JP6502639B2 - 配管システム - Google Patents

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Description

本発明は、配管システムに関する。より具体的には、本発明は、耐震性の配管システムに関する。
様々な目的で、複数の層が積層された多層管が開発されている。
たとえば、安価で高剛性、高強度な多層管として、特開昭61−32743号公報(特許文献1)に、中間層として、ガラス繊維、無機充填剤及び不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンを含有するポリプロピレン系樹脂層を有することを特徴とする少なくとも3層からなるポリオレフィン系多層構造管が開示されている。
またたとえば、液体状、ペースト状、および/または気体状の媒体用の配管を敷設するためのプラスチック製のパイプであって、機械的、化学的および熱的に高い耐性を有する多層管として、特開2001−355767号公報(特許文献2)に、基礎材料からなる内側層と外側層、および基礎材料ならびに少なくとも1つの追加材料からなる中間層をもつ、少なくとも3つの層で構成されたパイプ本体を備えているものにおいて、パイプの内側層と中間層がポリマー材料でできており、供給されるべき媒体と接触する内側層および/または中間層の半結晶ポリマー材料の非晶領域に、攻撃性媒体、特に酸化作用や還元作用のある媒体に対する添加剤が含まれており、中間層のポリマー材料の非晶領域に、パイプ、取付部品、または成形品の内側層から外側層への添加剤の移動を抑える遮断材料としての充填剤および/または添加剤が含まれていることを特徴とするパイプが開示されている。
特開昭61−32743号公報 特開2001−355767号公報
いずれの多層管もある程度の剛性を有するが、剛性を有する多層管は、配管システムに適用された場合、耐震性が劣る。反対に、配管システムに耐震性を具備させるには、配管システムを構成する多層管は剛性が低いものを採用する必要がある。
そこで、本発明の目的は、配管の剛性と配管システム全体の耐震性とを両立させた配管システムを提供することにある。
(1)
本発明の配管システムは、複数の多層管と継手とを含む。多層管は、少なくとも、第1層、第2層および第3層が積層され、第2層は第1層および第3層より大きい弾性率を有する。継手は、第1外挿筒部と、第1外挿筒部に連設した第2外層筒部と、それらの境界部の内周面に突設された当接突部とを含む。第1外挿筒部は、複数の多層管のうち一の多層管の端部に外挿している。第2外挿筒部は、複数の多層管のうち他の多層管の端部に外挿している。当接突部は、一の多層管の末端と他の多層管の末端とを当接させており、多層管より小さい弾性率を有する。さらに、第2層は多層管の肉厚中央を包含するように位置し、当接突部の頂端は当該肉厚中央より外周の側に位置している。
本発明においては、多層管の第2層を、第1層および第3層より大きい弾性率を有するものとするため、多層管に剛性(耐変形性)を具備させ、外力による変形を小さくすることができる。それとともに、継手の当接突部を多層管より小さい弾性率を有するものとし且つ当接突部の位置を所定の位置とするため、配管システムの耐震性も維持することができる。したがって、多層管の構造により多層管自体の柔軟性はある程度抑えられているが、配管システム全体の耐震性を低下させないため、配管の剛性と配管システム全体の耐震性とを両立することができる。
なお、本明細書において、多層管が受け得る変形には、外力の負荷による変形、温度変化、湿度変化および経年劣化などの環境変化による変形が含まれる。
(2)
本発明の配管システムにおいては、第2層が繊維を含む樹脂であり、第3層は繊維を含まない樹脂であってよい。
これによって、第2層の寸法安定性と、第3層の継手との融着接合容易性とを両立させることができる。寸法安定性が良好であるとは、熱伸縮が少ない(線膨張係数が小さい)ことをいう。
(3)
本発明の配管システムにおいては、第1層と第3層とが、繊維を含まない互いに同じ樹脂で構成されていてよい。
これによって、第2層の両面に接触する層の機械的特性を揃え、界面の剥離を抑制することができる。
(4)
本発明の配管システムにおいては、配管の弾性率が1200MPa以上5000MPa以下であってよい。
これによって、多層管の層間剥離を抑制しかつ継手部分における耐震性をより良好とすることができる。
なお、弾性率は、JIS K 7171に準拠した測定値である。
(5)
本発明の配管システムにおいては、当接突部の軸心方向の幅が、外径の2%以上30%以下であってよい。
これによって、継手部分の耐震性を良好に維持することができる。
(6)
本発明の配管システムにおいては、多層管の第2層が、第1層に接触するように積層され、第3層が、第2層に接触するように積層され、第1層と第2層との界面および第2層と前記第3層との界面の少なくともいずれかの十点平均粗さRzが、30μm以上であってよい。
この場合、層界面が十分荒れているため、多層管が変形を受けた場合であっても、界面剥離を起こしにくい。本明細書において、多層管が受け得る変形には、外力の負荷による変形、温度変化、湿度変化および経年劣化などの環境変化による変形が含まれる。
