JP2005299734A - 樹脂製配管部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外での使用において耐候性に優れ、防汚性に富み長期使用を可能にした樹脂製配管部材を提供する。
【解決手段】樹脂製配管部材1を、硬質ポリ塩化ビニル製の母材2の外表面に内側から順に少なくとも紫外線遮蔽層5、中間層6および光触媒層7を形成し、紫外線遮蔽層5を紫外線吸収剤及び/または紫外線散乱剤を含む樹脂、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有するアクリル系粘着剤を含有したポリエチレンテレフタレートから形成し、この中間層6を無機系材質、例えば、有機高分子化合物であるアクリル系ポリマーと金属酸化物系化合物である酸化チタンとが化学的に結合した複合体で形成すると共に、光触媒層7を、アナターゼ型酸化チタンを含有する無機系バインダーから形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、化学工場、上下水道、農・水産業などの配管ラインに好適に使用される樹脂製配管部材に関するものであり、特に、屋外での使用において耐候性に優れ、防汚性に富むことから長期使用を可能にした樹脂製配管部材に関するものである。
従来、樹脂製配管部材は、屋外に設置される配管ラインによく使用される。しかしながら、屋外での使用は特に太陽光の紫外線による樹脂の劣化(以下紫外線劣化と呼ぶ)によって、変色(白化)や樹脂の物性低下が引き起こされる問題があった。そのため、樹脂製配管部材は、直射日光にさらされる環境下での使用において、紫外線劣化による破損の恐れがあることから長期使用できないという問題があった。また、配管部材の汚れに対しては積極的に対策がとられておらず、メンテナンスの際に製造日や材質を示す印字が見えなくなるという問題があった。
このうち紫外線劣化の対策として、樹脂に紫外線吸収剤などの添加剤を含ませ、紫外線劣化を抑える対策が行われてきた。しかし、配管部材に流れる流体中へ添加剤が溶出するという問題や、前記添加剤を加えることにより強度や弾性率等の樹脂製配管部材が本来保持しなければならない物性が低下してしまうという問題があることから、加えられる紫外線吸収剤の含有量には限度があり、紫外線劣化の防止には十分とはいえなかった。また、この他にも樹脂製配管部材をアルミ等の金属にて被覆する方法も考えられるが、樹脂と金属の膨張率の違いや接着性に問題があること、内部の樹脂製配管部材が見えないため、配管部材に使用されている樹脂の材質が分からないという問題があった。
一方、汚れの対策として、近年、防汚性を有する光触媒を被覆することが提案されている。光触媒の作用としては大きく分けて2つの作用がある。第一の作用は、太陽光、電灯、または蛍光灯からの光などに含まれる紫外線が酸化チタン等の光触媒に吸収され、活性の高いOHラジカル、Oラジカル、Oが生じ、これらが被酸化性化合物を酸化分解する作用で、この作用を利用することによって例えば、脱臭、NOx、SOx等の汚染気体除去、抗菌、藻類の発生防止等に基づく防汚、付着油の分解などの効果を得ることができる。第二の作用は、光触媒被覆製品の表面が酸化分解に応じて親水化され、繰り返し恒久的に親水表面を維持することができる作用(例えば、特許文献1参照)である。この現象は酸化チタン等の光触媒の結晶表面に酸素欠陥を生じるような構造変化を伴っており、その欠陥に水酸基が配位し、吸着水が形成され高度に親水化されるものであり、上記酸化分解作用のメカニズムとは、異なるものと考えられている。このように製品表面が親水化されると、透明性を有する製品の防曇や視界確保、可視性を向上することができ、また降雨により製品表面をセルフクリーニングすることもできる。
このような光触媒技術の応用として、例えば建材、建設物の外壁・内壁、窓ガラス、乗り物等の外装・内装、道路標識、洗面台、流し等の提案がなされており、主に金属、セラミックス、ガラス、コンクリートへの応用がなされている。
また、光触媒技術の樹脂製配管部材への応用としては、図3に示す様な住宅用の酸化チタン光触媒被覆配管が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法は合成樹脂からなる内層管8と弾性合成樹脂からなる外層管9より構成されるパイプにおいて、前記外層管9の外表面に酸化チタン光触媒層10を被覆するものであり、遮音性を有すると共に最外層の汚れを防止し、キズの発生を防ぎ、耐候性に優れるパイプを提供するものであった。
特許第2756474号公報 特開2003−247670公報
