JP3837814B2 - 繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚み方向での圧縮強度、耐衝撃性に優れ、各種構造材、土木建築資材、衝撃吸収材等に使用される繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
強化繊維により補強された樹脂成形体は強さを比重にて除した、いわゆる比強度に優れることから、近年車両、建築材料、パイプ、容器などに幅広く活用されている。また、このような補強効果は発泡体に対して強化繊維を混入させた場合においても同様に得られることが知られ、例えば特開平7−9462号公報のような方法が開示されている。そして、これら従来の方法によれば、上記強化繊維は無秩序な方向性をもって発泡体中に分散されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述するような発泡体中に強化繊維が無秩序に配向して混入されている場合には、発泡体の補強効果もおおよそ全方向的なものとなる。ところで、発泡体の強度、とりわけ中〜高倍率の発泡体の強度に関しては、実用面からして重要であるのは圧縮強度であり、全方向的な補強効果は意味を成さない場合がある。また、上記特開平7−9462号公報の方法によれば、本公報実施例中に示されるように、発泡体に混入される強化繊維の平均長さは、主に20mm以上のものが用いられており、このような長繊維は樹脂の溶融特性、特に発泡時における伸びを阻害してしまい、10倍を超えるような高倍率の発泡体が得られないといった問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、発泡体に含有させた強化繊維に方向性を持たせることにより、特に厚み方向での補強が図れ、しかも、本補強効果により比強度を向上させて発泡体の軽量化が行い得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体に含まれる強化繊維が、
(1)平均繊維長0.5〜5mm
(2)発泡体に占める割合が1〜50重量%
(3)互いに平行する発泡体の上面及び下面に直交する方向(以下、発泡体の厚み方向という)に平行する軸と強化繊維の中心線との交点において形成される狭角が0〜45度の範囲にあるものの割合が75〜100%であるとともに、これら繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の気泡が、発泡体の厚み方向の気泡径が該方向に直交する方向の気泡径に対して大きくなるような楕円形状を有し、厚み方向の気泡径/厚み方向に直交する方向の気泡径にて定義される気泡配向度の平均値が2.5〜5であることを特徴とする繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明において用いられるポリオレフィン樹脂として、例えばプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいはこれら重合体に混合可能なゴム又は熱可塑性エラストマーを混入した混合物を挙げることができる。上記α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等があり、また上記混合可能なゴムとしては天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられ、さらに上記熱可塑性エラストマーとしては一般に市販されるものが使用でき、特にスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましく用いられる。
【0008】
また、本発明においてポリオレフィン樹脂発泡体に混入される強化繊維としては例えばガラス繊維、各種金属繊維、木繊維、竹繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などが挙げられる。
【0009】
