JP6523045B2 - ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6523045B2
JP6523045B2 JP2015110222A JP2015110222A JP6523045B2 JP 6523045 B2 JP6523045 B2 JP 6523045B2 JP 2015110222 A JP2015110222 A JP 2015110222A JP 2015110222 A JP2015110222 A JP 2015110222A JP 6523045 B2 JP6523045 B2 JP 6523045B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
polyolefin resin
less
polyolefin
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015110222A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016223525A (ja
Inventor
寺地 信治
信治 寺地
三二 敏文
敏文 三二
雄亮 星野
雄亮 星野
伸太郎 梅山
伸太郎 梅山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2015110222A priority Critical patent/JP6523045B2/ja
Publication of JP2016223525A publication Critical patent/JP2016223525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6523045B2 publication Critical patent/JP6523045B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂多層配管に関する。より具体的には、性能バランスに優れたポリオレフィン系樹脂多層配管に関する。
様々な目的で、複数の層が積層された多層配管が開発されている。
たとえば、特開2006−327154号公報(特許文献1)には、地中の有機溶剤および油類等の有害物質が浸透することを確実に防止できることを目的としたポリオレフィン樹脂管埋設水道配管として、ポリオレフィン樹脂本配管の外周表面に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維の繊維からなる不織布、織布、フェルトを多孔質基材としてコンパウンドを含浸させたテープ状の保護層を施工したポリオレフィン樹脂管が開示されている。
また、特開2007−216555号公報(特許文献2)には、強度および作業性に優れることを目的とした繊維強化合成樹脂パイプとして、内周側から、有機不織布層、ガラスクロス層、横巻繊維層、縦方向繊維層、横巻繊維層、有機不織布層の順に六層の繊維強化樹脂層が備えられた繊維強化合成樹脂パイプが開示されている。
特開2006−327154号公報 特開2007−216555号公報
しかしながら、特開2006−327154号公報(特許文献1)に記載のポリオレフィン樹脂管は、ポリオレフィン樹脂本管の外周表面に薄いテープ状の保護層が施工されているに過ぎないため、特に低線膨張性能に劣る。さらに、ポリオレフィン樹脂本管の製造とは別に保護層を施工するためのコンパウンド含浸基材テープを用意する必要がある。
特開2007−216555号公報(特許文献2)に記載の繊維強化剛性樹脂パイプはそれぞれの層を構成するために様々な態様の特殊な繊維材料を用意する必要がある。
本発明の目的は、特殊な材料を要さずに構成され、かつ、低線膨張性能を含めた性能のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂多層配管を提供することにある。
上記本発明の目的を達成するため、本発明は以下の発明を含む。
(1)
本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層をこの順で含む。
第1層および第3層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む。
第2層は、ポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含む。第2層中に含まれるガラス繊維の配合量は、15重量%以上45重量%以下である。成形後の第2層中に含まれるガラス繊維の平均繊維長は200μm以上700μm以下であって、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は15重量%以下である。さらに、第2層は、ガラス繊維が軸心に沿う方向に配向された配向層を含む。
「ガラス繊維が軸心に沿う方向に配向された」とは、ガラス繊維の平均繊維長の10%以上の長さを有する繊維のうち、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%のものの方向が、当該軸心方向に対して±15°以内であることをいう。
このように本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、樹脂強化材料として短繊維ガラスが用いられ、特殊な材料を要さない。また、本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、第2層を繊維強化樹脂としかつ配向層を含ませるとともに、ガラス繊維の配合量、平均繊維長(成形後)および繊維長さの分散を特定範囲とすることによって、多層配管の性能バランスが良好となる。なお、性能バランスが良好であるとは、少なくとも、低線膨張性能、剛性、および強度が全て良好に発現していることをいう。
(2)
第2層は、酸変性ポリオレフィン系樹脂をさらに含んでよい。
これによって、たとえば常温環境下での耐衝撃性が向上し、さらに性能バランスが良好となる。
(3)
第2層における酸変性ポリオレフィン系樹脂の含有量は、0.3重量%以上5重量%以下であってよい。
これによって、たとえば常温環境下における耐衝撃性と低温環境下における耐衝撃性とのバランスが良好となり、さらに性能バランスが良好となる。
(4)
第2層における配向層が占める配向面積割合は、50%以上であってよい。
「配向面積割合」とは、軸心を含む面で多層配管を切断した場合の断面において、第2層の全体が占める断面積に対する配向層が占める断面積の割合をいう。
これによって、たとえば配向の効果を享受しやすく、さらに性能バランスが良好となる。
(5)
第1層の相対厚みを1とした場合、第2層の相対厚みは2以上6以下であり、第3層の相対厚みは0.5以上2以下であってよい。
