JP2016203062A - 粉砕ローラ及び粉砕装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の粉砕ローラは、十分にローラ本体を粉砕テーブルに近づけることができ、必要な粉砕能力を得ることができる。【解決手段】本発明の粉砕ローラ6は、傾斜軸線O2を中心として回転し、粉砕テーブル4の粉砕面41との間で被破砕物を粉砕する外周面64を有するローラ本体62を備え、外周面64は、ローラ本体62の傾斜軸線O2を直交する径方向の外側に向かって凸状をなすように湾曲しているとともに、傾斜軸線O2を含む断面において、最大外径点Aの両側にわたって同一の曲率半径で形成された円弧状をなす第一外周面641と、第一外周面641の軸線方向の端部の少なくとも一方に形成されてローラ本体62の軸線方向を向く端面63に接続され、第一外周面641に沿う仮想円よりも該仮想円の前記径方向の内側に後退する第二外周面642と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、粉砕ローラ及び粉砕装置に関する。
燃料の石炭を微粉炭に粉砕するために、ローラミルが用いられている。ローラミルは、ローラを用いた粉砕装置である。ローラミルは、回転駆動されるテーブルと、このテーブルに向けて回転自在に取り付けられて配置された複数のローラとを有している。
このようなローラミルが特許文献1から特許文献4に開示されている。特許文献1から特許文献4に記載のローラミルでは、ローラのローラ本体の湾曲した外周面が、湾曲したテーブルの上面との間に隙間を形成した状態で配置される。ローラミルでは、ローラ本体及びテーブルが回転することで、ローラ本体の外周面とテーブルの上面との隙間に石炭等の被破砕物を挟みこんで粉砕する。
特開2000−024532号公報 特開2000−354778号公報 特開2002−119877号公報 特許第4101709号公報
ところで、上述したようなローラミルでは、被破砕物を破砕し続けることで、ローラ本体の外周面及びテーブルの上面が摩耗し、ローラ本体の外周面とテーブルの上面である粉砕面との間隔が広がってしまう。ローラミルは、この間隔が広がることで粉砕能力が低下してしまう。そのため、ローラミルでは、摩耗により間隔が広がると、外周面がテーブルに近づくようにローラ本体を定期的に移動させ、間隔を狭めるように調整することで、粉砕能力の低下を抑える必要がある。
しかしながら、ローラ本体の外周面が湾曲している場合、外周面の中央付近が、外周面の端部に比べて摩耗量が多くなる。その結果、摩耗して広がった間隔を狭めるために、テーブルとの距離を縮めるようにローラ本体を移動した場合、摩耗量の多い外周面の中央付近をテーブルに近づけようとしても、摩耗量の少ない外周面の端部がテーブルと接触してしまう。そのため、ローラ本体を十分にテーブルに近づけることができず、必要な粉砕能力を得ることができないおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、必要な粉砕能力を得ることが可能なローラ本体及び粉砕装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における粉砕ローラは、軸線を中心として回転し、粉砕テーブルの粉砕面との間で被破砕物を粉砕する外周面を有するローラ本体を備え、前記外周面は、前記ローラ本体の前記軸線に直交する径方向の外側に向かって凸状をなすように湾曲しているとともに、前記軸線を含む断面において、最大外径点の両側にわたって同一の曲率半径で形成された円弧状をなす第一外周面と、前記第一外周面の前記軸線方向の端部の少なくとも一方に形成されて前記ローラ本体の軸線方向を向く端面に接続され、前記第一外周面に沿う仮想円よりも該仮想円の前記径方向の内側に後退する第二外周面と、を有する。
このような構成によれば、第二外周面を第一外周面よりも径方向の内側に予め後退させておくことで、第二外周面が形成された領域の摩耗量が少なくとも、摩耗量の多い第一外周面が形成されている領域よりも第二外周面が粉砕面側に使づくことを抑えることができる。そのため、第一外周面の摩耗が進んでも、外周面の中では、第一外周面を最も粉砕面に近い状態のままとすることができる。したがって、第二外周面が形成されている外周面の軸線方向の端部の影響を受けずに、第一外周面と粉砕面との間隔を予め定めた値に近づけるように、ローラ本体を移動させることができる。
