JP2005321028A - 樹脂製配管部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐候性、防曇性、防汚性を有し、長期に亘って透明性を保持することを可能にした樹脂製配管部材を提供する。
【解決手段】 樹脂製配管部材(Y型ストレーナー)1のボディ5の外表面部分に内側から順にセパレーター層3、光触媒層4を積層形成する。セパレーター層3は、アモルファス型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚1μmで形成する。光触媒層4は、アナターゼ型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚0.1μmで形成する。
【選択図】図1
【解決手段】 樹脂製配管部材(Y型ストレーナー)1のボディ5の外表面部分に内側から順にセパレーター層3、光触媒層4を積層形成する。セパレーター層3は、アモルファス型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚1μmで形成する。光触媒層4は、アナターゼ型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚0.1μmで形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、化学工場、上下水道、農・水産業、医療、食品などの配管ラインに好適に使用される透明性を有する樹脂製配管部材に関するものであり、特に、耐候性、防曇性、防汚性を有することによって長期に亘って透明性を保持することを可能にした透明性を有する樹脂製配管部材に関するものである。
従来、医療や食品用途といったサニタリー分野では、透明性を有する樹脂製の配管部材を用いることによって配管内の状態を確認できる構造になっており、紫外線にさらされる環境下で長期使用されると次第に透明性が失われてしまい、配管内の状況を確認できなくなるという問題があった。また、配管部材は比較的湿度の高いところで使用されることもあり、結露や微細な水滴が付着することによって曇りが発生し、配管内の状態を確認できなくなる問題があった。また、屋外で使用される配管中に設けられ流体中に含まれるゴミを除去するストレーナーにおいてもゴミの付き具合を確認できる構造となっており、屋外で長期間使用すると透明性を有する樹脂が紫外線劣化で変色したり、雨滴や泥による汚れが付着したり、湿度が高い場合や気温の変化によって曇りが発生したりすることによって、内部の状態が見えにくくなる問題があった。また、屋外で使用されるダイヤフラムバルブ、定流量バルブ、ニードルバルブ等においては開閉の程度を確認できる構造になっており、太陽光や蛍光灯等の紫外線による樹脂の劣化(以下、紫外線劣化と記す)によって、樹脂の変色(白化)が引き起こされ、屋外で長期間使用すると保護カバーとして使用されている透明性を有するゲージカバーが紫外線劣化で変色したり、雨滴や泥による汚れが付着したり、湿度が高い場合には曇りが発生したりすることによって開閉度合の表示が読めなくなるという問題があった。
このうち紫外線劣化の対策として、樹脂に紫外線吸収剤等を添加させ、紫外線劣化を抑える対策が行われてきた。しかし、透明性を有する樹脂製配管部材に流れる流体中へ添加剤が溶出するという問題や、添加剤を加えることによって透明性が失われる問題があることから、加えられる紫外線吸収剤の添加量には限度があり、紫外線劣化の防止には十分とはいえなかった。
一方、汚れや曇り対策として、近年、防汚性、防曇性を有する光触媒を被覆することが提案されている。光触媒の作用としては大きく分けて2つの作用がある。第一の作用は、太陽光、電灯、または蛍光灯からの光などに含まれる紫外線が酸化チタン等の光触媒に吸収され、活性の高いOHラジカル、Oラジカル、O2が生じ、これらが被酸化性化合物を酸化分解する作用で、この作用を利用することによって例えば、脱臭、NOx、SOx等の汚染気体除去、抗菌、藻類の発生防止等に基づく防汚、付着油の分解などの効果を得ることができる。第二の作用は、光触媒被覆製品の表面が酸化分解に応じて親水化され、繰り返し恒久的に親水表面を維持することができる作用(例えば、特許文献1参照)である。この現象は酸化チタン等の光触媒の結晶表面に酸素欠陥を生じるような構造変化を伴っており、その欠陥に水酸基が配位し、吸着水が形成され高度に親水化されるものであり、上記酸化分解作用のメカニズムとは、異なるものと考えられている。このように製品表面が親水化されると、降雨により製品表面をセルフクリーニングすることができると共に、親水化によって防曇の効果も得られるので、透明性を有する製品の視界確保や可視性を向上させることができる。
このような透明性を有する樹脂製配管部材への光触媒技術の応用としては、図3に示すような液体に接する接液面に光触媒層が設けられた面積式流量計が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この面積式流量計は、下方から液体を導入する液体導入部14と上方に液体を導出する液体導出部15と内部の液体中で上下動する浮き子16とを備え、垂直方向に延在してなるテーパ管17における、外部から浮き子を透かして見ることのできる透明部の内壁面に、光触媒材料を含有する光触媒層18を設けられたものであり、テーパ管17は主にガラス製のものであるがアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、硬質ポリ塩化ビニル樹脂などの透明合成樹脂を用いてもよく、その作用は紫外線が照射されると、液体中に含まれている汚れが接液面に付着せず、また接液面に汚れが付着した場合でも、汚れは内部を流通する流体の流れによって容易に脱落するものであり、分解、清掃を簡略化もしくは不要にすることができるものであった。