これによって、第1層および第3層の表面平滑性および耐圧性が良好に得られるとともに、第2層の配向による効果も良好に得られ、耐クリープ性を含めてさらに性能バランスが良好となる。
本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、冷温媒を輸送するために用いられるものであってよい。
本発明のポリオレフィン管は性能のバランスに優れるため、冷媒環境下および温媒環境下における性能維持性から、冷温媒を輸送する配管としての使用に有用である。
(6)
本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、第1層のポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンであってよい。
これによって、耐薬品性および耐熱性を良好に発現させることができる。したがって、高温での耐薬品性が要求される用途(たとえば腐食性の液体またはガスを輸送する用途、より具体的には温泉配管、薬液配管など)に有用である。
(7)
本発明のポリオレフィン系樹脂多層配管は、第2層のポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンであってよい。
これによって、剛性、強度および耐熱性をバランスよく発現させることができる。
本発明によれば、特殊な材料を要さずに構成され、かつ、性能のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂多層配管が提供される。
本発明の一実施形態の多層配管を、軸心に垂直な面で切断した場合の模式的断面図である。 図1のA−A線で軸心方向に切断した場合の模式的拡大断面図である。 本発明の多層配管の他の例を、軸心を含む面で切断した場合の模式的拡大断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[1.多層配管]
[1−1.基本構成]
図1は、本発明の一実施形態の多層配管を、軸心に垂直な面で切断した場合の模式的断面図である。図2は、図1のA−A線で軸心方向に切断した場合(つまり軸心を含む面で切断した場合)の模式的拡大断面図である。
図1に示す多層配管100は、冷温媒管、冷温水管、冷水管、温水管、上下水道管などの配水管、および蒸気配管などとして用いられる配管である。多層配管100は、軸心Oから外周の方向に、第1層110、第2層120および第3層130が積層されている。第1層110、第2層120および第3層130は、たとえば共押出層であってよい。多層配管100は、さらに1または2以上、好ましくは1または2の他の層を含んでいてもよい。第1層110と第2層120との間、および第2層120と第3層130との間の一方または両方には、接着剤層が他の層として介在してもよい。
[1−2.第1層および第3層]
第1層110および第3層130は、いずれも同じポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される樹脂層である。したがって、第2層120の両面で機械的特性が揃うとともに、多層配管100の製造効率も良い。しかしながら、本発明は、第1層110と第3層130とが互いに異なるポリオレフィン系樹脂から構成されることを除外するものではない。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。成形体の強度、および高温下での成形体の伸び率を向上させる観点からは、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましい。成形体の剛性、強度、耐薬品性および耐熱性などをバランスよく発現させる観点からは、ポリプロピレンであることが好ましい。
さらに、ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。ポリプロピレン(PP)としては、ホモPP、ブロックPP及びランダムPP等が挙げられる。この中でも、成形体の耐薬品性(特に第1層)および耐熱性などをバランスよく発現させる観点からホモPPであることが好ましい。ポリブテンとしては、ポリブテン−1等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに対して、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン又は1−オクテン等のα−オレフィンを数モル%程度の割合で共重合させた共重合体であることが好ましい。
これらのポリオレフィン系樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第1層110および第3層130は、実質的に樹脂からなり、したがって、後述の第2層120のような繊維を実質的に含まない。繊維を実質的に含まないとは、繊維を全く含まないことが好ましいが、たとえば製造中に微量(後述の第2層120における繊維によって向上される低線膨張性および剛性といった特性の発現が認められない程度)で混入しうる繊維を許容する意である。内層である第1層110は、多層配管100の内部を流れる水などの媒体に、第2層120に含まれる繊維が混入しないように第2層120の内周面をコートする。また、第3層130は、多層配管100の外表面を平滑にすることができるとともに、エレクトロフュージョン結合を容易にする。
上記の他、第1層110および第3層130には、後述の第2層120と同様に相溶化剤およびその他の成分(繊維を除く)を含んでいてもよい。
[1−3.第2層]
第2層120は、マトリックス樹脂と繊維とを含む繊維強化樹脂層である。第2層120は、配向層121を含んで構成される。
[1−3−1.マトリックス樹脂]
第2層120のマトリックス樹脂は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、第1層110および第3層130の構成樹脂として挙げたものと同様である。第2層120のマトリックス樹脂は、第1層110および第2層120を構成する樹脂と同じであっても異なっていてもよいが、第1層110、第2層120および第3層130の全ての層に同じ樹脂を用いる場合、隣接する層が互いになじみやすく、界面剥離を効果的に抑制することができる点で好ましい。また、剛性、強度および耐熱性などをバランスよく発現させる観点からはホモPPであることが好ましい。
第2層120は、繊維でマトリックス樹脂を強化することにより、マトリックス樹脂の低線膨張性および剛性を向上させる。より具体的には、低線膨張性等の観点からガラス繊維が用いられる。
[1−3−2.ガラス繊維の含有量]
