JP2017000030A - 味付き充填豆腐及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
味付きが豆腐全体に均一になされた、嗜好性に優れた味付き充填豆腐と、その製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
以下のa)〜e)の特徴を有する味付き充填豆腐。
a)味付きが豆腐全体で実質上均一になされていること
b)マグネシウム及び/又はカルシウムならびにナトリウム及び/又はカリウムを含有し、かつマグネシウム及び/又はカルシウムの含有重量とナトリウム及び/又はカリウムの含有重量の比が3:1〜1:120であること
c)絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲の硬度を有すること
d)塩凝固剤以外の凝固剤を実質的に含まないこと
e)ゲル化剤を実質的に含まないこと
本発明によれば、豆腐本来の風味と調味料に由来する風味とを有し、かつそれらの風味が豆腐全体で実質的に均一である、嗜好性に優れた味付き充填豆腐を、特別な原料又は特殊な装置を要することなく製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、調味料による味付けが全体に均一になされている味付き充填豆腐及びその製造方法に関する。
豆腐は、低カロリーかつタンパク質を豊富に含む食品の代表例であり、日本のみならず広く東南アジアにおいて古来より利用されている。豆腐は豆乳を元に製造することから豆乳に由来する特有の風味を有しており、この風味を好む消費者も多い。豆腐を食するときには、多くの場合、醤油などの調味料が使用される。
調味料を好みに応じて選択して使用すれば、様々な風味を豆腐に加えて楽しむことができる。しかし、調味料の量を自分で調節する際には、とかく多く使いすぎて結果として塩分の過剰摂取を招く原因ともなる他、豆腐とは別個に調味料をわざわざ用意する手間がかかり、豆腐を気軽に食する機会が制限されることとなる。このような事情から、調味料を別途用意することなく、様々な味を楽しめる味付き豆腐には、一定の需要が存在する。
味付き豆腐は、一定の需要を有しながらも、その製造は意外にも困難である。味付けに使用する調味料は殆どが食塩等に由来するナトリウムを含有するが、これが豆腐の製造、特に大豆タンパク質の凝集を妨げる原因となる。豆腐は、凝固剤、例えばマグネシウムイオン又はカルシウムイオン等の2価の金属イオンを利用して、豆乳に含まれる大豆タンパク質を凝集させることにより凝固して形をなすが、豆乳中にナトリウムイオンが存在するとこれが大豆タンパク質に付着してしまい、2価の金属イオンを介した大豆タンパク質の凝集が妨げられ、結果として豆腐が形をなすことができない。
そのため、これまでの味付き豆腐は、大豆タンパク質の凝集を妨げない範囲の量の調味料を豆乳に加えて薄く味付けする方法、または大豆タンパク質を凝集させて形のある豆腐を製造した後に調味料を含む液体に豆腐を浸漬して味を染み込ませる方法などにより、製造されている。しかしながら、前者では調味料の添加量(塩分濃度)に限界があるので消費者の嗜好に応じた味を有する豆腐を提供することは難しい。また後者の方法では、豆腐の内部にまで味を染み込ませるためには浸漬時間を長くする必要があるが、それによる製造コスト増及び雑菌汚染のおそれを回避するために、実際には、豆腐の表面又はある程度の深さの表層に調味料の浸漬が留まっている豆腐が製造されているのが現状である。
特許文献1には、冷却した豆乳に塩化ナトリウムとグルタミン酸ソーダと凝固剤を混ぜ合わせ、耐熱パックに充填することで均一な塩味付きの豆腐を製造する方法が記載されている。しかしながら、後述の実施例において示すように、調味料と2価金属イオンの凝固剤とを使用して同文献に記載された方法で豆腐の製造を試みても、豆乳の十分な凝固は認められない。
また、特許文献2には、グルコノデルタラクトンを凝固剤として使用し、豆乳のpHを低下させることで大豆タンパク質を凝集させて味付き豆腐を製造する方法が開示されている。しかしながら、依然として調味料の添加量(塩分濃度)に限界がある他、もともとpH調整剤を含んでいる調味料、例えばドレッシングなどを利用して味付き豆腐を製造する場合には、凝固に必要なpH低下を引き起こすことができず、凝固が不十分となることもある。
さらに、ゼラチン、寒天、カラギーナンなどの食品用ゲル化剤を凝固剤として利用することで味付き豆腐を製造する方法が知られている。しかし、大豆タンパク質同士の凝集とは異なる作用機序による凝固のために、豆腐本来の食感が損なわれるという問題を有する。
特開平10−66号公報 WO2007/074672号パンフレット
