炭素数16〜22の分岐脂肪酸構造及び炭素数16〜22の不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有する脂肪酸のエステルがより好ましく、炭素数16〜18の分岐脂肪酸構造及び炭素数16〜18の不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有する脂肪酸のエステルがさらに好ましい。
炭素数8〜22の不飽和脂肪酸及び炭素数8〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸及びイソステアリン酸が挙げられる。
本実施形態に使用される成分(b)であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、モノエステル体であってもよく、ジエステル体であってもよいが、効果の観点からはモノエステル体であることが好ましい。
また、成分(b)であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、界面活性能を有する。乳化安定性をより向上させる観点から、成分(b)は、HLBが6以上の化合物が好ましく、8以上の化合物がより好ましく、10以上の化合物がさらに好ましい。成分(b)のHLBの上限値は、特に限定されないが、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。
本明細書における、HLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスであり、一般に用いられる計算式、例えば川上式等の計算式により確認することができる。本明細書においては、以下に示す川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、成分(b)のHLBは、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
成分(b)の好ましい具体例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンリノール酸エステル、デカグリセリンイソステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル等が挙げられ、なかでも、イソステアリン酸ポリグリセリル及びオレイン酸ポリグリセリルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
成分(b)は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)製 NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−ISV、NIKKOL Decaglyn 1−OV、NIKKOL Decaglyn 1−LN、三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル O−15D、O−50D、太陽化学 (株) 社製サンソフトQ−17S、理研ビタミン(株)社製ポエムJ−0381Vなどが挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステルなどが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、以下に示すものが挙げられ、これらのうち、分岐構造、及び不飽和構造の少なくとも1種を含むものを選択して使用することができる。
本実施形態の乳化組成物は、成分(b)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本実施形態の乳化組成物における成分(b)の含有量は、乳化組成物の全量に対して、1質量%〜15質量%であることが好ましく、3質量%〜10質量%であることがより好ましく、5質量%〜8質量%であることがさらに好ましい。
乳化組成物における成分(b)の含有量が上記範囲において、均一でありかつ微細な油相粒子が得やすく、乳化組成物の低温における保存安定性がより良好となる。
[ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体]
本実施形態の乳化組成物は、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体(以下、成分(c)と称することがある)を含む。
成分(c)としては、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEの油溶性エステル誘導体であれば特に制限はない。なかでも、油溶性ビタミンであるビタミンA又はビタミンEのエステル誘導体が好ましい。
成分(c)としては、より具体的には、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノイン酸トコフェリル、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル等が挙げられる。
なかでも、成分(c)としては、ニコチン酸トコフェロール及びパルミチン酸レチノールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、本実施形態における成分(c)のうち、ニコチン酸トコフェロール、及びパルミチン酸レチノールは、皮膚に適用した場合の幹細胞活性化、繊維芽細胞活性化などの機能が期待され、化粧料に適用した場合の有効成分としても有用である。