第2層120中のガラス繊維の含有量は、低線膨張性、剛性および常温環境下での強度を良好に得る観点から15%以上であり、低線膨張性、剛性および常温環境下での強度をより良好に得る観点から、好ましくは20%以上である。当該含有量の範囲内の上限値は、低温環境下での強度、耐圧性、第1層110および第3層130との界面融着性を良好に得る観点から45%以下であり、低温環境下での強度、耐圧性、第1層110および第3層130との界面融着性をより良好に得る観点から、好ましくは40%である。
[1−3−3.ガラス繊維の配向]
配向層121では、繊維が軸心Oに沿う方向に配向している。具体的には、繊維の平均繊維長の10%以上の長さを有する繊維のうち、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%のものの方向が、当該軸心O方向に対して±15°以内に収まっている。ガラス繊維をこのように配向させることによって、多層配管100に良好な低線膨張性能および良好な剛性が付与される。
本実施形態では、第2層120は大部分が配向層121で構成されていてよい。具体的には、第2層における配向面積割合(図2の断面において、第2層120全体の断面積に対する配向層121の割合)は、たとえば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上であってよい。これによって、多層配管100は低線膨張性能および剛性をより効果的に得ることができる。なお、配向層121の配向面積割合の範囲内の上限は特に限定されるものではないため100%であってもよく、耐圧性との両立を考慮すると、たとえば90%であってもよい。
上記の配向面積割合の範囲外の部分、たとえば50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、さらに好ましくは20%未満、特に好ましくは15%未満に相当する部分は、第1層110および第3層130との境界近辺に沿って存在し、無配向層を成している(図示せず)場合がある。無配向層は形成されていなくてもよく(0%)、耐圧性との両立を考慮すると、たとえば10%未満であってもよい。
無配向層では、配向層121におけるようなガラス繊維の配向はない。無配向層における繊維は、繊維方向が軸心O方向であるものが少ない程好ましい。具体的には、無配向層におけるガラス繊維の繊維方向はランダムであり任意の方向である。このため、相対的に繊維方向が軸心O方向である繊維が配向層121に比べて有意に少ない。このような無配向層を存在させることは、多層配管100に耐圧性能を付与する点で好ましい。
なお、繊維の配向態様は、たとえば走査電子顕微鏡を用いて断面を観察することによって確認することができる。観察条件としては特に限定されないが、日本電子社製走査電子顕微鏡JSM−6701Fを用い、蒸着厚み10nm、加速電圧15kV、倍率25倍で観察してよい。これによって、配向層121の境界、たとえば配向層121と無配向層との境界を目視で確認することができる。
[1−3−4.ガラス繊維の平均繊維長(成形後)]
ガラス繊維は、短繊維すなわち不連続長繊維である。成形後の第2層120中に実際に含まれるガラス繊維の平均繊維長は、配向の効果(低線膨張性および剛性の向上効果)を効率的に得る観点から200μm以上であり、配向の効果をより効率的に得る観点から、好ましくは250μm以上である。当該平均繊維長の範囲内の上限値は、成形性の観点から700μmであり、より良好な成形性を得る観点から、好ましくは650μmである。
成形後の第2層120中に含まれるガラス繊維の平均繊維長は、成形後の第2層120の一部を切り出して採取し、樹脂部分を取り除き、残ったガラス繊維の長さを測定し、その平均値を求めることによって導出される。より具体的には、任意に選出したガラス繊維500本の平均値であってよい。樹脂部分を取り除く手段としては特に限定されず、燃焼させてもよいし、有機溶媒等の樹脂に対する腐食性を有する液体に溶解させてもよい。ガラス繊維の選出においては、マイクロスコープを用いることができる。
[1−3−5.ガラス繊維の繊維長分散]
成形後の第2層120中に含まれる繊維のうち、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は、配向の効果(低線膨張性および剛性の向上効果)を効率的に得る観点から15重量%以下であり、配向の効果をより効率的に得る観点から、好ましくは10重量%以下である。
繊維長さ100μm以下のガラス繊維の含有率は、上記のガラス繊維の平均繊維長さの導出に用いられたガラス繊維全部を100重量%として求めることによって導出してよい。
[1−3−6.ガラス繊維の平均繊維径]
ガラス繊維の平均繊維径は、たとえば1μm以上30μm以下であってよい。繊維径が上記下限値以上であることは、低線膨張性能および強度の点で好ましく、無配向層が存在する場合は耐圧性の点でも好ましい。繊維径が上記上限値以下であることにより、繊維の配向のコントロールが容易である点で好ましい。これらの効果を一層効果的に得る観点からは、ガラス繊維の繊維径は好ましくは5μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。なお、平均繊維径とは、第2層120に含まれる繊維それぞれの最大径の平均値である。
[1−3−7.ガラス繊維の表面処理および収束剤]
ガラス繊維は表面処理されていてもかまわない。表面処理剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。この中でも、アミノシランが好ましい。
ガラス繊維は、ポリオレフィン収束剤により収束されたものであってもよい。ポリオレフィン収束剤は、ガラス繊維を収束させることができれば特に限定されないが、具体的にはポリオレフィンである。当該ポリオレフィンは、マトリックス樹脂と同様のものであってもよい。つまり、マトリックス樹脂がポリエチレンであれば、収束剤もポリエチレンであってよい。さらに、収束剤としての当該ポリオレフィンには、変性ポリオレフィンが含まれる。ポリオレフィン収束剤の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、およびシラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。第2層120に良好な低線膨張係数を具備させる観点からは、ポリオレフィン収束剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましい。
ガラス繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤の密度は、好ましくは0.85g/cm以上、好ましくは1.1g/cm以下である。