また、上記粉砕ローラでは、前記第二外周面は、前記軸線を含む断面において、前記外周面全域の前記軸線方向の幅に対して、10%以上30%以下の幅に形成されていてもよい。
このような構成によれば、第二外周面を形成しながら、粉砕能力を維持するために幅の第一外周面を形成することができる。これにより、ローラ本体による粉砕能力を低下させることなく、第二外周面を形成することができる。
また、上記粉砕ローラでは、前記第二外周面は、前記ローラ本体の径方向外側に向かって凸状をなすように湾曲し、前記ローラ本体の前記軸線方向の幅であるローラ径に対する曲率半径の比であるローラ曲率比が、前記第一外周面のローラ曲率比よりも小さく形成されていてもよい。
このような構成によれば、第二外周面を第一外周面に沿う仮想円よりも径方向の内側に後退する面として高い精度で形成することができる。
また、上記粉砕ローラでは、前記第一外周面のローラ曲率比は、0.45以下であり、前記第二外周面のローラ曲率比は、0.2以下であってもよい。
このような構成によれば、第一外周面によって粉砕能力の低下を抑えつつ、第二外周面を第一外周面よりも高い精度で後退させることができる。
また、上記粉砕ローラでは、前記第二外周面は、前記軸線を含む断面において、直線状をなしていてもよい。
このような構成によれば、例えば、外周面の端部を面取りする等によって容易に第二外周面を形成できる。
また、本発明の他の態様の粉砕装置は、上記粉砕ローラと、回転可能に支持され、前記粉砕面と前記粉砕ローラの前記外周面との間で前記被破砕物を粉砕する粉砕テーブルとを備える。
本発明によれば、外周面が第二外周面を有することで、十分にローラ本体を粉砕テーブルに近づけることができ、必要な粉砕能力を得ることができる。
本発明の実施形態の粉砕装置の概略構成図である。 本発明の第一実施形態の粉砕ローラを説明する拡大図である。 本発明の実施形態の粉砕ローラを用いた場合の経時的な変化を説明するグラフであって、同図(a)は、粉砕装置の使用時間と粉砕ローラの外周面及び粉砕テーブルの粉砕面の間隔との関係を表すグラフであり、同図(b)は、粉砕装置の使用時間とミル容量との関係を表すグラフである。 本発明の実施形態の粉砕ローラと第二外周面を有さない粉砕ローラとの形状の差を比較する要部拡大図である。 本発明の第二実施形態の粉砕ローラを説明する要部拡大図である。
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態の粉砕装置1について図1から図4を参照して説明する。
粉砕装置1は、陸用ボイラや石炭ガス化複合発電システム(IGCC)のために、石炭や石油コークス等の塊状の被破砕物を粉砕するために用いられる堅型ローラミルである。本実施形態における粉砕装置1は、図1に示すように、ハウジング2と、鉛直方向の上方からハウジング2の内部へ貫通する原料供給管3と、ハウジング2の内部に設けられた粉砕テーブル4と、粉砕テーブル4と協働して被破砕物を粉砕する複数の粉砕ローラ6と、ハウジング2の内部の粉砕テーブル4の上方に設けられた回転式分級器7(ロータリーセパレータ)とを有している。
ハウジング2は、鉛直方向に沿う中心軸線O1を中心とする略円筒の中空形状をなしている。ハウジング2は、鉛直方向の下方に配置された粉砕テーブル4の側方に、外部から一次空気が送り込まれる入口ポート21が設けられている。ハウジング2は、粉砕された被破砕物を入口ポート21から送り込まれた一次空気とともに排出する出口ポート22が鉛直方向の上方に設けられている。つまり、ハウジング2の内部には、入口ポート21から出口ポート22に向かって流れる一次空気の流路が画成されている。
原料供給管3は、不図示の供給源より供給される石炭等の被破砕物を鉛直方向の上方からハウジング2内に導入する管状部材である。原料供給管3は、ハウジング2の中心位置に配置されて中心軸線O1に沿って鉛直方向に延びている。原料供給管3は、ハウジング2の上部を貫通して配置されている。原料供給管3は、開口している下端部が、ハウジング2の鉛直方向の中央付近に配置されている。
