JP2023026040A - 樹脂配管 - Google Patents

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Sosuke Azuma
拓朗 山口
Takuro Yamaguchi
賢司 水川
Kenji Mizukawa
悠介 太田
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Abstract

【課題】湾曲部の外周側における機械的強度の低下を抑制した樹脂配管を提供する。【解決手段】樹脂と繊維とを含む管状の繊維強化樹脂層11を備える樹脂配管10であって、樹脂配管10の内表面10aに、樹脂配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有し、樹脂配管10の任意の領域の平面視において、樹脂配管10の軸線方向の一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を-90°としたときに、軸線方向と成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超90°未満であり、軸線方向と繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である繊維Fの配向角度θ2が繊維強化樹脂層11の外表面11bの任意の領域(α)において、60°以上73°以下で配向しており、樹脂配管10は任意の角度θ3でベンド加工されている樹脂配管10。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂配管に関する。
従来、二次加工によって得られるポリオレフィン製の合成樹脂ベンド管(例えば、特許文献1参照)では、二次成型にて中途部を湾曲させて湾曲部を形成している。したがって、湾曲部の外周側では、樹脂ベンド管の厚さが薄くなるため、湾曲部以外の部分と比較して、機械的強度等の性能が低下する。また、前記の合成樹脂管よりも強度が高い空調配管用高性能ポリエチレン管(例えば、特許文献2参照)は、ガラス繊維を含んでいる。この空調配管用高性能ポリエチレン管では、二次成型時に、湾曲部の外周側の厚さが薄くなるとともに、湾曲部の外周側のガラス繊維が引き延ばされて千切れて、湾曲部の外周側の機械的強度が低下することがあった。そのため、前記の高い空調配管用高性能ポリエチレン管を、高圧消火・給湯配管分野には使用することができなかった。
特許第2875007号公報 特開2015-102128号公報
上記の合成樹脂ベンド管や高い空調配管用高性能ポリエチレン管は、ベンド形状に湾曲加工した際に湾曲部の外周側が引き延ばされることにより樹脂が引き延ばされて、湾曲部の外周側の厚さが薄くなったり、ガラス繊維が千切れて、湾曲部の外周側で機械的強度が低下したりする。そのため、上記の合成樹脂ベンド管や高い空調配管用高性能ポリエチレン管は、高性能が求められる高圧消火・給湯配管分野では使用できないという課題があった。また、ベンド管におけるベンド加工の角度は、111/4°、221/2°、45°、90°の場合が挙げられる。特に角度が90°の場合には、上述のように、湾曲部の外周側における機械的強度の低下が著しいという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、湾曲部の外周側における機械的強度の低下を抑制した樹脂配管を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]樹脂と繊維とを含む管状の繊維強化樹脂層を備える樹脂配管であって、前記樹脂配管の内表面に、前記樹脂配管の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有し、前記樹脂配管の任意の領域の平面視において、前記樹脂配管の軸線方向の一方を0°とし、前記軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を-90°としたときに、前記軸線方向と前記成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超90°未満であり、前記軸線方向と下記繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である下記繊維Fの配向角度θ2が前記繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)において、60°以上73°以下で配向しており、前記樹脂配管は任意の角度θ3でベンド加工されている樹脂配管。
繊維F:前記繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のうち、前記距離Lが前記平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
[2]前記角度θ3が0°超90°以下である、[1]に記載の樹脂配管。
[3]前記繊維がガラス繊維である、[1]または[2]に記載の樹脂配管。
[4]前記繊維強化樹脂層の内表面および外表面の少なくとも一方が、樹脂を含む樹脂層で被覆されている、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂配管。
[5]前記繊維強化樹脂層および前記樹脂層に含まれる樹脂がポリオレフィン樹脂である、[4]に記載の樹脂配管。
本発明によれば、湾曲部の外周側における機械的強度の低下を抑制した樹脂配管を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る配管を模式的に示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)に示すI-I線に沿う断面図であり、(c)は平面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂配管を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂配管の繊維強化樹脂層における繊維の配向角度を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂配管の第1の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂配管の第2の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂配管の製造装置の一例を示す概略構成図である。 実施例において、樹脂配管の長期強度の測定結果を示す図である。