しかしながら、前記合成樹脂からなるパイプ表面に光触媒を直接被覆した場合、光触媒による酸化分解作用によってパイプ自体が酸化劣化を受けてしまい、長期使用すると酸化劣化により強度が低下し、パイプが破損する恐れがあった。
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、屋外での使用において耐候性に優れ、防汚性に富むことから長期使用を可能にした樹脂製配管部材を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の樹脂製配管部材の構成を図1、図2に基づいて説明すると、本発明の樹脂製配管部材1は母材2の外表面に内側から順に少なくとも紫外線遮蔽層5、中間層6および光触媒層7が形成された樹脂製配管部材1であって、紫外線遮蔽層5が紫外線吸収剤及び/または紫外線散乱剤を含む樹脂から形成され、また、中間層6が無機系材質を必須成分として形成されていることを第一の特徴とする。また、母材2の外表面に、内側から順に、粘着層4、紫外線遮蔽層5、中間層6および光触媒層7から形成されるフィルム3を被覆してなることを第二の特徴とする。また、母材2のJIS B0601による外表面の表面粗さ(Rz)が10μm以下であることを第三の特徴とする。また、母材2のJIS K7171による曲げ弾性率が500MPa以上であることを第四の特徴とする。また、母材2の線膨張係数が1.3×10−4/℃以下であることを第五の特徴とする。また、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材2のJIS K7113による引張り伸び率の保持率が90%以上で、且つJIS K7110によるノッチ付きアイゾット衝撃値の保持率が70%以上であることを第六の特徴とする。
本発明において光触媒層7とは、紫外線が照射されるとその紫外線を吸収することで活性化し、その表面が高度に親水化することで、水に非常に濡れ易くなり、塵埃等の汚れが付き難い性質を持っており、且つ、汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流される特徴を有する層のことである。光触媒としては、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また、光触媒層はその他に紫外線照射によらず常にその表面が親水化しているものでもよく、例えば一般式R Si(OR4−n〔n=0〜3の整数、R、Rは一価の炭化水素基〕で表されるオルガノシランの加水分解縮重合物において、そのSiの側鎖にOH基を含有させて極度に親水性を高めたシラノール基含有シリコーンレジン等が挙げられる。
また、本発明において中間層6とは、光触媒層7の酸化分解作用から母材2や樹脂を含む紫外線遮蔽層5の劣化を防止するために光触媒層7の内側に形成されるもので、光触媒層7が酸化分解作用を示さない場合であっても、無機成分からなる光触媒層7と有機成分からなる紫外線遮蔽層5との接着性を向上させる点から設けられるものである。この様な中間層6としては無機系材質を必須成分とし、光触媒層7と紫外線遮蔽層5の接着性を向上させるものであれば、特に限定されるものではなく、例えばシリカ、アルミナ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム等の無機系材質からなる真空堆積膜、又はこれらの無機系材質からなるアルコキシド化合物等を主成分とする塗布膜、シランカップリング剤等が挙げられる。また、光触媒層7と紫外線遮蔽層5との接着性を向上させるものとしては有機−無機複合傾斜膜等が好ましい。これは有機高分子化合物と金属酸化物系化合物が化学結合した複合体で、金属成分の含有率が膜の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、光触媒層に接触する面の金属成分の含有率が100%に、また、紫外線遮蔽層に接する面の有機高分子化合物成分の含有率が100%になるように形成されているので、特に光触媒層7と紫外線遮蔽層5の接着性を向上させることができる。
また、本発明において紫外線遮蔽層5とは、紫外線吸収剤及び/または紫外線散乱剤を含有する樹脂から形成され、紫外線遮蔽効果を発揮するものであり、太陽光等からの紫外線が光触媒層によって十分吸収されない場合でも、透過してきた紫外線を吸収または散乱することにより遮蔽し、母材2の紫外線劣化を防ぐ点から設けられるものである。紫外線吸収剤としては、高エネルギーを持つ紫外線を吸収し、低エネルギーに転換してラジカルの発生を抑え、樹脂の劣化を防止するものであって、一般にサリシレート系樹脂、ベンゾフェノン系樹脂、ベンゾトリアゾール系樹脂、置換アクリロニトリル系樹脂等が挙げられる。紫外線散乱剤としては、紫外線を散乱させることによって紫外線遮蔽効果をもたらすものであり、主に金属酸化物粉末などの無機材料が挙げられる。紫外線吸収剤及び/または紫外線散乱剤を含ませる樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリスチレンやABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。尚、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤は単独使用または両者を併用しても構わない。
