JP2021021450A - 配管 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐圧性に優れ、かつ線膨張係数が小さい配管を提供する。【解決手段】樹脂と繊維14とを含む管状の繊維強化樹脂層11を備え、繊維のうち特定の繊維の配向角度をθ1としたときに下記条件(A)〜(B)を満たす配管10。条件(A):繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域において、θ1=65°±25°で配向している繊維が、その領域に含まれる繊維の総本数に対して50%以上。条件(B):繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域において、θ1=65°±25°で配向している繊維が、その領域に含まれる繊維の総本数に対して50%未満。条件(C):繊維強化樹脂層の内表面の任意の領域において、θ1=65°±25°で配向している繊維が、その領域に含まれる繊維の総本数に対して50%以上。【選択図】図1

Description

本発明は、配管に関する。
空調・衛生分野の冷温水配管、冷却水配管やプラント分野の洗浄液配管には、使用時に高圧の水が流れ、さらに温度変化が生じやすい。そのため、従来、配管としては、線膨張係数が小さく、かつ耐圧性の高い金属管や、樹脂で被覆された金属管が用いられていた。
近年、腐食、施工性(重量)、耐震性などの観点から、金属管から樹脂管への代替需要が高まりつつある。
所望の線膨張係数と耐圧性を樹脂管で達成する手段として、樹脂管に金属を複合する方法、樹脂管に繊維を複合する方法が知られている。
金属を複合した樹脂管としては、アルミ複層管が知られている(例えば非特許文献1参照)。
繊維を複合する方法としては、長繊維の織布を樹脂管の外表面に巻く方法(例えば特許文献1〜4参照)、短繊維を樹脂に配合し、樹脂管の軸線方向に配向させる方法(例えば特許文献5参照)、短繊維を樹脂に配合し、樹脂管の周方向に配向させる方法(例えば特許文献6参照)などが知られている。
特許第5006355号公報 特許第5415995号公報 特開2009−30687号公報 特開2015−34591号公報 特開2016−196122号公報 特開2016−196914号公報
「エスロンスーパーエスロメタックスシリーズカタログ」、積水化学工業株式会社、2019年2月、改訂1版、第7頁
しかしながら、樹脂管に金属を複合する方法は、コストがかかるばかりか、外径が60.5mm(50A)以上の大口径の樹脂管を製造するには不向きである。
長繊維の織布を樹脂管の外表面に巻く方法の場合、長繊維の織布が高価であるため、コストがかかる。また、長繊維の織布が樹脂管を構成する樹脂と溶融状態で一体化しにくいため、線膨張係数を必ずしも小さくできない。
短繊維を樹脂管の軸線方向に配向させる方法の場合、軸線方向の補強効果はあるものの、耐圧性能に寄与する周方向には補強効果がないため、樹脂管には一定の厚さが必要となる。そのため、外径が267.4mm(250A)以上の大口径の樹脂管を製造するには不向きである。
短繊維を樹脂管の周方向に配向させる方法の場合、耐圧性をある程度高めることができるものの、樹脂管にはさらなる耐圧性の向上が求められる。
本発明は、耐圧性に優れ、かつ線膨張係数が小さい配管を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 樹脂と、平均繊維長が15mm以下の繊維とを含む管状の繊維強化樹脂層を備える配管であって、
前記配管の内表面に、前記配管の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有し、
前記配管の任意の領域の平面視において、前記配管の軸線方向の一方を0°とし、前記軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を−90°としたときに、前記軸線方向と前記成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超、90°未満であり、
前記軸線方向と下記繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である下記繊維Fの配向角度θ1が下記条件(A)、(B)及び(C)を満たす、配管。
条件(A):前記繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(α)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
条件(B):前記繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%未満である。
条件(C):前記繊維強化樹脂層の内表面の任意の領域(γ)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(γ)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
繊維F:前記繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のうち、前記距離Lが前記平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
[2] 前記繊維Fの配向角度θ1が下記条件(D)をさらに満たす、[1]の配管。
条件(D):前記繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=0°±45°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
[3] 前記繊維の平均繊維長/前記繊維の平均繊維径で表されるアスペクト比が20以上である、[1]又は[2]の配管。
[4] 前記繊維がガラス繊維である、[1]〜[3]のいずれかの配管。
[5] 前記繊維強化樹脂層の内表面及び外表面の少なくとも一方が、樹脂を含む樹脂層で被覆されている、[1]〜[4]のいずれかの配管。
[6] 前記繊維強化樹脂層及び前記樹脂層に含まれる樹脂がポリオレフィン樹脂である、[5]の配管。
本発明によれば、耐圧性に優れ、かつ線膨張係数が小さい配管を提供できる。
本発明の一実施形態に係る配管を模式的に示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)に示すI−I線に沿う断面図であり、(c)は平面図である。 配管の繊維強化樹脂層における繊維の配向角度を説明するための図である。 配管の第1の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。 配管の第2の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。 配管の製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の配管について、実施形態を示して説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る配管を示す図である。図1(a)は断面図であり、図1(b)は(a)に示すI−I線に沿う断面図であり、図1(c)は平面図である。
なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
この例の配管10は、樹脂と繊維14とを含む管状の繊維強化樹脂層11を備え、繊維強化樹脂層11の内表面及び外表面は、樹脂を含む樹脂層12,13で被覆されている。
本発明においては、繊維強化樹脂層11の内表面上に配置された樹脂層12を「第1の樹脂層12」ともいい、繊維強化樹脂層11の外表面上に配置された樹脂層13を「第2の樹脂層13」ともいう。
すなわち、配管10は、第1の樹脂層12と、繊維強化樹脂層11と、第2の樹脂層13とを備える複層管である。この例において、第1の樹脂層12は最も内側の層(最内層)であり、表面層である。繊維強化樹脂層11は中間層である。第2の樹脂層13は最も外側の層(最外層)であり、表面層である。第1の樹脂層12と、繊維強化樹脂層11と、第2の樹脂層13とはそれぞれ管状である。
なお、図1(b)、(c)において、1本の繊維14を模式的に示した。
図1(b)に示すように、配管10は、内表面において、配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
本実施形態において、配管10の内表面は、第1の樹脂層12の内表面である。
<繊維強化樹脂層>
繊維強化樹脂層11は、樹脂と繊維14とを含む。
