JP2013199474A - 皮膚外用剤及び正常皮膚細胞賦活化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピン及びアスタキサンチンの合計含有量を、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である皮膚外用剤及び正常皮膚細胞賦活化剤。
【選択図】なし
Description
一方、細胞賦活化といった生理活性効果を有する成分を皮膚外用剤等の製剤に配合した場合、製剤の経時安定性も要求される。しかしながら、優れた細胞賦活化効果と良好な経時安定性を同時に実現する皮膚外用剤は、未だ提供されていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、細胞賦活化効果を有し、且つ、経時安定性に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
[1] リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピンとアスタキサンチンとの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である皮膚外用剤。
[2] リコピンが、リコピンを含む分散物として含有される[1]に記載の皮膚外用剤。
[3] リコピンと、単糖又は多糖の脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種と、レシチンとを含む分散物を含有する[2]に記載の皮膚外用剤。
[4] アスタキサンチンが、アスタキサンチンを含む分散物として含有される[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[5] アスタキサンチンと、単糖又は多糖の脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種と、レシチンとを含む分散物を含有する[4]に記載の皮膚外用剤。
[6] リコピンとアスタキサンチンとの質量比が、0.01:1〜25:1である[1]〜[5]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[7] 更に、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群より選択される少なくとも1種を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[8] リコピン及びアスタキサンチンと、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群より選択される少なくとも1種との質量比が、1:50〜1:0.5である[7]に記載の皮膚外用剤。
[9] 皮膚外用剤が水性化粧料である[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[10] リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピンとアスタキサンチンとの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である正常皮膚細胞賦活化剤。
[11]リコピンとアスタキサンチンとの質量比が、0.01:1〜25:1である[10]に記載の正常皮膚細胞賦活化剤。
[12] [10]又は[11]に記載の正常皮膚細胞賦活化剤を含む皮膚外用剤。
[13] [10]又は[11]に記載の正常皮膚細胞賦活化剤を含む化粧料。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の効果が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明の皮膚外用剤は、リコピン及びアスタキサンチンを含有し、それらの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である。
リコピン及びアスタキサンチンの合計含有量としては、0.0005質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
リコピン及びアスタキサンチンの合計含有量の上限値は0.2質量%以下であり、0.2質量%を超えると、経時安定性が損なわれる。例えば、透明性が要求される製剤であれば濁度が上がり商品価値が損なわれる。
本発明におけるリコピン(lycopene)は、化学式C40H56で表されるカロチノイドであり、カロチノイドの一種カロチン類に属し、474nm(アセトン)に吸収極大を示す赤色色素である。
また、本発明で用いられるリコピンは、抽出物、抽出物を必要に応じて適宜精製したもの、又は、合成品であってもよい。
ここで、トマトパルプから抽出される脂溶性抽出物とは、トマトを粉砕して得られる粉砕物を、更に遠心分離することで得られるパルプ状の固形物から、油性溶剤を用いて抽出される抽出物のことを意味する。
脂溶性抽出物であるリコピンとしては、リコピン含有オイル又はペーストとして広く市販されているトマト抽出物を用いることができ、例えば、サンブライト(株)より販売されているLyc−O−Mato 15%、Lyc−O−Mato 6%、協和発酵工業(株)より販売されているリコピン18等が挙げられる。
本発明におけるアスタキサンチンは、アスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体の少なくとも一方を包含する。本発明では特に断らない限り、これらを総称して「アスタキサンチン」とする。
天然物であるアスタキサンチンとしては、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等が挙げられる。また、その培養物からの抽出物等からの抽出物を挙げることができる。
アスタキサンチンは、アスタキサンチンを含有する天然物から分離又は抽出物として得られるアスタキサンチン含有オイルとして、本発明の皮膚外用剤に含まれていてもよい。アスタキサンチンは、更に、この天然物からの分離又は抽出したものを必要に応じて適宜精製したものでもよく、また、合成品であってもよい。
アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻から抽出されるもの(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)、及び、オキアミ由来の色素が、品質又は生産性の点から特に好ましい。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5 O、同−5 O、同−10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等として入手できる。
なお、本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様に、色素純分としてアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含んでもよく、その場合、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90%モル以上含むものを好ましく用いることができる。
本発明の皮膚外用剤において、リコピンを、リコピンを含む分散物の形態で含有する場合は、リコピンを含む分散物は、界面活性剤を1種又は2種以上含有する分散物であることが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、皮膚外用剤の剤型を乳液などの乳化組成物として構成する場合には、乳化剤として界面活性剤を含有してもよい。
また、本発明の皮膚外用剤において、アスタキサンチンを、アスタキサンチンを含む分散物の形態で含有する場合は、アスタキサンチンを含む分散物は、界面活性剤を1種又は2種以上含有する分散物であることが好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤において、皮膚外用剤の剤型を乳液などの乳化組成物として構成する場合には、乳化剤として界面活性剤を含有してもよい。
また、本発明における界面活性剤としては、乳化力の観点から、HLBが10以上であることが好ましく、12以上が更に好ましい。HLBが低すぎると、乳化力が不十分になることがある。なお、抑泡効果の観点からHLB=5以上10未満の界面活性剤を併用してもよい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。川上式を次に示す。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができる。
リコピンを含む分散物、アスタキサンチンを含む分散物中に含まれる界面活性剤としては、分散物の安定性の観点から、単糖又は多糖の脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
単糖又は多糖の脂肪酸エステルとしては、単糖又は多糖と炭素数6〜22の直鎖又は分岐を有する脂肪酸とのエステル体がより好ましい。安定性の高い皮膚外用剤作製の観点から、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステルがさらに好ましく、ショ糖ステアリン酸エステルが最も好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、安定性の高い皮膚外用剤作製の観点から、ラウリン酸ポリグリセリル−6、ミリスチン酸ポリグリセリル−6、ステアリン酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−6、ラウリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10、モノオレイン酸デカグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル−10がさらに好ましい。また、モノオレイン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル-10が最も好ましい。
更に、本発明の皮膚外用剤において、リコピンを、リコピンを含む分散物の形態で含有する場合は、リコピンを含む分散物は、レシチンなどのリン脂質を含有する分散物であることが好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤において、アスタキサンチンを、アスタキサンチンを含む分散物の形態で含有する場合は、アスタキサンチンを含む分散物は、レシチンなどのリン脂質を含有する分散物であることが好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤において、皮膚外用剤の剤型を乳液などの乳化組成物として構成する場合には、乳化剤としてリン脂質を含有してもよい。
本発明に用いうるリン脂質は、グリセリン骨格と脂肪酸残基及びリン酸残基を含み、これに、塩基や多価アルコール等が結合したもので、レシチンとも称されるものである。リン脂質は、分子内に親水基と疎水基を有しているため、従来から、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
このようなリン脂質の具体例としては、例えば、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物や、卵黄、牛等の動物及び大腸菌等の微生物等から由来する各種レシチンを挙げることができ、中でも卵黄由来のレシチン又は大豆由来のレシチンが好ましく、大豆由来のレシチンがより好ましい。
このようなレシチンを化合物名で例示すると、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスアチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることができる。
