JP7024260B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
ハウジングは、筒状に形成され、駆動軸または従動軸の一方とともに回転可能である。
カムプレートは、少なくとも一部がハウジングの内側に設けられ、駆動軸または従動軸の他方に接続され、ハウジングに対し相対回転可能である。
入力部材は、少なくとも一部がハウジングの内側に設けられ、外部から回転が入力される。
伝達部は、少なくとも一部がハウジングの内側に設けられ、入力部材に入力された回転をカムプレートに伝達し、ハウジングとカムプレートとを相対回転させることが可能である。
保護部材は、バルブタイミング調整装置を内燃機関に取り付けるときに、少なくとも一部が離脱可能となるよう入力部材、ハウジングまたは伝達部に取り付けられている。そのため、バルブタイミング調整装置を内燃機関に取り付けるとき、保護部材の少なくとも一部を取り外す工程を削減または短縮できる。
保護部材は、バルブタイミング調整装置を内燃機関に取り付ける前の状態では、外部から伝達部を目視不能な程度に端部開口部の少なくとも一部を覆っている。伝達部は、バルブタイミング調整装置を内燃機関に取り付けた後の状態では、端部開口部を経由して外部に露出している。
第1実施形態によるバルブタイミング調整装置およびその一部を図1~7に示す。バルブタイミング調整装置10は、内燃機関としてのエンジン1のクランク軸2に対するカム軸3の回転位相を変化させることによって、カム軸3が開閉駆動する吸気弁4または排気弁5のうち吸気弁4のバルブタイミングを調整するものである。バルブタイミング調整装置10は、クランク軸2からカム軸3までの動力伝達経路に設けられる。クランク軸2は、「駆動軸」に対応する。カム軸3は、「従動軸」に対応する。吸気弁4、排気弁5は、「バルブ」に対応する。つまり、バルブタイミング調整装置10は、エンジン1のクランク軸2からのトルク伝達により回転するカム軸3により開閉する吸気弁4のバルブタイミングを調整する。
なお、図1はバルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けた後の状態を示し、図5はバルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付ける前の状態を示している。
まず、エンジン1に取り付けた後のバルブタイミング調整装置10について、図1~3に基づき説明する。
ハウジング20は、例えば金属により形成され、ハウジング筒部21、ハウジング底部22、スプロケット23等を有している。
ハウジング筒部21は、略円筒状に形成されている。ハウジング底部22は、ハウジング筒部21の一方の端部の開口部を塞ぐよう、ハウジング筒部21と一体に形成されている。このように、ハウジング20は、有底筒状に形成されている。
スプロケット23は、ハウジング筒部21のハウジング底部22側の端部の外周壁から径方向外側へ環状に延びるようにしてハウジング筒部21と一体に形成されている。スプロケット23の外周部には、外歯231が形成されている。
クランク軸2とスプロケット23の外歯231とには、チェーン6が巻き掛けられる。これにより、ハウジング20は、クランク軸2と連動して回転する。
ハウジング20は、リングギア27を有している。リングギア27は、略円環状に形成され、内周部に内歯271が形成されている。リングギア27は、ハウジング筒部21のハウジング底部22とは反対側の端部の内側において、ハウジング筒部21と一体に形成されている。すなわち、ハウジング筒部21の内周部には、内歯271が形成されている。
ハウジング20は、ストッパ26を有している。ストッパ26は、ハウジング筒部21のハウジング底部22側の端部の内周部においてハウジング筒部21およびハウジング底部22と一体に形成されている。
カムプレート筒部31は、略円筒状に形成されている。カムプレート底部32は、カムプレート筒部31の一方の端部の開口部を塞ぐよう、カムプレート筒部31と一体に形成されている。このように、カムプレート30は、有底筒状に形成されている。
カムプレート板部33は、カムプレート筒部31のカムプレート底部32とは反対側の端部の外周壁から径方向外側へ環状の板状に延びるよう、カムプレート筒部31と一体に形成されている。
カムプレート30は、ハウジング20に対し相対回転可能である。
バルブタイミング調整装置10は、カムプレート30がカム軸3の端部に接続するようにしてカム軸3に取り付けられる。締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34に挿通し、カム軸3の端部の軸穴部100に形成されたねじ溝にねじ込むことにより、カムプレート底部32は、カム軸3の端部と締結部材14の頭部142とにより挟まれた状態となる。これにより、カムプレート30は、カム軸3に接続および固定される。
なお、本実施形態では、カムプレート底部32と締結部材14の頭部142との間に座金部923が設けられている。座金部923については、後に詳述する。