以下、本発明の樹脂配管について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂配管を示す図である。図1(a)は断面図であり、図1(b)は(a)に示すI-I線に沿う断面図であり、図1(c)は平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂配管を示す平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る樹脂配管の繊維強化樹脂層における繊維の配向角度を説明するための図である。図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂配管の第2の樹脂層における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。
なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
図1に示すように、本実施形態の樹脂配管10は、樹脂と繊維14とを含む管状の繊維強化樹脂層11を備える。樹脂配管10では、繊維強化樹脂層11の内表面11aが樹脂を含む樹脂層12で被覆され、繊維強化樹脂層11の外表面11bが樹脂を含む樹脂層13で被覆されている。また、図2に示すように、樹脂配管10は、任意の角度θ3でベンド加工された湾曲部15を有する。
本実施形態において、繊維強化樹脂層11の内表面11aに配置された樹脂層12を「第1の樹脂層12」ともいい、繊維強化樹脂層11の外表面11bに配置された樹脂層13を「第2の樹脂層13」ともいう。
すなわち、樹脂配管10は、第1の樹脂層12と、繊維強化樹脂層11と、第2の樹脂層13とを備える複層管である。この例において、第1の樹脂層12は、最も内側の層(最内層)であり、表面層である。繊維強化樹脂層11は、中間層である。第2の樹脂層13は、最も外側の層(最外層)であり、表面層である。第1の樹脂層12と、繊維強化樹脂層11と、第2の樹脂層13とは、それぞれ管状である。
なお、図1(b)、(c)において、1本の繊維14を模式的に示した。
図1(b)に示すように、樹脂配管10は、内表面10aにおいて、樹脂配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
本実施形態において、樹脂配管10の内表面10aは、第1の樹脂層12の内表面12aである。
<繊維強化樹脂層>
繊維強化樹脂層11は、樹脂と繊維14とを含む。
繊維強化樹脂層11に含まれる繊維14のうち、以下の構成を満足する繊維を「繊維F」とする。
繊維F:繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。樹脂配管の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層11の断面において観察される繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。繊維強化樹脂層11の前記軸線方向に沿う断面において観察される繊維のうち、距離Lが平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
図3の上段には、繊維強化樹脂層11に含まれる繊維14のうち、樹脂配管10の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層11の断面において観察される繊維141と繊維142が示されている。
繊維141は、一端141aと他端141bとを有する。繊維141は、樹脂配管10の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層11の断面での長さ方向の距離L(一端141aと他端141bとの距離)が、繊維自体の平均繊維径Dの2倍以上である繊維である。すなわち、繊維141は、前記繊維Fである。
繊維142は、一端142aと他端142bとを有する。繊維142は、樹脂配管10の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層11の断面での長さ方向の距離L(一端142aと他端142bとの距離)が前記平均繊維径Dの2倍未満である繊維である。繊維142は、前記繊維Fとは異なる。
樹脂配管10の軸線方向に沿う繊維強化樹脂層11の断面において観察される繊維14は、繊維141(繊維F)と繊維142とのうちのいずれか一方に分類できる。
図3の下段には、繊維強化樹脂層11の任意の領域を平面視したときの、樹脂配管10の軸線方向および周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向、繊維強化樹脂層11に含まれる繊維14の配向角度が示されている。
Xは、樹脂配管10の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち、樹脂配管10の周方向である。
L1は、樹脂配管10の内表面10aに形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
L2は、繊維Fの配向方向である。
θ1は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち軸線方向Xと螺旋方向L1とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ1を樹脂配管10の内表面10aに形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
θ2は、軸線方向Xと繊維Fとのなす角度、すなわち、軸線方向Xと繊維Fの配向方向L2とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ2を繊維Fの配向角度とする。
図3に示すように、樹脂配管10の任意の領域の平面視において、樹脂配管10の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を-90°としたときに、軸線方向と成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の傾斜角度θ1が0°超90°未満である。また、軸線方向と繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である繊維Fの配向角度θ2が繊維強化樹脂層11の外表面11bの任意の領域(α)において、60°以上73°以下で配向している。配向角度θ2は、繊維強化樹脂層11の外表面11bの任意の領域(α)において61°以上73°以下であることが好ましく、67°以上73°以下であることがより好ましい。