しかしながら、前記従来の面積式流量計においてテーパ管17が樹脂製である場合、屋外で長期間使用すると透明性を有する樹脂が紫外線劣化で変色したり、雨滴や泥による汚れが付着したり、湿度が高い場合や気温の変化によって曇りが発生したりすることによって、浮き子16が見えにくくなったり見えなくなるため、正確な流量の読み取りが困難となる問題があった。
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐候性、防曇性、防汚性を有することによって長期に亘って透明性を保持することを可能にした透明性を有する樹脂製配管部材に関するものである。
上記課題を解決するための本発明の樹脂製配管部材の構成を図1及び図2に基づいて説明すると、母材2の外表面に内側から順に無機系材料を主体とするセパレーター層3および光触媒層4が形成され、且つ透明性を有することを第一の特徴とする。また、母材2がパイプ、継手、バルブ、ゲージカバー、ストレーナーであることを第二の特徴とする。また、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の樹脂製配管部材1の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることを第三の特徴とする。また、湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることを第四の特徴とする。また、セパレーター層3が湿式塗布法によって形成された樹脂製配管部材1であって、セパレーター層3を形成する時に使用される塗布液と母材2との接触角が50°以下であることを第五の特徴とする。また、塗布液の分散液がメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの少なくとも1種を含むことを第六の特徴とする。また、母材2の外表面がプラズマ方式、コロナ放電、または火炎のいずれかの方法で表面処理されていることを第七の特徴とする。セパレーター層3及び光触媒層4が各々形成された後に40℃〜100℃で熱処理されてなることを第八の特徴とする。さらに、母材2のJIS K7171による曲げ弾性率が500MPa以上であることを第九の特徴とする。
本発明において光触媒層4とは、紫外線が照射されるとその紫外線を吸収することで活性化し、その表面が高度に親水化することで、水に非常に濡れ易くなり、塵埃等の汚れが付き難い性質を持っており、且つ、汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流される特徴を有する透明性の層のことである。光触媒としては、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また、光触媒層4はその他に紫外線照射によらず常にその表面が親水化しているものでもよく、例えば一般式R1 nSi(OR2)4−n〔n=0〜3の整数、R1、R2は一価の炭化水素基〕で表されるオルガノシランの加水分解縮重合物において、そのSiの側鎖にOH基を含有させて極度に親水性を高めたシラノール基含有シリコーンレジン等が挙げられる。なお、光触媒層4の膜厚は10nm〜5μmの範囲に設定することが好適である。
また、本発明においてセパレーター層3とは、光触媒層4の酸化分解作用から母材2の樹脂の劣化を防止するために光触媒層4の内側に形成される透明性を有する層であり、光触媒層4が酸化分解作用を示さない場合であっても、前記無機成分からなる光触媒層4と樹脂からなる母材2との接着性を向上させる点から設けられるものである。このようなセパレーター層3は無機系材料からなり、光触媒層4と母材2の接着性を向上させるものであれば、特に限定されるものではなく、例えばシリカ、アルミナ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、アモルファス型酸化チタン、シランカップリング剤等が挙げられる。なお、セパレーター層3の膜厚は10nm〜5μmの範囲に設定することが好適である。
本発明において母材2は透明性を有する樹脂製配管部材であれば特に限定されるものではなく、パイプ、継手、バルブ、バルブの部品、バルブ駆動部材、ゲージカバー、ストレーナーなどが挙げられる。バルブ駆動部材とは、ハンドル、ギアボックス等のバルブの動作に必要な部品全てを指すものである。ゲージカバーとは、指針によるゲージを保護するカバーであり、より詳しくは、径方向に動く指針を持つゲージのカバーとして例えば定流量弁の弁開度を表示するゲージカバーなどが挙げられ、また、縦方向に動く指針を持つゲージのカバーとして例えばダイヤフラム弁、ゲート弁、ストップ弁、ピンチ弁の弁開度を表示するゲージカバーなどが挙げられる。
本発明がパイプ、継手、バルブの場合は、耐候性、防曇性、防汚性によって、屋外で使用される配管ラインにおいて、特に樹脂の紫外線劣化により強度の低下を防ぐと共に変色を防止するため、長期間に亘って配管部材として必要な強度と透明性を保持し、配管内部の流体の状態を確認することができる。また、ストレーナーの場合は、同様の効果によって長期に亘ってゴミの詰まり具合を確認できる。また、ゲージカバーの場合は、同様の効果によって長期に亘って指針を読み取ることができ、例えばバルブの開度などを正確に確認することができる。
なお、母材2に使用される樹脂としては配管部材で好適に使用される透明性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂等が好適なものとして挙げられる。
