JP7065726B2 - 多層管及び多層管接続体 - Google Patents

多層管及び多層管接続体 Download PDF

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Description

本発明は、内層と外層とを備える多層管に関する。また、本発明は、上記多層管を用いた多層管接続体に関する。
マンション、アパート、戸建住宅等の建築物には、給水及び排水をするためにプラスチック配管が多く使用されている。また、配管を屋外で使用する場合や、配管における酸素の透過を防止する必要がある場合には、内層と機能性の高い樹脂組成物により形成された外層とが一体化された配管が用いられている。例えば、内層が塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)であり、外層が耐候性に優れた樹脂であることにより、屋外で使用することができる配管が知られている。
また、配管構造の必要な長さが1つの配管の長さよりも長い場合や、配管構造に曲り等がある場合には、複数の配管が直接又は継手を介して接続される。この際には、配管の端部に接着剤により接着層を形成し、配管が接着層により接続されることがある。
下記の特許文献1には、パイプ本体の外周が外層で被覆された塩化ビニル樹脂パイプが開示されている。上記パイプ本体は、塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル樹脂との混合樹脂組成物により形成されている。上記外層は、アクリル系共重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト重合させたアクリル-塩化ビニル系共重合体樹脂組成物により形成されている。
下記の特許文献2には、管状に形成された内層部と上記内層部よりも耐候性の高い外層部とを有する一対の配管と、各配管の端部に形成された配管接合部と、各配管接合部が両端部からそれぞれ挿入された継手と、配管接合部と継手との間に設けられた接着層とを備える配管の接続構造が開示されている。上記配管の接続構造における上記配管接合部では、上記配管における上記外層部が設けられず上記内層部が露出している。
特開2002-254576号公報 特開2016-188696号公報
特許文献1に記載のような従来の配管では、特定の樹脂によって外層を形成することにより、耐候性がある程度高められている。また、特許文献1に記載のような従来の配管では、第1のプラスチック管の外表面と第2のプラスチック管の内表面とが、接着材料により形成された接着層を介して接着することにより、第1,第2のプラスチック管同士が接続されている。しかしながら、従来の配管では、第1のプラスチック管と第2のプラスチック管との接着性が悪く、十分な接着信頼性が得られないことがある。特に、第1のプラスチック管の材料と第2のプラスチック管の材料とが異なる場合には、十分な接着信頼性が得られにくい。結果として、通水等によって内圧が上昇した場合に、接続された配管が外れる場合がある。
特許文献2では、接着信頼性を高めるために、配管の外層を剥がして内層を露出し、露出した内層の表面上に接着層を設けることにより、配管と継手とを接続している。しかしながら、この方法では、施工作業に手間がかかる。また、施工時に外層が十分に剥がされていない場合には、十分な接着信頼性が得られないことがある。
また、特許文献1,2に記載のような従来の配管では、外圧等により配管が変形した際に、配管が破損したり、外層にひび又は割れが生じたりする。
本発明の目的は、優れた接着信頼性及び耐候性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる多層管及び多層管接続体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、接続対象部材が接続されて用いられる多層管であって、内層と外層とを備え、前記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含み、前記外層を、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の前記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記外層の材料が成形された第1の試験片と、ポリ塩化ビニルが成形された第2の試験片と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に配置され、塩化ビニル系接着材料により形成された接着層とを備える積層体を得たときに、前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との23℃での接着強度が10MPa以上である、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記乾燥後の前記外層の40℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との40℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記乾燥後の前記外層の60℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との60℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、呼び径が50Aであり、JIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を実施した後、JIS K7211に準拠した50%衝撃破壊高さを算出したときに、前記50%衝撃破壊高さが100cm以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の前記50%衝撃破壊高さの、耐候性試験実施前の前記50%衝撃破壊高さに対する衝撃強度保持率が、50%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施前後での色差が10以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、JIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を実施したときに、多層管にひび又は割れが生じない。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂を含み、前記外層の材料100重量%中、前記耐候性熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が500以上2000以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、ゴム、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分を含み、前記外層の材料100重量%中、前記成分の含有量が5重量%以上50重量%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、無機顔料を含み、前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である。
本発明の広い局面によれば、内層と外層とを備える多層管と、前記多層管に接続された接続対象部材と、前記多層管と前記接続対象部材との間に配置された接着層とを備え、前記多層管における前記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含み、前記多層管における前記外層を、前記接着層の材料における溶媒中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の前記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記多層管と前記接続対象部材との23℃での接着強度が10MPa以上である、多層管接続体が提供される。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記乾燥後の前記外層の40℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記乾燥後の前記外層の60℃での降伏強度が10MPa以上であり、前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記接着層の材料における溶媒が、前記多層管における前記外層を前記溶媒中に23℃で10分間浸漬させた後、浸漬後の前記外層を乾燥したときに、下記式(1)で算出される重量増加量を1.25倍以上にする溶媒である。
重量増加量=(浸漬後の外層の重量-乾燥後の外層の重量+浸漬前の外層の重量)/浸漬前の外層の重量 ・・・(1)
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、23℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、40℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、60℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管における前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記多層管における前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管の呼び径が50Aであり、前記多層管についてJIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を実施した後、JIS K7211に準拠した50%衝撃破壊高さを算出したときに、前記50%衝撃破壊高さが100cm以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管について耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の前記50%衝撃破壊高さの、耐候性試験実施前の前記50%衝撃破壊高さに対する衝撃強度保持率が、50%以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管について耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施前後での色差が10以下である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管についてJIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を実施したときに、前記多層管にひび又は割れが生じない。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管における前記外層の材料が、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂を含み、前記多層管における前記外層の材料100重量%中、前記耐候性熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が500以上2000以下である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管における前記外層の材料が、ゴム、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分を含み、前記多層管における前記外層の材料100重量%中、前記成分の含有量が5重量%以上50重量%以下である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管における前記外層の材料が、無機顔料を含み、前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である。