また、本発明においては、上記の高純度レシチン以外にも、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することができる。本発明で用いることができるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明の皮膚外用剤には、その形態、目的などに応じて、リコピン及びアスタキサンチン以外の他の成分を適宜選択して含有することができる。他の成分の好適な例としては、例えば、機能性油性成分、乳化剤、その他の添加成分などが挙げられる。
機能性油性成分としては、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する油溶性成分であれば、特に限定はなく、目的に応じた物性や機能性を有するものを適宜選択して使用することができる。他の油性成分としては、通常、紫外線吸収剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、美白剤、抗シミ剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、脂溶性ビタミン類、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などとして使用されているものが挙げられる。
ここで、機能性油性成分とは、生物体内に存在した場合に生体において所望の生理学的作用の発揮が期待される油性成分を意味する。
ルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油;グリセリンの脂肪酸エステル類;ビタミンE(トコフェロール)類、ビタミンA類、ビタミンD類等の脂溶性ビタミン;その他、
高分子類、リコピン及びキサントフィル以外の他のカロチノイド類などの油溶性色素類、油溶性蛋白質などを挙げることができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。本発明の皮膚外用剤は、機能性油性成分としてリコピン及びアスタキサンチンを含む皮膚外用剤の経時安定性を顕著に向上させる点で、ビタミンE(トコフェロール)類を配合することが好ましい。
上記成分の他、食品、化粧品等の分野において通常用いられる添加成分を、本発明の皮膚外用剤に、その形態に応じて適宜含有させてもよい。
他の添加成分は、その特性によって、油溶性又は水溶性の添加成分として、本発明の皮膚外用剤に含有させることができる。
エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース・メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、アスコルビン酸又はその誘導体(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、及びアスコルビル−2−グルコシド等)、トコトリエノール及びその誘導体、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類、プテロスチルベン等を含むヒドロキシスチルベン、などを挙げることができ、その機能に基づいて、例えば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤などとして含んでもよい。
その他、本発明においては、例えば、種々の薬効成分、pH調整剤、pH緩衝剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本発明の皮膚外用剤は、化粧料用途、経皮医薬品用途などの用途に適用することができる。
本発明の皮膚外用剤が適用される化粧料としては、スキン化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料などを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明において「透明性」の指標となる吸光度は、公知の計測手段により測定できる。例えば、市販されている分光光度計により吸光度を測定できる。本発明では、分光光度計(V−630iRM)日本分光(株)製を用いて測定する。
なお、本明細書における吸光度は、室温下にて測定した値である。
本発明の皮膚外用剤の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従い製造することができる。
例えば、リコピン及びアスタキサンチンの少なくとも一方を分散物として含有する皮膚外用剤を製造する場合は、a)水性媒体(水等)に、ノニオン性乳化剤を溶解させて、水相を得て、また、b)リコピン若しくはアスタキサンチン、又はリコピン及びアスタキサンチンを含む油性成分を混合又は溶解して、油相組成物を得て、c)攪拌下でこの水相組成物と油相組成物とを混合して、乳化分散を行い、分散物を得た後、他の成分を配合することで皮膚外用剤を得る、といった工程からなる製造方法が好ましい。
特に、融点以上の温度で加熱処理することで、油相に含まれるリコピン、アスタキサンチン等の油性成分を十分に溶解させた上で水相と混合し、乳化処理を行うことが好ましい。
リコピン及びアスタキサンチンの両方が分散物として皮膚外用剤に含有される場合、リコピンを含む分散物及びアスタキサンチンを含む分散物が別個に調製されてもよいし、リコピン及びアスタキサンの両方を含む分散物が調製されてもよい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないためリコピン、若しくはアスタキサンチンを含有する分散物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、リコピン、若しくはアスタキサンチンを含有する分散物の安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化分散するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化分散する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、分散物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
