JP4101709B2 - ローラミル及びその補修方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として原料石炭の粉砕用に用いられ、回転駆動されるテーブルの受け面に供給された原料石炭等の被粉砕物に、回転駆動されるローラ軸の端部に固定されたローラの外周面を押し付けて該被粉砕物を粉砕するローラミル及び該ローラミルの摩耗部位の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原料石炭の粉砕用に用いられるローラミルには、ローラの粉砕部が円錐台状のコニカル型(円錐台型)ローラミル、及び粉砕部断面が円形状のタイヤ型ローラミルが用いられている。
【0003】
図4は、特許文献1(特開平6−55088号公報)、特許文献2(特開平11−347432号公報)等に開示されている前記コニカル型ローラミルにおけるローラ及びテーブルの粉砕部近傍の要部構造図であり、図において、1はローラ軸20の軸端部に固着されて軸心21回りに回転駆動されるローラ、2は回転中心22回りに回転駆動されるテーブルであり、回転駆動される前記テーブル2の受け面2aに供給された原料石炭等の被粉砕物に、回転駆動される前記ローラ1の外周面即ち粉砕面1aを押し付けて該被粉砕物を粉砕するように構成されている。
前記ローラ1は、前記ローラ軸20の軸心21に直角な大径の上側面1b及び該上側面1bよりも小径の下側面1cと、該上側面1bと下側面1cとを接続する周面からなる粉砕面1aとにより円錐台状に形成されている。
【0004】
図5は前記タイヤ型ローラミルにおけるローラ及びテーブルの粉砕部近傍の要部構造図であり、図において、1はローラ軸20の軸端部に固着されて軸心21回りに回転駆動されるローラ、2は回転中心22回りに回転駆動されるテーブルであり、回転駆動される前記テーブル2の受け面2aに供給された原料石炭等の被粉砕物に、回転駆動される前記ローラ1の外周面即ち粉砕面1aを押し付けて該被粉砕物を粉砕するように構成されている。
前記ローラ1は、前記ローラ軸20の軸心21に直角な上側面1b及び下側面1cと、該上側面1bと下側面1cとを接続する円形周面からなる粉砕面1aとにより、いわゆるタイヤ状に形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−55088号公報
【特許文献2】
特開平11−347432号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示されるコニカル型ローラミルにあっては、回転駆動される前記テーブル2の受け面2aに供給された原料石炭等の被粉砕物に、回転駆動される前記ローラ1の粉砕面1aを押し付けて被粉砕物を粉砕するので、前記粉砕面1aの上側面1b寄りの大径部の面圧Paが局部的に過大となって、図4にMで示されるように過大摩耗が早期に発生し易く、耐摩耗寿命が短い。また、過大摩耗の発生に伴い、ローラミル粉砕部の容量つまり粉砕能力が低下するとともに、ローラミルの駆動動力の増大等の不具合を引き起こす。
【0007】
一方、前記タイヤ型ローラミルにあっては、図5に示すように、前記粉砕面1aの面圧Pcの分布が前記コニカル型ローラミルよりも比較的均一化されて、局部的な過大摩耗の発生が回避される。即ち、図5にMで示されるような摩耗形状となるため、前記コニカル型ローラミルのような過大摩耗が発生することはなく、耐摩耗寿命は比較的長い。
そこで、既設のコニカル型ローラミルに局部的な過大摩耗が発生した場合には、通常、耐摩耗寿命が比較的長いタイヤ型ローラミルへの改造が行われている。しかし、かかる改造に際しては、ローラ及びテーブルを一式交換しなければならず、タイヤ型ローラミルへの改造には多大な工数とコストがかかる。