ガラス繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤のMFR(メルトマスフローレイト)は好ましくは0.01g/10分以上、好ましくは16g/10分以下である。上記MFRは、JIS K7210に基づいて、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定される値である(以下において同様)。
ガラス繊維をポリオレフィン収束剤により収束させる方法としては、どのような方法でもよい。マトリックス樹脂とポリオレフィン収束剤との合計100重量部に対する繊維の量は、好ましくは6重量部以上、より好ましくは12重量部以上、更に好ましくは19重量部以上、好ましくは533重量部以下、より好ましくは171重量部以下、更に好ましくは138重量部以下である。繊維の量を上記の範囲とすることは、成形体の強度および寸法安定性を良好に得る点で好ましい。
[1−3−8.相溶化剤]
第2層120には相溶化剤が含まれてよい。相溶化剤としては、たとえば、変性ポリオレフィンおよび塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、たとえば、酸変性ポリオレフィンおよびシラン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンの変性態様としては、グラフト共重合による変性が挙げられる。酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィン系樹脂が不飽和カルボン酸またはその誘導体によって変性されたものである。不飽和カルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、フタル酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水フタル酸、アクリル酸メチル、メタクル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。相溶化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、上記の相溶化剤の中でも、酸変性ポリオレフィンが好ましい。特に、不飽和ジカルボン酸及びその誘導体による変性ポリオレフィンが好ましく、さらに、マレイン酸または無水マレイン酸もしくはフタル酸または無水フタル酸による変性ポリオレフィンが好ましく、特にマレイン酸または無水マレイン酸による変性ポリオレフィンが好ましい。
さらに、本発明においては、相溶化剤の基本構造であるポリオレフィンは、マトリックス樹脂のポリオレフィンと同じであることが好ましい。これによって、ガラス繊維とマトリックス樹脂との相互作用を大きく向上させることができる。たとえば、マトリックス樹脂がホモポリプロピレンなどのポリプロピレンである場合、変性ポリプロピレンを相溶化剤として用いることが好ましい。
なお、相溶化剤としての変性ポリオレフィンは、上述の収束剤としての変性ポリオレフィンとは区別される。第2層120に含まれる相溶化剤の量は、第2層120を製造するための樹脂組成物全体を100重量%として、たとえば0.3重量%以上10重量%以下、好ましくは0.5重量%以上8重量%以下である。相溶化剤の量が上記下限値以上であることは、低線膨張性能および剛性を維持しつつ強度(特に常温での耐衝撃性および引張強度)を向上させる点で好ましく、上記上限値以下であることは、特に低温での耐衝撃性を維持する点で好ましい。
[1−3−9.その他]
第2層120には、低線膨張性能、剛性および強度の性能を確保する範囲で、上述以外の他の成分が含まれてよい。当該他の成分は、第2層120を製造するための樹脂組成物からガラス繊維を除いた成分を100重量部とすると、ポリオレフィン系樹脂の含有量が、好ましくは80重量部以上、より好ましくは90重量部以上、更に好ましくは95重量部以上となる量で用いられてよい。ポリオレフィン系樹脂の含有量の範囲に含まれる上限値は、99.99重量%、または99.9重量%であってもよい。
他の成分の例として、マトリックス樹脂としてのポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂が挙げられる。但しこの場合、熱可塑性樹脂は副成分であり、その含有量は、ポリオレフィン系樹脂の含有量よりも少ない。
他の成分の他の例として、酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は、成形体の高温下での耐久性をより一層高める(より具体的には、低線膨張性能、剛性および強度をより一層高める)目的、または銅などの金属による耐久性の低下を抑える目的で用いることができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o―クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert―ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン2−イルアミノ]フェノール、及びジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等が挙げられる。
成形体の高温下での耐久性を一層高めたり、銅などの金属による耐久性の低下を抑えたりする観点からは、上記酸化防止剤は、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル又は2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンシル)メシチレンであることが好ましく、上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル又は2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンシル)メシチレンを含むことが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、第2層120を製造する樹脂組成物を100重量%とすると、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。酸化防止剤の含有量が上記下限以上であることにより、成形体の高温下での耐久性がより一層高くなり、上記上限を超える含有量では、成形体の高温下での耐久性は変わらないため、上記上限以下とすることにより、過剰な酸化防止剤の使用が抑えられる。
第2層120には、必要に応じて、架橋剤、銅害防止剤、滑剤、光安定剤および顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられる。架橋剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