本発明の樹脂製配管部材1は透明性を有するものであるが、本発明における透明性とは、透明、半透明の両方を含む意味である。該透明性の程度はキセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の樹脂製配管部材1の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることが好ましい。これは屋外での使用において透明性を有する母材2が紫外線劣化による変色によって透明性が失われることを防止し、樹脂製配管部材の開閉状態の確認や内部状態の確認を長期間容易に行うことができるようにするためである。
本発明において、湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の樹脂製配管部材1の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることが好ましい。これは配管の設置環境が湿度の高い場合において、微細な水滴が樹脂製配管部材1の表面に付着しても、樹脂製配管部材1の濡れ性の良さにより、曇りによって透明性が失われることを防止し、開閉状態の確認や内部状態の確認ができなくなることを防止するためである。
本発明においてセパレーター層3、光触媒層4を形成する方法としては、それらの機能を損なうものでなければ特に限定されるものではなく、例えば上記各層をスプレーコーティング等の湿式塗布法で設ける方法、スパッタリング、イオンプレーティング等の真空製膜法等が挙げられる。中でもバルブ等の複雑な形状をしているものや寸法が大きい樹脂製配管部材については、スプレーコーティング等の湿式塗布法による形成方法が安価で均質に各層を形成できるので好適である。
また、湿式塗布法によって形成された樹脂製配管部材の場合、セパレーター層3を形成する時に使用される塗布液と母材2との接触角(固体表面上にできる液滴の接触部分がつくる角度)を50°以下にすると良く、母材2の外表面にセパレーター層3を湿式塗布法により形成する場合に、母材2の撥水性による塗りムラを抑え、確実で均質な塗布層を形成することができる。
また、本発明においてセパレーター層3、光触媒層4を形成する時に使用される塗布液とは、セパレーター層3、光触媒層4の材料を水や揮発性有機溶媒等の分散液に分散させたものである。塗布液に用いられる分散液としては水の他に特にメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの少なくとも1種を含んでいることが好適であり、これらを2種類以上組み合わせても良い。これは母材2が撥水性を持っていて塗布液と母材2の接触角が高い場合でも、塗布液の分散液にメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの少なくとも1種を含むことで塗布液と母材2の接触角を低下させるため、母材2塗布液を塗布し易くなり、塗りムラを抑制させることができる。また、塗布液の揮発性を向上させるため、各層を形成した後に行う乾燥工程の時間も少なくすることができる。
また、本発明において母材2の表面を劣化させない点からプラズマ方式、コロナ放電、または火炎のいずれかの方法によって表面処理することが好ましい。これは母材2が撥水性を持っていて、塗布液と母材2の接触角が高い場合でも、母材2の外表面を該表面処理することで、塗布液と母材2の接触角を低下させることができるため、母材2の濡れ性を良くし、母材2に塗布液を塗布し易くなり、塗りムラを少なくさせることができる。
また、本発明においてセパレーター層3、光触媒層4をそれぞれ塗布により形成した後に40℃〜100℃で熱処理することが好ましく、40℃〜80℃で2時間以上乾燥させることがより好ましい。十分に乾燥させると共に乾燥工程を短くさせるために40℃以上にするのが良く、また樹脂からなる母材2が熱による劣化を起こさないようにするため、100℃以下、より好ましくは80℃以下にするのが良い。セパレーター層3上に光触媒層4を積層させる際に光触媒層4とセパレーター層3の塗布液が混ざることがなく、光触媒層4と母材2を接触させることなく完全に隔離させると共に、塗布液中の材料が完全に固着されるため、母材2に塗布した層を剥がれにくくすることができる。
また、母材2の曲げ弾性率は500MPa以上であることが好ましく、900MPa〜20GPaの範囲であることがより好ましい。曲げ弾性率を500MPa以上にした場合、運搬や施工を行う場合に母材2を曲がりにくくさせ、長期使用をする場合にも変形や撓みを生じにくくさせることで、塗布によって形成されているセパレーター層3、光触媒層4に発生するクラックや剥がれが生じるのを抑えることができる。さらに、屋外で40℃を越す雰囲気中での使用も想定され、気温が高くなることによる曲げ弾性率の低下を考慮すると、母材2の曲げ弾性率は900MPa以上であることが好ましく、母材2の曲げ弾性率が高くなりすぎると樹脂は脆くなる傾向があるため、配管部材として好適に使用するためには母材2の曲げ弾性率は20GPa以下であることが好ましい。
本発明は、以上説明した構造になっているので、以下のような優れた効果が得られる。
(1)光触媒層と母材の間にセパレーター層を設けることにより、母材に光触媒の酸化劣化作用が働かないようにし、且つ、光触媒層で紫外線を遮蔽することにより紫外線劣化を抑えることにより、耐候性を有し、従来よりも長期間に亘って透明性を保持することができる。
(2)光触媒層を設けることにより光触媒の酸化分解作用または親水化作用によって、長期間に亘って防汚性を有し、透明性を保持することができる。
(3)光触媒層を設けることにより光触媒の親水化作用によって、長期間に亘って防曇性を有し、湿度が高い環境下においても透明性を保持することができる。
(4)キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であるため、長期に亘る使用において、母材2の紫外線劣化による変色が抑えられ、透明性を保持することができる。