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、過大摩耗の発生した既設のコニカル型ローラミルを、きわめて簡単な方法でかつ少ない補修工数で以って補修可能な補修方法、及び当該補修方法を施すことにより、ローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧が均一化されて耐摩耗性が向上されたローラミルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するもので、回転駆動されるテーブルの受け面に供給された被粉砕物に、回転駆動されるローラ軸の端部に固定されたローラの外周面を押し付けて該被粉砕物を粉砕するローラミルにおいて、前記ローラを、前記ローラ軸の軸心に直角な大径の上側面及び該上側面よりも小径の下側面と、該上側面と下側面とを接続する周面からなる粉砕面とにより円錐台状に形成するとともに、該粉砕面の断面形状を前記上下2側面間を直状に接続する粉砕面母線から径方向に突出させて形成するとともに、前記上側面と接続する周面を第1の曲線にて、一方前記下側面と接続する周面が曲線または曲線とその接線の組み合せ(以下「曲線または曲線とその接線の組み合せ」を第2の線という)の形状に形成し、
一方前記テーブル上の受け面における粉体出口側の曲率を、前記ローラの粉砕面における前記上側面側の第1の曲線の曲率よりも大きく形成したことを特徴とするローラミルを提案する。
かかる発明において、好ましくは、前記粉砕面の頂面の位置を、前記上側面から前記ローラの全幅の1/3以内に位置するように構成する。
【0010】
また、前記ローラミルの摩耗部位の補修する方法として、回転駆動されるテーブルの受け面に供給された被粉砕物に、回転駆動されるローラ軸の端部に固定されたローラの外周面を押し付けて該被粉砕物を粉砕するローラミルであって、前記ローラが、前記ローラ軸の軸心に直角な大径の上側面及び該上側面よりも小径の下側面と、該上側面と下側面とを直状に接続する円錐面からなる粉砕面とにより円錐台状に形成されてなるコニカル型ローラミルにおける、前記ローラの粉砕面及び前記テーブルの受け面の摩耗部位を補修するローラミルの補修方法において、
前記ローラにおける粉砕面の摩耗部位を、該粉砕面の断面形状を前記上下2側面間を直状に接続する粉砕面母線から径方向に突出させて補修するとともに、前記上側面と接続する周面を第1の曲線にて、一方前記下側面と接続する周面が曲線または曲線とその接線の組み合せ(以下「曲線または曲線とその接線の組み合せ」を第2の線という)の形状にて夫々補修し、
更に前記ローラの粉砕面における前記上側面側の第1の曲線の曲率が、前記テーブル上の受け面における粉体出口側の曲率よりも小さくなるように補修したことを特徴とするローラミルの補修方法を提案する。
かかる補修方法において、好ましくは、前記テーブルの受け面における摩耗部位を、前記ローラの粉砕面の肉盛溶接形状に対応しかつ該粉砕面との接触面圧の増大を抑制した形状に肉盛溶接する。
【0011】
かかる発明によれば、ローラ軸の軸心に直角な大径の上側面及び該上側面よりも小径の下側面と、該上側面と下側面とを直状に接続する円錐面からなる粉砕面とにより円錐台状に形成されてなるローラを備えたローラミル、即ち通常のコニカル型(円錐台型)ローラミルの摩耗部位を肉盛溶接して補修するにあたり、ローラについては、
前記ローラにおける粉砕面の摩耗部位を、該粉砕面の断面形状が前記上下2側面間を直状に接続する粉砕面母線から径方向に突出するように補修するとともに、前記上側面と接続する周面を第1の曲線にて、一方前記下側面と接続する周面が第2の線の形状にて夫々補修し、
更に前記ローラの粉砕面における前記上側面側の第1の曲線の曲率が、前記テーブル上の受け面における粉体出口側の曲率よりも小さくなるように補修する。
また、テーブルについては該テーブルの受け面における摩耗部位をローラ粉砕面の肉盛溶接形状に対応しかつ該粉砕面との接触面圧の増大を抑制した形状に補修する。
【0012】
従って、かかる発明によれば、既設のコニカル型(円錐台型)ローラミルにおける摩耗部位を補修するにあたり、ローラにおける本来の円錐状の粉砕面を、曲面または曲面とその接線面の組み合せとなるように肉盛溶接し、テーブルの受け面についてはローラ粉砕面の肉盛溶接形状に対応した形状に肉盛溶接することにより、ローラの粉砕面を、接触面圧の小さいタイヤ型ローラミルに近い形状の曲面からなる粉砕面に形成することが可能となって、既設のコニカル型ローラミルを、ローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧を局部的な増大が回避されて均一化された接触面圧となって耐摩耗性が向上されたローラミルに改修することができる。