十点平均粗さRzの範囲に含まれる上限値は特に限定されないが、製造容易性などの観点からたとえば300μmである。
なお、十点平均粗さRzは、JIS B 0601に準拠した測定値である。
(7)
上記(6)の本発明の配管システムにおいては、多層管の第1層と第2層との界面および第2層と第3層との界面の少なくともいずれかの界面最大高さRyが50μm以上であってよい。
これによって、多層管が変形を受けた場合であっても、界面剥離をより起こしにくい。
界面最大高さRyの範囲に含まれる上限値は特に限定されないが、製造容易性などの観点からたとえば500μmである。
なお、界面最大高さRyは、JIS B 0601に準拠した測定値である。
(8)
本発明の配管システムにおいて、多層管の第2層の弾性率は、第1層の弾性率および第3層の弾性率の1.5倍以上であることが好ましい。
この場合、第2層が、第1層および第3層よりも充分に大きい弾性率を有するため、多層管全体としての良好な耐変形性を効率よく得ることができる。
弾性率の範囲に含まれる上限値は特に限定されないが、機械的特性などの観点からたとえば3倍である。
なお、弾性率は、JIS K 7171に準拠した測定値である。
(9)
本発明の配管システムにおいて、多層管の第2層中の繊維の含有量は、5重量%以上35重量%未満であってよい。
この場合、5重量%以上であることにより、多層管の良好な寸法安定性を効率よく得ることができ、35重量%未満であることにより、第2層の破壊モードを延性的破壊へ遷移させ易くすることができる。
(10)
本発明の配管システムにおいて、多層管の第2層は、相溶化剤を含んでよい。
これによって、多層管の寸法安定性、強度、高温での伸びの少なくともいずれかを良好に得ることができる。なお、高温での伸びとは、延性的破壊を破壊モードとして生じさせ易くする指標をいう。高温での伸びが良いと、破壊モードが延性的破壊となり易い。
(11)
本発明の配管システムにおいては、多層管の第2層の樹脂に含まれる繊維がガラス樹脂であり、第2層に含まれる相溶化剤がシラン変性ポリオレフィンであることが好ましい。
これによって、多層管のより良好な寸法安定性を効率よく得ることができる。
(12)
上記(6)または(7)の本発明の配管システムにおいては、多層管の第2層の線膨張係数が、第1層または第3層の線膨張係数の0.8倍以下であることが好ましい。
この場合、多層管の構成層の界面が十分荒れているため、第2層の線膨張係数は、第1層または第3層(好ましくは、線膨張係数が大きい方の層)の0.8倍以下であっても、難剥離性を良好に得ることができる。線膨張係数の範囲に含まれる下限値は特に限定されないが、難剥離性を良好に得る観点からたとえば0.01倍である。
(13)
本発明の配管システムにおいては、多層管の総厚に対し、第2層の層厚が20%以上80%以下であってよい。
この場合、層厚が20%以上であることにより、多層管の好ましい寸法安定性および機械的強度を得ることができ、80%以下であることにより、継手との良好な融着接合容易性を得ることができる。
本発明の一実施形態の配管システムを、軸心を含む面で切断した場合の模式的断面図である。 図1の一部拡大図である。 本発明の一実施形態の配管システムを構成する多層管を、軸方向に垂直な断面で切断した場合の模式的断面図である。 図1の配管システムに外力を加えた場合の模式的断面図である。 多層管の変形例を軸方向に垂直な断面で切断した場合の模式的断面図である。 図5の一部拡大図である。 多層管のさらなる変形例を軸方向に垂直な断念で切断した場合の模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[基本構成]
図1は、本発明の一実施形態の配管システムを、軸心を含む面で切断した場合の模式的断面図である。図2は、図1の一部拡大図である。図3は、本発明の一実施形態の配管システムを構成する多層管を、軸方向に垂直な断面で切断した場合の模式的断面図である。
配管システム100は、複数の多層管200,200’と、継手300とを含む。
[多層管]
本実施形態において、多層管200と多層管200’とは同じものである。多層管200,200’は、それぞれ、軸心Oから外側に向かって、第1層210,210’、第2層220,220’および第3層230,230’が積層される。それぞれの層の間には、接着剤層などを介在してもよい。また、多層管200,200’がさらに1または2以上の他の層が積層されていてもよい。以下、多層管200を挙げ、多層管の詳細を説明する。
[多層管−弾性率]
多層管200は、第2層220の弾性率(JIS K 7171に準拠)が、第1層210の弾性率および第3層230の弾性率より大きくなるように構成される。具体的には、多層管200は、第2層220の弾性率が、第1層210の弾性率および第3層230の弾性率の1.5倍以上、好ましくは2倍以上となるように構成されることができる。このように、第2層220は、第1層210および第3層230よりも充分に大きい弾性率を有することが好ましい。本発明における多層管200は、外力の負荷による変形、および温度変化、湿度変化ならびに経年劣化などの環境変化による変形の少なくともいずれかを受けた場合であっても、充分に大きい弾性率を有する第2層220の耐変形性が良好であるため、第2層220が芯となり、多層管200全体としての良好な耐変形性を確保することができる。なお、第2層220の弾性率の上限は、たとえば3倍である。