(5)湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の母材の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であるため、配管の設置環境が湿度の高い場合でも、樹脂製配管部材の濡れ性が良いため、微細な水滴が樹脂製配管部材の表面に付着しても曇りにくく、透明性を保持することができる。
(1)光触媒層と母材の間にセパレーター層を設けることにより、母材に光触媒の酸化劣化作用が働かないようにし、且つ、光触媒層で紫外線を遮蔽することにより紫外線劣化を抑えることにより、耐候性を有し、従来よりも長期間に亘って透明性を保持することができる。
(2)光触媒層を設けることにより光触媒の酸化分解作用または親水化作用によって、長期間に亘って防汚性を有し、透明性を保持することができる。
(3)光触媒層を設けることにより光触媒の親水化作用によって、長期間に亘って防曇性を有し、湿度が高い環境下においても透明性を保持することができる。
(4)キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であるため、長期に亘る使用において、母材2の紫外線劣化による変色が抑えられ、透明性を保持することができる。
(5)湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の母材の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であるため、配管の設置環境が湿度の高い場合でも、樹脂製配管部材の濡れ性が良いため、微細な水滴が樹脂製配管部材の表面に付着しても曇りにくく、透明性を保持することができる。
次に、本発明の実施態様について、図1乃至図3を用いてさらに詳細に説明するが、本発明が本実施態様になんら限定されないことは言うまでもない。
図1は本発明の実施態様のY型ストレーナーを示す縦断面図である。なお、図においてセパレーター層、光触媒層はわかりやすくするため誇張して描いてある。図2は本発明に係る母材表面上に形成された被覆層の断面模式図である。
1は本発明の樹脂製配管部材であるY型ストレーナーである。
5は透明性を有するポリカーボネート製のボディである。ボディ5は流入口6から流出口7へ略直線状に伸びている主管路8と、主管路8から分岐して斜め方向に延びる副管路9とが略Y字状に形成されている。
10はボディの副管路9に挿入設置されてなるスクリーンである。スクリーン10は多数の小孔を持つ網目状のもので、円筒形状に形成されている。
11は硬質塩化ビニル樹脂製のスクリーンサポートである。スクリーンサポート11はスクリーン10を固定させるガイド12を具備している。
13は硬質塩化ビニル樹脂製のキャップナットである。キャップナット13とボディ5とでスクリーンサポート11を挟持固定することで、スクリーン10を副管路内に固定させる。
前記ボディ5の外表面部分は、図2に示すようにボディ5を母材2とすると、母材2の外表面に内側から順にセパレーター層3、光触媒層4が順に積層形成されている。各層は次のように構成されている。
セパレーター層3は、アモルファス型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚1μmで形成されている。アモルファス型酸化チタンは、光触媒作用を示さないことから母材2を酸化分解せず、光触媒層4が母材2を酸化分解することを防止すると共に、後記光触媒層4に使われるアナターゼ型酸化チタンと接着性が良いことから好適に使用される。
光触媒層4は、アナターゼ型酸化チタンを含有する塗布液をスプレーコーティング法によって膜厚0.1μmで形成されている。アナターゼ型酸化チタンは実用的な光触媒であり、紫外線を吸収し、高活性な光触媒作用を示すため好適に使用される。
次に、本実施態様のY型ストレーナー1に紫外線を含む太陽光、蛍光灯等が照射された場合の紫外線劣化防止作用を説明する。
まず、光触媒層4に含まれる酸化チタンによって390nm付近の波長領域にある紫外線が吸収される。このことから、光触媒層4の内側にある母材2には紫外線の透過を防止する構造となっている。また、紫外線によって光触媒層4が活性化し酸化分解作用が起こるが、セパレーター層3が光触媒層4の下に設けられていることから、酸化分解作用が母材2には働かないものとなっている。以上の作用によって紫外線を遮蔽するため、紫外線劣化が起こりやすい屋外で母材2に起こる紫外線劣化を防止し、母材2の白化を抑えるため、長期に亘って透明性を保持できる。
次に、本実施態様のY型ストレーナー1の防汚作用、防曇作用について説明する。
光触媒層4に含まれる酸化チタンに紫外線が当たることによって、親水化作用が起こり、母材2の表面が高度に親水化することで、塵埃等の汚れも付き難く、汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流され、セルフクリーニング効果を得ることができる。この作用によって長期に亘って防汚性を保持できる。また、親水化作用によって非常に水に濡れ易くなり、湿度が高くても曇り難くなる。この作用によって長期に亘って防曇性を保持できる。また、同時に酸化分解作用が起こり、抗菌、藻類の発生防止、付着油の分解などの効果も得ることができる。以上の作用によって、屋外で使用される樹脂製配管部材において、汚れや曇りを防止するので長期に亘って透明性を保持できる。特にバルブ等のゲージカバーのような閉鎖空間を有するために湿度や気温によって曇り易い構造の配管部材に好適である。
次に、本実施例のY型ストレーナーの作用を図1に基づいて説明する。