【0013】
また、既設のコニカル型ローラミルを、前記のように、ローラについては円錐状の粉砕面を曲面または曲面とその接線面の組み合せとなるように肉盛溶接し、テーブルの受け面についてはローラ粉砕面の肉盛溶接形状に対応した形状に肉盛溶接するという、きわめて簡単な方法でかつ少ない補修工数で以ってローラミルの摩耗部位を補修して、耐摩耗性が向上されたローラミルを得ることができる。
【0014】
また、かかる補修方法において、前記ローラにおける粉砕面の肉盛溶接あるいは前記テーブルにおける受け面の肉盛溶接にあたり、摩耗量の大きい最大摩耗部位に耐摩耗強度が最も大きい耐摩耗性材料を肉盛溶接し、他の摩耗部位は前記最大摩耗部位に溶接する材料よりも耐摩耗強度が小さい耐摩耗性材料を肉盛溶接するのがよい。
このように構成すれば、最大摩耗部位に耐摩耗強度が最も大きい耐摩耗性材料を肉盛溶接し、他の摩耗部位については耐摩耗強度が小さい耐摩耗性材料を肉盛溶接することにより、高価格である耐摩耗強度が大きい耐摩耗性材料の使用量を最少限に抑えることができて、摩耗部位の補修コストを低減できる。
【0015】
そして、かかる発明において、肉盛溶接される前記粉砕面は、次の3つの態様に構成するのがよい。
即ち第1の態様は、前記粉砕面を構成する前記第1の曲線と第2の線を、1つの曲率半径からなる単一曲線に形成する。
このように構成すれば、粉砕面の肉盛溶接を1つの曲率半径からなる単一曲面にて形成できるので、肉盛溶接が簡単となり補修工数が少なくて済む。
【0016】
第2の態様は、前記粉砕面を構成する前記第1の曲線と第2の線を、複数の曲率半径からなる曲線を滑らかに接続して形成する
このように構成すれば、肉盛溶接後の粉砕面を複数の曲率半径からなる曲面の組み合わせとすることができて、ローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧が最小になるような肉盛溶接形状を容易に得ることができる。
【0017】
第3の態様は、前記粉砕面を、1つの曲率半径からなる単一曲線からなる第1の曲線と、該単一曲線に接する接線とからなる第2の線の組み合せにより構成する。
このように構成すれば、粉砕面の幅方向において、肉盛溶接の曲面をローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧が小さくなる位置に移動させて接線面で上下側面に接続すればよいので、簡単な方法でローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧が最小になるような肉盛溶接形状を得ることができる。
【0018】
さらに、かかる発明において、前記テーブルの受け面における粉体出口側の曲率を、前記ローラの粉砕面における前記上側面側の曲率よりも大きく形成する。
このように構成すれば、テーブル受け面における粉体出口側の曲率をローラ粉砕面における上側面側の曲率よりも大きく形成することにより、粉砕部出口側の粉体通路が拡開されることとなり、粉砕部からの粉体の排出がスムーズになされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
図1(A)は本発明の実施例に係るローラミルの、ローラ及びテーブルの粉砕部近傍の要部構造図、(B)はローラ及びテーブルの粉砕部(接触部)の拡大図である。図2は前記ローラの補修態様を示す粉砕面周りの拡大図である。図3は本発明が適用されるローラミルの縦断面図である。
【0021】
本発明が適用されるローラミルを示す図3において、1はローラ軸20の軸端部に固着されて軸心21回りにモータ等により回転駆動されるローラ、2は回転中心22回りにモータ等により回転駆動されるテーブルであり、石炭原料、セメント原料等の被粉砕物100は被粉砕物供給管101を通って前記テーブル2上の受け面2aに落下し、ローラ1の粉砕面1aとテーブル2の受け面2aとの間に噛み込まれる。
