JP2007185556A - 光触媒層を形成した基材及び光触媒層形成用組成物 - Google Patents

光触媒層を形成した基材及び光触媒層形成用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】着雪・着氷を防止し、かつ、脱臭、防汚、抗菌、殺菌、有害物質除去、防曇作用などを有する光触媒層を備えた基材を提供する。
【解決手段】酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを40:60〜10:90の重量比率で含む光触媒層を備えた基材、或いは、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを含み、水との接触角に換算して22°〜67°の水濡れ性を示す光触媒層を備えた基材とする。上記酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb)であるのがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒層を形成した基材、該光触媒層を形成するための組成物、及び該基材からなり、屋外に設置する建造物の外装面を構成する外装部材に関する。
光触媒は、光を照射されると光触媒活性を発現して酸化作用を示し、有機物や空気汚染物質、更には細菌などを酸化分解することが知られている。また、光反応に基づいて表面を高度に親水化し、脱臭、防汚、抗菌、殺菌、有害物質除去、防曇作用などを発現することも知られている。
例えば特許文献1及び2などには、基材表面に、光触媒性酸化物を含有する層を形成することにより、光触媒の光励起に応じて前記基材表面を超親水性とした、すなわち水との接触角に換算して10°以下の水濡れ性を示すようにした光触媒親水性部材が開示されている。
基材表面が超親水性であれば、空気中の湿分や湯気が結露しても凝縮水が水滴とならず一様な水膜を形成し、表面に光散乱性の曇りを生じさせないばかりか、水との界面自由エネルギーによって付着した汚れ等の成分を浮き上がらせて除去する作用を発揮する。
また、特許文献3及び4には、平均粒子径や結晶構造等を限定した光触媒粒子を用いて光触媒層を形成し、透明性に優れた光触媒層としたものが開示されている。
特許第2943768号公報 特許第2756474号公報 特開2005−131552号公報 特開2005−137977号公報
しかし、上記のような光触媒層を表面に形成した基材は、寒冷地で用いた場合、基材の表面が凍結或いは積雪しやすいことがわかった。これは、光触媒層の親水性によって表面に水膜ができるため凍結しやすく、また凍結した面上に雪が積もりやすいためであると考えられる。このため、大雪地帯などで使用すると、光触媒層上に積雪し、この重みにより基材が破損してしまうおそれがあった。
本発明は、上記課題に鑑み、着雪・着氷を防止し、かつ、防汚性などをも有する光触媒層を備えた基材及び該光触媒層を形成するための組成物を提供せんとするものである。
本発明は、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを40:60〜10:90の重量比率で含む光触媒層を備えた基材を提供する。
酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを上記重量比率で配合して光触媒層を形成することにより、着雪・着氷を防止でき、防汚性などをも有する光触媒層となる。
本発明は、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを含み、水との接触角に換算して22°〜67°の水濡れ性を示す光触媒層を形成した基材をも提供する。
水との接触角を上記範囲とすることによっても、着雪・着氷を防止できる光触媒層となる。これは、これより接触角が小さいと光触媒の親水性により水の膜を作りやすくなるため着雪・着氷しやすくなり、また、これより接触角が大きいと撥水した水との摩擦力が大きくなり着雪・着氷しやすくなるためと思われる。
上記いずれかの基材において、酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb)とするのが好ましい。
このような組合せとすることにより、着雪・着氷の防止効果や脱臭、防汚、抗菌、殺菌、有害物質除去、防曇作用効果などをよりよく発揮するものとなる。
また、本発明は、光触媒層を形成するための組成物であって、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを40:60〜10:90の重量比率で含む光触媒層形成用組成物をも提供する。酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb)とするのが好ましい。
この組成物により、上記の如く、着雪・着氷を防止する光触媒層を形成できる。