粉砕テーブル4は、石炭等の被破砕物が載置される。粉砕テーブル4は、ハウジング2内の鉛直方向の下方で、原料供給管3と同軸上に配置されている。粉砕テーブル4は、ハウジング2に搭載されたテーブル回転軸40に回転可能に支持されている。テーブル回転軸40は、鉛直方向に沿うテーブル回転軸40によって中心軸線O1を中心として回転可能とされている。粉砕テーブル4は、鉛直方向の上面に中心軸線O1と同心に配置される粉砕面41を有する。
粉砕面41は、中心軸線O1を中心とする円環状をなす湾曲面である。粉砕面41は、後述する粉砕ローラ6の外周面64と対応するよう湾曲して形成されている。粉砕面41は、中心軸線O1から遠ざかるように、粉砕テーブル4の外周側に行くほどに高く傾斜している。
回転式分級器7は、粉砕テーブル4と粉砕ローラ6によって粉砕された被破砕物を分級する。回転式分級器7は、ハウジング2の内部の鉛直方向の上方に設けられている。回転式分級器7は、原料供給管3を取り囲むように出口ポート22の下方に設けられ、駆動装置(図示せず)により回転可能とされている。
粉砕ローラ6は、粉砕テーブル4の回転と連動して作動し、傾斜軸線O2回りに回転することで粉砕テーブル4の粉砕面41との間で被破砕物を押圧力により粉砕する。ここで、本実施形態の傾斜軸線O2とは、後述するローラ本体62が回転する際の中心線であって、中心軸線O1に向かうにしたがって、水平方向に対して鉛直方向の下方に向かって傾斜して延びる軸線である。本実施形態の粉砕ローラ6は、中心軸線O1を中心として同心上に等間隔にて複数(例えば、本実施形態では三つ)配置されている。粉砕ローラ6は、図2に示すように、回転可能とされているローラ回転軸61と、ローラ回転軸61の先端に接続されるローラ本体62とを有している。
ローラ回転軸61は、粉砕テーブル4の鉛直方向の上方で駆動装置(図示せず)によって傾斜軸線O2を中心に回転可能とされている。ローラ回転軸61は、先端が粉砕テーブル4に近付くように中心軸線O1に向かうにしたがって、水平方向に対して鉛直方向の下方に向かって斜めに延びている。
ローラ本体62は、傾斜軸線O2を中心として回転することで外周面64と粉砕テーブル4の粉砕面41との間で被破砕物を粉砕する。ローラ本体62は、ローラ回転軸61の先端に接続され、ローラ回転軸61が回転することで回転する。ローラ本体62は、傾斜軸線O2を中心とする円柱状をなしている。ローラ本体62は、傾斜軸線O2の延びる軸線方向を向く端面63と、粉砕テーブル4の粉砕面41との間で被破砕物を粉砕する外周面64と、を有している。
端面63は、軸線方向を向いて、傾斜軸線O2と直交する方向である径方向に広がる平面である。端面63は、粉砕テーブル4に近い側である内側端面63aと、ローラ回転軸61に近い側である外側端面63bとを有している。
外周面64は、ローラ本体62の径方向を向く面である。外周面64は、粉砕テーブル4の粉砕面41と間隔を空けて対向している。外周面64は、ローラ本体62の径方向の外側に向かって凸状をなすように湾曲する第一外周面641と、第一外周面641の軸線方向の端部の少なくとも一方に形成される第二外周面642とを有している。
第一外周面641は、傾斜軸線O2を含む断面において、最大外径点Aの両側にわたって同一の曲率半径R1で形成された円弧状をなしている。第一外周面641は、被破砕物を効率的に粉砕するために適した間隔を形成するために予め定めた値αだけ粉砕テーブル4の粉砕面41から離れた位置に配置されている。本実施形態の第一外周面641は、傾斜軸線O2を含む断面において、最大外径点Aを中心として軸線方向に延びて径方向の外側を向く面である。第一外周面641は、傾斜軸線O2を中心に円筒状をなして形成されている。第一外周面641は、粉砕面41に対応する曲率半径R1で形成されている。第一外周面641は、傾斜軸線O2を含む断面において、ローラ本体62の軸線方向の幅であるローラ径Dに対する曲率半径R1の比であるローラ曲率比が0.45以下の円弧状をなしていることが好ましい。より好ましくは、第一外周面641は、ローラ曲率比が0.25以上0.35以下の円弧状をなしていることが好ましい。