本発明に係る多層管は、接続対象部材が接続されて用いられる多層管である。本発明に係る多層管は、内層と外層とを備える。本発明に係る多層管では、上記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含む。本発明に係る多層管では、上記外層を、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管に関して、上記外層の材料が成形された第1の試験片と、ポリ塩化ビニルが成形された第2の試験片と、上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に配置され、塩化ビニル系接着材料により形成された接着層とを備える積層体を得る。本発明に係る多層管では、上記積層体における上記第1の試験片と上記第2の試験片との23℃での接着強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性及び耐候性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
本発明に係る多層管接続体は、内層と外層とを備える多層管と、上記多層管に接続された接続対象部材と、上記多層管と上記接続対象部材との間に配置された接着層とを備える。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管における上記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含む。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管における上記外層を、上記接着層の材料における溶媒中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管と上記接続対象部材との23℃での接着強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管接続体では、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性及び耐候性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る多層管接続体を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多層管は、接続対象部材が接続されて用いられる多層管である。本発明に係る多層管は、内層と外層とを備える。本発明に係る多層管では、上記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含む。本発明に係る多層管では、上記外層を、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管に関して、上記外層の材料が成形された第1の試験片と、ポリ塩化ビニルが成形された第2の試験片と、上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に配置され、塩化ビニル系接着材料により形成された接着層とを備える積層体を得る。本発明に係る多層管では、上記積層体における上記第1の試験片と上記第2の試験片との23℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体は、内層と外層とを備える多層管と、上記多層管に接続された接続対象部材と、上記多層管と上記接続対象部材との間に配置された接着層とを備える。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管における上記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含む。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管における上記外層を、上記接着層の材料における溶媒中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上である。本発明に係る多層管接続体では、上記多層管と上記接続対象部材との23℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管及び多層管接続体では、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性及び耐候性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
本発明に係る多層管及び多層管接続体は、接着信頼性に優れており、上記多層管の多層管接続体の軸方向における接続性を十分に高めることができる。本発明に係る多層管及び多層管接続体は、接着信頼性に優れるので、多層管接続体の接着強度(短期の接続信頼性)とクリープ強度(長期の接続信頼性)との双方を高めることができる。
本発明に係る多層管及び多層管接続体は、耐候性に優れるので、多層管及び多層管接続体を屋外で用いた場合でも、多層管及び多層管接続体の機械的強度を高く維持することができ、また、優れた接着信頼性を維持することができる。
また、本発明に係る多層管及び多層管接続体は、高い偏平強度を有するので、多層管及び多層管接続体の径を大きくしても、多層管の重みによる変形を抑えることができ、多層管と接続対象部材との接着信頼性を十分に高めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。
図1に示す多層管1は、接続対象部材に接続されて用いられる。具体的には、多層管1の端部には、他の管又は管継手等の接続対象部材が接続される。多層管1の端部は、接続対象部材を接続するための接続領域である。上記接続対象部材は、単管であってもよく、多層管であってもよい。
多層管1は、内層11と、外層12とを備える。内層11は、管状である。内層11は、多層管1の両側の末端に至っている。
外層12は、内層11の外表面上に配置されている。外層12は、内層11の外表面の全体に配置されている。外層は、多層管の両側の末端に至っていることが好ましい。外層は、管状に配置されていることが好ましい。
図2は、本発明の一実施形態に係る多層管接続体を示す断面図である。
多層管接続体21は、図1に示す多層管1と、接続対象部材31と、接着層41とを備える。
接着層41は、多層管1と接続対象部材31との間に配置されている。接着層41は、外層12の外表面上及び接続対象部材31の内表面上に配置されている。
接着層41は、多層管1の端部において、外層12の外表面上に配置されている。接着層41は、多層管1の末端1aに至るように、外層12の外表面上に配置されている。接着層41は、接続対象部材31の端部において、接続対象部材31の内表面上に配置されている。接着層41は、接続対象部材31の末端1aに至るように、接続対象部材31の内表面上に配置されている。
接着層は、外層の外表面上に配置されていればよく、多層管の端部において、外層の外表面上に配置されていなくてもよい。接着層は、外層の外表面の全体に配置されていてもよく、外層の外表面の一部の領域に配置されていてもよい。接着層は、多層管の端部において、多層管の末端に至るまでの外層の外表面の全体に配置されていなくてもよく、多層管の端部の一部の領域に配置されていてもよい。接着層は、上記接続対象部材の上記多層管側の末端から露出していてもよく、上記接続対象部材の上記多層管側の末端から露出していなくてもよい。
接着層は、接続対象部材の内表面上に配置されていればよく、接続対象部材の端部において、接続対象部材の内表面上に配置されていなくてもよい。接着層は、接続対象部材の内表面の全体に配置されていてもよく、接続対象部材の内表面の一部の領域に配置されていてもよい。接着層は、接続対象部材の端部において、接続対象部材の末端に至るまでの外層の外表面の全体に配置されていなくてもよく、多層管の端部の一部の領域に配置されていてもよい。接着層は、上記多層管の上記接続対象部材側の末端から露出していてもよく、上記多層管の上記接続対象部材側の末端から露出していなくてもよい。
多層管1と接続対象部材31とは、多層管1の端部において接続されている。多層管1と接続対象部材31とは、接着層41を介して接続されている。
[多層管及び多層管接続体における多層管]
本発明に係る多層管は、接続対象部材が接続されて好適に用いられる。本発明に係る多層管及び多層管接続体における多層管は、内層と外層とを備える。本発明に係る多層管及び多層管接続体における多層管では、上記内層は管状であり、上記外層は、上記内層の外表面上に配置されている。上記内層は、上記外層よりも内側に位置している層であり、管本体である。上記外層は、上記内層よりも外側に位置している層である。なお、本発明に係る多層管は、2層の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を備えていてもよい。上記外層は、多層管の最も外側の層(最外層)であることが好ましい。なお、上記外層が、多層管の最外層でない場合には、該外層の外表面上に、厚み3mm以下の層が配置されていてもよい。また、上記外層は、耐候性を有する層であることが好ましい。
(内層)
本発明に係る多層管の内層の材料及び本発明に係る多層管接続体における多層管の内層の材料は、熱可塑性樹脂を含む。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