有機過酸化物の使用量は特に限定されない。たとえば、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。
滑剤としては特に限定されず、例えば、フッ素系滑剤、パラフィンワックス系滑剤及びステアリン酸系滑剤等が挙げられる。上記滑剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
滑剤の使用量は特に限定されない。たとえば、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは3重量部以下である。
光安定剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系及びシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、並びにヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。光安定剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系及び染料レーキ系等の有機顔料、並びに酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物−セレン化物系及びフェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。上記顔料は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[1−4.層厚比]
多層配管100の第1層110、第2層120および第3層130の層厚の比率は、第1層の相対厚みを1とした場合、第2層の厚みが1.5以上6以下、好ましくは2以上5以下、第3層の相対厚みが0.5以上2以下、好ましくは0.7以上1.5以下となるように設計することができる。各層の厚みをこのような比率とすることによって、第1層および第3層による良好な表面平滑性および耐圧性を得るとともに、第2層の配向の配向の効果も良好に得られ、良好な耐クリープ性を含めたさらに好ましい性能バランスを得ることができる。
なお、第2層120の層厚は、管口径によってさまざまに異なるが、一例として、0.5mm以上40mm以下の範囲内であってもよい。しかしながら、本発明では、第2層120の層厚がこの範囲を超えてもよい。配向の効果が効率的に得られる十分な肉厚であって、かつ製造容易な肉厚を当業者が適宜決定することができる。
[2.製造方法]
多層配管100は、第1層110および第3層130をそれぞれ製造するための樹脂組成物と、第2層120を製造するための樹脂組成物とを調製し、成形機を用いて成形することができる。成形機としては特に限定されず、単軸押出機、二軸異方向パラレル押出機、二軸異方向コニカル押出機、及び二軸同方向押出機等が挙げられる。
第2層120を製造するための樹脂組成物の調製においては、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とが混練される。マトリックス樹脂となるポリオレフィン系樹脂のMFRは、混練時において、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.3g/10分以上5g/10分以下(条件:230℃、荷重2.16kg)であってよい。マトリックス樹脂のMFRを上記下限値以上とすることは、成形後のガラス繊維の平均繊維長が200μm以上のものを得やすい点で好ましく、MFRを上記上限値以下とすることは、成形後のガラス繊維の平均繊維長が700μm以下のものを得やすい点で好ましい。
成形後のガラス繊維の平均繊維長を700μmにより近づける(つまり長くなるように調整する)には、マトリックス樹脂のMFRが大きくなるように調整してもよいし、ガラス繊維をサイドフィード方式で添加してもよい。
成形後のガラス繊維の平均繊維長を200μmにより近づける(つまり短くなるように調整する)には、マトリックス樹脂のMFRが小さくなるように調整することができる。
添加するガラス繊維(成形前)の平均繊維長は、たとえば1.0mm以上5.0mm以下であってよい。平均繊維長が上記下限値以上であることは、成形後のガラス繊維の平均繊維長200μm以上を得やすい点で好ましく、上記上限値以下であることは、成形後の平均繊維長が700μm以下のガラス繊維を得やすい点で好ましい。
添加するガラス繊維の平均繊維径は、たとえば1μm以上30μm以下であってよい。繊維径が上記下限値以上であることは、低線膨張性能および強度のバランスの点で好ましく、無配向層121が存在する場合は耐圧性の点でも好ましい。繊維径が上記上限値以下であることにより、繊維の配向のコントロールが容易である点、および混練物中での切断が容易である点で好ましい。これらの効果を一層効果的に得る観点からは、ガラス繊維の繊維径は好ましくは5μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。なお、平均繊維径とは、第2層120に含まれる繊維それぞれの最大径の平均値である。
ポリオレフィン系樹脂とガラス繊維との混練においては、ガラス繊維を切断し平均繊維長が200μm以上好ましくは250μm以上、700μm以下好ましくは650μm以下のガラス繊維断片を生じさせる。混練前ではなく混練中に樹脂組成物内でガラス繊維を切断することは、平均繊維長が揃いやすいため、繊維長100μm以下のガラス繊維の量を15重量%以下に抑えやすい点で好ましい。
この場合、二軸同方向押出機においてスクリュー構成を任意構成でガラス繊維の過度に細かい切断を抑制する。これによって、繊維長100μm以下のガラス繊維断片の生成が抑制され、繊維長100μm以下のガラス繊維断片の割合は、15重量%以下好ましくは10重量%以下となるように切断する。
成形機を用いて成形する際、賦形する金型および樹脂温度等も、特に限定されない。第2層における配向層121は、ガラス繊維を含む樹脂組成物を金型内の任意形状の流路を通すことでガラス繊維を軸方向に配向させながら賦形することによって製造することができる。
[3.他の例]
図3に、本発明の多層配管の他の例を、軸心を含む面で切断した場合の模式的拡大断面図を示す。図3の断面図は、図2の断面図に対応する。
図3に示すように、多層配管100aは、上記の一実施形態における第1層110および第3層130を含み、それらの間に、第2層120aが介在している。第2層120aは、配向層121aに無配向層122aが積層されている。
配向層121aでは繊維が軸心に沿う方向に配向しており、無配向層122aでは繊維がそのような配向を示さないため、目視で両層の見分けが容易である。
