JP7103873B2 - 多層管接続体 - Google Patents

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Description

本発明は、内層と外層とを備える多層管に関する。また、本発明は、上記多層管を用いた多層管接続体に関する。
マンション、アパート、戸建住宅等の建築物には、給水及び排水をするためにプラスチック配管が多く使用されている。また、配管を屋外で使用する場合や、配管における酸素の透過を防止する必要がある場合には、内層と機能性の高い樹脂組成物により形成された外層とが一体化された配管が用いられている。例えば、積水化学工業社製「カラーパイプ」においては、内層が塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)であり、外層が耐候性に優れた樹脂であることにより、屋外での使用が可能となっている。
また、配管構造の必要な長さが1つの配管の長さよりも長い場合や、配管構造に曲り等がある場合には、複数の配管が直接又は継手を介して接続される。この際には、配管の端部に接着剤により接着層を形成し、配管が接着層により接続されることがある。
下記の特許文献1には、パイプ本体の外周が外層で被覆された塩化ビニル樹脂パイプが開示されている。上記パイプ本体は、塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル樹脂との混合樹脂組成物により形成されている。上記外層は、アクリル系共重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト重合させたアクリル-塩化ビニル系共重合体樹脂組成物により形成されている。
特開2002-254576号公報
特許文献1に記載のような従来の配管では、配管本体を被覆している外層の外表面上に配置された接着層を介してプラスチック管同士が接続されている。従来の配管では、第1のプラスチック管の外表面と第2のプラスチック管の内表面とが接着層を介して接着することにより、第1,第2のプラスチック管同士が接続されている。従来の配管では、上記外層と上記接続対象部材との接着性が悪く、十分な接着信頼性が得られない場合がある。特に、第1のプラスチック管の材料と第2のプラスチック管の材料とが異なる場合には、十分な接着信頼性が得られにくい。結果として、通水等によって内圧が上昇した場合に、接続された配管が外れる場合がある。なお、上記接着信頼性とは、多層管接続体の接着強度(短期の接続信頼性)とクリープ強度(長期の接続信頼性)との双方を意味する。
また、特許文献1に記載のような従来の配管では、外圧等により配管が変形した際に、配管が破損したり、外層にひび又は割れが生じたりする。
本発明の目的は、優れた接着信頼性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる多層管を提供することである。また、本発明は、上記多層管を用いた多層管接続体を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、内層と、外層とを備え、前記内層は、管状であり、前記外層は、前記内層の外表面上に配置されており、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張伸び率が10%以上であり、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層を接着剤に30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で48時間乾燥したときに、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された乾燥後の前記外層の40℃での引張強さが10MPa以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、軟質熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記軟質熱可塑性樹脂が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、又はジエン骨格に由来する構造単位を有するゴムである。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料100重量%中、前記軟質熱可塑性樹脂の含有量が5重量%以上70重量%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、更に、熱可塑性エラストマーと可塑剤とのうちの少なくとも1種の成分を含む。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料100重量%中、前記軟質熱可塑性樹脂と前記成分との合計の含有量が5重量%以上70重量%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料が、更に、耐候性熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の材料100重量%中、前記耐候性熱可塑性樹脂の含有量が30重量%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が400以上2500以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、耐候性試験実施後の衝撃強度の、耐候性試験実施前の衝撃強度に対する衝撃強度保持率が、50%以上である。
本発明の広い局面によれば、上述した多層管と、前記多層管に接続された接続対象部材とを備え、接着層が前記多層管と前記接続対象部材と間に配置されている、多層管接続体が提供される。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記外層を前記接着層の材料に30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で48時間乾燥したときに、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された乾燥後の前記外層の40℃での引張強さが10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管における前記外層のSP値と、前記接続対象部材のSP値との差の絶対値が、2.0以下である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管は、内層と、外層とを備える。本発明に係る多層管では、上記内層は、管状であり、上記外層は、上記内層の外表面上に配置されている。本発明に係る多層管では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記内層の23℃での引張伸び率が10%以上である。本発明に係る多層管では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である。本発明に係る多層管は、上記の構成を備えているので、優れた接着信頼性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る多層管を用いた多層管接続体の一例を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(多層管)
