JP2022115508A - 発泡ブロー成形体 - Google Patents

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仁一朗 野呂
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Abstract

【課題】 本発明は、軽量性、耐寒衝撃性及び表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体を得ることを目的とする。【解決手段】 本発明の発泡ブロー成形体は、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)からなる混合樹脂により構成され、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が、オレフィンブロック共重合体であり、ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比が特定範囲内であり、該混合樹脂中で、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成しており、発泡ブロー成形体の見掛け密度及び独立気泡率が特定範囲内である。【選択図】 なし

Description

本発明は、発泡ブロー成形体に関し、詳しくは、軽量性、耐寒衝撃性及び表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体に関する。
従来より、ブロー成形技術と発泡技術を組合わせた方法により製造された発泡ブロー成形体が知られている。該発泡ブロー成形体は、押出機を用いて基材樹脂と発泡剤を溶融混練し、得られた発泡性樹脂溶融物をダイより発泡パリソンとして押出し、分割金型間に発泡パリソンを挟みこみ、密閉されたパリソンの内部に加圧気体を吹き込んで発泡パリソンを金型内面に押し付けて賦形する、発泡ブロー成形法により得られるものである。
このようにして得られた発泡ブロー成形体は、軽量であり、断熱性に優れ、種々の形状を賦形できることから、自動車などの車両用空調ダクト等として使用されている。その場合、発泡ブロー成形体の基材樹脂としては、耐熱性が高く、機械的強度にも優れていることから、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が用いられている。
例えば、該発泡ブロー成形体が車両用空調ダクトとして使用される場合には、耐衝撃性が要求されることがある。従来の発泡ブロー成形法においては、耐衝撃性を向上させる手段として、該ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂に対して、エラストマーを添加する試みがなされている(特許文献1、特許文献2)。
特開2014-37149号公報 特開2014-240743号公報
特許文献1、特許文献2に開示されたように、エラストマーをポリオレフィン系樹脂に添加することによって耐衝撃性を向上させることは可能であった。しかし、特許文献1、特許文献2に記載されていた方法では、得られた発泡ブロー成形体は、耐寒衝撃性に課題を残すものである場合や、発泡ブロー成形体の表面平滑性が低下するものである場合があった。このような現象は、特に見掛け密度の低い、高発泡倍率の発泡ブロー成形体を得ようとした場合に顕著であった。
本発明は、軽量性、耐寒衝撃性及び表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体を得ることを目的とする。
本発明によれば、次に示す発泡ブロー成形体が提供される。
[1]ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とからなる混合樹脂により構成される発泡ブロー成形体であり、
該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が、オレフィンブロック共重合体であり、
該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)との重量比(A:B)が80:20~40:60であり、
該発泡ブロー成形体を構成する該混合樹脂中で、該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成しており、
該発泡ブロー成形体の見掛け密度が100kg/m以上450kg/m以下であり、
該発泡ブロー成形体の独立気泡率が70%以上である、発泡ブロー成形体。
[2]前記ポリオレフィン系樹脂(A)の融点(Ta)が110℃以上170℃以下であり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の融点(Tb)が50℃以上130℃以下であり、該融点(Ta)と該融点(Tb)との融点差(Ta-Tb)が0℃以上80℃以下である、前記1に記載の発泡ブロー成形体。
[3]前記混合樹脂がカーボンブラックを含み、該カーボンブラックの含有量が前記ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して0.1~2重量部である、前記1又は2に記載の発泡ブロー成形体。
本発明によれば、発泡ブロー成形体がポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィンブロック共重合体(オレフィン系熱可塑性エラストマー(B))とからなる混合樹脂により構成され、該混合樹脂を形成する両者の重量比が特定範囲内であり、発泡ブロー成形体を形成している混合樹脂中でオレフィンブロック共重合体が連続相を形成し、見掛け密度及び独立気泡率が特定範囲内の発泡ブロー成形体であることにより、軽量性、耐寒衝撃性及び表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体を得ることができる。
図1は、実施例1で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真である。 図2は、実施例5で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真である。 図3は、比較例4で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真である。 図4は、本発明の製造方法に用いられる装置の一例を示す説明図である。