樹脂配管10の内表面10aに形成された螺旋状の成形痕については、第1の樹脂層12において説明する。
繊維Fの配向角度θ2は、樹脂配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度等を調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、繊維強化樹脂層11の内表面11aおよび外表面11bにおいて繊維Fの配向角度θ2は大きくなり、繊維強化樹脂層11の厚さ方向の中心部において繊維Fの配向角度θ2は小さくなる傾向にある。
なお、繊維Fの配向角度θ2が0°である場合には、繊維Fの配向方向L1が樹脂配管10の軸線方向Xと一致する。
繊維Fの配向角度θ2が90°である場合には、繊維Fの配向方向L1が樹脂配管10の周方向(軸線方向Xに対して垂直方向Y)と一致する。
配向角度θ2が角度上限値付近の67°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は65°以上80°以下であることが好ましく、後述する傾斜角度θ4は65°以上であることが好ましい。配向角度θ2が角度下限値付近の61°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は60°以上80°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は60°以上であることが好ましく、後述する角度θ3は61°以上であることが好ましい。
繊維Fの配向角度θ2は、以下のようにして求めることができる。
樹脂配管10の任意の領域において、繊維強化樹脂層11の外表面11bが露出するまで樹脂配管10を外表面10b(第2の樹脂層13の外表面13a)から軸線方向にスライスし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られた断面(任意の領域(α))を撮影する。画像解析ソフトを用いて、顕微鏡写真に撮影された繊維のうち、一端と他端との距離Lが繊維自体の平均繊維径Dの2倍以上である繊維Fのみを選択し、繊維Fについて配向角度θ2をそれぞれ求める。
配向角度θ2の測定において、繊維Fの配向率が50%以下を下回るものに関しては、配向角度θ2が成型上のトラブル等により配向できていないものとみなし不良品とする。
なお、「繊維強化樹脂層11の外表面11bが露出するまで」とは、繊維強化樹脂層11の外表面11bから内側1mm以内の領域に到達するまでを意味する。「繊維強化樹脂層11の厚さ方向の中心部に到達するまで」とは、繊維強化樹脂層の厚さ方向の中心から±1mm以内の領域に到達するまでを意味する。「繊維強化樹脂層の内表面に到達するまで」とは、繊維強化樹脂層の内表面から内側1mm以内の領域に到達するまでを意味する。
走査型電子顕微鏡での撮影条件としては、例えば、蒸着厚さ10nm、加速電圧15kV、倍率25倍の条件等が挙げられる。
繊維強化樹脂層11の厚さは、樹脂配管10の厚さの40%以上80%以下であることが好ましく、50%以上70%以下であることがより好ましい。繊維強化樹脂層11の厚さが上記下限値以上であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、樹脂配管10の線膨張係数がより小さくなる。繊維強化樹脂層11の厚さが上記上限値以下であれば、寸法安定性がより一層良好になる。
なお、繊維強化樹脂層11の厚さは平均厚さを表し、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
繊維強化樹脂層11に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点および樹脂配管10を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点および樹脂配管10を軽量にする観点からは、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましい。
これらポリオレフィン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレンであってもよく、直鎖低密度ポリエチレンであってもよく、高密度ポリエチレンであってもよく、抗耐熱ポリエチレン(PE-RT)であってもよい。
ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、エチレンを含むモノマーの共重合体等が挙げられる。ポリエチレンが共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリエチレンを構成する全モノマー単位の総質量に対して、50質量%以上がエチレン単位であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを含むモノマーの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレンが共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリプロピレンを構成する全モノマー単位の総質量に対して、50質量%以上がプロピレン単位であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
繊維強化樹脂層11の総質量に対して、樹脂の含有量は50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。また、繊維強化樹脂層11の総質量に対して、樹脂の含有量は90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。
繊維強化樹脂層11に含まれる繊維14は、無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。繊維14は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素複合繊維、ボロン繊維、金属繊維、バサルト繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点からは、ガラス繊維が好ましい。