ここで、最大外径点Aとは、外周面64の中で最も傾斜軸線O2からの径方向の距離が離れた位置である。つまり、最大外径点Aにおいて、外周面64は最も径方向の外側に向かって突出している。本実施形態の最大外径点Aは、外周面64の軸線方向の中心に形成されている。したがって、被破砕物を効率的に粉砕するために、粉砕面41と外周面64との間隔を予め定めた値αに設定する場合には、外周面64の中で最も径方向の外側に向かって突出している最大外径点Aの両側にわたって形成された第一外周面641と粉砕面41との間隔を定めることとなる。つまり、粉砕面41と外周面64との隙間に被破砕物を挟み込んで粉砕する際の粉砕能力は、粉砕面41に対する第一外周面641の位置によって設定される。
第二外周面642は、第一外周面641の軸線方向の両端に形成され、内側端面63a及び外側端面63bにそれぞれ接続されている。つまり、第二外周面642は、外周面64の軸線方向の両端部に形成され、内側端面63a及び外側端面63bとともにローラ本体62の角部を構成している。第二外周面642は、第一外周面641に沿う曲率半径R1の仮想円よりもこの仮想円の径方向の内側に後退するよう形成されている。本実施形態の第二外周面642は、傾斜軸線O2を含む断面において、第一外周面641と同様に、ローラ本体62の径方向外側に向かって凸状をなすように湾曲している。第二外周面642は、曲率半径R2が、第一外周面641の曲率半径R1よりも小さく形成されている。具体的には、軸線方向の片側の第二外周面642は、傾斜軸線O2を含む断面における外周面64全域の軸線方向の長さの10%以上30%以下の幅となるように形成されている。つまり、本実施形態では、傾斜軸線O2を含む断面において、外周面64全域の軸線方向の長さに対して、第二外周面642が軸線方向の両側を合わせて20%以上60%以下の幅で形成され、第一外周面641が軸線方向の中央付近の40%以上80%以下の幅で形成されている。第二外周面642は、傾斜軸線O2を含む断面において、ローラ径Dに対する曲率半径R2の比であるローラ曲率比が0.2以下の円弧状をなしていることが好ましい。より好ましくは、第二外周面642は、ローラ曲率比が0.05以上0.15以下の円弧状をなしていることが好ましい。
上記のような粉砕装置1では、原料供給管3から被破砕物が供給されることで、被破砕物は粉砕テーブル4上に落下する。粉砕テーブル4上の被破砕物は、粉砕テーブル4及びローラ本体62が回転することで、粉砕テーブル4の粉砕面41とローラ本体62の外周面64との間に形成されている隙間に進入する。隙間に進入した被破砕物は、外周面64と粉砕面41との間に被破砕物が挟み込まれることで押圧されて粉砕され、微粉炭のような粉状になる。粉状となった被破砕物は、粉砕テーブル4の外周部へ放出され、下部の入口ポート21から導入される一次空気により、乾燥されつつ上昇する。この上昇した粉状の被破砕物のうち、回転式分級器7によって分級された粗粉は、落下して再び粉砕テーブル4上に戻されて再粉砕が行われる。一方、微粉炭のうち、回転式分級器7によって分級された微粒粉は、回転式分級器7を通過し、気流に乗って出口ポート22から排出される。
粉砕ローラ6及び粉砕テーブル4によって被破砕物を粉砕し続けた場合、粉砕装置1の使用時間が長くなっていくことで、ローラ本体62の外周面64が摩耗する。また、ローラ本体62の外周面64だけでなく、粉砕テーブル4の粉砕面41も摩耗する。したがって、粉砕面41と外周面64との間隔は、粉砕装置1の使用時間の経過に伴って、図3(a)に示すように、予め定めた値αから徐々に広がっていく。間隔が広がっていくことに対応して、粉砕ローラ6のローラリフトが低下してローラ本体62による被破砕物への押圧力が低下する。その結果、同一のミル動力当たりの粉砕処理容量であるミル容量が低下し、粉砕能力が低下してしまう。
そこで、粉砕装置1の使用時間が予め定めた時間t1が経過した時点で、粉砕面41と外周面64との間隔が予め定めた値αに近づくように、粉砕テーブル4に対する粉砕ローラ6の位置を調整する。これにより、粉砕面41と外周面64との間隔を予め定めた値αに近づけて、ローラリフトを維持してローラ本体62による被破砕物への押圧力を維持することができる。その結果、粉砕装置1では、図3(b)に示すように、ミル容量を回復させて、粉砕能力の低下を抑えることができる。
