JP2014156456A - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】荒れ肌抑制、防腐性、及び乳化物安定性に優れた皮膚外用剤の提供。
【解決手段】グリチルレチン酸を含む乳化物と、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤と、を含有し、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下である皮膚外用剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚外用剤に関する。
スクアレンを出発物質として生合成されるC30の化合物をトリテルペンという。トリテルペン化合物は環の結合様式により、ダンマラン系、ホパン系、オノセラン系、ラノスタン系、オレアナン系、シクロアルタン系等のトリテルペン化合物に大別される。
トリテルペン化合物のうち、皮膚外用剤に配合することで抗炎症、保湿、美白、抗シワ、抗菌などの機能を発揮する植物エキスの主成分として、オレアナン系のトリテルペン化合物が知られている。中でも、5環性で且つ置換基にカルボキシル基を有するオレアナン系のトリテルペン化合物が化粧料として特に有用な機能を有することが知られている(非特許文献1)。
このような5環性で且つカルボキシル基を有するオレアナン系のトリテルペン化合物として、グリチルレチン酸等が知られている。グリチルレチン酸は、抗炎症効果を有する油溶性薬剤として、頭皮用組成物などの各種の組成物に広く配合されている(特許文献1)。
一方、アスタキサンチンを始めとするキサントフィル等のカロテノイドには、ふけ防止作用やかゆみ防止作用があることが知られている。特にアスタキサンチンには、優れた養毛及び育毛効果があることが知られている(特許文献2及び3)。
特開2008−201767号公報 特開2009−179628号公報 特開2008−273874号公報
田中信壽、トリテルペン及びトリテルペン系サポニン、天然物化学改訂第6版、南江堂(1985年)、p130〜p140
グリチルレチン酸は荒れ肌抑制などの機能性に優れているものの、水に難溶性であり、油への溶解性も低い。そのため、グリチルレチン酸は、従来では、充分な量のエタノールを用いて可溶化し、皮膚外用剤へ配合されていた。しかしながら、エタノールに敏感な使用者も一部存在するため、エタノールフリーの組成を有する皮膚外用剤が望まれている。
本発明者らは、エタノールを用いずに所望量のグリチルレチン酸を皮膚外用剤に配合させる方策の一つとして、グリチルレチン酸を含有する乳化物を用いることを見出した。しかしながら、エタノールを含有しない皮膚外用剤は防腐性に劣る傾向がある。一方で、防腐性を向上させるべく皮膚外用剤に防腐剤を配合した場合には、防腐剤の種類によっては乳化物の安定性が損なわれてしまうとの知見が得られた。
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、荒れ肌抑制、防腐性、及び乳化物安定性に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] グリチルレチン酸を含む乳化物と、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤と、を含有し、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下である皮膚外用剤。
[2] グリチルレチン酸を含む乳化物が、リン脂質を含む乳化剤を含有する[1]に記載の皮膚外用剤。
[3] グリチルレチン酸を含む乳化物が、N−アシルアミノ酸モノエステルを含有する[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
[4] グリチルレチン酸を含む乳化物が、N−ラウロイルサルコシンイソプロピルを含有する[1]から[3]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[5] I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤が、フェノキシエタノール、パラベン類、及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルからなる群から選択される少なくとも1種の防腐剤を含む[1]から[4]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[6] アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体から選択される少なくとも1つとリン脂質を含む乳化剤とを含有する乳化物として含む[1]から[5]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[7] グリチルレチン酸の含有量が、0.0001質量%〜0.5質量%である[1]から[6]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[8] 頭皮用化粧料である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
本発明によれば、荒れ肌抑制、防腐性及び乳化物安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
本発明において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明において「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明における乳化物は、油性成分を含む油性組成物から構成された油相と、水性成分を含む水性組成物から構成された水相とを含む水中油型乳化物(O/W型エマルション)であることが好ましい。本発明における乳化物は、後述する如く、水性成分を含む水性組成物と、油性成分を含む油性組成物とを乳化混合して得られることが好ましい。
本発明における乳化物の平均粒子径とは、乳化物の体積平均粒子径を意味する。
本発明における乳化物の平均粒子径は、電子顕微鏡、遠心沈降法、液体排除クロマト法、レーザー散乱回折法、動的光散乱法などの公知の方法で求めることができる。精度と測定の簡便さから、本発明における乳化物の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することが好ましい。
動的光散乱法を用いた市販の測定装置としては、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))、ナノトラックUPA(日機装(株))、ナノサイザー(マルバーン社製)等が挙げられる。本発明における粒子径は、ナノトラックUPAを用いて2
5℃で測定した値を採用する。
乳化物の平均粒子径は、具体的には、測定対象となる試料を希釈せず原液のまま測定し、メジアン径(d=50)として求める。
なお、乳化物の平均粒子径は、組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力、温度、圧力)や、油相と水相との比率、などの要因によって調整される。
以下、本発明の皮膚外用剤における各構成要素ついて詳細に説明する。
なお、以下では、本発明の皮膚外用剤に含有される必須成分及び任意成分について説明した後、本発明に適用される乳化物の調製に関する事項について説明する。
[皮膚外用剤]
本発明の皮膚外用剤は、グリチルレチン酸を含む乳化物と、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体から選択される少なくとも1つと、I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤と、を含有し、エタノールを実質的に含有しない皮膚外用剤である。
以下の説明では、I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤を、適宜「特定防腐剤」と称する。また、本発明では、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群を「アスタキサンチン類」なる用語を用いて総称する場合がある。
本発明によれば、グリチルレチン酸を含む乳化物及び特定防腐剤を組み合わせて含有し、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下であることで、荒れ肌に対して優れた抑制効果を有し、防腐性及び乳化物安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
本発明の皮膚外用剤は、グリチルレチン酸を乳化物の形態にて含有することで、エタノールを用いずにグリチルレチン酸を系中で安定に含有させることができる。更に、本発明の皮膚外用剤は、グリチルレチン酸及びアスタキサンチン類の双方を含有することで、皮膚の炎症を相乗的に抑制することができる。このため、本発明によれば優れた荒れ肌抑制効果を有する皮膚外用剤を提供することができる。