主管路8の流入口6より流入する流体は、副管路9の円筒状スクリーン10内に流入し、スクリーン10の小孔を通ってスクリーン10の内周側から外周側へ流通する。スクリーン10を流通する際に、流体に含まれていた異物はスクリーン10の小孔によって捕捉除去され、異物を除去された流体は流出口7から流出する。このときボディ5は透明性を有しているため、目視により配管ラインを流れる流体の状態を確認することができるとともに、スクリーン10内の異物の詰まり具合を確認することができる。スクリーン10内に異物が詰まった場合は、キャップナット13を外してスクリーン10を取り外し、スクリーン10の清掃または交換を行って再度組み立てることができる。このことから、ボディ5の透明性を長期間に亘って保持することは、Y型ストレーナー1内の異物の詰まり具合を常に確認することができるために非常に重要である。
次に、本発明の樹脂製配管部材であるY型ストレーナーにおいて耐候性、防汚性、防曇性を確認するため射出成形にて同材質の母材片を作成し、次いで各層を形成して試験片を作成し、各種評価試験を行った。その評価試験方法を以下に示す。
(1)塗布液接触角試験
母材片の外表面を油や埃等の汚れがないように洗浄、乾燥し、温度20℃、湿度50%の雰囲気で6時間状態調整をした後、各層を形成する塗布液を約1ml滴下する。その後、10分後の接触角をカメラによる撮影や接触角計にて測定し、以下のように評価した。
○:純水接触角が50°以下
×:純水接触角が50°より大きい
母材片の外表面を油や埃等の汚れがないように洗浄、乾燥し、温度20℃、湿度50%の雰囲気で6時間状態調整をした後、各層を形成する塗布液を約1ml滴下する。その後、10分後の接触角をカメラによる撮影や接触角計にて測定し、以下のように評価した。
○:純水接触角が50°以下
×:純水接触角が50°より大きい
(2)塗布面外観評価
母材片の外表面に各層を形成した直後、試験片の外表面に水滴の発生、塗りムラ等の異常の有無を目視により下記のように評価した。
○:異常なし
△:一部に水滴・塗りムラが見られる
×:全体に水滴・塗りムラが見られる
母材片の外表面に各層を形成した直後、試験片の外表面に水滴の発生、塗りムラ等の異常の有無を目視により下記のように評価した。
○:異常なし
△:一部に水滴・塗りムラが見られる
×:全体に水滴・塗りムラが見られる
(3)母材の曲げ試験
JIS K7171に準拠し、母材の曲げ弾性率を測定した。
JIS K7171に準拠し、母材の曲げ弾性率を測定した。
(4)耐候性試験
母材の引張り試験片、ノッチ付きアイゾット衝撃試験片に後記の実験例の条件にて各層を形成して試験片を作成し、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)により、照射時間600hr(照射エネルギー135,000kJ/m2、野外暴露6ヶ月相当)、1800hr(照射エネルギー405,000kJ/m2、野外暴露1.5年相当)で強制劣化試験を行った。その後、母材の外観評価と純水接触角試験、光吸光度測定を行った。
母材の引張り試験片、ノッチ付きアイゾット衝撃試験片に後記の実験例の条件にて各層を形成して試験片を作成し、キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)により、照射時間600hr(照射エネルギー135,000kJ/m2、野外暴露6ヶ月相当)、1800hr(照射エネルギー405,000kJ/m2、野外暴露1.5年相当)で強制劣化試験を行った。その後、母材の外観評価と純水接触角試験、光吸光度測定を行った。
(4−1)外観の評価
強制劣化試験後の試験片について、外表面の割れ、変色、塗布層の剥離状況などの異常の有無を目視により以下のように評価した。
◎:劣化が全く見られない
○:わずかに変色が見られる
△:変色が見られる
×:変色及び劣化が見られる
強制劣化試験後の試験片について、外表面の割れ、変色、塗布層の剥離状況などの異常の有無を目視により以下のように評価した。
◎:劣化が全く見られない
○:わずかに変色が見られる
△:変色が見られる
×:変色及び劣化が見られる
(4−2)純水接触角試験
強制劣化試験後の試験片について外表面を油や埃等の汚れがないように洗浄、乾燥した後、温度20℃、湿度50%の雰囲気で6時間状態調整をし、純水を約1ml滴下する。その後、10分後の接触角をカメラによる撮影や接触角計にて測定し、以下のように評価した。
◎:純水接触角が15°以下
○:純水接触角が15°より大きく25°以下
△:純水接触角が25°より大きく50°以下
×:純水接触角が50°より大きい
−:強制劣化試験による劣化が酷かったため測定せず
強制劣化試験後の試験片について外表面を油や埃等の汚れがないように洗浄、乾燥した後、温度20℃、湿度50%の雰囲気で6時間状態調整をし、純水を約1ml滴下する。その後、10分後の接触角をカメラによる撮影や接触角計にて測定し、以下のように評価した。
◎:純水接触角が15°以下
○:純水接触角が15°より大きく25°以下
△:純水接触角が25°より大きく50°以下
×:純水接触角が50°より大きい
−:強制劣化試験による劣化が酷かったため測定せず
(4−3)光吸光度測定
強制劣化試験後の試験片について、(株)日立製作所製分光光度計U−1100にて400〜700nmの波長領域について光吸光度測定を行い、光透過率を測定した。
強制劣化試験後の試験片について、(株)日立製作所製分光光度計U−1100にて400〜700nmの波長領域について光吸光度測定を行い、光透過率を測定した。
(5)繰り返し荷重試験
JIS K7171に準拠し、母材の曲げ試験片に各層を形成し、試験片を作成し、3点曲げ試験にて20Nの荷重を1分かけて曲げ、その後荷重を除き元に戻す。以上の操作を20回繰り返し、形成した各層の状態を下記の基準で評価した。
