JP6807894B2 - 水中油型乳化組成物、及び皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本開示は、水中油型乳化組成物、及び皮膚外用剤に関する。
近年、抗酸化作用を有する成分、例えば、ポリフェノール類が注目され、なかでも、抗酸化作用が良好なレスベラトロールを含む製剤が注目されている。レスベラトロールは水溶性ではあるが、単独での安定性は十分ではなく、水媒体を含む製剤中に多量に含有させた場合、長期間保存することにより変色し、製剤の外観を損なうという問題があった。
このため、レスベラトロールを誘導体として安定性を向上する試みがなされており、各種の誘導体が提案されている。
レスベラトロール誘導体、水相、および少なくとも1種の油相形成剤を有する油相を含むエマルション化粧用組成物又は無水形態の化粧用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、レスベラトロールのヒドロキシ基をエステル化した誘導体であるプテロスチルベンが記載されている。
プテロスチルベンは、レスベラトロールと同等以上の抗酸化作用を有し、かつ、抗酸化作用による美白効果、老化抑制効果などが期待されている。
しかしながら、プテロスチルベンは単体では水性媒体に溶解し難く、製剤化が困難であった。例えば、水性媒体にプテロスチルベンを固体粒子状態で分散させ、懸濁液として製剤化しても、皮膚に適用した場合、皮膚への高い浸透性は望めなかった。
製剤化を目的として、タンパク質粒子及びプテロスチルベンを含有する組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、タンパク質粒子を共存させることにより、プテロスチルベンが水溶化することで、保存性、及び浸透性が良好な美白用組成物が得られるとされている。
さらに、油脂が乳化剤により水中油型に乳化されてなる乳化組成物において、油脂にプテロスチルベンを含む、乳化組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3には、親油性のプテロスチルベンを油脂に含ませることで、均一であり、かつ安定な乳化組成物とすることができる点、及び、食品、皮膚外用剤への用途も開示されている。
特表2010−535221号公報 特開2013−75850号公報 特開2016−101122号公報
特許文献1に記載の技術は、水溶性のレスベラトロールを誘導体とすることで、水性の製剤において、加水分解に対する安定性を向上させる目的でなされ、エマルション化粧用組成物としての安定性は評価されているが、有効成分の皮膚浸透性については検討がなされていない。
特許文献2に記載の組成物では、プテロスチルベンをタンパク質粒子と共存させることで水溶化させているため、安定性は向上するが、タンパク質粒子を利用するため、製剤の処方には制限があり、処方の自由度の向上、及び、肌への浸透性のより高いレベルでの実現に関して、なお改良の余地がある。
特許文献3に記載の乳化組成物は、油脂にプテロスチルベンが含まれた油相を有する乳化組成物であり、スプレッドなどの食品及びクリーム製剤などの外用剤としての均一塗布性は良好であるとされている。しかし、外用剤として皮膚に適用した際の、プテロスチルベンの皮膚浸透性については何らの検討もなされていない。
本発明の一実施形態の課題は、プテロスチルベンの皮膚浸透性、及び長期間に亘り保存した場合における安定性が良好な水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明の別の実施形態の課題は、長期間に亘り保存した場合における安定性が良好であり、プテロスチルベンの皮膚浸透性に優れる皮膚外用剤を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む。
<1> プテロスチルベン、プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度が20質量%以下であるエステル油、水、及び乳化剤を含む水中油型乳化組成物。
<2> プテロスチルベンのエステル油に対する含有量が0.1質量%〜30質量%である<1>に記載の水中油型乳化組成物。
<3> エステル油の分子量が、150〜600の範囲である<1>又は<2>に記載の水中油型乳化組成物。
<4> エステル油の無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance:IOB値)が、0.05〜0.2である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<5> エステル油が、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びパルミチン酸イソプロピルからなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<6> エステル油の分子構造が、分岐の脂肪酸を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<7> エステル油が、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、及びイソノナン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物を含む皮膚外用剤。
<9> 化粧料である<8>に記載の皮膚外用剤。
本発明の一実施形態によれば、プテロスチルベンの皮膚浸透性、及び長期間に亘り保存した場合における安定性が良好な水中油型乳化組成物を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、長期間に亘り保存した場合における安定性が良好であり、プテロスチルベンの皮膚浸透性に優れる皮膚外用剤を提供することができる。
培地へのプテロスチルベン添加量と、培地に播種された線維芽細胞におけるExtracellular matrix protein 1(ECM1)タンパク量との関係を表すグラフである。
以下、本開示の水中油型乳化組成物、及び皮膚外用剤の実施形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「水相」との語は、溶媒の種類にかかわらず、「油相」に対する語として使用する。
<水中油型乳化組成物>
本開示の水中油型乳化組成物(以下、乳化組成物と称することがある)は、プテロスチルベン、プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度が20質量%以下であるエステル油(以下、特定エステル油と称することがある)、水、及び乳化剤を含む。
本開示の乳化組成物は、プテロスチルベンと、特定エステル油とを含むことにより、親油性のプテロスチルベンが特定エステル油に溶解した状態で油相に含まれ、保持される。プテロスチルベンと特定エステル油とを含む油相と、水と、乳化剤とを含む混合物を、撹拌、混合することで水中油型の乳化物となる。
本開示の作用機構は明確ではないが以下のように推定している。
水中油型乳化組成物では、油相粒子が水相中に分散して存在している。
油性成分として、プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度が20質量%以下である特定エステル油を含むことで、乳化物の油相粒子中には、プテロスチルベンと特定エステル油とが含まれる。ここで、特定エステル油は、プテロスチルベンの飽和溶解度が比較的低いために、油相中では、プテロスチルベンが飽和或いは過飽和の状態で特定エステル油に溶解した状態で含まれる。