上記基材から、テラス、バルコニー、カーポート等の屋外に設置する建造物の外装面を構成する外装部材を形成でき、凍結及び積雪し難い外装部材として利用することができる。
以下、実施形態に基づいて本発明を説明する。
但し、以下に説明する実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明の範囲が以下の実施形態に制限されるものではない。
本発明の一実施形態の基材は、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを含有する光触媒層形成用組成物を基材表面に塗布して形成することができる。
(光触媒層形成用組成物)
光触媒層形成用組成物は、基材上に光触媒層を形成するためのものであり、例えば、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを溶媒に混合した光触媒コート液とすることができる。
酸化チタン(TiO)は、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ブルックライト型二酸化チタンなどを使用できる。なかでも、光触媒反応の高活性なアナターゼ型二酸化チタンを主成分とするのが好ましい。これに、Fe,Co,Cu,Zn,Ru,Rh,Pd,Ag,Pt,Au等を付加してもよい。
酸化チタン(TiO)の粒子の粒径は、特に限定するものではないが、動的散乱測定法による平均粒径が1nm〜1,000nm、好ましくは3nm〜500nm、特に好ましくは5nm〜300nmとする。
また、酸化チタンの比表面積は、100℃乾燥後で50m/g以上であるのが好ましく、これ以上であれば大きな触媒効果を期待することができる。
酸化ニオブは、酸化ニオブ(NbO)、二酸化ニオブ(NbO)、五酸化ニオブ(Nb)などを挙げることができ、中でも五酸化ニオブを用いるのが好ましい。これら酸化ニオブは、市販されている工業用の酸化ニオブなどを用いることができる。
酸化ニオブの粒子の粒径は、特に限定するものではないが、平均粒径が1nm〜1,000nm、好ましくは3nm〜500nm、特に好ましくは5nm〜300nmとする。
酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとは、40:60〜10:90、好ましくは35:65〜15:85、より好ましくは30:70〜20:80の重量比率となるように混合する。
溶媒は、有機溶媒や水などを挙げることができ、これにシランカップリング剤等の無機バインダーを混合することもできる。
有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、及びそれらエステルであるセルソルブ、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等を用いることができる。中でも、一価低級アルコールのイソプロピルアルコール又はエチルアルコールを用いるのが好ましい。
無機バインダーとしては、シリカ化合物を用いるのが好ましく、そのシリカ化合物としては、4,3,2官能のアルコキシシラン、およびこれらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコンワニス等が使用できる。3,2官能のアルコキシシランは、一般的にはシランカップリング剤と呼ばれることも多いが、本発明ではシリコン1分子に1つ以上のアルコキシ基が結合している化合物をアルコキシシランと称する。
具体的に例示すると4官能アルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、3官能のアルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドプロポキシトリメトキシシラン、グリシロプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2官能のアルコキシシランとしてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
縮合物としては、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51等の4官能アルコキシシランの縮合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
加水分解物としては、アルコキシシラン類を有機溶媒と水及び触媒を使用して加水分解させたものが使用できる。これらのシリカ化合物の内、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51及びそれらの加水分解生成物であるアルコール性シリカゾルは膜を強固に固定でき、かつ比較的安価であることから特に好適である。かかるアルコール性シリカゾルの製造方法は、特に限定されることはなく、光触媒コート液内でアルコキシシランの加水分解反応を行ってもよいし、アルコキシシランを加水分解又は部分加水分解し、既にアルコール性シリカゾルとなったものを光触媒コート液に添加してもよい。