本発明に係る多層管は、接続対象部材が接続されて好適に用いられる。本発明に係る多層管は、内層と外層とを備える。本発明に係る多層管では、上記内層は管状であり、上記外層は、上記内層の外表面上に配置されている。上記内層は、上記外層よりも内側に位置している層であり、管本体である。上記外層は、上記内層よりも外側に位置している層である。なお、本発明に係る多層管は、2層の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を備えていてもよい。上記外層は、多層管の最も外側の層(最外層)であることが好ましい。なお、上記外層が、多層管の最外層でない場合には、該外層の外表面上に、厚み3mm以下の層が配置されていてもよい。また、上記外層は、耐候性を有する層であることが好ましい。
本発明に係る多層管では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記内層の23℃での引張伸び率が10%以上である。本発明に係る多層管では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された上記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
また、本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、多層管の耐候性を良好にすることができる。そのため、多層管を屋外で用いた場合でも、多層管の機械的強度を高く維持することができ、また、優れた接着信頼性を維持することができる。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、多層管と接続対象部材とを接続した多層管接続体を作製した際に、多層管と接続対象部材との接続性を十分に高めることができ、上記多層管の多層管接続体の軸方向における接続性を十分に高めることができる。また、多層管の径を大きくしても、多層管の重みによる変形を抑えることができ、多層管と接続対象部材との接続信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、上記多層管接続体内において給水等により圧力が加わったり、上記多層管接続体外から衝撃等による圧力が加わったりしたとしても、上記多層管と上記接続対象部材との脱離が生じ難く、上記多層管と上記接続対象部材とが接続された状態で多層管接続体を使用することができる。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、多層管と接続対象部材とを接続した多層管接続体を作製した際に、多層管接続体の耐候性を良好にすることができる。そのため、多層管接続体を屋外で用いた場合でも、多層管接続体の機械的強度を高く維持することができ、また、優れた接着信頼性を維持することができる。
本発明において、接続対象部材とは、多層管に接続されて用いられる部材を意味する。本発明において、接続対象部材としては、例えば、第1の管(第1の多層管)と第2の管(第2の多層管)とを接続するための継手、及び第1の管(第1の多層管)と直接接続される該第1の管とは異なる口径を有する第2の管等が挙げられる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。
図1に示す多層管1は、接続対象部材に接続されて用いられる。具体的には、多層管1の端部には、他の管又は管継手等が接続される。多層管1の端部は、接続対象部材を接続するための接続領域である。上記他の管は、単管であってもよく、多層管であってもよい。
多層管1は、内層11と、外層12とを備える。内層11は、管状である。内層11は、多層管1の両側の末端に至っている。
外層12は、内層11の外表面上に配置されている。外層12は、内層11の外表面の全体に配置されている。外層は、多層管の両側の末端に至っていることが好ましい。外層は、管状に配置されていることが好ましい。
接着層13は、外層12の外表面上に配置されている。接着層13は、多層管1の端部において、外層12の外表面上に配置されている。接着層13は、多層管1の末端1aに至るように、外層12の外表面上に配置されている。接着層は、外層の外表面上に配置されていればよく、多層管の端部において、外層の外表面上に配置されていなくてもよい。接着層は、外層の外表面の全体に配置されていてもよく、外層の外表面の一部の領域に配置されていてもよい。接着層は、多層管の端部において、多層管の末端に至るまでの外層の外表面の全体に配置されていなくてもよく、多層管の端部の一部の領域に配置されていてもよい。
内層と外層とを備える多層管と、接続対象部材とが接着層の材料(接着剤)により接着された多層管接続体では、内層と外層と接着層と接続対象部材とにより、多層管接続体が構成されている。
下記に示す耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の衝撃強度の、耐候性試験実施前の衝撃強度に対する衝撃強度保持率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。上記衝撃強度保持率が上記下限以上であると、より一層長期間に渡って、多層管の機械的特性を維持することができる。
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。なお、上記耐候性試験実施後の多層管は、屋外に10年程度放置した後の多層管に相当する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記衝撃強度は、JIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を行うことにより求めることができる。
上記衝撃強度保持率は、下記式により求めることができる。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験後の衝撃強度/耐候性試験前の衝撃強度)×100
上記多層管では、内層と外層との間に、内層、外層及び接着層とは異なる層が配置されていてもよい。内層、外層及び接着層とは異なる層としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂層、繊維強化樹脂層、ガスバリア層、金属層、及び接着剤層等が挙げられ、これらの層を目的とする機能に応じて適宜選定して組み合わせることができる。
上記熱可塑性樹脂層の材料としては、オレフィン系樹脂、及び塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記繊維強化樹脂層としては、熱可塑性樹脂と強化用繊維とを組み合わせた層等が挙げられる。上記強化用繊維は無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。上記無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン-チタン-炭素繊維、ボロン繊維及び微細な金属繊維等が挙げられる。上記有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維等が挙げられる。これら強化用繊維は、連続繊維が長手方向に配される場合、長手方向に配された連続繊維とこの連続繊維と直交又は交差する連続繊維とが配される場合、並びに有限長さの繊維が配される場合に用いられる。
接続信頼性をより一層高める観点からは、上記接着層の多層管の軸方向における長さは、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、好ましくは300mm以下、より好ましくは250mm以下、更に好ましくは225mm以下である。なお、上記接着層が、多層管の両側の端部などに複数配置されている場合に、上記長さは、1つの接着層における長さを意味する。