上記多層管及び上記多層管接続体の耐候性をより一層高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)であることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル(PVC)は特に限定されない。上記ポリ塩化ビニル(PVC)として、従来公知の塩化ビニル系樹脂を用いることができる。上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、並びに、塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。上記塩化ビニル系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;及びN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは40重量%以上である。
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は、好ましくは100以上、好ましくは10000以下である。上記塩化ビニル系樹脂の重合度が上記下限以上であると、疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記塩化ビニル系樹脂の重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用してもよい。例えば、機械的強度をより一層向上させるために、アクリル樹脂等を上記塩化ビニル系樹脂と併用してもよい。
また、上記塩化ビニル系樹脂は、後塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
上記内層の材料100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。よって、上記内層の材料は、熱可塑性樹脂であることが最も好ましい。
上記内層の材料100重量%中、上記ポリ塩化ビニル(PVC)の含有量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。よって、上記内層の材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)であることが最も好ましい。
上記内層の23℃での引張破断伸び率は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。上記内層の23℃での引張破断伸び率が上記下限以上であると、偏平強度をより一層高めることができ、多層管及び多層管接続体に外部から衝撃等による圧力が加わった場合でも、多層管及び多層管接続体の割れや破損を効果的に防ぐことができる。
上記内層の23℃での引張破断伸び率は、JIS K6815-2に準拠して測定される。なお、上記引張破断伸び率を測定するための試験片は、多層管から内層を切り出すことにより得てもよく、内層の材料を成形することにより得てもよい。
上記内層の23℃での引張破断ひずみは、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。上記内層の23℃での引張破断ひずみが上記下限以上であると、偏平強度をより一層高めることができ、多層管及び多層管接続体に外部から衝撃等による圧力が加わった場合でも、多層管及び多層管接続体が割れや破損を効果的に防ぐことができる。
上記内層の23℃での引張破断ひずみは、JIS K7161-1に準拠して測定される。なお、上記引張破断ひずみを測定するための試験片は、多層管から内層を切り出すことにより得てもよく、内層の材料を成形することにより得てもよい。
(外層)
接着信頼性を高める観点から、本発明に係る多層管の外層は、以下の構成A及び構成Bを満足する外層である。
構成A:混合液100重量%中、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液(以下、混合液(1)と記載することがある)を作製する。上記外層を混合液(1)中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層(以下、乾燥後の外層(1)と記載することがある)の23℃での降伏強度が10MPa以上である。
構成B:上記外層の材料が成形された第1の試験片を作製する。ポリ塩化ビニルが成形された第2の試験片を作製する。上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に配置され、塩化ビニル系接着材料(以下、接着材料(1)と記載することがある)により形成された接着層とを備える積層体(1)を作製する。上記積層体(1)は、第1の試験片と、接着層と、第2の試験片とをこの順で備える。上記積層体(1)における上記第1の試験片と上記第2の試験片との23℃での接着強度が10MPa以上である。
積層体(1)は、具体的には、上記第1の試験片の表面と上記第2の試験片の表面との少なくとも一方に接着材料(1)を塗布し、上記第1の試験片と、上記第2の試験片とを重ね合わせて作製することができる。
なお、混合液(1)及び接着材料(1)は、上記構成Aにおける上記降伏強度及び上記構成Bにおける上記接着強度を測定するために調製される。多層管接続体を作製するために、接着材料(1)を用いてもよく、接着材料(1)とは異なる接着材料を用いてもよい。
接着信頼性を高める観点から、本発明に係る多層管接続体における多層管の外層は、以下の構成C及び構成Dを満足する外層である。
構成C:上記外層を、接着層の材料(接着材料)における溶媒中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層(以下、乾燥後の外層(2)と記載することがある)の23℃での降伏強度が10MPa以上である。
構成D:上記多層管と上記接続対象部材との23℃での接着強度が10MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(1)の23℃での降伏強度は、好ましくは35MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(1)の40℃での降伏強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(1)の60℃での降伏強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(2)の23℃での降伏強度は、好ましくは35MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(2)の40℃での降伏強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、乾燥後の外層(2)の60℃での降伏強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上である。
上記乾燥後の外層(1)及び上記乾燥後の外層(2)の、23℃、40℃及び60℃での降伏強度は、JIS K6815-2又はJIS K7161-1に準拠して測定される。なお、上記降伏強度を測定するための試験片は、多層管から外層を切り出すことにより得てもよく、外層の材料を成形することにより得てもよい。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記積層体(1)における上記第1の試験片と上記第2の試験片との23℃での接着強度は、好ましくは15MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記積層体(1)における上記第1の試験片と上記第2の試験片との40℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記積層体(1)における上記第1の試験片と上記第2の試験片との60℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記多層管と上記接続対象部材との23℃での接着強度は、好ましくは15MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記多層管と上記接続対象部材との40℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
接着信頼性をより一層高める観点から、上記多層管と上記接続対象部材との60℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
上記積層体(1)における上記第1の試験片と上記第2の試験片との23℃、40℃及び60℃での接着強度、並びに、上記多層管と上記接続対象部材との23℃、40℃及び60℃での接着強度は、短期的な接着信頼性の指標となる。
上記多層管と上記接続対象部材との23℃、40℃及び60℃での接着強度を測定するための測定サンプルは以下のようにして得ることができる。
上記多層管の上記外層の材料が成形された第1の試験片と、上記接続対象部材の内面の材料が成形された第2の試験片とを得る。第1の試験片の表面と第2の試験片の表面との少なくとも一方に上記接着層の材料(接着材料)を塗布する。第1の試験片と、第2の試験片とを重ね合わせて、測定サンプル(積層体(2))を得る。得られた積層体(2)において、上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に、上記接着層の材料(接着材料)により形成された接着層が配置されている。なお、上記積層体(2)は、多層管接続体を切り出すことにより得てもよい。
上記接着強度は以下のようにして測定することができる。
得られた積層体(1)及び測定サンプル(積層体(2))について、23℃、40℃又は60℃及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行う。積層体が破断したときの破断荷重と、第1の試験片及び第2の試験片の接着面積とから、下記式により接着強度を求めることができる。なお、引張試験機としては、例えば、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いることができる。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
上記外層の23℃での引張破断伸び率は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。上記外層の23℃での引張破断伸び率が上記下限以上であると、偏平強度をより一層高めることができ、多層管及び多層管接続体に外部から衝撃等による圧力が加わった場合でも、多層管及び多層管接続体の割れや破損を効果的に防ぐことができる。
上記外層の23℃での引張破断伸び率は、JIS K6815-2に準拠して測定される。なお、上記引張破断伸び率を測定するための試験片は、多層管から外層を切り出すことにより得てもよく、外層の材料を成形することにより得てもよい。