また、本発明において母材2の外表面に上記各層を形成する方法は、例えば上記各層が形成されたフィルム3を被覆する方法や、スプレーコーティング等の湿式塗布法で設ける方法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空製膜法等が挙げられる。特にフィルム3を被覆することで、各層が均質で欠陥なく形成できることや母材2の製造工程が簡略化されると共に、配管部材を設置した後でもフィルム3を必要に応じて被覆するなど作業の自由度が上がることから、フィルム3を被覆する方法が好適である。
また、本発明において粘着層4とは、フィルム3の一方の面に形成されており、母材2とフィルム3とを接着させて被覆するために設けられた層で、粘着作用があるものであれば特に限定されるものではない。粘着層4としては一般に使用されるアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系粘着剤等を使用することができ、好ましくは紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を含有させることによって耐候性を向上させたものを使用することが好適である。
本発明の母材2のJIS B0601による外表面の表面粗さ(Rz)は10μm以下にする必要があり、0.1〜5μmの範囲にすることがより好ましい。母材2の外表面にフィルム3を被覆する場合、粘着層4の変形によって母材2の外表面の凹凸への追従を可能にさせ、接着面積を十分に確保させ、且つ、粘着層4が母材2の外表面の隙間に入り込む際に空気抜けがしやすく、空隙の発生等による接着不良が起こりにくくするために表面粗さは10μm以下にする必要がある。
また、母材2の曲げ弾性率は500MPa以上であることが必要であり、900MPa〜20GPaの範囲であることがより好ましい。母材2の外表面にフィルム3を被覆する場合、運搬や施工を行う場合に曲がりにくくさせ、長期使用をする場合にも変形や撓みを生じにくくさせることで、被覆したフィルム3の追従を容易にし、剥がれにくくさせるために、母材2の曲げ弾性率は500MPa以上であることが必要である。さらに、屋外で40℃を越す雰囲気中での使用も想定され、気温が高くなることによる曲げ弾性率の低下を考慮すると、母材2の曲げ弾性率は900MPa以上であることが必要であり、母材2の曲げ弾性率が高くなりすぎると樹脂は脆くなる傾向があるため、配管部材として好適に使用するためには母材2の曲げ弾性率は20GPa以下であることが好ましい。
また、母材2の線膨張係数は1.3×10−4/℃以下であることが必要であり、さらに0.1×10−4/℃〜1.3×10−4/℃の範囲であることがより好ましい。母材2の外表面にフィルム3を被覆した場合、直射日光にさらされる環境下や高温の水が内部を流れる環境下において、母材2の熱による膨張、収縮に伴った寸法変化を小さくさせ、これによって被覆したフィルム3の追従を容易にし、剥がれにくくさせるために、母材2の線膨張係数は1.3×10−4/℃以下であることが必要である。また、母材2の線膨張係数が低くなりすぎると被覆したフィルム3が母材2と比較して熱による寸法変化が大きくなり、フィルム3の延伸の差が生じるため、母材2の線膨張係数は0.1×10−4/℃以上であることが好ましい。
さらに、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材2のJIS K7113による引張り伸び率の保持率が90%以上で、且つJIS K7110によるノッチ付きアイゾット衝撃値の保持率が70%以上であることが好ましい。屋外での使用において母材2の紫外線劣化が起きやすく、配管の性能上特に樹脂の脆化による破損の恐れがあるため、脆化の程度を示す物性値として引張り伸び率の保持率が90%以上、アイゾット衝撃値の保持率が70%以上にする必要がある。