そして、該被粉砕物100は、回転している前記ローラ1によって、回転しているテーブル2上の受け面2aに押圧され、微粉状に粉砕される。
このようにして粉砕された粉砕物6は熱風7によって乾燥されながら気流搬送される。また、粗粒は内壁まで飛ばされて該内壁に沿って落下し、テーブル2上の受け面2aに戻される。
【0022】
本発明の実施例を示す図1(A)、(B)において、1はローラで、該ローラ1は、ローラ軸20の軸心21に直角な大径の上側面1b及び該上側面1bよりも小径の下側面1cと、該上側面1bと下側面1cとを接続する周面からなる粉砕面1aとにより略円錐台状に形成されている。この粉砕面1aは、その断面形状が後述する肉盛溶接により、前記上下2側面1b、1c間を直状に接続する粉砕面母線1dから径方向に突出され、前記上下2側面1b、1cに接続される曲線、あるいは曲線とその接線の組み合せの形状に形成されている。
2はテーブルであり、該テーブル2上の受け面2aは前記ローラ1の粉砕面1aの形状に対応させて、後述するような形状に形成されている。
【0023】
図1(A)のように、前記ローラ1の肉盛溶接後における粉砕面1aの形状において、直状の粉砕面母線1dから径方向に突出された肉盛溶接部における曲面の頂面1gの位置B1は、前記上側面1bからローラ1の全幅Bの好ましくは1/3以内に位置するように構成する。
これは、前記ローラ1の粉砕面1aとテーブル2の受け面2aとの間の最大接触応力発生部である前記頂面1gが、径の大きい上側面1b側に位置すると、前記粉砕面1aと受け面2aとの間の接触面圧が大きくなる一方で、該粉砕面1aと受け面2aとの有効接触長さが大きくなって粉砕性能が上昇するという、相反する傾向があることから、前記関係のように設定することにより、前記接触面圧の増大を抑えて粉砕性能を維持することが可能となる。
【0024】
また、図1(B)に示すように、前記テーブル2の受け面2aにおける粉体出口側の曲率半径Rを、前記ローラ1の粉砕面1aにおける前記上側面1b側の曲率入口側の曲率半径Rよりも大きく形成する。
このように構成すれば、テーブル受け面2aにおける粉体出口側の粉体通路23が広げられることとなり、該粉体通路23を通しての粉砕部からの粉体の排出がスムーズになされる。尚、前記テーブル2の受け面2aにおける粉体入口側の曲率半径Rは、前記ローラ1の粉砕面1aにおける前記下側面1c側の曲率半径と同一に形成する。
【0025】
次に粉砕面1aの具体的構成を示す図2(A)、(B)、(C)について説明する。
図2(A)に示す粉砕面1aの第1例においては、前記粉砕面1aを構成する曲面を、1つの曲率半径Rで上側面1bの外周端部1eと下側面1cの外周端部1fとが結ばれた単一曲面1aにより形成する。
このように構成すれば、前記粉砕面1aの肉盛溶接を1つの曲率半径Rからなる単一曲面にて形成できるので、肉盛溶接が簡単となり補修工数が少なくて済む。
【0026】
図2(B)に示す粉砕面1aの第2例においては、前記粉砕面1aを構成する曲面を、複数(この例では2個)の曲率半径R及びRによって上側面1bの外周端部1eと下側面1cの外周端部1fとが結ばれた複数の曲面1a及び1aにより形成する。
このように構成すれば、肉盛溶接後の粉砕面1aを複数の曲率半径R、Rからなる曲面の組み合わせとすることができ、ローラ1〜テーブル2間の粉砕部の接触面圧が最小になるような肉盛溶接形状を得ることができる。
【0027】
図2(C)に示す粉砕面1aの第3例においては、前記粉砕面1aを構成する曲面を、曲率半径Rの曲面1aと曲率半径Rの曲面1aとを滑らかに結ぶとともに、曲面1aと上側面1bの外周端部1eとを結び、かつ前記曲面1aの接線1aが下側面1cの外周端部1fに結ばれるように形成する。
このように構成すれば、粉砕面1aの幅方向において、肉盛溶接の曲面をローラ1〜テーブル2間の粉砕部の接触面圧が小さくなる位置に移動させて接線面で上下側面1b、1cに接続すればよいので、図2(B)の第2例に比べて簡単な方法で、ローラ1〜テーブル2間の粉砕部の接触面圧が最小になるような肉盛溶接形状を得ることができる。