なお、成分(c)が油溶性であるとは、成分(c)を、液状油であるココナッツ油に、25℃にて溶解したとき、10質量%以上溶解することを指す。
本実施形態の乳化組成物は、成分(c)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本実施形態の乳化組成物における成分(c)の含有量は、乳化組成物の全量に対して、油溶性ビタミンエステル誘導体の純分として0.1質量%〜9質量%であることが好ましく、0.5質量%〜6質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
乳化組成物における成分(c)の含有量が上記範囲において、乳化組成物の低温における保存安定性がより良好となり、カロテノイドの安定性も向上する。
[水]
本実施形態の乳化組成物は、水を含有する。
水としては、特に制限はなく、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を使用することができる。
化粧料に含有される水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
水の含有率は、特に限定されない。
乳化組成物における水の含有率は、乳化組成物の全量に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
[油性成分]
本実施形態の乳化組成物は、油性成分を含むことができる。分散粒子である油相粒子は、油性成分を含む。なお、油性成分には、成分(c)は含まれない。
本実施形態の乳化組成物に使用することができる油性成分としては、油性媒体に溶解する成分であれば、特に限定は無い。なかでも、カロテノイド、トコフェロール等の油溶性ビタミンを含むラジカル捕捉剤、ココナッツ油等の油脂等が挙げられる。
(カロテノイド)
本実施形態の乳化組成物は、油性成分として、天然色素を含むカロテノイドを含有することが好ましい。
カロテノイドは、黄色から赤のテルペノイド色素であり、植物類、藻類、及びバクテリア由来の色素を含む。
カロテノイドは、天然由来に限定されず、常法に従って得られるカロテノイドであればよい。例えば、後述するカロテノイドのカロチンの多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造されている。
カロテノイドとしては、炭化水素(カロチン)及びそれらの酸化アルコール誘導体(キサントフィル)等が挙げられる。
カロテノイドとしては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチンの混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステルが挙げられる。
カロテノイドの多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。
カロテノイドは一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロテノイドは種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
特に好ましく用いられるカロテノイドとしては、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られるアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体から選ばれる化合物が挙げられる。以下、本明細書においてアスタキサンチンは、その誘導体を包含する意味で用いられる。
(アスタキサンチン及びその誘導体)
本実施形態の乳化組成物は、アスタキサンチン及びその誘導体から選択される少なくとも1種を含有する。アスタキサンチンの誘導体には、アスタキサンキチンのエステル等が含まれる。以下の説明では、特に断らない限り、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」と称する。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類及びバクテリア等の天然物に由来するものの他、常法に従って得られるものであれば、いずれのものも使用することができる。
天然物であるアスタキサンチンとしては、例えば、赤色酵母ファフィア、ヘマトコッカス藻、海洋性細菌(例えば、パラコッカス)、オキアミ、アドニス(福寿草)等が挙げられる。また、その培養物からの抽出物を挙げることができる。
アスタキサンチンは、更に、これらの天然物から分離又は抽出したものを必要に応じて適宜精製したものでもよく、又は、合成品であってもよい。
アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻から抽出されるもの(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)、及び、オキアミ由来の色素(オキアミ抽出物ともいう。)が、品質又は生産性の点から好ましい。
アスタキサンチンとしては、市販されている、ヘマトコッカス藻抽出物、及びオキアミ抽出物を用いることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品としては、例えば、富士フイルム(株)のASTOTS(登録商標)−S、ASTOTS(登録商標)−SS、ASTOTS(登録商標)−5OS、ASTOTS(登録商標)−5 O、ASTOTS(登録商標)−5OS,ASTOTS(登録商標)−10 O等(以上、商品名)、富士化学工業(株)のアスタリール(登録商標)オイル50F、アスタリール(登録商標)オイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin(登録商標)SCE7、アルガテクノロジー社のAsta Pure(アスタキサンチン10質量%含有品、20質量%含有品)等が入手できる。
