JP2022155930A - 樹脂管 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022155930000001
【課題】補強材を含む樹脂管であり、より強度を向上した樹脂管を提供する。
【解決手段】少なくとも管状の複合材層11を備える樹脂管10であって、複合材層11は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層12と、樹脂層12に含まれる補強材13と、を有し、ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.2g/10分以上50.0g/10分以下、かつ密度が0.93g/cm以上であり、補強材13は、二次元または三次元の方向に広がる形状(ただし、真球を除く)を有し、樹脂層12を構成する成分の100質量%に対し、補強材13は5質量%以上50質量%以下である、樹脂管10。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂管に関する。
従来、配管の強度を向上するために、様々な開発が行われてきた。強度を向上した配管としては、複数ある層のうちの1層に補強材を含有させて、管周方向や管軸方向の強度を向上させた多層管が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-196914号公報
しかしながら、従来の多層管は、例えば、補強材が配向している方向でしか強度の向上がみられないという課題があった。多層管において、補強材が配向しているとは、例えば、多層管を構成する樹脂中に含まれる補強材が、その長手方向を多層管の管軸方向に沿って配列していることを言う。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、補強材を含む樹脂管であり、より強度を向上した樹脂管を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]少なくとも管状の複合材層を備える樹脂管であって、前記複合材層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層に含まれる補強材と、を有し、前記ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.2g/10分以上50.0g/10分以下、かつ密度が0.93g/cm以上であり、前記補強材は、二次元または三次元の方向に広がる形状(ただし、真球を除く)を有し、前記樹脂層を構成する成分の100質量%に対し、前記補強材は5質量%以上50質量%以下である、樹脂管。
[2]前記複合材層の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層を有する、[1]に記載の樹脂管。
[3]前記複合材層の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層を有する、[1]または[2]に記載の樹脂管。
本発明によれば、補強材を含む樹脂管であり、より強度を向上した樹脂管を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向と垂直な断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管に含まれる補強材を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管に含まれる補強材を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管に含まれる補強材を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管に含まれる補強材を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向と垂直な断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向と垂直な断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向と垂直な断面図である。
[樹脂管]
以下、本発明の実施の形態による樹脂管について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向に沿う断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂管を模式的に示し、樹脂管の管軸方向と垂直な断面図である。
図1に示す樹脂管10は、冷温水管、冷水管、温水管、上下水道管等の配水管および蒸気配管等として用いられる配管である。樹脂管10は、1つ(1層)の複合材層11を備える。複合材層11は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層12と、樹脂層12に含まれる補強材13と、を有する。樹脂管10は、管軸O1を有し、内部に流路20を有する。
樹脂層12は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される樹脂層である。
樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.2g/10分以上50g/10分以下が好ましく、0.3g/10分以上10g/10分以下が最も好ましい。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K 6922-2:2010の附属書の4.1(メルトフローレート)に従い、試験温度190℃、試験荷重21.18Nで測定された値である。上記メルトフローレート(MFR)が上記下限値以上であると、ポリオレフィン系樹脂の分子量が高いために補強材と絡みやすく、成形後の寸法安定性を高くすることができる。上記メルトフローレート(MFR)が上記上限値以下であると、成型時に生じるポリオレフィン系樹脂のせん断により補強材が破壊されにくく、分子量が高すぎないため成形しやすい。
樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂は、密度が0.93g/cm以上であることが好ましく、0.94g/cm以上であることが最も好ましい。上記密度が上記下限値以上であると、管としての剛性を高めることができる。密度の上限値としては0.97g/cm以下であることが好ましく、上記上限値以下であるとMFRを低くすることができる。
樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂の密度は、JIS K7112-1999によって測定する。
樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、成形体の強度、および、高温下での成形体の伸び率を向上させる観点からは、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
ポリエチレン(PE)としては、例えば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。なお、ポリエチレンの密度はJIS K 6922-1:1997の附属書表1、2に示されている中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの定義と同じものである。
ポリプロピレン(PP)としては、例えば、ホモPP、ブロックPP、ランダムPP等が挙げられる。
ポリブテンとしては、例えば、ポリブテン-1等が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、エチレンに対して、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンまたは1-オクテン等のα-オレフィンを数モル%程度の割合で共重合させた共重合体が好ましい。
これらのポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