【0028】
次に、既設のコニカル型(円錐台型)ローラミル、つまりローラ1が、ローラ軸20の軸心21に直角な大径の上側面1b及び該上側面1bよりも小径の下側面1cと、該上側面1bと下側面1cとを直状の粉砕面に接続する円錐面からなる粉砕面母線1dとにより円錐台状に形成されてなるローラミルの摩耗部位を肉盛溶接して、図1ないし2に示されるような構造のローラミルへと補修する方法について説明する。
【0029】
先ず、補修の必要なローラ1及びテーブル2をローラミル本体から取り外す。次に、ローラ1については、前記粉砕面1aが前記粉砕面母線1dから径方向(ローラ軸の軸心21に直角な方向)に突出して、図2(A)あるいは(B)あるいは(C)の3つの形状から任意に選択して肉盛溶接を行う。
また、テーブル2については、該テーブル2の受け面2aにおける摩耗部位を、粉砕面1aの肉盛溶接形状に対応し、かつ該粉砕面1aとの接触面圧の増大を抑制した形状、好ましくは図1(B)のような粉砕通路23が広げられた形状となるように補修する。
【0030】
かかる補修時において、ローラ1の粉砕面1aあるいは前記テーブル2の受け面2aへの肉盛溶接は、高い硬度と靭性を有する軸受鋼等の耐摩耗性材料を用いて行う。
そして、前記粉砕面1aあるいは受け面2aにおいて、摩耗量の最も大きい最大摩耗部位には耐摩耗強度が最も大きい耐摩耗性材料を肉盛溶接し、他の摩耗部位は前記最大摩耗部位に溶接する材料よりも耐摩耗強度が小さい耐摩耗性材料を肉盛溶接するのが好ましい。
このようにすれば、前記最大摩耗部位に耐摩耗強度が最も大きい耐摩耗性材料を肉盛溶接し、他の摩耗部位については耐摩耗強度が小さい耐摩耗性材料を肉盛溶接することにより、高価格である耐摩耗強度が大きい耐摩耗性材料の使用量を最少限に抑えることができて、摩耗部位の補修コストを低減できる。
【0031】
かかる実施例によれば、既設のコニカル型ローラミルにおける摩耗部位を補修するにあたり、ローラ1における本来の円錐状の粉砕面1aを、図2の(A)あるいは(B)あるいは(C)の3つの形状のような、曲面または曲面とその接線面の組み合せとなるように肉盛溶接し、テーブル2の受け面2aについてはローラ1の粉砕面1aの肉盛溶接形状に対応した形状に肉盛溶接する。従って図1(A)に示すように、ローラ1の粉砕面1aの接触面圧のピークがPaからPbへと減少した、タイヤ型ローラミルに類似した形状の曲面からなる粉砕面1aが形成される。
【0032】
即ち、きわめて簡単な補修方法で以って、ローラ1〜テーブル2間の粉砕部における接触面圧の局部的な増大を回避することができ、比較的均一化された接触面圧のローラ1、テーブル2を得ることができ、耐摩耗性が向上されたローラミルに補修することが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、既設のコニカル型(円錐台型)ローラミルにおける摩耗部位を補修するにあたり、ローラにおける本来の円錐状の粉砕面を、曲面または曲面とその接線面の組み合せとなるように肉盛溶接し、テーブルの受け面についてはローラ粉砕面の肉盛溶接形状に対応した形状に肉盛溶接することにより、ローラの粉砕面を、接触面圧の小さいタイヤ型ローラミルに近い形状の曲面からなる粉砕面に形成することが可能となって、既設のコニカル型ローラミルを、ローラ〜テーブル間の粉砕部の接触面圧の局部的な増大が回避されて均一化された接触面圧となって、耐摩耗性が向上されたローラミルに改修することができる。
【0034】
また、既設のコニカル型ローラミルを、前記のように、ローラについては円錐状の粉砕面を曲面または曲面とその接線面の組み合せとなるように肉盛溶接し、テーブルの受け面についてはローラ粉砕面の肉盛溶接形状に対応した形状に肉盛溶接するという、きわめて簡単な方法でかつ少ない補修工数で以ってローラミルの摩耗部位を補修して、耐摩耗性が向上されたローラミルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の実施例に係るローラ及びテーブルの粉砕部近傍の要部構造図、(B)はローラ及びテーブルの接触部の拡大図である。