オキアミ抽出物の市販品としては、(株)マリン大王のアスタックスST(商品名)等が入手できる。
アスタキサンチンは、後述する油性成分に含有させたアスタキサンチン含有油として用いることができる。
アスタキサンチン及び油性成分を含有するアスタキサンチン含有油において、アスタキサンチンの含有量は、0.001質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上25質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
アスタキサンチン等のカロテノイドは酸化分解しやすい成分であるため、安定性をより良好とする目的で、本実施形態の乳化組成物がアスタキサンチン等のカロテノイドを含有する場合、冷蔵保存することがある。本実施形態の乳化組成物は低温における保存安定性が良好であるため、例えば、10℃以下で保存した場合においても、油性成分の析出等に起因する油相粒子の凝集、濁りの発生などが抑制される。
本実施形態の乳化組成物におけるアスタキサンチン含有油としての含有量は、乳化物の安定性の観点から決定することができ、例えば、乳化組成物の全体の質量に対し、0.001質量%以上20質量%以下が好ましく、0.01質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
(油脂類)
本実施形態の乳化組成物には、油脂類を含むことができる。
油性成分における油脂類としては、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
液体の油脂としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油等が挙げられる。
また、固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
なかでも、乳化組成物に含まれる油相粒子の粒径の維持性、油相粒子の安定性がより良好であるという観点から、中鎖脂肪酸トリグリセライドであるココナッツ油が好ましく用いられる。
油脂は市販品を用いることができる。また、本実施形態の乳化組成物は、油脂類を1種単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
(ラジカル捕捉剤)
本実施形態における油性成分として、ラジカル捕捉の機能を有する脂溶性のラジカル捕捉剤(酸化防止剤)を含有することができる。
ラジカル捕捉剤は、油性成分として1種単独で用いてもよく、他の油性成分の酸化を防止するために併用して用いてもよい。
なお本実施形態においては、既述の成分(c)が、ビタミンC(アスコルビン酸)の油溶性エステル、或いはビタミンEの油溶性エステルである場合、成分(c)自体がラジカル捕捉剤として機能するために、別途、ラジカル捕捉剤をさらに含有させなくてもよい。
本実施形態の乳化組成物における油性成分の含有量は、乳化組成物の応用態様、乳化組成物における油相粒子の粒径及び油相粒子の保存安定性の観点から、0.1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜25質量%の範囲がより好ましく、2質量%〜15質量%の範囲がさらに好ましい。
油性成分の含有量を0.1質量%以上とすると、有効成分が少なくなることがなく、乳化組成物の食品、化粧料への応用がより容易となる傾向があり、50質量%以下であると、乳化粒径の増大、及び乳化安定性の悪化を生じ難い傾向がある。
(リン脂質)
本実施形態の乳化組成物は、リン脂質を含有してもよい。
本実施形態におけるリン脂質としては、グリセロリン脂質が挙げられる。グリセロリン脂質としては、例えば、ホスファチジン酸、ビスホファチジン酸、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等が挙げられる、また、本実施形態に用いることができるリン脂質として、既述の成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のリン脂質を、卵黄、牛等の動物由来のリン脂質、大腸菌等の微生物等由来の各種レシチン等を挙げることができる。
また、リン脂質として、スフィンゴリン脂質、例えば、スフィンゴミエリン等を使用することができる。
グリセロリン脂質として、酵素分解したグリセロリン脂質を使用することもできる。
例えば、レシチンを酵素分解したリゾレシチン(酵素分解レシチン)は、グリセロリン脂質の1位又は2位に結合した脂肪酸(アシル基)のいずれか一方が失われたものである。脂肪酸基を1本にすることにより、レシチンの親水性を改善し、水に対する乳化性、分散性を向上させることができる。
リゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA、又はAを用いたレシチンの加水分解により得ることもできる。
このようなリゾレシチンに代表されるリゾ化合物を化合物名で示すと、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また、レシチンに代表されるグリセロリン脂質は、水素添加物、ヒドロキシル化されたリン脂質も、本実施形態におけるリン脂質として用いることができる。
