JP2016200814A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】従来以上に転写性を改善し、その効果が繰り返し使用を通して持続するトナーを提供する。特に、転写電流制御への依存度を抑制したトナーを提供する。【解決手段】イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有するトナー粒子を有するトナーであって、表面層が、さらに、式(1)で表される部分構造を有する有機ケイ素重合体を含有し、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であり、イオン性官能基を有する樹脂のpKa(酸解離定数)が、6.0以上9.0以下であることを特徴とする。R0−SiO3/2式(1)(R0は炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真及び静電印刷のような画像形成方法に用いられる静電荷像を現像するためのトナーに関する。
トナーを使用する電子写真方式の装置として、レーザープリンターや複写機が挙げられる。複写機やプリンターなどの電子写真装置に対する利用者からの要求として、近年では、小型化や、高速プリントに対応するための高い耐久性や、使用環境(温度・湿度)に依存しない安定した品質の画像を提供することが求められている。
電子写真方式では、正あるいは負に帯電したトナーをトナー担持体に担持し、静電荷像担持体を帯電させて画像部と非画像部に電位差を設け、トナー担持体上のトナーを静電荷像担持体の画像部に現像させる。現像された静電荷像担持体上のトナーは、紙などの転写材あるいは中間転写体に転写後さらに転写材に転写する工程(転写工程)を経て、熱と圧力で転写材に定着される。
ここで、現像を行うことで静電荷像担持体上に形成されたトナー像が転写工程で転写材に転写される際、静電荷像担持体上に転写残トナーが残る場合がある。その場合、クリーニング手段でクリーニングされ、廃トナー容器で回収する必要がある。しかし、クリーニング手段や廃トナー容器を具備するため、装置が大きくなり、装置の小型化を目指す時のネックになる。そのため、装置の小型化を達成するため、転写性のさらなる向上が求められている。
また、感光体から被転写材へとトナーを転写する際、感光体上に転写されないで残るトナー、いわゆる転写残トナーの量は転写電流に対して変化し、一般的に転写残トナー量が最少となる最適な転写電流の範囲が存在する。転写電流が最適電流範囲よりも低い場合には、トナーと感光体との引力に対して転写電界が小さいためトナーが移動せず転写残トナー量は多くなる。
一方、転写電流が最適電流範囲よりも大きい場合には、トナー層の中で放電が発生し転写電界が却って弱くなるために転写残トナーは増えてしまう。したがって、転写電流は最適電流範囲の中で最も低いところに設定することが望ましい。
しかしながら、この最適電流範囲はトナーの帯電量によっても変化する。特に、高湿度下において、長時間プリントしない場合、帯電量の減少やトナーと感光体との引力変化が起こり易いため、転写電流の最適範囲が変化しやすい。この変化に対応するために、温湿度センサー等の環境検知手段から転写電流を決定する方法があるが、各種制御装置の複雑化や大型化が懸念される。そのため、高温高湿下においても帯電量が変化せず、広い転写電流範囲で転写性の良好なトナーが求められている。
これまで、転写性を向上させる方法としては、外添剤をトナー粒子表面に付着させることで、トナーと感光体との物理的な付着力を引き下げる方法がある。しかしながら、多数枚をプリントした場合、外添剤が埋め込まれたり、脱離したりして付着力の低減効果が不十分となり、転写性を維持することは難しかった。これを改善する方法として、トナー粒子表面をケイ素化合物で均一に覆う方法が考えられている。
トナー粒子表面をケイ素化合物で覆う方法として、特許文献1には、反応系にシランカップリング剤を添加する重合トナーの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、ラジカル反応性有機シラン化合物の反応生成物の被膜を表面に有する重合トナーが記載されている。
特開平03−089361号公報 特開平09−179341号公報
本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載されたトナーは、トナー表面へのシラン化合物の析出量が不十分であり、転写性改善効果について改善の余地があるものであった。また、特許文献2に記載されたトナーは、高温高湿環境下における吸湿により付着力が変化し、転写改善効果が十分ではなく、改善の余地があるものであった。
本発明の目的は、従来以上に転写性を改善し、その効果が繰り返し使用を通して持続するトナーを提供することを目的とする。特に、転写電流制御への依存度を抑制したトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下のトナーを見出した。
すなわち、本発明は、イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記表面層が、さらに、有機ケイ素重合体を含有し、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であり、
前記イオン性官能基を有する樹脂のpKa(酸解離定数)が、6.0以上9.0以下であることを特徴とするトナー
0−SiO3/2 (1)
(R0は炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)
である。
本発明によれば、高温高湿環境下においても、広い転写電流範囲で転写性が良好で、その効果が耐久を通しても持続するトナーを提供することができる。
有機ケイ素化合物を含有するトナー表面の、表面厚さを定義する概念図である。 本発明における有機ケイ素化合物のNMR測定例である。 本発明が適用できる電子写真装置の一例である。 本発明における帯電量の測定装置である。
本発明のトナーは、イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有するトナー粒子を有する。この表面層は、さらに、有機ケイ素重合体を含有し、有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有する。前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であり、イオン性官能基を有する樹脂のpKaが6.0以上9.0以下である。上記の構成を有する本発明のトナーは、高温高湿下においても転写性が良好な転写電流範囲(以下、転写ラチチュードと表現)が広いという優れた効果を有する。
0−SiO3/2 式(1)
(R0は炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)
本発明におけるトナーが広い転写電流範囲において高い転写性を備えている理由について、本発明者は次のように考えている。
本発明のトナーは、表面層に、R0−SiO3/2で表される部分構造(式(1))を有する有機ケイ素重合体を含有する。式(1)で示される部分構造は、Si原子の4個の原子価について、1個はR0で示される有機基と、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。すなわち、下記式(3)のような構造である。
Figure 2016200814
この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン構造で構成されるシリカ(SiO2)と類似の性質を有することが考えられる。従って本発明のトナーは、シリカを添加した場合と似た状況を作り出していると考えられる。一方で、R0を含んでいることで、シリカとは異なる何らかの作用も持っていると考えられる。
また、本発明のトナー粒子は、pKa(酸解離定数)が6.0以上9.0以下であるイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有していることも特徴である。表面層にこのイオン性官能基を有する樹脂と上記有機ケイ素重合体を共に含んでいることが、広い転写ラチチュードを発現する重要な因子であると考えられる。
転写電流の低い領域では、トナーと感光体との引力に対して転写電界が小さいために転写残トナーが発生する。この引力を下げることができれば転写ラチチュードが広がると考えられる。この引力の内訳の一つとして、トナーと感光体との非静電的な付着力が考えられる。この非静電的付着力が、有機ケイ素重合体とイオン性官能基を有する樹脂とを共存させた場合に小さくなることが明らかとなった。一般的に、外添剤としてシリカをトナー粒子表面に有したトナーは付着力を低減する効果がある。高温高湿環境下においては、水分の影響を受け、付着力が高くなってしまう。一方、本発明の有機ケイ素重合体は、R0−SiO3/2で表される部分構造を有しており、トナー表面に存在するR0があることで、水分との親和性が高い酸素密度がシリカよりも小さい。そのため、吸湿による高付着力化の低減効果があるものと考えられる。さらに、pKaが6.0以上9.0以下であるイオン性官能基を有する樹脂は、疎水性が高いため、同様に従来のトナーよりも高温高湿環境における付着力の低減効果があるものと考えている。
一方、転写電流の高い領域では、トナー層の中で放電が発生することで転写残トナーが発生する。高温高湿環境においては、トナーの帯電量が低く、低い転写電流域においても放電が起こり易いため、転写ラチチュードが狭くなると考えられる。しかし、本発明のイオン性官能基を有する樹脂は、疎水性が高いため、水分の影響を受けず安定した帯電性を発現することが可能であり、転写ラチチュードが広がるものと考えられる。この安定した帯電性を発現する樹脂が表面層に存在することで、さらにこの効果が強く現れるものと考えている。