繊維強化樹脂層11に含まれる繊維14のうち、以下の構成を満足する繊維を「繊維F」とする。
繊維F:繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層の断面において観察される繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される繊維のうち、距離Lが平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
図2は、繊維強化樹脂層における繊維14の配向角度を説明するための図である。
図2の上段には、繊維強化樹脂層に含まれる繊維14のうち、配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層の断面において観察される繊維141と繊維142が示されている。
繊維141は、一端141aと他端141bとを有する。繊維141は、配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層の断面での長さ方向の距離L(一端141aと他端141bとの距離)が、繊維自体の平均繊維径Dの2倍以上である繊維である。すなわち、繊維141は、前記繊維Fである。
繊維142は、一端142aと他端142bとを有する。繊維142は配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層の断面での長さ方向の距離L(一端142aと他端142bとの距離)が前記平均繊維径Dの2倍未満である繊維である。繊維142は、前記繊維Fとは異なる。
配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層の断面において観察される繊維14は、繊維141(繊維F)と繊維142とのうちのいずれか一方に分類できる。
図2の下段には、繊維強化樹脂層の任意の領域を平面視したときの、配管の軸線方向及び周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向、繊維強化樹脂層に含まれる繊維の配向角度が示されている。
Xは、配管の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち配管の周方向である。
L1は、繊維Fの配向方向である。
L2は、配管の内表面に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
θ1は、軸線方向Xと繊維Fとのなす角度、すなわち軸線方向Xと繊維Fの配向方向L1とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ1を繊維Fの配向角度とする。
θ2は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち軸線方向Xと螺旋方向L2とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ2を配管の内表面に形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
図2に示すように、配管の任意の領域の平面視において、配管の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を−90°としたときに、配管の内表面に形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2が0°超、90°未満である。これは、配管の任意の領域の平面視において、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2がプラスであることを意味する。
配管の内表面に形成された螺旋状の成形痕については、第1の樹脂層12において説明する。
繊維Fの配向角度θ1は、下記条件(A)、(B)及び(C)を満たす。繊維Fの配向角度θ1は、下記条件(D)をさらに満たすことが好ましい。
条件(A):繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(α)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
条件(B):繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%未満である。
条件(C):繊維強化樹脂層の内表面の任意の領域(γ)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(γ)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
条件(D):繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=0°±45°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
繊維の配向角度θ1が条件(A)、(B)及び(C)を満たしていれば、配管の耐圧性が向上する。加えて、配管の線膨張係数が小さくなる。特に繊維の配向角度θ1が条件(D)をさらに満たしていれば、線膨張係数がより小さくなる。
条件(A)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(α)に含まれる繊維Fの総本数に対して55%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、100%に近いほど好ましい。
条件(B)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して45%以下であることが好ましく、より好ましくは34%以下である。
条件(C)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(γ)に含まれる繊維Fの総本数に対して55%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、100%に近いほど好ましい。
条件(D)において、θ1=0°±45°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して55%以上であることが好ましい。
繊維Fの配向角度θ1は、配管の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度などを調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、繊維強化樹脂層の内表面及び外表面において繊維Fの配向角度θ1は大きくなり、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部において繊維Fの配向角度θ1は小さくなる傾向にある。
なお、繊維Fの配向角度θ1が0°である場合には、繊維Fの配向方向L1が配管の軸線方向Xと一致する。
繊維Fの配向角度θ1が90°である場合には、繊維Fの配向方向L1が配管の周方向(軸線方向Xに対して垂直方向Y)と一致する。
繊維Fの配向角度θ1及び個数割合は、以下のようにして求めることができる。
配管の任意の領域において、繊維強化樹脂層の外表面が露出するまで配管を外表面から軸線方向にスライスし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られた断面(任意の領域(α))を撮影する。画像解析ソフトを用いて、顕微鏡写真に撮影された繊維のうち、一端と他端との距離Lが繊維自体の平均繊維径Dの2倍以上である繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求める。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合を算出する。
次いで、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部に到達するまで配管の軸線方向に繊維強化樹脂層をスライスし、SEMを用いて得られた断面(任意の領域(β))を撮影する。画像解析ソフトを用いて、繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求める。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合と、θ1=0°±45°で配向している繊維Fの個数割合を算出する。