リン脂質の水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、リン脂質のヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸との共存下で加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
これらの水素添加レシチン、ヒドロキシル化されたレシチンは、化粧料用途への応用として好ましい。
なかでも、乳化安定性の点で、グリセロリン脂質であるレシチン、リゾレシチン等が好ましく、レシチンがより好ましい。
レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来、食品、医薬品、化粧料分野で、広く乳化剤として使用されている。
レシチンの純度60質量%以上のものが産業的にはレシチンとして利用されている。しかし、本実施形態においては、一般に「高純度レシチン」と称されるレシチン純度80質量%以上のものを用いることが好ましく、90質量%以上のものを用いることがより好ましい。
レシチン純度(質量%)は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。
高純度レシチンは、リゾレシチンに比べて親油性が高く、そのためレシチンと油性成分との相溶性が高くなり、乳化安定性を向上させていると考えられる。
本実施形態の乳化組成物は、リン脂質を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本実施形態の乳化組成物がリン脂質を含む場合の、リン脂質の含有量は、組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2量%〜5質量%、更に好ましくは0.5量%〜2質量%である。
リン脂質の含有量を0.1質量%以上とすることにより、リン脂質を含む場合の乳化安定性向上効果が得られ、含有量を10質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成する懸念がなく、乳化組成物の乳化安定性の点から好ましい。
(界面活性剤)
本実施形態の乳化組成物は、既述の成分(a)及び成分(b)以外の界面活性剤(以下、他の界面活性剤と称することがある)を含むことができる。
本実施形態における他の界面活性剤としては、水性媒体に溶解する界面活性剤乳化剤(親水性の界面活性剤)が乳化組成物中の油相と水相との界面張力を大きく下げることができ、その結果、油相粒子の粒径をより小さくできる点で好ましい。
本実施形態における他の界面活性剤としては、乳化安定性の観点から、HLB8以上のものが好ましく、10以上のものがより好ましく、12以上のものが特に好ましい。またHLB値の上限値は、特に限定されないが、一般的には、20以下であり、18以下が好ましい。
本明細書においては、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスとして以下に示す川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることが出来る。
本実施形態における界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の各界面活性剤を挙げることができ、特に制限は無い。
なかでも、非イオン性界面活性剤が好ましい。
本実施形態の乳化組成物が他の界面活性剤を含有する場合の他の界面活性剤の含有量は、乳化組成物全量に対して、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、2質量%〜15質量%が更に好ましい。
乳化組成物に対する界面活性剤の含有量を0.5質量%以上とすることにより、油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなく乳化組成物の泡立ち等の発生を抑制しうる点で好ましい。
(多価アルコール)
本実施形態の乳化組成物は、油相粒子の粒径の制御、安定性、及び防腐性の観点から多価アルコールを含有することが好ましい。
多価アルコールは、保湿機能、や粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な油相粒子を形成し易くする機能を有する。
以上より、乳化組成物が多価アルコールを含有することは、油相粒子の平均粒径をより微細化でき、かつ粒径が微細な油相粒子を長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。
また、多価アルコールの添加により、乳化組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができる。
多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず用いることができる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、果糖、ブドウ糖、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビトール、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種用いることができる。
また、多価アルコールとしては、その1分子中における水酸基の数が、3個以上であるものを用いることが好ましい。これにより、水系溶媒と油脂成分との界面張力をより効果的に低下させることができ、より微細で、かつ、安定な微粒子を形成させることができる。その結果、例えば、乳化組成物を食品用途に適用する場合は腸管吸収性を、化粧料用途に適用する場合は経皮吸収性をより高いものとすることができる。