本発明に係るトナー粒子は、本発明に係る有機ケイ素重合体に含有されるケイ素原子1.000個当たり、式(1)で表される部分構造のケイ素原子を5.0個数%(0.050個)以上含有していることが必要である。すなわち、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上である。これは、トナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体のケイ素のうち、5.0%以上が、−SiO3/2で表される部分構造のピーク面積であることを意味している。−SiO3/2骨格は、耐久性向上と電荷密度適正化を得るために必要な要素であると考えられ、5.0%以上この構造を含有させる必要があると解釈している。この部分構造のピーク面積が5.0%未満であると繰り返し使用を通して転写性の効果が発揮しにくくなる。
例えば、Si原子の4つの原子価のうち、3つが酸素原子と結合してさらにそれら酸素原子がSi原子と結合することが、−SiO3/2の意味であるが、そのうち1つがSiOHであったとすると、そのケイ素の部分構造は、R0−SiO2/2−OHで表現される。この構造では、ジメチルシリコーンに代表される2置換シリコーン樹脂に類似している。−SiO3/2の構造のピーク面積が5.0%未満であると、樹脂的性質が支配的となり、5.0%以上であると、シリカのような硬い性質が発現し始めると考えられる。それが、繰り返し使用を通して転写性の効果が良好となる一因であると推測する。
一方で、SiO2のような構造が支配的であった場合、硬い性質が支配的となり、繰り返し使用を通して転写性については効果があると考えられる。しかしこの場合、酸素の密度が高いため、高湿環境下において付着力の低減効果が得られにくくなると考えられる。好ましくは、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、上記式(1)で表される部分構造のピーク面積が10.0%以上である。さらに好ましくは、40.0%以上である。上記の範囲であると、より一層、有機ケイ素重合体の構造が強化され、また、酸素密度が適正化され、帯電安定性向上が図られると考えられる。一方、構造安定化による耐久性向上と帯電安定性の観点より、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、上記式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が、100.0%以下であることが好ましい。すなわち、種々の手段で100.0%に近づけることが最も好ましい。有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合は、式(1)の部分構造を形成させる際の反応温度や、反応時のpHにより制御することができる。
以上のように、本発明のトナーは、高温高湿環境下でも安定した帯電性を発揮するイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有し、さらに表面層が付着力を低減し、且つ、耐久性の高い有機ケイ素重合体を含有する。この表面層の効果で、繰り返し使用を通して広い転写ラチチュードを維持することが可能であると本発明者は考えている。
付着力を低減し、且つ、耐久性向上効果を発揮する有機ケイ素重合体と、高温高湿環境においても安定した帯電性を発揮するイオン性官能基を有する樹脂は、それぞれ単独に存在しているだけでは、本発明の効果が十分に発揮されない。有機ケイ素重合体とイオン性官能基を有する樹脂の両者が程良い割合で表面層に存在することが耐久(繰り返し使用)を通して広い転写ラチチュードを発揮する条件の一つである。
有機ケイ素重合体とイオン性官能基を有する樹脂の存在量を分析する方法としてはNMR、TOF−SIMS等、様々な方法がある。本発明においては、X線光電子分光分析の測定値と転写ラチチュードとに相関があり、有効な分析手段であることが明らかとなった。
本発明のトナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、前記トナー粒子の表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0atomic%としたときに、前記ケイ素原子の濃度dSiが1.0atomic%以上28.6atomic%以下であることが広い転写ラチチュードを発揮するために好ましい。より好ましくは、4.0atomic%以上26.0atomic%以下であることである。この範囲にあれば、本発明の効果が良好に発揮される。
通常考えられるトナー粒子の主要原子は、炭素(C)、酸素(O)であり、本発明においては、トナー粒子表面にケイ素(Si)原子が存在した場合、そのSi原子にO原子が結合している部分が存在する。そして、本発明で規定した量の−SiO3/2が存在する。よって、dSiが上記範囲であることで、トナー粒子の表面に、本発明に係る有機ケイ素重合体が存在することを表し、これにより上記性能が向上すると考えられる。前記トナー粒子の表面のケイ素原子の濃度dSiは、イオン性官能基を有する樹脂の含有量で制御することが可能である。
本発明におけるイオン性官能基を有する樹脂のpKaは6.0以上9.0以下である。イオン性官能基を有する樹脂のpKa(酸解離定数)が6.0以上9.0以下であると、高湿環境で優れた帯電性能を発揮するため、その点について説明する。
一般的にイオン性官能基を有する樹脂としては、スルホン酸やカルボン酸などの官能基を有したものが多く用いられている。しかしこのような樹脂は水分を吸着し易く、高温高湿下ではその影響で帯電量が低下する場合がある。しかし、pKaが6.0以上9.0以下であれば、樹脂の吸湿性を低減し、高湿環境での帯電量の低下を抑制できる。
pKaが6.0未満の場合、水分吸着量が増え、高湿下で帯電性が低下してしまう。また、pKaが9.0を超える場合、帯電能力が低く十分な帯電性を発現することができない場合がある。イオン性官能基を有する樹脂のpKaは、より好ましくは、7.0以上8.5以下である。
pKaの求め方は後述するが、中和滴定結果から求めることができる。
イオン性官能基を有する樹脂としては、上記pKaを満たすものであればどのようなものでも構わない。例えば、芳香環に結合した水酸基や、芳香環に結合したカルボキシ基を有する樹脂がpKaを上記範囲することができる。例えば、ビニルサリチル酸、フタル酸1ビニル、ビニル安息香酸、1−ビニルナフタレン−2−カルボン酸を重合させたものが好ましい。
また、分子構造として下記式(2)で示される1価の基aを有する重合体Aを含むことがより好ましい。
Figure 2016200814
(式(2)中、R1はヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数が1以上18以下のアルキル基、または、炭素数が1以上18以下のアルコキシ基を示し、R2は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を示し、gは1以上3以下の整数であり、hは0以上3以下の整数であり、hが2または3の場合、h個のR1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。*は重合体Aの主鎖構造との結合部位である。)
1及びR2におけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
重合体Aの主鎖構造としては、式(2)で示される1価の基aが*部で連結できる構造であれば特に制限はない。例えば、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリエーテル系重合体などが挙げられる。また、これらが2種以上組み合わさったハイブリッド型の重合体も挙げられる。ここに挙げた中でも、ビニル系重合体であることが好ましい。
また、重合体Aに含まれる式(2)で示される1価の基aの含有量は、50μmol/g以上1000μmol/g以下であることが好ましい。50μmol/g以上とすることで、良好な帯電性と耐久性が発揮できる。また、1000μmol/g以下にすることで、チャージアップを抑制することができる。
重合体A中の式(2)で示される1価の基aの含有量は、後述の方法により求めることができる。まず、重合体Aを後述の方法により滴定することにより、重合体Aの酸価を定量し、重合体Aが有する式(2)で示される1価の基aに由来するカルボキシ基の量を算出する。そして、これを基に重合体A中の式(2)で示される1価の基aの含有量(μmol/g)を算出することができる。なお、重合体Aが式(2)で示される1価の基a以外の部位にカルボキシ基を有している場合は、重合体Aを作製する際に式(2)で示される1価の基aを付加反応させる直前の化合物(例えばポリエステル樹脂)の酸価をあらかじめ測定しておく。式(2)で示される1価の基aの付加量は、付加反応後の重合体Aの酸価との差で算出することができる。
また、NMRを測定し、各単量体成分の特徴的な化学シフト値から導出した積分値より各成分のmol比を算出し、それを基に含有量(μmol/g)を算出することができる。
前記有機ケイ素重合体と前記イオン性官能基を有する樹脂を共存させる手段として種々の方法が考えられるが、効果的に本発明の効果を発現させるために、トナー粒子の最表面に前記イオン性官能基を有する樹脂が存在していることが好ましい。したがって前記有機ケイ素重合体を含有するトナー母粒子を製造した後、前記イオン性官能基を有する樹脂を外部から固着させる手法が好ましい。
具体的には、トナー母粒子とイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を乾式で混合し、機械的処理によって固着させる方法や、水系媒体中にトナー母粒子と前記樹脂粒子とを分散させて、加熱したり凝集剤を添加したりする方法が挙げられる。本発明においては、水系媒体中でトナー母粒子表面に前記樹脂粒子を加熱によって固着させることが好ましい。水系媒体中では樹脂粒子は電荷を帯びた状態で分散するため、前記イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子をトナー母粒子の表面に凝集することなく均一に固着させることができるためである。またトナー粒子表面の凹凸を大きくすることができるため、さらにトナーの付着力を下げることが出来る。