実使用上の観点、及び水理特性、施工性を良好にする観点からは、上記多層管の外径は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは400mm以下である。
実使用上の観点からは、上記多層管の厚みは、好ましくは2.2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、好ましくは19mm以下、より好ましくは15mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記外層の厚みは、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上であり、好ましくは0.50mm以下、より好ましくは0.35mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記内層の厚みは、好ましくは1.7mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、好ましくは19mm以下、より好ましくは15mm以下である。
以下、多層管の他の詳細を説明する。
(内層)
本発明に係る多層管では、上記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下である。上記内層の23℃での引張強さが25MPa未満であると、多層管が変形しやすく、多層管と接続対象部材との接着性が低くなることがある。特に多層管の径が大きい場合には、多層管の重みにより、多層管がより一層変形しやすくなり、多層管と接続対象部材との接続信頼性がより一層低くなることがある。
接着信頼性をより一層高める観点からは、上記内層の23℃での引張強さは、好ましくは30MPa以上、より好ましくは35MPa以上であり、好ましくは63MPa以下である。
本発明に係る多層管では、上記内層の23℃での引張伸び率が10%以上である。上記内層の23℃での引張伸び率が10%未満であると、偏平強度に劣り、多層管接続体外から衝撃等による圧力が加わったときに、多層管接続体が破損することがある。
偏平強度をより一層高める観点からは、上記内層の23℃での引張伸び率は、好ましくは12%以上、より好ましくは15%以上である。
上記内層の23℃での引張強さ、及び引張伸び率は、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定される。なお、上記引張強さ及び上記引張伸び率の測定では、試験片の形状に応じて、JIS K6815-2とJIS K7161-2とを選択することができる。
上記内層の材料は、上記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつ上記内層の23℃での引張伸び率が10%以上となる材料であることが好ましい。上記内層の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。上記内層の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリ塩化ビニル(PVC)としては特に限定されず、従来公知の任意の塩化ビニル系樹脂を用いてもよい。上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、並びに、塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。上記塩化ビニル系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;及びN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は、好ましくは100以上、好ましくは10000以下である。上記重合度が上記下限以上であると、疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用してもよい。例えば、機械的強度をより一層向上させるために、アクリル樹脂等を上記塩化ビニル系樹脂と併用してもよい。
また、上記塩化ビニル系樹脂は、後塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
(外層)
本発明に係る多層管では、上記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下である。上記外層の23℃での引張強さが25MPa未満であると、多層管が変形しやすく、多層管及び多層管接続体が破損することがある。
多層管の強度をより一層高める観点からは、上記外層の23℃での引張強さは、好ましくは30MPa以上、より好ましくは35MPa以上であり、好ましくは65MPa以下、より好ましくは63MPa以下である。
本発明に係る多層管では、上記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である。上記外層の23℃での引張伸び率が10%未満であると、偏平強度に劣り、多層管接続体外から衝撃等による圧力が加わったときに、多層管接続体が破損することがある。
偏平強度をより一層高める観点からは、上記外層の23℃での引張伸び率は、好ましくは12%以上、より好ましくは15%以上である。
上記外層の23℃での引張強さ、及び引張伸び率は、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定される。なお、上記引張強さ及び上記引張伸び率の測定では、試験片の形状に応じて、JIS K6815-2とJIS K7161-2とを選択することができる。
上記外層の材料は、上記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつ上記外層の23℃での引張伸び率が10%以上となる材料であることが好ましい。
内層と外層とを備える多層管と、接続対象部材とは、接着剤を用いて接着される。上記接着剤により、上記接着層が形成される。上記接着剤は、上記接着層の材料である。
接続信頼性をより一層高める観点からは、上記外層を上記接着剤(接着層の材料)に30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で48時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の40℃での引張強さは、好ましくは10MPa以上である。
接続信頼性をより一層高める観点からは、上記外層を上記接着剤(接着層の材料)に30分間浸漬した後、浸漬後の上記外層を60℃で48時間乾燥したときに、乾燥後の上記外層の60℃での引張強さは、好ましくは10MPa以上である。
上記乾燥後の外層の40℃又は60℃での引張強さは、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定される。なお、上記引張強さの測定では、試験片の形状に応じて、JIS K6815-2とJIS K7161-2とを選択することができる。
上記外層の引張強さと引張伸び率との双方を良好にし、接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にする観点からは、上記外層の材料は、軟質熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記軟質熱可塑性樹脂としては、ジエン、ブチル、エチレンプロピレン、ウレタン、シリコーン、アクリル、及びフッ素に由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂等が挙げられる。上記軟質熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジエンに由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、ブタジエンゴム、及びニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。