本発明は、味付けが豆腐全体に均一になされた、嗜好性に優れた味付き充填豆腐と、その製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、味付けのために調味料を添加した豆乳を効率的に凝固させる条件を種々検討した結果、下記の各発明を完成させた。
(1)以下のa)〜e)の特徴を有する味付き充填豆腐。
a)味付けが豆腐全体で実質上均一になされていること
b)マグネシウム及び/又はカルシウムならびにナトリウム及び/又はカリウムを含有し、かつマグネシウム及び/又はカルシウムの含有重量とナトリウム及び/又はカリウムの含有重量の比が3:1〜1:120であること
c)絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲の硬度を有すること
d)塩凝固剤以外の凝固剤を実質的に含まないこと
e)ゲル化剤を実質的に含まないこと
(2)(1)に記載の味付き充填豆腐を加工して製造される、焼き豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍み豆腐、薫製豆腐、酒蔵豆腐又はオイル漬け豆腐。
(3)60℃以下の豆乳と塩凝固剤とを混合し、次いでナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料をさらに添加して混合することで混合豆乳を調製する工程、及び前記工程で調製された混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、(1)に記載の味付き充填豆腐の製造方法。
(4)60℃以下の豆乳と、塩凝固剤と、ナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料とを混合して混合豆乳を調製する工程、前記工程で調製された混合豆乳を1〜60℃で8〜48時間保持する工程、及び保持後の混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、(1)に記載の味付き充填豆腐の製造方法。
(5)混合豆乳を調製する工程が豆乳の温度を1℃〜30℃に保持して行われる、(3)又は(4)に記載の製造方法。
(6)塩凝固剤が塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、粗製海水塩化マグネシウム及びそれらの混合物よりなる群から選択される、(3)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)混合豆乳中のマグネシウム及び/又はカルシウムの含有重量とナトリウム及び/又はカリウムの含有重量との比が3:1〜1:120である、(3)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、豆腐本来の風味と調味料に由来する風味とを有し、かつそれらの風味が豆腐全体で実質的に均一である、嗜好性に優れた味付き充填豆腐を、特別な原料又は特殊な装置を要することなく製造することができる。特に、本発明の製造方法によれば、一般的には塩辛いと感じるほどの味付き充填豆腐を製造することも可能である。
以下、便宜上、本発明を製造方法から説明する。
本発明の第一の製造方法は、60℃以下の豆乳と塩凝固剤とを混合し、次いでナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料をさらに添加して混合することで混合豆乳を調製する工程、及び前記工程で調製された混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、味付き充填豆腐の製造方法に関する。
第一の製造方法における混合工程は、60℃以下の豆乳と塩凝固剤とを混合し、次いでナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料をさらに添加して混合する工程である。特に、この混合工程は豆乳が熱によって凝固しない温度である60℃以下、好ましくは1℃〜30℃、さらに好ましくは4℃〜20℃に保持して行われる。
豆乳は、豆腐を製造する際に行われる一般的な方法によって調製されたものであればよく、その調製に特別な工夫又は製造装置は要しない。また、塩凝固剤は、金属イオンによるタンパク質の凝集作用を利用した凝固剤であって、食品に利用することができ、かつ豆乳に加えられることでマグネシウムイオン及び/又はカルシウムイオンを与え、大豆タンパク質を凝集させることができるものであれば、特に制限はない。例えば塩凝固剤としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム及び硫酸カルシウム(すまし粉)などを挙げることができる。また、これらの混合物又は他の微量成分を含むもの、例えば「にがり」(粗製海水塩化マグネシウム)も利用することができる。上記のような無機物塩のほか、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウムなどの有機酸塩、グルタミン酸カルシウムなどのアミノ酸塩といった有機物塩も利用することができる。