母材2に使用される原料としては、管、管継手、バルブおよびバルブ駆動部材等の配管部材に好適に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ホモ型ポリプロピレン、ランダム共重合型ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン系含有樹脂、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、これらの樹脂の成形性、熱安定性、耐候性を向上させるため、例えば、安定剤、加工補助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、充填剤、難燃剤、顔料、染料等を配合したものでもよい。
本発明は、以上説明した構造になっているので、以下の様な優れた効果が得られる。
(1)光触媒層と母材の間に中間層を設けることにより、母材に対する光触媒の酸化劣化作用を抑制させ、且つ、光触媒層及び紫外線吸収層での紫外線を遮蔽させることにより紫外線劣化を抑えることができるため、従来よりも40%〜80%長く耐候性を保持することができる。
(2)光触媒層を設けることにより光触媒の酸化分解作用または親水化作用によって、長期間に亘って防汚性を保持することができる。
(3)母材に内側から順に粘着層、紫外線遮蔽層、中間層および光触媒層から形成されるフィルムを被覆することによって、各層が欠陥なく均質に形成できると共に、製造工程が簡略化でき、配管部材を設置した後でも必要に応じてフィルムを被覆することで容易に耐候性、防汚性の効果を得ることができる。
(4)母材の外表面の表面粗さ(Rz)を10μm以下にすることにより、被覆するフィルムと母材の接着性を向上させ、長期間に亘ってフィルムが剥がれない様にすることができる。
(5)母材の曲げ弾性率が500MPa以上であると、母材の変形に対して被覆されたフィルムが追従しやすく、長期間に亘ってフィルムが剥がれない様にすることができる。
(6)母材の線膨張係数が1.3×10−4以下であると、母材の熱による膨張に対して被覆されたフィルムが追従しやすく、長期間に亘ってフィルムが剥がれない様にすることができる。
(7)キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材のJIS K7113による引張り伸び率の保持率が90%以上で、且つJIS K7110によるノッチ付きアイゾット衝撃値の保持率が70%以上であると、屋外における長期使用の際に母材の樹脂の脆化を抑えることができる。
次に、本発明の実施例について、図1及び図2を用いてさらに詳細に説明するが、本発明が本実施例になんら限定されないことは言うまでもない。
図1は本発明の一実施例を示す管の斜視図である。図2は図1のA−A’線に沿う縦断面図である。
1は樹脂製配管部材の一つである管である。管1は母材2の外表面にフィルム3を被覆したもので、その各々の構成は下記の通りである。(図2参照)
2は母材である硬質ポリ塩化ビニル製の管である。母材2の外径は60mm、肉厚は4.1mm、また、外表面の表面粗さ(Rz)は2μmに形成されている。
3は母材2の外表面に被覆されているフィルムである。フィルム3は、内側から順に粘着層4、紫外線遮蔽層5、中間層6、光触媒層7から形成されている。
粘着層4は、母材2の外表面にフィルム3を接着させるもので、紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有するアクリル系粘着剤からなり、膜厚は25μmに形成されている。なお、粘着層4の膜厚は3〜100μmの範囲に設定することが好適である。
紫外線遮蔽層5は、紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有したポリエチレンテレフタレートからなり、膜厚は50μmに形成されている。紫外線遮蔽層5の膜厚は10〜500μmの範囲に設定することが好適である。
中間層6は、無機−有機複合傾斜膜からなるものであり、これは有機高分子化合物であるアクリル系ポリマーと金属酸化物系化合物である酸化チタンとが化学的に結合した複合体で、酸化チタンの含有率が膜の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有し、光触媒層7に接触する面の酸化チタンの含有率が100%に、また、紫外線遮蔽層5に接する面のアクリル系ポリマーの含有率が100%になるように形成されている。中間層6の膜厚は80nmに形成されている。なお、中間層6の膜厚は40nm〜5μmの範囲に設定することが好適である。
光触媒層7は、アナターゼ型酸化チタンを含有する無機系バインダーからなるものであり、光触媒層7の膜厚は50nmに形成されている。なお、光触媒層7の膜厚は10nm〜5μmの範囲に設定することが好適である。