ところが、図4に示すように、外周面64の中では、第二外周面642よりも第一外周面641の方が、摩耗量が多くなってしまう。つまり、仮に、第二外周面642を有しておらず、外周面64が第一外周面641と同じ曲率半径R1の仮想湾曲面8だけで形成されている場合、軸線方向の中央付近の摩耗量が外周面64の軸線方向の両端部に比べて多くなってしまう。その結果、外周面64と粉砕面41との間隔は、外周面64の軸線方向の中央付近で最も広がることとなる。最も間隔の広がってしまった外周面64の軸線方向の中央付近と粉砕面41との間隔を予め定めた値αに近づけるために、ローラ本体62の位置を調整した場合、外周面64の軸線方向の内側の端部が粉砕面41に接触してしまうおそれがある。その結果、図3(a)の点線に示すように、粉砕面41と外周面64との間隔を予め定めた値αに十分に近づけることができなくなる。これにより、図3(b)の点線に示すように、ミル容量を十分に回復させることができず、ミル容量が短い使用時間で、粉砕装置1の性能を維持するための許容される値であるミル容量下限値β以下になってしまう。ミル容量下限値βを下回った場合には、粉砕装置1として必要な粉砕能力を発揮できないために、ローラ本体62や粉砕テーブル4を交換しなければならない。
しかしながら、本実施形態の粉砕装置1及び粉砕ローラ6によれば、第二外周面642によって外周面64の軸線方向の両端部を第一外周面641よりも径方向の内側に予め後退させておくことで、第二外周面642が形成された領域の摩耗量が少なくとも、摩耗量の多い第一外周面641が形成されている領域よりも第二外周面642粉砕面41側に使づくことを抑えることができる。そのため、第一外周面641の摩耗が進んでも、外周面64の中では、第一外周面641を最も粉砕面41に近い状態のままとすることができる。つまり、外周面64の軸線方向の両端部の摩耗量が少なくとも、摩耗量の多い外周面64の軸線方向の中央付近よりも両端部が粉砕面41側に近づくことを抑えることができる。その結果、図3(a)の実線に示すように、時間t1において、第二外周面642が形成されている外周面64の軸線方向の両端部の影響を受けずに、第一外周面641と粉砕面41との間隔を予め定めた値αに近づけるように、ローラ本体62を移動させることができる。その結果、図3(b)の実線に示すように、時間t1において、粉砕装置1のミル容量を大きく回復させることができる。したがって、外周面64が第二外周面642を有することで、十分にローラ本体62をテーブルに近づけることができ、必要な粉砕能力を得ることができる。
さらに、時間t1において、第一外周面641と粉砕面41との間隔を予め定めた値αに近づけるように、ローラ本体62を移動させて粉砕装置1のミル容量を回復させることができることで、図3に示すように、時間t2、t3のように粉砕装置1の使用時間を向上させることができる。したがって、ローラ本体62や粉砕テーブル4を交換するまでの時間を延ばすことができ、ローラ本体62や粉砕テーブル4の寿命を向上させることができる。
また、第二外周面642が、軸線方向の一方の端部において、傾斜軸線O2を含む断面における外周面64全域の軸線方向の長さの10%以上30%以下に形成されている。そのため、最大外径点Aを含む第一外周面641を少なくとも外周面64全域の軸線方向の長さの40%程度は形成することができる。したがって、第二外周面642を形成しながら、粉砕能力を維持するために最低限の必要な幅の第一外周面641を形成することができる。これにより、ローラ本体62により粉砕能力を低下させることなく、第二外周面642を形成することができる。
また、第二外周面642が第一外周面641よりも曲率半径の小さな湾曲面として形成されることで、第二外周面642を第一外周面641よりも径方向の内側に後退する面として高い精度で形成することができる。したがって、第一外周面641が摩耗して削れた場合に、第二外周面642が第一外周面641よりも径方向の外側に突出して、粉砕面41に近づいてしまうことを抑えることができる。