光触媒コート液は、溶媒に粉末状の酸化チタン(TiO)及び酸化ニオブを混合して調整することができるが、スラリー状或いはゾル状に調整した酸化チタン(TiO)及び酸化ニオブを混合して調整することもできる。これらは市販の二酸化チタンゾル、酸化ニオブゾルを用いることができる。
光触媒コート液の組成は、溶媒80〜98重量部に対して酸化チタン4〜0.4重量部、酸化ニオブ16〜1.6重量部、中でも溶媒85〜95重量部に対して酸化チタン3〜1重量部、酸化ニオブ12〜4重量部、中でも特に溶媒90〜93重量部に対して酸化チタン2〜1.4重量部、酸化ニオブ8〜5.6重量部とするのが好ましい。
(光触媒層)
光触媒層は、例えば、光触媒層形成用組成物として形成した光触媒コート液を基材上に直接塗布する方法や光触媒層転写フィルムを作製して転写法によって基材に転写する方法などにより形成できる。
基材上に直接塗布する方法による場合、塗布する手段は、特に限定するものではないが、例えば、グラビアコート、スプレーコート、ディップコート等、各種の塗布方法を選択しうる。中でも、グラビアコーターを用いるのが好ましい。コート液の塗布は、一回のみならず、複数回行ってもよい。
コート液を塗布した後、加熱乾燥させて光触媒層とすることができる。この際の乾燥加熱は、加熱温度80〜150℃、乾燥熱風風速1〜20m/秒、乾燥時間10〜120秒の条件で行うのがよい。
光触媒層の乾燥が完了した後、所要時間エージングを行うのが好ましい。これにより、コーティングした光触媒層の剥離強度を向上させることができる。エージングは、30〜60℃で30時間以上行うのが好ましい。
光触媒層の厚さは、0.01μm〜1μm、好ましくは0.03μm〜0.8μm、より好ましくは0.05μm〜0.5μmとする。
光触媒層転写フィルムを作製する場合、光触媒層転写フィルムは、例えば、剥離性保護フィルム上に光触媒コート液を塗布して光触媒層を形成し、その上に接着層を形成して作製することができる。
塗布する手段は、特に限定するものではないが、例えば、グラビアコート、スプレーコート、ディップコート等、各種の塗布方法を選択しうる。中でも、グラビアコーターを用いるのが好ましい。コート液の塗布は、一回のみならず、複数回行ってもよい。
剥離性保護フィルム(シートも含む)としては、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレンその他の合成樹脂の単層或いは複数層からなるフィルムが好適に用いることができる。紙類を用いることもできる。
剥離性保護フィルムの面上には、適宜表面処理を施してもよい。例えば、光触媒層との剥離性を向上させるため、シリコン、フッ素その他の離型剤を塗布して表面処理を施すことができる。
(接着層)
接着層は、基材に接着させるための層であり、基材の材質に応じて適宜選択することができる。例えば、基材が合成樹脂材で構成される場合、接着層は、アクリル樹脂、アクリル変性シリコン樹脂化合物、シリコン変性アクリル樹脂化合物を主要成分として含むものを用いて形成することができる。
接着層の厚さは、特に限定するものではないが、0.1μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましくは0.5μm〜10μmとする。
なお、接着層(接着剤)内に光触媒粒子を含有させてもよい。
基材表面に光触媒層を形成する際、基材と光触媒層との間に、光触媒層の光触媒作用から基材を保護する保護層を形成してもよい。保護層は、基材と光触媒層との密着性を強固とすると共に、光触媒作用によって基材表面が侵されることから保護する役割を果たすことができる。
(保護層)
保護層は、無機酸化物粒子、シリコン樹脂、シリコン樹脂の前躯体、シリカ前躯体などから形成することができる。アクリルシリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、アルコキシランのいずれか或いはこれらの2種類以上の組み合わせから形成するのが好ましい。
(基材)
基材は、表面に光触媒層を形成する対象物であり、目的や用途に応じて、シート、フィルムの他、棒状体、筒状体、箱状体、ボトル体、各種積層体その他の形状の成形品等を対象とすることができ、紙やアルミニウム等の金属層を含む複合材であってもよい。特に、テラス、バルコニー、カーポート等の屋外に設置する建造物の外装面を構成する外装部材の表面に光触媒層を形成することにより、着雪・着氷を防止でき、脱臭、防汚、抗菌、殺菌、有害物質除去、防曇作用などを有するものとなる。
基材表面に形成した光触媒層は、水との接触角に換算して22°〜67°、中でも25°〜65°、特に中でも28°〜63°の水濡れ性を示すのがよい。水との接着角は、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとの配合量を変えることにより調整できる。