上記ブチルに由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、ブチルゴム等が挙げられる。
上記エチレンプロピレンに由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、エチレンプロピレンジエンゴム等が挙げられる。
上記アクリルに由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、アクリルゴム等が挙げられる。
上記シリコーンに由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、シリコーンゴム等が挙げられる。
上記フッ素に由来する構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。
偏平強度をより一層良好にする観点からは、上記軟質熱可塑性樹脂は、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、又はジエン骨格に由来する構造単位を有するゴムであることが好ましい。
上記外層の材料100重量%中、上記軟質熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下である。上記含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、偏平強度をより一層良好にすることができる。
上記外層の引張強さと引張伸び率との双方をより一層良好にし、偏平強度をより一層良好にする観点からは、上記外層の材料は、更に、熱可塑性エラストマーと可塑剤とのうちの少なくとも一方の成分(以下、本明細書において成分Aと記載することがある)を含むことが好ましい。
上記外層の材料は、上記軟質熱可塑性樹脂と上記成分Aとを含むことが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、α-オレフィンコポリマー(EAO)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBまたはSBS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン-イソプレンコポリマー(SIまたはSIS)、エチレン-アルキルアクリレートコポリマー、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、イオノマー樹脂、エラストマーコポリエステル、エチレン-メチルアクリル酸コポリマー(EMAA)、ポリノルボルネン、ESI、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、EVA-一酸化炭素コポリマー(EVACO)、MAH変性ポリエチレン、マレイン酸無水物変性EVA、グリシジルメタクリレート変性EMA、グリシジルメタクリレート変性EBA、及びグリシジルメタクリレート変性EVA等が挙げられる。上記熱可塑性エラストマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記EAOは線状構造を有することが好ましい。
上記エチレン-アルキルアクリレートコポリマーとしては、エチレン-メチルアクリレート(EMA)、エチレン-ブチルアクリレート(EBA)、及びエチレン-エチルアクリレート(EEA)等が挙げられる。
接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にする観点からは、上記熱可塑性エラストマーは、EVA、EVACO、EMA、EBA、EAA、又はEAAであることが好ましい。
上記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記外層の材料100重量%中、上記成分Aの含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にすることができる。
上記外層の材料100重量%中、上記軟質熱可塑性樹脂と上記成分Aとの合計の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下である。上記含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にすることができる。
屋外での実使用上の観点からは、上記外層の材料は、更に、耐候性熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記外層の材料は、上記軟質熱可塑性樹脂と上記耐候性熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、上記軟質熱可塑性樹脂と上記成分Aと上記耐候性熱可塑性樹脂とを含むことがより好ましい。上記外層は、耐候性能を有する層であることが好ましい。
上記耐候性熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリイミド樹脂、及びアクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)等が挙げられる。上記耐候性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐候性熱可塑性樹脂の重合度は、好ましくは400以上、より好ましくは500以上であり、好ましくは2500以下、より好ましくは1800以下、更に好ましくは1500以下である。上記重合度が上記下限以上であると、接着信頼性をより一層高めることができる。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記外層の材料100重量%中、上記耐候性熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは95重量%以下、更に好ましくは90重量%以下である。上記含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性、接着信頼性及び偏平強度をより一層良好にすることができる。
樹脂が耐候性を有するか否かに関しては、以下の耐候性試験を実施した場合に、該耐候性試験前後での色差が10以下である場合に、樹脂が耐候性を有すると判断する。なお、上記耐候性試験実施後の樹脂は、屋外に10年程度放置した後の樹脂に相当する。
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記色差とは、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、耐候性試験前後の樹脂のL,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定し、以下の式を用いて計算されたΔEである。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
上記外層の厚み方向における全光線透過率は50%以下であるか、又は、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下であることが好ましい。上記全光線透過率が上記上限以下であると、内層に到達する全光線量を減らすことができるため、多層管の耐候性を良好にすることができ、また、多層管の耐衝撃性を高めることができる。