なお、本実施例では母材2として管を使用しているが配管部材であればいずれでもよく、管継手、バルブおよびバルブ駆動部材等を使用してもよい。このバルブ駆動部材とはハンドル、ギアボックス等のバルブの動作に必要な部品全てを指すものである。
また、本実施例では樹脂製配管部材である管1は、母材2の外表面にフィルム3が被覆されているが、フィルム3は上記各層が均質で欠陥のない状態で形成されているため、フィルム3を被覆することにより、管1の各層を均質で欠陥なく形成できると共に、製造工程が簡略化でき、配管部材を設置した後でも必要に応じてフィルムを被覆することで容易に耐候性、防汚性の効果を得ることができる。各層を形成する方法はフィルム3を被覆する方法以外のものでもよく、例えばスプレーコーティング等の湿式塗布法で設ける方法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空製膜法等が挙げられる。
次に、本実施例の管1に紫外線を含む太陽光、蛍光灯等が照射された場合の紫外線劣化防止作用を説明する。
まず、光触媒層7に含まれる酸化チタンによって390nm付近の波長領域にある紫外線が吸収される。次に、光触媒層7を透過してきた紫外線に対して紫外線遮蔽層5が紫外線吸収剤の場合は紫外線を吸収し、紫外線散乱剤の場合は紫外線を散乱させる。このことから、光触媒層7と紫外線遮蔽層5により紫外線遮蔽層5の内側にある母材2には紫外線が届かない構造となっている。また、紫外線によって光触媒層7が活性化し酸化分解作用が起こるが、中間層6が光触媒層7の下に設けられていることから、酸化分解作用が紫外線遮蔽層5や母材2には作用しないものとなっている。以上の作用によって紫外線を遮蔽するため、紫外線劣化が起こりやすい屋外で母材2に起こる紫外線劣化を防止し、長期使用を可能にすることができる。
次に、本実施例の管1の防汚作用について説明する。
光触媒層7に含まれる酸化チタンに紫外線が当たることによって、親水化作用が起こり、管1の表面が高度に親水化することで、非常に水に濡れ易くなり、塵埃等の汚れが付き難くなり、且つ、汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流されるため、セルフクリーニング効果を得ることができる。また、同時に酸化分解作用が起こり、抗菌、藻類の発生防止、付着油の分解などの効果も得ることができる。以上の作用によって長期に亘って防汚性を維持することができる。
次に、本発明の樹脂製配管部材である管の屋外での長期使用の耐候性および防汚性を確認するための評価試験を行った。その評価試験方法を以下に示す。
(1)母材の外表面の表面粗さ
JIS B0601に準拠し、母材の外表面の表面粗さとして管軸方向の最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
(2)母材の曲げ試験
JIS K7171に準拠し、母材から曲げ試験片を管軸方向に沿って切り出し、母材の曲げ弾性率を測定した。
(3)母材の線膨張係数
母材から試験片を10mm×20mm×4mmで切り出し、測定時の昇温による後収縮の誤差を除くため、前処理として測定最高温度+10℃で1時間アニーリング処理を行った。測定時の昇温速度は2℃/minで、試料長さの変位量をプロットし、測定した温度と変位量の関係から線膨張係数を算出した。
(4)耐候性試験
母材から引張り試験片、ノッチ付きアイゾット衝撃試験片を管軸方向に沿って切り出し、後記の実験例の条件にてフィルムを被覆し、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)により、照射時間600hr(照射エネルギー135,000kJ/m、野外暴露6ヶ月相当)、1800hr(照射エネルギー405,000kJ/m、野外暴露1.5年相当)で強制劣化試験を行った。その後、試験片の外観の評価と純水接触角試験を行い、被覆層を剥離した後、引張り試験、アイゾット衝撃試験を行った。
(4−1)外観の評価
強制劣化試験後の試験片について、外表面の割れ、変色、被覆した層の剥離状況などの異常の有無を目視により以下の様に評価した。
◎:劣化が全く見られない
○:わずかに変色が見られる
△:変色が見られる
×:変色及び劣化が見られる
(4−2)純水接触角試験
強制劣化試験後の試験片について外表面を油や埃等の汚れがない様に洗浄、乾燥した後、温度20℃、湿度50%の雰囲気で6時間状態調整をした後、純水を約1ml滴下する。その後、10分後の接触角(固体表面上にできる液滴の接触部分がつくる角度)をカメラによる撮影や接触角計にて測定し、以下の様に評価した。
◎:純水接触角が15°未満
○:純水接触角が15°以上25°未満
△:純水接触角が25°以上50°未満
×:純水接触角が50°以上