次いで、繊維強化樹脂層の内表面に到達するまで配管の軸線方向に繊維強化樹脂層をスライスし、SEMを用いて得られた断面(任意の領域(γ))を撮影する。画像解析ソフトを用いて、繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求める。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合を算出する。
なお、「繊維強化樹脂層の外表面が露出するまで」とは、繊維強化樹脂層の外表面から内側1mm以内の領域に到達するまでを意味する。「繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部に到達するまで」とは、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心から±1mm以内の領域に到達するまでを意味する。「繊維強化樹脂層の内表面に到達するまで」とは、繊維強化樹脂層の内表面から内側1mm以内の領域に到達するまでを意味する。
走査型電子顕微鏡での撮影条件としては、例えば、蒸着厚さ10nm、加速電圧15kV、倍率25倍の条件等が挙げられる。
繊維強化樹脂層11の厚さは、配管の厚さの40〜80%であることが好ましく、より好ましくは50〜70%である。繊維強化樹脂層11の厚さが上記下限値以上であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、配管の線膨張係数がより小さくなる。繊維強化樹脂層11の厚さが上記上限値以下であれば、寸法安定性がより一層良好になる。
なお、繊維強化樹脂層11の厚さは平均厚さを表し、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
繊維強化樹脂層11に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、配管の耐圧性をより一層高める観点及び配管を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、配管の耐圧性をより一層高める観点及び配管を軽量にする観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンであることが好ましい。
これらポリオレフィン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレンであってもよく、直鎖低密度ポリエチレンであってもよく、高密度ポリエチレンであってもよく、抗耐熱ポリエチレン(PE−RT)であってもよい。
ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、エチレンを含むモノマーの共重合体等が挙げられる。ポリエチレンが共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリエチレンを構成する全モノマー単位の総質量に対して、50質量%以上がエチレン単位であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを含むモノマーの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレンが共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリプロピレンを構成する全モノマー単位の総質量に対して、50質量%以上がプロピレン単位であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
繊維強化樹脂層11の総質量に対して、樹脂の含有量は50質量%以上が好ましく、より好ましくは65質量%以上である。また、繊維強化樹脂層11の総質量に対して、樹脂の含有量は90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下である。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。
繊維強化樹脂層11に含まれる繊維は、無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。繊維は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素複合繊維、ボロン繊維、金属繊維、バサルト繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられる。
これらの中でも、配管の耐圧性をより一層高める観点からは、ガラス繊維が好ましい。
繊維の平均繊維長は、100μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上である。また、繊維の平均繊維長は、15mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは500μm以下である。繊維の平均繊維長が上記下限値以上であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。繊維の平均繊維長が上記上限値以下であれば、繊維が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維の平均繊維径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、繊維の平均繊維径は、17μm以下が好ましく、より好ましくは13μm以下である。繊維の平均繊維径が上記下限値以上であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。繊維の平均繊維径が上記上限値以下であれば、繊維が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、以下のようにして求めることができる。
まず、配管の任意の領域において、繊維強化樹脂層が露出するまで配管を外表面から軸線方向に沿ってスライスする。次いで、SEMを用いて露出した繊維強化樹脂層を撮影し、撮影した顕微鏡写真から、1本の繊維の繊維長及び繊維径を求める。任意に選択した5000本の繊維について繊維長及び繊維径をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
なお、「繊維長」とは、繊維を直線状にした場合の上記繊維の一端と他端との距離である。「繊維強化樹脂層が露出するまで」とは、繊維強化樹脂層の厚さ方向における任意の位置に到達するまでを意味する。
走査型電子顕微鏡での撮影条件としては、例えば、蒸着厚さ10nm、加速電圧15kV、倍率25倍の条件等が挙げられる。
繊維の平均繊維長/繊維の平均繊維径で表されるアスペクト比は、20以上が好ましく、より好ましくは25以上であり、さらに好ましくは30以上である。また、アスペクト比は、100以下が好ましく、より好ましくは80以下であり、さらに好ましくは70以下であり、特に好ましくは50以下であり、最も好ましくは35以下である。アスペクト比が上記下限値以上であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。アスペクト比が上記上限値以下であれば、繊維が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維強化樹脂層11の総質量に対して、繊維の含有量は10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。また、繊維強化樹脂層11の総質量に対して、繊維の含有量は40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。繊維の含有量が上記範囲内であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。
繊維強化樹脂層11は、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、相溶化剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料及び可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、相溶化剤が好ましい。
これら添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
相溶化剤としては特に限定されず、マレイン酸変性ポリオレフィン、シラン変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。なお、これらの相溶化剤は、上記ポリオレフィン樹脂に含まれない。