これにより、着雪・着氷を防止できる光触媒層となる。これは、上記より接触角が小さいと光触媒の親水性により水の膜を作りやすくなるため着雪・着氷しやすくなり、また、上記より接触角が大きいと撥水した水との摩擦力が大きくなり着雪・着氷しやすくなるためと思われる。
さらに、基材表面に形成した光触媒層は、メチレンブルー分解指数に換算して0.1(μモル/分)〜25(μモル/分)、好ましくは0.5(μモル/分)〜15(μモル/分)を示すのがよい。メチレンブルー分解指数は、酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとの配合量を変えることにより調整できる。
なお、メチレンブルー分解指数は、以下のように測定できる。
<メチレンブルー湿式分解速度測定法による分解指数評価>
「光触媒製品フォーラム」策定によるメチレンブルー湿式分解速度測定法に従い実施例及び比較例の評価を行うことができる。測定の詳細手順は次の通りである。
なお、屋外用の防汚効果を発現させる為にはメチレンブルー分解指数としては0.1以上を有することが望ましいが、分解指数が高くなる程、光触媒の持つ分解力も高いことを示すので、長期に渡る耐久性の観点からは10以下が好ましいと考えて評価するのがよい。
〔測定方法〕
詳細は、「光触媒製品フォーラム」が策定する「光触媒製品における湿式分解性能試験方法(2004.05.28改訂)」を参照されたい。
被分解有機物としてメチレンブルー(C1618S・Cl)を用いる。
ブラックライト蛍光ランプには、ピーク波長352nmで半値幅が40nmの光を放出するブラックライト蛍光ランプ(蛍光体としてBaSi:Pbを使用し、可視光吸収ガラス管を使用した蛍光ランプ)であって、直管形20Wのものを用いる。
紫外線照度計としては、ピーク感度波長が360nmである受光器を備えた紫外線照度計(株式会社トプコン製「UVR−2 (受光器UD−36)」)を用いる。
1、試験片の調製
製品の平らな部分を60±2mm角の大きさに切り取り、これを標準の大きさの試験片とする。試験片3個と、同じ大きさのガラス板1個を準備する。
2、試験片の清浄化
試験片全面を溶剤(エタノール)で洗浄した後、精製水で洗浄し、標準状態の実験室で24時間以上乾燥させる。洗浄後の試験片に、ブラックライト蛍光ランプにて、1mW/cm以上の紫外線を24時間以上照射し、洗浄後も残留した有機物汚れを光触媒により分解させる。
3、メチレンブルー吸着液、メチレンブルー試験液の調製
メチレンブルー三水和物を精製水に完全に溶解させ、希釈する。
メチレンブルー吸着液は、0.02±0.002mmol/L、メチレンブルー試験液は0.01±0.001mmol/Lの濃度とする。
4、試験片の実験準備
試験セルの、試験片と接する面にシリコーングリースを塗布し、全ての試験片の試験面(;光触媒加工が施されている表面)の中央に置いて、上から押しつけて固定する。
5、紫外線強度の調整
ガラス板に試験セルを固定し、この試験セル内にメチレンブルー試験液35.0±0.3molを入れ、乾燥を防ぐためにカバーガラスで蓋をする。
試験セルの中心と紫外線照度計受光部の中心とが一致するように、紫外線照度計をあて、カバーガラス、メチレンブルー試験液、ガラス板を通過した紫外線の強度を測定し、試験片表面での紫外線強度が1.0±0.05mW/cmとなるような、すなわち式(1)を満たすようなブラックライト蛍光ランプと試験片の位置関係を決める。同時に試験する試験片の個数分について、試験片表面での紫外線強度が1.0±0.05mW/cmとなるような位置関係を決める。
I(mW/cm)×100/Tglass(%)=1.0(mW/cm) ・・・式(1)
ここで、I:紫外線照度計の読み(mW/cm)、Tglass:ガラス板の360nmにおける透過率(%)
カバーガラス:カバーガラスの材質や厚みは特に規定しないが、紫外線を通しやすくするためには薄い物が望ましい。
カバーガラスの大きさは、50±2mm角の正方形を標準とする。
ブラックライト蛍光ランプ:ブラックライト蛍光ランプは、電源を入れた直後は出力が安定しないため、試験20分以上前に電源を入れて、試験開始時には安定させておく。
6、メチレンブルーの吸着
3個の試験片上の試験セルの中に、メチレンブルー吸着液35.0±0.3mlを注入してカバーガラスで蓋をし、光が照射されないように注意を払いながら、吸着飽和状態に達するまでメチレンブルーを吸着させる。12時間吸着後、液を取り出し、吸光スペクトルを測定する。
この吸光度がメチレンブルー試験液の吸光度より高い場合は、吸着を完了する。
吸光度がメチレンブルー試験液の吸光度より低い場合は、メチレンブルー吸着液を新しいもの(濃度0.02±0.002mmol/l)に交換し、再度12時間吸着して吸光スペクトルを測定する。この様にして、吸着操作後のメチレンブルー吸着液の濃度がメチレンブルー試験液の濃度より高くなるまで、繰り返す。
なお、吸光スペクトルの測定は、対照セルに精製水を入れて、測定を行なう。測定セルに必要な分量のメチレンブルー試験液または吸着液をピペットで試験セルから採取し、600〜700nmの波長域での吸光スペクトルを1nm間隔で分光光度計にて測定する。