上記外層の23℃での引張破断ひずみは、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。上記外層の23℃での引張破断ひずみが上記下限以上であると、偏平強度をより一層高めることができ、多層管及び多層管接続体に外部から衝撃等による圧力が加わった場合でも、多層管及び多層管接続体が割れや破損を効果的に防ぐことができる。
上記外層の23℃での引張破断ひずみは、JIS K7161-1に準拠して測定される。なお、上記引張破断ひずみを測定するための試験片は、多層管から外層を切り出すことにより得てもよく、外層の材料を成形することにより得てもよい。
上記多層管では、上記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下であることが好ましい。上記全光線透過率が上記上限以下であると、内層に到達する全光線量を減らすことができるため、多層管の耐候性を良好にすることができ、また、多層管の耐衝撃性を高めることができる。
上記外層の厚み方向における全光線透過率、及び上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、外層の全光線透過率を測定することで求めることができる。なお、上記全光線透過率を測定するための外層は、多層管から外層を切り出すことにより得てもよく、外層の材料を成形して多層管における外層の厚みと同じ厚みの層を作製することにより得てもよい。
多層管の耐候性及び耐衝撃性より一層良好にする観点からは、上記外層の厚み方向における全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
多層管の耐候性及び耐衝撃性より一層良好にする観点からは、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
上記全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定される。
接着信頼性、耐候性及び偏平強度をより一層高める観点からは、上記外層の材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂は、耐候性を有する熱可塑性樹脂(耐候性熱可塑性樹脂)であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂が耐候性を有するか否かに関しては、以下の耐候性試験を実施した場合に、該耐候性試験前後での色差が10以下である場合に、熱可塑性樹脂が耐候性を有すると判断する。なお、上記耐候性試験実施後の樹脂は、屋外に10年程度放置した後の樹脂に相当する。
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記色差とは、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、耐候性試験前後の樹脂のL,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定し、以下の式を用いて計算されたΔEである。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
上記耐候性熱可塑性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
接着信頼性、耐候性及び偏平強度を更により一層高める観点からは、上記外層の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂(AAS樹脂)、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
本明細書において、「ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂」を「耐候性熱可塑性樹脂A」と記載することがある。
上記外層の材料100重量%中、上記耐候性熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
上記外層の材料100重量%中、上記耐候性熱可塑性樹脂Aの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
上記耐候性熱可塑性樹脂の重合度は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、好ましくは2000以下、より好ましくは1800以下、更に好ましくは1500以下である。上記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が上記下限以上であると、接着信頼性及び耐候性をより一層高めることができる。上記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が上記上限以下であると、成形温度を低く抑えることができ、加工性を高めることができる。
上記耐候性熱可塑性樹脂Aの重合度は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、好ましくは2000以下、より好ましくは1800以下、更に好ましくは1500以下である。上記耐候性熱可塑性樹脂Aの重合度が上記下限以上であると、接着信頼性及び耐候性をより一層高めることができる。上記耐候性熱可塑性樹脂Aの重合度が上記上限以下であると、成形温度を低く抑えることができ、加工性を高めることができる。
偏平強度をより一層高める観点からは、上記外層の材料は、ゴム、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分を含むことが好ましい。
本明細書において、「ゴム、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分」を「成分X」と記載することがある。
したがって、外層の材料は、成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ゴムとしては、ブタジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、アクリルゴム、及びフッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。上記ゴムは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、α-オレフィンコポリマー(EAO)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBまたはSBS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン-イソプレンコポリマー(SIまたはSIS)、エチレン-アルキルアクリレートコポリマー、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、イオノマー樹脂、エラストマーコポリエステル、エチレン-メチルアクリル酸コポリマー(EMAA)、ポリノルボルネン、ESI、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、EVA-一酸化炭素コポリマー(EVACO)、MAH変性ポリエチレン、マレイン酸無水物変性EVA、グリシジルメタクリレート変性EMA、グリシジルメタクリレート変性EBA、及びグリシジルメタクリレート変性EVA等が挙げられる。上記熱可塑性エラストマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記EAOは線状構造を有することが好ましい。
上記エチレン-アルキルアクリレートコポリマーとしては、エチレン-メチルアクリレート(EMA)、エチレン-ブチルアクリレート(EBA)、及びエチレン-エチルアクリレート(EEA)等が挙げられる。
接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にする観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、EVA、EVACO、EMA、EBA、又はEAAであることが好ましい。
上記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記外層の材料100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上であると、偏平強度をより一層良好にすることができる。上記成分Xの含有量が上記上限以下であると、接着信頼性をより一層良好にすることができる。
耐候性をより一層高める観点からは、上記外層の材料は、無機顔料を含むことが好ましい。
上記無機顔料としては、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化クロム、硫酸モリブデン酸クロム酸鉛、炭酸カルシウム、及び硫化亜鉛等が挙げられる。上記無機顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光を吸収することによる無機顔料の発熱を効果的に抑える観点からは、上記無機顔料は、酸化チタンを含むことが好ましい。
上記無機顔料の平均粒径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上、好ましくは800nm以下、より好ましくは750nm以下である。上記無機顔料の平均粒径が上記下限以上であると、耐候性をより一層良好にすることができ、長期間に渡り、機械的特性を良好に維持することができる。上記無機顔料の平均粒径が上記上限以下であると、外層の引張破断伸び率を良好にすることができる。
上記無機顔料の平均粒径は、数平均粒子径を示す。上記無機顔料の平均粒径は、例えば、無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。また、上記多層管の外層を切り出した後、外層を溶剤等で溶解して無機顔料を分離し、分離した無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記外層の材料中の上記耐候性熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記外層の材料中の上記無機顔料の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、好ましくは30重量部以下である。上記無機顔料の含有量が上記下限以上であると、耐候性をより一層高めることができる。上記無機顔料の含有量が上記上限以下であると、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性をより一層良好にすることができる。
呼び径が50Aである上記多層管について耐衝撃試験を実施した後、50%衝撃破壊高さを算出したときに、上記50%衝撃破壊高さが100cm以上であることが好ましく、130cm以上であることがより好ましく、150cm以上であることが更に好ましい。上記50%衝撃破壊高さが上記下限以上であると、施工時等に多層管に加わる外力に起因する多層管のひび又は割れを効果的に抑えることができる。