これら相溶化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。
熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。
有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
これら熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱安定化助剤としては特に限定されず、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。
これら熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
滑剤としては特に限定されず、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。
外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。
これら滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。
アクリル系加工助剤としては、質量平均分子量が10万〜200万であるアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
これら加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム等が挙げられる。
これら衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
耐熱向上剤としては特に限定されず、α−メチルスチレン系樹脂、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
これら耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これら光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
これら充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
顔料としては特に限定されず、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、フェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。
これら顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形体の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。
可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
これら可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
<第1の樹脂層>
第1の樹脂層12は、樹脂を含む。
第1の樹脂層12は、図1(b)に示すように、内表面において、配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、螺旋状に延びる凸部12aにより形成されている。第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、後述するように、配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじることによりできる成形痕であり、主に配管の偏肉由来の凹凸によって発生する。第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、目視にて識別可能である。
第1の樹脂層12は、内表面において、螺旋状の成形痕を形成してない凸部等を有していてもよい。
なお、図1(a)において、凸部12aは図示していない。
凸部12aは、突条であることが好ましく、また、帯状であってもよい。
第1の樹脂層12において、螺旋状の成形痕は、螺旋方向にて全体が連なっていてもよく、部分的に途切れていてもよい。
配管10の耐圧性をより一層高める観点からは、凸部12aの平均高さは、0mmを超え、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。凸部12aの平均高さは、2mmを超えてもよいが、凸部12aの平均高さは小さいほど好ましい。
凸部12aの高さは、螺旋方向と直交する方向における最大高さ位置にて測定される。凸部12aの高さは、凸部12aがある部分のみで測定される。凸部12aの平均高さは、例えば、螺旋方向に離れて任意に選択した50箇所以上の位置における凸部12aの高さを測定し、平均値を算出することにより求めることができる。凸部12a全体の高さを測定し、平均値を算出してもよい。
凸部12aの高さは、非接触式三次元測定機を用いて測定することができる。
図3は、第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。図3の上段には、図1(a)に示すI−I線に沿う第1の樹脂層12の断面図が示されている。なお、繊維強化樹脂層及び第2の樹脂層は図示していない。図3の下段には、第1の樹脂層の任意の領域を平面視したときの、配管の軸線方向及び周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向が示されている。
Xは、配管の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち配管の周方向である。
L2は、第1の樹脂層の内表面(すなわち、配管の内表面)に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
θ2は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち軸線方向Xと螺旋方向L2とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ2を第1の樹脂層の内表面に形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
図3に示すように、第1の樹脂層の任意の領域の平面視において、配管の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を−90°としたときに、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2が0°超、90°未満である。これは、第1の樹脂層の任意の領域の平面視において、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2がプラスであることを意味する。
耐圧性を高める観点から、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2の平均値は、40〜80°が好ましく、より好ましくは60〜80°であり、さらに好ましくは65〜80°である。螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2の平均値は、65°に近いほど好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2は、配管の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度などを調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2は大きくなる傾向にある。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2及びその平均値は、以下のようにして求めることができる。
配管の内表面の任意の点から、配管の軸線方向に対して水平に線を引く。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2を測定する。規定の生産量(例えば4m)毎に傾斜角度θ2をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