繊維14の平均繊維長は、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、繊維14の平均繊維長は、15mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましく、500μm以下であることが特に好ましい。繊維14の平均繊維長が上記下限値以上であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。繊維14の平均繊維長が上記上限値以下であれば、繊維14が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維14の平均繊維径は、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。また、繊維14の平均繊維径は、17μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましい。繊維14の平均繊維径が上記下限値以上であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。繊維14の平均繊維径が上記上限値以下であれば、繊維14が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維14の平均繊維長および平均繊維径は、以下のようにして求めることができる。
まず、樹脂配管10の任意の領域において、繊維強化樹脂層11が露出するまで樹脂配管10を外表面10bから軸線方向に沿ってスライスする。次いで、SEMを用いて露出した繊維強化樹脂層11を撮影し、撮影した顕微鏡写真から、1本の繊維14の繊維長および繊維径を求める。任意に選択した5000本の繊維14について繊維長および繊維径をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
なお、「繊維長」とは、繊維14を直線状にした場合の上記繊維14の一端と他端との距離である。「繊維強化樹脂層11が露出するまで」とは、繊維強化樹脂層11の厚さ方向における任意の位置に到達するまでを意味する。
走査型電子顕微鏡での撮影条件としては、例えば、蒸着厚さ10nm、加速電圧15kV、倍率25倍の条件等が挙げられる。
繊維14の平均繊維長/繊維の平均繊維径で表されるアスペクト比は、20以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましく、30以上であることがさらに好ましい。また、アスペクト比は、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましく、50以下であることが特に好ましく、35以下であることが最も好ましい。アスペクト比が上記下限値以上であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。アスペクト比が上記上限値以下であれば、繊維14が特定の方向に配置しやすくなる。
繊維強化樹脂層11の総質量に対して、繊維14の含有量は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、繊維強化樹脂層11の総質量に対して、繊維14の含有量は40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。繊維14の含有量が上記範囲内であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。
繊維強化樹脂層11は、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、相溶化剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、相溶化剤が好ましい。
これら添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
相溶化剤としては、特に限定されず、マレイン酸変性ポリオレフィン、シラン変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。なお、これらの相溶化剤は、上記ポリオレフィン樹脂に含まれない。
これら相溶化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
安定剤としては、特に限定されず、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。
熱安定剤としては、特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、バリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。
有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
これら熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱安定化助剤としては、特に限定されず、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。
これら熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
滑剤としては、特に限定されず、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。内部滑剤としては、特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。
外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては、特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。
これら滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
加工助剤としては、特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。
アクリル系加工助剤としては、質量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられる。アクリル系加工助剤としては、具体的に、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
これら加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
衝撃改質剤としては、特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム等が挙げられる。
これら衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