7、初期吸光スペクトルの測定
メチレンブルー試験液の吸光スペクトルを測定し、これを初期吸光スペクトルとする。
8、紫外線照射によるメチレンブルー分解
メチレンブルーの吸着が終了したら、試験片上の試験セル中のメチレンブルー吸着液を取り出し、新しいメチレンブルー試験液35.0±0.3mlを注入し、全ての試験片に、1.0±0.05mW/cmの紫外線を20分照射する。照射後直ちに、メチレンブルー試験液の吸光スペクトルを測定する。
このような手順で紫外線を20分照射して吸光スペクトルを測定する作業を、照射時間の合計が3時間になるまで(9回)繰り返す。
以下、本発明の実施例を挙げて説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に示さない限り「%」は「重量%」を示す。
(実施例1)
酸化チタンゾル10重量部(TiO濃度4%、多木化学社製、商品名「CZP−MP4」)と酸化ニオブゾル90重量部(Nb濃度4%、多木化学社製、商品名「バイラールNb−X10」)とを室温で30分間混合攪拌してコート液を作製した。
次に、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上に、多木化学社製の商品名「タイノックプライマーA」(固形分としてシリコン変性樹脂20%、コロイダルシリカ30%に溶媒としてエタノール20%、2−プロパノール20%、純粋10%を配合したもの)をグラビアコーターでコートし、厚さ0.2μmの保護層を形成した。
保護層上に上記コート液をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの光触媒層を形成し、光触媒層を表面に形成した基材を作製した。
(実施例2)
酸化チタンゾル40重量部(TiO濃度4%、多木化学社製、商品名「CZP−MP4」)と酸化ニオブゾル60重量部(Nb濃度4%、多木化学社製、商品名「バイラールNb−X10」)とを室温で30分間混合攪拌してコート液を作製した。
次に、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上に、多木化学社製の商品名「タイノックプライマーA」(固形分としてシリコン変性樹脂20%、コロイダルシリカ30%に溶媒としてエタノール20%、2−プロパノール20%、純粋10%を配合したもの)をグラビアコーターでコートし、厚さ0.2μmの保護層を形成した。
保護層上に上記コート液をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの光触媒層を形成し、光触媒層を表面に形成した基材を作製した。
(比較例1)
酸化チタンゾル5重量部(TiO濃度4%、多木化学社製、商品名「CZP−MP4」)と酸化ニオブゾル95重量部(Nb濃度4%、多木化学社製、商品名「バイラールNb−X10」)とを室温で30分間混合攪拌してコート液を作製した。
次に、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上に、多木化学社製の商品名「タイノックプライマーA」(固形分としてシリコン変性樹脂20%、コロイダルシリカ30%に溶媒としてエタノール20%、2−プロパノール20%、純粋10%を配合したもの)をグラビアコーターでコートし、厚さ0.2μmの保護層を形成した。
保護層上に上記コート液をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの光触媒層を形成し、光触媒層を表面に形成した基材を作製した。
(比較例2)
酸化チタンゾル45重量部(TiO濃度4%、多木化学社製、商品名「CZP−MP4」)と酸化ニオブゾル55重量部(Nb濃度4%、多木化学社製、商品名「バイラールNb−X10」)とを室温で30分間混合攪拌してコート液を作製した。
次に、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上に、多木化学社製の商品名「タイノックプライマーA」(固形分としてシリコン変性樹脂20%、コロイダルシリカ30%に溶媒としてエタノール20%、2−プロパノール20%、純粋10%を配合したもの)をグラビアコーターでコートし、厚さ0.2μmの保護層を形成した。
保護層上に上記コート液をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの光触媒層を形成し、光触媒層を表面に形成した基材を作製した。
(比較例3)
酸化チタンコート液(TiO濃度10%、多木化学社製、商品名「CSAM−18」)をコート液として用いた。
次に、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上に多木化学社製の商品名「タイノックプライマーA」(固形分としてシリコン変性樹脂20%、コロイダルシリカ30%に溶媒としてエタノール20%、2−プロパノール20%、純粋10%を配合したもの)をグラビアコーターでコートし、厚さ0.2μmの保護層を形成した。