上記外層の厚み方向における全光線透過率、及び上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、外層の全光線透過率を測定することで求めることができる。なお、上記全光線透過率を測定するための外層は、多層管から外層部分を切り出して得てもよく、外層の材料を成形して多層管における外層の厚みと同じ厚みの層を作製することにより得てもよい。
多層管の耐候性及び耐衝撃性より一層良好にする観点からは、上記外層の厚み方向における全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下である。
多層管の耐候性及び耐衝撃性より一層良好にする観点からは、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下である。
上記全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定される。
上記外層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料と併用してもよい。例えば、上記全光線透過率をより良好にするために、上記外層の材料は、顔料等を含んでいてもよい。
(接着層)
上記接着層は、接着剤により形成される。上記接着層の材料は、接着剤である。上記接着層の材料(接着剤)としては特に限定されず、積水化学工業社製「エスロン接着剤 No.73S」、「エスロン接着剤 No.100S」等が挙げられる。また、上記接着層の材料(接着剤)は、THF、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、及びエタノール等の溶剤を含んでいてもよい。
(多層管の他の詳細)
上記多層管には、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、及び2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(多層管接続体)
本発明に係る多層管接続体は、上述した多層管と、上記多層管に接続された接続対象部材とを備える。本発明に係る多層管接続体は、上記接着層が、内層と外層とを備える上記多層管と上記接続対象部材との間に配置されている。上記接続対象部材としては、上記多層管に接続されて用いられる部材であれば特に限定されず、管(第2の管)及び管継手等が挙げられる。上記管としては、単層管及び多層管等が挙げられる。
本発明に係る多層管接続体は、上記の構成が備えられているので、優れた接着信頼性を有し、かつ高い偏平強度を有し、圧力下で使用することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る多層管を用いた多層管接続体の一例を示す断面図である。
図2に示す多層管接続体21は、多層管1と接続対象部材31とを備える。多層管1は、図1に示す多層管1である。多層管1と接続対象部材31とは、多層管1の端部において接続されている。多層管1と接続対象部材31とは、多層管1の端部において外層12の外表面上に配置されている接着層13を介して接続されている。
上記多層管接続体における上記接着層は、上記接続対象部材の上記多層管側の末端から露出していてもよく、上記接続対象部材の上記多層管側の末端から露出していなくてもよい。
上記多層管の材料と上記接続対象部材の内表面の材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。すなわち、上記多層管の外層と上記接続対象部材の内表面とは、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。上記多層管の外層と上記接続対象部材の内表面とが異なる材料であるとは、上記多層管の外層の材料と上記接続対象部材の内表面の材料との材料組成が異なることを意味する。上記材料組成には、該材料に含まれる成分の分子構造、分子量、及び重合度が含まれる。
上記接続対象部材の材料は特に限定されない。上記接続対象部材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。上記接続対象部材の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記接続対象部材の材料は、上記外層の材料を含まなくてもよい。多層管と接続対象部材との接着強度を高める観点からは、上記接続対象部材の材料は、上記外層の材料を含むことが好ましい。上記接続対象部材の材料100重量%中、上記外層の材料の含有量は、好ましくは0重量%を超え、好ましくは100重量%(全量)以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。上記接続対象部材の材料に含まれる上記外層の材料の含有量が上記上限以下であると、本発明の効果が十分に発現され、また、多層管と接続対象部材との接着強度をより一層高めることができる。
上記多層管が呼び径50Aのサイズを有する場合に、上記接続対象部材に該多層管を荷重100Nで挿入したときに、多層管の挿入長さの、接続対象部材により規定される挿入可能長さに対する比(多層管の挿入長さ/接続対象部材により規定される挿入可能長さ)は、1/3以上であることが好ましく、2/3以下であることが好ましい。上記比が上記下限以上であると、多層管接続体の接着強度をより一層高めることができる。上記比が上記上限以下であると、接続対象部材に過度の応力が加わることによる、接続対象部材の長期強度が損なわれることを防ぐことができる。
接着強度をより一層高める観点からは、上記多層管と上記接続対象部材との40℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
接着強度をより一層高める観点からは、上記多層管と上記接続対象部材との60℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
上記40℃及び60℃での上記多層管と上記接続対象部材との接着強度は、短期的な接着信頼性の指標となる。
上記多層管と上記接続対象部材との40℃及び60℃での接着強度は、以下のようにして測定することができる。
上記多層管の上記外層の材料が成形された第1の試験片と、上記接続対象部材の内面の材料が成形された第2の試験片とを得る。第1の試験片の表面と第2の試験片の表面との少なくとも一方に上記接着層の材料を塗布する。第1の試験片と第2の試験片とを重ね合わせて接着し、積層体を得る。得られた積層体では、上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に、上記接着層の材料により接着された層が配置されている。なお、上記積層体は、多層管接続体を切り出すことにより得てもよい。
得られた積層体について、40℃又は60℃及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行う。積層体が破断したときの破断荷重と、第1の試験片及び第2の試験片の接着面積とから、下記式により接着強度を求めることができる。なお、引張試験機としては、例えば、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いることができる。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
接続信頼性をより一層高め、短期及び長期の接着強度を高める観点からは、上記多層管における上記外層のSP値と、上記接続対象部材の内面のSP値との差の絶対値は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下である。上記SP値は、物質間の親和性の尺度を表し、溶解度パラメータとも呼ばれる。上記SP値の差の絶対値が小さいほど、親和性が高くなることが知られている。