耐熱向上剤としては、特に限定されず、α-メチルスチレン系樹脂、N-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
これら耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
酸化防止剤としては、特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
紫外線吸収剤としては、特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光安定剤としては、特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これら光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
充填剤としては、特に限定されず、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
これら充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
顔料としては、特に限定されず、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、フェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。
これら顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形体の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。
可塑剤としては、特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
これら可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
<第1の樹脂層>
第1の樹脂層12は、樹脂を含む。
第1の樹脂層12は、図1(b)に示すように、内表面12aにおいて、樹脂配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、螺旋状に延びる凸部12bにより形成されている。第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、後述するように、樹脂配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじることによりできる成形痕であり、主に樹脂配管10の偏肉由来の凹凸によって発生する。第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕は、目視にて識別可能である。
第1の樹脂層12は、内表面12aにおいて、螺旋状の成形痕を形成してない凸部等を有していてもよい。
なお、図1(a)において、凸部12bは図示していない。
凸部12bは、突条であることが好ましく、また、帯状であってもよい。
第1の樹脂層12において、螺旋状の成形痕は、螺旋方向にて全体が連なっていてもよく、部分的に途切れていてもよい。
樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点からは、凸部12bの平均高さは、0mmを超え、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。凸部12bの平均高さは、2mmを超えてもよいが、凸部12bの平均高さは小さいほど好ましい。
凸部12bの高さは、螺旋方向と直交する方向における最大高さ位置にて測定される。
凸部12bの高さは、凸部12bがある部分のみで測定される。凸部12bの平均高さは、例えば、螺旋方向に離れて任意に選択した50箇所以上の位置における凸部12bの高さを測定し、平均値を算出することにより求めることができる。凸部12b全体の高さを測定し、平均値を算出してもよい。
凸部12bの高さは、非接触式三次元測定機を用いて測定することができる。
図4は、第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。図4の上段には、図1(a)に示すI-I線に沿う第1の樹脂層12の断面図が示されている。なお、繊維強化樹脂層11および第2の樹脂層13は図示していない。図4の下段には、第1の樹脂層12の任意の領域を平面視したときの、樹脂配管10の軸線方向および周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向が示されている。
Xは、樹脂配管10の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち樹脂配管10の周方向である。
L1は、第1の樹脂層12の内表面12a(すなわち、樹脂配管10の内表面10a)に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
θ1は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち軸線方向Xと螺旋方向L1とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ1を第1の樹脂層12の内表面12aに形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
傾斜角度θ1の螺旋状の成形痕が一律でない場合、成型時の成形条件が不安定であり、一定の傾斜角度θ1にて成型できていないものとみなし不良品とする。
図4に示すように、第1の樹脂層12の任意の領域の平面視において、樹脂配管10の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を-90°としたときに、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1が0°超、90°未満である。これは、第1の樹脂層12の任意の領域の平面視において、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1がプラスであることを意味する。