塩凝固剤の添加量は、豆腐中の大豆タンパク質の含有量にもよるが、概ね豆腐の製造において一般的に使用される量であればよく、例えば豆乳1L当たり、マグネシウム及び/又はカルシウム相当量で0.2〜5.0g、好ましくは0.4〜1.5gの範囲であればよい。かかる添加により、豆乳1L当たりのマグネシウム及び/又はカルシウムの含有量は、210〜5500mgとなる。
本発明の製造方法は、ゼラチン、寒天、カラギーナンなどのゲル化剤や塩凝固剤以外の凝固剤、例えばグルコノデルタラクトンなどの酸凝固剤を実質的に使用しない。「実質的には使用しない」とは、豆乳を固める作用を発揮できる程度の濃度でこれらの剤を豆乳に添加しないことを意味する。
第一の製造方法では、次いでナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料を豆乳にさらに添加して混合する。かかる調味料は固体、液体いずれの形態であってもよく、その例としては、食塩、塩化カリウム、醤油、魚貝類醤、家畜肉醤、味噌類、塩麹、めんつゆ、調味たれ、ソース、トマトケチャップ、ノンオイルドレッシング、複合風味調味料、コンソメスープ、ブイヨンなどを挙げることができる。また、梅干し、漬物、惣菜、チーズ、塩辛などの魚介類の塩蔵品、又は海苔の佃煮などの海草・海藻類若しくはその加工品などをペースト状にしたものも利用することができる。これら以外にも、ナトリウム及び/又はカリウムを含み、豆乳に添加して均一に溶解又は懸濁することができるものであればいずれでもよい。
前記調味料の添加量は、各調味料におけるナトリウム及び/又はカリウムの含有量を元に、添加後の混合豆乳において、マグネシウム及び/又はカルシウムの含有量とナトリウム及び/又はカリウムの含有量との比が3:1〜1:120、好ましくは1:1〜1:18、より好ましくは1:6〜1:15の範囲とすればよい。
第一の製造方法は、上記の混合工程で調製された混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む。加熱の条件は、豆腐の製造方法において豆腐を凝固させるために行う一般的な加熱における条件であればよく、温度は概ね65〜95℃、時間は20〜90分間である。
加熱は、プラスチック製その他の適当な大きさの容器に混合豆乳を小分け充填し、プラスチックフィルム等で容器を密封してから、これを容器ごと加熱することが好ましい。
先に説明したように、豆乳中にナトリウムイオンが存在するとこれが大豆タンパク質に付着してしまい、2価の金属イオンを介した大豆タンパク質の凝集が妨げられ、結果として豆腐が形をなすことができないと考えられてきた。本発明の第一の製造方法は、上記の各条件を調節することで、塩凝固剤以外の凝固剤やゲル化剤の使用を要することなく、ナトリウム及び/又はカリウムの存在下でもしっかりと豆乳を凝固させることができる。これにより、絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲で充填豆腐の硬度を調節することができ、味付けが豆腐全体で実質上均一になされた味付き充填豆腐を製造するという課題を解決するものである。
ここで「味付けが豆腐全体に実質上均一になされている」とは、豆腐の表面部分又は中心部分などのどこを食しても、消費者の通常の味覚では添加された調味料による味の濃さあるいは風味の強さに違いが感じられない程度に、豆腐全体がまんべんなく味付けされていることを言う。味付けが均一になされていることは、豆腐の表面部分又は中心部分などのどこをとっても、調味料に含まれている呈味成分例えばナトリウムや旨味成分などの濃度の差が、通常の味覚では差異が感じられない程度であることで確認してもよい。
また、「絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度」は、加熱処理しても一定の形をなさないおぼろ豆腐又は寄せ豆腐、または圧力を加えて押し固めることで製造される固い島豆腐又は岩豆腐などとは異なり、充填豆腐が容器から取り出されて皿などに置かれたり又は水中に投じられたりしたときでも崩れることなく一定の形を保つことができ、かつ一般の絹ごし豆腐又は木綿豆腐と同程度の食感を楽しめる硬度を意味する。そのような硬度は、豆腐製造に係る当業者であれば容易に理解し、確認することができる。