第1の樹脂層12の厚さは、配管の厚さの10〜30%であることが好ましく、より好ましくは15〜25%である。第1の樹脂層12の厚さが上記下限値以上であれば、クリープ性能及び寸法安定性がより一層良好になる。第1の樹脂層12の厚さが上記上限値以下であれば、繊維強化樹脂層の割合が増えることで、配管の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、配管の線膨張係数がより小さくなる。
なお、第1の樹脂層12の厚さは平均厚さを表し、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
第1の樹脂層12に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、配管の耐圧性をより一層高める観点及び配管を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、繊維強化樹脂層の説明において先に例示したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
第1の樹脂層12に含まれる樹脂と、繊維強化樹脂層に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。また、第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は100質量%以下が好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。
第1の樹脂層12は、必要に応じて繊維や各種の添加剤を含んでいてもよい。
繊維及び添加剤としては、それぞれ繊維強化樹脂層の説明において先に例示した繊維及び添加剤が挙げられる。
<第2の樹脂層>
第2の樹脂層13は、樹脂を含む。
第2の樹脂層13は、図1(c)に示すように、外表面において、配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、螺旋状に延びる凸部13aにより形成されている。第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、後述するように、配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじることによりできる成形痕であり、主に成形時の転写痕(例えば金型内の凹凸、金型先端部の凹凸、フォーミングの凹凸、フォーミング入口の摩擦による傷、冷却水槽内のローラ等の部材との摩擦による傷など)によって発生する。第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、目視にて識別可能である。
第2の樹脂層13は、外表面において、螺旋状の成形痕を形成してない凸部等を有していてもよい。
なお、図1(a)、(b)において、凸部13aは図示していない。
凸部13aは、突条であることが好ましく、また、帯状であってもよい。
第2の樹脂層13において、螺旋状の成形痕は、螺旋方向にて全体が連なっていてもよく、部分的に途切れていてもよい。
第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕を形成している凸部13aの平均高さは、0mmを超え、好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは0.05mm以下である。凸部13aの平均高さは、0.2mmを超えてもよいが、凸部13aの平均高さは小さいほど好ましく、略0mmであることが最も好ましい。
凸部13aの平均高さは、凸部12aの平均高さよりも大きくてもよく、同一でもよく、小さくてもよい。
第2の樹脂層13における螺旋状の形成痕は、例えば、擦り傷程度に視認されてもよい。
凸部13aの高さは、凸部12aの高さと同様にして測定される。
図4は、第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。図4の上段には、配管の平面図が示されている。図4の下段には、第2の樹脂層の任意の領域を平面視したときの、配管の軸線方向及び周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向が示されている。
Xは、配管の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち配管の周方向である。
L3は、第2の樹脂層の外表面(すなわち、配管の外表面)に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
θ3は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち軸線方向Xと螺旋方向L3とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ3を第2の樹脂層の外表面に形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
図4に示すように、第2の樹脂層の任意の領域の平面視において、配管の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を−90°としたときに、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3が0°超、90°未満である。これは、第2の樹脂層の任意の領域の平面視において、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3がプラスであることを意味する。
耐圧性を高める観点から、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3の平均値は、30°以上が好ましく、より好ましくは60°以上であり、さらに好ましくは65°以上である。螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3の平均値は、大きいほど好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3は、配管の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度などを調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4は大きくなる傾向にある。
配管の耐圧性をより一層高める観点から、第1の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2の平均値と、第2の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3の平均値との差の絶対値が5°以下であることが好ましく、より好ましくは3°以下であり、さらに好ましくは1°以下であり、特に好ましくは0°である。すなわち、傾斜角度θ2の平均値と、傾斜角度θ3の平均値とは一致していることが特に好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3及びその平均値は、以下のようにして求めることができる。
配管の外表面の任意の点から、配管の軸線方向に対して水平に線を引く。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3を測定する。規定の生産量(例えば4m)毎に傾斜角度θ3をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
第2の樹脂層13の厚さは、配管の厚さの10〜30%であることが好ましく、より好ましくは15〜25%である。第2の樹脂層13の厚さが上記下限値以上であれば、クリープ性能及び施工性がより一層良好になる。第2の樹脂層13の厚さが上記上限値以下であれば、繊維強化樹脂層の割合が増えることで、配管の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、配管の線膨張係数がより小さくなる。
また、第1の樹脂層12の厚さと、第2の樹脂層13さの比率(第1の樹脂層12:第2の樹脂層13)は1:5〜5:1が好ましく、より好ましくは1:3〜3:1であり、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
なお、第2の樹脂層13の厚さは平均厚さを表す。第2の樹脂層13が成形痕を有する場合、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