樹脂粒子の製造方法は、如何なる方法でも良い。例えば、乳化重合法やソープフリー乳化重合法、転相乳化法、機械式乳化法の如き公知の方法によって製造されたものを用いることができる。これらの製法の中でも、転相乳化法は、乳化剤や分散安定剤を必要とせず、より小粒径の樹脂粒子が容易に得られるため、好ましい。
転相乳化法では、自己分散性を有する樹脂、あるいは中和によって自己分散性を発現し得る樹脂を使用する。ここで、水系媒体中での自己分散性は、分子内に親水性基を有している樹脂において発揮される。具体的には、ポリエーテル基やイオン性官能基を有する樹脂において良好な自己分散性が発揮される。
本発明の樹脂粒子の製造には、中和によって自己乳化性を発現するイオン性官能基を有する樹脂を使用する。具体的には、イオン性官能基を有しpKa(酸解離定数)が6.0以上9.0以下である樹脂を用いる。
上記樹脂中のイオン性官能基を中和することによって親水性が増大し、水系媒体中での自己分散が可能となる。上記樹脂を有機溶剤に溶解し、中和剤を加え、撹拌しながら水系媒体と混合すると、上記樹脂の溶解液が転相乳化を起こして微小な粒子を生成する。有機溶剤は、転相乳化後に加熱、減圧の如き方法を用いて除去する。このように、転相乳化法によれば、実質的に乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した樹脂粒子の水系分散体を得ることが出来る。
本発明において、樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー散乱法による粒度分布測定によって求められる体積基準のメジアン径(D50)で、5nm以上200nm以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは20nm以上130nm以下の範囲で用いられる。体積基準のメジアン径(D50)が5nm以上であると、十分な耐久性が得られる。また、体積基準のメジアン径(D50)が200nm以下である場合、より均一に固着させることができる。
有機ケイ素重合体及びイオン性官能基を有する樹脂が存在する表面層は、前記トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において規定できるが、詳細は後述する。前記表面層の平均厚みDav.が5.0nm以上であることが好ましい。この表面層により、カブリラチチュード拡大効果のみならず、摺擦や圧力と言った繰り返し使用によるトナー劣化要因からトナー粒子を守ることができる。よって、広い転写ラチチュードのさらなる維持が可能となる。より好ましくは、前記平均厚みが10.0nm以上である。一方、前記平均厚みDav.は、低温定着性の観点から、300.0nm以下であることが好ましく、150.0nm以下であることがより好ましい。
また、本発明においては、前記表面層の厚みが2.5nm以下である線分の数の割合(以下、表面層の厚み2.5nm以下の割合ともいう)が、20.0%以下であることが好ましく、より好ましくは10.0%以下である。
また、有機ケイ素重合体を含有するトナー表面層の厚みが2.5nm以下である線分の数の割合が20.0%以下であることで、広範な環境や厳しい使われ方においても、優れた耐久性を有するトナーを得ることができる。本条件を満たすと、−SiO3/2構造による高耐久性が強く発現すると考えられ、イオン性官能基を有する樹脂との作用と相まって、転写ラチチュードの耐久持続性が大幅に向上する。
上記表面層の平均厚みDav.及び上記表面層の厚み2.5nm以下の割合は、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、重合時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。さらに、イオン性官能基を有する樹脂の添加部数、及び、樹脂粒子の粒径によっても制御することができる。
本発明において、有機ケイ素重合体の部分構造である前記式(1)におけるR0が、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。これにより、本発明における転写ラチチュード拡大効果がより強く発揮される。理由としては、酸素の密度が効果発揮に好ましい状態になると、本発明者らは推測している。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体は、下記式(4)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の重合体であることが好ましい。
Figure 2016200814
(式(4)中、R3は飽和炭化水素基又はアリール基を表し、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、アセトキシ基又はアルコキシ基を表す。)
上記R4、R5及びR6が、加水分解、付加重合及び縮合重合することで、−Si−O−Si−構造を得やすく、条件をコントロールしやすいためである。R4、R5及びR6が、アルコキシ基であることが、重合条件のコントロール性とシロキサン構造の形成し易さの点で、好ましい。有機ケイ素重合体のトナー粒子表面への析出性と被覆性の観点から、メトキシ基やエトキシ基がより好ましい。なお、R4、R5及びR6の加水分解、付加重合及び縮合重合は反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
また、R3の飽和炭化水素基としては炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基又はブチル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。R3のアリール基としてはフェニル基が好ましい。例えば、R3がメチル基又はエチル基である有機ケイ素化合物を用いることで、前記式(1)におけるR0を、メチル基又はエチル基とすることができる。
本発明における有機ケイ素重合体を作製するための有機ケイ素化合物として、具体的に以下が挙げられる。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルメトキシジクロロシラン、ブチルエトキシジクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。有機ケイ素化合物は単独で用いても、或いは2種類以上を複合して用いてもよい。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、媒体が酸性である場合には、水素イオンが一つの反応基(例えばアルコキシ基−OR基)の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H+ひとつで反応基(例えばアルコキシ基−OR基)の酸素をひとつ攻撃するため、媒体中のH+の含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に重縮合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成し易い。
一方、媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えばアルコキシ基−OR基)が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び重縮合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、アルカリ性の下でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上、反応温度90℃以上、反応時間5時間以上で反応を進めることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。
次に、本発明のトナー粒子の製造方法について説明する。上記その他の添加物として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、以下の樹脂を用いることができる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独又は混合して使用できる。
以下、本発明トナーの具体的製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。
第一製法としては、懸濁重合法によりトナー粒子を得る方法である。より具体的には、(i)重合性単量体、着色剤、前記式(4)で示される有機ケイ素化合物を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する工程と、
(ii)前記重合性単量体組成物の前記粒子に含有される前記重合性単量体及び前記有機ケイ素化合物の少なくとも一部を重合させて重合体粒子(トナー母粒子)の分散液を得る工程と、
(iii)前記重合体粒子の分散液に、前記イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を添加する工程と、
を経てトナー粒子を得る方法である。
この方法であれば、有機ケイ素重合体を含む層が表面に形成され、さらに、イオン性官能基を有する樹脂を最表面に均一に点在させることが出来るため、最も好ましい製法である。
また、上記製法の工程(ii)において、有機ケイ素重合体を表面層として形成した後に粉体として取り出し、乾式法でイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を表面に固着させる方法も用いられる。