耐圧性を高める観点から、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1の平均値は、40°以上80°以下であることが好ましく、60°以上80°以下であることがより好ましく、65°以上80°以下であることがさらに好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1の平均値は、65°に近いほど好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1は、樹脂配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度等を調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1は大きくなる傾向にある。
傾斜角度θ1が角度上限値付近の65°以上80°以下である場合、配向角度θ2は67°以上73°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は65°以上であることが好ましい。傾斜角度θ1が角度下限値付近の60°以上80°以下である場合、配向角度θ2は61°以上73°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は60°以上であることが好ましく、角度θ3は61°以上であることが好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1およびその平均値は、以下のようにして求めることができる。
樹脂配管10の内表面10aの任意の点から、樹脂配管10の軸線方向に対して水平に線を引く。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1を測定する。規定の生産量(例えば、4m)毎に傾斜角度θ1をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
第1の樹脂層12の厚さは、樹脂配管10の厚さの10%以上30%以下であることが好ましく、15%以上25%以下であることがより好ましい。第1の樹脂層12の厚さが上記下限値以上であれば、クリープ性能および寸法安定性がより一層良好になる。第1の樹脂層12の厚さが上記上限値以下であれば、繊維強化樹脂層11の割合が増えることで、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、樹脂配管10の線膨張係数がより小さくなる。
なお、第1の樹脂層12の厚さは平均厚さを表し、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
第1の樹脂層12に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点および樹脂配管10を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、繊維強化樹脂層11の説明において先に例示したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
第1の樹脂層12に含まれる樹脂と、繊維強化樹脂層11に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は100質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。
第1の樹脂層12は、必要に応じて繊維や各種の添加剤を含んでいてもよい。
繊維および添加剤としては、それぞれ繊維強化樹脂層11の説明において先に例示した繊維および添加剤が挙げられる。
<第2の樹脂層>
第2の樹脂層13は、樹脂を含む。
第2の樹脂層13は、図1(c)に示すように、外表面13aにおいて、樹脂配管10の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有する。
第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、螺旋状に延びる凸部13bにより形成されている。第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、後述するように、樹脂配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじることによりできる成形痕であり、主に成形時の転写痕(例えば、金型内の凹凸、金型先端部の凹凸、フォーミングの凹凸、フォーミング入口の摩擦による傷、冷却水槽内のローラ等の部材との摩擦による傷等)によって発生する。第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕は、目視にて識別可能である。
第2の樹脂層13は、外表面13aにおいて、螺旋状の成形痕を形成してない凸部等を有していてもよい。
なお、図1(a)、(b)において、凸部13bは図示していない。
凸部13bは、突条であることが好ましく、また、帯状であってもよい。
第2の樹脂層13において、螺旋状の成形痕は、螺旋方向にて全体が連なっていてもよく、部分的に途切れていてもよい。
第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕を形成している凸部13bの平均高さは、0mmを超え、0.2mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましく、0.05mm以下であることがさらに好ましい。凸部13bの平均高さは、0.2mmを超えてもよいが、凸部13bの平均高さは小さいほど好ましく、略0mmであることが最も好ましい。
凸部13bの平均高さは、凸部12bの平均高さよりも大きくてもよく、同一でもよく、小さくてもよい。
第2の樹脂層13における螺旋状の形成痕は、例えば、擦り傷程度に視認されてもよい。
凸部13bの高さは、凸部12bの高さと同様にして測定される。
図5は、第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕の傾斜角度を説明するための図である。図5の上段には、樹脂配管10の平面図が示されている。図5の下段には、第2の樹脂層13の任意の領域を平面視したときの、樹脂配管10の軸線方向および周方向、螺旋状の成形痕における螺旋方向が示されている。
Xは、樹脂配管10の軸線方向である。
Yは、軸線方向Xに対して垂直方向、すなわち、樹脂配管10の周方向である。
L4は、第2の樹脂層13の外表面13a(すなわち、樹脂配管10の外表面10b)に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向である。螺旋状の成形痕における螺旋方向とは、任意の領域における螺旋状の成形痕に対する接線方向を意味する。