油相中に飽和又は過飽和状態でプテロスチルベンが含まれると、油相粒子が皮膚に適用された場合、プテロスチルベンの速やかな皮膚浸透性が得られると考えられる。
他方、プテロスチルベンの飽和溶解度が20質量%を超える、プテロスチルベンを溶解しやすい油性成分にプテロスチルベンを溶解させた場合には、油相粒子に同じ量のプテロスチルベンが含まれたとしても、油相への溶解性が高すぎるため、乳化組成物(油相)中に留まりやすくなり、速やかな皮膚への移行が妨げられると考えられる。
さらに特定エステル油の分子量が150〜600の範囲で乳化組成物中が皮膚に適用された場合、油相粒子中に存在する特定エステル油も速やかに皮膚に浸透する。そして、特定エステル油に含まれているプテロスチルベンもまた、特定エステル油に導かれて、皮膚へ浸透するというプテロスチルベンの引き込み効果、所謂、pulling−effectが発現することにより、プテロスチルベンの皮膚への浸透性が良好となると推定される。
既述の如く、水溶性のレスベラトロールに比較し、レスベラトロールのエステル化誘導体であるプテロスチルベンは、親油性が高く、油相に馴染みやすい。本開示の乳化組成物は、この点に着目し、後述する特定エステル油と併用することにより、皮膚に適用した場合の皮脂などへ馴染み、皮膚への浸透性の向上を実現した。
なお、本開示は、上記推定機構に何ら制限されない。
以下、本開示の乳化組成物に含まれる各成分について説明する。
[プテロスチルベン]
プテロスチルベンは、レスベラトロールのエステル化誘導体であり、下記構造に示すように、レスベラトロールにおける3つのヒドロキシ基のうち、2つがメチルエステル化された誘導体である。
プテロスチルベンは、抗酸化、抗炎症、及び美白効果を有することが知られている。
プテロスチルベンは、例えば、マメ科の植物であるプテロカルプスマルスピウムの樹皮などから抽出することができる。また、合成により得ることができる。
プテロスチルベンは市販品としても入手可能であり、例えば、サビンサ社製、プテロホワイト(商品名)、BASF社製、TRICHOLASTYL LS 9912(商品名)、pTeroPure社製、Pterostilbene、富士フイルム和光純薬(株)製、プテロスチルベンなどが挙げられる。
(Extracellular matrix protein 1(ECM1)発現促進剤)
プテロスチルベンは、Extracellular matrix protein 1(以下、「ECM1」又は「EMC1タンパク」と称することがある)の発現量を促進し得る。ECM1の発現量を促進し得る化合物を、以下、「ECM1発現促進剤」と称することがある。
基底膜は、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(パールカン)、エンタクチン等より構成されている細胞外マトリックスの1種で、真皮と表皮の境界に存在し、細胞接着における足場としての役割を担っている。すなわち、表皮と真皮との結合、表皮に対する力学的強度の付与をもたらす他、液性因子等を介した表皮および真皮間のコミュニケーション制御に対して寄与している。
ECM1は、基底膜の構成成分であるIV型コラーゲン、ラミニン332、パールカン、コンドロイチン硫酸等と結合することが知られている。ECM1は、このように種々の成分と結合可能な成分であることから“Biological glue”とも呼ばれ、基底膜の構造維持に重要な役割を担っている。
ECM1の遺伝的異常はLipoid Proteinosis(リポイドタンパク症)として知られている。リポイドタンパク症は、局所的には基底膜IV型コラーゲンの局在異常、真皮のヒアリン化などの発生を引き起こし、表現型としては、表皮の萎縮または皺様変化、摩擦に弱く傷跡ができやすい表皮など、加齢に伴う皮膚変化に酷似した症状を引き起こす。
ECM1は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP:Matrix metalloproteinase)の1種であり、IV型コラーゲンを分解する酵素であるマトリックスメタロプロアーゼ9(MMP−9)の活性阻害に有用であること、ECM1の発現自体は加齢によって減少すること等が報告されている。従って、ECM1は抗老化の指標として非常に重要なタンパク質であると考えられる。
既述のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、加齢、紫外線の長期暴露によって引き起こされる光老化等の様々な影響によって皮膚中で増加することにより、基底膜の構成成分であるIV型コラーゲン、VII型コラーゲン、ラミニン等の分解を促進することが知られている。
本発明者らは、上述したような点に着目し、ECM1の発現量を促進する、即ち、ECM1の発現量を増加させ得る作用を示す化合物によって、皮膚中のECM1量を増加させ、抗老化効果を高めることを検討した結果、プテロスチルベンがECM1発現促進剤として有用であることが明らかとなった。
本開示の乳化組成物は、ECM1発現促進剤としてプテロスチルベンを含有する態様を包含する。なお、本開示の効果を妨げない限り、本開示の乳化組成物は、ECM1発現促進の効果を示すプテロスチルベン以外の化合物を1種以上含んでいてもよい。
[プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度が20質量%以下であるエステル油:特定エステル油]
本開示の乳化組成物は、特定エステル油を含有する。
特定エステル油としては、プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度(以下、単に飽和溶解度と称することがある)が20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。
飽和溶解度の下限は特に制限はないが、プテロスチルベンを有効量含むことができるという観点からは、1質量%以上であることができ、5質量%以上であることが好ましい。
特定エステル油の、プテロスチルベンの飽和溶解度は、以下の方法により測定することができる。
(飽和溶解度の測定)
特定エステル油を80℃に加熱し、プテロスチルベンを添加して溶解させる。添加量としては、加熱したエステル油に溶解しきれなくなったプテロスチルベンの存在を確認し得る量とする。特定エステル油に溶解しきれなくなったプテロスチルベンの存在は、加熱したエステル油が懸濁すること、即ち、溶解し得ない固体状のプテロスチルベンが観察されることにより確認することができる。
その後、プテロスチルベンを溶解した特定エステル油を25℃まで冷却する。冷却することにより特定エステル油に溶解し得るプテロスチルベンの量が減少するため、当初特定エステル油に溶解していたプテロスチルベンが固体状態となり析出する。25℃に冷却した特定エステル油と、溶解しきれず析出した固体状態のプテロスチルベンとを固液分離する。分光光度計を用い、別途測定した検量線から、分離して得られた特定エステル油に含まれるプテロスチルベンの含有量を測定し、得られた特定エステル油の量に対するプテロスチルベンの含有量から、飽和溶解度を算出する。
測定条件の詳細は以下の通りである。
<測定条件>