第二製法としては、トナー母粒子を得てから水系媒体中で有機ケイ素重合体とイオン性官能基を有する樹脂の表面層を形成する方法である。トナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕して得ても良く、結着樹脂粒子、及び着色剤粒子を、水系媒体中で凝集し、会合して得ても良い。また、結着樹脂及び着色剤を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒した後に有機溶媒を除去して得ても良い。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素化合物及び着色剤を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去してトナー母粒子を得た後、イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂を添加する方法である。この方法においても、トナー粒子表面近傍に有機ケイ素化合物がトナー表面に析出した状態で重合され、イオン性官能基を有する樹脂は有機ケイ素重合体よりも外側に存在する。
第四製法としては、結着樹脂粒子、着色剤粒子、ゾルまたはゲル状態の有機ケイ素化合物含有粒子、及びイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する方法である。
第五製法としては、有機ケイ素化合物、及びイオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を有する溶媒をスプレードライ法によりトナー母粒子表面に噴射し、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素重合体およびイオン性官能基を有する樹脂含有の表面層を形成する方法である。トナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕して得ても良く、結着樹脂粒子、及び着色剤粒子を、水系媒体中で凝集し、会合して得ても良い。また、結着樹脂及び着色剤を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒した後に有機溶媒を除去して得ても良い。
本発明に用いられるイオン性官能基を有するpKaが6.0以上9.0以下の樹脂を含有する樹脂粒子を水系媒体中でトナー母粒子に固着する方法について説明する。
前記イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子を水系媒体中でトナー母粒子表面に固着させる工程(固着工程)では、水系媒体のpH(水素イオン濃度)が、樹脂粒子のpKa−2.0以上であることが好ましい。
本発明で用いる樹脂のpKa(酸解離定数)は6.0以上9.0以下であるため、樹脂のイオン性官能基の解離は水系媒体中のpHに依存する。水系媒体のpHが低くイオン性官能基の解離が少ない場合、樹脂粒子の表面は電荷を帯びていない部分が多いと考えられ、樹脂粒子同士が容易に接触し凝集した状態でトナー母粒子表面に固着してしまう。上記固着状態では、トナー粒子同士またはトナーと帯電部材との接触によって、樹脂粒子の凝集体はトナー母粒子から容易に脱離することから、かえって帯電安定性が低下してしまう。さらに脱離した樹脂粒子の凝集体自体が部材汚染を引き起こす場合があり、耐久性が低下してしまう。上記pH領域では樹脂粒子の凝集が抑制され、樹脂粒子がトナー母粒子に均一かつ強固に固着するため、樹脂粒子の優れた帯電安定性を長期間保つことができる。一方、水系媒体のpHが、樹脂のpKa−2.0未満の場合、樹脂のイオン性官能基の解離はほぼ起こらず、樹脂粒子同士で凝集した状態でトナー母粒子表面に固着してしまう。好ましくは、水系媒体のpHが、樹脂のpKa以上である。さらに、イオン性官能基の過剰な解離を抑えるため水系媒体のpHが、樹脂のpKa+4.0以下であることが好ましい。
樹脂粒子の固着方法は、水系媒体のpHを樹脂のpKa−2.0以上に調整した状態であれば、公知の手法を適用することができる。例えばトナー母粒子の分散液に樹脂粒子を添加した後、機械的衝撃力により母粒子に埋め込ませても良く、水系媒体を加熱して固着させても良い。また、凝集剤を添加して固着させても良く、上記手法を組み合わせても良い。いれずれの場合においても水系媒体を撹拌することが好ましい。
より好ましくは、樹脂粒子を強固にトナー母粒子に固着させる観点から水系媒体をトナー母粒子のガラス転移温度以上に加熱する手法である。水系媒体を上記温度にすることで、トナー母粒子が軟化し、樹脂粒子がトナー母粒子に接触した際に固定化される。
また固着工程において、トナー母粒子のゼータ電位が、樹脂粒子のゼータ電位よりも10mV以上大きいことが好ましい。トナー母粒子のゼータ電位が、樹脂粒子のゼータ電位よりも10mV以上大きい場合、樹脂粒子は静電的にトナー母粒子に固着するため、短時間で固着が可能であり、またトナー粒子間のバラつきを抑えることができる。
トナー母粒子のゼータ電位は、上記分散安定剤を利用して制御することができる。具体的にはトナー母粒子の表面に付着する分散安定剤の種類及び量や付着の方法により制御することができる。
樹脂粒子をトナー母粒子表面に固着させた後は、公知の方法でろ過、洗浄、乾燥してトナー粒子を得る。無機の分散安定剤を用いた場合は、酸または塩基により溶解させた後除去することが好ましい。
本発明において好ましい水系媒体とは、以下のものが挙げられる。水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、これらの混合溶媒が挙げられる。
上記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
また、重合に際して、用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
また、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.0質量%以下である。
一方、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.0質量%以下である。
上記懸濁重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものを使用することができる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーには、トナー製造時に特定のpKaを有するイオン性官能基を有する樹脂以外の荷電制御剤を用いることができ、公知のものが使用できる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて、トナー粒子に各種有機又は無機微粉体を外添することもできる。該有機又は無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。有機又は無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粉体は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子の表面を処理することもできる。有機又は無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。
<NMRの測定方法(式(1)で表される部分構造の確認)>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)で表される部分構造の確認には、以下の固体NMR測定により確認した。測定条件及び試料調製方法は以下の通りである。
「測定条件」
装置:日本電子社製 JNM−EX400
プローブ:6mm CP/MASプローブ
測定温度:室温
基準物質:ポリジメチルシラン(PDMS) 外部基準:−34.0ppm
測定核:29Si (共鳴周波数79.30MHz)
パルスモード:CP/MAS
パルス幅:6.4μsec
繰り返し時間:ACQTM=25.6msec PD=15.0sec
データ点:POINT=4096 SAMPO=1024
コンタクト時間:5msec
スペクトル幅:40kHz
試料回転数:6kHz
積算回数:2000回
試料:測定試料200mg(調製方法は以下)を直径6mmのサンプルチューブに入れる。
測定試料の調製:トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とする。
上記測定後に、トナー粒子の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記Q1構造、Q2構造、Q3構造、及びQ4構造にピーク分離して、ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
カーブフィティングは日本電子社製のJNM−EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(登録商標) version 4.2(EX series)を用いた。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。
次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting functinon」を選択し、カーブフィティングを行った。その一例を図2に示す。合成ピーク(b)と測定結果(d)の差分である合成ピーク差分(a)のピークが最も小さくなるようにピーク分割を行った。
Q1構造の面積、Q2構造の面積、Q3構造の面積、Q4構造の面積を求めて以下の式によりSQ1、SQ2、SQ3、SQ4を求める。
Q1構造:(R7)(R8)(R9)SiO1/2 式(5)
Q2構造:(R10)(R11)Si(O1/22 式(6)
Q3構造:R12Si(O1/23 式(7)
Q4構造:Si(O1/24 式(8)
Figure 2016200814
(式(5)、(6)及び(7)中のR7、R8、R9,R10、R11、及びR12はケイ素に結合している有機基、ハロゲン原子、水酸基又はアルコキシ基を示す。)
本発明では化学シフト値でシランモノマーを特定して、トナー粒子の29Si−NMRの測定において全ピーク面積からQ1構造の面積とQ2構造の面積とQ3構造の面積とQ4構造の面積の合計を有機ケイ素重合体の全ピーク面積とする。
SQ1+SQ2+SQ3+SQ4=1.000
SQ1={Q1構造の面積/(Q1構造の面積+Q2構造の面積+Q3構造の面積+Q4構造の面積)}
SQ2={Q2構造の面積/(Q1構造の面積+Q2構造の面積+Q3構造の面積+Q4構造の面積)}