以下、本発明の発泡ブロー成形体について詳細に説明する。
本発明の発泡ブロー成形体(以下、成形体ともいう。)は、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)からなる混合樹脂により構成されるものである。
該ポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィン成分構造単位がその樹脂中にモル比率で、50モル%以上の割合で存在するもの、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80~100モル%存在するものをいう。
具体的なポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィン成分とオレフィンと共重合可能なその他の重合性モノマー成分との共重合体のうちオレフィン成分構造単位の存在量の割合(モル%)が前記の範囲を満足するもの、オレフィン重合体と他の重合体との混合物のうちオレフィン成分構造単位の存在量の割合(モル%)が前記の範囲を満足するものが挙げられる。
より具体的なポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン-エチレン共重合体、等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの中でも、機械的強度に優れる成形体が得られる観点からポリプロピレン系樹脂がさらに好ましい。
該ポリオレフィン系樹脂(A)の曲げ弾性率は、100MPa以上であることが好ましく、より好ましくは300MPa以上、更に好ましくは500MPa以上である。その上限は、2500MPaであることが好ましく、より好ましくは2100MPaである。ポリオレフィン系樹脂の曲げ弾性率が前記範囲内であると、前記発泡ブロー成形体は剛性により優れたものとなる。前記曲げ弾性率は、JIS K7171:2016に基づき測定することができる。
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は、オレフィンブロック共重合体である。オレフィンブロック共重合体を用いることで、発泡性を維持しつつ、発泡ブロー成形体の耐衝撃性はもとより、耐寒衝撃性を向上させることができる。従って、発泡ブロー成形体は、軽量性に優れるとともに、表面平滑性にも優れるものとなる。なお、本発明において、ブロック共重合体とは複数のポリマー鎖がブロックとして結合したコポリマーをいい、ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合体が挙げられる。
該オレフィンブロック共重合体としては、エチレン系エラストマーやプロピレン系エラストマー等が好ましく挙げられ、オレフィン成分構成単位を50mol%以上の割合で含むことが好ましい。
該エチレン系エラストマーとしては、例えば高密度エチレンをハードセグメントとし、エチレン‐オクテンランダム共重合体をソフトセグメントとするブロック共重合体等が挙げられる。具体的には、商品名「インフューズ(INFUSE(登録商標))」(ダウ・ケミカル社製)が挙げられる。
該プロピレン系エラストマーとしては、例えばアイソタクチックプロピレンからなる微晶質領域をハードセグメントとし、プロピレンとエチレンの共重合体の非晶質領域をソフトセグメントとするブロック共重合体等が挙げられる。具体的には、商品名「ビスタマックス」(エクソンモービル社製)が挙げられる。
該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の曲げ弾性率は、耐衝撃性に優れ、さらに耐寒衝撃性に優れる観点から、5MPa以上100MPa未満であることが好ましく、7MPa以上80MPa以下であることがより好ましく、10MPa以上50MPa以下であることが更に好ましい。該曲げ弾性率は、JIS K7171:2016に準拠して測定することができる。
本発明の発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂には、該ポリオレフィン系樹脂(A)及び該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の他に、本発明の目的効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂や、オレフィンブロック共重合体を除く、他の熱可塑性エラストマー(TPE)を配合することができる。但し、他の成分の配合量は、該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、更に好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂には、所望に応じて、難燃剤、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の添加剤を適宜配合することができる。但し、これらの添加剤の配合量は、該ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
該混合樹脂において、該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)との重量比(A:B)は、80:20~40:60である。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比が20重量%未満の場合、得られる発泡ブロー成形体の耐寒衝撃性が低下し、所望される耐寒衝撃性が発現しないおそれがある。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比が60重量%超の場合、該混合樹脂の発泡性が低下して、見掛け密度の小さな発泡ブロー成形体を得ることが困難になったり、得られる発泡ブロー成形体の表面平滑性が低下するおそれがある。