オルダム継手50は、カムプレート30および偏心部材40に対し径方向に相対移動可能かつ摺動可能に設けられている。オルダム継手50は、偏心部材40がリングギア27の内側で自転しつつ公転するとき、偏心部材40の自転成分をカムプレート30に伝達する。これにより、オルダム継手50は、ハウジング20とカムプレート30とを相対回転させることが可能である。
入力筒部61は、同心筒部611、偏心筒部612を有している。同心筒部611は、略円筒状に形成されている。偏心筒部612は、一端が同心筒部611の端部に接続するよう同心筒部611と一体に形成されている。ここで、偏心筒部612の外周壁は、同心筒部611の外周壁に対し偏心するよう形成されている。また、偏心筒部612の外径は、同心筒部611の外径より大きい。一方、同心筒部611の内周壁と偏心筒部612の内周壁とは、同心かつ同径に設定されている。
入力部材60は、同心筒部611がカムプレート筒部31の内側に位置し、偏心筒部612が偏心部材40の内側に位置するよう、ハウジング20の内側に設けられている。
ベアリング11は、外輪がカムプレート筒部31の内周壁に嵌合し、内輪が同心筒部611の外周壁に嵌合している。ベアリング12は、外輪が偏心部材40の内周壁に嵌合し、内輪が偏心筒部612の外周壁に嵌合している。
ここで、同心筒部611および偏心筒部612の内周壁ならびに同心筒部611の外周壁は、ハウジング筒部21およびカムプレート筒部31に対し同心であり、偏心筒部612の外周壁は、ハウジング筒部21およびカムプレート筒部31に対し偏心している。
このように、カムプレート30は、ベアリング11を介して入力部材60を軸受けしている。
入力部材60は、ハウジング20に対し相対回転可能である。
モータ80は、ケース81、モータ軸85、ジョイント851等を有している。
ケース81は、例えば金属により形成され、内側に空間を形成している。ケース81は、例えば図示しないステー等を介してエンジン1に固定される。
ケース81の内側には、図示しないステータ、コイル、ロータ等が収容されている。ステータは、環状に形成され、ケース81の内側に固定されている。コイルは、ステータに形成された複数のティース部に巻き回されている。ロータは、ステータの内側において回転可能に設けられている。
ジョイント851は、モータ軸85の先端部に取り付けられている。モータ80は、ジョイント851が入力部材60の入力溝部62に嵌合するようエンジン1に取り付けられる。そのため、モータ80の回転は、入力部材60に入力される。
このように、モータ80は、入力部材60を回転させることにより、ハウジング20とカムプレート30との相対位相を変化させる。これにより、クランク軸2とカム軸3との相対位相が変化し、吸気弁4のバルブタイミングが変化する。
図2に示すように、カムプレート30は、カムプレート側溝部37を有している。カムプレート側溝部37は、カムプレート板部33の偏心部材40側の端面からカム軸3側へ凹むようにして形成されている。カムプレート側溝部37は、筒状壁面370、延伸溝部371、372、カムプレート側突出部373、折れ曲がり部374等を有している。
延伸溝部371は、筒状壁面370から径方向外側へ延びてカムプレート板部33の外周壁に接続するよう形成されている。延伸溝部371は、カムプレート板部33の周方向に等間隔で2つ形成されている。2つの延伸溝部371は、カムプレート30の軸に直交しab方向に延びる直線上において、カムプレート30の軸を挟んで対向するよう形成されている(図2参照)。各延伸溝部371には、平面状の2つの摺動面375が形成されている。2つの摺動面375は、ab方向に対し平行であり、互いに対向するよう形成されている。
延伸溝部421は、筒状壁面420から径方向外側へ延びるようにして形成されている。延伸溝部421は、偏心部材40の周方向に等間隔で2つ形成されている。2つの延伸溝部421は、偏心部材40の軸に直交しab方向に延びる直線上において、偏心部材40の軸を挟んで対向するよう形成されている(図3参照)。各延伸溝部421には、平面状の1つの摺動面425が形成されている。各延伸溝部421に形成された計2つの摺動面425は、xy方向に対し平行であり、互いに対向するよう形成されている。
各延伸溝部421の位置は、カムプレート30の各延伸溝部371の位置に対応している(図2、3参照)。
各延伸溝部422の位置は、カムプレート30の各延伸溝部372の位置に対応している(図2、3参照)。
各偏心部材側突出部423の位置は、カムプレート30の各カムプレート側突出部373の位置に対応している(図2、3参照)。
オルダム本体51は、略円筒状に形成されている。
オルダム突出部521は、オルダム本体51の外周壁から径方向外側へ矩形柱状に突出するよう形成されている。オルダム突出部521は、オルダム本体51の周方向に等間隔で2つ形成されている。2つのオルダム突出部521は、オルダム本体51の軸に直交しab方向に延びる直線上において、オルダム本体51の軸を挟んで対向するよう形成されている(図2、3参照)。
オルダム突出部521、522の5つの平面状の外壁のうち1つは、オルダム突出部521の先端に形成された端面であり、周方向端面523に対し直交している。この端面を先端面524とする。