プテロスチルベンを、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルに、それぞれ、0.005質量%、0.01質量%および0.02質量%になる量を溶解し、分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、U−3310)にて、光路長1cmのセルを用いて測定し、波長323nmの値で検量線を引く。
サンプルとしての、プテロスチルベンを溶解した特定エステル油を、使い捨てシリンジで吸い、PTFEフィルターにてろ過することにより固液分離し、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルで希釈し、プテロスチルベンを0.02質量%〜0.05質量%含む試料を調製する。続いて、分光光度計を用いて、波長323nmの値で、光路長1cmのセルを用いて調整した試料測定し、abs0.5〜3になる値の濃度から、分離して得られた特定エステル油に含まれるプテロスチルベンの含有量を決定し、飽和溶解度を算出した。
なお、測定に用いる分光光度計およびセルの材質は、上記の測定方法が可能な限り特に限定されず、市販されているものを適宜選択することができる。
特定エステル油は、皮膚への浸透がより良好となるという観点から、分子量は600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましい。油相粒子の安定性の観点からは、分子量は150以上であることが好ましい。
即ち、乳化組成物における特定エステル油の分子量は、150〜600が好ましく、200〜550がより好ましく、200〜500がさらに好ましい。
特定エステル油の分子量が600以下であることで、乳化組成物に含まれるプテロスチルベンの皮膚浸透性がより良好となる。即ち、皮膚に接触した場合、特定エステル油の分子量が600以下であることにより、角質の微細な空隙に特定エステル油が浸透しやすく、特定エステル油に誘導されて皮膚に浸透するプテロスチルベンの浸透性も、より向上すると考えられる。
特定エステル油は、分子構造も影響するため一概には言えないが、プテロスチルベンの溶解度の観点からは、無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance:以下、IOB値と称する)が、0.05〜0.35以下であることが好ましく、0.05〜0.2であることがより好ましく、0.09〜0.15であることがさらに好ましい。
IOB値は、I/O値とも称され、有機概念図に基づき求められる無機性値(Inorganic Value:IV)及び有機性値(Organic Value:OV)の比を表わす値として周知であり、油性基剤の極性の度合いを表し、下記の式(I)で表される。[「有機化合物の予測と有機概念図」、藤田(化学の領域11−10)、1957年、p.719〜725、「有機概念図による乳化処方設計」日本エマルジョン株式会社、矢口、1985年、p.98]に従って、下記式(I)により求められる。
IOB値=無機性値(IV)/有機性値(OV) (I)
乳化組成物に使用し得る特定エステル油の例を挙げるが、以下の例に限定されない。なお、特定エステル油の名称には、既述の方法により測定したプテロスチルベンの飽和溶解度、分子量、及びIOB値をこの順に併記する。
特定エステル油としては、ステアリン酸イソセチル(飽和溶解度:8質量%、分子量:509.0、IOB値:0.09)、イソステアリン酸ヘキシルデシル(飽和溶解度:8質量%、分子量:508.9、IOB値:0.09)、ミリスチン酸オクチルドデシル(飽和溶解度:8質量%、分子量:508.5、IOB値:0.09)、イソステアリン酸イソステアリル(飽和溶解度:8質量%、分子量:537.0、IOB値:0.09)、ミリスチン酸イソセチル(飽和溶解度:10質量%、分子量:508.9、IOB値:0.1)、イソノナン酸イソトリデシル(飽和溶解度:12質量%、分子量:368.6、IOB値:0.15)、エチルヘキサン酸セチル(飽和溶解度:15質量%、分子量:368.4、IOB値:0.13)、パルミチン酸エチルヘキシル(飽和溶解度:16質量%、分子量:368.4、IOB値:0.13)、ミリスチン酸イソプロピル(飽和溶解度:14質量%、分子量:207.5、IOB値:0.18)、イソノナン酸イソノニル(飽和溶解度:14質量%、分子量:284.3、IOB値:0.20)、ネオペンタン酸イソデシル(飽和溶解度:15質量%、分子量:242.4、IOB値:0.22)、及びパルミチン酸イソプロピル(飽和溶解度:20質量%、分子量:298.5、IOB値:0.35)が挙げられる。本開示の乳化組成物は、特定エステル油として、既述の特定エステル油からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
特定エステル油のなかでも、低温安定性が高いという観点からは、分子内に分岐の脂肪酸残基を含むエステル油が好ましい。
特定エステル油のなかでも、安定性と皮膚浸透性とがより高いという観点からは、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、及びイソノナン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
乳化組成物は、特定エステル油を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
乳化組成物における特定エステル油の含有量は、乳化組成物の使用目的に応じて、必要な量のプテロスチルベンを導入し得る量を考慮して適宜選択される。
一般的には、乳化組成物の全量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜6質量%であることがより好ましく、2質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
乳化組成物における特定エステル油の含有量が上記範囲において、乳化組成物の安定性がより向上し、皮膚に適用した際により良好な皮膚浸透性が達成できる。
既述のプテロスチルベンのエステル油に対する含有量は、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることが好ましい。
また、プテロスチルベンは、既述の特定エステル油に対し、飽和又は過飽和の濃度となる量での含有されることが好ましい。
乳化組成物における特定エステル油の含有量は、例えば、乳化組成物に、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルなどの有機溶媒を添加して、乳化粒子を崩壊させて希釈し、高速液体クロマトグラフィーにより水相と油相とに分離させ、油相を分取して、定量することにより測定することができる。
また、分取した油相中に含まれるプテロスチルベンの含有量は、既述の方法で測定することができる。
さらに、得られた特定エステル油の含有量、プテロスチルベンの含有量、及び予め確認した特定エステル油のプテロスチルベンの飽和溶解度から、プテロスチルベンが、特定エステル油中に飽和或いは過飽和で含まれているか否かを確認することができる。
(乳化剤)
本開示の乳化組成物は、乳化剤を含む。
乳化剤を含むことにより、乳化組成物中の油相と水相との界面張力を大きく下げることができ、油相粒子の安定性が良好となる。
乳化剤として使用し得る界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、両性、及び非イオン性の各界面活性剤を挙げることができ、特に制限は無い。なかでも、非イオン性界面活性剤が好ましい。