また、第一外周面641のローラ曲率比を0.45以下とし、第二外周面642のローラ曲率比を0.2以下とすることで、第一外周面641によって粉砕能力の低下を抑えつつ、第二外周面642を第一外周面641よりも高い精度で後退させることができる。
特に、第一外周面641のローラ曲率比を0.25以上0.35以下とし、第二外周面642のローラ曲率比を0.05以上0.15以下とすることで、第一外周面641によって粉砕能力の低下をより抑えつつ、第二外周面642を第一外周面641よりもさらに高い精度で後退させることができる。
また、第二外周面642が第一外周面641の軸線方向の片側だけでなく、両側に形成されていることで、第二外周面642を第一外周面641に対して対称に形成することができる。ローラ本体62は、外周面64のうち、水平方向の粉砕テーブル4の中心軸線O1側である内側端面63a側の方が、外側端面63b側よりも摩耗量が多くなる。ところが、第二外周面642が第一外周面641の両側に形成されていることで、長期間の使用により、内側端面63a側の第二外周面642が摩耗して削れてしまった場合であっても、ローラ本体62を反転させることで、外側端面63b側の第二外周面642を水平方向の粉砕テーブル4の中心軸線O1側に配置して継続使用することができる。
ここで、上記の粉砕ローラ6の実施例及び比較例における性能の差について説明する。
実施例は、上述した実施形態の粉砕ローラ6であって、外周面64が第一外周面641と第二外周面642とを有している。比較例は、外周面64が第二外周面642を有しておらず、第一外周面641と同じ曲率半径R1の仮想湾曲面8だけで形成されている粉砕ローラ6である。
Figure 2016203062
表1は、比較例と実施例の粉砕ローラ6の粉砕能力とローラリフトとを表している。表1における給炭量とは、原料供給管3から粉砕テーブル4に供給される単位時間当たりの石炭の量である。微粒度とは、粉砕テーブル4及び粉砕ローラ6によって粉砕後の石炭をどの程度の粒度にするかを表す値である。テーブル差圧とは、粉砕能力を表す値であって、粉砕後の石炭の循環量を粉砕テーブル41の下と上との圧力の差によって表している。
表1に示すように、比較例と実施例とでは、給炭量、微粒度、及びミル動力を同じ条件とした場合、ローラリフトやテーブル差圧がほとんど変化しないことが分かる。したがって、実施例のように第一外周面641の軸線方向の両側に第二外周面642を設けた場合であっても、比較例のように仮想湾曲面8のみの場合と、粉砕能力に差が生じないことがわかる。
Figure 2016203062
表2は、比較例と実施例の粉砕ローラ6の新品時に対する摩耗時のミル動力の比を表している。表2における摩耗時とは、ローラ本体62において、ローラ径Dに対して予め定めた摩耗量だけ外周面64が削られた状態となっていることを表している。本実施形態の摩耗時は、例えば、ローラ径Dが400mmの場合に、ローラ径Dの2.5%程度である摩耗量10mmが削られた状態である。
表2に示すように、実施例の方が比較例に対して、新品時に対する摩耗時のミル動力の比が低く抑えられていること分かる。つまり、実施例の方が比較例に対して、摩耗時のミル動力の増加割合が低いことがわかる。したがって、粉砕ローラ6や粉砕テーブル4への大きな負荷をかけずとも被破砕物を粉砕させることができ、摩耗量を低減することができることが分かる。これにより、粉砕装置1の使用時間を向上させて、ローラ本体62や粉砕テーブル4の寿命を向上させることができることが分かる。
《第二実施形態》
次に、図5を参照して第2実施形態の粉砕ローラ6aについて説明する。
第2実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の粉砕ローラ6aは、ローラ本体の第二外周面の構成について、第一実施形態と相違する。
即ち、第二実施形態では、第二外周面642aが、傾斜軸線O2を含む断面において、第一外周面641の軸線方向の両側にそれぞれ形成されている。第二外周面642aは、傾斜軸線O2を含む断面において、第一外周面641の軸線方向の両端から直線状をなしている。つまり、第二外周面642aは、端面63と外周面64aとで形成されるローラ本体62aの角部を面取りするように切り欠くことで形成されている。