SQ3={Q3構造の面積/(Q1構造の面積+Q2構造の面積+Q3構造の面積+Q4構造の面積)}
SQ4={Q4構造の面積/(Q1構造の面積+Q2構造の面積+Q3構造の面積+Q4構造の面積)}
本発明においては、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(1)で表される部分構造のピーク面積が5.0%以上である。すなわち、この測定方法において、−SiO3/2構造を示す値は上記SQ3である。この値が、0.050以上である。
0−SiO3/2 式(1)
Q1構造、Q2構造、Q3構造及びQ4構造におけるケイ素の化学シフト値を以下に示す。
Q1構造の一例(R7=R8=−OC25、R9=−CH3):−47ppm
Q2構造の一例(R10=−OC25、R11=−CH3):−56ppm
Q3構造の一例(R12=−CH3):−65ppm
また、Q4構造がある場合のケイ素の化学シフト値を以下に示す。
Q4構造:−108ppm
[式(1)で表される部分構造の確認方法]
式(1)のR0で表される有機基の有無は、13C−NMRにより確認する。また、式(1)の詳細な構造は1H−NMR,13C−NMR及び29Si−NMRにより確認する。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
「測定条件」
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(上記NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
当該方法にて、式(1)のR0で表される有機基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、式(1)の構造は“あり”とする。
13C−NMR(固体)の測定条件」
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
なお、本発明において、トナーに上記有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法によって、該有機微粉体又は無機微粉体を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の表面層の平均厚みDav.及び表面層の厚みが2.5nm以下の割合の測定方法>
本発明において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(FEI社製電子顕微鏡Tecnai TF20XT)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる樹脂と有機ケイ素化合物の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものを当該粒子とする。
上述のように、FEI社製電子顕微鏡Tecnai TF20XTを用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次にGatan社製EELS検出器GIF Tridiemを用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表面層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。
次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の最大径である長軸Lと、長軸Lの中点を通りかつ垂直な軸L90との交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図1参照)。すなわち、該長軸Lの中点を通り、且つ、前記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように前記断面を横断する直線を16本ひくことにより、前記中点から前記トナー粒子の表面まで32本の線分を形成する。次に、該中心からトナー粒子の表層へ向かう線分(分割軸)をそれぞれAn(n=1〜32)、各線分(分割軸)の長さをRAn、上記線分An上の表面層の厚みをFRAn(n=1〜32)とする。
これらのパラメーターを用いて、該線分(分割軸)上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有する表面層の平均厚みDav.を求める。さらに、32本存在する各線分上における有機ケイ素重合体を含有する表面層の厚みが2.5nm以下である線分の数の割合を求める。
本発明では、平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
「透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)」
TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
[トナー粒子の表面層の平均厚み(Dav.)の測定]
トナー粒子の表面層の平均厚み(Dav.)は以下方法で求める。まず、1つのトナー粒子の表面層の平均厚みD(n)を以下の方法で求める。
(n)=(分割軸上における表面層の厚みの32箇所の合計)/32=(FRA1+FRA2+FRA3+FRA4+FRA5+FRA6+FRA7+FRA8+FRA9+FRA10+FRA11+FRA12+FRA13+FRA14+FRA15+FRA16+FRA17+FRA18+FRA19+FRA20+FRA21+FRA22+FRA23+FRA24+FRA25+FRA26+FRA27+FRA28+FRA29+FRA30+FRA31+FRA32)/32
平均化するためトナー粒子10個のトナー粒子の表面層の平均厚みD(n)(n=1〜10)を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の表面層の平均厚み(Dav.)とする。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
[表面層の厚み2.5nm以下の割合の測定]
[表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合]=〔{表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である分割軸の数}/32〕×100
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られた10個の表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合の平均値を求め、トナー粒子の表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合とした。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナー粒子の表面に存在するケイ素原子の濃度(atomic%)>
トナー粒子の表面に存在するケイ素原子の濃度[dSi](atomic%)、炭素原子の濃度[dC](atomic%)及び酸素原子の濃度[dO](atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた表面組成分析を行い算出する。
本発明では、ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件: X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV
StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V
Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回 O 10回
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表面に存在する、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、酸素原子の濃度[dO](いずれも、atomic%)を算出した。
そして、トナー粒子の表面層の、炭素原子の濃度dCと酸素原子の濃度dOとケイ素原子の濃度dSiの合計(dC+dO+dSi)を100.0atomic%としたときのケイ素原子の濃度dSiの割合(atomic%)を求めた。
<ガラス転移温度(Tg)>
トナー母粒子及び樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)M−DSC(商品名:Q2000、TA−インストルメンツ社製)を用いて、下記手順にて測定する。測定する試料3mgを精秤する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20乃至200℃の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行う。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/minで測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移温度(Tg:℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。
<酸価>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。0.1モル/l塩酸100mlを250mlトールビーカーに取り、上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。上記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20ml
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1ml
本試験;
測定サンプル0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mlを加え、1時間かけて溶解する。上記電位差滴定装置を用い、上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<pKa>