補強材13は、二次元または三次元の方向に広がる形状を有する。ただし、二次元または三次元の方向に広がる形状は、真球を除く。
補強材13の形状は、二次元または三次元の方向に放射状に伸びる3本以上の脚部を有する形状、薄片状である。
三次元の方向に放射状に伸びる3本以上の脚部を有する形状とは、例えば、所謂テトラポット形状の図3に示す補強材13Aのことである。補強材13Aは、始点30から放射状に伸びる4本の脚部32を有する。脚部32の先端3ヶ所を繋いだ形状は三角形である。なお、脚部は4本に限らず、5本以上有していてもよく、始点30から三次元方向に放射状に延びる形状であればよい。
また、二次元の方向に放射状に伸びる3本以上の脚部を有する形状とは、例えば、図4に示す補強材13Bのことである。補強材13Bは、始点40から放射状に伸びる4本の脚部42を有する。脚部42A,42Bと脚部42C,42Dとは垂直に交わる。したがって、補強材13Bは平面視で十字形状をなしている。なお、全ての脚部が同一平面上になくともよく、一部の脚部が他の脚部が属する平面上になくともよい。また、脚部は4本に限らず、5本以上有していてもよい。
薄片状とは、例えば、図5に示すような平面視で平行四辺形状の薄片、平面視で長方形状の薄片、平面視で正方形状の薄片、図6に示すように平面視で長軸aの長さと短軸bの長さの差が大きい楕円形状の薄片のことである。
また、補強材13の形状は長球(長楕円体)状であってもよい。
補強材13が二次元または三次元の方向に広がる形状を有することにより、樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂との接触面積が大きくなり、ポリオレフィン系樹脂と補強材13が強固に接合する。その結果、樹脂管10は、より強度が向上する。
二次元または三次元の方向に放射状に伸びる3本以上の脚部を有する形状を有する補強材13の具体例としては、例えば、特開平10-203878号公報や特開2012-121773号公報に記載された水酸化アルミニウムを含むベーマイトや酸化亜鉛を含むウィスカ等(パナテトラ)が挙げられる。
薄片状の補強材13の具体例としては、例えば、雲母、タルク、鱗片状黒鉛等が挙げられる。
補強材13の大きさ、すなわち、最大径は、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、2μm以上500μm以下であることがより好ましく、3μm以上100μm以下が最も好ましい。補強材13の最大径が上記下限値以上であると、樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂との接触面積が大きくなり、ポリオレフィン系樹脂と補強材13が強固に接合する。補強材13の最大径が上記上限値以下であると、樹脂層12に補強材13を均一に分散させやすく、成型時に発生するポリオレフィン系樹脂のせん断により補強材13が破壊されにくい。
補強材13の最大径とは、補強材13を平面視した場合の外接円の直径のことである。
補強材13の最大径は、樹脂管10の切断面を電子顕微鏡で観察することによって測定することができる。
補強材13Aの脚部32および補強材13Bの脚部42A、42B、42C、42Dの長さは、3μm以上200μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましい。補強材13の最大径が上記下限値以上であると、樹脂層12に含まれるポリオレフィン系樹脂との接触面積が大きくなり、ポリオレフィン系樹脂と補強材13が強固に接合する。補強材13の最大径が上記上限値以下であると、樹脂層12に補強材13を均一に分散させやすく、成型時に発生するポリオレフィン系樹脂のせん断により補強材13が破壊されにくい。
補強材13Aの脚部32および補強材13Bの脚部42A、42B、42C、42Dは、樹脂管10の切断面を電子顕微鏡で観察し、補強材10個の脚部長さを平均することによって測定することができる。
樹脂層12における補強材13の含有量は、樹脂層12を構成する成分の全量100質量%中、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10量%以上45質量%以下であることがより好ましい。補強材13の含有量が上記下限値以上であると、樹脂管10の寸法安定性を高めやすい。補強材13の含有量が上記上限値以下であると、樹脂管10を成形しやすく、樹脂管10の可撓性を維持しやすい。
補強材13は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
複合材層11は、樹脂層12を構成するポリオレフィン系樹脂と補強材13の他に、炭素繊維やガラス繊維などの繊維材、アルミナ、酸化亜鉛などの針状結晶、相溶化剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、可塑剤等の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分はそれぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、繊維材や針状結晶は一次元方向の補強材であり、配向方向に対する強度の向上のみ得られるものであるが、本発実施形態の補強材13と併用することで配向方向以外の強度を補強することができる。なお、上記の一次元方向の補強材には、二次元または三次元構造の補強材13から分離した脚部32、42を含む。
上記相溶化剤としては、マレイン酸変性ポリオレフィン、シラン変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。なお、これらの相溶化剤は、上記ポリオレフィン樹脂に含まれない。上記相溶化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記安定剤としては、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、バリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱安定化助剤としては、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤等が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で用いられる。上記内部滑剤としては、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で用いられる。
上記外部滑剤としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記加工助剤としては、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、具体的に、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記衝撃改質剤としては、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、アクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記顔料としては、有機顔料および無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、フェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により樹脂管の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。
上記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
複合材層11の厚さは、樹脂管10の用途に応じて適宜調整されるが、例えば、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
樹脂管10は、複合材層11がポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層12と、樹脂層12に含まれる補強材13とを有することにより、良好な耐圧性を有する。耐圧性は、破壊水圧試験によって測定してよい。具体的には、例えば、4.5MPa以上であり、好ましくは5.0MPa以上、さらに好ましくは6.0MPa以上である。