また、本発明における特定防腐剤は、グリチルレチン酸等を含有する乳化物に対して乳化破壊を抑制し、乳化物の安定性を効果的に維持しつつも、皮膚外用剤の防腐性を向上させることができる。即ち、本発明者らは、防腐剤に起因する乳化物に対する乳化破壊は、親水部と疎水部を有し、乳化剤に近い構造の防腐剤を用いる場合に顕著に生じており、これは防腐剤の有する疎水部がグリチルレチン酸等の油性成分を含む乳化物の表面に吸着して、乳化物を凝集させることに起因するものと推測している。一方で、本発明の皮膚外用剤においては、特定構造を有し、かつ極性の低い特定防腐剤が選択的に含有されることで、防腐剤と乳化物の安定化の両立が実現されたものと、本発明者らは推測している。
また、本発明の皮膚外用剤は、エタノールを実質的に含有しないことから、エタノールに敏感な使用者を使用対象に包含させることも可能となる。
本発明の皮膚外用剤は、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下である。皮膚外用剤がエタノールを含有する場合のエタノールの含有量は、皮膚外用剤の全質量に対し、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
皮膚外用剤におけるエタノールの1質量%を超える含有は、グリチルレチン酸とアスタキサンチン類との併用による炎症抑制効果を低減させる。
本発明の皮膚外用剤は、エタノールを含有しないことが好ましい。
<グリチルレチン酸>
本発明の皮膚外用剤はグリチルレチン酸を含有する。
グリチルレチン酸は、例えば甘草の根に含まれる成分であるグリチルリチン酸を加水分解することで得られる、オレアナン系の5環性トリテルペン化合物の一つである。グリチルレチン酸は、化粧品分野では抗炎症作用、抗酸化作用、抗老化作用を期待して、アンチエイジングケアなどを目的とする化粧品又は医薬部外品などに配合することが可能である。
また、グリチルレチン酸は急性又は慢性の皮膚炎に対し著しい効果があるといわれており、抗炎症効果、抗アレルギー作用、細菌(黄色ブドウ菌、ジフテリア菌、サルモネラ菌など)発育阻止等の効果を有することが知られている。また、グリチルレチン酸は、皮膚の炎症緩和、皮脂の分泌抑制等の効果に優れており、多くの皮膚ケア製品、口紅等に用いられる。その他、グリチルレチン酸は、脱毛予防効果、フケ又はかゆみ抑制等の効果も有するため、頭皮ケア製品にも多く使用されている。
グリチルレチン酸は、天然物からの抽出物又はその精製物であってもよく、公知の合成方法に準じて合成された合成品であってもよい。グリチルレチン酸は市販品としても入手可能であり、市販品の例としては、丸善製薬(株)製、アルプス薬品、金可製のβグリチルレチン酸が挙げられる。
グリチルレチン酸は、各製品を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グリチルレチン酸は、乳化物の形態で本発明の皮膚外用剤に含有される。
グリチルレチン酸を含む乳化物は、乳化剤を含有することが好ましい。安定性の観点から、グリチルレチン酸を含む乳化物は、リン脂質を含む乳化剤を含有することがより好ましい。本発明において好適に用いられる乳化剤の詳細については後述する。
本発明の皮膚外用剤におけるグリチルレチン酸の含有量としては、グリチルレチン酸に期待される荒れ肌抑制効果を得る観点から、0.0001質量%〜0.5質量%が好ましく、0.001質量%〜0.3質量%がより好ましく、0.005質量%〜0.2質量%が更に好ましい。
グリチルレチン酸の含有量が、0.0001質量%以上であれば、例えば、荒れ肌抑制効果(抗炎症効果)等のグリチルレチン酸に期待される効果が充分に得られる傾向があり、0.5質量%以下であればグリチルレチン酸の析出を抑制しやすい傾向がある。
<アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体>
本発明の皮膚外用剤は、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群(アスタキサンチン類)から選択される少なくとも1つを含有する。アスタキサンチン誘導体には、アスタキサンキチンのエステル等が含まれる。
アスタキサンチン類に包含される成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アスタキサンチン類は、アスタキサンチン類を含有する天然物から分離又は抽出した抽出物であるアスタキサンチン含有オイル中の成分として、本発明の皮膚外用剤に含まれていてもよい。アスタキサンチン類は、天然物からの分離又は抽出した抽出物を、必要に応じて適宜精製したものでもよい。また、アスタキサンチン類は合成品であってもよい。
アスタキサンチン類は、植物類、藻類、甲殻類及びバクテリア等の天然物から得られるものの他、常法に従って得られるものであれば、いずれのものも使用することができる。
天然物であるアスタキサンチン類としては、例えば、赤色酵母ファフィア、ヘマトコッカス藻、海洋性細菌、オキアミ等が挙げられる。また、アスタキサンチン類としては、天然物の培養物からの抽出物等を挙げることができ、ヘマトコッカス藻から抽出された抽出物(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)、及び、オキアミ由来の色素が、品質及び生産性の点から特に好ましい。
また、本発明においては、アスタキサンチン類として、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いてもよい。ヘマトコッカス藻抽出物としては、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、ASTOTS−2.5 O、ASTOTS−5 O、ASTOTS−10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル 50F、アスタリールオイル 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等として入手できる。オキアミ抽出物としては、アスタックスST等が入手できる。
本発明に使用できるオキアミ抽出物又はヘマトコッカス藻抽出物中の、アスタキサチン類の色素純分としての含有量は、組成物製造時の取り扱いの観点から、好ましくは0.001質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜25質量%である。
本発明の皮膚外用剤において、アスタキサンチン類は、可溶化剤等により可溶化させる形態で含有させてもよく、アスタキサンチン類を含む乳化物の形態で含有させてもよい。皮膚浸透性の観点から、アスタキサンチン類は、乳化物の形態で本発明の皮膚外用剤に含有されることが好ましい。
アスタキサンチン類を含む乳化物は乳化剤を含有することが好ましく、アスタキサンチン類の安定性の観点から、リン脂質を含む乳化剤を含有することがより好ましい。本発明において好適に用いられる乳化剤の詳細については後述する。
本発明の皮膚外用剤におけるアスタキサンチン及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの含有量としては、アスタキサンチン又はその誘導体に期待される抗炎症効果を得る観点から、0.000001質量%〜0.01質量%が好ましく、0.00001質量%〜0.0075質量%がより好ましく、0.0001質量%〜0.005質量%が更に好ましい。
<特定防腐剤>
本発明の皮膚外用剤は、I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤(特定防腐剤)を含有する。
本発明における特定防腐剤として用いられる化合物には、(1)I/O値が1.5以下であること、(2)アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する分子構造であること、及び(3)防腐性を有すること、が必要である。
本発明の効果を損なわない限りにおいて、本発明の皮膚外用剤は、特定防腐剤以外の他の防腐剤を含有してもよいが、特定防腐剤のみを含有することがより好ましい。
ここで、I/O値とは、有機性基と無機性基との比により、化合物が示す親疎水性の尺度を表す指標となるパラメーターである。Iは無機性を、Oは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が高いことを表す。I/O値については、「有機概念図」(甲田善生著、三共出版、1984年)にその詳細な解説がある。
防腐剤により得られる防腐性は、防腐剤として用いられる化合物の防腐性に寄与する部位の性質と、該化合物が示す親疎水性に依存しており、これらを考慮して防腐剤の必要量が決まる。
I/O値が1.5を超える防腐剤は親水性が高く、このような防腐剤により防腐性を得るには、より多量の防腐剤を配合する必要がある。I/O値が1.5を超える防腐剤の配合は、グリチルレチン酸を含有する乳化物を含む皮膚外用剤において、防腐剤を多量に配合することによるベタツキが生じ、少量の防腐剤で防腐力を持たせるにはI/Oを下げる必要がある。I/O値が1.5以下の防腐剤であれば、配合量が少量であっても防腐性を発揮しうる。
一方で、I/O値が1.5以下の防腐剤であっても、その分子構造によってはグリチル
レチン酸を含有する乳化物を含む皮膚外用剤における乳化物安定性を悪化させるものも存在するが、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するものであれば、乳化物安定性が良好に維持される。
特定防腐剤が有するI/O値は1.5以下であり、1.4以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。