より具体的には、第2層220の弾性率は、たとえば1300MPa以上5000MPa以下である。この場合、第1層および第3層の弾性率は800MPa以上1300MPa未満、好ましくは800MPa以上1200MPa以下であってよい。
多層管200全体の弾性率は、たとえば1200MPa以上5000MPa以下である。多層管200全体の弾性率を1200MPa以上とすることによって、多層管200自体が変形し過ぎないため層間剥離を生じにくくすることができる。また、多層管200全体の弾性率を5000MPaとすることによって、配管システム100に対する外力(たとえば軸心Oに交差する方向に及ぼす外力)によって継手300の中で適度に撓み、良好な耐震性を具備させることができる。
[多層管−層厚]
多層管200は、第2層220の層厚T2(図2参照)が、多層管200の総厚(本実施形態においては、第1層210の層厚T1、第2層220の層厚T2、および第3層230の層厚T3の和)の20%以上80%以下となるように構成される。層厚T2が20%以上であることにより、多層管200の好ましい寸法安定性および機械的強度が得られる程度に第2層220の厚みを確保することができる。層厚T2が80%以下であることにより、たとえば多層管200を継手とエレクトロフュージョン接合などにより融着接合する場合に、継手との融着接合容易性を良好に確保することができる。このような効果をより一層効果的に高める観点からは、第2層220の層厚T2は、多層管200の総厚の、好ましくは30%以上70%以下である。
さらに、第1層210が、第2層220の内周面をコートするための層厚を確保することができ、第3層230が、多層管200を継手とエレクトロフュージョン接合などにより融着接合する場合に、継手との融着接合容易性のための層厚を確保することができれば、第1層210の層厚T1は、第3層230の層厚T3より薄くてもよい。
さらに、多層管200において、第2層220は、多層管200の肉厚中央200Мの面を包含するように位置する。
[多層管−第1層および第3層の材料]
第1層210および第3層230は、いずれも同じポリオレフィン系樹脂で構成される。したがって、第2層220の両面で機械的特性が揃うとともに、多層管200の製造効率も良い。なお、本発明は、第1層210と第3層230とは、異なる材料または異なるポリオレフィン系樹脂から構成されることを除外するものではない。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。成形体の強度、および高温での伸び等を効果的に高める観点からは、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましく、ポリエチレンであることがより好ましい。
さらに、ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。ポリプロピレン(PP)としては、ホモPP、ブロックPP及びランダムPP等が挙げられる。ポリブテンとしては、ポリブテン−1等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに対して、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン又は1−オクテン等のα−オレフィンを数モル%程度の割合で共重合させた共重合体であることが好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第1層210および第3層230は、後述の第2層220のように繊維を含まない。内層である210は、多層管200の内部を流れる流体に、第2層220に含まれる繊維が混入しないように第2層220の内周面をコートする。また、第3層230は、たとえば多層管200を継手とエレクトロフュージョン接合などにより融着接合する場合に、継手との融着接合容易性を確保することができる。
上記の他、第1層210および第3層230には、後述の第2層220と同様に相溶化剤およびその他の成分を含んでいてもよい。
[多層管−第2層の材料]
第2層220は、繊維強化樹脂で構成される。
(第2層の材料−マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、第1層210および第3層230の構成樹脂として挙げたものと同様である。第2層220のマトリックス樹脂は、第1層210および第2層220を構成する樹脂と同じである。全ての層に同じ樹脂を用いることにより、隣接する層が互いになじみやすく、界面剥離を効果的に抑制することができる。
(第2層の材料−繊維)