第2の樹脂層13に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、配管の耐圧性をより一層高める観点及び配管を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、繊維強化樹脂層の説明において先に例示したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
第2の樹脂層13に含まれる樹脂と、繊維強化樹脂層に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。また、第2の樹脂層13に含まれる樹脂と、第1の樹脂層に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
第2の樹脂層13の総質量に対して、樹脂の含有量は80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。また、第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は100質量%以下が好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、配管の耐圧性をより一層高めることができる。
第2の樹脂層13は、必要に応じて繊維や各種の添加剤を含んでいてもよい。
繊維及び添加剤としては、それぞれ繊維強化樹脂層の説明において先に例示した繊維及び添加剤が挙げられる。
<SDR>
配管10のSDR(配管の外径/配管の厚さ(肉厚))は、8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは11以上である。また、配管10のSDRは、15以下が好ましく、より好ましくは13.5以下である。配管10のSDRが上記範囲内であれば、配管10の耐圧性を保持しつつ、配管10内の流量を確保でき、さらには配管10の軽量化も図れる。
なお、配管10のSDRが大きいほど、配管10が薄肉であることを意味する。
<製造方法>
以下、本発明に係る配管の製造方法の一例について説明する。
図5は、配管の製造装置の一例を示す概略構成図である。
図5に示す製造装置20は、金型21と、第1の水槽22と、第2の水槽23と、回転引取機24と、切断機25とを備える。金型21は、多層の管状体を成形することができる多層金型である。回転引取機24は、金型21から押し出された多層の管状体を引き取ることができ、かつ引取部を周方向に回転させることにより該多層の管状体を周方向にねじることができる装置である。
図1に示す配管10の製造方法は、第1の樹脂層12を形成するための第1の樹脂組成物と、繊維強化樹脂層11を形成するための第2の樹脂組成物と、第2の樹脂層13を形成するための第3の樹脂組成物とを金型21に供給し、多層の管状体を得る、第1の成形工程と、金型21の下流側に設置された回転引取機24を用いて、多層の管状体を周方向にねじる、第2の成形工程とを含む。
第1の樹脂組成物及び第3の樹脂組成物は樹脂を含む組成物であり、必要に応じて繊維や任意成分を含んでいてもよい。第2の樹脂組成物は樹脂と繊維を含む組成物であり、必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。
第1の成形工程においては、第1の樹脂組成物、第2の樹脂組成物及び第3の樹脂組成物を金型21に供給した後、溶融押出することで、多層の管状体を成形することができる。ねじる前の多層の管状体では、繊維(繊維の配向方向)が繊維強化樹脂層中において多層の管状体の軸線方向から多層の管状体の周方向に向けて傾斜していないことが好ましい。特に、繊維強化樹脂層の外表面側及び内表面側では、繊維(繊維の配向方向)が多層の管状体の軸線方向に沿って配向し、周方向に向けて傾斜していないことが好ましい。繊維(繊維の配向方向)が多層の管状体の軸線方向から多層の管状体の周方向に向けて傾斜している場合、傾斜角度は45°未満が好ましく、より好ましくは15°未満であり、さらに好ましくは10°以下であり、特に好ましくは5°以下である。
繊維の配向方向を多層の管状体の軸線方向に沿って配向させる方法、又は多層の管状体における繊維の傾斜角度を上記範囲内に制御する方法としては以下の方法が挙げられる。
(1)第1の水槽22の入り口に設置されているフォーミングチューブの内径を、金型21から押し出された管状体の外径よりも小さくする方法。
(2)金型21から押し出された溶融樹脂が冷却水槽のフォーミングチューブで冷却固化するまでに管をねじることによって繊維の配向方向を制御する方法。
第1の成形工程において、金型21の温度は、使用する樹脂の種類によって適宜変更可能である。
第2の成形工程において、多層の管状体は、金型21と第1の水槽22との間において、周方向にねじられる。耐圧性を効果的に高める観点からは、多層の管状体を引き取りながらねじることが好ましい。金型21から押し出された直後の多層の管状体では、繊維強化樹脂層11において多層の管状体の軸線方向に沿って繊維が概ね配向している。すなわち、繊維Fの配向角度θ1が概ね0°である。この多層の管状体を周方向にねじることで、繊維Fの配向角度θ1が変化し、0°よりも大きくなる。
第2の成形工程では、上述した螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2、θ3や、繊維Fの配向角度θ1が上記範囲内となるように、成形口径、流速、及び管状体の引き取り速度を考慮の上、回転引取機24の回転角度(ねじり角)を設定する。ここで、「ねじり角」とは管状体の肉厚中心部の円周と、線速と引き取り回転数で求まるピッチの2辺の比に対しての角度のことであり、具体的には下記式(1)より求められる。
ねじり角=tan−1[{π(D−t)}n]/V ・・・(1)
式(1)中、「D」は管状体の直径であり、「t」は管状体の厚さであり、「n」は引き取り回転数であり、「V」は線速である。なお、ピッチはV/nで求められる。
また、金型のランドとコアのクリアランス差を大きくすると、繊維強化樹脂層11の外表面側と内表面側はランドやコアによるせん断応力がかかり、軸線方向に繊維が一方向に配向しやすい。この状態で多層の管状体を周方向にねじると、繊維強化樹脂層11の外表面及び内表面では、θ1=65°±25°で繊維が配向しやすくなる。一方、繊維強化樹脂層11の厚さ方向の中心部はせん断応力がかかりにくく、繊維の配向にばらつきが生じやすい。この状態で多層の管状体を周方向にねじると、繊維強化樹脂層11の厚さ方向の中心部では、θ1=0°±45°で繊維が配向しやすくなる。
周方向にねじられた多層の管状体は、第1の水槽22及び第2の水槽23において冷却され、固化される。この結果、多層の配管10が得られる。その後、配管10は回転引取機24を通過し、切断機25において所定の長さに切断される。この結果、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2、θ3や、繊維Fの配向角度θ1が上記範囲内である、所定の長さの配管10が得られる。
<作用効果>
本実施形態の配管は、繊維の配向角度θ2が上述した条件(A)、(B)及び(C)を満たす繊維強化樹脂層を備えるので、耐圧性に優れ、かつ線膨張係数が小さい。具体的に、本実施形態の配管は、例えばSDRが11.0のときの破壊水圧が6.0MPa以上になりやすく、SDRが13.5のときの破壊水圧が5.0MPa以上になりやすく、高圧の流体を流すことができる。また、本実施形態の配管は、線膨張係数が5.0×10−5/℃以下になりやすい。配管の線膨張係数は、5.0×10−5/℃未満が好ましい。
なお、配管の線膨張係数は、次の方法で求められる。
配管を任意の長さに切断し、任意の温度(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生する。養生後、配管の長さ(Lhot)を測定する。その後、同じ配管を、Thotより低い任意の温度(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、配管の長さ(Lcool)を測定し、下記式(2)より配管の線膨張係数を求める。
線膨張係数=(Lhot−Lcool)/{Lcool(Thot−Tcool)} ・・・(2)
本実施形態の配管は、内部に流体が流れる配管の構成部材として好適に用いることができる。具体的に、本実施形態の配管は、空調・衛生分野の冷温水配管、冷却水配管やプラント分野の洗浄液配管、消火分野の消火配管、排水配管、薬液配管等の構成部材として好適に用いることができる。特に、本実施形態の配管は、使用時に高圧な水が流れる(例えば、使用耐圧が1.5MPa以上の)配管として好適であり、具体的には、空調・衛生分野の冷温水配管、冷却水配管やプラント分野の洗浄液配管、消火分野の消火配管の構成部材として好適であり、冷温水配管の構成部材として特に好適である。