−:強制劣化試験による劣化が酷かったため測定せず
(4−3)引張り試験
強制劣化試験後の試験片について、JIS K7113に準拠し、引張り強度、引張り伸び率を測定した。
(4−4)ノッチ付きアイゾット衝撃試験
強制劣化試験後の試験片について、JIS K7110に準拠し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
(4−5)屋外使用時の推定寿命
強制劣化試験において、経験上特に物性値の低下が見られる引張り伸び率において保持率が50%以下になった時間を屋外使用における寿命と定義し、引張り伸び率と試験時間の関係から屋外使用時の推定寿命をメーカーカタログ値及びアレニウスプロットから算出した。推定寿命値は何も被覆していない樹脂製管(後記比較例1乃至4)の寿命を1として相対的な値を求めた。
(5)水圧破壊試験
フィルムを被覆した1mの管に対し、上記の強制劣化試験を実施し、配水用ポリエチレン協会規格PWA001に基づいて23±2℃の雰囲気中で、管内部に破壊するまで一定の水圧で加圧を続け管が破壊した時点の圧力の最大値を測定した。
(6)屋外暴露試験
フィルムを被覆した1mの管を、屋外に静置し、半年後の外観の変化を以下の基準で評価した。
◎:劣化が全く見られない
○:わずかに変色が見られる
△:変色が見られる
×:変色及び劣化が見られる
(7)繰り返し荷重試験
フィルムを被覆した1mの管の端面の一方を固定し、他方の端面に500Nの荷重を1分間かけて曲げ、その後荷重をかけるのをやめて元に戻す。以上の操作を繰り返し20回行い、被覆した光触媒フィルムの剥がれの程度を以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:一部剥がれが見られる
△:かなり剥がれが見られる
×:完全に剥がれた
(8)ヒートサイクル試験
フィルムを被覆した20cmの管を、80℃に調整した恒温槽に入れ、1時間加熱し、その後室温にて常温まで放冷する。以上の加熱、放冷を100回繰り返し、被覆した光触媒フィルムの剥がれの程度を以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:一部剥がれが見られる
△:かなり剥がれが見られる
×:完全に剥がれた
[実験例1]
外表面の表面粗さ(Rz)が2μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製の管(母材管)の外表面に、内側から順にアクリル系粘着剤からなる膜厚25μmの粘着層、紫外線吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂からなる膜厚50μmの紫外線遮蔽層、有機−無機複合傾斜膜からなる膜厚樹脂80nmの中間層、酸化チタン光触媒からなる膜厚0.2μmの光触媒層より形成されるフィルムを被覆して各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例2]
外表面の表面粗さ(Rz)が3μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製管の外表面に、内側から順にアクリル系粘着剤からなる膜厚25μmの粘着層、紫外線吸収剤を含むアクリル樹脂からなる膜厚75μmの紫外線遮蔽層、シリコーン系樹脂からなる膜厚2μmの中間層、酸化チタン光触媒からなる膜厚0.2μmの光触媒層より形成されるフィルムを被覆して各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例3]
実験例1において、母材管を外表面の表面粗さ(Rz)が2μmの外径63mm、肉厚5.8mmのホモ型ポリプロピレン製に変え、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例4]
実験例1において、母材管を外表面の表面粗さ(Rz)が14μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製に変え、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例5]
実験例1において、母材管を外表面の表面粗さ(Rz)が1μmの外径58mm、肉厚4.0mmの軟質ポリ塩化ビニル製に変え、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例6]
実験例1において、母材管を外表面の表面粗さ(Rz)が2μmの外径63mm、肉厚5.8mmのランダム共重合型ポリプロピレン製に変え、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例1]