かかる理由により、該重量比(A:B)は、75:25~45:55であることが好ましく、より好ましくは70:30~50:50である。なお、該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計は100である。
本発明の発泡ブロー成形体を製造する際には、バリや寸法ズレなどが生じた不良成形品などが発生し、これらのバリや不良成形品は回収原料とされることがある。該回収原料としては、該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含むものを用いることが好ましい。
該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含む回収原料を原料の一部として用いる場合、該発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂中の該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合量は、該回収原料中のポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含む値である。
該ポリオレフィン系樹脂(A)の融点(Ta)は110℃以上170℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以上168℃以下、更に好ましくは140℃以上165℃以下である。該融点(Ta)がこの範囲内であれば、耐熱性に優れた発泡ブロー成形体を得ることができる。
また、該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の融点(Tb)は、50℃以上130℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以上125℃以下、更に好ましくは90℃以上120℃以下である。
また、該融点(Ta)と該融点(Tb)との融点差(Ta-Tb)は、0~80℃であることが好ましく、より好ましくは10~70℃であり、さらに好ましくは20~60℃であり、最も好ましくは25~50℃である。該融点差(Ta-Tb)がこの範囲内であれば、特に、発泡ブロー成形における冷却時に、オレフィン系エラストマー(B)の融点とポリオレフィン系樹脂(A)の融点の差が小さいことによって、より優れた発泡成形性が発揮され、より表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体を得ることができると考えられる。
該ポリオレフィン系樹脂(A)または該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の融点は、JIS K7121:2012に記載の熱流束示差走査熱量測定に基づき測定される融解ピーク温度を意味する。試験片の状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、加熱速度及び冷却速度としては共に10℃/分を採用する。なお、DSC曲線に複数の融解ピークが表れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点温度を融点とする。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂(A)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度(ηa)は1000~1800Pa・sであることが好ましい。
該溶融粘度がこの範囲内であれば、適正発泡温度で発泡パリソンを形成することにより、発泡パリソンの過度のドローダウンを防ぎつつ、ダイ内での過度な剪断発熱が防止され、発泡パリソンが連続気泡化して発泡ブロー成形体の独立気泡率が低くなることをさらに防ぐことができる。かかる観点から、該ポリオレフィン系樹脂(A)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度(ηa)は、1100~1600Pa・sであることが好ましく、より好ましくは1200~1500Pa・sである。
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度(ηb)は400Pa・s~2000Pa・sであることが好ましい。該溶融粘度がこの範囲内であれば、発泡ブロー成形体の、該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とからなる混合樹脂中に、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の連続相が形成されたモルフォロジーを形成することがさらに容易となる。
かかる観点から、該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度(ηb)は、500~1800Pa・sであることが好ましく、より好ましくは600~1700Pa・sである。
ポリオレフィン系樹脂(A)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度に対するオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の温度170℃、剪断速度100/secにおける溶融粘度の比(ηb/ηa)は、0.4~1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5~1.3である。
該比(ηb/ηa)が前記範囲内であれば、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)との混錬性が向上し、発泡ブロー成形体を形成した際にオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の連続相を形成することがより容易となる。
溶融粘度の測定は、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)について、オリフィス径1mm、オリフィス長10mm、温度170℃、剪断速度100/secの条件にて行われる。測定装置は、例えば株式会社東洋精機製作所のキャピログラフ1Dなどを使用することができる。