測定サンプル0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、THF150mlを加え、30分かけて溶解する。この溶液にpH電極を入れ、サンプルのTHF溶液のpHを読み取る。その後、0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を10μlずつ添加し、その都度pHを読み取り滴定を行う。pHが10以上となり、30μl添加してもpHの変化がなくなるまで0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液を加える。得られた結果から0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液添加量に対するpHをプロットし、滴定曲線を得る。得られた滴定曲線からpH変化の傾きが一番大きいところを中和点とする。pKaは次のようにして求める。中和点までに必要とした0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液量の半分量でのpHを滴定曲線から読み取り、読み取ったpHの値をpKaとする。
<NMR(重合体Aに含まれる1価の基a含有量の確認)>
重合体Aに含まれる1価の基aの含有量は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から各単量体成分のmol比を求め、これを基に重合体Aに含まれる1価の基aのmol%を算出する。
<樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)>
樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、ゼータサイザーNano−ZS(MALVERN社製)を用い、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)で粒子径を測定することにより算出する。
まず、装置の電源を入れ、レーザーを安定するまで30分待つ。その後、Zetasizerソフトウェアを起動する。
MeasureメニューからManualを選択し、測定の詳細を以下に示すように入力する。
測定モード:粒子径
Material:Polystyrene latex(RI:1.59、Absorption:0.01)
Dispersant:Water(Temperature:25℃、Viscosity:0.8872cP、RI:1.330)
Temperature:25.0℃
Cell:Clear disposable zeta cell
Measurement duration:Automatic
試料は0.50質量%となるように、水で希釈して調製し、ディスポーザブルキャピラリーセル(DTS1060)に充填し、セルを装置のセルホルダに装入する。
以上の準備が終わったら測定表示画面のStartボタンを押し、測定する。
DLS測定から得られる光強度分布をミー理論により変換した体積基準の粒度分布のデータを元に、D50を算出する。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例および比較例の部数および%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<重合性単量体M−1の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gをメタノール150mLに溶解させ、炭酸カリウム36.9gを加えて65℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン18.7gとメタノール100mLの混合液を滴下し、65℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をpH=2の水1.5Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。析出物をヘキサン洗浄後、トルエンと酢酸エチルにて再結晶することで精製し、下記式(9)に示す重合性単量体M−1を20.1g得た。
Figure 2016200814
<重合性単量体M−2の合成例>
2,5−ジヒドロキシ安息香酸100gと80%硫酸1441gとを50℃に加熱混合した。この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加えて50℃で30分間撹拌した。その後、この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加えて50℃で30分間撹拌する操作を3回行った。反応液を室温まで冷却し、氷水1kgにゆっくり注いだ。析出物を濾過、水洗し、その後、ヘキサン洗浄した。この析出物をメタノール200mLに溶解させ、水3.6Lに再沈殿させた。濾過後、80℃にて乾燥することで下記式(10)に示すサリチル酸中間体74.9gを得た。
Figure 2016200814
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを前記式(10)のサリチル酸中間体25.0gに変更する以外は、重合性単量体M−1と同様にして、下記式(11)で示す重合性単量体M−2を20.1g得た。
Figure 2016200814
<重合性単量体M−3の合成例>
tert−ブチルアルコール144gを2−オクタノール253gに変更する以外は、重合性単量体M−2の合成と同じ方法で、サリチル酸中間体を得た。ここで得られたサリチル酸中間体32gを用いる以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記式(12)の重合性単量体M−3を得た。
Figure 2016200814
<重合性単量体M−4の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,3−ジヒドロキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記式(13)の重合性単量体M−4を得た。
Figure 2016200814
<重合性単量体M−5の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,6−ジヒドロキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記式(14)の重合性単量体M−5を得た。
Figure 2016200814
<重合性単量体M−6の合成例>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸18.0gを2,5−ジヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸18gに変更する以外は、重合性単量体M−1の合成例と同じ方法で、下記式(15)の重合性単量体M−6を得た。式(15)中、Meはメチル基を示す。
Figure 2016200814
<重合体A−1の合成例>
前記式(9)に示す重合性単量体M−1(8.6g)、スチレン(61.4g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)42.0mlに溶解させ、窒素バブリングをしながら1時間撹拌した後、110℃まで加熱した。この反応液に、開始剤としてtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日本油脂株式会社製、商品名パーブチルI)(2.1g)とトルエン42mlの混合液を滴下した。更に110℃にて4時間反応した。その後、冷却しメタノール1Lに滴下し、析出物を得た。得られた析出物をTHF120mlに溶解後、メタノール1.80Lに滴下し、白色析出物を析出させ、濾過し、減圧下90℃にて乾燥させることで、重合体A−1(66.5g)を得た。得られた重合体A−1のNMRと酸価を測定し、重合性単量体M−1に由来する成分の含有量を確認した。
<重合体A−2〜重合体A−9>
原料の仕込み量を表1のように変更する以外は重合体A−1の合成例と同様にして重合体A−2〜重合体A−9を得た。
<重合体B−1の合成例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200質量部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
1−ビニルナフタレン−2−カルボン酸 5.3質量部
スチレン 75.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 16.0質量部
ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0質量部
を混合し、上記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し重合体B−1を得た。得られた重合体B−1のNMRと酸価を測定し、式(2)で示される1価の基aの含有量を確認した。
<重合体B−2の合成例>
重合体B−1の合成例での1−ビニルナフタレン−2−カルボン酸(5.3質量部)を5−ビニルサリチル酸(9.0質量部)に変更する以外は、重合体B−1と同様にして重合体B−2を得た。
<重合体B−3の合成例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。単量体として、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 6.0質量部
スチレン 72.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 18.0質量部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し重合体B−3を得た。得られた重合体B−3のNMRと酸価を測定し、式(2)で示される1価の基aの含有量を確認した。