上述したような条件を満足する多価アルコールの中でも、特に、グリセリンを用いた場合、乳化組成物における油相粒子の粒径がより小さくなり、かつ油相粒子の粒径が小さいままで長期間に亘り安定して保持されるため、好ましい。
多価アルコールの含有量は、前述の粒径、安定性、防腐性に加えて、乳化組成物の粘度の観点から、乳化組成物に対して10質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜55質量%、さらに好ましくは30質量%〜50質量%である。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、油脂成分の種類や含有量等によっても、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が60質量%以下であると、最大限の効果が得られ、乳化組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
本実施形態の乳化組成物は、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、その他の添加物を添加することができる。
本実施形態の乳化組成物の油相粒子の粒径は、特に限定されないが、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、最も好ましくは90nm以下である。
乳化組成物における油相粒子の粒径を200nm以下とすることにより、乳化組成物を食品、化粧料等に適用した場合の透明性が悪化し難く、食品に適用した場合には体内へ吸収性がより良好となることが期待され、化粧料などの皮膚外用剤に適用した場合には、経皮吸収性がより良好となることが期待されるため好ましい。
乳化組成物における油相粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
粒径範囲及び測定の容易さから、本明細書における油相粒子の粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本実施形態における油相粒子の粒径(平均粒径)は、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、乳化組成物を純水にて1質量%に希釈して、ガラスセルを用いて測定し、メジアン径(d=50)値を粒径とする。
前述した乳化組成物の成分以外に、後述する乳化組成物の製造方法における撹拌条件(撹拌時に付与するせん断力、温度、圧力等)、油相と水相との含有比率等を調整することによっても、乳化組成物における油相粒子の粒径を制御することができる。
<乳化組成物の製造方法>
本実施形態の乳化組成物の製造方法は、特に限定されない。製造方法としては、例えば、(1)水性媒体(水等)と、成分(a)と、成分(b)と、さらに、所望により含有させる多価アルコールなどの水溶性成分と、を混合して水相を得ること、(2)成分(c)と、所望により含有される油性成分(例えば、油脂類、カロテノイド等)と、を混合して、油相を得ること、及び(3)撹拌下で得られた水相と油相とを混合して、乳化分散を行い、乳化組成物を得ること、の各ステップを含む製造方法が挙げられる。
製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本実施形態の乳化組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されない。油相と水相との比率(質量)は、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないため乳化組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、乳化組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
乳化分散は、1ステップの乳化操作により行ってもよく、2ステップ以上の乳化操作を行ってもよい。なかでも、2ステップ以上の乳化操作を行うことが、均一で微細な油相粒子を得る点から好ましい。
乳化操作としては、具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラー、インペラーを備えた撹拌装置、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、既述の1ステップ乳化に使用される乳化装置による処理を行なった後、さらに、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用する方法が好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化組成物における油相粒子を、さらに均一で微細な粒径の粒子とすることができる。また、油相粒子の粒径をさらに均一にする目的で、乳化処理をさらに複数回行ってもよい。
本実施形態の乳化組成物は、食品、化粧料に代表される皮膚外用剤などに広く使用することができる。食品としては、例えば、飲料、冷菓などが挙げられ、化粧料としては、スキンケア化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料などを挙げることができるが、これらに制限されない。
また、乳化組成物を適用した食品、化粧料等には、既述の本実施形態の乳化組成物に加え、さらに必要に応じて、食品又は化粧料に添加可能な成分を適宜添加することができる。