【図2】 前記ローラの補修態様を示す粉砕面周りの拡大図である。
【図3】 本発明が適用されるローラミルの縦断面図である。
【図4】 従来技術の第1例を示す図1(A)対応図である。
【図5】 従来技術の第2例を示す図1(A)対応図である。
【符号の説明】
1 ローラ
1a 粉砕面
1b 上側面
1c 下側面
1d 粉砕面母線
1g 頂面
2 テーブル
2aテーブルの受け面
20 ローラ軸
23 粉体通路

Claims (8)

  1. 回転駆動されるテーブルの受け面に供給された被粉砕物に、回転駆動されるローラ軸の端部に固定されたローラの外周面を押し付けて該被粉砕物を粉砕するローラミルであって、前記ローラを、前記ローラ軸の軸心に直角な大径の上側面及び該上側面よりも小径の下側面と、該上側面と下側面とを接続する周面からなる粉砕面とにより略円錐台状に形成したコニカル型ローラミルにおいて
    該粉砕面の断面形状を、前記上下2側面間を直状に接続する粉砕面母線から径方向に突出させて形成するとともに、前記上側面と接続する周面を第1の曲線にて、一方前記下側面と接続する周面が曲線または曲線とその接線の組み合せ(以下「曲線または曲線とその接線の組み合せ」を第2の線という)の形状にて夫々形成し、
    更に前記テーブル上の受け面における粉体出口側の曲率を、前記ローラの粉砕面における前記上側面側の第1の曲線の曲率よりも大きく形成したことを特徴とするローラミル。
  2. 前記第1の曲線と第2の線の境界である粉砕面の頂面の位置を、前記上側面から前記ローラの全幅の1/3以内に位置するように構成したことを特徴とする請求項1記載のローラミル。
  3. 前記粉砕面を構成する前記第1の曲線と第2の線を、1つの曲率半径からなる単一曲線に形成したことを特徴とする請求項1記載のローラミル。
  4. 前記粉砕面を構成する前記第1の曲線と第2の線を、複数の曲率半径からなる曲線を滑らかに接続して形成したことを特徴とする請求項1記載のローラミル。
  5. 前記粉砕面を、1つの曲率半径からなる単一曲線からなる第1の曲線該単一曲線に接する接線とからなる第2の線の組み合せにより構成したことを特徴とする請求項1記載のローラミル。
  6. 回転駆動されるテーブルの受け面に供給された被粉砕物に、回転駆動されるローラ軸の端部に固定されたローラの外周面を押し付けて該被粉砕物を粉砕するローラミルであって、前記ローラが、前記ローラ軸の軸心に直角な大径の上側面及び該上側面よりも小径の下側面と、該上側面と下側面とを直状に接続する円錐面からなる粉砕面とにより円錐台状に形成されてなるコニカル型ローラミルにおける、前記ローラの粉砕面及び前記テーブルの受け面の摩耗部位を補修するローラミルの補修方法において、
    前記ローラにおける粉砕面の摩耗部位を、該粉砕面の断面形状前記上下2側面間を直状に接続する粉砕面母線から径方向に突出するように補修するとともに、前記上側面と接続する周面を第1の曲線にて、一方前記下側面と接続する周面が曲線または曲線とその接線の組み合せ(以下「曲線または曲線とその接線の組み合せ」を第2の線という)の形状にて夫々補修し、
    更に前記ローラの粉砕面における前記上側面側の第1の曲線の曲率が、前記テーブル上の受け面における粉体出口側の曲率よりも小さくなるように補修したことを特徴とするローラミルの補修方法。
  7. 前記テーブルの受け面における摩耗部位を、前記ローラの粉砕面の肉盛溶接形状に対応しかつ該粉砕面との接触面圧の増大を抑制した形状に肉盛溶接することを特徴とする請求項記載のローラミルの補修方法。
  8. 前記ローラにおける粉砕面の肉盛溶接あるいは前記テーブルにおける受け面の肉盛溶接にあたり、摩耗量の大きい最大摩耗部位に耐摩耗強度が最も大きい耐摩耗性材料を肉盛溶接し、他の摩耗部位は前記最大摩耗部位に溶接する材料よりも耐摩耗強度が小さい耐摩耗性材料を肉盛溶接することを特徴とする請求項記載のローラミルの補修方法。
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