特定防腐剤は、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するものであり、更に、芳香族基(例えば、フェニル基)を有するものであってもよい。
特定防腐剤としては、I/O値は1.5以下であり、かつアルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する化合物であれば、特に制限なく用いられる。
特定防腐剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
特定防腐剤の好適な例には、フェノキシエタノール、パラベン類、及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルからなる群から選択される少なくとも1種の防腐剤が含まれる。
特定防腐剤としては、防腐性の観点からは、フェノキシエタノール、パラベン類、及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルからなる群から選択される2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
パラベン類の例としては、メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)、エチルパラベン(パラオキシ安息香酸エチル)、又はプロピルパラベン(パラオキシ安息香酸プロピル)等が含まれる。
本発明の皮膚外用剤における特定防腐剤の含有量は、特定防腐剤として用いる化合物の分子構造や物性を考慮して適宜設定することができる。以下に、本発明に好適に適用される特定化合物の含有量を示すが、本発明における特定防腐剤の種類及びその含有量はこれらに限定されない。
フェノキシエタノールを使用する場合には、フェノキシエタノールの含有量は、皮膚外用剤の全質量に対し、0.001質量%〜1質量%であることが好ましく、0.001質量%〜0.7質量%であることがより好ましく、0.001質量%〜0.5質量%であることが更に好ましい。
メチルパラベンを使用する場合には、メチルパラベンの含有量は、皮膚外用剤の全質量に対し、0.001質量%〜0.5質量%であることが好ましく、0.001質量%〜0.3質量%であることがより好ましく、0.001質量%〜0.2質量%であることが更に好ましい。
エチルパラベンを使用する場合には、エチルパラベンの含有量は、皮膚外用剤の全質量に対し、0.001質量%〜0.5質量%であることが好ましく、0.001質量%〜0.3質量%であることがより好ましく、0.001質量%〜0.2質量%であることが更に好ましい。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを使用する場合には、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの含有量は、皮膚外用剤の全質量に対し、0.0001質量%〜0.02質量%であることが好ましく、0.001質量%〜0.015質量%であることがより好ましく、0.002質量%〜0.01質量%であることが更に好ましい。
本発明において、防腐剤として用いられる化合物が防腐性を有するか否かは、最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration:MIC)に基づく常法により判断される。
ここで、最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration:MIC)は、特定の細菌の増殖を阻止するための防腐剤の必要最小量(質量%)を意味する。MIC値が小さいほど、その化合物の防腐効果が強いことになり、逆にその数値が大きければ大きいほど、ある一定基準の防腐効果を満たす為に多量に添加する必要があることを示す。
MICは、「日本薬局方第十五改正(平成18年)」中、一般試験法における、「微生物限度試験法」で求められる。微生物限度試験法としては、メンブランフィルター法、カンテン平板混釈法、カンテン平板表面塗抹法、及び液体培地段階希釈法がある。本発明におけるMICとしては、液体培地段階希釈法により得られた値を用いる。
特定防腐剤及び他の防腐剤が示すMIC(大腸菌)の例を以下に示す。
メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)(MIC:0.2質量%)
フェノキシエタノール(MIC:0.4質量%)
エチルパラベン(パラオキシ安息香酸エチル)(MIC:0.1質量%)
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(MIC:0.01質量%)
エチルヘキシルグリセリン(MIC:0.2質量%)
カプリリルグリコール(MIC:0.2質量%)
ペンチレングリコール(MIC:2.65質量%)
<N−アシルアミノ酸モノエステル>
本発明の皮膚外用剤は、N−アシルアミノ酸モノエステルを含有することが好ましい。 N−アシルアミノ酸モノエステルは、本発明の皮膚外用剤に含まれるグリチルレチン酸を含む乳化物において油相に含有されることが好ましい。
N−アシルアミノ酸モノエステルは、アシル基と、中性アミノ酸と、エステル部位を作るアルコール類との化学反応によって合成されるものであればよい。なお、N−アシルアミノ酸モノエステルの合成方法としては、特開平11−246841号公報の段落番号[0047]〜[0053]に述べられている方法を挙げることができる。
アシル基としては、炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖を有する、飽和又は不飽和の炭化水素であることが好ましく、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2−エチルへキサン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等から誘導できるアシル基であることが好ましい。
好ましいアシル基としては、カプロイル基、ラウロイル基、ミリスチル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ココイル基等が挙げられる。
中性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、βアラニン、アミノ酪酸、アミノプロピオン酸、サルコシン、N−メチル−β−アラニン等が挙げられ、好ましくは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、プロリン、βアラニン、アミノ酪酸、サルコシン、及びN−メチル−β−アラニンであり、特に好ましくはサルコシン、アラニン、グリシン、及びN−メチル−β−アラニンである。なお、これらのアミノ酸は光学活性体でもラセミ体でもいずれでもよい。
エステル部位を構成するアルコール類としては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖、炭素数3〜30の環状アルコールなどが挙げられる。
炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖としては、例えば、炭素数1〜5の低級アルコール、炭素数6〜20の高級アルコール等が挙げられる。
グリチルレチン酸の油相への溶解性の観点から、エステル部位を構成するアルコール類としては、炭素数が1〜10の分岐鎖又は直鎖のアルキル基又はアルケニル基を分子内に有するアルコール類が好ましく、アルキル基を分子内に有するアルコール類がより好ましい。
炭素数3〜30の環状アルコールとしては、例えば、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
また、上記の他に、エステル部位を構成するアルコール類としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール等のステロール類なども挙げられる。
エステル部位を構成するアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチル−ヘキサノール、デカノール、フーゼル油などが挙げられる。
中でも炭素数2〜8の分岐鎖又は直鎖のアルキル基を分子内に有するアルコール類が好ましく、最も好ましいのはイソプロパノールである。
N−アシルアミノ酸モノエステルを合成する際に用いる、アシル基、中性アミノ酸及び、エステル部位をつくるアルコール類との組み合わせとしては、「ラウロイル基、サルコシン及びイソプロパノール」、「ミリストイル基、βアラニン及びフィトステロール」、又は「カプロイル基、グリシン及びイソブタノール」等の組み合わせが挙げられる。
中でも、グリチルレチン酸の溶解性の観点から、ラウロイル基、サルコシン基及びイソプロパノールの組み合わせが好ましい。
また、本発明におけるN−アシルアミノ酸モノエステルは、上述した公知の合成方法により準じて合成できる他、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、味の素株式会社製のN−ラウロイルサルコシンイソプロピル(商品名 エルデュウSL−205)、N−ミリストイル−N−メチルβアラニンフィトステリル−デシルテトラデシル(商品名 エルデュウAPS307)、日本エマルション製のミリストイルメチルアミノプロピオン酸へキシルデシル(商品名 AMITER MA−HD)などが挙げられる。