食品、化粧料などに対して用いられる本実施形態の乳化組成物の含有量は、製品の種類や目的などによって適宜選択することができる。一例を挙げれば、製品に対して、0.01質量%〜10質量%とすることができ、好ましくは、0.05質量%〜5質量%の範囲で用いることができる。
製品に対する本実施形態の乳化組成物の含有量が少なすぎる場合は目的の効果を出すことが出来ないことがあり、多すぎる場合は、過剰に添加された乳化組成物は効果の発揮に寄与することができないことがある。
本実施形態の乳化組成物を、例えば、食品、化粧料等に適用する場合には、必要に応じて添加可能な成分を常法により混合等して得ることができる。
本実施形態の乳化組成物を、特に飲料(食品の場合)、化粧水、美容液、乳液、マスク、パック、洗髪用化粧料、フレグランス化粧料、液体ボディ洗浄料、紫外線ケア化粧料、防臭化粧料、オーラルケア化粧料等(化粧料の場合)などの水性製品に使用した場合には、透明感のある製品が得られ、且つ、長期保存、滅菌処理などの苛酷条件下での処理においても、不溶物の析出、油相粒子の凝集、沈殿又はネックリングなどの不都合な現象の発生を抑制することができる。また、アスタキサンチンに代表される有効成分の安定性向上を目的として冷蔵保存、例えば、10℃以下の低温条件下で保存した場合においても、油性成分の析出等に起因する油相粒子の凝集、濁りの発生などが抑制され、長期間に亘り低温保存した場合の保存安定性に優れる。
〔低温での保存安定性〕
本実施形態の乳化組成物は、低温における保存安定性が良好である。
乳化組成物を低温で保存すると、油性成分の析出、油相粒子界面における脂肪酸の結晶化などさまざまな因子により、油相粒子が凝集し、透明性が低下することがある。
通常、油相粒子の平均粒径が200nm以下であると、乳化組成物は外観上、目視で透明性を維持できる。油相粒子の凝集が生じると、見かけ上の粒径が大きくなり乳化組成物が濁って見えることがある。
本明細書では、透明性の指標として濁度を使用する。
本明細書における濁度は、乳化組成物を水で100倍に希釈した希釈液を、波長650nmの光を用いて、25℃にて測定した吸光度により規定される。
本実施形態の乳化組成物の濁度(吸光度)は、1.5以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.17以下であることがさらに好ましい。
透明性の指標となる吸光度(濁度)は、分光光度計(V−630、(株)日本分光製)にて、光路長1cmのセルを用いて測定することができる。
一方、長期間に亘る低温安定性試験に変えて、後述する実施例で示すように、乳化組成物の示差走査熱量測定(DSC)の測定結果を、低温安定性の指標とすることができる。これは、乳化組成物をDSC測定し、10℃以下の低温条件下で、相転移による結晶成分の析出、油相成分の固体化が認められた場合には、低温条件下における長期間保存後の濁度発生が生じる指標となるためである。
なお、後述する実施例1の評価結果より、本実施形態の乳化組成物は、DSC測定の結果、結晶化に起因する吸熱ピークがないか、又はわずかであると、低温経時保存による濁度の上昇がないことが確認されており、これらの評価結果のいずれにおいても、低温における保存安定性に優れることがわかる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、下記実施例は本発明の実施形態の例を示しており、本発明は以下の実施例に何ら制限されない。
なお、特に断らない限り、「%」は「質量%」を示す。
〔実施例1〕
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル
(モノエステル体含有量:100%)〔成分(a)〕 3.3%
・オレイン酸ポリグリセリル−10〔成分(b)〕 6.7%
・グリセリン 45%
・純水 30%
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン含有率:20%) 3.76%
・ミックストコフェロール 0.96%
・ココナッツ油 5.69%
・レシチン(大豆由来) 1%
・パルミチン酸レチノール含有油〔成分(c)〕
(パルミチン酸レチノール含有量55%) 3.6%
上記水相組成物を70℃に保ったままホモジナイザー(機種名HP93、(株)エスエムテー社製)で撹拌し(10,000回/分:rpm)、上記で得た水相組成物へ、油相組成物を添加して撹拌を1分間継続して予備乳化を行った。
続いて、得られた予備乳化物を、アルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン社製)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、実施例1の乳化組成物(M−1)を調製した。
〔比較例1〕
実施例1で用いたショ糖ステアリン酸エステル(モノエステル体含有量:100%、DKエステル(登録商標)SS、第一工業製薬(株)製)に代えて、ショ糖ステアリン酸エステル(モノエステル体含有量:75%、リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1670、三菱化学フーズ(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の乳化組成物を得た。
<乳化組成物の評価>
(DSC測定)
得られた乳化組成物10mgをアルミパンに密閉し、窒素雰囲気下、示差走査熱量計(DSC)、Q2000(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株))を用いて測定した。