乳化剤としては、乳化安定性の観点から、親水性−疎水性バランス(以下、HLBと称する)が8以上のものが好ましく、10以上のものがより好ましく、12以上のものが特に好ましい。またHLB値の上限は、特に限定されないが、一般的には、20以下であり、18以下が好ましい。
なかでも、水性媒体に溶解する乳化剤、好ましくは、乳化剤としての親水性の界面活性剤を含むことが、油相粒子の粒径をより小さくできる点で好ましい。
本明細書においては、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスとして以下に示す川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式から、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができることが理解される。
乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルは、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、リョートー(登録商標)シュガーエステル S−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、O−170、O−1570、M−1975、P−170、P−1570(以上、商品名、三菱ケミカルフーズ(株)製)、DKエステル(登録商標)SS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−20W、F−10、FA−10E、コスメライク(登録商標)S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190 (以上、商品名、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が好ましくは6〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の脂肪酸から選ばれる脂肪酸のエステルから選ばれるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
より具体的には、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンリノール酸エステル、デカグリセリンイソステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL(登録商標、以下同様) Decaglyn 1−ISV、NIKKOL Decaglyn 1−OV、NIKKOL Decaglyn 1−LN、三菱ケミカルフーズ(株)製、リョートーポリグリエステル O−15D、O−50D、太陽化学(株)製、サンソフトQ−17S、理研ビタミン(株)製、ポエムJ−0381Vなどが挙げられる。
乳化剤としてリン脂質を用いてもよい。
リン脂質としては、グリセロリン脂質が挙げられる。グリセロリン脂質としては、例えば、ホスファチジン酸、ビスホファチジン酸、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等が挙げられる。
また、リン脂質として、既述の成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のリン脂質、卵黄、牛等の動物由来のリン脂質、大腸菌等の微生物等由来の各種レシチン等を用いることができる。
また、リン脂質として、スフィンゴリン脂質、例えば、スフィンゴミエリン等を使用することができる。
グリセロリン脂質として、酵素分解したグリセロリン脂質を使用することもできる。
例えば、レシチンを酵素分解したリゾレシチン(酵素分解レシチン)は、グリセロリン脂質の1位又は2位に結合した脂肪酸(アシル基)のいずれか一方が失われたものである。脂肪酸基を1本にすることにより、レシチンの親水性を改善し、水に対する乳化性、分散性を向上させることができる。
リゾレシチンとしては、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また、レシチンに代表されるグリセロリン脂質は、水素添加物、及びヒドロキシル化されたリン脂質を用いることができる。
リン脂質を水素添加することにより、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、リン脂質をヒドロキシル化することにより、レシチンの親水性が改良される。
これらの水素添加レシチン、及びヒドロキシル化されたレシチンは、皮膚外用剤へ適用することも好ましい。
なかでも、乳化安定性の点で、グリセロリン脂質であるレシチン、リゾレシチン等が好ましく、レシチンがより好ましい。
レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来、食品、医薬品、及び化粧料分野で、広く乳化剤として使用されている。
乳化組成物において乳化剤として用いられるレシチンは、レシチン純度80質量%以上のレシチンを用いることが好ましく、90質量%以上のレシチンを用いることがより好ましい。
レシチン純度(質量%)は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。
高純度レシチンは、リゾレシチンに比べて親油性が高く、従ってレシチンと油性成分との相溶性が高くなり、乳化安定性を向上させていると考えられる。
乳化組成物は、乳化剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
乳化組成物における乳化剤の含有量は、乳化組成物の全量に対して、乳化剤の総量として、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、2質量%〜15質量%がさらに好ましい。
乳化組成物に対する乳化剤の含有量を0.5質量%以上とすることにより、油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなく乳化組成物の泡立ち等の発生を抑制し得る点で好ましい。
[水]
本開示の乳化組成物は、水を含有する。
水としては、特に制限はなく、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を使用することができる。
乳化組成物を化粧料等の皮膚外用剤用途に使用する場合には、水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
水の含有量は、特に限定されない。
乳化組成物における水の含有量は、乳化組成物の全量に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
[その他の成分]
乳化組成物は、プテロスチルベン、特定エステル油、水及び乳化剤に加えて、効果を損なわない範囲において、目的に応じてその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、特定エステル油以外の油脂類などの油相成分、ビタミン類、カロテノイド、プテロスチルベン以外の美白成分などの有効成分、多価アルコール、紫外線防止剤、酸化防止剤、着色剤、香料、防腐剤、pH調整剤などが挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE等のビタミンおよびそのエステル誘導体などが挙げられる。
