JP2016196122A - 多層配管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の多層配管100は、軸心から外周の方向に、少なくとも、第1層110、第2層120および第3層130を含む。第1層110および第3層130は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成された樹脂層である。第2層120はポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含み、かつ、ガラス繊維が軸心に沿う方向に配向された配向層121を含む繊維強化樹脂層である。
【選択図】図2
Description
たとえば、特開2006−327154号公報(特許文献1)には、地中の有機溶剤や油類等の有害物質が浸透することを確実に防止できるポリオレフィン樹脂管埋設水道配管として、ポリオレフィン樹脂本配管の外周表面に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維の繊維からなる不織布、織布、フェルトを多孔質基材としてコンパウンドを含浸させたテープ状の保護層を施工したポリオレフィン樹脂管が開示されている。
(1)
本発明の多層配管は、軸心から外周の方向に、少なくとも、第1層、第2層および第3層が積層されている。第1層および第3層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成された樹脂層である。第2層はポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含み、かつ、ガラス繊維が軸心に沿う方向に配向された配向層を含む繊維強化樹脂層である。
軸心を含む面で前記多層配管を切断した場合の断面において、第2層全体が占める断面積に対する配向層が占める断面積の割合は、20%以上100%以下であってよい。
なお、本明細書においては、当該断面において、第2層全体が占める断面積に対する配向層が占める断面積の割合を、配向面積割合と記載する場合がある。
第2層は、ガラス繊維が配向されていない無配向層をさらに含んでよい。
ガラス繊維の繊維長は、0.01mm以上10.0mm以下であってよい。
第2層の厚みは、第1層の厚みおよび第3層の厚みより大であってよい。
多層配管の総厚みに対する第2層の厚みの割合は、50%以上80%以下であってよい。
(基本構成)
図1は、本発明の一実施形態の多層配管を、軸心に垂直な面で切断した場合の模式的断面図である。図2は、図1のA−A線で軸心方向に切断した場合(つまり軸心を含む面で切断した場合)の模式的拡大断面図である。
図1に示す多層配管100は、冷温水管、冷水管、温水管、上下水道管などの配水管、および蒸気配管などとして用いられる配管である。多層配管100は、軸心Oから外周の方向に、第1層110、第2層120および第3層130が積層されている。第1層110、第2層120および第3層130は、たとえば共押出層であってよい。それぞれの層の間には、接着剤層などを介在してもよい。また、多層配管100がさらに1または2以上の他の層を含んでいてもよい。第2層120は、配向層121および無配向層122を含む。
多層配管100は、第2層120に配向層121を含むことにより、低線膨張性能を有する。具体的には、多層配管100全体の線膨張係数は、たとえば10×10−5/℃未満であり、好ましくは8.0×10−5/℃以下、より好ましくは5.5×10−5/℃以下、さらに好ましくは4.0×10−5/℃以下である。許容される線膨張係数範囲内の下限値としては特に限定されないが、たとえば2.0×10−5/℃であってもよいし、耐圧性との両立性を考慮する観点では2.7×10−5/℃であるほうが好ましい。
多層配管100は、無配向層122が配向層121と組み合わせられていることにより、上記の低線膨張性能とともに耐圧性も備える。耐圧性は、破壊水圧試験によって測定してよい。具体的には、たとえば4.7MPa以上であり、好ましくは4.9MPa以上、より好ましくは5.0MPa以上である。許容される耐圧性範囲内の上限値はたとえば6.5MPa、好ましくは6MPaであるが、低線膨張性能との両立性を考慮する観点では5.8MPaであることがさらに好ましい。
第1層110および第3層130は、いずれも同じポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される樹脂層である。したがって、第2層120の両面で機械的特性が揃うとともに、多層配管100の製造効率も良い。なお、本発明は、第1層110と第3層130とが互いに異なるポリオレフィン系樹脂から構成されることを除外するものではない。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第2層120は、マトリックス樹脂と繊維とを含む繊維強化樹脂層である。本実施形態において、第2層120は、積層された配向層121および無配向層122で構成される。
配向層121では、繊維が軸心Oに沿う方向に配向されている。このため、目視で無配向層との見分けが容易である。具体的には、繊維の平均繊維長の10%以上の長さを有する繊維のうち、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%のものの方向が、当該軸心O方向に対して±15°以内に収まっている。このような配向層121を含むことによって、多層配管100が良好な低線膨張性能を有する。
本実施形態のように配向層121が無配向層122と組み合わせられている場合は、第2層120全体の断面積に対して占める配向層121の断面積範囲内の上限は、耐圧性との両立を考慮すると、たとえば90%であることが好ましい。