<他の実施形態>
配管は、第2の樹脂層の外表面において、螺旋状の成形痕を有していなくてもよい。配管は、第2の樹脂層の外表面において、目視にて識別可能である螺旋状の成形痕を有していなくてもよい。上述した第2の成形工程において、得られる配管の第2の樹脂層の外表面に配管の軸線方向に沿って螺旋状の成形痕を形成した後、第2の樹脂層における螺旋状の成形痕を削るか、又は第2の樹脂層における螺旋状の成形痕を薄くする工程を行ってもよい。第2の成形工程において、得られる配管の第2の樹脂層の外表面に配管の軸線方向に沿って螺旋状の成形痕を形成した後、第2の樹脂層における螺旋状の成形痕を削る工程を行うことで、配管の外観を良好にすることができる。また、得られた配管の外表面(第2の樹脂層の外表面)を研磨したり、研磨後に塗料を塗布したりすることにより、第2の樹脂層の外表面において螺旋状の成形痕を目視にて識別できなくすることができる。
配管は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の少なくとも一方を備えていなくてもよい。すなわち、配管は、繊維強化樹脂層からなる単層管でもよいし、第1の樹脂層及び繊維強化樹脂層、又は繊維強化樹脂層及び第2の樹脂層からなる二層管でもよい。
なお、配管が第1の樹脂層を備えていない場合、配管の内表面は、繊維強化樹脂層の内表面である。この場合、繊維強化樹脂層の内表面は、螺旋状の成形痕を有する。繊維強化樹脂層の内表面の螺旋状の成形痕は、先に説明した第1の樹脂層の内表面の螺旋状の成形痕とほぼ同じである。
さらに、配管は、第1の樹脂層、繊維強化樹脂層及び第1の樹脂層とは異なる層(他の層)を備えていてもよい。例えば、配管は、第1の樹脂層と繊維強化樹脂層との間や、繊維強化樹脂層と第2の樹脂層との間に配置された他の層を有していてもよい。また、配管は、第1の樹脂層の内表面上に配置された他の層を有していてもよい。ただし、第1の樹脂層は、表面層であることが好ましい。また、第2の樹脂層の外表面上に配置された他の層を有していてもよいし、第2の樹脂層の外表面上を塗料で塗布して着色してもよい。ただし、第2の樹脂層は、表面層であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
第1の樹脂層(最内層)を形成するための第1の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100グレード第三世代ポリエチレン)を用いた。
繊維強化樹脂層(中間層)を形成するための第2の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100グレード第三世代ポリエチレン)80質量%と、ガラス繊維(平均繊維長:400μm、平均繊維径:13μm、アスペクト比:30.8)20質量%とを混合した混合材料を用いた。
第2の樹脂層(最外層)を形成するための第3の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100グレード第三世代ポリエチレン)を用いた。
図5に示す製造装置20を用い、以下のようにして配管を製造した。
3層の管状の成形体を得ることができる金型21に、第1の樹脂組成物、第2の樹脂組成物及び第3の樹脂組成物を供給した。なお、金型21は温度200℃に設定した。次いで、押出量100kgf/hで各樹脂組成物を押出成形することで、第1の樹脂層及び第2の樹脂層に高密度ポリエチレンを含み、繊維強化樹脂層に高密度ポリエチレンとガラス繊維とを含み、ガラス繊維が管状体の軸線方向から管状体の周方向に向けて傾斜していない3層の管状体を得た。得られた3層の管状体は、SDRが11であり、呼び径が100であった。
軸に対してねじり角が65°となる線速と回転数条件で回転引取機24を動かし、3層の管状体を周方向にねじりながら引き取り成形した。次いで、第1の水槽22及び第2の水槽23で3層の管状体を冷却固化して、3層の配管を得た。
得られた配管は、第1の樹脂層の内表面に配管の軸線方向に沿って凸部によって螺旋状の成形痕が形成していた。また、第2の樹脂層の外表面に配管の軸線方向に沿って凸部によって螺旋状の成形痕が形成していた。
また、得られた配管は、外径が114mmであり、SDRが11であった。また、第1の樹脂層の厚さは配管の厚さの18%であり、繊維強化樹脂層の厚さは配管の厚さの67%であり、第2の樹脂層の厚さは配管の厚さの15%であった。すなわち、各層の厚さの比(第1の樹脂層の厚さ:繊維強化樹脂層の厚さ:第2の樹脂層の厚さ)は約1:4:1であった。
得られた配管について、以下のようにして繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)における繊維Fの配向角度(θ1)を測定した。領域(α)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの割合を求めた。同様に、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)及び内表面の任意の領域(γ)についても繊維Fの配向角度(θ1)を測定した。領域(β)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの割合と、θ1=0°±45°で配向している繊維Fの割合を求めた。領域(γ)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの割合を求めた。結果を表1に示す。
また、得られた配管について、以下のようにして螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2、θ3の平均値を求めた。結果を表1に示す。
また、得られた配管について、以下のようにして線膨張係数及び破壊水圧を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
平均繊維長が380μmであり、平均繊維径が10μmであり、アスペクト比が38.0であるガラス繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
平均繊維長が350μmであり、平均繊維径が7μmであり、アスペクト比が50.0であるガラス繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
平均繊維長が200μmであり、平均繊維径が13μmであり、アスペクト比が15.4であるガラス繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
平均繊維長が200μmであり、平均繊維径が13μmであり、アスペクト比が15.4であるガラス繊維を用い、ねじり角を0°とした(すなわち、3層の管状体をねじらずに引き取った)以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
なお、第1の樹脂層の厚さは配管の厚さの15%であり、繊維強化樹脂層の厚さは配管の厚さの67%であり、第2の樹脂層の厚さは配管の厚さの18%であった。すなわち、各層の厚さの比(第1の樹脂層の厚さ:繊維強化樹脂層の厚さ:第2の樹脂層の厚さ)は約1:4:1であった。
[比較例2]
平均繊維長が200μmであり、平均繊維径が13μmであり、アスペクト比が15.4であるガラス繊維を用い、ねじり角を45°とした以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
平均繊維長が350μmであり、平均繊維径が7μmであり、アスペクト比が50.0であるガラス繊維を用い、ねじり角を0°とした(すなわち、3層の管状体をねじらずに引き取った)以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
平均繊維長が350μmであり、平均繊維径が7μmであり、アスペクト比が50.0であるガラス繊維を用い、ねじり角を45°とした以外は、実施例1と同様にして配管を製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[測定・評価]
(1)繊維Fの配向角度θ1及び個数割合の測定方法
配管の任意の領域において、繊維強化樹脂層の外表面が露出するまで配管を外表面から軸線方向にスライスし、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製、「JSM−6701F」)を用いて得られた断面(任意の領域(α))を撮影した。画像解析ソフトを用いて、顕微鏡写真に撮影された繊維のうち、一端と他端との距離Lが繊維自体の平均繊維径Dの2倍以上である繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求めた。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合を算出した。