本発明の発泡ブロー成形体をダクト等の自動車部材として使用する場合、前記混合樹脂が黒色顔料を含み、該発泡ブロー成形体が黒色であることが好ましい。その場合、少量で濃い色調が得られることから、黒色顔料は着色用のカーボンブラックであることが好ましい。該カーボンブラックとしては、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
該混合樹脂のカーボンブラックの含有量は、該ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して0.1重量部以上2重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.3重量部以上1重量部以下である。
なお、発泡ブロー成形体を製造する際に、カーボンブラックを含む回収原料を原料の一部として用いる場合、該混合樹脂のカーボンブラックの総含有量は回収原料中のカーボンブラックを含む値である。
本発明においては、発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂中で、該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成していることを要する。該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成していることにより、耐寒衝撃性と表面平滑性に優れる発泡ブロー成形体となる。
ここで、発泡ブロー成形体を構成している樹脂中でオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成しているとは、発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真上において、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が該気泡の長手方向(気泡の厚み方向と直交する方向)に沿って線状または帯状に存在する相をなしていることをいう。このような連続相が形成されていることにより、気泡膜にかかる寒冷時の衝撃に対する抵抗性を向上させるとともに、発泡ブロー成形体の表面平滑性を向上させることができる。なお、発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真は、気泡を構成する長手方向の気泡膜と厚み方向の気泡膜が交わる部分を撮影した写真である。
該連続相の長さは概ね5μm以上であることが好ましい。さらに、該連続相においては、気泡膜厚み方向の長さ(短手方向長さ)Dに対する、気泡膜方向の長さ(長手方向長さ)Lの比(L/D)が概ね10以上である相の割合が50%以上であることが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とは非相溶であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂(A)は連続相であっても分散相であってもよいが、発泡成形性を向上させるためには、ポリオレフィン系樹脂(A)も、該断面写真上において連続相を形成していることが好ましい。
該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が該混合樹脂中で、連続相を形成していると耐寒衝撃性が向上する理由としては、気泡膜の長手方向に連続して形成された連続相が衝撃を吸収すると共に、気泡膜内で該連続相が層状に形成されていることによって、衝撃により発生した亀裂の拡大が防止されることが挙げられる。
該発泡ブロー成形体の見掛け密度は100~450kg/mである。該見掛け密度が小さすぎると、軽量性には優れるものの、機械的強度が低下して発泡ブロー成形体が衝撃により破壊されやすくなり、結果として該発泡ブロー成形体の耐衝撃性、さらに耐寒衝撃性が低下するおそれがある。該見掛け密度が大きすぎると、発泡ブロー成形体の軽量性が失われるおそれがある。かかる理由により、該見掛け密度は、120kg/m以上400kg/mであることが好ましく、より好ましくは130kg/m以上350kg/m以下、更に好ましくは150kg/m以上250kg/m以下である。
本発明において、発泡ブロー成形体の見掛け密度(D)[g/cm]は、次のようにして求められる。
発泡ブロー成形体の長手方向中央部および長手方向両端部付近の計3箇所の長手方向に対する垂直断面に対して、各垂直断面の周方向の平坦部分において等間隔な4箇所を選択し、平面視の面積約10cmの試験片を切り出す。そして、各試験片について、その重量Wi[g]を体積Vi[cm]で除し、単位換算することにより各試験片の見掛け密度(Wi/Vi)を求め、それらの値の算術平均値を見掛け密度(D)とする。
なお、各試験片の体積Vi[cm]は、試験片の外形寸法の測定や試験片を水没させることなどによっても求めることができる。
本発明の発泡ブロー成形体の平均厚みは、目的とする発泡ブロー成形体の形状により異なるが、通常好ましくは1mm以上5mm以下であり、より好ましくは1.2mm以上4mm以下、さらに好ましくは1.4mm以上3mm以下、特に好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である。平均厚みがこの範囲内であれば、軽量性と耐衝撃性とのバランスに優れる発泡ブロー成形体となる。
該発泡ブロー成形体の該見掛け密度(kg/m)と該平均厚み(mm)との積は350~700kg・mm/mであることが好ましい。該積が前記範囲内であれば、発泡ブロー成形体の単位面積当たりの樹脂量と耐衝撃性とのバランスが優れる成形体となり、軽量な発泡ブロー成形体であっても耐衝撃性が効果的に発現する。かかる観点から、該見掛け密度(kg/m)と該発泡ブロー成形体の平均厚み(mm)との積の上限は、より好ましくは600kg・mm/mであり、さらに好ましくは500kg・mm/mである。一方、その下限は、より好ましくは400kg・mm/mである。
該発泡ブロー成形体の独立気泡率は70%以上であることを要する。
該独立気泡率が、70%未満であると、該発泡ブロー成形体の表面平滑性が低下するおそれがある。かかる理由により、該独立気泡率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。