上記SP値は、文献情報から得ることができるほか、HansenやHoyの計算方法、Fedorsの推算法等により得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
多層管の材料として、以下の材料を用意した。
内層:
ポリ塩化ビニル(PVC)(徳山積水工業社製「TS-1000R」)
アクリルブロックコポリマー(クラレ社製「LB550」)
外層:
樹脂材料1:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)との混合物(日本エイアンドエル社製「UB-860」、AES樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中の耐候性熱可塑性樹脂の含有量75重量%~85重量%、樹脂材料中の軟質熱可塑性樹脂の含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料2:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)との混合物(日本エイアンドエル社製「UB-700A」、AES樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中の耐候性熱可塑性樹脂の含有量75重量%~85重量%、樹脂材料中の軟質熱可塑性樹脂の含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料3:アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)(日本エイアンドエル社製「100PCF」、AS樹脂の重合度600~1400)
樹脂材料4:アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)とアクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)とアクリルゴムとの混合物(テクノポリマー社製「MW266」、AES樹脂及びASA樹脂の重合度600~1400、樹脂材料中の耐候性熱可塑性樹脂の含有量75重量%~85重量%、樹脂材料中の軟質熱可塑性樹脂の含有量15重量%~25重量%)
樹脂材料5:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とアクリルゴムとの混合物(三菱レイヨン社製「IRH50」、PMMAの重合度800~1200、樹脂材料中の耐候性熱可塑性樹脂の含有量50重量%~70重量%、樹脂材料中の軟質熱可塑性樹脂の含有量30重量%~50重量%)
樹脂材料6:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「VH」、重合度800~1200)
樹脂材料7:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「MF」、重合度200~400)
樹脂材料8:アクリルブロックコポリマー(クラレ社製「LB550」)
顔料(レジノカラー社製「グレーDCF-R2929-F」)
接着層:
エスロン接着剤(積水化学工業社製「No.100S」、SP値9.0)
接続対象部材として、以下の材料を用意した。
TSソケット(積水化学工業社製「TS50」、SP値9.5)
(実施例1)
(1)多層管の作製
下記の表1に示す構成において、下記の押出条件で多層管の成形を行った。内層の外表面が外層により被覆された管状体を得た。なお、内層の材料として、PVCを用いた。また、外層の材料としては、樹脂材料1と顔料との混合材料を用いた。外層のSP値は10.0であった。得られた多層管の外径は60mm、内層の厚みは4.1mm、外層の厚みは0.1mmであった。得られた管状体を40cmの直管として、多層管を作製した。
[押出条件]
押出機:長田製作所社製「SLM50」(2軸異方向パラレル押出機)
副押出機:長田製作所社製「OPEH-40」(単軸押し出し機)
金型:パイプ用金型、呼び径50A用多層パイプ作製用
全体押出量:20kg/h
樹脂温度:多層管本体(内層)190℃(金型入口部での温度)、被覆層(外層)220℃(金型入口部での温度)
(2)配管(多層管接続体)の作製
接続対象部材に多層管を荷重100Nで挿入したときの挿入長さが、21mm以上42mm以下であることを確認してから、配管(多層管接続体)を作製した。
得られた多層管の外層の外表面上に、多層管の一端から多層管の軸方向63mmの位置まで接着層の材料(エスロン接着剤)を4g塗布し、接着層を備える多層管を作製した。なお、同様にして接着層を備える多層管を合計2本用意した。接続対象部材(TSソケット)の両端の内面上に接着層の材料(エスロン接着剤)をそれぞれ4g塗布した。得られた接着層を備える多層管を接続対象部材(TSソケット)の両端部に挿入し、30秒間抜け戻りがないよう固定した。このようにして、多層管と接続対象部材と多層管とがこの順に備えられた配管を作製した。
(実施例2)
外層の材料として、樹脂材料5と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(実施例3)
外層の材料として、樹脂材料2と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(実施例4)
外層の材料として、樹脂材料4と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.5であった。
(実施例5)
外層の材料として、樹脂材料5と顔料との混合材料を用いたこと、外層の厚みを0.2mmとしたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(比較例1)
外層の材料として、樹脂材料6と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(比較例2)
外層の材料として、樹脂材料7と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(比較例3)
外層の材料として、樹脂材料3と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、12.8であった。
(比較例4)
内層の材料として、アクリルブロックコポリマーを用いたこと、外層の材料として、樹脂材料8と顔料との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして配管を作製した。外層のSP値は、9.3であった。
(評価)
(1)外層強度
得られた配管の接続部分から、外層のみを切り出して、下記のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルの長さ方向は、多層管の軸方向と一致させた。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K6815-2における試験片の形状とした。得られたサンプルを用いて、JIS K6815-2に準拠して、23℃及び引張速度5mm/minの条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、引張強さ及び引張伸び率を算出し、外層強度(外層の引張強さ及び引張伸び率)とした。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。
[ロールプレス条件]
加熱温度:195℃
加熱時間:3分間
余熱温度:195℃
余熱時間:3分間
プレス圧力:20MPa
プレス時間:3分間
(2)内層強度