保護層上に上記コート液をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの光触媒層を形成し、光触媒層を表面に形成した基材を作製した。
(比較例4)
比較対象として、撥水層を表面に形成した基材を作製した。
これは、基材(「サンデュレンNR−38」,カネカ社製)上にフッ素系界面活性剤(フッ素系脂肪族系ポリマーエステル100%、住友スリーエム社製、商品名「フローラドFC−4430」)をグラビアコーターでコートして厚さ0.1μmの撥水層を形成したものである。
(試験)
上記実施例及び比較例で得た基材について、親水性試験、着雪試験、汚れ付着試験、サンシャインウェザー耐久試験を行った。
(親水性試験)
実施例1,2及び比較例1〜4の基材の光触媒層又は撥水層に対してブラックライトブルーランプ(松下電器製「FL−40S BLB」)を用いて1mW/cm・secの紫外線を連続照射し、照射した時に到達した最小の接触角(限界接触角という。)を接触角計(協和界面社製「Drop Master500」)で測定した。
この結果を下記表1に示す。
(着雪試験)
実施例1,2及び比較例1〜4の基材を30cm×30cmの大きさに切断し、光触媒層を上方に向けて屋外に放置し、曝露試験を行った。場所は滋賀県長浜市三ツ矢町で行い、2004年12月の降雪時に各基材上に着雪した雪の重量を測定した。測定した日の外気温は摂氏2℃であった。
この結果を下記表1に示す。なお、表1では基材1m当たりに換算した値を示している。
(汚れ付着試験)
実施例1,2及び比較例1〜4の基材を30cm×30cmの大きさに切断し、光触媒層を上方に向けて屋外に放置し、曝露試験を行った。期間は2004年5月〜11月、場所は滋賀県長浜市三ツ矢町で行い、この期間中の平均紫外線強度は1.0mW/cm・sec、降雨量は約1,200mmであった。
試験後の各基材の重量を測定し、その後、各基材を水で汚れを洗い流してから再度重量を測定し、これらの重量差を汚れの付着量として測定した。
この結果を下記表1に示す。なお、表1では基材1m当たりに換算した値を示している。
(サンシャインウェザー耐久性試験)
JISB7753「サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機」に基づき、スガ試験機社製「WEL−SUN−DC」を用いて試験を行った。
光源としてはサンシャインカーボンアーク灯を用い、紫外線強度は、255W/m(300〜700nm)、温度範囲は、外気温+10〜60℃、湿度範囲は、30〜70%RH(ブラックパネル63℃において)で行い、標準条件は、63℃、降雨18分/120分であった。
実施例1,2及び比較例1〜4の基材を、目視で観察した結果を下記表1に示す。
Figure 2007185556
(結果)
着雪量は、実施例1,2では、200又は250g/mであり、比較例1〜4では、500〜1,200g/mである。実施例1,2の着雪量は少ないことが確認された。
また、着雪量と限界接触角を比較すると、限界接触角が22°以上67°以下であると着雪量は少なくなり、72°以上又は15°以下であると着雪量が多くなることが確認された。
汚れ付着量は、光触媒層を形成した実施例1、2及び比較例1〜3では、1.0〜2.5mg/mであり、光触媒層を形成しなかった比較例4は3.5mg/mである。実施例1,2は、光触媒による防汚性をも有していることが確認された。
サンシャインウェザー耐久性は、実施例1,2では、ともに2,000時間で変化がなく、実施例1,2は、太陽光に曝されても耐久性を有するものであることが確認された。

Claims (6)

  1. 酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを40:60〜10:90の重量比率で含む光触媒層を備えた基材。
  2. 酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを含み、水との接触角に換算して22°〜67°の水濡れ性を示す光触媒層を備えた基材。
  3. 酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb)である請求項1又は2に記載の基材。
  4. 光触媒層を形成するための組成物であって、
    酸化チタン(TiO)と酸化ニオブとを40:60〜10:90の重量比率で含む光触媒層形成用組成物。
  5. 酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb)である請求項4に記載の光触媒層形成用組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の基材からなり、屋外に設置する建造物の外装面を構成する外装部材。
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