なお、破壊水圧試験は、PWA(建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格)001規格に準拠することができ、長さ1000mm以上(たとえば長さ1000mm)の多層配管100の試験片の内部に常温(23℃)の水を充填するとともに一定速度で水を入れ続けることにより加圧し、樹脂管10が破裂する時の水圧によって耐圧性を評価することができる。
また、耐圧性は、耐圧値(たとえば破壊水圧試験で得られる耐圧値(MPa))から以下の下記式(1)を用いて導出される円周応力(MPa)によって評価されてもよい。なお、下記式(1)中、SDRは最小肉厚に対する外径の比(外径/最小肉厚)を示す。
耐圧値=(2×円周応力)/(SDR-1) (1)
円周応力とは周方向にかかる応力のことであり、水圧試験によって得られた圧力値を管の寸法の影響を排除したパラメータである点で信頼性が高い。例えば、同じ組成で肉厚が異なる管の場合、肉厚が厚いものの方が水圧試験での圧力値が高くなるが、円周応力値で表すといずれも同じとなる。
樹脂管10に許容される円周応力値は、例えば、35MPa以下であることが好ましく、33MPa以下であることがより好ましい。低線膨張性能との両立性を考慮する観点では、樹脂管10に許容される円周応力値は、30.5MPa以下であることがさらに好ましい。
樹脂管10は、上記のように耐圧性に優れるため、冷温水管として特に有用である。
樹脂管10の線膨張係数は、2×10-5/℃以上10×10-5/℃以下であることが好ましく、2×10-5/℃以上7×10-5/℃以下であることがより好ましく、3×10-5/℃以上6×10-5/℃以下であることがもっとも好ましい。樹脂管10の線膨張係数が上記下限値以上であると、成形性に優れる。樹脂管10の線膨張係数が上記上限値以下であると、冷温水を流した時の収縮が小さい。
樹脂管10の線膨張係数は、次のようにして求めた。
樹脂管10を約1000mmの長さに切断し、60℃(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した後、多層配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ多層配管を、5℃(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、多層配管の長さ(Lcool)を測定した。得られた値を下記の式(2)に代入し、線膨張係数を決定した。
Figure 2022155930000002
本実施形態の樹脂管10は、複合材層11がポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層12と、樹脂層12に含まれる補強材13と、を有し、補強材13が二次元または三次元の方向に広がる形状(ただし、真球を除く)を有する。そのため、樹脂層12を構成するポリオレフィン系樹脂と補強材13の接触面積が大きくなり、ポリオレフィン系樹脂と補強材13が強固に接合する。その結果、樹脂管10は、より強度が向上する。
[樹脂管の製造方法]
以下、本発明の一実施形態に係る樹脂管の製造方法について説明する。
樹脂管の製造では、樹脂管10を構成する複合材層11を押出成形法等により成形する。
樹脂管10は単層構造であるため、上記樹脂と上記補強材とを含む樹脂組成物を、成型管の周方向に相当する方向へ流動させることが可能な方法を特に限定することなく用いることができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
例えば、図7に示すような第1変形例に係る樹脂管100、図8に示すような第2変形例に係る樹脂管200、図9に示すような第3変形例に係る樹脂管300を採用してもよい。なお、第1変形例に係る樹脂管100、第2変形例に係る樹脂管200および第3変形例に係る樹脂管300では、前記実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示す第1変形例に係る樹脂管100は、複合材層11の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層110を有する。
内層110は、樹脂層12と同様のポリオレフィン系樹脂から構成される。また、内層110は、複合材層11と同様にポリオレフィン系樹脂の他に、相溶化剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、可塑剤等の他の成分を含んでいてもよい。
内層110の厚さは、樹脂管100の用途に応じて適宜調整されるが、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。
複合材層11の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層110を設けることにより、内層110が保護層として機能するため、流路20側において、複合材層11の劣化を抑制することができる。
図8に示す第2変形例に係る樹脂管200は、複合材層11の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層210を有する。
外層210は、樹脂層12と同様のポリオレフィン系樹脂から構成される。また、外層210は、複合材層11と同様にポリオレフィン系樹脂の他に、相溶化剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、可塑剤等の他の成分を含んでいてもよい。
外層210の厚さは、樹脂管200の用途に応じて適宜調整されるが、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。
複合材層11の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層210を設けることにより、外層210が保護層として機能するため、複合材層11の外側において、複合材層11の劣化を抑制することができる。
図9に示す第3変形例に係る樹脂管300は、複合材層11の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層110を有し、複合材層11の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層210を有する。
内層110の厚さは、樹脂管300の用途に応じて適宜調整されるが、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。
外層210の厚さは、樹脂管300の用途に応じて適宜調整されるが、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。
複合材層11の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層110を設けることにより、内層110が保護層として機能するため、流路20側において、複合材層11の劣化を抑制することができる。また、複合材層11の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層210を設けることにより、外層210が保護層として機能するため、複合材層11の外側において、複合材層11の劣化を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎないものである。よって、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例が本発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。さらに、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)92質量%、補強材(ベーマイト:放射状、脚部長さ:5μm)8質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いて押出成型し、押し出された管状体を引き取り、第1の水槽および第2の水槽で冷却固化して、単層の樹脂管を得た。これにより、複合材層のみを有する、実施例1の単層の樹脂管を製造した。