上記強化繊維の平均繊維長は、目的とする成形体の気泡径、発泡倍率等により適時選択されるべきものであるが、通常0.5〜5mmの範囲が好ましく、0.5mmに満たない場合には発泡時において強化繊維の厚み方向への配向度が乏しくなり、5mmを超える場合には、発泡時における樹脂の伸びが阻害され、発泡倍率の乏しい発泡体となるばかりか、不均一発泡を招く結果となる。また、上記強化繊維の発泡体に占める割合は1〜50重量%の範囲にあり、特に好ましくは5〜30重量%の範囲である。1重量%未満の場合には、充分な補強効果が得られず、50重量%を超える場合には、発泡時における樹脂の伸びが阻害され、著しい発泡倍率の低下並びに発泡不均一が生じることとなる。さらに、本発明における発泡体内に存在する強化繊維は、発泡体の厚み方向に平行する軸と強化繊維の中心線との交点において形成される狭角が0〜45度の範囲にあるものの割合が75〜100%であることを特徴とする。すなわち、図1において発泡体の厚み方向軸を1、強化繊維を2とした場合、1と2の交点3において形成される狭角4が0〜45度の範囲内にあるような発泡体の厚み方向に配向した強化繊維が、発泡体に含有される全強化繊維の内75〜100%を占めるのである。上記厚み方向に配向した強化繊維の割合が75%に満たない場合には、強化繊維の配向性は無秩序なものと見なせ、厚み方向での圧縮強度は満足に向上し得ないのである。
【0010】
また、上記強化繊維とは別に前記ポリオレフィン樹脂には難燃性・耐火性、導電性、帯電防止性、耐候性等の効果を付与する目的で臭素化合物、三酸化アンチモン、ほう酸亜鉛、金属粉、紫外線吸収剤、水酸化マグネシウム、リン、ゼオライト等のフィラーを混合させることができる。
【0011】
本発明における繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の気泡構造は強化繊維と同様に発泡体の厚み方向に縦長に配向することを特徴とするものである。すなわち、図2における本発明の発泡体に含まれる気泡は発泡体の厚み方向の気泡径が該方向に直交する方向の気泡径に対して大きくなるような楕円形状を有するのである。このような気泡の配向は後述する本発明における発泡体の製造方法において、樹脂が厚み方向にのみ膨張する結果生じるのであり、強化繊維の配向性と深く関わる。すなわち、気泡の配向性が認められない発泡体において強化繊維の配向性は発現しないのである。上記気泡の配向性を「厚み方向の気泡径/厚み方向に直交する方向の気泡径」にて定義される気泡配向度を用いて表すならば、本発明における発泡体中に含まれる個々の気泡の気泡配向度の平均値は通常2.5〜5の範囲にある。2.5に満たない場合には強化繊維の配向性も好ましい範囲となり得ず、また5を超えるような場合には気泡を隔てる気泡壁が非常に薄く不安定な構造となり、発泡体自体の強度低下につながる問題がある。
【0012】
次に本発明における繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の製造方法について説明する。
【0013】
対向する型開き可能な成形型としては、一対の凹凸形状金型、あるいは平板/凹形状金型などが挙げられる。なお、これら成形型はその内壁面が樹脂膨張方向、すなわち発泡体の厚みの増す方向に平行なものであり、発泡ガスを含有する樹脂が上記成形型の内壁面に沿って発泡しつつ厚みの増す方向にのみ膨張し得るのである。
【0014】
発泡ガスを含むシート状ポリオレフィン樹脂を加圧密封及び減圧するための方法としては、接触面にシーリングパッキン等が具備された一対の成形型を用い、該成形型を摺動させて型締めを行うことにより加圧密封させ、また型開きを行うことにより減圧させるような方法、または接触して密閉された一対の成形型内にてピストンが摺動することにより加圧密封及び減圧を行わせる方法、あるいは、あらかじめ密閉された成形型内に発泡ガスを含む樹脂を例えば射出成形法のような方法により高圧で供給して樹脂を加圧密封させ、型開きにより減圧させる方法、さらには、密閉されていない成形型内に発泡ガスを含む樹脂を高圧で充填させた後にパッキンあるいはガス注入などを用いて樹脂を密封させるような方法などを挙げることができる。
【0015】
本発明における発泡ガスとは、加熱によって分解し得る公知の化学発泡剤、例えばアゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシスビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウムなどを加熱により分解させることにより生じる二酸化炭素、チッソ、一酸化炭素、アンモニア、水蒸気などのガスを挙げることができる。
【0016】