吸熱ピーク面積は、−20℃〜60℃の温度範囲で(1)昇温−(2)降温−(3)昇温(1℃/min)サイクルの(3)昇温時のプロファイルにおいて、0〜40℃におけるピーク面積を、ユニバーサルアナリシス2000(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株))のピーク積分により算出した。
(粒径測定)
得られた乳化組成物を超純水であるミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて測定し、メジアン径(d=50)値を粒径とした。なお、ミリQ水とは、メルク(株)の超純水製造装置であるミリQ水製造装置による得られる超純水である。
(濁度測定)
得られた乳化組成物をミリQ水にて1質量%に希釈し、V−630(日本分光(株))により、光路長1cmのセルを用いて測定し、650nmの吸光度を濁度とした。
(安定性)
得られた乳化組成物3gを、それぞれガラスバイアル5mLに充填し、4℃、10℃、25℃、50℃の恒温槽に入れて2週間〜9ヶ月間保管した。経時2週間後(表中には「2W」と記載)又は9ヶ月後(表中には「9M」と記載)の乳化組成物について、濁度を上記と同様の手法により測定した。
結果を下記表1〜表2に示す。
なお、以下の表中に示される各成分の含有量の数値は、いずれも「%」である。
また、表中では、成分(a)における「モノテステル体の含有量」は、「モノ体(含有量の数値)%」と略記している。
乳化組成物の調製に用いた各成分の詳細については後述する。
比較例1の乳化組成物は、4℃経時及び10℃経時において濁度の上昇が見られ、10℃経時にて特異的に濁度の上昇が見られたが、実施例1の乳化組成物では4℃及び10℃のいずれの経時においても濁度は変化せず、10℃の低温保存時における特異的な濁度上昇が抑制されていることがわかる。
乳化物作製直後と50℃、2週間保存後の粒径、濁度は、表1によれば、実施例、比較例いずれも粒径70nm、濁度0.1以下で、化粧料、飲料等に適用した場合に濁度が問題とならないレベルであり、高温での安定性に問題はなかった
実施例1及び比較例1の乳化組成物のDSCの昇温過程において、実施例1では吸熱ピークがほとんどないのに対し、比較例1では10℃〜30℃において吸熱ピークがみられ、0℃〜40℃におけるDSCの吸熱ピーク面積を比較すると、実施例1では0.3J/gであり、比較例1では0.7J/gであった。この結果より、10℃の低温条件下での保存時における経時による濁度変化は、0℃〜40℃におけるDSCの吸熱ピーク面積の程度により、予測できることがわかった。
従って、以降の実施例、比較例ではDSCの吸熱ピーク面積値により、低温安定性を評価する。
<DSCの吸熱ピーク面積による安定性評価>
0℃〜40℃におけるDSC吸熱ピーク面積相対値(0℃〜40℃における実施例1のDSC吸熱ピーク面積値を1として算出した相対値)を求め、以下の基準により評価した。なお、( )内には、参考までに、算出された各相対値における実際の濁度上昇の程度を示す。
〔評価基準〕
A:DSC吸熱ピーク面積の相対値が1.0未満(10℃9M経時で濁度上昇しない)
B:DSC吸熱ピーク面積の相対値が1.0以上2.0未満(10℃9M経時で濁度上昇するが、実用上問題がないレベル)
C:DSC吸熱ピーク面積の相対値が2.0以上4.0未満(10℃9M時点で濁度上昇し、実用上問題となるレベル)
D:DSC吸熱ピーク面積の相対値4.0以上(10℃9M以前に濁度が上昇し、実用上問題のあるレベルとなる)
なお、表3〜表4中の記載及び評価に当たり、相対値の算出値の小数点下2桁を四捨五入した。
各実施例、比較例の乳化組成物に用いた成分の詳細は以下の通りである。
〔成分(a)〕
・ショ糖ステアリン酸エステル(モノエステル体含有量:97%、DKエステル(登録商標)SS、第一工業製薬(株)製)
・ショ糖ステアリン酸エステル(モノエステル体含有量:75%、リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1670、三菱化学フーズ(株)製)
・ショ糖ステアリン酸エステル(モノエステル体含有量:55%、リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1170第一工業製薬(株)製)
・実施例3では、モノエステル体の含有量が表3に記載の数値となる量比で、DKエステルSS(登録商標)と、リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1670と、を混合して用いた。
〔成分(b)〕
・オレイン酸ポリグリセリル−10(I)(ポエムJ−0381V、理研ビタミン(株)製)
・オレイン酸ポリグリセリル−10(II)(NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−O、日光ケミカルズ(株)製)
・イソステアリン酸ポリグリセリル−10(NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−ISV、日光ケミカルズ(株)製)
・リノール酸ポリグリセリル−10(NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−LN、日光ケミカルズ(株)製)
・ステアリン酸ポリグリセリル−10(NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−SV、日光ケミカルズ(株)製)
・ミリスチン酸ポリグリセリル−10(NIKKOL(登録商標) Decaglyn 1−M、日光ケミカルズ(株)製)
〔成分(c)〕