繊維の材質としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維などの無機繊維;およびアラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ビニロン、ポリアセタール、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、高強度ポリプロピレンなどの有機繊維が挙げられる。炭素繊維としては、PAN (ポリアクリロニトリル) 系炭素繊維、シリコン−チタン−炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などが挙げられる。また、有機繊維としては、ケナフ、麻などの天然繊維も挙げられる。本発明においては、低線膨張性の観点から、繊維はガラス繊維であることが好ましい。これらの繊維は、単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
また、このような繊維に、マトリックス樹脂を保持させる方法としては、公知の方法が全て採用可能である。
これら繊維が配される態様としては、連続繊維が長手方向に配される態様、長手方向に配された連続繊維と、当該連続繊維と交差する連続繊維とが配される態様、および有限長さの繊維が配される態様が挙げられる。
繊維の繊維長はたとえば0.05mm以上10mm以下である。繊維の繊維長をこの範囲内とすることにより、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、繊維の繊維長は好ましくは0.1mm以上3mm以下である。なお、繊維長とは、複数の繊維の長さの平均を意味する。
繊維の繊維径は、1μm以上30μm以下である。繊維の繊維径をこの範囲内とすることにより、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、繊維の繊維径は好ましくは5μm以上15μm以下である。なお、繊維径とは、複数の繊維それぞれの最大径の平均を意味する。
繊維は表面処理されていてもかまわない。たとえば繊維がガラス繊維である場合、表面処理剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。この中でも、アミノシランが好ましい。
第2層220に繊維を含ませることにより、第2層220の強度および寸法安定性を向上させることができる。さらに、第2層220に含まれる繊維の量は、第2層220を製造するための樹脂組成物全体を100重量%として、5重量%以上35重量%未満である。繊維の量の下限を上述のとおりとすることにより、多層管200の良好な寸法安定性を効率よく得ることができる。繊維の量の上限を上述のとおりとすることにより、第2層220の破壊モードを延性的破壊へ遷移させ易くすることができる。したがって、第2層220の脆性的破壊を生じにくくさせることができる。このような効果をより一層効果的に高める観点からは、第2層220に含まれる繊維の量は、好ましくは10重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上50重量%以下である。
(第2層の材料−ポリオレフィン収束剤)
さらに、繊維は、ポリオレフィン収束剤により収束されたものであってもよい。ポリオレフィン収束剤は、ガラス繊維を収束させることができれば特に限定されないが、具体的にはポリオレフィンである。当該ポリオレフィンは、マトリックス樹脂と同様のものであってもよい。つまり、マトリックス樹脂がポリエチレンであれば、収束剤もポリエチレンであってよい。さらに、収束剤としての当該ポリオレフィンには、変性ポリオレフィンが含まれる。ポリオレフィン収束剤の具体例としては、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびシラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。第2層220に低線膨張係数を具備させる観点からは、ポリオレフィン収束剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、繊維がガラス繊維であることが好ましい。
繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤の密度は、好ましくは0.85g/cm以上、好ましくは1.1g/cm以下である。
繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤のMFR(メルトマスフローレイト)は好ましくは0.01g/10分以上、好ましくは16g/10分以下である。上記MFRは、JIS K7210に基づいて、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
繊維をポリオレフィン収束剤により収束させる方法としては、どのような方法でもよい。マトリックス樹脂とポリオレフィン収束剤との合計100重量部に対する繊維の量は、好ましくは6重量部以上、より好ましくは12重量部以上、更に好ましくは19重量部以上、好ましくは533重量部以下、より好ましくは171重量部以下、更に好ましくは138重量部以下である。繊維の量を上記の範囲とすることによって、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。
(第2層の材料−相溶化剤)