この例の場合、配向層121aによる配向面積割合は、配向の効果(低線膨張性能および剛性の向上効果)を効率的に得る観点から、第2層120a全体の断面積に対して35%以上、好ましくは40%以上となるように構成されてよい。配向面積割合の上限に関しては、配向の効果を得る観点からは配向面積割合は100%未満であってよいが、耐圧性を得る観点からはたとえば90%、好ましくは70%であることが好ましい。
多層配管100aにおいて、第2層120aを構成する配向層121aと無配向層122aとの数は特に限定されない。すなわち、第2層120aは、配向層121aおよび無配向層122aのいずれかまたは両方を複数含み、配向層121aと無配向層122aとが交互に積層されるように構成されていてもよい。配向層121aが複数含まれる場合、図3に相当する断面において、配向層121aの断面積の合計が、第2層120a全体の断面積に対して上記の配向面積割合35%以上、好ましくは40%以上、100%未満、好ましくは90%以下、さらに好ましくは70%以下を占めるように構成されてよい。
さらに、第1層110に最も近い層を配向層121aおよび無配向層122aのいずれとするか、および、第3層130に最も近い層を配向層121aおよび無配向層122aのいずれとするかについても、任意である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の発明に限定されるものではない。
[実施例1]
(多層配管の製造)
多層配管100を以下のように製造した。
第1層110および第3層130を製造するための樹脂組成物としてホモポリプロピレンの樹脂組成物(密度0.9g/cm、MFR0.5g/10min(条件:230℃、荷重2.16kg))を用意し、第2層120を製造するための樹脂組成物として、上記と同じホモポリプロピレン樹脂の樹脂組成物(密度0.9g/cm、MFR0.5g/10min(条件:230℃、荷重2.16kg))にガラス繊維(平均繊維長3mm、平均繊維径13μm)を20重量%(第2層120を製造するための樹脂組成物全体に対する量)ブレンドした。樹脂組成物は、二軸同方向押出機を用いて混練し、コンパウンドとして調製した。
第1層110および第3層130を製造するための樹脂組成物および第2層120を製造するための樹脂組成物を用いて、共押出により成形を行った。具体的には、3つのシングル押出機(第1層110および第3層130用のシングル押出機の押出厚さはいずれも40mm、第2層用のシングルのシングル押出機の押出厚さは75mm)を使用して押出し温度220℃で押出し、三層管型の金型を使用して賦形した。
得られた多層管100の内径は51mm、外径は63mm、第1層110、第2層120、第3層130の厚みの比は、1:3:1であった。
(成形後のガラス繊維の繊維長の測定)
多層管100の第2層120から約0.3gの試験片を採取し、500℃で1時間燃焼させた。キーエンス社製マイクロスコープを用い、残ったガラス繊維500本の長さを測定した結果、平均繊維長281μmであり、500本中、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は4重量%であった。
[実施例2]
第2層120を製造するための樹脂組成物中のガラス繊維のブレンド量を40重量%としたことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長506μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は5重量%であった。
[実施例3]
第2層120を製造するための樹脂組成物中に無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸価25)を1重量%添加したことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長576μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は3重量%であった。
[実施例4]
第2層120を製造するための樹脂組成物中に無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸価25)を3重量%添加したことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長537μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は5重量%であった。
[実施例5]
第2層120を製造するための樹脂組成物中に無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸価25)を8重量%添加したことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長361μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は8重量%であった。
[実施例6]
第2層120を製造するための樹脂組成物中にブレンドするガラス繊維を、平均繊維長4.5mmに変更したことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長422μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は5重量%であった。
[実施例7]
第2層120を製造するための樹脂組成物中にブレンドするガラス繊維を、平均繊維長4.5mm、ガラス繊維の配合量を30重量%に変更したことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長628μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は8重量%であった。
[比較例1]
第2層120を製造するための樹脂組成物にガラス繊維を配合しなかった以外は実施例1と同様に製管した。つまり、第1層から第3層はいずれも同じ樹脂組成物から構成され、実質的には単層管が製造された。
[比較例2]
第2層120を製造するための樹脂組成物中のガラス繊維のブレンド量を10重量%としたことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長482μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は6重量%であった。
[比較例3]
混練前に粉砕したガラス繊維を用いたことを除いて、実施例1と同様に多層管を製造し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長156μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は45重量%であった。