◎:異常なし
○:塗布した層の一部にき裂が見られる
△:塗布した層の一部にき裂・剥がれが見られる
×:塗布した層の全体にき裂・剥がれが見られる
JIS K7171に準拠し、母材の曲げ試験片に各層を形成し、試験片を作成し、3点曲げ試験にて20Nの荷重を1分かけて曲げ、その後荷重を除き元に戻す。以上の操作を20回繰り返し、形成した各層の状態を下記の基準で評価した。
◎:異常なし
○:塗布した層の一部にき裂が見られる
△:塗布した層の一部にき裂・剥がれが見られる
×:塗布した層の全体にき裂・剥がれが見られる
[実験例1]
透明性を有するポリカーボネート製の母材片の外表面をプラズマ方式にて表面処理を行い、外表面に市販の無機プライマー(アモルファス型酸化チタンを水の分散液に分散させた塗布液)[MP−01:光触媒研究所]とエタノールを体積比4:1で混合し、母材との接触角が50°以下になるように調整したセパレーター層用塗布液をスプレーコーティング法にて塗布することにより厚さ1μmのセパレーター層を形成した。次に60℃で2時間乾燥させた後、その上に市販の光触媒ゾル(アナターゼ型酸化チタンを水とエタノールの分散液に分散させた塗布液)[PAO−115:光触媒研究所]を同様に調整し、塗布することによって厚さ1μmの光触媒層を形成した。その後、60℃で2時間乾燥させて試験片を作成し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
透明性を有するポリカーボネート製の母材片の外表面をプラズマ方式にて表面処理を行い、外表面に市販の無機プライマー(アモルファス型酸化チタンを水の分散液に分散させた塗布液)[MP−01:光触媒研究所]とエタノールを体積比4:1で混合し、母材との接触角が50°以下になるように調整したセパレーター層用塗布液をスプレーコーティング法にて塗布することにより厚さ1μmのセパレーター層を形成した。次に60℃で2時間乾燥させた後、その上に市販の光触媒ゾル(アナターゼ型酸化チタンを水とエタノールの分散液に分散させた塗布液)[PAO−115:光触媒研究所]を同様に調整し、塗布することによって厚さ1μmの光触媒層を形成した。その後、60℃で2時間乾燥させて試験片を作成し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例2]
実験例1において、母材片をプラズマ方式による表面処理を行うことなく、各層を形成し、試験片を作成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験例1において、母材片をプラズマ方式による表面処理を行うことなく、各層を形成し、試験片を作成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例3]
実験例1において、無機プライマーのみ(分散液が水のみ)を使用して、各層を形成し、試験片を作成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験例1において、無機プライマーのみ(分散液が水のみ)を使用して、各層を形成し、試験片を作成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例4]
実験例1において、無機プライマーのみ(分散液が水のみ)を使用して、母材片をプラズマ方式による表面処理を行うことなく、母材片と塗布液の接触角が50°より大きい状態で各層を形成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験例1において、無機プライマーのみ(分散液が水のみ)を使用して、母材片をプラズマ方式による表面処理を行うことなく、母材片と塗布液の接触角が50°より大きい状態で各層を形成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例5]
実験例1において、セパレーター層を形成した後、常温で30分後に光触媒層を形成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験例1において、セパレーター層を形成した後、常温で30分後に光触媒層を形成し、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[実験例6]
実験例1において、母材片を曲げ弾性率が300MPaの軟質ポリ塩化ビニルに変えて、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験例1において、母材片を曲げ弾性率が300MPaの軟質ポリ塩化ビニルに変えて、同様にして各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例1]
外表面に何も塗布していない透明性を有するポリカーボネートの試験片にて各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
外表面に何も塗布していない透明性を有するポリカーボネートの試験片にて各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例2]
外表面に何も塗布していない透明性を有する軟質ポリ塩化ビニルの試験片にて各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
外表面に何も塗布していない透明性を有する軟質ポリ塩化ビニルの試験片にて各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
[比較例3]