さらに、第2層220には相溶化剤が含まれる。相溶化剤としては、たとえば、変性ポリオレフィンおよび塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、たとえば、マレイン酸変性ポリオレフィンおよびシラン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。相溶化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。第2層220に低線膨張係数を具備させる観点からは、相溶化剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、繊維がガラス繊維であることが好ましい。
なお、相溶化剤としての変性ポリオレフィンは、上述の収束剤としての変性ポリオレフィンとは区別される。第2層220に含まれる相溶化剤の量は、第2層220を製造するための樹脂組成物全体を100重量%として、1重量%以上10重量%以下である。相溶化剤の含有量をこのような範囲とすることによって、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、第2層220に含まれる相溶化剤の量は、好ましくは2重量%以上9重量%以下である。
(第2層の材料−その他)
第2層220には、さらに他の成分が含まれてよい。当該他の成分は、第2層220を製造するための樹脂組成物から繊維と相溶化剤とを除いた成分を100重量%とすると、ポリオレフィン系樹脂の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上となる量で用いられてよい。ポリオレフィン系樹脂の含有量の範囲に含まれる上限値は、99.99重量%、または99.9重量%であってもよい。
他の成分として、マトリックス樹脂としてのポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂が挙げられる。但しこの場合、熱可塑性樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の含有量よりも少ないことが好ましい。
他の成分として、酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は、成形体の高温下での耐久性をより一層高めたり、銅などの金属による耐久性の低下を抑えたりする観点で用いることができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン2−イルアミノ]フェノール、及びジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等が挙げられる。
成形体の高温下での耐久性を一層高めたり、銅などの金属による耐久性の低下を抑えたりする観点からは、上記酸化防止剤は、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル又は2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンシル)メシチレンであることが好ましく、上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル又は2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンシル)メシチレンを含むことが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、第2層220を製造する樹脂組成物を100重量%とすると、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。酸化防止剤の含有量が上記下限以上であることにより、成形体の高温下での耐久性がより一層高くなり、上記上限を超える含有量では、成形体の高温下での耐久性は変わらないため、上記上限以下とすることにより、過剰な酸化防止剤の使用が抑えられる。
第2層220には、必要に応じて、架橋剤、銅害防止剤、滑剤、光安定剤および顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられる。架橋剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
有機過酸化物の使用量は特に限定されない。たとえば、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。
滑剤としては特に限定されず、例えば、フッ素系滑剤、パラフィンワックス系滑剤及びステアリン酸系滑剤等が挙げられる。上記滑剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
滑剤の使用量は特に限定されない。たとえば、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは3重量部以下である。