また、本発明における繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の製造方法においては、発泡時における樹脂の粘弾性を気泡の配向に適したものとさせる必要があり、その目的から公知の化学架橋剤を用いて樹脂を架橋させ、発泡時における気泡の良好な伸び、及び破泡を抑制するに足る弾性を付与することが好ましい。このような化学架橋剤として、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロキシパーオキサイドなどの有機過酸化物、あるいは1,9−ノナンビススルフォンアザイド等のアジド化合物、またはビニルトリエトキシシラン等のシラン化合物等が利用できる。また、この場合、架橋を促進させる架橋助剤として、例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン等を併用することができる。また、上記化学架橋剤を用いる方法以外に、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、X線等の電離性放射線をポリオレフィン樹脂に照射して架橋を行わせる方法も使用することができ、この場合上記架橋を促進させる架橋助剤を併用することが好ましい。
【0017】
(作用)
発泡体がその厚み方向から圧縮変形を受ける際、図3に示す発泡体に含まれる気泡8を隔てる気泡壁9は押しつぶされて折れ曲がりの変形を示すこととなる。従って、発泡体の圧縮強度は上記気泡壁の折れ曲がりに対する応力と深く関わるのである。ところでこれら気泡構造中に強化繊維が持ち込まれた場合、発泡体の厚み方向及び厚み方向に垂直な方向に強化繊維が配置される様子はそれぞれ図4中10及び11に示すものとなる。この場合において、気泡壁の折れ曲がりに対する耐性、及び折れ曲がり時における抵抗力をより大きく付与するのは強化繊維10である。本発明の発泡体中に含有される強化繊維はそのすべてが発泡体の厚み方向に平行なものとは成り得ず、ある程度の傾きをもって発泡体の厚み方向に配向するものであるが、気泡壁の折れ曲がりに対する耐性、及び折れ曲がり時における抵抗力付与には充分な効果を発揮するのである。また、本発明における気泡構造のように気泡壁が縦長である場合には気泡の折れ曲がりが起こりやすく、折れ曲がりによる気泡壁変形量も大きいことから、上述する気泡配向性の影響はより強く圧縮物性に反映されるのである。
【0018】
以上のような発泡体の厚み方向に配向させられた強化繊維を含有する発泡体を得るための手段として、本発明における繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の製造方法は有効な方法であり、その理由を以下に説明する。
【0019】
発泡直前に成形型内にて加圧密封された状態にある発泡性シート状ポリオレフィン樹脂は、図5に示す発泡シート面12と平行な方向に配向する強化繊維13、及び圧縮発泡ガスの塊である気泡核14を含有する。そして、ピストン後退に伴う除圧によって樹脂中の発泡ガスが膨張して気泡成長が起こり、上記シート状ポリオレフィン樹脂は一方向すなわち発泡体の厚みの増す方向にのみ膨張させられる。この場合、気泡の成長は主に発泡体の厚み方向に向かって行われることから、気泡の成長方向を遮断する形で存在する強化繊維は発泡ガスによって押し上げられることとなる。しかし、通常強化繊維は発泡直前の配向性を維持して押し上げられることはなく、図6に示すように強化繊維13の側面方向から楕円状気泡15の成長により不均一な圧力を受けることによって傾きを与えられる。そしてさらに、厚み方向に垂直な方向への膨張が抑制されていることにより、この方向からの圧迫を受けて発泡体の厚み方向に配向させられるのである。一方、樹脂が三次元的に膨張する場合には、図5の発泡直前状態からの気泡成長過程において、図7に示すように厚み方向での球状気泡16による押し上げが小さくなり、与えられる傾きが減少するばかりか、厚み方向に直交する方向にも自由膨張させられるため、この方向からの圧迫により方向規制されないのである。
【0020】
また、上述する製造方法により得られる発泡体の気泡は厚み方向に楕円状に延伸されており、いわばハニカム構造に類似する構造を形成するものである。ハニカム構造体は、特開平7−68679号公報に記載されるように、強度あるいは大きな衝撃の吸収などにおいて優れた特性を示すことが知られており、本発明における発泡体は、これら気泡の配向効果に強化繊維の配向効果が加わり、相乗的な圧縮強度の向上効果が得られるのである。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
なお、表1に示す強化繊維の配向率は以下に示す方法により調べた。
【0023】