外表面に何も被覆されていない、外表面の表面粗さ(Rz)が1μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製の管について各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例2]
外表面に何も被覆されていない、外表面の表面粗さ(Rz)が2μmの外径63mm、肉厚5.8mmのホモ型ポリプロピレン製の管について各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例3]
外表面に何も被覆されていない、外表面の表面粗さ(Rz)が1μmの外径58mm、肉厚4.0mmの軟質ポリ塩化ビニル製の管について各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例4]
外表面に何も被覆されていない、外表面の表面粗さ(Rz)が3μmの外径63mm、肉厚5.8mmのランダム共重合型ポリプロピレン製の管について各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例5]
外表面の表面粗さ(Rz)が3μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製の管の外表面に酸化チタン光触媒からなる膜厚1μmの光触媒層のみを形成して各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例6]
外表面の表面粗さ(Rz)が1μmの外径60mm、肉厚4.1mmの硬質ポリ塩化ビニル製の管の外表面に、内側から順にアクリル系粘着剤からなる膜厚25μmの粘着層、有機−無機複合傾斜膜からなる膜厚樹脂80nmの中間層、酸化チタン光触媒からなる膜厚0.2μmの光触媒層より形成されるフィルムを被覆して各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
Figure 2005299734
表1から分かるように、実験例で得られた樹脂製配管部材である管は、光触媒層及び紫外線遮蔽層で紫外線を遮蔽することにより、母材管の紫外線劣化が抑えられることから、強制劣化試験後の外観の変化、物性値の低下が抑えられ、屋外での長期使用をした場合でも管の性能上も問題ないことが分かる。さらに、引張り伸び率からメーカーカタログ、アレニウスプロットより算出した屋外での使用の際に配管推定寿命が40〜80%向上することも分かる。また、防汚性についても強制劣化試験後も親水性を保持しており、長期使用をした場合でも防汚性に優れることが分かる。
実験例1と実験例2では光触媒層及び紫外線遮蔽層により母材管の紫外線劣化が抑えられることから配管推定寿命が向上し、また強制劣化試験後も親水性を保持していることから長期間に亘り防汚性に優れることが分かる。特に実験例1は中間層が有機−無機複合傾斜膜であることから、光触媒層と紫外線遮蔽層との接着性がよいためさらに長期使用においても劣化の心配なく使用することができる。
また、実験例3では、実験例1および実験例2の母材管がポリ塩化ビニル製に対して、ホモ型ポリプロピレン製であるが、実験例1および実験例2と同様に光触媒層及び紫外線遮蔽層により母材管の紫外線劣化が抑えられることから配管推定寿命が向上し、また強制劣化試験後も親水性を保持していることから長期間に亘り防汚性に優れることが分かる。
また、実験例4では光触媒層および紫外線遮蔽層により母材管の紫外線劣化が抑えられることから配管推定寿命が向上し、また強制劣化試験後も親水性を保持していることから長期間に亘り防汚性に優れることが分かるが、母材管の外表面の表面粗さ(Rz)が14μmであり、10μm以下ではないことから、部分によっては被覆したフィルムに剥がれが発生した。
また、実験例5では光触媒層および紫外線遮蔽層により母材管の紫外線劣化が抑えられることから配管推定寿命が向上し、また強制劣化試験後も親水性を保持していることから長期間に亘り防汚性に優れることが分かるが、母材管の曲げ弾性率が300MPaであり、500MPa以上ではないことから、繰り返し荷重試験で被覆したフィルムに剥がれが発生した。
また、実験例6では光触媒層および紫外線遮蔽層により母材管の紫外線劣化が抑えられることから配管推定寿命が向上し、また強制劣化試験後も親水性を保持していることから長期間に亘り防汚性に優れることが分かるが、母材管の線膨張係数が1.5×10−4であり、1.3×10−4以下ではないことから、ヒートサイクル試験で被覆したフィルムに剥がれが発生した。