N−アシルアミノ酸モノエステルとしては、サルコシン、アラニン、グリシン及びN−メチル−β−アラニンからなる群から選ばれるアミノ酸を、N−カプロイル化、N−ラウロイル化、N−ミリスチル化、N−パルミトイル化、N−ステアロイル化、N−ベヘノイル化、またはN−ココイル化した部分構造と、アルキルエステル化して得られた分岐鎖又は直鎖であり炭素数2〜8のアルキル鎖長を有する部分構造とを有するものが好ましい。
上述したN−アシルアミノ酸モノエステル中でも、本発明においては、N−ラウロイルサルコシンイソプロピルがより好ましい。
これらのN−アシルアミノ酸モノエステルは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
N−アシルアミノ酸モノエステルは、グリチルレチン酸に期待される機能を発揮させるのに充分な高濃度にてグリチルレチン酸を溶解しうる成分である。かかる観点からは、本発明におけるグリチルレチン酸を含む乳化物は、N−アシルアミノ酸モノエステルを含有することが好ましく、N−ラウロイルサルコシンイソプロピルを含有することがより好ましい。
本発明の皮膚外用剤におけるN−アシルアミノ酸モノエステルの含有量は、グリチルレチン酸の全質量に対して、質量基準で2倍量〜200倍量が好ましく、5倍量〜100倍量がより好ましく、10倍量〜50倍量がより好ましい。N−アシルアミノ酸モノエステルの含有量が、グリチルレチン酸の全質量に対して質量基準で2倍量〜200倍量の範囲内にある場合には、グリチルレチン酸を含む乳化物の安定性が良好であり好ましい。
<乳化剤>
本発明の皮膚外用剤は、乳化剤を含有することが好ましい。
乳化剤は、本発明における乳化物の調製時において、それぞれの乳化剤の特性に合わせて、水相組成物及び油相組成物のいずれにも添加することができる。
乳化剤としては、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤のいずれであってもよい。また、本発明における乳化剤の好適な態様の一つとしては、リン脂質を含む乳化剤が挙げられる。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキエチレンステロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中では、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
非イオン性界面活性剤の総量は、乳化物の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%〜15質量%、更に好ましくは5質量%〜10質量%である。
・ポリグリセリン脂肪酸エステル
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、乳化力の観点から、HLBが10〜16であることが好ましく、11〜15がより好ましい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。川上式を次に示す。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノリノール酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル等が挙げられる。この中で、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステルが好ましく、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステルが特に好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、イソステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB=12)(日光ケミカル製)、オレイン酸ポリグリセリル−10(HLB=12)(日光ケミカル製)、ミリスチン酸ポリグリセリル−10(HLB=14)、ステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB=12)、ミリスチン酸ポリグリセリル−6(HLB=11)等が挙げられる。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、一種単独又は複数を組合せて用いることができる。
・ショ糖脂肪酸エステル
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステルショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
また、ショ糖脂肪酸エステルとしては、市販品を用いてもよい。
これらのショ糖脂肪酸エステルは、一種単独又は複数種類を組合せて用いることができる。
(イオン性界面活性剤)
イオン性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
イオン性界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、モノアルキルリン酸塩、脂肪酸塩等が挙げられる。塩類としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等が用いられる。これらのイオン性界面活性剤は、一種単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
また、これらのイオン性界面活性剤は、本発明に含まれる乳化物の全質量に対して任意の割合で組み合せて用いることができる。
(リン脂質を含む乳化剤)
本発明における乳化剤の好適な態様の一つとしては、リン脂質を含む乳化剤が挙げられる。リン脂質を含む乳化剤としてはレシチンが好ましい。
レシチンは、N−アシルアミノ酸モノエステルを含む油相組成物に対して、良好な乳化力を示す乳化剤であり、本発明においてN−アシルアミノ酸モノエステルが用いられる場合の乳化剤として特に好ましい。
本明細書において、レシチンとはフォスファチジルコリン(PC)に限定されず、各種リン脂質を主成分とする脂質混合物を意味する。脂質としては、例えばフォスファチジン酸、フォスファチジルグリセリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルメチルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン、ビスフォスファチジン酸、ジフォスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等が挙げられる。
レシチンはその安全性及び油を水に分散させてエマルションを作る乳化力から、食品や化粧品用の乳化剤としてよく用いられる。また、医薬品においても、皮膚や粘膜から物質を透過吸収する浸透作用を利用して、医薬用リポソームの材料、静脈注射用脂肪乳剤、痔や皮膚病の治療薬などに利用されている。食品又は化粧料用途には、主にコストの観点から大豆レシチンが多く用いられている。
また、レシチンはグリセロリン脂質の一種で、自然界の動植物のすべての細胞中に存在しており、生体膜の主要構成成分である。
使用可能な自然物由来のレシチンとしては、大豆由来のレシチン、卵黄由来のレシチンをはじめ、動植物由来のレシチン等が挙げられる。
大豆レシチンは、大豆油精製工程で副生する油滓を乾燥し、精製することにより製造される。リン脂質含量70%以下のペースト状レシチンは、大豆粗油を30%程度含むため、安価であり、特に食品分野ではこのリン脂質含量70%以下のペースト状のレシチンが用いられる。
近年、リン脂質自体の生理活性や、より高度な乳化剤へのニーズから、高度精製、分別、改質などの技術が加えられ、性能、機能の異なる種々のレシチン群が作られている。
高度精製レシチンは、上記ペースト状レシチンから、アセトン等の溶媒を用いて脱油し、粉末化したもので、一般にレシチン含量が90%以上となっている。
この高度精製レシチンの例としては、フォスフォリポン20(リポイド社)、レシオンP(理研ビタミン)、SLPホワイト(辻製油)、エマルメティック300(ルーカスマイヤーコスメティックス社)などが市販されている。
通常の精製レシチンの他に、主にフォスファチジルコリン(PC)含量を高めた分別レシチンや、酵素分解により一本鎖化した酵素分解(リゾ)レシチンや水素添加処理を行った水素添加レシチンなどの改質レシチンも用いることができる。
分別レシチンは、上記高度精製レシチンから、各種溶媒への溶解度差を利用した操作、蒸留等の操作により、特定のリン脂質の含有量を高めたものであり、一般にはPC含量を高めたものが市販されている。
PC含量を高めた分別レシチンの例としては、フォスフォリポン50(PC45%)、フォスフォリポン85G(PC80%)、フォスフォリポン90G(PC94%)(以上、リポイド社製)、エメルメティック900(PC50%)、エメルメティック930(PC95%)(以上、ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP−PC70、SLP−PC90(以上、辻製油製)などが市販されている。
改質レシチンとしては、大別すると、水素添加レシチンと酵素分解レシチンとがある。
このうち、水素添加レシチンは、レシチン構造中の脂肪酸ポリエン酸を酸化や光安定性向上のために、水素添加処理を行って飽和脂肪酸に変換したものである。このレシチンは化粧料や医薬品には好ましく用いることができる。