得られた重合体A−1〜重合体A−9、重合体B−1〜重合体B−3の物性を表1に記載する。
Figure 2016200814
<樹脂粒子E−1の水分散体の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、メチルエチルケトン200.0質量部を仕込み、重合体A−1を100.0質量部加えて溶解した。次いで、1.0N水酸化カリウム水溶液をゆっくり加え、10分間撹拌を行った後、イオン交換水500.0質量部をゆっくり滴下し、乳化させた。
得られた乳化物を減圧蒸留して脱溶剤し、イオン交換水を加えて樹脂濃度が20%になるように調整することで、樹脂粒子E−1の水分散体を得た。得られた樹脂粒子E−1の水分散体の物性値を表2に示す。
<樹脂粒子E−2〜樹脂粒子E−13の水分散体の製造例>
重合体A−1と、1.0N水酸化カリウム水溶液の量を表2に示すように変更した以外は、樹脂粒子E−1の製造例と同様にして樹脂粒子E−2〜樹脂粒子E−13の水分散体を得た。得られた樹脂粒子E−2〜樹脂粒子E−13の水分散体の物性値を表2に示す。
Figure 2016200814
<ポリエステル系樹脂の合成例>
(イソシアネート基含有プレポリマーの合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 725質量部
・フタル酸 290質量部
・ジブチルスズオキサイド 3.0質量部
上記材料を220℃にて撹拌して7時間反応し、さらに減圧下で5時間反応させた後、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート190質量部と2時間反応し、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を得た。イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を25質量部とイソホロンジアミン1質量部を50℃で2時間反応させ、ウレア基を含有するポリエステルを主成分とするポリエステル系樹脂を得た。得られたポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は22300、数平均分子量(Mn)は2980、ピーク分子量は7200であった。
〔実施例1〕
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた5つ口耐圧容器中にイオン交換水700質量部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0モル/リットルのHCl水溶液24.0質量部を添加した。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、63℃に保持した。ここに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
その後、以下の原料を用いて、重合性単量体組成物を作製したが、この工程を溶解工程と定義する。
・スチレンモノマー 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.1質量部
・有機ケイ素化合物(メチルトリエトキシシラン) 15.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・ポリエステル系樹脂 6.0質量部
・離型剤〔べヘン酸ベヘニル〕 10.0質量部
上記原料をアトライター(日本コークス工業社製)で3時間分散させ、重合性単量体組成物とした。次に、この重合性単量体組成物を別の容器に移し、撹拌しながら63℃で5分保持し、その後、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート20.0質量部(トルエン溶液50%)を添加し、撹拌しながら5分間保持した(溶解工程)。
次に、該重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、高速撹拌装置で撹拌しながら、10分間造粒した(造粒工程)。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させた。昇温に要した時間は10分間であった。さらに、ゆっくり撹拌しながら5時間反応させた。pHは5.1であった。ここまでを、反応1工程と定義する。
次に、1.0N−NaOH水溶液を加えて10分以内にpH8.0に調整し、容器内の温度を85℃まで昇温した。昇温に要した時間は20分であった。その後、容器内を85℃で3.0時間維持した。ここまでを、反応2工程と定義する。
反応2工程終了後、還流管を取り外し、留分を回収できる蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃になるまで昇温した。昇温に要した時間は30分であった。その後、容器内温度を100℃にて5.0時間維持した。留分を回収できる蒸留装置を取り付けてから、100℃での5.0時間維持が終了するまでを、蒸留工程と定義する。また、維持する温度を蒸留温度とし、維持した時間を蒸留時間とした。この工程で、残存単量体やその他溶剤を除去した。蒸留開始時および終了時の容器内容物を少量取り出し、85℃時点でのpHを測定したところ、いずれも8.0であった。
蒸留終了後、90℃まで冷却し、樹脂粒子E−1の水分散体を3.2質量部(固形分0.64質量部)を10分かけて滴下した。その後、容器内を90℃で1.0時間維持した。ここまでを樹脂粒子固着工程と定義する。
樹脂粒子固着工程後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させ、さらに、ろ過を行った。ろ過後、得られたケーキを取りださずに、さらにイオン交換水700質量部を加えてもう一度ろ過し、洗浄を行った。
次いで、ろ過後のケーキを取り出し、30℃で1時間真空乾燥を行った。ここで得られた粒子をトナー粒子とする。
さらに、風力分級によって微粗粉をカットした。ここで得られた粒子をトナーとした。トナー粒子およびトナーの処方及び製造条件を表3に示し、トナー粒子1の物性を表4に示した。表4中、「ESCA dSi値」は、トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、トナー粒子の表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0atomic%としたときのケイ素原子の濃度dSiを示す。
得られたトナー1を下記のように評価した。
図3のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9510Cを改造し、シアンステーションだけでプリント可能とした。また、転写電流を任意に設定できるよう改造した。なお、図3において、1は感光体(静電荷像担持体)、2はトナー担持体、3は供給ローラー、4はトナー、5は規制ブレード、6はトナー容器、7は露光、8は帯電ローラー、9はクリーニング装置、13は転写ローラー、16は中間転写ベルト、18は転写材(記録紙)、21は定着器である。このLBP9510C用トナーカートリッジを用い、トナーを200g充填した。そして、そのトナーカートリッジを高温高湿H/H(32.5℃/85%RH)の環境下で3日間放置した。この高温高湿H/H環境下で3日間放置後にトナーカートリッジをLBP9510Cに取り付け、初期の転写ラチチュード、画像濃度、及び、帯電性の評価を行った。その後、1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で15,000枚までプリントアウトして、15,000枚出力時(耐久後)の転写ラチチュード、画像濃度、及び、帯電性の評価を行った。結果を表5に示す。
<転写ラチチュード>
初期と15000枚印字後において、転写電流を2〜20μAの間で2μA刻みで変化させ、それぞれにおいてベタ画像を出力し、ベタ画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープでテーピングして剥ぎ取った。その後、該テープとテーピングしていないテープをLETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に貼り付けた。該テープの反射率Ds(%)からテーピングせず貼り付けたテープの反射率Dr(%)を差し引いた数値により転写性を評価した。
この転写性の数値が2.0以下となる転写電流範囲を転写ラチチュードとした。転写ラチチュードは、転写電流範囲が広い程、良好な結果である。
反射率の測定は、「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を用い、アンバーフィルターを装着して測定した。
<画像濃度>
初期および15000枚出力後、20mm四方のべた黒画像が紙面の4隅と中央に印字されたサンプル画像を出力して、その5点の平均濃度を測定した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
<帯電性>
初期および15000枚出力後、トナーをカートリッジから抜き取り、それぞれ下記のように二成分現像剤を作製した。
帯電量の評価を行うために以下のようにサンプル調製を行った。磁性キャリアF813−300(パウダーテック社製)18.6gと評価トナー1.4gを50ccの蓋付きプラスチックボトルに投入し、振とう器(YS−LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に2往復のスピードで1分間振とうを行った。
トナー並びに二成分現像剤について、以下の通りに評価を行った。
<高温高湿下でのトナー帯電量の評価>
帯電量の測定は二成分現像剤を高温高湿環境(32.5℃/85%RH)で3日間放置し、200回/分の速度で3分間振とうさせ、図4の装置を用いて測定した。
(帯電量の測定方法)