得られた配管の接続部分から、内層のみを切り出して、上記(1)と同様のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルの長さ方向は、多層管の軸方向と一致させた。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K6815-2における試験片の形状とした。得られたサンプルを用いて、JIS K6815-2に準拠して、23℃及び引張速度5mm/minの条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、引張強さ及び引張伸び率を算出し、内層強度(内層の引張強さ及び引張伸び率)とした。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。
(3)膨潤後強度
得られた配管の接続部分から、外層のみを切り出して、上記(1)と同様のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K6815-2における試験片の形状とした。得られたサンプルを接着層の材料(エスロン接着剤)に30分間浸漬した後、60℃で48時間乾燥した。乾燥後のサンプルをJIS K6815-2に準拠して、40℃又は60℃及び引張速度5mm/minの条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、引張強さを算出し、膨潤後強度とした。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。
(4)偏平強度
得られた配管をJIS K6741に準拠して、偏平試験を行った。試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。偏平強度を下記の基準で判定した。
[偏平強度の判定基準]
○:偏平率50%であっても、配管の破損や、外層にひび又は割れが生じない
×:偏平率50%未満で、配管の破損や、外層にひび又は割れが生じる
(5)接着強度(40℃及び60℃)(短期の接続信頼性)
得られた多層管から、外層のみを切り出して、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第1の試験片を得た。接続対象部材を切り出して、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第2の試験片を得た。得られた第1の試験片の表面にエスロン接着剤を0.1g塗布し、該塗布部分に上記第2の試験片を重ね合わせて、0.2Nの荷重をかけて接着し、23℃で24時間乾燥して、積層体を得た。なお、第1の試験片と第2の試験片との接着面積は、300mmとした。得られた積層体について、40℃又は60℃及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行った。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いた。下記式により、40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を求めた。40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を以下の基準で判定した。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
[接着強度(40℃及び60℃)の判定基準]
○:接着強度が10MPa以上
△:接着強度が5MPa以上10MPa未満
×:接着強度が5MPa未満
(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)(長期の接続信頼性)
得られた配管(多層管接続体)を60℃で168時間静置した。静置後、40℃又は60℃で圧力1.0MPa(フープ応力6.4MPa)の水圧を配管内に負荷し、上記配管から水漏れが発生するまでの時間を測定した。40℃での熱間内圧クリープ試験、及び60℃での熱間内圧クリープ試験を以下の基準で判定した。
[熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)の判定基準]
○:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が100時間以上
△:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が10時間以上100時間未満
×:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が10時間未満
(7)耐衝撃性
得られた配管を3kgの錘を用いて、0℃で落錘試験を実施し、50%割れ高さを測定した。落錘試験機として、安田精機製作所社製「FALLING DART IMPACT TESTER」を用いた。落錘試験条件はJIS K6741の附属書Aに準拠した。ただし、試験片の長さは3cmとし、50%割れ高さは、JIS K7211に記載の方法で算出した。耐衝撃性を以下の基準に従い判定した。
[耐衝撃性の判定基準]
○:50%割れ高さが150cm以上
△:50%割れ高さが100cm以上150cm未満
×:50%割れ高さが100cm未満
(8)耐候性試験
得られた多層管を下記の条件で800時間の耐候性試験を実施した。耐候性試験機として、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いた。
[耐候性試験条件]
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
(9)衝撃強度保持率
得られた多層管について、JIS K6741又はJIS K6742に準拠した耐衝撃試験を行い、衝撃強度を求めた。具体的には、3kgの錘を用いて、0℃で落錘試験を実施した。落錘試験機として、安田精機製作所社製「FALLING DART IMPACT TESTER」を用いた。また、上記(8)耐候性試験を行った多層管についても、同様に耐衝撃試験を行った。衝撃強度保持率を、以下の式により求めた。衝撃強度保持率を下記の基準で判定した。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験後の衝撃強度/耐候性試験前の衝撃強度)×100
[衝撃強度保持率の判定基準]
○:衝撃強度保持率が、80%以上
△:衝撃強度保持率が、50%以上、80%未満
×:衝撃強度保持率が、50%未満
(10)全光線透過率
得られた多層管の外層のみを切り出し、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、厚み0.20mm、0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.50mmのサンプルを作製した。得られた各サンプルの厚みは±0.02mmのばらつきが生じたため、マイクロメーターで正確な厚みを測定した。得られたサンプルの全光線透過率を日本電色工業社製「NDH2000」を用いて、JIS K7361-1に準拠して測定した。片対数グラフ上に、サンプルの厚みを横軸、全光線透過率を縦軸にプロットし、得られた近似直線の傾きを定数Aとした。下記の式に従い、外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率、及び外層(得られた多層管における外層と同じ厚みを有する外層)の厚み方向の全光線透過率を算出した。全光線透過率は以下の基準で判定した。
外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率(%)=100×exp(-A×0.1)
外層の厚み方向の全光線透過率(%)=100×exp(-A×T)
T:外層の厚み(mm)
[全光線透過率の判定基準]