透明性を有するポリカーボネート製の母材片の外表面をプラズマ方式にて表面処理を行い、外表面に市販の光触媒ゾル(アナターゼ型酸化チタンを水とエタノールの分散液に分散させた塗布液)[PAO−115:光触媒研究所]を母材片との接触角が50°以下になるように調整した光触媒層用塗布液をスプレーコーティング法にて塗布することにより厚さ1μmの光触媒層を形成し、60℃で2時間乾燥させた後、試験片を作成し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
透明性を有するポリカーボネート製の母材片の外表面をプラズマ方式にて表面処理を行い、外表面に市販の光触媒ゾル(アナターゼ型酸化チタンを水とエタノールの分散液に分散させた塗布液)[PAO−115:光触媒研究所]を母材片との接触角が50°以下になるように調整した光触媒層用塗布液をスプレーコーティング法にて塗布することにより厚さ1μmの光触媒層を形成し、60℃で2時間乾燥させた後、試験片を作成し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
表1から分かるように、実験例で得られた試験片は、光触媒層で紫外線を遮蔽することにより、母材の紫外線劣化が抑えられていることから、強制劣化試験後の外観の変化が抑えられることが分かった。また、光触媒層の親水化作用によって強制劣化試験後でも親水性が保持されていることから防汚性、防曇性が保持されていることが分かった。このことから本発明の樹脂製配管部材は長期使用をした場合でも耐候性、防汚性、防曇性に優れることから透明性が保持されることが分かった。
また、実験例2では実験例1と比較するとプラズマ方式による表面処理をせず接触角が50°以下であり、実験例3は実験例1と比較して塗布液にエタノールを加えず接触角が50°以下であることから、接触角が50°以下であればいずれの場合も塗布し易く、塗りムラが抑えられており、光触媒層により母材の紫外線劣化が抑えられることから耐候性が向上しており、強制劣化試験後も親水性を保持していることから、長期に亘って防汚性、防曇性を保持し、透明性を有していることが分かる。
また、実験例4では光触媒層により母材片の紫外線劣化が抑えられることから耐候性が向上しており、強制劣化試験後も親水性を保持していることから、長期に亘って防汚性、防曇性を保持し、透明性を有していることが分かるが、実験例1と比較するとプラズマ方式による表面処理をせず、塗布液の分散液を水のみにしたため、母材片と塗布液の接触角が50°以上であることから、母材片に塗布液を塗布し難くなり、塗りムラが発生し易くなった。これにより強制劣化試験において塗布した層に一部剥がれが見られた。
また、実験例5では光触媒層により母材片の紫外線劣化が抑えられることから光透過率の低下が抑えられ、強制劣化試験後も親水性を保持していることから、長期に亘って防汚性、防曇性を保持し、透明性を有していることが分かるが、層形成後の乾燥を行わなかったため、各層の材料が十分に固着されず、層の欠陥が生じることから部分によっては光触媒によって母材の酸化劣化を生じさせ、強制劣化試験、屋外暴露試験において、塗布した層に一部剥がれが見られた。
また、実験例6では光触媒層により母材片の紫外線劣化が抑えられることから光透過率の低下が抑えられ、強制劣化試験後も親水性を保持していることから、長期に亘って防汚性、防曇性を保持し、透明性を有していることが分かるが、母材の曲げ弾性率が300MPaであり、500MPa以上ではないことから、繰り返し荷重試験で塗布した層に剥がれが発生した。
以上のことから、実験例4より母材片と塗布液の接触角が50°以下でないと、塗布の際に塗りムラが生じることから、強制劣化試験や屋外暴露試験において塗布により形成された層が一部剥がれることが分かった。また、実験例1乃至3より、母材片と塗布液の接触角を50°以下に低下させる方法としては塗布液の分散液にメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの少なくとも1種を含ませる方法や、母材片の表面をプラズマ方式、コロナ放電、または火炎のいずれかの方法で表面処理する方法が効果的であることが分かった。さらに実験例5より塗布により層を形成した後の乾燥が十分でないと、強制劣化試験において塗布により形成された層が剥がれていることが分かった。さらに実験例6より母材の曲げ弾性率が500MPa以上でないと、繰り返し荷重試験において荷重をかけた場合母材片が曲がりやすく、塗布により形成された層が剥がれることが分かった。
一方、比較例1または比較例2は母材片の外表面に何も被覆していないため、母材片の紫外線劣化が起こった。また、強制劣化試験において1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の母材の光透過率の減少率が20%以上であり、湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の母材の光透過率の減少率が20%以上であるため、すなわち、実験例より劣っているため、樹脂製配管部材の屋外での長期使用の際に紫外線劣化によって透明性が次第に失われてしまう。また、防汚性、防曇性についても親水性ではないため、屋外使用時に泥、埃、雨滴等による汚れによりメンテナンスの際に問題となる恐れがある。
また、比較例3では母材片にセパレーター層を介さずに光触媒層を形成したため、光触媒による酸化劣化が母材片に作用してしまい、比較例1と同様に樹脂製配管部材の屋外での長期使用の際紫外線劣化によって透明性が失われてしまう恐れがある。また、防汚性、防曇性については光触媒層が形成されているが、母材の劣化に伴い光触媒層が剥がれてくることから、親水性が失われていく恐れがある。
本発明を使用することにより産業上、以下の優れた効果が得られる。
1.従来の樹脂製配管部材に比べて、特に長期に使用される場合に紫外線劣化による光透過率の低下が抑えられ、長期使用においても透明性を保持することができる。