水素添加レシチンの例としては、エマルメティック320(ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLPホワイトH(辻製油製)などがある。PC含量を高めた上に水素添加処理を行ったものの例としては、エマルメティック950(ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP−PC92H(辻製油製)、フォスフォリポン90H(リポイド社製)などが市販されている。
一方、酵素分解レシチンとしては、グリセリンに結合している2位の脂肪酸のエステル結合を酵素によって選択的に分解したものであり、通常のレシチンと区別するためにリゾレシチンと呼ばれるものが挙げられる。リゾレシチンは酵素分解処理前のレシチンと比較して、水溶性が向上し、一般に乳化力も向上する。この酵素分解処理は、最初のペースト状レシチンに対して行い、それを高度精製するのが通常であるが、分別レシチンに対して酵素分解処理を行うこともある。代表的なリゾレシチンとして、SLPホワイトリゾ(辻製油製)が挙げられる。
また、リゾレシチンとは異なる酵素処理レシチンとして、リン酸と塩基の間のエステル結合を分解するものも作られている。この処理を行うことで、リン脂質から塩基が除かれ、フォスファチジン酸の形になることで強いアニオン性を示すようになる。このタイプの酵素処理レシチンの例としては、PAナガセ、リゾリン脂質ナガセH(いずれもナガセケムテックス株式会社製)などが市販されている。
上述したレシチンのうち、いずれのものを使用してもよいが、エマルション組成物の保存安定性維持という観点から、大豆レシチンが好ましく、その中でも、高度精製レシチン、分別レシチンがより好ましい。
また、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、SLP−ホワイト(辻製油製)、エメルメティック900(ルーカスマイヤー製)、フォスフォリポン50(リポイド製)、レシオンP(理研ビタミン製)などが挙げられる。
レシチンは、一種単独又は複数種類を組み合わせて用いることができる。
リン脂質を含む乳化剤の含有量は、乳化物の全質量に対して、0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はレシチンが好ましい。
上述した乳化剤は、用途に合わせて、一種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
<フィトステロール、コレステロール、フィトステリルエステル、及びコレステリルエステル>
本発明の皮膚外用剤は、フィトステロール、コレステロール、フィトステリルエステル、及びコレステリルエステルからなる化合物群より選ばれる少なくとも1種の油性成分(以下、適宜「特定油性成分」と称する。)を含むことが好ましい。
特定油性成分は、皮膚外用剤に含まれる乳化物の油相中に含有されることが好ましい。
フィトステロールは、ステロールの一種であり、植物ステロールとも称される白色固体の水には不溶の成分である。天然物としては、多種のフィトステロールが存在する。例えば、β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等が挙げられる。
フィトステロールは、天然物及び合成品のいずれであってもよく、主に植物などから得ることができる。具体的には、パルプなどから有機溶媒を用いて抽出し、精製することで得ることができる。
またフィトステロールは、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、タマ生化学社製のフィトステロール(商品名);ヘンケルジャパン社製のジェネロール122N(商品名)などが挙げられる。
これらのフィトステロールは一種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
コレステロール(CAS登録番号 57−88−5)は、ステロールの一種であり、白色又は微黄色の固体の水には不溶の成分である。
コレステロールは、天然物及び合成品のいずれであってもよく、主に高等動物の脂から得ることができる。具体的には、羊毛脂から精製することで得ることができる。
またコレステロールは、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、理研ビタミン社製の理研コレステロール(商品名);日本精化社製のコレステロール(商品名)などが挙げられる。
フィトステリルエステルは、脂肪酸とフィトステロールとのエステル化反応により得られる。
脂肪酸としては、総炭素数6〜30の脂肪酸が挙げられる。総炭素数6〜30の脂肪酸として具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。ラノリン酸やマカデミアナッツ脂肪酸など、天然物から抽出した混合物でもよい。また、ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシル脂肪酸やN-ラウロイルグルタミン酸などのアミノ酸誘導体が挙げられる。中でも、乳化物の安定性向上の観点から、イソステアリン酸又はN-ラウロイルグルタミン酸が好ましい。
フィトステリルエステルとしては、イソステアリン酸フィトステリル、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル等が好ましい。
これらのフィトステリルエステルは、一種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
コレステリルエステルは、脂肪酸とコレステロールとのエステル化反応により得られる。
脂肪酸としては、総炭素数6〜30の脂肪酸が挙げられる。総炭素数6〜30の脂肪酸具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。ラノリン酸又はマカデミアナッツ脂肪酸など、天然物から抽出した混合物に含まれる脂肪酸でもよい。また、脂肪酸としては、ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシル脂肪酸、N-ラウロイルグルタミン酸などのアミノ酸誘導体が挙げられる。中でも、乳化物の安定性向上の観点から、脂肪酸としては、イソステアリン酸又はラウロイルグルタミン酸が好ましい。
コレステリルエステルとしては、イソステアリン酸コレステリル、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル等が好ましい。
これらのコレステリルエステルは一種単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
フィトステロール、コレステロール、フィトステリルエステル及びコレステリルエステルからなる群から選択される特定油性成分は、必要に応じて、一種を単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
特定油性成分の含有量は、乳化物の安定性向上の観点から、油性成分の全質量に対し、1質量%〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは2質量%〜30質量%であり、さらに好ましくは2質量%〜25質量%である。
<その他の成分>
皮膚外用剤は、上記した各成分以外に任意の他の成分を、必要に応じて含むことができる。
皮膚外用剤は、アスタキサンチン又はその誘導体の安定性向上という観点から、抗酸化剤を含むことができる。抗酸化剤としては、アスコルビン酸化合物、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール化合物等が挙げられる。アスタキサンチン又はその誘導体の安定性を顕著に向上させるという点で、抗酸化剤としては、アスコルビン酸化合物より選択された少なくとも1種がより好ましい。
アスコルビン酸化合物としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸パルミテートが挙げられる。
トコフェロール化合物としては、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群、並びにトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選ばれるものを挙げられる。これらの化合物群から選択される化合物は、1種を単独で用いても、複数種を併用して用いてもよい。また、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群とトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群とからそれぞれ選択された化合物を組み合わせて使用してもよい。
トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が含まれる。これらの内で、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、及び、これらの混合物(ミックストコフェロール)がより好ましい。また、トコフェロール誘導体としては、これらのトコフェロールのカルボン酸エステル、特に酢酸エステルが好ましく用いられる。
トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群としては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等、及びこれらのトコトリエノールから誘導された化合物群が含まれる。また、トコトリエノール誘導体としては、これらのトコトリエノールの酢酸エステルが好ましく用いられる。