[比較例4]
第2層120の代わりに、配向層に無配向層を積層させて配向面積割合を32%としたことを除いて実施例1と同様に製管し、成形後のガラス繊維の繊維長を測定した。その結果、平均繊維長290μm、繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率は4重量%であった。
[性能試験]
実施例1から実施例7および比較例1から比較例4で得られた管について、以下の性能試験を行った。
[1.引張強度]
引張強度は、JIS K7161(1994)に基づき、以下の条件で試験した。
試験片:JIS K7162(1994)タイプ1B形(打ち抜き加工)
試験温度:23℃
試験速度:50mm/min
試験機:テンシロン(UCT−5T オリエンテック社製)
[2.曲げ弾性率]
曲げ弾性率は、JIS K7171(2008)に基づき、以下の条件で試験した。
試験片寸法:10mm×120mm(切削加工)
支点間距離:試料厚み×16倍
測定温度:23℃および100℃
試験速度:2mm/min
[3.シャルピー衝撃試験]
シャルピー衝撃試験は、JIS K7111−1(2006)に基づき、以下の条件で試験した。
試験片:エッジワイズ ノッチ タイプA 2mm
試験台間距離:62mm
測定温度:0℃および23℃
ハンマー秤量:0.4kgf・m
[4.線膨張係数]
線膨張係数は次のようにして求めた。
多層配管を約1000mmの長さに切断し、60℃(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した後、多層配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ多層配管を、5℃(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、多層配管の長さ(Lcool)を測定した。得られた値を下記の式1に代入し、線膨張係数を決定した。
[5.配向面積割合]
多層配管の、軸心を含む面で厚肉を切断した断面を、日本電子社製走査電子顕微鏡JSM−671Fを用い、蒸着厚み10nm、加速電圧15kV、倍率25倍の条件で目視観察し、第2層の断面積に対する配向層の合計断面積の割合を求めた。
上記の試験結果を、各実施例および各比較例の構成要素とともに下記表1および表2に示す。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
100,100a 多層配管
110 第1層
120,120a 第2層
121,121a 配向層
130 第3層

Claims (8)

  1. 軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層をこの順で含み、
    前記第1層および前記第3層がポリオレフィン系樹脂を主成分として含み、
    前記第2層が、ポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含み、
    前記第2層のポリオレフィン系樹脂のMFRが0.3g/10分以上5g/10分以下(条件:230℃、荷重2.16kg)であり、
    前記ガラス繊維の配合量が15重量%以上45重量%以下であり、成形後の前記第2層中に含まれる前記ガラス繊維の平均繊維長が200μm以上700μm以下かつ繊維長100μm以下のガラス繊維の含有率が15重量%以下であり、かつ、前記ガラス繊維が前記軸心に沿う方向に配向された配向層を含み、
    線膨張係数が1.8×10 −5 /℃以上7.2×10 −5 /℃以下である、
    ポリオレフィン系樹脂多層配管。
  2. 前記第2層が酸変性ポリオレフィン系樹脂をさらに含む、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂多層配管。
  3. 前記第2層における前記酸変性ポリオレフィン系樹脂の含有量が、0.3重量%以上5重量%以下である、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂多層配管。
  4. 前記第2層における前記配向層が占める配向面積割合が50%以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多層配管。
  5. 前記第1層の相対厚みを1とした場合、前記第2層の相対厚みが2以上6以下であり、前記第3層の相対厚みが0.5以上2以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多層配管。
  6. 前記第1層の前記ポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンである、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多層配管。
  7. 前記第2層の前記ポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンである、請求項1から6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多層管。
  8. 軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層をこの順で含むポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法であって、
    前記第1層を構成するポリオレフィン系樹脂を主成分として含む樹脂組成物、前記第2層を構成するポリオレフィン系樹脂とガラス繊維とを含む樹脂組成物、および前記第3層を構成するポリオレフィン系樹脂を主成分として含む樹脂組成物を調整する調整工程と、
    前記第1層、前記第2層、および前記第3層を構成する樹脂組成物を押出成形機を用いて成形する成形工程と、を含み、
    前記調整工程における前記ガラス繊維の平均繊維長が1.0mm以上5.0mm以下であり、
    前記第2層を構成する樹脂組成物に含まれるポリオレフィン系樹脂のMFRが0.3g/10分以上5g/10分以下(条件:230℃、荷重2.16kg)である、ポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法。
JP2015110222A 2015-05-29 2015-05-29 ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法 Active JP6523045B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015110222A JP6523045B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015110222A JP6523045B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016223525A JP2016223525A (ja) 2016-12-28