○:外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率又は外層の厚み方向の全光線透過率が30%以下
△:外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率及び外層の厚み方向の全光線透過率のいずれか一方が30%を超え50%以下
×:外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率及び外層の厚み方向の全光線透過率が50%を超える
(11)色差
得られた多層管について、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、L,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定した。また、上記(8)耐候性試験を行った多層管についても、同様にしてL,a,bを測定した。下記式により耐候性試験前後の色差を求めた。色差を下記の基準で判定した。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
[色差の判定基準]
○:ΔEが5以下
△:ΔEが5を超え10以下
×:ΔEが10を超える
(12)総合判定
上記(4)偏平強度、上記(5)接着強度(40℃及び60℃)、上記(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)、上記(7)耐衝撃性、上記(9)衝撃強度保持率、上記(10)全光線透過率、上記(11)色差の判定結果から各実施例及び各比較例で点数を算出した。
上記(4)偏平強度の判定が○:10点、×:0点
上記(5)接着強度(40℃及び60℃)の判定が○:3点、△:1点、×:0点
上記(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)の判定が○:3点、△:1点、×:0点
上記(7)耐衝撃性の判定が○:5点、△3点、×:0点
上記(9)衝撃強度保持率の判定が○:3点、△:1点、×:0点
上記(10)全光線透過率が○:3点、△:1点、×:0点
上記(11)色差が○:3点、△:1点、×:0点
[総合判定の判定基準]
○:合計点が35点以上
△:合計点が25以上、34点以下
×:合計点が24点以下
配管(多層管接続体)の構成及び結果を下記の表1,2に示す。
Figure 0007103873000001
Figure 0007103873000002
1…多層管
1a…末端
11…内層
12…外層
13…接着層
21…多層管接続体
31…接続対象部材

Claims (16)

  1. 多層管と、前記多層管に接続された接続対象部材と、前記多層管と前記接続対象部材との間に配置された接着層とを備える多層管接続体であり、
    前記多層管が、内層と、外層とを備え、
    前記内層は、管状であり、
    前記外層は、前記内層の外表面上に前記外層が前記内層に直接接触するように配置されており、
    前記内層の材料が、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリフッ化ビニリデンであり、
    前記外層の材料が、軟質熱可塑性樹脂を含み、
    前記軟質熱可塑性樹脂が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、又はジエン骨格に由来する構造単位を有するゴムであり(但し、前記軟質熱可塑性樹脂としてシリコーンゴムを除く)、
    JIS K6815-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張伸び率が10%以上であり、
    JIS K6815-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である、多層管接続体
  2. 前記外層を接着剤に30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で48時間乾燥したときに、JIS K6815-2に準拠して測定された乾燥後の前記外層の40℃での引張強さが10MPa以上である、請求項1に記載の多層管接続体
  3. 前記外層の材料100重量%中、前記軟質熱可塑性樹脂の含有量が5重量%以上70重量%以下である、請求項又はに記載の多層管接続体
  4. 前記外層の材料が、更に、熱可塑性エラストマーと可塑剤とのうちの少なくとも1種の成分を含む、請求項のいずれか1項に記載の多層管接続体
  5. 前記外層の材料100重量%中、前記軟質熱可塑性樹脂と前記成分との合計の含有量が5重量%以上70重量%以下である、請求項に記載の多層管接続体
  6. 前記外層の材料が、更に、耐候性熱可塑性樹脂を含む、請求項のいずれか1項に記載の多層管接続体
  7. 前記外層の材料100重量%中、前記耐候性熱可塑性樹脂の含有量が30重量%以上である、請求項に記載の多層管接続体
  8. 前記耐候性熱可塑性樹脂の重合度が400以上2500以下である、請求項又はに記載の多層管接続体
  9. 前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の多層管接続体
  10. 以下の耐候性試験実施後の前記多層管の衝撃強度の、耐候性試験実施前の前記多層管の衝撃強度に対する衝撃強度保持率が、50%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の多層管接続体
    耐候性試験:
    ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。
    運転モード:L+D
    L:照射強度75mW/cm 、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
    D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
    シャワー:Dの前後に各30秒
  11. 前記外層を前記接着層の材料に30分間浸漬した後、浸漬後の前記外層を60℃で48時間乾燥したときに、JIS K6815-2に準拠して測定された乾燥後の前記外層の40℃での引張強さが10MPa以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  12. 前記多層管における前記外層のSP値と、前記接続対象部材のSP値との差の絶対値が、2.0以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  13. 前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である、請求項12のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  14. 前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である、請求項13のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  15. 40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項14のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  16. 60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項15のいずれか1項に記載の多層管接続体。
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