本明細書において、独立気泡率の測定は次のように行う。
得られた発泡ブロー成形体から試験片を切り出し、ASTM D2856-70(1976年再認定)の(手順C)によりVxを測定し、次式により算出する。なお、気泡の潰れた部分は測定の対象から除くこととする。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)
Vx;試験片の真の体積(独立気泡部分の体積と樹脂組成物の体積との和)(cm
Va;試験片の外形寸法から求められる試験片の見掛けの体積(独立気泡部分の体積と連続気泡部分の体積と樹脂組成物の体積との和)(cm
W;試験片の重量(g)
ρ;試験片を構成する樹脂組成物の密度(g/cm
なお、該樹脂組成物は、試験片を熱プレスするなどして気泡を除くことにより得ることができる。
測定装置として、例えば、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計(型式:930型)を用いることができる。
独立気泡率の測定に用いる試料は、前述した発泡ブロー成形体の見掛け密度の測定に用いた試料と同様の採取方法で各測定試料を採取することが好ましい。該試料を用い、前記測定方法に従って独立気泡率を測定し、それらの算術平均値を発泡ブロー成形体の独立気泡率とする。
本発明の発泡ブロー成形体は、耐寒衝撃性に優れるものである。
具体的には、-10℃雰囲気下でのシャルピー衝撃強度の平均衝撃値は、1.0kJ/m以上であることが好ましく、1.5kJ/m以上であることがより好ましく、さらには好ましくは2.0kJ/m以上である。その上限は、測定試料が測定後に非破壊状態である場合の測定値が好ましく、概ね10kJ/mである。
-20℃雰囲気下でのシャルピー衝撃強度の値は、0.5kJ/m以上であることが好ましい。かかる理由により、1.0kJ/m以上であることがより好ましく、さらには好ましくは1.5kJ/m以上である。その上限は、発泡ブロー成形体が測定後に非破壊状態である場合の測定値が好ましく概ね9kJ/mである。
本明細書において、シャルピ―衝撃値は、JIS K7111-1:2012に基づいて測定される。
次に、本発明の発泡ブロー成形体の製造方法の一例を、図面を用いて説明する。まず、図4に示すように、押出機(図示せず)内で、ポリオレフィン系樹脂(A)及びオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)からなる混合樹脂、黒色顔料及び物理発泡剤を混練して得られる発泡性溶融樹脂をダイ2から、ダイ直下に位置する所望形状の分割形式の成形型3、3間に押出して、発泡パリソン1を形成する(押出発泡工程)。次に、軟化状態にある発泡パリソン1の下部をピンチ(図示せず)により閉鎖し、発泡パリソン内に気体を吹き込み、内部の圧力を高めて発泡パリソンを拡幅させる(プリブロー工程)。プリブロー工程後又はプリブロー工程を行いながら、成形型3、3を閉じることにより発泡パリソン1を成形型で挟み込む(型締め工程)。成形型3で挟み込まれた発泡パリソン1の中空部に気体を吹き込んで、発泡パリソン1の外面を成形型の内面に押し付けて中空状に賦形する(ブロー成形工程)。冷却後、成形型からバリ付きの発泡ブロー成形体を取り出し、バリを取り除くことにより中空状の発泡ブロー成形体が得られる。なお、バリや発泡ブロー成形体の成形不良品などの廃物は回収され(原料回収工程)、回収原料として再利用される。
なお、図4には、筒状の発泡パリソンを図示したが、シート状の発泡パリソンであってもよい。
なお、本発明における発泡ブロー成形体の製造方法においては、押出機とダイ3との間に、またはダイ内にアキュムレーターを配置することが好ましい。
該発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の脂肪族エーテル、メチルアルコール、エチルアルコール等の脂肪族アルコール、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートなどの有機系物理発泡剤、二酸化炭素、窒素、空気、水等の無機系物理発泡剤、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド等の化学発泡剤が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で又は混合して用いられる。
前記無機系物理発泡剤を用いて発泡パリソン1を形成すると、発泡が早期に完了し、該発泡剤が樹脂中に殆ど或いは全く残存しなくなることにより樹脂が可塑化されることがなく、ドローダウンが防止される。その結果、有機系物理発泡剤を使用して得られたものと比較すると、ブロー成形性に優れた発泡パリソンが得られる。
この観点から、前記した発泡剤の中でも無機系物理発泡剤を用いることが好ましく、二酸化炭素を含む無機系物理発泡剤を用いることがより好ましく、二酸化炭素のみからなる物理発泡剤を用いることがさらに好ましい。
本発明において、物理発泡剤として二酸化炭素を含む発泡剤を使用する場合、二酸化炭素を物理発泡剤100モル%に対して20~100モル%配合することが好ましく、50~100モル%配合することがより好ましく、70~100モル%配合することがさらに好ましい。二酸化炭素の含有量が前記範囲内であると、気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い発泡ブロー成形体を容易に得ることができる。
該物理発泡剤の添加量は、混合樹脂1kg当り0.05~0.8モルであることが好ましく、0.1~0.5モルであることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例において、発泡ブロー成形体の製造に用いた樹脂、エラストマー、黒色顔料、タルクを次に示す。
ポリオレフィン系樹脂(A)
(1)略称「WB140」:Borealis社製「分岐状ホモポリプロピレン「Daploy WB140HMS」」
各ポリオレフィン系樹脂(A)の各種物性を表1に示す。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)
(1)略称「V6202」:エクソンモービルケミカル株式会社製:オレフィン系熱可塑性エラストマー「ビスタマックス6202」