[実施例2]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:5g/10分、密度:0.942g/cm)53質量%、補強材(ベーマイト:放射状、脚部長さ:2μm)47質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の単層の樹脂管を製造した。
[実施例3]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)88質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:40μm)12質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の単層の樹脂管を製造した。
[実施例4]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)72質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:20μm)8質量%、ガラス繊維(平均繊維長1000μm、平均繊維径13μm)20質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の単層の樹脂管を製造した。
[実施例5]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:5g/10分、密度:0.942g/cm3)70質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:20μm)20質量%、ガラス繊維(平均繊維長1000μm、平均繊維径13μm)10質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の単層の樹脂管を製造した。
[実施例6]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:5g/10分、密度:0.942g/cm)57質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:8μm)43質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の単層の樹脂管を製造した。
[実施例7]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)85質量%、補強材(雲母:平面状、最大径:400μm)15質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の単層の樹脂管を製造した。
[実施例8]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:5g/10分、密度:0.942g/cm)70質量%、補強材(雲母:平面状、最大径:100μm)30質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の単層の樹脂管を製造した。
[比較例1]
高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の単層の樹脂管を製造した。
[比較例2]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、低密度ポリエチレン(PE50相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.925g/cm)80質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:8μm)20質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の単層の樹脂管を製造した。
[比較例3]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)97質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:8μm)3質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の単層の樹脂管を製造した。
[比較例4]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.2g/10分、密度:0.942g/cm)47質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:40μm)53質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の単層の樹脂管を製造した。
[比較例5]
樹脂管を製造するための樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(PE100相当、MFR:0.15g/10分、密度:0.975g/cm)70質量%、補強材(パナテトラ((株)アムテック社製商品名):テトラポット状、脚部長さ:40μm)30質量%を含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の単層の樹脂管を製造した。
(耐圧性評価)
実施例1~実施例8、および比較例1~比較例5の樹脂管それぞれについて、PWA(建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格)001規格に準拠して破壊水圧評価を行った。つまり、長さ1000mmの樹脂管の試験片を切り取り、その内部に常温(23℃)の水を充填するとともに一定速度で水を入れ続けることにより加圧し、樹脂管が破裂する時の水圧(MPa)を求めた。
また、円周応力(MPa)を下記式(1)より算出した。なお、式(1)中、SDRは最小肉厚に対する外径の比(外径/最小肉厚)を示すし、耐圧値は上記の水圧試験で得られた水圧の値である。耐圧値が6.5MPa以上の場合に「◎」、耐圧値が4.5MPa以上6.5MPa以下の場合に「○」、耐圧値が4.5MPa未満の場合に「×」と評価した。結果を表1に示す。
耐圧値=(2×円周応力)/(SDR-1) (1)
(線膨張係数評価)
実施例1~実施例8、および比較例1~比較例5の樹脂管それぞれについて、上記した方法により線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022155930000003
表1の結果から、実施例1~実施例8の樹脂管は耐圧性に優れるとともに、線膨張係数が小さく熱により変形し難いことが確認された。
10.100,200,300 樹脂管
11 複合材層
12 樹脂層
13 補強材
20 流路
110 内層
210 外層

Claims (3)

  1. 少なくとも管状の複合材層を備える樹脂管であって、
    前記複合材層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層に含まれる補強材と、を有し、
    前記ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.2g/10分以上50.0g/10分以下、かつ密度が0.93g/cm以上であり、
    前記補強材は、二次元または三次元の方向に広がる形状(ただし、真球を除く)を有し、
    前記樹脂層を構成する成分の100質量%に対し、前記補強材は5質量%以上50質量%以下である、樹脂管。
  2. 前記複合材層の内側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の内層を有する、請求項1に記載の樹脂管。
  3. 前記複合材層の外側にポリオレフィン系樹脂から構成される管状の外層を有する、請求項1または2に記載の樹脂管。
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