2.従来の樹脂製配管部材に比べて、特に長期に使用される場合に防汚性、防曇性に優れ、長期使用においても透明性を保持することができる。
1.従来の樹脂製配管部材に比べて、特に長期に使用される場合に紫外線劣化による光透過率の低下が抑えられ、長期使用においても透明性を保持することができる。
2.従来の樹脂製配管部材に比べて、特に長期に使用される場合に防汚性、防曇性に優れ、長期使用においても透明性を保持することができる。
1…樹脂製配管部材(Y型ストレーナー)
2…母材
3…セパレーター層
4…光触媒層
5…ボディ
6…流入口
7…流出口
8…主流路
9…副流路
10…スクリーン
11…スクリーンサポート
12…ガイド
13…キャップナット
2…母材
3…セパレーター層
4…光触媒層
5…ボディ
6…流入口
7…流出口
8…主流路
9…副流路
10…スクリーン
11…スクリーンサポート
12…ガイド
13…キャップナット
Claims (9)
- 母材の外表面に内側から順に無機系材料を主体とするセパレーター層および光触媒層が形成され、且つ透明性を有することを特徴とする樹脂製配管部材。
- 母材がパイプ、継手、バルブ、ゲージカバー、ストレーナーであることを特徴とする請求項1記載の樹脂製配管部材。
- キセノンアーク光源の野外暴露試験装置(ウェザーメーター)による1800時間(照射エネルギー405,000KJ/m2、野外暴露1.5年相当)の強制劣化試験後の母材の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製配管部材。
- 湿度90%の雰囲気下で1時間静置後の光吸光度測定法による400〜700nm波長領域の透過率の減少率が20%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
- 前記セパレーター層が湿式塗布法によって形成された樹脂製配管部材であって、該セパレーター層を形成する時に使用される塗布液と前記母材との接触角が50°以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
- 前記塗布液の分散液がメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項5記載の樹脂製配管部材。
- 母材の外表面がプラズマ方式、コロナ放電、または火炎のいずれかの方法で表面処理されていることを特徴とする請求項5または6記載の樹脂製配管部材。
- 前記セパレーター層及び光触媒層が各々形成された後に40℃〜100℃で熱処理されてなることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
- 母材のJIS K7171による曲げ弾性率が500MPa以上であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の樹脂製配管部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004139558A JP2005321028A (ja) | 2004-05-10 | 2004-05-10 | 樹脂製配管部材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004139558A JP2005321028A (ja) | 2004-05-10 | 2004-05-10 | 樹脂製配管部材 |
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ID=35468451
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JP2004139558A Pending JP2005321028A (ja) | 2004-05-10 | 2004-05-10 | 樹脂製配管部材 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009222131A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 水垢堆積防止性樹脂製管材 |
JP2013129586A (ja) * | 2011-05-24 | 2013-07-04 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | ルチル型酸化チタン微粒子分散液の製造方法及び光触媒薄膜を表面に有する部材 |
JP2013129585A (ja) * | 2011-05-24 | 2013-07-04 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | アナターゼ型酸化チタン微粒子分散液の製造方法及び光触媒薄膜を表面に有する部材 |
US9463436B2 (en) | 2011-05-24 | 2016-10-11 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Method for manufacturing microparticulate anatase or rutile titanium oxide dispersion and component having photocatalytic thin film on surface |
-
2004
- 2004-05-10 JP JP2004139558A patent/JP2005321028A/ja active Pending
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