高圧ホモジナイザーには大きく分けて、固定した絞り部を有するチャンバー型高圧ホモジナイザーと、絞りの開度を制御するタイプの均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。
チャンバー型高圧ホモジナイザーの例としては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15〜20kHzの周波数で使用される。
また、本発明において高圧ホモジナイザーを用いる場合には、その圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50〜280MPa、更に好ましくは100〜280MPaで処理することが好ましい。
また、乳化分散された組成物である乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、分散粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
本発明の正常皮膚細胞賦活化剤は、リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピン及びアスタキサンチンの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である。
本発明の正常皮膚細胞賦活化剤は、皮膚外用剤、化粧料、及び経皮医薬品の材料として用いることができる。
本発明の正常皮膚細胞賦活化剤は、既述の皮膚外用剤と同様にして製造することができる。
実施例1−1〜1−4、比較例A−1〜A−2、B−1〜B−2では、本発明における所定の合計含有量にてリコピン及びアスタキサンチンを含有することが、これらを単独で用いる場合に比して、優れた細胞賦活化効果が得られることをについて確認した。
HaCaT細胞株(ヒト表皮角化細胞株、DKFZ,Germanyより購入、以下同じ)を、10v/v%FBS添加DMEM培地を用い、96穴プレートに播種し、37℃、
5%CO2下で80%コンフルエントになるまで培養した。
各実施例及び比較例に用いる細胞株は、DMSOに溶解したリコピン(和光純薬工業(株)製)10mM溶液、及び/又は、アスタキサンチン(和光純薬工業(株)製)溶液を、最終濃度が下記表1又は表2に示される添加量となるように添加したDMEM培地に置換し、37℃にて5%CO2下で24時間培養した。なお、DMSOのみを0.1質量%添加した培地で培養した細胞株を、コントロールとした。
培養した細胞を、PBSで2回洗浄後、MTT試薬(DOJINDO)0.5mgを1mlPBSに溶解した溶液に置換し、37℃、5%CO2下で2時間インキュベートした。
その後、DMSO:PBS=4:1(v/v)の溶液を、各wellに100μlずつ添
加し、ソニケーションを軽く行い、570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(製品名:サンライズレインボーサーモRC、テカンジャパン(株)製)にて測定し、各評価用サンプルにおける細胞増殖率(%)の変化について、コントロールを100%として比
較した。
リコピン及びアスタキサンチンを単独で添加した比較例A−1及び比較例A−2の細胞賦活化効果と同等であった。この結果より、実施例1−4のようにリコピンとアスタキサンチンとを併用することで、リコピン又はアスタキサンチンを単独で添加する場合に比べて、合計含有量が1/10量であっても、非常に高い細胞賦活効果が得られることが判明した。このことから、リコピン及びアスタキサンチンを併用することによる細胞賦活効果は相乗的であると言える。
<アスタキサンチン分散物A、リコピン分散物Bの調製>
実施例及び比較例の各皮膚外用剤に用いたアスタキサンチン分散物、リコピン分散物を、以下の通り調製した。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物Aを得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 15.0g
・ミックストコフェロール(理研Eオイル800、理研ビタミン(株)製)32.0g
・中鎖脂肪酸グリセライド(花王(株)製、ココナードMCT) 93.0g
・レシチン(SLPペースト、辻製油(株)製、大豆由来) 10.0g
〔油相組成物B〕
・トマトオレオレジン 0.67g
(サンブライト(株)製、Lyc−O−Mato 15%、リコピン15質量%含有)
・レシチン(理研ビタミン(株)製、レシオンP、大豆由来) 1.0g
・中鎖脂肪酸グリセライド(花王(株)製、ココナードMT) 10.7g
・オレイン酸デカグリセリル−10 8.0g
(日光ケミカルズ(株)製、Decaglyn 1−O)
・ショ糖ステアリン酸エステル 2.0g
(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS−1670)
・グリセリン 45.0g
・精製水 30.0g
また、油相組成物Bに用いる各成分を、上記の組成にしたがって容器に秤量し、150℃のホットプレート上にて攪拌しながら5分間加熱混合し、よく混合されたことを確認し、油相組成物Bを得た。
得られた水相組成物Bを油相組成物Bに加えて攪拌混合し、超音波ホモジナイザーにて、分散させた。その後、得られた粗分散物を更に超高圧乳化装置(アルティマイザー、(株)スギノマシン社製)を用い、200MPaの高圧乳化を行い、リコピン分散物B(リコピン含有率:0.1質量%)を調製した。
実施例及び比較例の各皮膚外用剤の調製に用いた、トマト抽出液、オキアミ抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物の詳細は、以下の通りである。
・トマト抽出物(リコピン含有率:0.1質量%、製品名:Lyc-O-Mato 6%〔サンブライト(株)製〕をグリセリンにて希釈した。)
・オキアミ抽出物(アスタキサンチン含有率:0.6質量%)。
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン含有率:0.3質量%、製品名:ASTOTS-S〔武田紙器(株)製〕をグリセリンにて希釈した。)