光安定剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系及びシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、並びにヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。光安定剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系及び染料レーキ系等の有機顔料、並びに酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物−セレン化物系及びフェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。上記顔料は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[継手]
継手300は、いわゆるソケット型の継手である。継手300は、第1外挿筒部310と、第2外挿筒部320と、当接突部350とを含む。第1外挿筒部310と第2外挿筒部320とは軸心Oが同じとなるように連設されている。第1外挿筒部310の内周面は、多層管200の端部290の外周面に対応した形状を有しており、端部290に外挿している。同様に、第2外挿筒部320の内周面は、多層管200’の端部290’の外周面に対応した形状を有しており、端部290’に外挿している。
[継手−当接突部]
第1外挿筒部310と第2外挿筒部320との境界部の内周面には、当接突部350が突設されている。当接突部350は、継手300の内周全周に亘って突設されている。
当接突部350には、多層管200の末端299の面と、多層管200’の末端299’の面とを、軸心O方向の両側から当接させている(図2参照)。
当接突部350は、多層管200,200’の弾性率よりも小さい弾性率を有する。これにより、配管システム100に耐震性を具備させることができる(図4を参照して後に詳述)。この効果をより効果的に高める観点からは、当接突部350の弾性率は、多層管200,200’の弾性率のたとえば50%以下、好ましくは80%以下とすることができる。より具体的には、当接突部350の弾性率は、たとえば900MPa以上1200MPa未満、好ましくは950MPa以上1100MPa以下である。
本実施形態においては、第1外挿筒部310と、第2外挿筒部320と、当接突部350とが一体成形されているため、第1外挿筒部310および第2外挿筒部320も、同様に好ましい弾性を有する。
当接突部350の突出高さは、当接突部350の表面の位置のうち最も軸心Оに近い頂端359の位置が、多層管200,200’の肉厚中央Мの面よりも外周側となるように定められる。これによって、配管システム100の外力を効率よく吸収することができる。したがって、継手300部分の耐震性を良好に維持することができる。
当接突部350の軸心O方向の幅Wは、多層管200,200’の外径の2%以上30%以下であってよい。幅Wが当該外径の2%以上であることにより、構造的に、外力を吸収すべき部分を充分設けることができ、当該外径の30%以下であることにより、機械的に、外力を効率よく吸収することができる。したがって、継手300部分の耐震性を良好に維持することができる。
図4は、図1の配管システムに外力を加えた場合の模式的断面図である。図4における外力は、図1における軸心Оと交差する方向に加えられる。これにより、多層管200’の軸心О’が、多層管200の軸Оの方向と角度θを成す方向にずれる。
この場合、当接突部350の弾性率が多層管200,200’よりも小さいため、多層管200,200’の相対的ずれに付随して当接突部350が変形する。本実施形態の場合、第1外挿筒部310および第2外挿筒部320が当接突部350と一体成形されているため、第1外挿筒部310および第2外挿筒部320それぞれも、多層管200,200’の軸心О,О’の相対的ずれに追随して、端部290,290’それぞれに沿う。
さらにこの場合、当接突部350の頂端359の位置が、多層管200,200’の肉厚中央Мの面よりも外周側であるので、多層管200,200’の末端299,299’の面と接する部分が少なくて済み、当接突部350が、配管システム100の外力を効率よく吸収することができる。このため、ずれの角度θの自由度が比較的高い。角度θは、具体的にはたとえば1°以上45°以下である。したがって、継手300部分の耐震性を良好に維持することができる。
[多層管の第1変形例]
図5は、多層管200の第1変形例を軸方向に垂直な断面で切断した場合の模式的断面図である。図6は、図5の一部拡大図である。
[第1変形例−基本構成]
図5に示す多層管200aは、軸心から外周の方向に順番に、第1層210a(内層)、第2層220a(中間層)および第3層230a(外層)が互いに接触するように積層されている。本変形例では、多層管200aが三層から構成されるものを挙げているが、本発明は、多層管200aがさらに1または2以上の他の層を有することを除外するものではない。
[第1変形例−界面粗さ]