本発明の第二の製造方法は、60℃以下の豆乳と、塩凝固剤と、ナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料とを混合して混合豆乳を調製する工程、及び前記工程で調製された混合豆乳を1〜60℃で8〜48時間保持する工程、及び保持後の混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、味付き充填豆腐の製造方法に関する。第二の製造方法における豆乳、混合中の豆乳温度、塩凝固剤とその添加量、及び調味料とその添加量、加熱の条件、凝固の程度は、第一の製造方法において説明したとおりである。また、本発明の第二の態様においても、塩凝固剤以外の凝固剤やゲル化剤は実質的に使用しない。
第二の製造方法は、60℃以下の豆乳と、塩凝固剤と、ナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料とを混合して混合豆乳を調製する工程を含む。かかる混合工程において、塩凝固剤と調味料の添加順序には特別な制限はなく、いずれを先に豆乳に添加して混合しても、または両者を同時に豆乳に添加して混合してもよい。
第二の製造方法は、前記混合工程で調製された混合豆乳を1〜60℃で8〜48時間保持する工程を含む。保持は、好ましくは4〜40℃、より好ましくは4〜20℃の温度で、好ましくは6〜24時間、より好ましくは12〜18時間行われる。また保持は、混合豆乳を静置して行っても、連続的に又は断続的に緩やかな攪拌を加えながら行ってもよい。
本発明の第二の製造方法は、第一の製造方法における塩凝固剤と調味料の添加混合順序の特定に代えて、混合豆乳を所定の温度で一定時間保持することによって、塩凝固剤以外の凝固剤やゲル化剤の使用を要することなく、ナトリウム及び/又はカリウムの存在下でもしっかりと豆乳を凝固させることができる。これにより、絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲で充填豆腐の硬度を調節することができ、味付けが豆腐全体に実質上均一になされている味付き充填豆腐を製造するという課題を解決するものである。
本発明の別の態様は、以下のa)〜e)の特徴を有する味付き充填豆腐である。
a)味付けが豆腐全体で実質上均一になされていること
b)マグネシウム及び/又はカルシウムならびにナトリウム及び/又はカリウムを含有し、かつマグネシウム及び/又はカルシウムの含有量とナトリウム及び/又はカリウムの含有量の比が3:1〜1:120であること
c)絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲の硬度を有すること
d)塩凝固剤以外の凝固剤を実質的に含まないこと
e)ゲル化剤を実質的に含まないこと
本発明の別態様である味付き充填豆腐は、典型的には前記本発明である第一の製造方法又は第二の製造方法によって製造することができる。ここで「味付けが豆腐全体で実質上均一になされている」、「マグネシウム及び/又はカルシウムの含有量とナトリウム及び/又はカリウムの含有量の比」及び「絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲の硬度」は、いずれも本発明の製造方法において説明したとおりである。
本発明の別態様である味付き充填豆腐は、塩凝固剤以外の凝固剤又はゲル化剤を実質的に含まないという特徴を有する。ここで、「塩凝固剤以外の凝固剤又はゲル化剤を実質的に含まない」とは、例えばゼラチン、寒天、カラギーナン、ペクチンといった食品をゲル状に固める目的で通常用いられるゲル化剤又は酸凝固剤例えばグルコノデルタラクトンなどを、豆乳を固める作用を発揮できる程度の濃度で含まないことを意味するが、このことは豆乳を固めない程度の量のゲル化剤又は酸凝固剤の存在を排除するものではない。
本発明の別態様である味付き充填豆腐は、これをそのまま食してもよいが、焼き豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍み豆腐、薫製豆腐、酒蔵豆腐又はオイル漬け豆腐などの加工材料として利用してもよい。かかる加工品も、本発明の別態様である味付き充填豆腐を加工してなるものである限り、本発明の一態様である。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例によって限定されるものではない。
<実施例1>醤油味豆腐
1)豆乳の調製
乾燥大豆10kgを水で洗浄した後、大豆の4倍量の水を加えて室温で18時間静置した。水を捨て、新たに40Lの水とともに電動石臼で磨砕した。これを99℃まで加温し、5分間維持した後、スクリュープレス式の固液分離機を用いて豆乳38Lを回収した。