以上のことから、実験例4より母材管の表面粗さ(Rz)が10μm以下でないと、強制劣化試験や屋外暴露試験において粘着層による接着強度の低下、接着不良の問題によって被覆したフィルムが剥がれており、粘着層の状態によっては母材管の表面粗さ(Rz)は10μm以下であることが好ましい。さらに実験例5より母材管の曲げ弾性率が500MPa以上でないと、繰り返し荷重試験において荷重をかけた場合母材管が曲がりやすく、被覆したフィルムが剥がれており、母材管の曲げ弾性率は500MPa以上であることが好ましい。さらに実験例6より1.3×10−4以下でないと、ヒートサイクル試験において熱による膨張の影響で被覆しているフィルムが追従できず、被覆したフィルムが剥がれており、母材管の線膨張係数は1.3×10−4以下であることが好ましい。
一方、比較例1乃至比較例4では使用管の材質にかかわらず、管の外表面に何も被覆していないため、管の紫外線劣化が起こった。また、強制劣化試験においてはキセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m、野外暴露1.5年相当)後で引張り伸び率の保持率が90%以上、かつ、ノッチ付きアイゾット衝撃値の保持率が70%以上でないため、すなわち、実験例より劣っているため、屋外での長期使用の際に外観の悪化や物性値の低下による樹脂の脆化が起こり、長期使用において管が破損する恐れがある。また、防汚性についても親水性ではないため、屋外使用時に泥、埃、雨滴等による汚れによりメンテナンスの際に問題となる恐れがある。
また、比較例5では使用管に中間層を介さずに光触媒層を形成したため、光触媒による酸化劣化が管に作用してしまい、比較例1と同様に屋外での長期使用の際に外観の悪化や物性値の低下による樹脂の脆化により管が破損する恐れがある。また、防汚性については光触媒層が形成されているが、管の劣化に伴い光触媒層が剥がれてくることから、親水性が失われていく恐れがある。
また、比較例6では紫外線遮蔽層がないため、紫外線が完全に遮蔽できていないので、比較例1と比較すると若干抑えられているが十分な効果が得られず、紫外線劣化が起こった。比較例1と同様に屋外での長期使用の際に外観の悪化や物性値の低下による樹脂の脆化により管が破損する恐れがある。また、防汚性については光触媒層が形成されているが、管の劣化に伴い光触媒層が剥がれてくることから、親水性が失われていく恐れがある。
本発明を使用することにより産業上、以下の優れた効果が得られる。
(1)従来の樹脂製配管部材に比べて、特に屋外で長期に使用される場合に紫外線劣化による外観の悪化や配管性能の低下が抑えられ、配管推定寿命として40〜80%向上する樹脂製配管部材を提供できる。
(2)従来の樹脂製配管部材に比べて、特に屋外で長期に使用される場合に防汚性に優れた樹脂製配管部材を提供できる。
本発明の実施例を示す管の斜視図である。 図1のA−A’線に沿う縦断面図である。 光触媒を被覆した従来の管を示す斜視図である。
符号の説明
1…樹脂製配管部材(管)
2…母材(管)
3…フィルム
4…粘着層
5…紫外線遮蔽層
6…中間層
7…光触媒層
8…内層管
9…外層管
10…酸化チタン光触媒層

Claims (6)

  1. 母材の外表面に内側から順に少なくとも紫外線遮蔽層、中間層および光触媒層が形成された樹脂製配管部材であって、該紫外線遮蔽層が紫外線吸収剤及び/または紫外線散乱剤を含む樹脂から形成され、また、該中間層が無機系材質を必須成分として形成されていることを特徴とする樹脂製配管部材。
  2. 母材の外表面に、内側から順に粘着層、紫外線遮蔽層、中間層および光触媒層から形成されるフィルムを被覆してなることを特徴とする請求項1記載の樹脂製配管部材。
  3. 母材のJIS B0601による外表面の表面粗さ(Rz)が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製配管部材。
  4. 母材のJIS K7171による曲げ弾性率が500MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
  5. 母材の線膨張係数が1.3×10−4/℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
  6. キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材のJIS K7113による引張り伸び率の保持率が90%以上で、且つJIS K7110によるノッチ付きアイゾット衝撃値の保持率が70%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
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