皮膚外用剤における抗酸化剤の含有量としては、皮膚外用剤の全質に対して、0.0001質量%〜5質量%とすることができ、好ましくは0.001質量%〜3質量%とすることができる。
皮膚外用剤は、機能性油性成分を含むことができる。機能性油性成分は各種生理活性が期待できる機能性油性成分として既知のものであってもよい。また、機能性油性成分はアスタキサンチン類等のカロテノイドに対する可溶化剤としても用いることができる。
機能性油性成分の具体例としては、例えば、天然型セラミド類、糖修飾セラミド等のセラミド類;オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ココナッツ油等の油脂類;コエンザイムQ10等のユビキノン類;EPA、DHA、リノレン酸等のω−3油脂類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類;パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等の高級アルコール類;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;グリセリン等の脂肪酸エステル類;ビタミンA類、ビタミンD類等の脂溶性ビタミン;などを挙げることができる。
皮膚外用剤は、種々の生体機能の発揮が期待される天然物からの各種抽出物を含むことができる。このような各種抽出物としては、例えば、ニンジンエキス、センブリエキス、アロエエキス-1、アルニカエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、桑白皮エキスゴボウエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、松エキス、ローズマリーエキス、オノニスエキスローマカミツレエキス、アルテアエキス、オノニスエキス、セイヨウノコギリソウエキス、桐葉エキス、セロリエキス、タイムエキス-2、サンショウエキス、フキタンポポエキス、ホップエキス、チンピエキスメリッサエキス、セージエキス、ユーカリエキス、黄杞エキス、オトギリソウエキス、カモミラエキス、スギナエキス、サンショウエキス、シャクヤクエキス、ビワ葉エキス等が挙げられ。
また、皮膚外用剤は、抽出物以外の生体機能を有するものとして、ニコチン酸アミド酢酸DL−α−トコフェロールパントテニールエチルエーテルニコチン酸ベンジルβ−グリチルレチン酸l−メントール等を含むことができる。
上記成分の他、皮膚外用剤、特に頭皮用の皮膚外用剤に通常用いられる添加成分を、本発明の皮膚外用剤に、その形態に応じて適宜含有させてもよい。
その他の添加成分としては、例えば、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール;カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン等の単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;チアミン等のビタミンB1化合物;リボフラビン等のビタミンB2化合物;ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミンB3化合物;ナイアシン、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル等のビタミンB5化合物、ピリドキシン等のビタミンB6化合物、ビオチン等のビタミンB7化合物、コバラミン等のビタミンB12化合物、葉酸等のビタミンB群;γ−オリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニンなどの水溶性ビタミン化合物;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン/酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース/メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸化合物(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル等)、リグナン化合物、クルクミン化合物、クマリン化合物、プテロスチルベン等を含むヒドロキシスチルベンなどを挙げることができる。皮膚外用剤は、その機能に基づいて、例えば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤等として、その他の添加成分を含んでもよい。
その他、本発明においては、例えば、種々の薬効成分、pH調整剤、pH緩衝剤、紫外線吸収剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
[皮膚外用剤の製造方法]
本発明の皮膚外用剤の製造方法は、特に限定されるものではないが、グリチルレチン酸を含む乳化物、アスタキサンチン類、特定防腐剤、及び所望されるその他の成分を組み合わせて製造されることが好ましい。
本発明の皮膚外用剤において、グリチルレチン酸は、グリチルレチン酸を含む乳化物として含有される。
グリチルレチン酸を含む乳化物は、グリチルレチン酸が溶解する油性成分にグリチルレチン酸を溶解させて調製した油性組成物と、水性成分を含む水性組成物と、を乳化混合して調製されることが好ましい。本発明に好適に適用される乳化物の調製方法については後述する。
グリチルレチン酸の皮膚への浸透性、皮膚外用剤の濁度、及び乳化物安定性の観点から、グリチルレチン酸を含有する乳化物における乳化粒子の粒子径は、500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。
乳化物の粒子径の測定方法及び測定装置の詳細は既述の通りである。
皮膚外用剤の製造方法において調製されるグリチルレチン酸を含む乳化物は、グリチルレチン酸の含有に期待される効果が得られる所望量のグリチルレチン酸を、最終形態である本発明の皮膚外用剤に含有させうる乳化物として調製すればよい。本発明の皮膚外用剤に含有されるグリチルレチン酸の好適な含有量は既述の通りである。
本発明の皮膚外用剤にアスタキサンチン類を含有させる方法としては、(1)アスタキサンチン類を可溶化剤等により可溶化させて、皮膚外用剤に含有させる方法、(2)アスタキサンチン類を含有する乳化物を調製し、該乳化物を皮膚外用剤に含有させる方法、が挙げられる。
アスタキサンチン類を含有する乳化物は、アスタキサンチン類が溶解する油性成分にアスタキサンチン類を溶解させて調製した油性組成物と、水性成分を含む水性組成物と、を乳化混合して調製されることが好ましい。本発明に好適に適用される乳化物の調製方法については後述する。
アスタキサンチン類を含む乳化物は、グリチルレチン酸を含む乳化物とは別個に調製された乳化物であってもよいし、グリチルレチン酸を含む乳化物を調製する際に、グリチルレチン酸とアスタキサンチン類の双方を用いて調製された乳化物であってもよい。
アスタキサンチン類の皮膚への浸透性、皮膚外用剤の濁度、乳化物安定性の観点から、アスタキサンチン類を含有する乳化物における乳化粒子の粒子径は、500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。
乳化物の粒子径の測定方法及び測定装置の詳細は既述の通りである。
アスタキサンチン又はその誘導体を含む乳化物におけるアスタキサンチン又はその誘導体の含有量は、アスタキサンチン又はその誘導体の含有に期待される効果を得る観点から、該乳化物の全質量に対し、0.0001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.001質量%〜5質量%がより好ましく0.005質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
本発明の皮膚外用剤に特定防腐剤を含有させる方法は、特に限定されず、例えば、(i)調製後の皮膚外用剤に特定防腐剤を直接添加する方法、(ii)グリチルレチン酸を含む乳化物を調製する際に、水相組成物に特定防腐剤を添加する方法などが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、グリチルレチン酸を含む乳化物、及び、アスタキサンチン又はその誘導を含む乳化物をそれぞれ調製し、これらの乳化物と、特定防腐剤、及びその他の任意成分とを組み合わせて製造されることがより好ましい。
以下、本発明に好適に適用される乳化物の製造方法について説明する。以下の説明における乳化物には、グリチルレチン酸を含む乳化物、及びアスタキサンチン又はその誘導を含む乳化物が含まれる。
本発明に適用される乳化物は、公知の方法に従い製造することが可能である。
以下、本発明に適用される乳化物の好適な製造方法について詳細に説明する。
本発明に適用される乳化物は、所定の油性成分を含む油性組成物と、水性組成物とを混合し、乳化すること等により製造することができる。
グリチルレチン酸を含む乳化物を製造する場合であれば、油性組成物は少なくともグリチルレチン酸を含み、更に、N−アシルアミノ酸モノエステル、乳化剤、特定油性成分、及び所望とする任意の油性成分を含むことが好ましい。