θ4は、軸線方向Xと成形痕とのなす角度、すなわち、軸線方向Xと螺旋方向L4とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度であり、θ4を第2の樹脂層13の外表面13aに形成された螺旋状の成形痕の傾斜角度とする。
傾斜角度θ4の螺旋状の成形痕が一律でない場合、成型時の成形条件が不安定であり、一定の傾斜角度θ4にて成型できていないものとみなし不良品とする。
図5に示すように、第2の樹脂層13の任意の領域の平面視において、樹脂配管10の軸線方向Xの一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向Yの一方を90°、他方を-90°としたときに、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4が0°超、90°未満である。これは、第2の樹脂層13の任意の領域の平面視において、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4がプラスであることを意味する。
耐圧性を高める観点から、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4の平均値は、30°以上であることが好ましく、60°以上であることがより好ましく、65°以上であることがさらに好ましい。螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4の平均値は、大きいほど好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4は、樹脂配管10の製造工程において、多層の管状体を周方向にねじる際のねじり角、管状体の引き取り速度等を調節することで制御できる。例えば、ねじり角を大きくすると、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4は大きくなる傾向にある。
傾斜角度θ4が角度上限値付近の65°以上である場合、傾斜角度θ1は65°以上80°以下であることが好ましく、配向角度θ2は67°以上73°以下であることが好ましい。傾斜角度θ4が角度下限値付近の60°以上である場合、傾斜角度θ1は60°以上80°以下であることが好ましく、配向角度θ2は61°以上73°以下であることが好ましく、角度θ3は61°以上であることが好ましい。
配管の耐圧性をより一層高める観点から、第1の樹脂層12における螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1の平均値と、第2の樹脂層13における螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4の平均値との差の絶対値が5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましく、1°以下であることがさらに好ましく、0°であることが特に好ましい。すなわち、傾斜角度θ1の平均値と、傾斜角度θ4の平均値とは一致していることが特に好ましい。
螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4およびその平均値は、以下のようにして求めることができる。
樹脂配管10の外表面10bの任意の点から、樹脂配管10の軸線方向に対して水平に線を引く。この線を0°とし、湾曲可能な柔軟性を有する分度器を用い、定期的に任意の螺旋状の成形痕の傾斜角度θ4を測定する。規定の生産量(例えば、4m)毎に傾斜角度θ4をそれぞれ測定し、平均値を算出する。
第2の樹脂層13の厚さは、樹脂配管10の厚さの10%以上30%以下であることが好ましく、15%以上25%以下であることがより好ましい。第2の樹脂層13の厚さが上記下限値以上であれば、クリープ性能および施工性がより一層良好になる。第2の樹脂層13の厚さが上記上限値以下であれば、繊維強化樹脂層11の割合が増えることで、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。加えて、樹脂配管10の線膨張係数がより小さくなる。
また、第1の樹脂層12の厚さと、第2の樹脂層13さの比率(第1の樹脂層12:第2の樹脂層13)は1:5~5:1であることが好ましく、1:3~3:1であることがより好ましく、1:2~2:1であることがさらに好ましい。
なお、第2の樹脂層13の厚さは平均厚さを表す。第2の樹脂層13が成形痕を有する場合、成形痕が存在する部分を含めて、平均厚さが算出される。
第2の樹脂層13に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂配管10の耐圧性をより一層高める観点および樹脂配管10を軽量にする観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、繊維強化樹脂層の説明において先に例示したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
第2の樹脂層13に含まれる樹脂と、繊維強化樹脂層11に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。また、第2の樹脂層13に含まれる樹脂と、第1の樹脂層12に含まれる樹脂とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
第2の樹脂層13の総質量に対して、樹脂の含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、第1の樹脂層12の総質量に対して、樹脂の含有量は100質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であれば、樹脂配管10の耐圧性をより一層高めることができる。
第2の樹脂層13は、必要に応じて繊維や各種の添加剤を含んでいてもよい。
繊維及び添加剤としては、それぞれ繊維強化樹脂層の説明において先に例示した繊維および添加剤が挙げられる。
<湾曲部>
図2に示すように、樹脂配管10は、任意の角度θ3でベンド加工された湾曲部15を有する。
湾曲部15の曲がり度合いを示す、前記の角度θ3は、樹脂配管10の一方の端面(一方の開口部の端面)10cにおける樹脂配管10の軸線(すなわち、樹脂配管10の一方の端面10cにおいて、樹脂配管10の中心軸となる線)C1と樹脂配管10の他方の端面(他方の開口部の端面)10dにおける樹脂配管10の軸線(すなわち、樹脂配管10の他方の端面10dにおいて、樹脂配管10の中心軸となる線)C2とのなす角度である。
