JP2016200012A - バルブタイミング調整装置、バルブタイミング調整装置の製造に用いられるロック治具、および、バルブタイミング調整装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バルブタイミング調整装置10は係止部33を備える。係止部33は、バルブタイミング調整装置10の内燃機関への組み付けに先立って駆動回転体25と入力回転体39との相対回転をロック治具60でロックするとき、当該ロック治具60を係止する。係止部33は、回転式アクチュエータ11のうち、チェーンカバー92の通孔93に挿入される部分である挿入部23と比べて、径方向内側に位置する。ロック治具60は、第1係合部61と、第2係合部62と、接続部63とを備える。第1係合部61は、入力回転体39と周方向に係合する。第2係合部62は、係止部33と周方向に係合する。接続部63は、第1係合部61と第2係合部62とを接続する。ロック治具60は、径方向の体格が挿入部23よりも小さい。
【選択図】図1
Description
組立工程では、第1ハウジングと第2ハウジングと締結部材と従動回転体と減速機構とを組み立てる。
ロック工程では、組立工程のあと、径方向の体格が挿入部よりも小さいロック治具を用いて、駆動回転体と減速機構の入力回転体との相対回転をロックする。
接続工程では、ロック工程のあと、第1ハウジングをクランク軸およびカム軸の一方に接続し、従動回転体をクランク軸およびカム軸の他方に接続する。
カバー取付け工程では、接続工程のあと、内燃機関の本体にカバー部材を取り付ける。
ロック解除工程では、カバー取付け工程のあと、ロック治具を駆動回転体および入力回転体から取り外して、当該ロック治具をカバー部材の通孔を通じて外部に取り出す。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置10を示している。バルブタイミング調整装置10は、車両の内燃機関のクランク軸90からカム軸91に機関トルクを伝達する経路に設置されている。カム軸91は、特許請求の範囲に記載の「バルブ」に相当する図示しない吸気弁を機関トルクの伝達によって開閉するものである。バルブタイミング調整装置10は当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
以下、バルブタイミング調整装置10の構成について図1〜図5を参照して説明する。バルブタイミング調整装置10は、回転式アクチュエータ11および位相調整部12を備えている。
駆動回転体25は、カム軸91の回転軸心AX1上に設けられた有底筒状の第1ハウジング28と第2ハウジング29とシグナルプレート30とを、ボルト31で締結してなる。第1ハウジング28は、外壁に一体に形成されたスプロケット32を有している。第1ハウジング28は、スプロケット32とクランク軸90のスプロケット94とに環状のタイミングチェーン95が掛け渡されることによって、クランク軸90と接続されている。この接続により、クランク軸90の機関トルクがタイミングチェーン95を通じてスプロケット32に伝達されるとき、駆動回転体25がクランク軸90と連動して回転する。なお、駆動回転体25の回転方向は、図2〜図4の時計方向に設定されている。
一方、特定の従動側ストッパ部36が進角方向の駆動側ストッパ部35に当接するときには、駆動回転体25に対する従動回転体26の進角方向への相対回転が止められて、回転体間位相が進角側の最端位相に規制される。
駆動側内歯車部37は、第2ハウジング29の周壁部の内壁に一体に設けられている。駆動側内歯車部37の軸心は回転軸心AX1と一致する。駆動側内歯車部37は、特許請求の範囲の「内歯車」に相当する。ボルト31は、駆動側内歯車部37の歯先部と同じ周方向位置に設けられている。本実施形態では、ボルト31は、周方向において不等間隔に4本設けられている。これにより、各係止部33は、周方向において不等間隔に設けられている。
具体的には、回転軸21が駆動回転体25と同速回転することで、入力回転体39が駆動回転体25に対して相対回転しないときには、遊星歯車49が遊星運動することなく回転体25、26と連れ回りする。したがって、回転体間位相が保持されることになる。
また、回転軸21が駆動回転体25に対して高速回転することで、入力回転体39が駆動回転体25に対して進角方向に相対回転するときには、遊星歯車49が遊星運動して従動回転体26が駆動回転体25に対する進角方向に相対回転する。したがって、回転体間位相が進角することになる。
以下、バルブタイミング調整装置10の製造方法と、製造に用いるロック治具とについて図6〜図19を参照して説明する。
「組立工程」
組立工程では、図6に示すように、構成要素27、28、29、30、31を組み合わせることによって、位相調整部12を組み立てる。
ロック工程では、図7〜図12に示すように、ロック治具60を用いて駆動回転体25と入力回転体39との相対回転をロックする。ロック治具60は、入力回転体39と周方向に係合する第1係合部61と、ボルト31の係止部33と周方向に係合する第2係合部62と、第1係合部61と第2係合部62とを接続している接続部63とを備えている。
第1係合部61は、接続部63から軸方向へ突き出して入力回転体39の嵌合溝42に嵌合する2つの突起である。嵌合溝42は、特許請求の範囲に記載の「嵌合部」に相当する。
第2係合部62は、接続部63から径方向へ突き出すように形成されており、先端部に凹部65を有する。凹部65の側壁は、ロック治具60の取付状態において係止部33と周方向に係合する。
以上によれば、遅角側最端位相での回転体間位相の規制状態下、嵌合溝42によって第1係合部61が係止されるとともに、ボルト31の係止部33よって第2係合部62が係止されるので、駆動回転体25に対して従動回転体26が相対回転しないようロック治具60が取り付けられることとなる。
搬送工程では、先のロック工程にて図7のようにロック治具60が取り付けられた位相調整部12を、ロック工程の実施場所から後述の接続工程の実施場所まで搬送する。