ここで、カムプレート板部33のカムプレート側溝部37が形成された面と、偏心部材40の偏心部材側溝部42が形成された面とは、互いに対向しているものの、当接はしていない。
カムプレート30の延伸溝部371において周方向で対向する2つの摺動面375間の距離は、オルダム突出部521の2つの周方向端面523間の距離より僅かに大きく設定されている。また、カムプレート30の延伸溝部372において周方向で対向する2つの壁面間の距離は、オルダム突出部522の2つの周方向端面523間の距離より大きく設定されている。そのため、オルダム継手50は、各オルダム突出部521の2つの周方向端面523が摺動面375と摺動し、カムプレート30側の端面がカムプレート側溝部37の底面と摺動しつつ、カムプレート30に対しab方向に相対的に往復移動可能である。また、オルダム継手50がカムプレート30に対し相対的に往復移動するとき、カムプレート側突出部373は、オルダム凹部53に入り込み可能である。
また、油路102、油路溝36、延伸穴部35を経由してカムプレート筒部31の内側に供給された潤滑オイルは、入力部材60の入力筒部61の内側を経由してオイルパン7に戻ることも可能である。
なお、ハウジング筒部21には、内周壁と外周壁とを接続するような穴は形成されていない。そのため、潤滑オイルを、ハウジング筒部21の内側に長く留めておくことができる。
図4に示すように、保護部材90は、保護部材本体91、被係止部92を有している。
保護部材本体91は、例えば樹脂により形成され、覆い部911、内側筒部912、外側筒部913を有している。
内側筒部912は、覆い部911の内縁部から覆い部911の軸方向へ略円筒状に延びるよう覆い部911と一体に形成されている。ここで、内側筒部912の外径は、入力部材60の入力筒部61の内径、すなわち、偏心筒部612および同心筒部611の内径よりやや小さく設定されている。
外側筒部913は、覆い部911の外縁部から覆い部911の軸方向へ略円筒状に延びるよう覆い部911と一体に形成されている。ここで、外側筒部913の内径は、ハウジング筒部21の外径よりやや大きく設定されている。
被係止筒部921は、例えば樹脂により略円筒状に形成されている。被係止筒部921は、一方の端部が保護部材本体91の内側筒部912の覆い部911とは反対側の端部に接続するよう内側筒部912と一体に形成されている。
爪部922は、例えば樹脂により形成されている。爪部922は、被係止筒部921の内側筒部912とは反対側の端部の外周壁から径方向外側へ突出するよう被係止筒部921と一体に形成されている。爪部922は、被係止筒部921の径方向外側において略円環状に形成されている。
また、内側筒部912の被係止部92側の端部は、係止部65の偏心筒部612側の端面により係止されている。これにより、内側筒部912は、カムプレート底部32側への移動が規制されている。
上記構成により、エンジン1に取り付ける前のバルブタイミング調整装置10では、ハウジング20の端部開口部25が、保護部材90の覆い部911および外側筒部913により覆われている。そのため、異物がハウジング20の端部開口部25を経由してハウジング20の内側に混入するのを抑制することができる。
次に、保護部材90の入力部材60への取り付けについて説明する。
保護部材90を入力部材60に取り付けるとき、作業者は、爪部922の外周壁が係止部65の内縁部と摺動するよう爪部922を係止部65のカムプレート底部32側へ押し込む。ここで、爪部922の外周壁はテーパ状に形成されているため、爪部922を係止部65のカムプレート底部32側へ容易に押し込むことができる。
爪部922が係止部65のカムプレート底部32側へ押し込まれると、爪部922が係止部65により係止された状態となる。これにより、保護部材90の入力部材60への取り付けが完了する。
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときの工程は、下記の工程を含む。
(カム軸挿入工程)
図6に示すように、作業者は、カム軸3の端面がカムプレート底部32のカムプレート筒部31とは反対側の端面に当接するよう、カム軸3をハウジング穴部24に挿入させる。
作業者は、締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34およびカム軸3の軸穴部100に挿通させ、治具110の治具本体111により締結部材14を例えば時計回り方向に回転させる。なお、本実施形態では、治具110は、略円柱状の治具本体111のみからなる。ここで、締結部材14の頭部142の外径は、被係止筒部921の内径より小さく、座金部923の内径より大きく設定されている。そのため、締結部材14を回転させて、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するとき、被係止部92は、締結部材14の頭部142によりカム軸3側に押される。内側筒部912の被係止部92側の端部は、係止部65によりカム軸3側への移動が規制されているため、被係止部92が締結部材14の頭部142によりカム軸3側に押されると、保護部材本体91と被係止部92の被係止筒部921とが破断し、保護部材本体91は、入力部材60から離脱可能となる。このように、本実施形態では、保護部材90は、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときに、少なくとも一部(保護部材本体91)が離脱可能となるよう入力部材60に取り付けられている。