上記耐衝撃試験は、JIS K6741又はJIS K6742に準拠して測定される。具体的には、上記耐衝撃試験は、JIS K6741の附属書JA又はJIS K6742の附属書JAに準拠して測定される。また、50%衝撃破壊高さは、JIS K7211に準拠して算出される。
上記多層管について、下記に示す耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の50%衝撃破壊高さの、耐候性試験実施前の50%衝撃破壊高さに対する衝撃強度保持率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。上記衝撃強度保持率が上記下限以上であると、より一層長期間に渡って、多層管の機械的特性を維持することができる。
上記衝撃強度保持率は、下記式により求めることができる。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験実施後の50%衝撃破壊高さ/耐候性試験実施前の50%衝撃破壊高さ)×100
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。なお、上記耐候性試験実施後の多層管は、屋外に10年程度放置した後の多層管に相当する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記多層管について、上記の耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施前後での色差が10以下であることが好ましい。上記色差が上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記色差とは、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、耐候性試験前後の樹脂のL,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定し、以下の式を用いて計算されたΔEである。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
偏平強度をより一層高める観点からは、上記多層管についてJIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を実施したときに、上記多層管にひび又は割れが生じないことが好ましい。
実使用上の観点、及び水理特性、施工性を良好にする観点からは、上記多層管の外径は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、好ましくは600mm以下、より好ましくは400mm以下である。
実使用上の観点からは、上記多層管の厚みは、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記内層の厚みは、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2mm以上、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記外層の厚みは、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
上記多層管の呼び径は50Aであってもよく、50Aでなくてもよい。多層管の呼び径が50Aである場合には、上記多層管の外径及び厚みは、JIS K6741のVP規格に準拠することが好ましい。
上記多層管では、内層と外層との間に、内層及び外層とは異なる層が配置されていてもよい。内層及び外層とは異なる層としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂層、繊維強化樹脂層、ガスバリア層、金属層、及び接着剤層等が挙げられ、これらの層を目的とする機能に応じて適宜選定して組み合わせることができる。
上記熱可塑性樹脂層の材料としては、オレフィン系樹脂、及び塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記繊維強化樹脂層としては、熱可塑性樹脂と強化用繊維とを組み合わせた層等が挙げられる。上記強化用繊維は無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。上記無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン-チタン-炭素繊維、ボロン繊維及び微細な金属繊維等が挙げられる。上記有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維等が挙げられる。これら強化用繊維は、連続繊維が長手方向に配される場合、長手方向に配された連続繊維とこの連続繊維と直交又は交差する連続繊維とが配される場合、並びに有限長さの繊維が配される場合に用いられる。
上記多層管には、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、及び顔料等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、及び2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。
(接着層)
上記接着層は、接着材料により形成される。上記接着層の材料(接着材料)は、溶質と溶媒とを含む。上記溶質及び上記溶媒は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明では、特定の接着層の材料(接着材料)が用いられているので、上記外層の外表面上に上記接着材料を塗布した際に、上記外層の外表面を膨潤させることができ、その結果、多層管と接続対象部材とを接続する際の挿入抵抗を小さくでき、多層管と接続対象部材との接着信頼性を高めることができる。
上記溶質としては、熱可塑性樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化塩化ビニル樹脂(CPVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ゴム含有アクリル樹脂、及び塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体等が挙げられる。
上記外層の外表面をより一層膨潤させる観点からは、上記接着材料は、上記溶質として、ポリ塩化ビニル、又は塩素化塩化ビニル樹脂を含むことが好ましい。
上記溶媒としては、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、及びエタノール等が挙げられる。
上記外層の外表面をより一層膨潤させる観点からは、上記接着材料は、上記溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、又はアセトンを含むことが好ましい。
上記外層の外表面をより一層膨潤させる観点からは、上記接着材料100重量%中、上記溶質の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
上記外層の外表面をより一層膨潤させる観点からは、上記接着材料100重量%中、上記溶媒の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
上記接着層の材料(接着材料)における溶媒は、上記多層管における上記外層を該溶媒中に23℃で10分間浸漬させた後、浸漬後の上記外層を乾燥したときに、下記式(1)で算出される重量増加量を1.25倍以上にする溶媒であることが好ましく、1.30倍以上にする溶媒であることがより好ましく、1.40倍以上にする溶媒であることが更に好ましい。上記接着層の材料(接着材料)における溶媒は、上記外層を該溶媒中に23℃で10分間浸漬させた後、浸漬後の上記外層を乾燥したときに、下記式(1)で算出される重量増加量を2.00倍以下にする溶媒であることが好ましく、1.80倍以下にする溶媒にすることがより好ましい。この場合、上記外層の外表面を膨潤させることができ、その結果、多層管と接続対象部材とを接続する際の挿入抵抗を小さくでき、多層管と接続対象部材との接続精度を高めることができる。なお、下記式(1)で算出される重量増加量が2.00倍を超えると、2.00倍以下である場合と比べて、多層管と接続対象部材との接着後に溶媒が十分に乾燥するまでの時間が長くなり、接続強度が低下したり、抜け戻りが生じたりすることがある。
重量増加量=(浸漬後の外層の重量-乾燥後の外層の重量+浸漬前の外層の重量)/浸漬前の外層の重量 ・・・(1)
上記接着層の材料(接着材料)における上記溶媒に含まれている溶媒成分のうち、上記多層管における上記外層を溶媒成分中に23℃で10分間浸漬させた後、浸漬後の上記外層を乾燥したときに、上記式(1)で算出される重量増加量を1.25倍以上にする溶媒成分を第1の溶媒と称する。
上記接着層の材料(接着材料)における溶媒は、上記第1の溶媒を含むことが好ましい。この場合には、上記外層の外表面を膨潤させることができ、その結果、多層管と接続対象部材とを接続する際の挿入抵抗を小さくでき、多層管と接続対象部材との接続精度を高めることができる。
接続精度をより一層高める観点からは、上記第1の溶媒は、上記式(1)で算出される重量増加量を、好ましくは1.30倍以上、より好ましくは1.40倍以上にする溶媒であることが好ましい。多層管及び多層管接続体の強度を高く維持する観点からは、上記第1の溶媒は、上記式(1)で算出される重量増加量を、好ましくは2.00倍以下、より好ましくは1.80倍以下にする溶媒であることが好ましい。上記式(1)で算出される重量増加量が2.00倍を超えると、2.00倍以下である場合と比べて、多層管と接続対象部材との接着後に溶媒が十分に乾燥するまでの時間が長くなり、接続強度が低下したり、抜け戻りが生じたりすることがある。
上記接着材料100重量%中、上記第1の溶媒の含有量(複数の第1の溶媒を用いる場合には合計の含有量)は、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは88重量%以下である。上記溶媒の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、多層管と接続対象部材とを接続する際の挿入抵抗をより一層小さくでき、多層管と接続対象部材との接続精度をより一層高めることができる。
上記接着材料は、塩化ビニル系接着材料(塩化ビニル系接着剤)であることが好ましい。上記塩化ビニル系接着材料は、塩化ビニル又は塩素化塩化ビニル樹脂を含む。
多層管及び多層管接続体を40℃以上の温度で良好に使用する観点からは、上記接着材料は、塩素化塩化ビニル樹脂を含むことが好ましい。塩素化塩化ビニル樹脂を含む接着材料(塩化ビニル系接着材料)は、耐熱性を高めることができる。