接続工程では、図16に示すようにセンターボルト34を用いて従動回転体26をカム軸91の端面に固定することによって、従動回転体26とカム軸91とを接続する。また、第1ハウジング28のスプロケット32とクランク軸90のスプロケット94とに環状のタイミングチェーン95を掛け渡すことによって、駆動回転体25とクランク軸90とを接続する。
カバー取付け工程では、図17、図18に示すように内燃機関の本体にチェーンカバー92を取り付ける。
「ロック解除工程」
ロック解除工程では、図19に示すようにロック治具60を駆動回転体25および入力回転体39から取り外して、当該ロック治具60をチェーンカバー92の通孔93を通じて外部に取り出す。
連結工程では、図1に示すように回転式アクチュエータ11の回転軸21に設けられた継手部43を入力回転体39の嵌合溝42に嵌合させることによって、回転式アクチュエータ11と入力回転体39とを連結する。この後、必要に応じて通電制御回路部を回転式アクチュエータ11と電気接続させることによって、バルブタイミング調整装置10が完成する。
以上説明したように、第1実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、係止部33を備えている。係止部33は、バルブタイミング調整装置10の内燃機関への組み付けに先立って駆動回転体25と入力回転体39との相対回転をロック治具60でロックするとき、当該ロック治具60を係止する。そして、係止部33は、回転式アクチュエータ11のうち、内燃機関のチェーンカバー92の通孔93に挿入される部分である挿入部23と比べて、径方向内側に位置している。
本発明の第2実施形態では、図20に示すように、入力回転体39の端面には、偏心部44の偏心方向を示すマークである偏心方向マーク75が形成されている。そして、ロック治具70は、第1係合部71と第2係合部72と接続部73とを含む全体が透過性のある樹脂などの材料から作られている。したがって、ロック治具70の取付状態において、接続部73の奥にある偏心方向マーク75を視認することができる。
本発明の他の実施形態では、係止部は、ボルトの締め付け時に用いる頭部の穴など、ボルトの他の部位であってもよい。また、係止部は、第1ハウジングと第2ハウジングとを締結するボルトに限らず、例えば、第1ハウジングと第2ハウジングとを締結するリベット等の他の締結部材、または、駆動回転体に設けられる位置決めピン等から構成されてもよい。
他の実施形態では、第2係合部の先端部には凹部が形成されなくてもよい。第2係合部は、回転体間位相が遅角側最端位相に規制されたとき、係止部に対して遅角方向に位置するように構成され、当該係止部により進角方向への回転が規制されてもよい。
本発明の他の実施形態では、本実施形態に対して「進角」と「遅角」の関係を逆にしてもよく、さらにその場合において、設定方向Sを進角方向としてもよい。
本発明の他の実施形態では、内燃機関の機関トルクをクランク軸から駆動回転体に伝達する「トルク伝達部材」として、タイミングチェーンに限らず、例えば環状のタイミングベルト等を使用してもよい。
本発明の他の実施形態では、駆動回転体がカム軸に接続されるとともに、従動回転体がクランク軸に接続されてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、吸気弁に限らず、排気弁、または、吸気弁および排気弁の両方に適用されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
23・・・挿入部 25・・・駆動回転体
26・・・従動回転体 27・・・減速機構
28・・・第1ハウジング 29・・・第2ハウジング
33・・・係止部 39・・・入力回転体
60、70・・・ロック治具 90・・・クランク軸
91・・・カム軸 92・・・カバー部材
93・・・通孔
Claims (10)
- 内燃機関においてクランク軸(90)からの機関トルクの伝達によりカム軸(91)が開閉駆動するバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
前記クランク軸および前記カム軸の一方と連動して回転する第1ハウジング(28)と、
前記第1ハウジングに固定されている第2ハウジング(29)と、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとからなる駆動回転体(25)の内部で、前記クランク軸および前記カム軸の他方の端部に固定される従動回転体(26)と、
前記従動回転体の軸方向の延長上に設けられている回転式アクチュエータ(11)と、
前記駆動回転体に対する前記回転式アクチュエータの相対回転を減速して、前記駆動回転体に対する前記従動回転体の相対回転に変換する減速機構(27)と、
前記バルブタイミング調整装置の前記内燃機関への組み付けに先立って前記駆動回転体と前記減速機構の入力回転体(39)との相対回転をロック治具(60、70)でロックするとき、当該ロック治具を係止する係止部(33)と、を備え、
前記係止部は、前記回転式アクチュエータのうち、前記内燃機関のカバー部材(92)の通孔(93)に挿入される部分である挿入部(23)と比べて、径方向内側に位置していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記係止部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを締結している締結部材(31)の一部であることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記減速機構は、前記第2ハウジングと一体に設けられている内歯車(37)と、前記内歯車の軸心(AX1)まわりに回転可能であり、前記軸心に対して偏心する偏心部(44)を有し、前記回転式アクチュエータに連結される前記入力回転体と、前記内歯車と噛み合い、前記偏心部により偏心軸心(AX2)まわりに回転可能に支持され、前記入力回転体が前記軸心まわりに回転すると前記軸心まわりに公転しつつ前記偏心軸心まわりに自転する遊星歯車(49)と、前記遊星歯車の自転を前記従動回転体に伝達する伝達手段(38、51)と、を有し、