カム軸3と締結部材14の頭部142との間に所定値以上の軸力が発生するまで治具110を回転させると、締結工程が完了する。このとき、被係止部92の座金部923は、カムプレート底部32と頭部142とに挟み込まれた状態となり、締結部材14の座金として機能する。
上記締結工程により、保護部材本体91は、入力部材60から離脱可能となっているため、作業者は、保護部材本体91を入力部材60から離脱させ、取り外す。これにより、バルブタイミング調整装置10のエンジン1への取り付けが完了する。
ハウジング20は、筒状に形成され、クランク軸2とともに回転可能である。
カムプレート30は、少なくとも一部がハウジング20の内側に設けられ、カム軸3に接続され、ハウジング20に対し相対回転可能である。
入力部材60は、少なくとも一部がハウジング20の内側に設けられ、外部から回転が入力される。
偏心部材40およびオルダム継手50は、少なくとも一部がハウジング20の内側に設けられ、入力部材60に入力された回転をカムプレート30に伝達し、ハウジング20とカムプレート30とを相対回転させることが可能である。
保護部材90は、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときに、少なくとも一部である保護部材本体91が離脱可能となるよう入力部材60に取り付けられている。そのため、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるとき、保護部材90の少なくとも一部を取り外す工程を削減または短縮できる。
第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図8、9に示す。第2実施形態は、保護部材90等の構成が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、保護部材90は、例えば樹脂により形成され、覆い部93、筒部94、保護部材側ねじ部941等を有している。
筒部94は、覆い部93の外縁部から覆い部93の軸方向へ略円筒状に延びるよう覆い部93と一体に形成されている。ここで、筒部94の内径は、ハウジング筒部21の外径よりやや大きく設定されている。
ハウジング20は、ハウジング側ねじ部211を有している。ハウジング側ねじ部211は、ハウジング筒部21の外周壁に形成されている。本実施形態では、ハウジング側ねじ部211は、保護部材90の保護部材側ねじ部941とねじ結合可能なよう、ねじ山状に形成されている。
ここで、保護部材側ねじ部941をハウジング側ねじ部211にねじ結合するときのハウジング20に対する保護部材90の回転方向は、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するときのカムプレート30に対する締結部材14の回転方向と反対の方向、すなわち、反時計回り方向である。
上記構成により、エンジン1への取り付けが完了する前のバルブタイミング調整装置10では、ハウジング20の端部開口部25のうち入力板部63で覆われていない部分が、保護部材90の覆い部93および筒部94により覆われている。そのため、異物がハウジング20の端部開口部25を経由してハウジング20の内側に混入するのを抑制することができる。
保護部材90をハウジング20に取り付けるとき、作業者は、筒部94の内側にハウジング筒部21の端部が位置するよう保護部材90をハウジング20に被せ、治具等により保護部材90をハウジング20に対し反時計回り方向に回転させる。これにより、保護部材側ねじ部941がハウジング側ねじ部211にねじ結合する。その結果、保護部材90のハウジング20への取り付けが完了する。
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときの工程は、下記の工程を含む。
(カム軸挿入工程)
図8に示すように、作業者は、カム軸3の端面がカムプレート底部32のカムプレート筒部31とは反対側の端面に当接するよう、カム軸3をハウジング穴部24に挿入させる。
作業者は、締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34およびカム軸3の軸穴部100に挿通させ、治具110の治具本体111により締結部材14を例えば時計回り方向に回転させる。ここで、治具110は、治具腕部112、治具延伸部113をさらに有している。治具腕部112は、治具本体111の外周壁から径方向外側へ棒状に延びるよう形成されている。治具腕部112は、治具本体111の周方向に等間隔で4つ形成されている。治具延伸部113は、治具腕部112の治具本体111とは反対側の端部から治具本体111の軸方向へ略円柱状に延びるよう形成されている。治具延伸部113は、4つの治具腕部112のそれぞれに1つずつ、計4つ形成されている。