上記の第二実施形態の粉砕ローラ6aでは、例えば、外周面64aの全域を第一外周面641と同じ曲率半径で形成したうえで、角部を切り欠くことで、第二外周面642aを形成することができる。つまり、ローラ本体62aに対して単純な加工を施すだけで、第二外周面642aを容易に形成することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、上記実施形態では、第二外周面642、642aは、第一外周面641の軸線方向の両側に形成されていたが、これに限定されるものではなく、第一外周面641の軸線方向の端部の少なくとも一方に形成されていればよい。第二外周面642、642aは、第一外周面641の軸線方向の端部の少なくとも一方に形成される際には、軸線方向の内側端面63aに近い側の端部に形成されていることが好ましい。
1…粉砕装置 2…ハウジング O1…中心軸線 21…入口ポート 22…出口ポート 3…原料供給管 4…粉砕テーブル 40…テーブル回転軸 41…粉砕面 6、6a…粉砕ローラ O2…傾斜軸線(軸線) 61…ローラ回転軸 62、62a…ローラ本体 63…端面 63a…内側端面 63b…外側端面 64、64a…外周面 641…第一外周面 A…最大外径点 642、642a…第二外周面 7…回転式分級器 8…仮想湾曲面
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における粉砕ローラは、軸線を中心として回転し、粉砕テーブルの粉砕面との間で被破砕物を粉砕する外周面を有するローラ本体を備え、前記外周面は、前記ローラ本体の前記軸線に直交する径方向の外側に向かって凸状をなすように湾曲しているとともに、前記軸線を含む断面において、前記外周面の軸線方向の中心に形成された最大外径点の両側にわたって同一の曲率半径で形成された円弧状をなす第一外周面と、前記第一外周面の前記軸線方向の両端に形成されて前記ローラ本体の軸線方向を向く端面に接続され、前記第一外周面に沿う仮想円よりも該仮想円の前記径方向の内側に後退する第二外周面と、を有する。

Claims (6)

  1. 軸線を中心として回転し、粉砕テーブルの粉砕面との間で被破砕物を粉砕する外周面を有するローラ本体を備え、
    前記外周面は、
    前記ローラ本体の前記軸線に直交する径方向の外側に向かって凸状をなすように湾曲しているとともに、前記軸線を含む断面において、最大外径点の両側にわたって同一の曲率半径で形成された円弧状をなす第一外周面と、
    前記第一外周面の前記軸線方向の端部の少なくとも一方に形成されて前記ローラ本体の軸線方向を向く端面に接続され、前記第一外周面に沿う仮想円よりも該仮想円の前記径方向の内側に後退する第二外周面と、を有する粉砕ローラ。
  2. 前記第二外周面は、前記軸線を含む断面において、前記外周面全域の前記軸線方向の幅に対して、10%以上30%以下の幅に形成されている請求項1に記載の粉砕ローラ。
  3. 前記第二外周面は、前記ローラ本体の径方向外側に向かって凸状をなすように湾曲し、前記ローラ本体の前記軸線方向の幅であるローラ径に対する曲率半径の比であるローラ曲率比が、前記第一外周面のローラ曲率比よりも小さく形成されている請求項1または請求項2に記載の粉砕ローラ。
  4. 前記第一外周面のローラ曲率比は、0.45以下であり、
    前記第二外周面のローラ曲率比は、0.2以下である請求項3に記載の粉砕ローラ。
  5. 前記第二外周面は、前記軸線を含む断面において、直線状をなす請求項1または請求項2に記載の粉砕ローラ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の粉砕ローラと、
    回転可能に支持され、前記粉砕面と前記粉砕ローラの前記外周面との間で前記被破砕物を粉砕する粉砕テーブルとを備える粉砕装置。
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