なお、本発明に係る多層管では、上記構成Bに示すように、塩化ビニル系接着材料(接着材料(1))が用いて積層体(1)が作製される。接着材料(1)における溶質は、塩素化塩化ビニル樹脂であることが好ましい。接着材料(1)における溶媒は、上記構成Aで用いられる混合液(1)であることが好ましい。接着材料(1)では、塩素化塩化ビニル樹脂が溶質であり、上記混合液(1)が溶媒であることが好ましい。
本発明に係る多層管接続体において、上記接着層の材料(接着材料)は、接着材料(1)であってもよく、接着材料(1)でなくてもよい。混合液(1)及び接着材料(1)は、上記構成Aにおける上記降伏強度及び上記構成Bにおける上記接着強度を測定するために調製される。
接着材料として、市販品を用いることもできる。上記接着材料の市販品としては、積水化学工業社製「エスロン接着剤 No.73S」及び「エスロン接着剤 No.100S」等が挙げられる。
接着信頼性をより一層高める観点からは、上記接着層の多層管の軸方向における長さは、接続対象部材に規定されている挿入長さと同じであることが好ましい。例えば、呼び径が50Aである多層管と、接続対象部材としてTSソケットとを接続する場合、該接続対象部材に規定されている挿入長さは63mmである。この場合には、上記接着層の多層管の軸方向における長さは63mmであることが好ましい。なお、上記接着層が、多層管の両側の端部に複数配置されている場合に、上記長さは、1つの接着層における長さを意味する。
(接続対象部材)
上記接続対象部材とは、多層管に接続されて用いられる部材を意味する。上記接続対象部材としては、上記多層管に接続されて用いられる部材であれば特に限定されず、管(第2の管)及び管継手等が挙げられる。上記管としては、単層管及び多層管等が挙げられる。
上記接続対象部材の材料は特に限定されない。上記接続対象部材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。上記接続対象部材の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリ塩化ビニルは、硬質塩化ビニルであってもよい。
上記接続対象部材の材料は、外層の材料を含んでいてもよく、外層の材料を含んでいなくてもよい。
上記接続対象部材の材料は、ポリ塩化ビニルであってもよく、ポリ塩化ビニルでなくてもよい。上記接続対象部材の材料は、硬質塩化ビニルであってもよい。上記構成Bで用いられるポリ塩化ビニルは、積層体(1)における上記第2の試験片を作製するために用いられる。
上記接続対象部材としては、TSソケット等が挙げられる。上記TSソケットの呼び径は50Aであってもよい。
(多層管接続体の他の詳細)
本発明に係る多層管接続体は、上述した多層管と、上記多層管に接続された接続対象部材と、上記多層管と上記接続対象部材との間に配置された接着層とを備える。
本発明に係る多層管接続体は、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性及び耐候性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
上記多層管が呼び径50Aのサイズを有する場合に、上記接続対象部材に該多層管を荷重100Nで挿入したときに、多層管の挿入長さの、接続対象部材により規定される挿入可能長さに対する比(多層管の挿入長さ/接続対象部材により規定される挿入可能長さ)は、1/3以上であることが好ましく、2/3以下であることが好ましい。上記比が上記下限以上であると、多層管接続体の接着強度をより一層高めることができる。上記比が上記上限以下であると、接続対象部材に過度の応力が加わることによる、接続対象部材の長期強度の低下を抑えることができる。
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、23℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
多層管の材料として、以下の材料を用意した。
内層:
ポリ塩化ビニル(PVC)(徳山積水工業社製「TS-1000R」)
アクリルブロックコポリマー(クラレ社製「LB550」)
外層:
樹脂材料1:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)との混合物(日本エイアンドエル社製「UB-860」、AES樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中のAES樹脂の含有量75重量%~85重量%、EPDMの含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料2:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)との混合物(日本エイアンドエル社製「UB-700A」、AES樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中のAES樹脂の含有量75重量%~85重量%、EPDMの含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料3:アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)(日本エイアンドエル社製「100PCF」、AS樹脂の重合度600~1400)
樹脂材料4:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とアクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)とアクリルゴムとの混合物(テクノポリマー社製「MW266」、AES樹脂及びASA樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中のAES樹脂とASA樹脂との合計の含有量75重量%~85重量%、EPDMとアクリルゴムとの合計の含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料5:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とアクリルゴムとの混合物(三菱レイヨン社製「IRH50」、PMMAの重合度800~1200、樹脂材料中のPMMAの含有量50重量%~70重量%、アクリルゴムの含有量30重量%~50重量%)
樹脂材料6:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「VH」、重合度800~1200)
樹脂材料7:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「MF」、重合度200~400)
樹脂材料8:アクリルブロックコポリマー(クラレ社製「LB550」)
樹脂材料9:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とブタジエンゴムの混合物(三菱レイヨン社製「VRS40」、PMMAの重合度400~600、樹脂材料中のPMMAの含有量50重量%~70重量%、ブタジエンゴムの含有量30重量%~50重量%)
樹脂材料10:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とブタジエンゴムの混合物(三菱レイヨン社製「IRS204」、PMMAの重合度200~400、樹脂材料中のPMMAの含有量50重量%~70重量%、ブタジエンゴムの含有量30重量%~50重量%)
樹脂材料11:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とアジピン酸系ポリエステル可塑剤(三菱ケミカル社製「D620」)との混合物(PMMAの重合度800~1200、樹脂材料中のPMMAの含有量80重量%、アジピン酸系ポリエステル可塑剤の含有量20重量%)
顔料1:酸化チタン70重量%と、分散剤15重量%と、チタン、アンチモン及びクロムの複合酸化物10重量%と、亜鉛、鉄及びクロムの複合酸化物5重量%とを含む混合物。
顔料2:酸化チタン70重量%と、分散剤15重量%と、チタン、アンチモン及びクロムの複合酸化物10重量%と、亜鉛、鉄及びクロムの複合酸化物5重量%とを含む混合物。
顔料3:酸化チタン70重量%と、分散剤15重量%と、チタン、アンチモン及びクロムの複合酸化物10重量%と、亜鉛、鉄及びクロムの複合酸化物5重量%とを含む混合物。
なお、上記顔料1~3は、後述するように平均粒径が異なるように振り分けられた顔料である。
接着材料:
エスロン接着剤(積水化学工業社製「No.100S」、塩化ビニル系接着材料)
なお、用いたエスロン接着剤の溶媒は、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%との混合液である。また、用いたエスロン接着剤は、溶質として塩素化塩化ビニル樹脂を含む。
接続対象部材として、以下の材料を用意した。
TSソケット(積水化学工業社製「TS50」、材料:ポリ塩化ビニル)
参考例1)
(1)多層管の作製
下記の表1に示す構成において、下記の押出条件で多層管の成形を行った。内層の外表面が外層により被覆された管状体を得た。得られた多層管の呼び径は50A、外径は60mm、内層の厚みは4.1mm、外層の厚みは0.1mmであった。得られた管状体を40cmの直管として、多層管を作製した。
[押出条件]
押出機:長田製作所社製「SLM60」(2軸異方向パラレル押出機)
副押出機:長田製作所社製「OPEH-40」(単軸押出機)
金型:パイプ用金型、呼び径50A用多層パイプ作製用
全体押出量:100kg/h
樹脂温度:多層管本体(内層)190℃(金型入口部での温度)、被覆層(外層)220℃(金型入口部での温度)
(2)配管(多層管接続体)の作製
接続対象部材に多層管を荷重100Nで挿入したときの挿入長さが、21mm以上42mm以下であることを確認してから、配管(多層管接続体)を作製した。
多層管を2本用意し、それぞれの多層管の外層の外表面上に、多層管の一端から多層管の軸方向63mmの位置まで接着材料(エスロン接着剤)を4g塗布した。また、接続対象部材(TSソケット)の両端の内面上に接着材料(エスロン接着剤)をそれぞれ4g塗布した。多層管を接続対象部材の両端部に挿入し、30秒間抜け戻りがないよう固定した。このようにして、多層管と接続対象部材と多層管とがこの順に備えられた配管を作製した。
(実施例2,7,10~12、参考例3~6,8,9及び比較例1~
多層管の構成を表1~3のように変更したこと以外は、参考例1と同様にして配管を作製した。
(評価)
(1)顔料の平均粒径
得られた多層管から、外層を切り出して、0.1mol/Lのテトロヒドロフランで溶解し、顔料を分離して乾燥させた。得られた顔料について、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD-2200」)を用いて、レーザー回折式粒度分布測定を行い、数平均粒子径を求めた。