発泡体の任意の箇所より発泡体の厚み方向に平行な方向に切断した断面のうち、任意の部分を光学顕微鏡(ニコン株式会社製、製品名SMZ−2T)によって10倍に拡大して光学顕微鏡に接続されたモニタ画面に映し出した。そして、これら画面に映し出された発泡体の断面映像内に存在する強化繊維の配向性を「発泡体の厚み方向に平行する軸と強化繊維の中心線との交点において形成される狭角が0〜45度の範囲にあるものの割合」により定義した強化繊維の配向率を求めることにより調べた。
【0024】
また、表1中の平均気泡配向度は以下の方法により求めた値である。
【0025】
上記のモニタ画像中において強化繊維と同様に映し出される気泡すべてについて、「発泡体の厚み方向の気泡径/発泡体の厚み方向に直交する方向の気泡径」にて定義した気泡配向度を算出し、これら気泡配向度を平均値化することにより平均気泡配向度を求めた。
【0026】
実施例1
平均繊維長3mmのガラス繊維を10重量%含む高密度ポリエチレン(東ソー株式会社製、商品名ニポロンハード4010)100重量部に対して、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(永和化成工業株式会社製:ビニホールAC#1C)12重量部、化学架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン−3(日本油脂株式会社製:パーヘキシン25B−40)0.48重量部とからなる混合物を調整した。そして、該混合物を50mmφ押出機により溶融混練するとともに、Tダイを通して未発泡シートとして押し出した。
【0027】
次いで、該未発泡シートをシリコンゴムパッキンにより接触部がシールできるよう工夫された対向する型開き可能な成形型内に挿入して密封した。そして、成形型内にてピストンを摺動させ、上記未発泡シートを成形型とピストンとの間にて20kgf/cm2の圧力で加圧した。そして、該成形型及びピストンにおける未発泡シートとの接触面を200℃に保持して発泡剤を分解させ、溶融樹脂中にガスを発生させた。続いて樹脂に接する成形型面及びピストン面を冷却してこれら面が130℃となった時点でピストンを開放して気泡が発泡体の厚み方向に縦長に配向した発泡倍率12倍の発泡体を得た。得られた発泡体に含有される強化繊維の配向率及び気泡配向度について表1に示す。
【0028】
上記のようにして得られた発泡体の圧縮特性を調べるため、圧縮試験をJISK 6767(1976年)に準じて下記の条件で行い、得られた圧縮応力−歪み曲線から圧縮強さを求めた。その結果を表1に示す。
【0029】
(試験条件)
試験片のサイズ :縦50mm、横50mm,厚さ25mm
圧縮速度 :10mm/分
実施例2
強化繊維として平均繊維長2mmの炭素繊維を15重量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、気泡が発泡体の厚み方向に縦長に配向した発泡倍率10倍の発泡体を得た。得られた発泡体に含まれる強化繊維の配向率、気泡配向度及び圧縮強さを表1に示す。
【0030】
比較例1
平均繊維長100μmのガラス繊維を10重量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、気泡が発泡体の厚み方向に縦長に配向した発泡倍率12倍の発泡体を得た。得られた発泡体に含まれる強化繊維の配向率、気泡配向度及び圧縮強さを表1に示す。
【0031】
比較例2
強化繊維を含有させずに実施例1と同様に成形を行い、気泡が厚み方向に縦長に配向した発泡倍率12倍の発泡体を得た。得られた発泡体の気泡配向度及び圧縮強さを表1に示す。
【0032】
比較例3
平均繊維長3mmのガラス繊維を10重量%含む高密度ポリエチレン(東ソー株式会社製、商品名ニポロンハード4010)100重量部に対して、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(永和化成工業株式会社製:ビニホールAC#1C)12重量部、化学架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン−3(日本油脂株式会社製:パーヘキシン25B−40)0.65重量部とからなる混合物を調整した。そして、該混合物を50mmφ押出機により溶融混練するとともに、Tダイを通して未発泡シートとして押し出した。
【0033】