ビタミン類としては、より具体的には、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノイン酸トコフェリル、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル等が挙げられる。
乳化組成物は、ビタミン類を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
乳化組成物がビタミン類を含む場合の、ビタミン類の含有量は、乳化組成物の全量に対して、0.1質量%〜9質量%であることが好ましく、0.5質量%〜6質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
油性の有効成分としては、油性媒体に溶解する有効成分であれば、特に限定は無い。なかでも、カロテノイド、トコフェロール等の油溶性ビタミンを含むラジカル捕捉剤、ココナッツ油等の油脂等が挙げられる。
有効成分として、油性の有効成分であるカロテノイドを含有することができる。
カロテノイドは、黄色から赤のテルペノイド色素であり、植物類、藻類、及びバクテリア由来の色素を含む。
カロテノイドは、天然由来に限定されず、常法に従って得られるカロテノイドであればよい。例えば、後述するカロテノイドのカロチンの多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造されている。
カロテノイドとしては、炭化水素(カロチン)及びそれらの酸化アルコール誘導体(キサントフィル)等が挙げられる。
カロテノイドとしては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチンの混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステルが挙げられる。
特に好ましく用いられるカロテノイドとしては、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られるアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体から選ばれる化合物が挙げられる。
乳化組成物には、特定エステル油以外の油脂類を含むことができる。
乳化組成物は、油相粒子の粒径の制御、安定性、及び防腐性の観点から多価アルコールを含有することができる。
多価アルコールは、保湿機能、粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な油相粒子を形成し易くする機能を有する。
以上より、乳化組成物が多価アルコールを含有することは、油相粒子の平均粒径をより微細化でき、かつ粒径が微細な油相粒子を長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。
また、多価アルコールの添加により、乳化組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができる。
多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず用いることができる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、果糖、ブドウ糖、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビトール、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種用いることができる。
また、多価アルコールとしては、その1分子中における水酸基の数が、3個以上であるものを用いることが好ましい。これにより、水系溶媒と油脂成分との界面張力をより効果的に低下させることができ、より微細で、かつ、安定な微粒子を形成させることができる。その結果、例えば、乳化組成物を化粧料等の皮膚外用剤の用途に適用する場合はプテロスチルベン等の有効成分の経皮吸収性をより高いものとすることができる。
多価アルコールの中でも、特に、グリセリンを用いた場合、乳化組成物における油相粒子の粒径がより小さくなり、かつ油相粒子の粒径が小さいままで長期間に亘り安定して保持されるため、好ましい。
乳化組成物が多価アルコールを含有する場合の、多価アルコールの含有量は、油相粒子の安定性、防腐性及び好ましい粘度を乳化組成物に付与しやすいとの観点から、乳化組成物に対して10質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜55質量%、さらに好ましくは30質量%〜50質量%である。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が60質量%以下であると、最大限の効果が得られ、乳化組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
本開示の乳化組成物の油相粒子の粒径は、特に限定されないが、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、最も好ましくは90nm以下である。
乳化組成物における油相粒子の粒径を200nm以下とすることにより、乳化組成物を化粧料等の皮膚外用剤に適用した場合の透明性が悪化し難く、経皮吸収性がより良好となることが期待されるため好ましい。
乳化組成物における油相粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
粒径範囲及び測定の容易さから、本明細書における油相粒子の粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本実施形態における油相粒子の粒径(平均粒径)は、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、乳化組成物を純水にて1質量%に希釈して、ガラスセルを用いて測定し、メジアン径(d=50)値を粒径とする。
前述した乳化組成物の成分以外に、後述する乳化組成物の製造方法における撹拌条件(撹拌時に付与するせん断力、温度、圧力等)、油相と水相との含有比率等を調整することによっても、乳化組成物における油相粒子の粒径を制御することができる。
<乳化組成物の製造方法>
乳化組成物の製造方法は、特に限定されない。製造方法としては、例えば、(1)水性媒体(水等)と、所望により含まれる多価アルコールなどの水性成分と、を混合して水相を得ること、(2)プテロスチルベンと、特定エステル油と、所望により含有される油性成分(例えば、油脂類、カロテノイド等)と、を混合して、油相を得ること、及び(3)撹拌下で得られた水相と油相とを混合して、乳化分散を行い、乳化組成物を得ること、の各ステップを含む製造方法が挙げられる。
なお、プテロスチルベンは特定エステル油に飽和又は過飽和状態で含まれることが好ましいため、油相を得る場合、特定エステル油を60℃〜90℃に昇温し、昇温した温度を維持した状態で、プテロスチルベン及びその他の油性成分を特定エステル油に溶解又は混合して油相を調製することが好ましい。
乳化剤は、特性に応じて、水相に含ませてもよく、油相に含ませてもよく、水相と油相の双方に乳化剤をそれぞれ含ませてもよい。
製造方法における油相、及び水相に含有される成分は、前述の乳化組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せも同様である。
乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されない。油相と水相との比率(質量)は、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80がさらに好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分の含有量が低くならないため乳化組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、乳化組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
乳化分散は、1ステップの乳化操作により行ってもよく、2ステップ以上の乳化操作を行ってもよい。なかでも、2ステップ以上の乳化操作を行うことが、均一で微細な油相粒子を得る点から好ましい。
乳化操作としては、具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラー、インペラーを備えた撹拌装置、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、既述の1ステップ乳化に使用される乳化装置による処理を行なった後、さらに、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用する方法が好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化組成物における油相粒子を、さらに均一で微細な粒径の粒子とすることができる。また、油相粒子の粒径をさらに均一にする目的で、乳化処理をさらに複数回行ってもよい。
既述の製造方法は一例ではあるが、既述の方法にて本開示の乳化組成物を製造することができる。
乳化組成物の製造方法は、さらに、得られた乳化組成物を殺菌する工程などの、他の工程を含むことができる。
<皮膚外用剤>
本開示の乳化組成物は、化粧料に代表される皮膚外用剤に使用することができる。
本開示の皮膚外用剤は、本開示の乳化組成物を含む。
皮膚外用剤としては化粧料の態様をとってもよい。
皮膚外用剤としての化粧料は、例えば、スキンケア化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリーム、美白化粧料など)、日焼け止め化粧料、化粧下地クリーム、ファンデーション、口紅等のメークアップ化粧料などを挙げることができるが、これらに制限されない。
また、乳化組成物を適用した皮膚外用剤には、既述の本開示の乳化組成物に加え、さらに必要に応じて、皮膚外用剤に添加可能な成分を適宜添加することができる。
皮膚外用剤に用いられる乳化組成物の含有量は、使用態様の種類、目的などによって適宜選択することができる。一例を挙げれば、皮膚外用剤に対して、0.01質量%〜100質量%とすることができ、好ましくは、0.05質量%〜10質量%の範囲で用いることができる。
乳化組成物を、例えば、化粧料等の皮膚外用剤に適用する場合には、必要に応じて添加可能な成分を常法により混合等して得ることができる。
乳化組成物を、保湿乳液、保湿クリーム、化粧水、美容液、美白化粧料、乳液、マスク、パック、洗髪用化粧料、フレグランス化粧料、液体ボディ洗浄料、紫外線ケア化粧料、防臭化粧料、オーラルケア化粧料等(化粧料の場合)などに使用した場合には、長期保存した場合も安定な製品が得られ、かつ、プテロスチルベンが有する美白効果、抗酸化効果の発現が期待できる。
さらに、本開示の乳化組成物は、抗ヒスタミン剤等の治療に必要な有効成分を含む皮膚外用治療剤の基剤として使用することができる。
以下、乳化組成物及び皮膚外用剤について実施例を挙げてより具体的に説明する。下記実施例は実施形態の一例を示しており、本開示は、実施例に何ら制限されない。
なお、特に断らない限り、「%」は質量基準である。
以下に記載の組成物において、各成分を「%」にて表示した組成における「残量」とは、組成物の総量が100%となる残量を示す。
〔実施例1〕
下記の成分を、80℃に加熱し、80℃の温度を維持したまま1時間撹拌して、油相組成物を得た。
(油相組成物)
プテロスチルベン 1.3%
イソノナン酸イソトリデシル 12.7%
(プテロスチルベンの飽和溶解度:12質量%、分子量:368.6、IOB値:0.15の特定エステル油である)
レシチン(乳化剤) 1.0%
下記の成分を、80℃に加熱し、80℃の温度を維持したまま1時間撹拌して、水相組成物を得た。
(水相組成物)
オレイン酸ポリグリセリル−10(乳化剤) 6.7%
ステアリン酸スクロース(乳化剤) 3.3%
水 75.0%
得られた水相組成物を80℃に保ったまま超音波ホモジナイザー装置(機種名:US−600AT、(株)日本精機製作所製)を用いて超音波分散を行なった。
得られた分散物を、スターバーストミニ((株)スギノマシン製)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化分散を行ない、高圧乳化分散を2回繰り返して行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターを用いてろ過して、実施例1の乳化組成物を調製した。
〔実施例2〜実施例15、比較例1〜比較例4〕
実施例1で用いた特定エステル油であるイソノナン酸イソトリデシルを、下記表1に記載の特定エステル油又は比較油脂に代え、かつ、プテロスチルベンの含有量を、特定エステル油又は比較油脂の物性に応じて表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例15及び比較例1〜比較例4の乳化組成物を得た。
<乳化組成物の評価>
実施例又は比較例で作製した乳化組成物、懸濁液、又は可溶化液について、以下の方法で評価し、結果を下記表1に示す。
(1.皮膚浸透性の評価)
メルク社製、Strat−Mを、人工皮膚として評価に使用した。Strat−Mを円形に切り出し、フランツセルに固定した。
実施例又は比較例で作製した乳化組成物、懸濁液、又は可溶化液は、70℃湯浴につけ、水分を除去した後、52mgをフランツセルのドナー液に添加した。
レセプター液は、PEG−60水添ヒマシ油(商品名:NIKKOL(登録商標) HCO−60 日光ケミカルズ(株)製)を5%添加したリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline:PBS)を使用した。
レセプター液を撹拌しながら、ウォータージャケットを用いて32℃に保ち、22時間後にレセプター液を回収した。
レセプター液を分光光度計(U−3310、(株)日立ハイテクサイエンス製)にて測定し、透過したプテロスチルベンの量を既述の方法にて算出した。
−評価基準−
A:透過量が20ppm以上
B:透過量が10ppm以上20ppm未満
C:透過量が10ppm未満
(2.高温経時安定性の評価)
得られた乳化組成物の作製直後、及び作製後、50℃にて1週間経過させた後に、それぞれを100倍に水希釈し、分光光度計(V−630、(株)日本分光製)にて濁度を測定した。作製直後の濁度と、50℃にて1週間経過後の濁度とを算出し、以下の評価基準により評価を行なった。
−評価基準−
A:濁度変化が0.02以下
B:濁度変化が0.02を超え0.05以下
C:濁度変化が0.05を超えた