下記表3に示す組成を有する皮膚外用剤(化粧水又は美容液)を、適宜調製した。なお、実施例2−1〜2−8、比較例2−1は、いずれも透明性を有する皮膚外用剤である。また、処方中に用いたリン酸アスコルビルマグネシウムは、BASFジャパン(株)社製シーメイト、日光ケミカルズ(株)社製NIKKOL VC−PMG等を用いることができる。
評価(1):吸光度変化率の測定
調製直後、及び、40℃で2週間経時させた後の実施例及び比較例の各皮膚外用剤について、波長625nmの光に対する吸光度を、分光光度計(V−630iRM)日本分光(株)製により測定した。得られた測定結果を用いて、吸光度の変化率(%)を下記式により算出した。結果を表3に示す。
変化率(%)=40℃で2週間経時させた後の吸光度/調製直後の吸光度×100
変化率(%)が小さい程、経時安定性に優れることを示す。
調製直後、及び、40℃で2週間経時させた後の実施例及び比較例の各皮膚外用剤について、波長625nmの光に対する吸光度を、分光光度計(V−630iRM)日本分光(株)製により測定した。得られた測定結果を用いて、吸光度の変化率(%)を下記式により算出した。得られた結果を用いて、下記評価基準に基づき製剤安定性を評価した。結果を表3に示す。
変化率(%)=40℃で2週間経時させた後の吸光度/調製直後の吸光度×100
変化率(%)が小さい程、経時安定性に優れることを示す。
−評価基準−
S:175%以下
A:175%を超え300%以下
B:300%より大きい
40℃で2週間経時させた後の実施例及び比較例の各皮膚外用剤について、波長625nmの光に対する吸光度を、分光光度計(V−630iRM)日本分光(株)製により測定した。得られた測定結果を用いて、下記評価基準に基づき経時後の透明性を評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
A:吸光度が0.1以下
B:吸光度が0.1より大きい
また、実施例2−3〜2−8、比較例2−1の各皮膚外用剤に含有されるトコフェロール類は、アスタキンチン分散物Aの調製に用いたミックストコフェロールに由来する。
下記組成を有する乳液を調製した(全量100質量%)。
(成分) (質量%)
・トマト抽出物(リコピン0.1質量%含有) 0.1
・リコピン分散物(リコピン0.1質量%含有) 0.1
・ルテイン 0.01
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン0.3質量%含有)0.5
・アスタキサンチン分散物(アスタキサンチン0.3質量%含有)0.5
・スクワラン 8.0
・ホホバ油 7.0
・パラアミノ安息香酸グリセリル 1.0
・セチルアルコール 1.5
・グリセリンモノステアレート 2.0
・ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
・ポリオキシエチレンソオルビタンモノオレート 2.0
・1,3−ブチレングリコール 1.0
・グリセリン 2.0
・メチルパラベン 0.04
・ステアリン酸スクロース 0.1
・オレイン酸ポリグリセリル−10 0.1
・酢酸トコフェロール 0.01
・フェノキシエタノール 0.2
・コラーゲン 1.0
・クエン酸ナトリウム 1.0
・香料 適量
・精製水 残量
上記組成を有する乳液の全質量に対して、リコピン含有量は0.0002質量%、アスタキサンチン含有量は0.003質量%、トコフェロール類含有量は0.026質量%である。
リコピンとアスタキサンチンとの質量比、トコフェロール類とリコピン及びアスタキサンチンとの質量比は、以下の通りである。
リコピン/アスタキサンチン=0.67
トコフェロール類/(リコピン+アスタキサンチン)=8.1
(ここで、トコフェロール類とは、トコフェロール及びその誘導体の総称のことを指す。)
なお、上記組成において、ルテインに代えてフコキサンチンを用いた場合にも、同様に乳液を調製できること確認した。
下記組成を有するクレンジングオイルを調製した(全量100質量%)
(成分) (質量%)
・パルミチン酸エチルヘキシル 70.0
・トマト抽出物(リコピン0.1質量%含有) 0.3
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン0.3質量%含有)0.2
・トコフェロール 0.7
・ダマスクバラ花油 微量
・フェノキシエタノール 0.25
・リンゴ酸ジイソステアリル 5.0
・トリラウリン酸ポリグリセリル−10 15.0
・水添ポリイソブテン 残量
上記組成を有するクレンジングオイルの全質量に対して、リコピン含有量は0.003質量%、アスタキサンチン含有量は0.006質量%、トコフェロール類含有量は0.4質量%である。
リコピンとアスタキサンチンとの質量比、トコフェロール類とリコピン及びアスタキサンチンとの質量比は、以下の通りである。
リコピン/アスタキサンチン=0.5
トコフェロール類/(リコピン+アスタキサンチン)=44.4
(ここで、トコフェロール類とは、トコフェロール及びその誘導体の総称のことを指す。)
下記組成を有する洗顔フォームを調製した(全量100質量%)。
(成分) (質量%)
・リコピン分散物(リコピン0.1質量%含有) 0.4
・ミリスチン酸 25.0
・ステアリン酸 8.0
・ステアリン酸グリセリル 5.0
・ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 1.0
・フェノキシエタノール 0.25
・ポリクオタニウム−39 1.0
・水溶性コラーゲン 1.0
・水酸化カリウム 7.0
・トマト抽出物リコピン0.1質量%含有) 0.1
・ヘマトコッカス藻抽出物アスタキサンチン0.3質量%含有) 0.1
・トコフェロール 0.15
・精製水 残量
上記組成を有する先願フォームの全質量に対して、リコピン含有量は0.001質量%、アスタキサンチン0.003質量%、トコフェロール類0.15質量%である。
リコピンとアスタキサンチンとの質量比、トコフェロール類とリコピン及びアスタキサンチンとの質量比は、以下の通りである。