なお、本実施形態では、保護部材側ねじ部941とハウジング側ねじ部211とのねじ結合状態を解除するのに必要な力は、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するときに必要な力未満に設定されている。そのため、締結部材14によりカムプレート30とカム軸3とを接続しつつ、確実に保護部材90をハウジング20から離脱可能な状態とすることができる。
上記締結工程により、保護部材90は、ハウジング20から離脱可能となっているため、作業者は、保護部材90をハウジング20から離脱させ、取り外す。これにより、バルブタイミング調整装置10のエンジン1への取り付けが完了する。
第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図10に示す。第3実施形態は、保護部材90等の構成が第2実施形態と異なる。
第3実施形態では、保護部材90は、例えば樹脂により形成され、覆い部93、嵌合部95を有している。
嵌合部95は、覆い部93の外縁部から覆い部93の軸方向へ略円筒状に延びるよう覆い部93と一体に形成されている。嵌合部95は、覆い部93側から覆い部93とは反対側へ向かうに従い内周壁が嵌合部95の軸から離れるようテーパ状に形成されている。
保護部材90をハウジング20に取り付けるとき、作業者は、嵌合部95の内側にハウジング筒部21の端部が位置するよう保護部材90をハウジング20に被せ、治具等により保護部材90をハウジング20に対し相対回転させつつ、軸方向へ押し込む。これにより、嵌合部95の内周壁がハウジング筒部21の外周壁に嵌合する。その結果、保護部材90のハウジング20への取り付けが完了する。
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときの工程は、下記の工程を含む。
(カム軸挿入工程)
図10に示すように、作業者は、カム軸3の端面がカムプレート底部32のカムプレート筒部31とは反対側の端面に当接するよう、カム軸3をハウジング穴部24に挿入させる。
作業者は、締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34およびカム軸3の軸穴部100に挿通させ、治具110の治具本体111により締結部材14を例えば時計回り方向に回転させる。
なお、本実施形態では、嵌合部95とハウジング20との嵌合状態を解除するのに必要な力は、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するときに必要な力未満に設定されている。そのため、締結部材14によりカムプレート30とカム軸3とを接続しつつ、確実に保護部材90をハウジング20から離脱可能な状態とすることができる。
上記締結工程により、保護部材90は、ハウジング20から離脱可能となっているため、作業者は、保護部材90をハウジング20から離脱させ、取り外す。これにより、バルブタイミング調整装置10のエンジン1への取り付けが完了する。
第4実施形態によるバルブタイミング調整装置およびその一部を図11、12に示す。第4実施形態は、保護部材90等の構成が第2実施形態と異なる。
第4実施形態では、保護部材90は、例えば樹脂により形成され、覆い部93、筒部94、接着部96等を有している。
接着部96は、筒部94の覆い部93とは反対側に設けられている。本実施形態では、接着部96は、筒部94と同径の略円筒状に形成されている。
筒部94および接着部96の内径は、ハウジング筒部21の外径よりやや大きく設定されている。
保護部材90をハウジング20に取り付けるとき、作業者は、筒部94および接着部96の内側にハウジング筒部21の端部が位置するよう保護部材90をハウジング20に被せ、接着剤961により接着部96をハウジング筒部21の外周壁に接着する。これにより、保護部材90のハウジング20への取り付けが完了する。
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときの工程は、下記の工程を含む。
(カム軸挿入工程)
図11に示すように、作業者は、カム軸3の端面がカムプレート底部32のカムプレート筒部31とは反対側の端面に当接するよう、カム軸3をハウジング穴部24に挿入させる。
作業者は、締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34およびカム軸3の軸穴部100に挿通させ、治具110の治具本体111により締結部材14を例えば時計回り方向に回転させる。
なお、本実施形態では、破断部97を破断するのに必要な力は、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するときに必要な力未満に設定されている。そのため、締結部材14によりカムプレート30とカム軸3とを接続しつつ、確実に破断部97を破断し保護部材90の一部をハウジング20から離脱可能な状態とすることができる。