顔料1の平均粒径は、50nmであり、顔料2の平均粒径は、200nmであり、顔料3の平均粒径は、1000nmであった。
(2)降伏強度(23℃、40℃及び60℃)
得られた配管の接続部分から、外層のみを切り出して、下記のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルの長さ方向は、多層管の軸方向と一致させた。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K7161-1における試験片の形状とした。得られたサンプルを接着材料の溶媒(メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液)中に23℃で30分間浸漬した。次いで、浸漬後のサンプルを60℃で72時間乾燥した。次いで、乾燥後のサンプルについて、JIS K7161-1に準拠して、23℃、40℃又は60℃、及び引張速度5mm/分の条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、降伏強度(最大降伏強度)を算出した。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。なお、乾燥後のサンプルが降伏する前に破断した場合は、破断時の圧力を降伏強度とした。
[ロールプレス条件]
加熱温度:195℃
加熱時間:3分間
余熱温度:195℃
余熱時間:3分間
プレス圧力:20MPa
プレス時間:3分間
(3)接着強度(23℃、40℃及び60℃)(短期の接続信頼性)
得られた多層管から、外層のみを切り出して、上記(2)降伏強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第1の試験片を得た。接続対象部材を切り出して、上記(2)降伏強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第2の試験片を得た。得られた第1の試験片の表面にエスロン接着剤を0.1g塗布し、該塗布部分に上記第2の試験片を重ね合わせて、0.2Nの荷重をかけて接着し、23℃で24時間乾燥して、積層体を得た。なお、第1の試験片と第2の試験片との接着面積は、300mmとした。得られた積層体について、23℃、40℃又は60℃、及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行った。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いた。下記式により、23℃での接着強度、40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を求めた。23℃での接着強度、40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を以下の基準で判定した。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
[接着強度の判定基準]
○:接着強度が10MPa以上
×:接着強度が10MPa未満
(4)重量増加量
得られた多層管から、外層のみを切り出して、上記(2)降伏強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×5cm×1.00mmのサンプルを得た。得られたサンプルの重量を測定した。次いで、得られたサンプルを、接着材料の溶媒(メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液)中に23℃で10分間浸漬した後、浸漬後のサンプルの重量を測定した。その後、サンプルを23℃で24時間乾燥させた後、乾燥後のサンプルの重量を測定した。下記式により、重量増加量を算出した。重量増加量を以下の基準で判定した。
重量増加量=(浸漬後のサンプルの重量-乾燥後のサンプルの重量+浸漬前のサンプルの重量)/浸漬前のサンプルの重量
[重量増加量の判定基準]
○:重量増加量が1.25倍以上2倍未満
△:重量増加量が1.20倍を超え1.25倍未満
△△:重量増加量が1.00倍を超え1.20倍未満
×:重量増加量が変化無し
(5)偏平強度
得られた多層管をJIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を行った。試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。偏平強度を下記の基準で判定した。なお、上記圧縮により、多層管の外径が1/2になる場合、偏平率は50%であり、多層管の外径が4/5になる場合、偏平率は20%である。
[偏平強度の判定基準]
○:管の外径が1/2になるまで圧縮しても、多層管にひび又は割れが生じない(偏平率50%で多層管にひび又は割れが生じない)
△:偏平率20%以上50%未満で、多層管にひび又は割れが生じる
×:偏平率20%未満で、多層管にひび又は割れが生じる
(6)熱間内圧クリープ試験(23℃、40℃及び60℃)(長期の接続信頼性)
得られた配管(多層管接続体)を60℃で168時間静置した。静置後、23℃、40℃又は60℃で圧力1.0MPa(フープ応力6.4MPa)の水圧を配管内に負荷し、上記配管から水漏れが発生するまでの時間を測定した。23℃での熱間内圧クリープ試験、40℃での熱間内圧クリープ試験、及び60℃での熱間内圧クリープ試験を以下の基準で判定した。
[熱間内圧クリープ試験の判定基準]
○:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が100時間以上
△:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が50時間以上100時間未満
×:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が50時間未満
(7)全光線透過率
得られた多層管の外層のみを切り出し、上記(2)降伏強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、厚み0.20mm、0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.50mmのサンプルを作製した。得られた各サンプルの厚みは±0.02mmのばらつきが生じたため、マイクロメーターで正確な厚みを測定した。得られたサンプルの全光線透過率を日本電色工業社製「NDH2000」を用いて、JIS K7361-1に準拠して測定した。片対数グラフ上に、サンプルの厚みを横軸、全光線透過率を縦軸にプロットし、得られた近似直線の傾きを定数Aとした。下記の式に従い、外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率、及び外層(得られた多層管における外層と同じ厚みを有する外層)の厚み方向の全光線透過率を算出した。全光線透過率は以下の基準で判定した。
外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率(%)=100×exp(-A×0.1)
外層の厚み方向の全光線透過率(%)=100×exp(-A×T)
T:外層の厚み(mm)
[全光線透過率の判定基準]
○:外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率又は外層の厚み方向の全光線透過率が30%以下
△:○に該当せず、外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率及び外層の厚み方向の全光線透過率のいずれか一方が30%を超え50%以下
△△:○及び△に該当せず、外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率及び外層の厚み方向の全光線透過率のいずれか一方が50%を超え85%以下
×:外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率及び外層の厚み方向の全光線透過率が85%を超える
(8)50%衝撃破壊高さ
得られた多層管について、3kgの錘を用いて、JIS K6741の附属書JAに準拠して0℃で落錘試験(耐衝撃試験)を実施した。次いで、JIS K7211に準拠して50%衝撃破壊高さを算出した。落錘試験機として、安田精機製作所社製「FALLING DART IMPACT TESTER」を用いた。ただし、試験片の長さは3cmとした。50%衝撃破壊高さを以下の基準に従い判定した。
[50%衝撃破壊高さの判定基準]
○:50%衝撃破壊高さが150cm以上
△:50%衝撃破壊高さが100cm以上150cm未満
△△:50%衝撃破壊高さが20cmを超え100cm未満
×:50%衝撃破壊高さが20cm以下
(9)耐候性試験
得られた多層管を下記の条件で800時間の耐候性試験を実施した。耐候性試験機として、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いた。
[耐候性試験条件]
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
(10)衝撃強度保持率
耐候性試験実施後の多層管について、上記(8)50%衝撃破壊高さの評価と同様にして、50%衝撃破壊高さを求めた。上記(8)50%衝撃破壊高さで求めた耐候性試験実施前の多層管における50%衝撃破壊高さと、(9)耐候性試験実施後の多層管における50%衝撃破壊高さとから、衝撃強度保持率を、以下の式により求めた。衝撃強度保持率を下記の基準で判定した。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験実施後の50%衝撃破壊高さ/耐候性試験実施前の50%衝撃破壊高さ)×100
[衝撃強度保持率の判定基準]
○:衝撃強度保持率が、80%以上
△:衝撃強度保持率が、50%以上80%未満
△△:衝撃強度保持率が、30%以上50%未満
×:衝撃強度保持率が、30%未満
(11)色差
得られた多層管について、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、L,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定した。また、上記(9)耐候性試験を行った多層管についても、同様にしてL,a,bを測定した。下記式により耐候性試験前後の色差を求めた。色差を下記の基準で判定した。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
[色差の判定基準]
○:ΔEが5以下
△:ΔEが5を超え10以下
△△:ΔEが10を超え15以下
×:ΔEが15を超える
(12)総合判定