アスタキサンチンを含む乳化物を製造する場合であれば、油性組成物は、少なくともアスタキサンチン類を含み、更に、乳化剤及び所望とする任意の油性成分を含むことが好ましい。
以下に、本発明に適用される乳化物の好適な製造方法の例を示す。但し、本発明における乳化物の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
まず、所定の油性成分を混合して、60℃〜90℃に加熱して均一な油性組成物を調製することが好ましい。該油性組成物は、必要に応じてその他の油性成分を含んでいてもよい。
次に、調製した油性組成物を、40℃〜90℃に加熱した所定の水性成分を含有する水性組成物中に撹拌しながら添加混合することができる。
この際の油性組成物と水性組成物との混合比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油性組成物/水性組成物比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油性組成物/水性組成物比率を0.1/99.9以上とすることにより、グリチルレチン酸などの有効成分量が低くならないため、乳化物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油性組成物/水性組成物比率を50/50以下とすることにより、乳化剤濃度が薄くなることがなく、乳化物の安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
油性組成物と水性組成物とを混合し、乳化する際には、油性組成物と水性組成物とを混合して粗乳化物を得て、その後、微細乳化手段を用いて微細化することが好ましい。
油性組成物と水性組成物とを混合して粗乳化物を得る手段としては、市販のいずれの混合手段を用いてもよい。例えば、水性媒体をマグネチックスターラー、家庭用ミキサー、パドルミキサー、インペラーミキサーなどで混合撹拌することで、均一な粗乳化液を調製できる。
また、強い剪断力を有する撹拌手段、すなわち、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサーなどを用いて油性組成物と水性組成物とを混合する方がより好ましい。
さらに粗乳化の効果を高める目的で、これらの撹拌手段に加えて、超音波を利用することも好ましい。
超音波付与手段としては、超音波ホモジナイザーを用いることが好ましい。超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−600、US−1200T、RUS−1200T、MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000、UIP−4000、UIP−8000、同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。
これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15kHz〜20kHzの周波数で使用することができる。
また、他の混合手段として、外部からの撹拌部を持たず、低エネルギーしか必要としない、スタチックミキサー、マイクロチャネル、マイクロミキサーなどを用いることもできる。
この粗乳化処理における温度は、20℃以上90℃以下の任意の温度で実施可能であるが、好ましくは40℃以上80℃以下の温度で処理することが挙げられる。
次に、得られた粗乳化物を、微細乳化手段を用いて微細化することが好ましい。
微細化の手段としては、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。高圧ホモジナイザーは、攪拌方式と比べて大きな剪断力を与えることができるために、微細化が可能であり、種々の装置が市販されている。
高圧ホモジナイザーには大きく分けて、固定した絞り部を有するチャンバー型高圧ホモジナイザーと、絞りの開度を制御するタイプの均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。前者のチャンバー型高圧ホモジナイザーの例としては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、スターバースト((株)スギノマシン製)等が挙げられる。後者の均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーは、流路の中に非常に狭いチャンバー部や絞り部を備え、狭い流路にポンプを用いて強制的に液を送ることで、絞り部の前後で非常に大きな圧力差を生じ、この圧力差を駆動エネルギーとして、液は狭い管路を音速に匹敵する速度で移動するために、流路壁との間で大きな剪断力が発生し、これが分散力となる。
加える圧力と生成する剪断力は比例関係にあり、高圧を加えれば加えるほど、分散に使われる剪断エネルギーは高くなる。しかし、剪断力が全て分散に使われるわけではなく、高圧になればなるほど、エネルギー効率としては低下して熱に変換される割合が増える傾向にあることが知られており、高圧にも限界はある。
本発明における乳化物の製造においては、分散性(微細化)の観点から、圧力は100MPa以上とし、より好ましくは150MPa以上であることが好ましい。高圧側の限界は市販の装置では、温度上昇と耐圧性の観点から300MPa以下であることが好ましい。
微細乳化手段を用いて微細化する場合の、高圧処理を行う回数は1回でもよいが、液全体の均一性を高めるためには、2回以上の高圧処理を行うことが好ましく、2回〜5回の高圧処理を行うことがより好ましい。
高圧分散処理前の温度は、20℃〜80℃に設定することが好ましいが、より好ましくは40℃〜70℃である。高圧分散処理直後に冷却手段を用いて迅速に冷却し、所定の温度に下げるのが好ましい。冷却装置としては、任意の市販の熱交換器を用いることができる。
本発明の皮膚外用剤のpHとしては、グリチルレチン酸とアスタキサンチン類の双方の安定性向上の観点から、乳化物安定性の観点から、pH5以上8以下であることが好ましい。
pHは、各種pH調整剤等のpH調整能を有する成分の添加量を調整することにより調整することができる。
本発明の皮膚外用剤は、頭皮用化粧料として用いられることが特に好ましい。本発明の皮膚外用剤を頭皮用化粧料とする場合には、上述した成分以外に、例えば、エモリエント剤、トリートメント剤、潤滑剤、保湿剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、抗生剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、アンチエイジング剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、清涼剤、温感剤等を更に配合することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
≪グリチルレチン酸乳化物の調製≫
βグリチルレチン酸(丸善製薬製)0.54g、高純度大豆レシチン(辻製油製;SLP−ホワイト)2.00g、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素製;エルデュウSL−205)11.02g、オレイルアルコール1.84g、デシルテトラデカノール(高級アルコール工業製;リソノール 24SP)1.84g、ラウロイルグルタミ
ン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素製;エルデュウPS−203)は3.67gを混合し、70℃にて撹拌しながら溶解し、これを油性組成物Aとした。
一方、イソステアリン酸ポリグリセリル−10(日光ケミカル製;Decaglyn
1−ISV、HLB=12)6.13gを、グリセリン(和光純薬工業製)48.00g及びミリQ水24.97gの混合液中に70℃にて溶解させたものを水性組成物Aとした。
上記により調製した水性組成物A及び油性組成物Aを、TKホモミキサー(プライムミックス製)で60℃にて、500rpmの回転数で15分間粗乳化した。この粗乳化物を、超高圧分散装置であるスターバーストミニ機(スギノマシン製)で、60℃に保ちながら、圧力200MPaで2回通過させて微細乳化物(水中油型のグリチルレチン酸乳化物)を調製した。
調製直後の微細乳化物を、精製水で50倍に希釈したサンプルについて、ナノトラックUPA(日機装製)にて乳化物の平均粒子径の測定を行い、その体積平均粒子径(Mv)を求めた。乳化物の体積平均粒子径(Mv)は80μmであった。
≪アスタキサンチン乳化物の調製≫
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水性組成物Bを得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 3.1g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 6.4g
・グリセリン 42.0g
・純水 27.9g
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油性組成物Bを得た。
・オキアミ抽出アスタキサンチン液 15.0g
(アスタキサンチン類含有率5質量%、製品名:アスタックスST、イタノ食研(株)製)
・ミックストコフェロール
(理研ビタミン(株)製、理研Eオイル800) 4.4g
・レシチン
(理研ビタミン(株)製、製品名:レシオンP、大豆由来) 1.9g