実施例1〜実施例15の乳化組成物は、いずれも、プテロスチルベンの経皮吸収性が良好であり、50℃にて1週間保存した後においても濁度の上昇が見られず、乳化組成物の保存後の安定性が良好であることがわかる。
上記の結果より、実施例の乳化組成物は、プテロスチルベンを含有しつつ、安定性が良好であり、プテロスチルベンの経皮透過性も良好であることから、化粧料などの皮膚外用剤に適用した場合、外観が良好となり、かつ、プテロスチルベンの皮膚への浸透による効果が期待できることがわかる。
各実施例、比較例の乳化組成物に用いた成分の詳細は以下の通りである。
(プテロスチルベン)
・プテロスチルベン(プテロカルプスマルスピウム樹皮エキス、プテロホワイト:商品名、サビンサ社製)
(特定エステル油)
・イソノナン酸トリデシル(サラコス913:商品名、日清オイリオ(株)製)
・ステアリン酸イソセチル(NIKKOL(登録商標、以下同様) ICS−R:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・イソステアリン酸ヘキシルデシル(NIKKOL ICIS:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・ミリスチン酸オクチルドデシル(NIKKOL ODM−100:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・イソステアリン酸イソステアリル(NIKKOL ISIS:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・ミリスチン酸イソセチル(NIKKOL ICM−R:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・エチルヘキサン酸セチル(CEH:商品名、高級アルコール工業(株)製)
・パルミチン酸エチルヘキシル(NIKKOL IOP:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・ミリスチン酸イソプロピル(NIKKOL IPM−EX:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
・イソノナン酸イソノニル(KAK99:商品名、高級アルコール工業(株)製)
・ネオペンタン酸イソデシル(ネオライト100P:商品名、高級アルコール工業(株)製)
・パルミチン酸イソプロピル(NIKKOL IPP−EX:商品名、日光ケミカルズ(株)製)
(比較油脂)
・トリエチルヘキサノイン(IOTG:商品名、日本精化(株)製)
・ジカプリン酸PG(NIKKOL PDD:商品名、日光ケミカルズ(株)社製)
・ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(エステモールN01:商品名、日清オイリオ(株)製)
・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(O.D.O:商品名、日清オイリオ(株)製)
・トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(NS308:商品名、日本精化(株)製)
(乳化剤)
・レシチン(SLPホワイト、辻製油(株)製)
・オレイン酸ポリグリセリル−10(ポエムJ−0381V:商品名、理研ビタミン(株)製)
・ステアリン酸スクロース(DKエステル(登録商標)SS:商品名、第1工業製薬(株)製)
(その他の成分)
・グリセリン(食品添加物濃グリセリン、花王(株)製)
<低温安定性の評価>
なお、上記乳化組成物の評価に加え、さらに、以下の手順に従い、プテロスチルベンを油性成分に溶解させた溶液を調製し、4℃にて3日間保存する強制経時試験を行なって、経時後のプテロスチルベンの油性成分内における低温安定性を、下記評価基準に従って評価した。結果を下記表2に示す。
特定エステル油又は比較油脂を、70℃に加温し、プテロスチルベンを溶解させた。特定エステル油又は比較油脂とプテロスチルベンとの総量に対するプテロスチルベンの含有量は、いずれも記述の方法により測定したプテロスチルベンの飽和溶解度とした。
得られたプテロスチルベンの油性成分溶液を、4℃にて3日間保存し、保存後の溶液を目視評価し、以下の評価基準により評価を行なった。
−評価基準−
A:固形分の析出が目視にて確認されない
B:一部に固形分の析出が認められた
C:析出が著しく、全体が固化した

表2の結果より、比較油脂は、いずれもプテロスチルベンの飽和溶解量が大きいため、低温におけるプテロスチルベンの溶解性が良好であり、析出が抑制されていることがわかる。
プテロスチルベンの飽和溶解量が20質量%以下である特定エステル油のなかでも、分子内に分岐の脂肪酸構造を含むエステル油は、プテロスチルベンの溶解性がより良好となり、低温で経時させた場合も、プテロスチルベンの析出がより抑制され、低温安定性がより良好であることがわかる。
〔実施例16〕
組成を以下の如く変更した以外は、実施例1に記載の方法に従って乳化組成物を得た。
(油相組成物)
プテロスチルベン 1.25%
ミリスチン酸オクチルドデシル 12.75%
ステアリン酸ポリグリセリル−2 0.28%
(水相組成物)
ミリスチン酸ポリグリセリル−10 10%
グリセリン 40%
水 残量
実施例13の乳化組成物を実施例1と同様に評価したところ、同等の浸透性であった。
〔実施例17:美容液〕
(成分) (%)
プテロスチルベン乳化組成物 0.1
ブチレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
ベタイン 3.0
ソルビトール 3.0
キサンタンガム 0.5
PEG−75 3.0
アスタキサンチン(ヘマトコッカス藻抽出物) 0.05
コラーゲン 0.5
水溶性コラーゲン 0.5
ダマスクバラ花油 適量
PEG60水添ヒマシ油 適量
ビタミンE 0.01
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 0.1
リン酸Na 0.8
水酸化ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 0.1
〔実施例18:乳液〕
(成分) (%)
プテロスチルベン乳化組成物 1.0
スクワラン 8.0
ホホバ油 7.0
パラアミノ安息香酸グリセリル 1.0
リン酸アスコルビルマグネシウム 0.5
セチルアルコール 1.5
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
ポリオキシエチレンソオルビタンモノオレート 2.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
グリセリン 2.0
1,2−ペンタンジオール 3.0
コラーゲン 1.0
クエン酸ナトリウム 1.0
香料 適量
精製水 残量
〔実施例19:美白クリーム〕
(成分) (%)
プテロスチルベン乳化組成物 0.5
セトステアリルアルコール 3.0
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 1.0
モノステアリン酸ソルビタン 1.0
N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム
0.5
ワセリン 5.0
ジメチルポリシロキサン(100mPa・s) 3.0
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