2)混合処理及び加熱処理
温度を20℃とした豆乳50gを100mL容量のプラスチック製容器4つにそれぞれ移し、にがり(粗製海水塩化マグネシウム、マグネシウム濃度4%)0.5gを加え十分に攪拌混合した。次いで、醤油(ナトリウム含有量5800mg/100g、カリウム含有量370mg/100g)1、2、4、6gをさらに添加混合し、20℃の水9、8、6、4gをさらに添加した後、カップにアルミホイルで蓋をし、80℃で60分間加熱して、豆腐1A〜1Dを製造した。また比較例として、にがりと醤油の添加順序を逆にする他は全て同じ処理を行なって、豆腐1E〜1Hを製造した。なお、上記の方法で製造される豆腐におけるマグネシウムとナトリウム+カリウムとの含有量比は、豆腐1A及び1Eが1:6.4、豆腐1B及び1Fが1:8.0、豆腐1C及び1Gが1:11.1、豆腐1D及び1Hが1:14.1である。
3)評価
豆腐1A〜1Dはいずれも加熱によって絹ごし豆腐と同程度の硬さにまで凝固したが、豆腐1E〜1Hはどれも加熱しても部分的にしか凝固しなかった(表1)。また、豆腐1A〜1Dそれぞれを立体的に27等分に細断して、細断物ごとに風味試験を行ったところ、豆腐表面及び中央部分のいずれも細断物も、味覚的には区別できない程度の醤油本来の風味、こく、塩味などを有していた。
Figure 2017000030
結果 ○;味付けが均一になされている味付き充填豆腐を造ることができた。
×;加熱後に十分な凝固が認められなかった。
<実施例2>味噌味豆腐
1)調味料の調製
水1Lに乾燥昆布50gを入れ、約16時間室温で静置した後、昆布を取り除いて液を加熱沸騰させ、鰹節150gを加え、弱火で30分間静置した。その後、濾液を回収して出汁を用意した。50mL容量のプラスチック製カップを4つ用意し、それぞれに出汁10gを量り取り、さらに市販の漉し味噌(ナトリウム含有量4600mg/100g、カリウム含有量980mg/100g)を1、2、4、6g添加して混合後、水9、8、6、4gをさらに添加して、4種類の味噌調味液を調製した。
2)混合処理及び加熱処理
温度を20℃とした実施例1の1)で調製した豆乳50gを100mL容量のプラスチック製容器4つにそれぞれ移し、にがり(粗製海水塩化マグネシウム、マグネシウム濃度4%)0.5gを加え十分に攪拌混合した。次いで、味噌調味液を10gずつさらに添加混合した後、カップにアルミホイルで蓋をし、80℃の湯で60分間加熱して、豆腐2A〜2Dを製造した。また比較例として、にがりと味噌調味料の添加順序を逆にする他は全て同じ処理を行なって、豆腐2E〜2Hを製造した。なお、上記の方法で製造される豆腐におけるマグネシウムとナトリウム+カリウムとの含有量比は、豆腐2A及び2Eが1:6.3、豆腐2B及び2Fが1:7.7、豆腐2C及び2Gが1:9.1、豆腐2D及び2Hが1:10.5である。
3)評価
豆腐2A〜2Dはいずれも加熱によって絹ごし豆腐と同程度の硬さにまで凝固したが、豆腐2E〜2Hはどれも加熱しても部分的にしか凝固しなかった(表2)。また、豆腐2A〜2Dそれぞれを立体的に27等分に細断して、細断物ごとに風味試験を行ったところ、豆腐表面及び中央部分のいずれも細断物も、味覚的には区別できない程度の味噌及び出汁本来の風味、こく、塩味などを有していた。
Figure 2017000030
結果 ○;味付けが均一になされている味付き充填豆腐を造ることができた。
×;加熱後に十分な凝固が認められなかった。
<実施例3>
実施例2の1)の味噌調味液の調製で最後に加える水を同量の実施例1の1)で調製した豆乳(20℃)に置換し、豆腐2A〜2Dと同じ条件で味付き充填豆腐3A〜3Dを製造した。これらは実施例2で製造された味付き充填豆腐と比べてよりしっかりと凝固した。
<実施例4>麺つゆ味豆腐
1)混合処理及び加熱処理
100mL容量のプラスチック製カップを4つ用意し、それぞれに実施例1の1)で調製した豆乳(20℃)を50g量り取った。これらのカップに市販の麺つゆ(ナトリウム含有量4200mg/100g、カリウム含有量220mg/100g)1、2、4、6gを添加し、さらに水9、8、6、4gをそれぞれ添加した。各々のカップにマグネシウム濃度4%の凝固剤(粗製海水塩化マグネシウム)0.5gを加え十分に攪拌後、アルミホイルで蓋をした。これを2セット用意し、1セット(豆腐4A〜4D)は8℃で18時間静置してから80℃で60分間加熱し、別の1セット(豆腐4E〜4H)は蓋をした直後に80℃で60分間加熱した。なお、上記の方法で製造される豆腐におけるマグネシウム及びとナトリウム+カリウムとの含有量比は、豆腐4A及び4Eが1:6.0、豆腐4B及び4Fが1:7.1、豆腐4C及び4Gが1:9.3、豆腐4D及び4Hが1:11.5である。