(2)略称「V6102」:エクソンモービルケミカル株式会社製:オレフィン系熱可塑性エラストマー「ビスタマックス6102」
(3)略称「IN9530」:ダウ・ケミカル日本株式会社製「インフューズ9530」
(4)略称「IN9507」:ダウ・ケミカル日本株式会社製「インフューズ9507」
(5)「TDF8200」:三井化学株式会社製「タフマーDF8200」
(6)「TDF640」:三井化学株式会社製「タフマーDF640」
(7)「TDF605」:三井化学株式会社製「タフマーDF605」
(9)「CQ100F」:Basell株式会社製「キャタロイQ100F」
各オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の各種物性を表1に示す。
Figure 2022115508000001
スチレン系熱可塑性樹脂エラストマー
(1)略称「H1062」:旭化成株式会社製「水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)」商品名「タフテックH1062」(密度890kg/m、溶融粘度(170℃、100sec-1:3240Pa・s)
カーボンブラック(CB)マスターバッチ
略称「MB1」:カーボンブラック含有マスターバッチ:商品名「PP Black Master Batch,BT920F-JSJ」(B&Tech Corporation製、CB濃度45重量%)
気泡調整剤
タルクマスターバッチ:商品名「ハイフィラー#12」(松村産業製、タルク濃度20重量%、メジアン径7.5μm)
実施例1~8、比較例1~10
表2、表3に示す種類、配合量のポリオレフィン系樹脂(A)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、カーボンブラックマスターバッチ及びタルクマスターバッチを口径65mmの押出機に供給し、押出機内にて溶融混練して溶融樹脂とし、押出機の途中から二酸化炭素(CO)をポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の混合樹脂1kg当たり表2、表3に示す量(mol/kg)となるように圧入し、さらに混練して発泡性溶融樹脂とした。該発泡性溶融樹脂を押出機に連結したアキュームレータに充填した。発泡温度170℃にて、アキュームレータの先端に配置した環状ダイより発泡性溶融樹脂を常圧域に押出し発泡させて円筒状の発泡パリソンを形成した。ダイ直下に配置した2分割式の金型間に発泡パリソンを配置し、発泡パリソンの開口部をピンチした後、発泡パリソン内にプリブローエアを吹き込みながら、該2分割式の金型を閉じて金型で発泡パリソンを挟み込んだ。挟み込まれた発泡パリソンの内部にブローピンからブローエアを吹き込むこと、及び金型に設けた孔より吸引して発泡パリソン外面と金型内面との間の空間を減圧することにより、発泡パリソンの外面を金型内面に押し付けて、発泡パリソンに金型内面の形状を賦形した。冷却後、金型を開き成形体を取り出し、バリ及びポケット部を取り除いて、最大長さ650mm、最大幅180mmの、ダクト形状の中空状発泡ブロー成形体を得た。実施例、比較例において得られた発泡ブロー成形体の物性、評価を表4、表5に示す。
Figure 2022115508000002
Figure 2022115508000003
Figure 2022115508000004
Figure 2022115508000005
実施例9、10
実施例3、実施例5で得られた発泡ブロー成形体を用いて、回収原料1、回収原料2を作製した。
回収原料
(1) 回収原料1
実施例3で得られた発泡ブロー成形体を粉砕し、得られた粉砕物を230℃に設定した押出機にて混錬して溶融樹脂とし、この溶融物を押出してペレット化して回収原料1を得た。
(2)回収原料2
実施例5で得られた発泡ブロー成形体を粉砕し、得られた粉砕物を230℃に設定した押出機にて混錬して溶融樹脂とし、この溶融物を押出してペレット化して回収原料2を得た。
回収原料1、回収原料2の樹脂成分組成を表6に示す。
Figure 2022115508000006
実施例9
表6に示す種類、配合量の回収原料80重量%と、新原料20重量%(該混合樹脂中のポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比A:B=50:50)とを口径65mmの押出機に供給した。なお、新原料は、実施例3と同様の配合割合となるように、ポリオレフィン系樹脂(A)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、カーボンブラックマスターバッチ及び気泡調整剤をそれぞれ配合したものである。したがって、発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂における、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比は、50:50となる。次に押出機内にて溶融混練し、押出機の途中から二酸化炭素(CO)を発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂1kg当たり0.21molとなるように圧入し、さらに混練して発泡性溶融樹脂とした。該発泡性溶融樹脂を押出機に連結したアキュームレータに充填した。次に、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得た。得られた発泡ブロー成形体の物性、評価を表7に示す。
実施例10
表6に示す種類、配合量の回収原料80重量%と、新原料20重量%(ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比A:B=70:30重量部)とを口径65mmの押出機に供給した。なお、新原料は、実施例5と同様の配合割合となるように、ポリオレフィン系樹脂(A)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、カーボンブラックマスターバッチ及び気泡調整剤をそれぞれ配合したものである。したがって、発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂における、ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比は、70:30となる。次に押出機内にて溶融混練し、押出機の途中から二酸化炭素(CO)を発泡ブロー成形体を構成する混合樹脂1kg当たり0.20molとなるように圧入し、さらに混練して発泡性溶融樹脂とした。それ以外は、実施例9と同様にして発泡ブロー成形体を製造した。得られた発泡ブロー成形体の物性、評価を表7に示す。