アスタキサンチン 0.05
エラグ酸 0.05
乳酸 1.0
ジプロピレングリコール 10.0
アルブチン 3.0
クエン酸ナトリウム 0.5
リン酸アスコルビルマグネシウム 0.1
酸化チタン 0.1
香料 適量
エデト酸2ナトリウム 0.03
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
精製水 残量
〔実施例20:ジェリー様美容液〕
(成分) (%)
ブチレングリコール 5.0
プテロスチルベン内包カゼイン 1.1
グリセリン 7.0
(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)
コポリマー 1.0
アスタキサンチン(ヘマトコッカス藻抽出物) 0.05
セラミド 1.0
コラーゲン 0.5
水溶性コラーゲン 0.5
パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム 0.01
ダマスクバラ花油 適量
PEG60水添ヒマシ油 適量
ビタミンE 0.01
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 0.1
リン酸Na 0.8
水酸化ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 0.1
[プテロスチルベンによるECM1発現量の促進作用の評価]
プテロスチルベンによるECM1発現量の促進効果を以下の方法により確認した。
なお、プテロスチルベンには、プテロホワイト((株)サビンサ・ジャパン・コーポレーション)を用いた。
(1)正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞の培養
正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞(以下、繊維芽細胞と称することがある)を、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)培地(Thermo Fisher Scientific社、Gibco(登録商標))に、10%ウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum,Thermo Fisher Scientific社GIBCO(登録商標))及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を含有させた培地を用い、6wellプレートに10000 cells/cmになるように播種し、3時間培養した。
続いて、培地を各濃度のプテロスチルベン含有培地へ交換し、炭酸ガスインキュベーター(37℃、5%CO)内で、正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞を、さらに3日間培養した。
(2)ECM1発現量の評価
繊維芽細胞を3日間培養した後、トリプシン−EDTA(エチレンジアミン四酢酸)処理によって細胞を回収し、細胞破砕液を添加し、ボルテックス処理後、氷上にて1時間静置した。細胞破砕液は、0.2M リン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)に対して、1体積(v)/体積(v)% Triton X−100(polyoxyethylen octylphenyl ether)、プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Applied Science社)1錠を添加したものを用いた。
その後、12900rpm(rotations per minute)で10分間遠心分離を行い、上清溶液を回収して各サンプルの細胞タンパク溶解液とした。回収した各サンプルの細胞タンパク溶解液の総タンパク量をProtein Quantification Kit−Rapid((株)同仁化学研究所)を用いて定量した。
ECM1発現量は、ウェスタンブロッティングにより評価した。
まず、サンプルバッファーとしてSDS(Sodium dodecyl sulfate)サンプルバッファーを用いたポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE:Sodium dodecyl sulfate Poly Acrylamide Gel Electrophoresis)を加熱処理して、各サンプルの細胞タンパク溶解液を分離し、PVDF(Polyvinylidene Difluoride)膜に転写した。続いて、PVDF膜をブロッキングし、1質量(w)/体積(v)%のTween(登録商標) 20(polyoxyethylen(20)sorbitan monolaurate:東京化成工業(株))含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS:Phosphate buffered saline)にて洗浄した。洗浄後、一次抗体にウサギ抗ECM1抗体(ab126629;アブカム社)、二次抗体にHRP標識抗ウサギ抗体 (NA934VS;GEヘルスケア Cruz Biotechnology社)を用い、ECL検出試薬(GEヘルスケア社)およびLAS−3000(富士フイルム(株))によって目的のバンドを検出及び定量した。
その結果、線維芽細胞のECM1発現量は、プテロスチルベン無添加の水準に対して、10μMのプテロスチルベンを添加した培地で約1.4倍、30μMのプテロスチルベンを添加した培地で約2.2倍にそれぞれ増加した。結果を図1に示す。図1は、培地へのプテロスチルベン添加量と、培地に播種された線維芽細胞におけるECM1発現量との関係を表すグラフである。
図1に示す結果より、プテロスチルベンがECM1発現量を促進させることが明らかとなった。すなわち、プテロスチルベンは、ヒトの皮膚におけるECM1発現促進剤として有用であると考えられる。従って、プテロスチルベンを含む本開示の乳化組成物は、皮膚に適用して、プテロスチルベンに起因する種々の効果、例えば、皮膚中のECM1量の増加に起因する抗老化効果等が期待できる。

Claims (6)

  1. プテロスチルベン、プテロスチルベンの25℃における飽和溶解度が20質量%以下であるエステル油、水、及び乳化剤を含み、
    エステル油が、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、及びイソノナン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種を含む水中油型乳化組成物。
  2. プテロスチルベンのエステル油に対する含有量が0.1質量%〜30質量%である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. エステル油の分子量が150〜600の範囲である請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. エステル油の有機性値に対する無機性値の比が0.05〜0.2である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を含む皮膚外用剤。
  6. 化粧料である請求項に記載の皮膚外用剤。
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