2)評価
豆腐4A及び4Bはいずれも加熱によって絹ごし豆腐と同程度の硬さにまで凝固し、豆腐4C及び4Dは寄せ豆腐に近い程度まで凝固したが、豆腐4E〜4Hは部分的にしか凝固しなかった(表3)。また、豆腐4A及び4Bを立体的に27等分に細断して、細断物ごとに風味試験を行ったところ、豆腐表面及び中央部分のいずれも細断物も、味覚的には区別できない程度の麺つゆの風味、こく、塩味などを有していた。
Figure 2017000030
※結果 ○;味付けが均一になされている味付き充填豆腐を造ることができた。
△;絹豆腐の固さには及ばないが、寄せ豆腐並の固さは実現できた。
×;加熱後に十分な凝固が認められなかった。
<実施例5>醤油味豆腐
1)混合処理及び加熱処理
実施例1と同様の方法で、以下の表4に示す条件で、150mL容量のプラスチック製容器内に豆腐5A〜5Dを製造した。また比較例として、豆乳温度を70℃とする他は全て同じ処理を行なって、豆腐5E〜5Hを製造した。なお、上記の方法で製造される豆腐におけるマグネシウムとナトリウム+カリウムとの含有量比は、豆腐5A及び5Eが1:6.4、豆腐5B及び5Fが1:8.0、豆腐5C及び5Gが1:9.5、豆腐5D及び5Hが1:12.6である。
2)評価
豆腐5A〜5Dはいずれも加熱によって絹ごし豆腐と同程度の硬さにまで凝固したが、豆腐5E〜5Hは調味液を添加する前に凝固反応が進行しており、調味液を十分に混合することができなかった(表4)。また、豆腐5B〜5Dそれぞれを立体的に27等分に細断して、細断物ごとに風味試験を行ったところ、豆腐表面及び中央部分のいずれも細断物も、味覚的には区別できない程度の醤油本来の風味、こく、塩味などを有していた。
Figure 2017000030
※結果 ○;調味液を均一に混合し、味付き充填豆腐を造ることができた。
×;調味料を添加する前に凝固反応が始まり、調味料を均一に混合することが
困難であり、味付き充填豆腐を作ることができなかった。
本発明は、豆腐本来の風味と調味料に由来する風味とを有し、かつそれらの風味が豆腐全体で実質的に均一である、嗜好性に優れた味付き充填豆腐を提供することができ、食品産業における利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 以下のa)〜e)の特徴を有する味付き充填豆腐。
    a)味付けが豆腐全体で実質上均一になされていること
    b)マグネシウム及び/又はカルシウムならびにナトリウム及び/又はカリウムを含有し、かつマグネシウム及び/又はカルシウムの含有重量とナトリウム及び/又はカリウムの含有重量の比が3:1〜1:120であること
    c)絹ごし豆腐と同程度の硬度から木綿豆腐と同程度の硬度までの範囲の硬度を有すること
    d)塩凝固剤以外の凝固剤を実質的に含まないこと
    e)ゲル化剤を実質的に含まないこと
  2. 請求項1に記載の味付き充填豆腐を加工して製造される、焼き豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、凍み豆腐、薫製豆腐、酒蔵豆腐又はオイル漬け豆腐。
  3. 60℃以下の豆乳と塩凝固剤とを混合し、次いでナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料をさらに添加して混合することで混合豆乳を調製する工程、及び前記工程で調製された混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、請求項1に記載の味付き充填豆腐の製造方法。
  4. 60℃以下の豆乳と、塩凝固剤と、ナトリウム及び/又はカリウムを含む調味料とを混合して混合豆乳を調製する工程、前記工程で調製された混合豆乳を1〜60℃で8〜48時間保持する工程、及び保持後の混合豆乳を加熱して凝固させる工程を含む、請求項1に記載の味付き充填豆腐の製造方法。
  5. 混合豆乳を調製する工程が豆乳の温度を1℃〜30℃に保持して行われる、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 塩凝固剤が塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、粗製海水塩化マグネシウム及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 混合豆乳中のマグネシウム及び/又はカルシウムの含有重量とナトリウム及び/又はカリウムの含有重量との比が3:1〜1:120である、請求項3〜6のいずれかに記載の製造方法。

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