Figure 2022115508000007
実施例1で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真(倍率10000倍)を図1に示す。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に由来する、黒色に観察される連続相が形成されていることが確認される。
実施例5で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真(倍率10000倍)を図2に示す。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に由来する、黒色に観測される連続相が形成されていることが確認される。
比較例4で得られた発泡ブロー成形体の気泡膜断面写真(倍率10000倍)を図3に示す。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に由来する、黒色に観測される粒子状部分が分散していることが確認される。
比較例1は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を配合しなかった例である。得られた発泡ブロー成形体は、耐寒衝撃性に劣るものであった。
比較例2は、実施例3に対し、ポリオレフィン系樹脂(A)の配合量を少なくした例である。得られた発泡ブロー成形体は、耐寒衝撃性には優れるものの、表面平滑性に劣るものであった。
比較例3は、実施例6に対し、更にポリオレフィン系樹脂(A)の配合量を少なくした例である。得られた発泡ブロー成形体は、耐寒衝撃性には優れるものの、表面平滑性に劣るものであった。
比較例4、5は、実施例1に対し、オレフィンブロック共重合体の代りにゴム成分がPP殻中に微分散したリアクター型オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた例である。得られた発泡ブロー成形体は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に由来する連続相を形成しておらず、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に由来する成分が分散相を形成し、独立気泡率が低く、表面平滑性に劣るものであった。
比較例6、7、8は、実施例1に対し、オレフィンブロック共重合体の代りに、夫々異なる種類のオレフィンランダム共重合体を用いた例である。得られた発泡ブロー成形体は、独立気泡率が低く、表面平滑性に劣るものであった。
比較例9は、実施例3に対し、オレフィンブロック共重合体の代りに、比較例8と同じオレフィンランダム共重合体を用いた例である。得られた発泡ブロー成形体は、オレフィンランダム共重合体が連続相を形成するものの、独立気泡率が低く、表面平滑性に劣るものであった。
比較例10は、実施例2に対し、オレフィンブロック共重合体の代りに、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを用いた例である。得られた発泡ブロー成形体は、オレフィン系熱可塑性エラストマーが配合されていないことから独立気泡率が低く、表面平滑性に劣るものであった。
表中の各物性は、次のように測定した。
(見掛け密度、厚み)
見掛け密度は、以下の方法により測定した。
発泡ブロー成形体の長手方向中央部および長手方向両端部付近の計3箇所の長手方向に対する垂直断面に対して、各垂直断面の周方向の平坦部分において等間隔な4箇所を選択し、平面視の面積約10cmの試験片を切り出し、そして、各試験片について、その重量Wi[g]を体積Vi[cm]で除し、単位換算することにより各試験片の見掛け密度(Wi/Vi)を求め、それらの値の算術平均値を見掛け密度(D)とした。
なお、厚みは、前述の見掛け密度を測定した試料を用いて、各試料の厚みをそれぞれ測定し、得られた測定値の算術平均値として求めた。見掛け密度、厚みの測定数は、12であるが、最大値と最小値を除く10箇所の測定値の算術平均値を発泡ブロー成形体の見掛け密度、厚みとした。
(独立気泡率)
独立気泡率は、前記の方法により測定した。
(耐寒衝撃性(-10℃シャルピー衝撃強さ))
円筒のダクト形状の発泡ブロー成形体の平らな面10か所から、長さ80mm×幅10mm×厚み(発泡ブロー成形体の厚み)、の試験片10個をそれぞれ切り出した。該試験片を-10℃の雰囲気下、24時間載置して試験片の状態調節を行った。状態調節を行った試験片(ノッチあり)を用いて、-10℃雰囲気下で、JIS K7111-1:2012に基づき、エッジワイズ衝撃によりサンプルの側面が打撃面となるようにして試験片のシャルピー衝撃強度を測定し、測定値の算術平均値をシャルピー衝撃強度とした。
シャルピー衝撃強度の個々の測定値には、完全破壊した場合(complete break)、部分破壊した場合(partial break)、破壊した場合(non-break)が含まれる。
(耐寒衝撃性(-20℃シャルピー衝撃強さ))
前記試験片を-20℃の雰囲気下、24時間載置して試験片の状態調節を行った以外は、「-10℃シャルピー衝撃強さ」と同様に測定した。
表中、C、H、P、Nの記号は次の意味で用いられる。
C:完全破壊(complete break) 試験片が二つ以上の破片に破壊するもの (ヒンジ破壊を含む)
P:部分破壊(partial break) ヒンジ破壊の定義に合わない、不完全破壊であるもの
N:未破壊(non- break) 試験片が試験片支持台上で曲がるだけで、破壊しないもの。
なお、表中、個々の測定結果は、以下のように記載した。表中、最も頻繁に起きた破壊形式(C、P、N)を選択し、その破壊形式における衝撃強さの平均を平均衝撃値として上欄に、下欄にその破壊形式(C、P、N)を記載した。