図4に示す底に500メッシュ(目開き25μm)のスクリーン43のある金属製の測定容器42に摩擦帯電量を測定しようとする二成分現像剤を0.500gを入れ金属製のフタ44をする。このときの測定容器42全体を秤り、その重さをW1(g)とする。次に、吸引機41(測定容器42と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口47から吸引し風量調節弁46を調整して真空計45の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行い、二成分現像剤からトナーを吸引除去する。
このときの電位計49の電位をV(ボルト)とする。ここで48はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体を秤り、その重さをW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量は下記式のように計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
得られた帯電量が高く、初期と15000枚印字後との帯電量の差が小さい程、良好な結果である。
〔実施例2〜実施例30、実施例33〜34〕
表3に示した製造条件及び処方に従い、それ以外は上記実施例1に従い、トナー粒子及びトナーを作製した。得られたトナー粒子の物性を表4に示した。また、評価結果を表5に示した。なお、減圧蒸留および加圧蒸留の方法を以下に示す。
減圧蒸留は、空いている口に減圧機を取り付け、留分を回収する蒸留装置側に引きこまれない程度まで減圧することで行った。
加圧蒸留は、空いている口に加圧器を取り付け、蒸留装置側に弁を取り付け、圧力の影響を受けないようにする。蒸留中は、5分に1度蒸留装置側の弁を開放して常圧に戻し、揮発分を回収した。
〔実施例31〕
樹脂粒子固着工程を実施しない以外は、上記実施例1に従い、トナー粒子を得た。
樹脂粒子E−1の水分散体を乾燥させ、樹脂粒子E−1の乾燥品を得た。得られた樹脂粒子E−1の乾燥品を凍結粉砕して樹脂粒子E−1の凍結粉砕品を得た。
乾燥させたトナー粒子100.0質量部に樹脂粒子E−1の凍結粉砕品を0.5質量部添加し、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン製 ノビルタNOB−130)に投入した。処理温度30℃、回転式処理ブレード90m/sec.の条件にて固着を行い、トナー粒子31を得た。さらに、風力分級によって微粗粉をカットした。ここで得られた粒子をトナー31とした。トナー粒子31の物性を表4に示した。トナー31の評価は実施例1と同様にして行い、結果を表5に示した。
〔実施例32〕
反応1工程までは実施例1に従った。
反応1工程終了後、次に、1.0N−NaOH水溶液を加えて10分以内にpH8.0に調整し、樹脂粒子E−1の水分散体3.2質量部(固形分0.6質量部)を10分かけて滴下した。その後、容器内を85℃まで昇温した。昇温に要した時間は20分であった。その後、容器内を85℃で3.0時間維持した。
次に、還流管を取り外し、留分を回収できる蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃になるまで昇温した。昇温に要した時間は30分であった。その後、容器内温度を100℃にて5.0時間維持した。留分を回収できる蒸留装置を取り付けてから、100℃での5.0時間維持が終了するまでを、蒸留工程と定義する。また、維持する温度を蒸留温度とし、維持した時間を蒸留時間とした。この工程で、残存単量体やその他溶剤を除去した。蒸留開始時および終了時の容器内容物を少量取り出し、85℃時点でのpHを測定したところ、いずれも8.0であった。30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させ、さらに、ろ過を行った。ろ過後、得られたケーキを取りださずに、さらにイオン交換水700質量部を加えてもう一度ろ過し、洗浄を行った。
次いで、ろ過後のケーキを取り出し、30℃で1時間真空乾燥を行った。ここで得られた粒子をトナー粒子とする。
さらに、風力分級によって微粗粉をカットした。ここで得られた粒子をトナー32とした。トナー粒子32の物性を表4に示した。トナー32の評価は実施例1と同様にして行い、結果を表5に示した。
〔比較例1〜比較例3〕
表3に示した製造条件及び処方に従い、それ以外は上記実施例1に従い、トナー粒子及びトナーを作製した。得られたトナー粒子の物性を表4に示した。また、得られたトナーの評価は実施例1と同様にして行い、結果を表5に示した。なお、減圧蒸留および加圧蒸留の方法を以下に示す。
減圧蒸留は、空いている口に減圧機を取り付け、留分を回収する蒸留装置側に引きこまれない程度まで減圧することで行った。
加圧蒸留は、空いている口に加圧器を取り付け、蒸留装置側に弁を取り付け、圧力の影響を受けないようにする。蒸留中は、5分に1度蒸留装置側の弁を開放して常圧に戻し、揮発分を回収した。
〔比較例4〕
実施例1の重合性単量体組成物に用いる原料を下記の材料に変更する以外は、実施例1に従って、蒸留工程までを実施した。
・スチレンモノマー 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.1質量部
・重合体A−1 0.5質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・ポリエステル系樹脂 6.0質量部
・離型剤〔べヘン酸ベヘニル〕 10.0質量部
蒸留工程終了後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させ、さらに、ろ過を行った。ろ過後、得られたケーキを取りださずに、さらにイオン交換水700質量部を加えてもう一度ろ過し、洗浄を行った。
次いで、ろ過後のケーキを取り出し、30℃で1時間真空乾燥を行った。ここで得られた粒子をトナー粒子38とする。
さらに、風力分級によって微粗粉をカットした。その後、トナー粒子38の100.0質量部に対して、疎水性シリカ微粉体2.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製)で3000rpmで15分間混合してトナー38を得た。なお、疎水性シリカ微粉体は、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/gのものを用いた。ここで得られた粒子をトナー38とした。トナー粒子38の物性を表4に示した。得られたトナー38の評価は実施例1と同様にして行い、結果を表5に示した。
Figure 2016200814
Figure 2016200814
Figure 2016200814

Claims (8)

  1. イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子に由来する表面層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記表面層が、さらに、有機ケイ素重合体を含有し、
    前記有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有し、
    前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であり、
    前記イオン性官能基を有する樹脂のpKa(酸解離定数)が、6.0以上9.0以下であることを特徴とするトナー。
    0−SiO3/2 (1)
    (R0は炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)
  2. 前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、前記トナー粒子の表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0atomic%としたときに、前記ケイ素原子の濃度dSiが、1.0atomic%以上28.6atomic%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、前記トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中点を通り、且つ、前記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように前記断面を横断する直線を16本ひくことにより前記中点から前記トナー粒子の表面まで32本の線分が形成されたとき、前記32本の線分上における前記表面層の平均厚みDav.が、5.0nm以上である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記表面層の厚みが2.5nm以下である前記線分の数の割合が、20.0%以下である請求項3に記載のトナー。
  5. 前記イオン性官能基を有する樹脂のpKaが、7.0以上8.5以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記式(1)におけるR0が、メチル基又はエチル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記イオン性官能基を有する樹脂が、下記式(2)で示される1価の基aを有する重合体Aである請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2016200814
    (式(2)中、R1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、gは1以上3以下の整数を表し、hは、0以上3以下の整数を表す。hが2または3である場合、h個のR1は、同一であっても異なっていてもよい。*は重合体Aの主鎖構造との結合部位である。)
  8. 前記イオン性官能基を有する樹脂を含有する樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)が5nm以上200nm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
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