各評価項目の判定結果から各実施例、各参考例及び各比較例で点数を算出した。
(3)接着強度の判定が○:10点、×:0点
(4)重量増加量の判定が○:10点、△:5点、△△:1点、×:0点
(5)偏平強度の判定が○:5点、△:3点、×:0点
(6)熱間内圧クリープ試験の判定が○:10点、△:5点、×:0点
(7)全光線透過率の判定が○:5点、△:3点、△△:1点、×:0点
(8)50%衝撃破壊高さの判定が○:5点、△:3点、△△:1点、×:0点
(10)衝撃強度保持率の判定が○:10点、△:5点、△△:1点、×:0点
(11)色差の判定が○:10点、△:5点、△△:1点、×:0点
[総合判定の判定基準]
○:合計点が95点以上
△:合計点が51点以上94点以下
×:合計点が50点以下
配管(多層管接続体)の構成及び結果を下記の表1~3に示す。
Figure 0007065726000001
Figure 0007065726000002
Figure 0007065726000003
1…多層管
1a…末端
11…内層
12…外層
21…多層管接続体
31…接続対象部材
41…接着層

Claims (26)

  1. 接続対象部材が接続されて用いられる多層管であって、
    内層と外層とを備え、
    前記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含み、
    前記外層の材料が、ゴム(但し、アクリルゴムを除く)、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分を含み、
    前記外層の材料100重量%中、前記成分の含有量が5重量%以上50重量%以下であり、
    前記外層を、メチルエチルケトン20重量%と、テトラヒドロフラン40重量%と、シクロヘキサノン40重量%とを含む混合液中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の前記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記外層の材料が成形された第1の試験片と、ポリ塩化ビニルが成形された第2の試験片と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に配置され、塩化ビニル系接着材料により形成された接着層とを備える積層体を得たときに、前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との23℃での接着強度が10MPa以上である、多層管。
  2. 前記乾燥後の前記外層の40℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との40℃での接着強度が10MPa以上である、請求項1に記載の多層管。
  3. 前記乾燥後の前記外層の60℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記積層体における前記第1の試験片と前記第2の試験片との60℃での接着強度が10MPa以上である、請求項1又は2に記載の多層管。
  4. 前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層管。
  5. 呼び径が50Aであり、
    JIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を実施した後、JIS K7211に準拠した50%衝撃破壊高さを算出したときに、前記50%衝撃破壊高さが100cm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層管。
  6. 耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の前記50%衝撃破壊高さの、耐候性試験実施前の前記50%衝撃破壊高さに対する衝撃強度保持率が、50%以上である、請求項5に記載の多層管。
  7. 耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施前後での色差が10以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層管。
  8. JIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を実施したときに、多層管にひび又は割れが生じない、請求項1~7のいずれか1項に記載の多層管。
  9. 前記外層の材料が、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂を含、請求項1~8のいずれか1項に記載の多層管。
  10. 前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が500以上2000以下である、請求項9に記載の多層管。
  11. 前記外層の材料が、無機顔料を含み、
    前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の多層管。
  12. 内層と外層とを備える多層管と、
    前記多層管に接続された接続対象部材と、
    前記多層管と前記接続対象部材との間に配置された接着層とを備え、
    前記多層管における前記内層の材料は、熱可塑性樹脂を含み、
    前記多層管における前記外層の材料が、ゴム(但し、アクリルゴムを除く)、熱可塑性エラストマー、及び可塑剤の内の少なくとも1種の成分を含み、
    前記多層管における前記外層の材料100重量%中、前記成分の含有量が5重量%以上50重量%以下であり、
    前記多層管における前記外層を、前記接着層の材料における溶媒中に23℃で30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で72時間乾燥したときに、乾燥後の前記外層の23℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記多層管と前記接続対象部材との23℃での接着強度が10MPa以上である、多層管接続体。
  13. 前記乾燥後の前記外層の40℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である、請求項12に記載の多層管接続体。
  14. 前記乾燥後の前記外層の60℃での降伏強度が10MPa以上であり、
    前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である、請求項12又は13に記載の多層管接続体。
  15. 前記接着層の材料における溶媒が、前記多層管における前記外層を前記溶媒中に23℃で10分間浸漬させた後、浸漬後の前記外層を乾燥したときに、下記式(1)で算出される重量増加量を1.25倍以上にする溶媒である、請求項1214のいずれか1項に記載の多層管接続体。
    重量増加量=(浸漬後の外層の重量-乾燥後の外層の重量+浸漬前の外層の重量)/浸漬前の外層の重量 ・・・(1)
  16. 23℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項1215のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  17. 40℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項1216のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  18. 60℃及びフープ応力6.4MPaで熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項1217のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  19. 前記多層管における前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記多層管における前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である、請求項1218のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  20. 前記多層管の呼び径が50Aであり、
    前記多層管についてJIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を実施した後、JIS K7211に準拠した50%衝撃破壊高さを算出したときに、前記50%衝撃破壊高さが100cm以上である、請求項1219のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  21. 前記多層管について耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の前記50%衝撃破壊高さの、耐候性試験実施前の前記50%衝撃破壊高さに対する衝撃強度保持率が、50%以上である、請求項20に記載の多層管接続体。
  22. 前記多層管について耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施前後での色差が10以下である、請求項1221のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  23. 前記多層管についてJIS K6741に準拠して、多層管の外径が1/2になるまで圧縮する偏平試験を実施したときに、前記多層管にひび又は割れが生じない、請求項1222のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  24. 前記多層管における前記外層の材料が、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、及びアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂の内の少なくとも1種の耐候性熱可塑性樹脂を含、請求項1223のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  25. 前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が500以上2000以下である、請求項24に記載の多層管接続体。
  26. 前記多層管における前記外層の材料が、無機顔料を含み、
    前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である、請求項1225のいずれか1項に記載の多層管接続体。
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