多層管200aにおいては、第2層220aと第3層230aとの間の界面225aが荒らされている。具体的には、界面225aの十点平均粗さRz(JIS B 0601に準拠)は、30μm以上、好ましくは50μm以上である。さらに、界面225aの界面最大高さRy(JIS B 0601に準拠)が50μm以上、好ましくは100μm以上である。これにより、多層管200aが、外力の負荷による変形、および温度変化、湿度変化ならびに経年劣化などの環境変化による変形の少なくともいずれかを受けた場合であっても、第2層220aと第3層230aとの間で界面剥離を起こしにくい。
界面225aの十点平均粗さRzの上限は、たとえば300μm、好ましくは200μmである。また、界面225aの界面最大高さRyの上限は、たとえば500μm、好ましくは300μmである。これにより、製造容易性なども担保しやすい。
なお、図2に、十点平均粗さRzおよび界面最大高さRyの基準となる面を平均面225Vとして示す。
[第1変形例−線膨張性能]
多層管200aは、第2層220aの線膨張係数が第1層210aおよび第3層230aの線膨張係数より小さくなるように構成されている。具体的には、第2層220aの線膨張係数は、第1層210aおよび第3層230aの線膨張係数の0.8倍以下、または0.3倍以下であってよい。より具体的には、第1層210aおよび第3層230aの線膨張係数がたとえば12×10−5以上14×10−5以下であれば、第2層220aの線膨張係数は10×10−5前後(9.6×10−5以上11.2×10−5以下)であってよい。
線膨張係数は、熱機械分析(TMA)装置を用いて、昇温速度5℃/min、測定範囲−20℃から120℃の条件で測定される。TMA装置としては、Seiko InstrumentsInc.社製「TMA/SS120C」等が挙げられる。
多層管200aは、界面225aが十分荒れているため、第2層220aの線膨張係数は、第1層210aおよび第3層230aの0.8倍以下であっても、線膨張係数の小さい第2層220aに、線膨張係数のより大きい第1層210aおよび第3層230aが好ましく追随するため、難剥離性を良好に得ることができる。線膨張係数の範囲に含まれる下限値は特に限定されないが、難剥離性を良好に得る観点からたとえば0.01倍である。
[第1変形例−長期耐久性(熱間内圧クリープ性能)]
多層管200aは、80℃での熱間内圧クリープ試験において、脆性破壊を抑制してニーポイント(延性破壊から脆性破壊への変化点)が発生しない、またはニーポイントの発生がより長期側にシフトすることが好ましく、脆性破壊を抑制してニーポイントが発生しないことがより好ましい。
多層管200aは高温でのクリープ性能が高く、高温流体を流す配管として適用範囲が広い。80℃での熱間内圧クリープ試験は、熱間内圧クリープ試験機を用いて、80℃で試験される。熱間内圧クリープ試験機としては、コンドー科学社製の試験機が挙げられる。
具体的には、多層管200aの最高使用圧力(60℃−30年)は、0.9MPa以上、好ましくは0.95MPa以上、さらに好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは1.05MPa以上である。このように、多層管200aは長期耐久性を有する。
多層管200aは、上述の線膨張性能と熱間内圧クリープ性能とを両立するため、冷温水管として特に有用となる。
[第1変形例−層厚]
多層管200aは、第2層220aの層厚T2a(図6参照)が、多層管200aの総厚(本変形例においては、第1層210aの層厚T1a、第2層220aの層厚T2a、および第3層230aの層厚T3aの和)の20%以上80%以下となるように構成される。層厚T2aが20%以上であることにより、多層管200aの好ましい寸法安定性および機械的強度が得られる程度に第2層220aの厚みを確保することができる。層厚T2aが80%以下であることにより、たとえば多層管200aを継手とエレクトロフュージョン接合などにより融着接合する場合に、継手との融着接合容易性を良好に確保することができる。このような効果をより一層効果的に高める観点からは、第2層220aの層厚T2aは、多層管200aの総厚の、好ましくは30%以上70%以下である。なお、第2層220aの層厚T2aの基準となる外周側の面は、平均面225Vとする。
さらに、第1層210aが、第2層220aの内周面をコートするための層厚を確保することができ、第3層230aが、多層管200aを継手とエレクトロフュージョン接合などにより融着接合する場合に、継手との融着接合容易性のための層厚を確保することができれば、第1層210aの層厚T1aは、第3層230aの層厚T3aより薄くてもよい。
[第1変形例−多層管の製造]
多層管200aは、第1層210aおよび第3層230aをそれぞれ製造するための樹脂組成物と、第2層220aを製造するための樹脂組成物とを調製し、成形機を用いて成形する。成形機としては特に限定されず、単軸押出機、二軸異方向パラレル押出機、二軸異方向コニカル押出機、及び二軸同方向押出機等が挙げられる。さらに、成形機を用いて成形する場合、賦形する金型および樹脂温度等も、特に限定されない。
第2層220aを構成する樹脂組成物層の押出し速度と、第3層230aを構成する樹脂組成物層の押出し速度とは異なるようにすることが好ましい。これによって、界面225aを好ましく荒らすことができる。この場合、第2層220aを構成する樹脂組成物層の押出し速度より、第3層230aを構成する樹脂組成物層の押出し速度を遅くすることが、多層管200aに歪みなどが生じにくく、より量産に親和性がある点でより好ましい。