次いで、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部に到達するまで配管の軸線方向に繊維強化樹脂層をスライスし、SEMを用いて得られた断面(任意の領域(β))を撮影した。画像解析ソフトを用いて、繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求めた。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合と、θ1=0°±45°で配向している繊維Fの個数割合を算出した。
次いで、繊維強化樹脂層の内表面に到達するまで配管の軸線方向に繊維強化樹脂層をスライスし、SEMを用いて得られた断面(任意の領域(γ))を撮影した。画像解析ソフトを用いて、繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ1をそれぞれ求めた。繊維Fの総本数(100%)に対して、θ1=65°±25°で配向している繊維Fの個数割合を算出した。
なお、SEMでの撮影条件は、蒸着厚さ10nm、加速電圧15kV、倍率25倍とした。
(2)螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2、θ3の平均値の測定方法
配管の内表面の任意の点から、配管の軸線方向に対して水平に線を引いた。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ2を測定した。規定の生産量(例えば4m)毎に傾斜角度θ2をそれぞれ測定し、平均値を算出した。
配管の外表面の任意の点から、配管の軸線方向に対して水平に線を引いた。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ3を測定した。規定の生産量(例えば4m)毎に傾斜角度θ3をそれぞれ測定し、平均値を算出した。
(3)線膨張係数の測定
配管を任意の長さに切断し、任意の温度(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した。養生後、配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ配管を、Thotより低い任意の温度(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、配管の長さ(Lcool)を測定し、下記式(2)より配管の線膨張係数を求め、以下の評価基準にて評価した。Aを合格とする。
線膨張係数=(Lhot−Lcool)/{Lcool(Thot−Tcool)} ・・・(2)
<評価基準>
A:線膨張係数が5.0×10−5/℃以下である。
B:線膨張係数が5.0×10−5/℃超である。
(4)破壊水圧の測定
配管に昇圧速度0.11MPa/秒で水圧を負荷し、配管にひび又は割れが生じるまでの破壊水圧を求め、以下の評価基準にて評価した。Aを合格とする。なお、以下の評価基準は、配管が、使用時に高圧な水が流れる(例えば、使用耐圧が1.5MPa以上の)配管に用いられることを想定して設定した評価基準である。このような使用耐圧が高い配管(例えば、空調・衛生分野の冷温水配管、冷却水配管やプラント分野の洗浄液配管、消火分野の消火配管)では最高使用圧力の4倍以上の破壊水圧基準が求められている。本発明に係る配管を使用耐圧が高い配管として用いる場合には、昇圧速度0.11MPa/秒で水圧を負荷した際の破壊水圧が6.0MPa以上であることが好ましいが、その他の用途で用いる場合には、該破壊水圧は6.0MPa未満であってもよい。例えば、上記配管を排水配管又は薬液配管等として用いる場合には、上記破壊水圧は6.0MPa未満であってもよく、4.8MPa未満であってもよい。
<評価基準>
A:破壊水圧が6.0MPa以上である。
B:破壊水圧が6.0MPa未満である。
Figure 2021021450
表1に示すように、各実施例で得られた配管は、薄肉化しても耐圧性に優れ、かつ線膨張係数が小さかった。
一方、各比較例で得られた配管は、耐圧性と線膨張係数の両方を満足すものではなかった。
10 配管
11 繊維強化樹脂層
12 樹脂層(第1の樹脂層)
12a 凸部
13 樹脂層(第2の樹脂層)
13a 凸部
14 繊維
141 距離Lが平均繊維径Dの2倍以上である繊維(繊維F)
142 距離Lが平均繊維径Dの2倍未満である繊維
X 配管の軸線方向
Y 配管の軸線方向に対して垂直方向(配管の周方向)
L1 繊維Fの配向方向
L2 螺旋状の成形痕における螺旋方向
L3 螺旋状の成形痕における螺旋方向
θ1 軸線方向と繊維Fとのなす角度のうち、鋭角となる方の角度(繊維Fの配向角度)
θ2 軸線方向と成形痕とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度(螺旋状の成形痕の傾斜角度)
θ3 軸線方向と成形痕とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度(螺旋状の成形痕の傾斜角度)

Claims (6)

  1. 樹脂と、平均繊維長が15mm以下の繊維とを含む管状の繊維強化樹脂層を備える配管であって、
    前記配管の内表面に、前記配管の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有し、
    前記配管の任意の領域の平面視において、前記配管の軸線方向の一方を0°とし、前記軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を−90°としたときに、前記軸線方向と前記成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超、90°未満であり、
    前記軸線方向と下記繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である下記繊維Fの配向角度θ1が下記条件(A)、(B)及び(C)を満たす、配管。
    条件(A):前記繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(α)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
    条件(B):前記繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%未満である。
    条件(C):前記繊維強化樹脂層の内表面の任意の領域(γ)において、θ1=65°±25°で配向している繊維Fが、その領域(γ)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
    繊維F:前記繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のうち、前記距離Lが前記平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
  2. 前記繊維Fの配向角度θ1が下記条件(D)をさらに満たす、請求項1に記載の配管。
    条件(D):前記繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心部の任意の領域(β)において、θ1=0°±45°で配向している繊維Fが、その領域(β)に含まれる繊維Fの総本数に対して50%以上である。
  3. 前記繊維の平均繊維長/前記繊維の平均繊維径で表されるアスペクト比が20以上である、請求項1又は2に記載の配管。
  4. 前記繊維がガラス繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配管。
  5. 前記繊維強化樹脂層の内表面及び外表面の少なくとも一方が、樹脂を含む樹脂層で被覆されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の配管。
  6. 前記繊維強化樹脂層及び前記樹脂層に含まれる樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項5に記載の配管。
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