JP6523045B2 true JP6523045B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=57747494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015110222A Active JP6523045B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6523045B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6654894B2 (ja) * 2015-12-28 2020-02-26 積水化学工業株式会社 樹脂複合管、配管システムおよびその施工方法
JP7193240B2 (ja) * 2018-03-27 2022-12-20 積水化学工業株式会社 多層管の製造方法
JP7417374B2 (ja) * 2019-07-29 2024-01-18 積水化学工業株式会社 配管
JP7339803B2 (ja) * 2019-07-29 2023-09-06 積水化学工業株式会社 配管

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6095295A (ja) * 1983-10-28 1985-05-28 三井東圧化学株式会社 流体移送用熱硬化性樹脂管
JPS6132743A (ja) * 1984-07-26 1986-02-15 昭和電工株式会社 多層構造管
JPH07171920A (ja) * 1993-10-29 1995-07-11 Toyoda Gosei Co Ltd 補強ゴムホース
JP3837814B2 (ja) * 1997-02-26 2006-10-25 東ソー株式会社 繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体及びその製造方法
JPH1128755A (ja) * 1997-07-09 1999-02-02 Sekisui Chem Co Ltd 管状体の製造方法
JP2001081336A (ja) * 1999-09-16 2001-03-27 Idemitsu Petrochem Co Ltd ガラス繊維含有熱可塑性樹脂成形材料および製造方法
JP2002013675A (ja) * 2000-04-28 2002-01-18 Sekisui Chem Co Ltd 複合高圧管
JP2006124454A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 Japan Polypropylene Corp 炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物、およびこれを用いてなるポリプロピレン系樹脂組成物
JP5209178B2 (ja) * 2005-12-12 2013-06-12 ダイセルポリマー株式会社 樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016223525A (ja) 2016-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6595787B2 (ja) 多層配管
JP6523045B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂多層配管およびポリオレフィン系樹脂多層配管の製造方法
US10544886B2 (en) Fiber-reinforced composite pipe and cold/warm water piping system
US20160109040A1 (en) Pipe Section having Polyarylene Sulfide Composition Barrier Layer
ES2318384T3 (es) Capa exterior de funda para cables de potencia o de comuniccion.
JP6574546B2 (ja) 多層管
KR101329856B1 (ko) 수지 조성물, 수지 조성물로 이루어진 필름 또는 시트 또는적층체
JP2008001007A (ja) ホース製造用マンドレル
JP6546433B2 (ja) 多層配管
JP7074421B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂多層管
US20090162591A1 (en) Multilayer coolant pipes
KR20130117756A (ko) 매스터배치 조성물
JP6484106B2 (ja) 冷温水管路配管システム
JP6510885B2 (ja) 多層管材
RU2469235C2 (ru) Полиолефиновая композиция, усиленная наполнителем, и труба, содержащая полиолефиновую композицию
JP6911379B2 (ja) 接着性樹脂組成物及び積層体
JP6709309B2 (ja) 多層管
JP2016055561A (ja) 多層管
JP2022157416A (ja) 多層管
WO2016133167A1 (ja) 繊維強化複合管および冷温水配管システム
TW202212459A (zh) 乙烯系聚合體組成物及其用途
CZ294420B6 (cs) Trubka tvořená několika vrstvami
CN104791555A (zh) 一种抗低温冲击的pp-r复合管材及其制备方法
WO2022234351A1 (en) Low environmental impact flexible hose, as well as manufacturing method thereof
TW202402926A (zh) 乙烯系聚合體組成物及其用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190425

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6523045

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151