上記で得られた水性組成物Bを70℃に保ったままホモジナイザー(機種名:HP93、(株)エスエムテー社製)で攪拌し(10000rpm)、水性組成物Bへ油性組成物Bを添加して予備乳化物を得た。
続いて、得られた予備乳化物を約40℃まで冷却し、アルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン乳化物(アスタキサンチン類含有率:0.3質量%)を調製した。
得られたアスタキサンチン乳化物をミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、乳化物の平均粒子径を測定した。乳化物の平均粒子径は、58nm(メジアン径(d=50))であった。
[実施例1〜5、比較例1〜8]
配合成分の種類及び含有比率が、表1に示される種類及び含有比率になるように、グリチルレチン酸乳化物、アスタキサンチン乳化物、防腐剤、及びその他の成分を混合して、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例8の皮膚外用剤を得た。
表1中、各成分の含有量は質量%を示す(全量100質量%)。
[評価]
上記で得られた実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例8の各皮膚外用剤の一部をそれぞれ評価用サンプルとし、以下の評価に用いた。それぞれの評価結果を表1に示す。
(1)SDSによる荒れ肌回復評価
グリチルレチン酸を含む皮膚外用剤による炎症抑制効果を確認するため、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて荒れ肌モデルでのパッチテスト評価を実施した。
荒れ肌モデルの条件に準じ、0.5質量%のSDS溶液を上腕部の所定の場所に塗布した後1時間放置し、閉塞パッチテストを行った。
その後、SDS溶液を塗布した場所と同じ場所に、水(コントロール)、実施例1〜5及び比較例1〜8の皮膚外用剤のいずれかである評価用サンプルを用いて、24時間閉塞パッチテストを実施した。テスト箇所における炎症の状態を目視で観察し、SDSによって荒れた肌の回復を評価した。
評価基準は、水を塗布した部位と同程度に赤くなったサンプルを「C」、僅かに赤くなったサンプルを「B」、全く赤みが残らなかったサンプルを「A」として評価した。
(2)防腐性
各評価用サンプルについて、日局の防腐性試験に従ったチャレンジテストを実施した。
評価は、各評価用サンプルに、真菌2菌(酵母及び黒コウジカビ)が10個となるように添加することにより行った。
2週間で真菌が、10個以下であったサンプルを「A」、10個以上であったサンプルを「B」、初期菌数と同等レベルであるものを「C」として評価した。
(3)乳化物安定性
乳化物の粒子径変化により皮膚外用剤に含まれる乳化物の安定性を評価する目的で、評価用サンプルの濁度評価を実施した。
濁度評価は、各評価用サンプルを50℃で1週間にわたり保管し、保管後の各サンプルの濁度を、UV可視分光光度計で625nmにおける光学濃度(OD)(1cmセル、透過測定)を用いて測定することにより行った。
濁度が0.5を超えたサンプルを「C」、濁度が0.3を超え0.5以下のサンプルを「B」、濁度が0.3以下のサンプルを「A」として評価した。
表1に示される結果から、以下のことが分かる。
グリチルレチン酸及びアスタキサンチン類の双方と特定防腐剤とを含有する実施例1〜5の皮膚外用剤は、SDSによる荒れ肌を回復させる効果があることが分かる。
更に、実施例1〜5の皮膚外用剤は、特定防腐剤であるメチルパラベン、フェノキシエタノール、エチルパラベン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルから選択される2種以上を組合せて含有することで、防腐性も十分であり、かつグリチルレチン酸含有乳化物及びアスタキサンチン乳化物の安定性を悪化させないことが明らかとなった。
一方、防腐剤を含有しない比較例1の皮膚外用剤は、防腐性が悪く、皮膚外用剤としての性能が十分でないことが明らかとなった。
従来の育毛剤で配合されているエタノール量(50質量%前後)に対応する量のエタノールを配合した比較例2の皮膚外用剤では、防腐剤を添加しなくても防腐性は付与されているものの荒れ肌回復効果が十分でなはないことが分かった。比較例2よりは少ない量でエタノールを配合した比較例3の皮膚外用剤については荒れ肌防止効果が十分でなく、さらにエタノール量が少ない比較例4では防腐性が低下した。これらの結果は、荒れ肌抑制は少量で配合されるエタノールによっても損なわれることを示す。
また、エタノールの配合量が多くなるに従って、乳化物の安定性も悪化することが判明した。
特定防腐剤以外の防腐剤を用いた比較例5(エチルヘキシルグリセリン及びカプリリルグリコールを含有)及び比較例6(カプリリルグリコール及びペンチレングリコールを含有)の皮膚外用剤は、防腐性は付与されるものの、乳化物の安定性が悪化することが分かった。
また、グリチルレチン酸を含有しない比較例7の皮膚外用剤、アスタキサンチン類を含有しない比較例8の皮膚外用剤は、荒れ肌回復効果が十分でないことが分かった。
[実施例6]
以下の処方に従って、ヘアエッセンスを調製した。以下の数値は処方の全質量に対する質量%を意味する。なお、グリチルレチン酸乳化物及びアスタキサンチン乳化物については、上述の方法により得た。
<組成> (質量%)
・グリチルレチン酸乳化物 1.85
・アスタキサンチン乳化物 0.05
・クエン酸 0.5
・フェノキシエタノール(I/O値=0.64) 0.4
・PEG−60水添ヒマシ油 0.3
・リン酸アスコルビルマグネシウム 0.3
・水酸化ナトリウム 適量
・パンテニルエチル 0.2
・メチルパラベン(I/O値=1.1) 0.2
・安息香酸ナトリウム 0.1
・ナイアシンアミド 0.02
・センブリエキス 0.001
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
・アセチルヒドロキシプロリン 0.001
・シャクヤク根エキス 0.001
・オタネニンジン根エキス 0.001
・ビワ葉エキス 0.001
・ホップエキス 0.001
・加水分解コラーゲン 0.001
・水溶性コラーゲン 0.001
・精製水 残量
実施例6のヘアエッセンスは、十分な頭皮の荒肌回復効果を有し、グリチルレチン酸含有乳化物及びアスタキサンチン含有乳化物の安定性が損なわれず、且つ、十分な防腐効果を有することを、上述の評価を行うことで確認した。
以上の結果より、グリチルレチン酸とアスタタキサンチン類の併用による荒れ肌回復効果を発揮させ、乳化物の安定性を損なわずに皮膚外用剤に防腐性を付与するためには、特定防腐剤を含有し、かつエタノールを実質的に含まないことが必要であることが明らかとなった。
また、本発明の皮膚外用剤を頭皮用化粧料に適用すれば、グリチルレチン酸及びアスタキサンチン類の双方による安定的な効果が期待できることがわかる。

Claims (8)

  1. グリチルレチン酸を含む乳化物と、
    アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、
    I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤と、
    を含有し、エタノールを含有しないか又はエタノールの含有量が1質量%以下である皮膚外用剤。
  2. グリチルレチン酸を含む乳化物が、リン脂質を含む乳化剤を含有する請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. グリチルレチン酸を含む乳化物が、N−アシルアミノ酸モノエステルを含有する請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. グリチルレチン酸を含む乳化物が、N−ラウロイルサルコシンイソプロピルを含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  5. I/O値が1.5以下であり、かつ、アルキル基を有さないか又はアルキル鎖長が5以下であり直鎖若しくは分岐のアルキル基を有する防腐剤が、フェノキシエタノール、パラベン類、及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルからなる群から選択される少なくとも1種の防腐剤を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  6. アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを、アスタキサンチン及びアスタキサンチン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとリン脂質を含む乳化剤とを含有する乳化物として含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  7. グリチルレチン酸の含有量が、0.0001質量%〜0.5質量%である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  8. 頭皮用化粧料である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
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