リコピン/アスタキサンチン=0.33
トコフェロール類/(リコピン+アスタキサンチン)=37.5
(ここで、トコフェロール類とは、トコフェロール及びその誘導体の総称のことを指す。)
下記組成を有するクリームを調製した(全量100質量%)。
なお、処方中に用いたリン酸アスコルビルマグネシウムは、BASFジャパン(株)社製シーメイト、日光ケミカルズ(株)社製NIKKOL VC−PMG等を用いることができる。
(成分) (質量%)
・リコピン分散物(リコピン0.1質量%含有) 0.4
・アスタキサンチン分散物(アスタキサンチン0.3質量%含有)0.2
・セトステアリルアルコール 3.0
・グリセリン脂肪酸エステル 2.0
・モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.0
・モノステアリン酸ソルビタン 1.0
・N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 0.5
・ワセリン 5.0
・レシチン 0.5
・ジメチルポリシロキサン(100mPa・s) 3.0
・トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
・乳酸 1.0
・アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.5
・ジプロピレングリコール 10.0
・クエン酸ナトリウム 0.5
・酸化チタン 0.1
・香料 適量
・エデト酸2ナトリウム 0.03
・パラオキシ安息香酸エチル 0.05
・精製水 残量
上記組成を有するクリームの全質量に対して、リコピン含有量は0.004質量%、アスタキサンチン含有量は0.006質量%、トコフェロール類含有量は0.064質量%である。
リコピンとアスタキサンチンとの質量比、トコフェロール類とリコピン及びアスタキサンチンとの質量比は、以下の通りである。
リコピン/アスタキサンチン=0.67
トコフェロール類/(リコピン+アスタキサンチン)=6.4
(ここで、トコフェロール類とは、トコフェロール及びその誘導体の総称のことを指す。)
上記にて調製した実施例2−12のクリームと、該クリームの調製において用いたトマト抽出物とヘマトコッカス藻抽出物をワセリンで置き換えることで調製した比較用分散物(クリーム)とを用いて、ヒトにおける抗シワ効果確認試験を行なった。
実施例2−12のクリームと比較用分散物のそれぞれを、35〜60歳の10名の被験者の目元に4週間使用し(塗布回数:2回/day)、使用の前後でのシワの変化を確認し
た。
シワの変化の確認は、画像測定装置VISIA(株式会社インテグラル社製)にて、シワスコアの計測により行った。評点が少ないほどシワが少ないということを示している。
得られたスコアから、シワの改善率(%)を下記式に基づき算出した。
シワの改善率(%)=使用後スコア/使用前スコア×100
結果を表4に示す
リコピン分散物Bの調製で得られた油相組成物Bにトコフェロール0.6gを添加し、水性組成物Bに用いたものと同じ精製水で加水調整を行い、総量100gとなるようにした以外は、実施例2−1に用いたリコピン分散物と同様に高圧乳化を行い、リコピン分散物Cを調製した。
得られたリコピン分散物CをミリQ水にて1質量%希釈し、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒子径を測定したところ、58nm(メジアン径(d50))であった。
実施例2−2に用いたトマト抽出物を、リコピン分散物C0.3gに置き換えても安定な化粧料(美容液)を得ることができた。
Claims (13)
- リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピンとアスタキサンチンとの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である皮膚外用剤。
- リコピンが、リコピンを含む分散物として含有される請求項1に記載の皮膚外用剤。
- リコピンと、単糖又は多糖の脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種と、レシチンとを含む分散物を含有する請求項2に記載の皮膚外用剤。
- アスタキサンチンが、アスタキサンチンを含む分散物として含有される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- アスタキサンチンと、単糖又は多糖の脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルより選択される少なくとも1種と、レシチンとを含む分散物を含有する請求項4に記載の皮膚外用剤。
- リコピンとアスタキサンチンとの質量比が、0.01:1〜25:1である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 更に、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- リコピン及びアスタキサンチンと、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群より選択される少なくとも1種との質量比が1:50〜1:0.5である請求項7に記載の皮膚外用剤。
- 水性化粧料である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- リコピン及びアスタキサンチンを含有し、リコピンとアスタキサンチンとの合計含有量が、0.00001質量%〜0.2質量%の範囲である正常皮膚細胞賦活化剤。
- リコピンとアスタキサンチンとの質量比が、0.01:1〜25:1である請求項10に記載の正常皮膚細胞賦活化剤。
- 請求項10又は請求項11に記載の正常皮膚細胞賦活化剤を含む皮膚外用剤。
- 請求項10又は請求項11に記載の正常皮膚細胞賦活化剤を含む化粧料。
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