・パルミチン酸レチノール含有油(理研Aパルミテート1000(E)(理研ビタミン(株)製)
・ニコチン酸トコフェロール(ニコチン酸トコフェロール、エーザイフード・ケミカル(株)製)
〔その他成分〕
・グリセリン(食品添加物グリセリン、花王(株)製)
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン含有率20質量%、ASTOTS−S、富士フイルム(株)製)
・ミックストコフェロール(理研Eオイル800、理研ビタミン(株)製)
・ココナッツ油(O.D.O.日清オイリオグループ(株)製)
・レシチン(SLPホワイト、辻製油(株)製)
〔実施例2〜実施例5、比較例2〜比較例6〕
組成を表3に従った以外は全て実施例1と同様にして、乳化組成物を得た。
表3中、実施例3、4では、成分(a)として、DKエステルSS とリョートーシュガーエステルS−1670とを混合し、モノエステル体の含有比率を調整して使用した。
得られた乳化組成物を実施例1と同様にして評価した。なお、低温経時の濁度については、DSCの測定による吸熱ピーク面積の相対値によって、既述の評価基準により評価した。
結果を下記表3に示す。なお、対照として、実施例1の評価結果を併記した。
表3の結果より、実施例の乳化組成物はいずれも、油相粒子の平均粒径が小さく、濁度が低く、透明性に優れることがわかる。また、DSCの吸熱ピークはないか、又はわずかであり、低温保存下でも、濁度の低下が生じないことが裏付けられた。
なお、各実施例の乳化組成物に対しては、さらに、加速条件である50℃1週間の経時評価により、経時安定性を評価したところ、乳化組成物の粒径は、いずれも化粧料、飲料等に適用した場合に濁度が問題とならないレベルであり、高温でも安定であることが確認された。
〔実施例6〜実施例9,比較例7〜比較例9〕
組成を表4に従った以外は全て実施例1と同様にして、乳化組成物を得た。
得られた乳化組成物を実施例1と同様にして評価した。なお、低温経時後の濁度については、DSCの測定による吸熱ピーク面積の程度〔相対値)により評価した。結果を下記表4に示す。なお、対照として、実施例1の評価結果を併記した。
表4の結果より、実施例の乳化組成物はいずれも、油相粒子の平均粒径が小さく、濁度が低く、透明性に優れることがわかる。また、DSCの吸熱ピークはないか、又はわずかであり、低温保存下でも、濁度の低下が生じないことが裏付けられた。
なお、各実施例の乳化組成物においては、さらに、加速条件である50℃1週間の経時評価により、経時安定性を評価したところ、乳化組成物の粒径は、いずれも化粧料、飲料等に適用した場合に濁度が問題とならないレベルであり、高温でも安定であることが確認された。
上記の結果より、実施例の乳化組成物は、アスタキサンチンを含有しつつ、透明性が良好であり、乳化組成物を飲料などの食品、化粧料などの皮膚外用剤に適用した場合の外観が良好となる。
また、低温安定性に優れ、低温保存後も、油相粒子内部又は油相粒子の界面に発生する結晶に起因する濁りの発生が抑制されるため、有効成分として低温保存が好ましいアスタキサンチンなどのカロテノイドを含有する乳化組成物として好適であることがわかる。

Claims (7)

  1. モノエステル体を80質量%〜100質量%含むショ糖ステアリン酸エステルと、
    分岐脂肪酸構造及び不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを有するポリグリセリン脂肪酸エステルと、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEからなる群より選ばれるビタミンの油溶性エステル誘導体と、水と、を含む水中油型乳化組成物であって、
    ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度が6〜20であり、かつ、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸構造は、炭素数8〜22の分岐脂肪酸構造及び炭素数8〜22の不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを含む水中油型乳化組成物
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸構造は、炭素数16〜22の分岐脂肪酸構造及び炭素数16〜22の不飽和脂肪酸構造の少なくとも1つを含む請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. ショ糖ステアリン酸エステルにおけるモノエステル体の含有量が90質量%〜100質量%である請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. さらに、カロテノイドを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. カロテノイドがアスタキサンチンを含む請求項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、イソステアリン酸ポリグリセリル及びオレイン酸ポリグリセリルからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  7. ビタミンの油溶性エステル誘導体が、ニコチン酸トコフェロール及びパルミチン酸レチノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
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