次いで、該未発泡シートを180℃に維持されている型合わせ部に向かってキャビティが拡散するようにキャビティの側面が傾斜された凹状成形型、及び平板状成形型により形成される成形型内に挿入した。そして、これら成形型の型閉めにより20kgf/cm2の圧力にて未発泡樹脂を加圧した後、該成形型を200℃まで昇温して発泡剤を分解させることにより、溶融樹脂中にガスを発生させた。続いて樹脂に接する成形型面を冷却してこれら面が130℃となった時点で成形型を開放して樹脂を三次元的に膨張させることにより、気泡が球状構造であり、発泡倍率11倍の発泡体を得た。得られた発泡体に含有される強化繊維の配向率、気泡配向度及び圧縮強さを表1に示す。
【0034】
比較例4
強化繊維として平均繊維長3mmのガラス繊維を60重量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして成形を行ったが、発泡倍率に乏しい発泡体が得られたに過ぎなかった。
【0035】
比較例5
強化繊維として平均長さ7mmのガラス繊維を10重量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして成形を行ったが、発泡倍率に乏しい発泡体が得られたに過ぎなかった。
【0036】
比較例6
強化繊維の代わりに球状無機フィラーであるタルクを30重量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、気泡が厚み方向に縦長に配向した発泡倍率12倍の発泡体を得た。得られた発泡体の気泡配向度及び圧縮強さを表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003837814
【0038】
【発明の効果】
本発明における繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体及びその製造方法により以下のような優れた効果が得られる。
【0039】
(1)球状フィラーを含有させる場合や、強化繊維であっても配向性の低い場合に比較して同一強度の発泡体を得るに必要なフィラーの充填量が少なくて済み、発泡体の軽量性が損なわれにくく、製品コスト低下にもつながる。
【0040】
(2)10倍を超える高倍率の繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体が得られ、比強度が向上する。
【0041】
(3)気泡のハニカム構造と繊維の補強効果が有効的に関わり、圧縮強度が著しく向上する。
【0042】
(4)圧縮強度の向上に伴い、衝撃が加わった場合における限界吸収エネルギー量が向上する。
【0043】
(5)導電性繊維の発泡体内における配向により、通電時における抵抗値に異方性が発生する。
【図面の簡単な説明】
【図1】強化繊維の配向性を説明する模式図である。
【図2】本発明における発泡体の概略図である。
【図3】気泡及び気泡壁の模式図である。
【図4】気泡と強化繊維の配置を説明する模式図である。
【図5】発泡直前の強化繊維の配向を説明する模式図である。
【図6】発泡後の強化繊維の配向を説明する模式図である。
【図7】発泡後の強化繊維の配向を説明する模式図である。
【符号の説明】
1:発泡体の厚み方向軸
2:強化繊維
3:発泡値の厚み方向軸と強化繊維の交点
4:交点における狭角
5:本発明における発泡体
6:気泡
7:強化繊維
8:気泡
9:気泡壁
10,11:強化繊維
12:ポリオレフィン樹脂シート面
13:強化繊維
14:気泡核
15:楕円状気泡
16:球状気泡

Claims (1)

  1. 繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体に含まれる強化繊維が、
    (1)平均繊維長0.5〜5mm
    (2)発泡体に占める割合が1〜50重量%
    (3)互いに平行する発泡体の上面及び下面に直交する方向(以下、発泡体の厚み方向という)に平行する軸と強化繊維の中心線との交点において形成される狭角が0〜45度の範囲にあるものの割合が75〜100%
    であるとともに、これら繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体の気泡が、発泡体の厚み方向の気泡径が該方向に直交する方向の気泡径に対して大きくなるような楕円形状を有し、厚み方向の気泡径/厚み方向に直交する方向の気泡径にて定義される気泡配向度の平均値が2.5〜5であることを特徴とする繊維強化ポリオレフィン樹脂発泡体。
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