無配向層122では、配向層121におけるようなガラス繊維の配向は無い。無配向層122における繊維は、繊維方向が軸心O方向であるものが少ない程好ましい。具体的には、無配向層122におけるガラス繊維の繊維方向はランダムであり任意の方向である。このため、相対的に繊維方向が軸心O方向である繊維が配向層121に比べて有意に少ない。このような無配向層122が組み合わせられることによって、多層配管100には低線膨張性能とともに耐圧性能が備わる。
マトリックス樹脂は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、第1層110および第3層130の構成樹脂として挙げたものと同様である。第2層120のマトリックス樹脂は、第1層110および第2層120を構成する樹脂と同じであっても異なっていてもよいが、第1層110、第2層120および第3層130の全ての層に同じ樹脂を用いる場合、隣接する層が互いになじみやすく、界面剥離を効果的に抑制することができる点で好ましい。
繊維としては、低線膨張性等の観点から、ガラス繊維が用いられる。
ガラス繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤のMFR(メルトマスフローレイト)は好ましくは0.01g/10分以上、好ましくは16g/10分以下である。上記MFRは、JIS K7210に基づいて、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ラクトン系酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等が挙げられる。
滑剤の使用量は特に限定されない。たとえば、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは3重量部以下である。
第2層120の厚みは、第1層110の厚みおよび第3層130の厚みのいずれよりも大であることが好ましい。これによって、多層配管100が、第2層120によってもたらされる性能(本実施形態の場合は低線膨張性能および耐圧性)をより効果的に得ることができる。さらに、第2層120の厚みは、多層配管100の総厚みに対して50%以上80%以下であることが好ましい。当該厚みが上記下限値以上であることにより、多層配管100が、第2層120によってもたらされる性能(本実施形態の場合は低線膨張性能および耐圧性)をより効果的に得ることができる。当該厚みが上記上限値以下であることにより、第1層110による内周面コート効果および第3層130の継手との融着接合容易性を効果的に得ることができる。
多層配管100の製造方法は特に限定されないが、たとえば共押出によって製造される。したがって、第1層110を製造するための樹脂組成物、第2層120を製造するための樹脂組成物、第3層130を製造するための樹脂組成物を調製し、押出成形機を用いて成形する。第2層120に含まれるガラス繊維が短繊維であるため、押出成形が容易である。しかも、押出成形の工程の他に、別途の繊維基材を用意する工程が必要ない。
本発明の多層配管は、第1実施形態のほか、無配向層が存在せず、第2層が配向層のみで構成されていてもよい。すなわち、図2に相当する断面において、第2層全体の断面積に対して配向層が100%の断面積を占めてもよい。この場合、多層配管は特に低線膨張性に優れる。
さらに、第1層に接する層を配向層および無配向層のいずれとするか、および、第3
層に接する層を配向層および無配向層のいずれとするかについても、任意である。
製造された多層配管の線膨張係数は、次のようにして求めた。多層配管を1000mmの長さに切断し、60℃(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した。養生後、多層配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ多層配管を、5℃(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、多層配管の長さ(Lcool)を測定した。得られた値を下記の式1に代入し、線膨張係数を決定した。
本明細書における、多層配管100が請求項における「多層配管」に相当し、第1層110が「第1層」に相当し、第2層120が「第2層」に相当し、配向層121が「配向層」に相当し、無配向層122が「無配向層」に相当し、第3層130が「第3層」に相当し、軸心Oが「軸心」に相当する。
110 第1層
120 第2層
121 配向層
122 無配向層
130 第3層
O 軸心
Claims (6)
- 軸心から外周の方向に、少なくとも、第1層、第2層および第3層を含み、
前記第1層および前記第3層がポリオレフィン系樹脂を主成分として構成された樹脂層であり、
前記第2層がポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含む繊維強化樹脂層であり、かつ、前記ガラス繊維が前記軸心に沿う方向に配向された配向層を含む、多層配管。 - 前記軸心を含む面で前記多層配管を切断した場合の断面において、前記第2層の全体が占める断面積に対する前記配向層が占める断面積の割合が20%以上100%以下である、請求項1に記載の多層配管。
- 前記第2層が、前記ガラス繊維が配向されていない無配向層をさらに含む、請求項1または2に記載の多層配管。
- 前記ガラス繊維の繊維長が0.01mm以上20.0mm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の多層配管。
- 前記第2層の厚みが前記第1層の厚みおよび第3層の厚みより大である、請求項1から4のいずれか1項に記載の多層配管。
- 前記多層配管の総厚みに対する前記第2層の厚みの割合が50%以上80%以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の多層配管。
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