[多層管の第2変形例]
図7は、第2変形例の多層管を軸方向に垂直な断面で切断した場合の模式的断面図である。第2変形例においては、第1変形例と異なる点について説明し、共通する点は説明を省略する。
図7に示す多層管200bは、軸心から外周の方向に順番に、第1層210b(内層)、第2層220b(中間層)および第3層230a(外層)が互いに接触するように積層されている。多層管200bは第2層220bと第3層230aとの界面225aだけでなく、第1層210bと第2層220bとの界面215bも界面225aと同様に荒らされている。界面215bの具体的な界面粗さは、界面225aと同様である。
多層管200bの製造においては、第1層210bを構成する樹脂組成物層の押出し速度と第2層220bを構成する樹脂組成物層の押出し速度とを異ならせ、且つ、第2層220bを構成する樹脂組成物層の押出し速度と第3層230aを構成する樹脂組成物層の押出し速度とを異ならせることが好ましい。これによって、界面215bと界面225aとを好ましく荒らすことができる。この場合、第1層210bを構成する樹脂組成物層の押出し速度より、第2層220bを構成する樹脂組成物層の押出し速度を遅く、且つ、第2層220bを構成する樹脂組成物層の押出し速度より第3層230aを構成する樹脂組成物層の押出し速度を遅くすることが、多層管200bに歪みなどが生じにくく、より量産に親和性がある点でより好ましい。
なお、本発明には、第1変形例および第2変形例の他に、第1層と第2層との界面、および第2層と第3層との界面のうち、第1層と第2層との界面が荒らされている態様も含まれる。
[実施形態および変形例における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本発明においては、配管システム100が「配管システム」に相当し、多層管200,200’,200a,200bが「多層管」に相当し、特に多層管200が「一の多層管」に、多層管200’が「他の多層管」に相当し、肉厚中央200Mが「肉厚中央」に相当し、第1層210,210’,210a,210bが「第1層」に相当し、第2層220,220’,220a,220bが「第2層」に相当し、第3層230,230’,230aが「第3層」に相当し、端部290が「一の多層管の端部」に相当し、端部290’が「他の多層管の端部」に相当し、末端299が「一の多層管の末端」に相当し、末端299’が「他の多層管の末端」に相当し、継手300が「継手」に相当し、第1外挿筒部310が「第1外挿筒部」に相当し、第2外挿筒部320が「第2外挿筒部」に相当し、当接突部350が「当接突部」に相当し、頂端359が「当接突部の頂端」に相当し、軸心Oが「軸心」に相当し、幅Wが「当接突部の軸心方向の幅」に相当する。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
100 配管システム
200,200’,200a,200b 多層管
200 一の多層管
200’ 他の多層管
200M 肉厚中央
210,210’,210a,210b 第1層
220,220’,220a,220b 第2層
230,230’,230a 第3層
290 (一の多層管の)端部
290’ (他の多層管の)端部
299 (一の多層管の)末端
299’ (他の多層管の)末端
300 継手
310 第1外挿筒部
320 第2外層筒部
350 当接突部
359 (当接突部の)頂端
O 軸心
W (当接突部の軸心方向の)幅

Claims (5)

  1. 軸心から外周の方向に、少なくとも、第1層、第2層および第3層が積層され、前記第2層が前記第1層および前記第3層より大きい弾性率を有する複数の多層管と、
    前記多層管と融着され、前記複数の多層管のうち一の多層管の端部に外挿した第1外挿筒部、前記第1外挿筒部に連設しかつ他の多層管の端部に外挿した第2外挿筒部、および、前記第1外挿筒部と前記第2外挿筒部との境界部の内周面に突設されかつ前記一の多層管の末端と前記他の多層管の末端とを当接させた、前記多層管より小さい弾性率を有する当接突部を含む継手とを含み、
    前記第2層が前記多層管の肉厚中央を包含するように位置し、かつ前記当接突部の頂端が前記肉厚中央より前記外周の側に位置する、配管システム。
  2. 前記第2層が繊維を含む樹脂であり、前記第3層は繊維を含まない樹脂である、請求項1に記載の配管システム。
  3. 前記第1層と前記第3層とが、繊維を含まない互いに同じ樹脂で構成されている、請求項1または2に記載の配管システム。
  4. 配管の弾性率が1200MPa以上5000MPa以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の配管システム。
  5. 前記当接突部の前記軸心の方向の幅が、前記多層管の外径の2%以上30%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の配管システム。
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