上記締結工程により、保護部材90の一部(覆い部93、筒部94)は、ハウジング20から離脱可能となっているため、作業者は、保護部材90の一部(覆い部93、筒部94)をハウジング20から離脱させ、取り外す。これにより、バルブタイミング調整装置10のエンジン1への取り付けが完了する。
第5実施形態によるバルブタイミング調整装置を図13に示す。第5実施形態は、保護部材90等の構成が第4実施形態と異なる。
第5実施形態では、保護部材90は、例えば樹脂により形成され、覆い部93、筒部94、接着部96等を有している。
筒部94は、覆い部93の外縁部から覆い部93の軸方向へ略円筒状に延びるよう覆い部93と一体に形成されている。
保護部材90を偏心部材40に取り付けるとき、作業者は、接着部96の筒部94とは反対側の端部が偏心部材40のカムプレート30とは反対側の端面に当接するよう保護部材90を偏心部材40に被せ、接着剤により接着部96を偏心部材40の端面に接着する。これにより、保護部材90の偏心部材40への取り付けが完了する。
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10をエンジン1に取り付けるときの工程は、下記の工程を含む。
(カム軸挿入工程)
図13に示すように、作業者は、カム軸3の端面がカムプレート底部32のカムプレート筒部31とは反対側の端面に当接するよう、カム軸3をハウジング穴部24に挿入させる。
作業者は、締結部材14の軸部141をカムプレート穴部34およびカム軸3の軸穴部100に挿通させ、治具110の治具本体111により締結部材14を例えば時計回り方向に回転させる。
なお、本実施形態では、接着部96と偏心部材40との接着状態を解除するのに必要な力は、締結部材14によりカムプレート30をカム軸3に接続するときに必要な力未満に設定されている。そのため、締結部材14によりカムプレート30とカム軸3とを接続しつつ、確実に保護部材90を偏心部材40から離脱可能な状態とすることができる。
上記締結工程により、保護部材90は、偏心部材40から離脱可能となっているため、作業者は、保護部材90を偏心部材40から離脱させ、取り外す。これにより、バルブタイミング調整装置10のエンジン1への取り付けが完了する。
上述の第1実施形態では、被係止部92の座金部923を金属により形成し、インサート成型により被係止筒部921と一体に形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、座金部923を、樹脂を材料として被係止筒部921と一体に形成してもよい。
また、保護部材本体91の内側筒部912と被係止部92との間には、ミシン目が形成されていてもよい。
また、覆い部93に形成する穴部931は、どのような形状であってもよく、いくつ形成してもよい。また、治具とともに覆い部93を回転させることができるのであれば、覆い部93は穴部931を有していなくてもよい。
また、接着部96の内周壁とハウジング筒部21の外周壁とを接着剤961により接着してもよい。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
Claims (16)
- 内燃機関(1)の駆動軸(2)からのトルク伝達により回転する従動軸(3)により開閉するバルブ(4、5)のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転可能な筒状のハウジング(20)と、
少なくとも一部が前記ハウジングの内側に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続され、前記ハウジングに対し相対回転可能なカムプレート(30)と、
少なくとも一部が前記ハウジングの内側に設けられ、外部から回転が入力される入力部材(60)と、
少なくとも一部が前記ハウジングの内側に設けられ、前記入力部材に入力された回転を前記カムプレートに伝達し、前記ハウジングと前記カムプレートとを相対回転させることが可能な伝達部(40、50)と、
前記ハウジングの軸方向の端部のうち前記駆動軸または前記従動軸の他方とは反対側の端部の開口部である端部開口部(25)の少なくとも一部を覆うよう設けられた保護部材(90)と、を備え、
前記保護部材は、前記バルブタイミング調整装置を前記内燃機関に取り付けるときに、少なくとも一部が離脱可能となるよう前記入力部材、前記ハウジングまたは前記伝達部に取り付けられており、
前記保護部材は、前記バルブタイミング調整装置を前記内燃機関に取り付ける前の状態では、外部から前記伝達部を目視不能な程度に前記端部開口部の少なくとも一部を覆っており、
前記伝達部は、前記バルブタイミング調整装置を前記内燃機関に取り付けた後の状態では、前記端部開口部を経由して外部に露出しているバルブタイミング調整装置。 - 前記保護部材は、前記端部開口部の少なくとも一部を覆う保護部材本体(91)、および、前記保護部材本体に接続するよう前記保護部材本体と一体に形成された被係止部(92)を有し、