前記締結部材は、前記内歯車の歯先部と同じ周方向位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記係止部は、周方向において不等間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 内燃機関においてクランク軸からの機関トルクの伝達によりカム軸が開閉駆動するバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であり、前記クランク軸および前記カム軸の一方と連動して回転する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに固定されている第2ハウジングと、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとからなる駆動回転体の内部で、前記クランク軸および前記カム軸の他方の端部に固定される従動回転体と、前記従動回転体の軸方向の延長上に設けられている回転式アクチュエータと、前記駆動回転体に対する前記回転式アクチュエータの相対回転を減速して、前記駆動回転体に対する前記従動回転体の相対回転に変換する減速機構と、前記回転式アクチュエータのうち、前記内燃機関のカバー部材の通孔に挿入される部分である挿入部と比べて、径方向内側に位置している係止部と、を備えるバルブタイミング調整装置の製造に用いられ、
前記バルブタイミング調整装置の前記内燃機関への組み付けに先立って前記減速機構の入力回転体と前記駆動回転体との相対回転をロックするロック治具であって、
前記入力回転体と周方向に係合する第1係合部(61、71)と、
前記係止部と周方向に係合する第2係合部(62、72)と、
前記第1係合部と前記第2係合部とを接続している接続部(63、73)と、を備え、
径方向の体格が前記挿入部よりも小さいことを特徴とするロック治具。 - 前記係止部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを締結している締結部材の一部であることを特徴とする請求項5に記載のロック治具。
- 前記入力回転体は、軸方向へ延びる2つの嵌合部(42)を有し、
前記第1係合部は、前記接続部から突き出して前記嵌合部に嵌合する2つの突起であり、当該2つの突起の先端部が互いに近づくよう弾性変形した状態で前記嵌合部に挿入されることによって前記入力回転体に取り付けられることを特徴とする請求項5または6に記載のロック治具。 - 前記減速機構は、前記第2ハウジングと一体に設けられている内歯車と、前記内歯車の軸心まわりに回転可能であり、前記軸心に対して偏心する偏心部を有し、前記回転式アクチュエータに連結される前記入力回転体と、前記内歯車と噛み合い、前記偏心部により偏心軸心まわりに回転可能に支持され、前記入力回転体が前記軸心まわりに回転すると前記軸心まわりに公転しつつ前記偏心軸心まわりに自転する遊星歯車と、前記遊星歯車の自転を前記従動回転体に伝達する伝達手段と、を有し、
前記入力回転体は、前記偏心部の偏心方向を示すマークである偏心方向マーク(75)を有し、
前記接続部は、前記偏心方向マークを視認可能なよう透過性のある材料から作られていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のロック治具。 - 内燃機関においてクランク軸からの機関トルクの伝達によりカム軸が開閉駆動するバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であり、前記クランク軸および前記カム軸の一方と連動して回転する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに固定されている第2ハウジングと、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとからなる駆動回転体の内部で、前記クランク軸および前記カム軸の他方の端部に固定される従動回転体と、前記従動回転体の軸方向の延長上に設けられている回転式アクチュエータと、前記駆動回転体に対する前記回転式アクチュエータの相対回転を減速して、前記駆動回転体に対する前記従動回転体の相対回転に変換する減速機構と、前記回転式アクチュエータのうち、前記内燃機関のカバー部材の通孔に挿入される部分である挿入部と比べて、径方向内側に位置している係止部と、を備えるバルブタイミング調整装置を製造する方法であって、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングと前記従動回転体と前記減速機構とを組み立てる組立工程と、
前記組立工程のあと、径方向の体格が前記挿入部よりも小さいロック治具を用いて、前記駆動回転体と前記減速機構の入力回転体との相対回転をロックするロック工程と、
前記ロック工程のあと、前記第1ハウジングを前記クランク軸および前記カム軸の一方に接続し、前記従動回転体を前記クランク軸および前記カム軸の他方に接続する接続工程と、
前記接続工程のあと、前記内燃機関の本体に前記カバー部材を取り付けるカバー取付け工程と、
前記カバー取付け工程のあと、前記ロック治具を前記駆動回転体および前記入力回転体から取り外して、当該ロック治具を前記カバー部材の前記通孔を通じて外部に取り出すロック解除工程と、
を含むことを特徴とするバルブタイミング調整装置の製造方法。 - 前記係止部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを締結している締結部材の一部であることを特徴とする請求項9に記載のバルブタイミング調整装置の製造方法。
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