例えば、表中、実施例1の-10℃についての記載は、10サンプルで完全破壊Cが起き(最も頻繁に起きた破壊形式数10)、その衝撃値の平均が1.4kJ/mであることを意味する。実施例2の記載は、6サンプルで完全破壊Cが起き(最も頻繁に起きた破壊形式数6)、その衝撃値の平均が2.2kJ/mであること意味する。
なお、2番目に大きい破壊形式の発生頻度が1/3(3.3/10)より大きい場合、最も頻繁に起きた破壊形式を記載し、さらに2番目に多く起きた破壊形式を括弧を付けて追記した。具体的には、実施例2の-10℃のシャルピー衝撃値の測定では、2番目に多く起きた破壊形式の発生頻度が4/10であり3.3/10よりも大きいので、最も頻繁に起きた破壊形式としてCを記載し、2番目の破壊形式を(P)として記載した
(-10℃落球試験(1.5m、1kg))
ダクト形状の発泡ブロー成形体を-10℃の雰囲気下、24時間載置して状態調節を行った。状態調節を行った発泡ブロー成形体を、平らな部分を上に向けて試験台に載置し、1.5m上方から、1kgの鉄球を平らな部分に向けて落下させ、発泡ブロー成形体の損傷を観察した。落球が衝突した平らな部分が撓み、平らな部分以外に力がかかって発泡ブロー成形体が損傷した場合には、再度落球試験を行った。
個々の落球試験について、次の基準で耐寒衝撃性を評価した。
◎:割れない
〇:割れるが破片が飛び散らない
×:割れて破片が飛び散る
(-10℃落球試験(1.5m、0.5kg))
0.5kgの鉄球)を用いた以外、「-10℃落球試験(1.5m、1kg)」と同様に、落球試験を行い、同様の基準で評価した。
オレフィン系エラストマー(B)の気泡壁断面における分散状態
(気泡膜断面写真の撮影)
図1~3は、以下の方法で撮影された、円筒状のブロー成形体の長手方向(図4における矢印の押出方向)に沿って切断した断面の気泡膜の断面写真であり、気泡を構成する長手方向の気泡膜と厚み方向の気泡膜が交わる部分を撮影した写真である。
なお 、気泡の厚み方向は発泡ブロー成形体の厚み方向と一致し、気泡の長手方向は発泡ブロー成形体が押出された方向と一致する。
気泡膜の断面写真の測定は、具体的には次のように行った。
得られた発泡ブロー成形体の一部切り出し、切り出したサンプルをエポキシ樹脂中に入れ包埋させた。包埋後、ガラスナイフで厚み方向に垂直な面を切り出し、ダイヤモンドナイフで断面から厚さ約0.1μmの発泡体の超薄型切片を切り出した。切り出したサンプルをCuメッシュに載せた状態で2%OsO水溶液数mlと共にシャーレ内に入れ室温で密封し、OsO蒸気に暴露させ、染色を30分間行った。
次にサンプルをNaClO水溶液数mlと小スパチュラ1杯分のRuCl結晶を使用直前に混合した液と共にシャーレ内に入れ室温で密封し、発生するRuO蒸気に暴露させて30分間染色した。染色された発泡板の超薄型切片を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製透過電子顕微鏡「JEM-1010」)を用いて、加速電圧100kV、倍率10000倍の条件で撮影した。なお、上記写真は、発泡ブロー成形体を周方向に対して垂直に切断した断面の写真であり、写真の上下方向が発泡ブロー成形体の厚み方向、写真の左から右に向かう方向が押出方向である。また、写真の上側が発泡ブロー成形体の外面側、写真の下側が発泡ブロー成形体の内面側である。
(内側の表面平滑性)
ダクト形状の発泡ブロー成形体の平坦部分を切り出して、その平坦部分における発泡ブロー成形体の内側面の表面平滑性を目視により観察して、次の基準で評価した。
〇:隣接する凹凸の山谷部分の高さ(又は深さ)が1mm以上である凹凸が、100cm当たり1個以下である
×:隣接する凹凸の山谷部分の高さ(又は深さ)が1mm以上である凹凸が、100cm当たり2個以上存在する
1 発泡パリソン
2 ダイ
3 分割形式の成形型

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とからなる混合樹脂により構成される発泡ブロー成形体であり、
    該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が、オレフィンブロック共重合体であり、
    該ポリオレフィン系樹脂(A)と該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)との重量比(A:B)が80:20~40:60であり、
    該発泡ブロー成形体を構成する該混合樹脂中で、該オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)が連続相を形成しており、
    該発泡ブロー成形体の見掛け密度が100kg/m以上450kg/m以下であり、
    該発泡ブロー成形体の独立気泡率が70%以上である、発泡ブロー成形体。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)の融点(Ta)が110℃以上170℃以下であり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の融点(Tb)が50℃以上130℃以下であり、該融点(Ta)と該融点(Tb)との融点差(Ta-Tb)が0℃以上80℃以下である、請求項1に記載の発泡ブロー成形体。
  3. 前記混合樹脂がカーボンブラックを含み、該カーボンブラックの含有量が前記ポリオレフィン系樹脂(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して0.1~2重量部である、請求項1又は2に記載の発泡ブロー成形体。




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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024019042A1 (ja) * 2022-07-19 2024-01-25 株式会社ジェイエスピー 発泡ブロー成形体の製造方法、及び発泡ブロー成形体

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