前記入力部材は、前記被係止部を係止し前記入力部材からの前記保護部材の離脱を規制可能な係止部(65)を有する請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するとき、前記被係止部が前記締結部材により前記駆動軸または前記従動軸の他方側に押され、前記保護部材本体と前記被係止部とが破断し、前記保護部材本体は、前記入力部材から離脱可能となる請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記被係止部は、前記締結部材と前記カムプレートとの間に挟まれ座金として機能する座金部(923)を有している請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ハウジングは、外周壁に形成されたハウジング側ねじ部(211)を有し、
前記保護部材は、前記端部開口部の少なくとも一部を覆う覆い部(93)、前記覆い部の外縁部から筒状に延びる筒部(94)、および、前記筒部の内周壁に形成され前記ハウジング側ねじ部にねじ結合可能な保護部材側ねじ部(941)を有している請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記保護部材側ねじ部を前記ハウジング側ねじ部にねじ結合するときの前記ハウジングに対する前記保護部材の回転方向は、締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときの前記カムプレートに対する前記締結部材の回転方向と反対の方向である請求項5に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記保護部材側ねじ部と前記ハウジング側ねじ部とのねじ結合状態を解除するのに必要な力は、前記締結部材により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときに必要な力未満に設定されている請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記保護部材は、前記端部開口部の少なくとも一部を覆う覆い部(93)、および、前記覆い部の外縁部から筒状に延びるよう形成され内周壁に前記ハウジングの外周壁が嵌合可能な嵌合部(95)を有している請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記嵌合部と前記ハウジングとの嵌合状態を解除するのに必要な力は、締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときに必要な力未満に設定されている請求項8に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記嵌合部は、前記覆い部側から前記覆い部とは反対側へ向かうに従い内周壁が前記嵌合部の軸から離れるようテーパ状に形成されている請求項8または9に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記保護部材は、前記端部開口部の少なくとも一部を覆う覆い部(93)、前記覆い部の外縁部から筒状に延びる筒部(94)、および、前記筒部の前記覆い部とは反対側に設けられ前記ハウジングの外周壁に接着される接着部(96)を有している請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記接着部と前記ハウジングとの接着状態を解除するのに必要な力は、締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときに必要な力未満に設定されている請求項11に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記保護部材は、前記筒部と前記接着部との間に形成され破断強度が前記筒部および前記接着部の破断強度より低い破断部(97)を有している請求項11または12に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記破断部を破断するのに必要な力は、締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときに必要な力未満に設定されている請求項13に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記保護部材は、前記端部開口部の少なくとも一部を覆う覆い部(93)、前記覆い部の外縁部から筒状に延びる筒部(94)、および、前記筒部の前記覆い部とは反対側に設けられ前記伝達部に接着される接着部(96)を有している請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記接着部と前記伝達部との接着状態を解除するのに必要な力は、締結部材(14)により前記カムプレートを前記駆動軸または前記従動軸の他方に接続するときに必要な力未満に設定されている請求項15に記載のバルブタイミング調整装置。
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