前記の角度θ3は、0°超90°以下であることが好ましく、11°以上90°以下であることがより好ましく、45°以上90°以下であることがさらに好ましい。前記の角度θ3が上記範囲内であれば、既製品にて存在するPE管のベンド管品揃えとの同一角度にてベンド管を成型することができる。
配向角度θ2が角度上限値付近の67°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は65°以上80°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は65°以上であることが好ましい。配向角度θ2が角度下限値付近の61°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は60°以上80°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は60°以上であることが好ましく、角度θ3は61°以上であることが好ましい。
<SDR>
樹脂配管10のSDR(樹脂配管10の外径/樹脂配管10の厚さ(肉厚))は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることがさらに好ましく。また、樹脂配管10のSDRは、15以下であることが好ましく、13.5以下であることがさらに好ましい。樹脂配管10のSDRが上記範囲内であれば、樹脂配管10の耐圧性を保持しつつ、樹脂配管10内の流量を確保でき、さらには樹脂配管10の軽量化も図れる。
なお、樹脂配管10のSDRが大きいほど、樹脂配管10が薄肉であることを意味する。
<製造方法>
以下、本発明に係る樹脂配管の製造方法の一例について説明する。
図6は、樹脂配管の製造装置の一例を示す概略構成図である。
図6に示す製造装置20は、金型21と、第1の水槽22と、第2の水槽23と、回転引取機24と、切断機25とを備える。金型21は、多層の管状体を成形することができる多層金型である。回転引取機24は、金型21から押し出された多層の管状体を引き取ることができ、かつ引取部を周方向に回転させることにより該多層の管状体を周方向にねじることができる装置である。
図1に示す樹脂配管10の製造方法は、第1の樹脂層12を形成するための第1の樹脂組成物と、繊維強化樹脂層11を形成するための第2の樹脂組成物と、第2の樹脂層13を形成するための第3の樹脂組成物とを金型21に供給し、多層の管状体を得る、第1の成形工程と、金型21の下流側に設置された回転引取機24を用いて、多層の管状体を周方向にねじる、第2の成形工程と、多層の管状体を任意の角度でベンド加工する第3の成形工程と、を含む。
第1の樹脂組成物および第3の樹脂組成物は、樹脂を含む組成物であり、必要に応じて繊維や任意成分を含んでいてもよい。第2の樹脂組成物は、樹脂と繊維を含む組成物であり、必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。
第1の成形工程においては、第1の樹脂組成物、第2の樹脂組成物および第3の樹脂組成物を金型21に供給した後、溶融押出することで、多層の管状体を成形することができる。ねじる前の多層の管状体では、繊維強化樹脂層に含まれる繊維(繊維の配向方向)が、繊維強化樹脂層中において多層の管状体の軸線方向、すなわち、押出方向に沿って配向していることが好ましい。また、繊維(繊維の配向方向)が繊維強化樹脂層中において多層の管状体の軸線方向から多層の管状体の周方向に向けて傾斜していないことが好ましい。繊維(繊維の配向方向)が多層の管状体の軸線方向から多層の管状体の周方向に向けて傾斜している場合、傾斜角度は45°未満であることが好ましく、15°未満であることがより好ましく、10°以下であることがさらに好ましく、5°以下であることが特に好ましい。
繊維の配向方向を多層の管状体の軸線方向に沿って配向させる方法、または多層の管状体における繊維の傾斜角度を上記範囲内に制御する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)第1の水槽22の入り口に設置されているフォーミングチューブの内径を、金型21から押し出された管状体の外径よりも小さくする方法。
(2)金型21から押し出された溶融樹脂が冷却水槽のフォーミングチューブで冷却固化するまでに管をねじることによって繊維の配向方向を制御する方法。
第1の成形工程において、金型21の温度は、使用する樹脂の種類によって適宜変更可能である。
第2の成形工程において、多層の管状体は、金型21と第1の水槽22との間において、周方向にねじられる。耐圧性を効果的に高める観点からは、多層の管状体を引き取りながらねじることが好ましい。金型21から押し出された直後の多層の管状体では、繊維強化樹脂層11において多層の管状体の軸線方向に沿って繊維が概ね配向している。すなわち、繊維Fの配向角度θ2が概ね0°である。この多層の管状体を周方向にねじることで、繊維Fの配向角度θ2が変化し、0°よりも大きくなる。
第2の成形工程では、上述した螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1、θ4や、繊維Fの配向角度θ2が上記範囲内となるように、成形口径、流速、および管状体の引き取り速度を考慮の上、回転引取機24の回転角度(ねじり角)を設定する。ここで、「ねじり角」とは管状体の肉厚中心部の円周と、線速と引き取り回転数で求まるピッチの2辺の比に対しての角度のことであり、具体的には下記式(1)より求められる。
ねじり角=tan-1[{π(D-t)}n]/V (1)
式(1)中、「D」は管状体の直径であり、「t」は管状体の厚さであり、「n」は引き取り回転数であり、「V」は線速である。なお、ピッチはV/nで求められる。
また、金型のランドとコアの間、すなわち、樹脂組成物の流路に配向リングを設置すると、ランドと配向リングとの間、および配向リングとコアとの間で各樹脂組成物に均一なせん断応力がかかる。その結果、繊維強化樹脂層11中において軸線方向に繊維が一方向に配向しやすい。この状態で多層の管状体を周方向にねじると、繊維強化樹脂層11の外表面、厚さ方向の中心部及び内表面にて(すなわち、繊維強化樹脂層11のどの部分においても)、θ2=45°±25°で繊維が配向しやすくなる。配向リングに代えて、メッシュ、邪魔板、螺旋状の帯状部材をランドとコアの間に設置してもよい。
また、金型のランドとコアのクリアランス差を一旦、狭めてから広げることでも、ランドとコアとの間で各樹脂組成物に均一なせん断応力をかけることができる。
周方向にねじられた多層の管状体は、第1の水槽22および第2の水槽23において冷却され、固化される。その後、多層の管状体は回転引取機24を通過し、切断機25において所定の長さに切断される。この結果、螺旋状の成形痕の傾斜角度θ1、θ4や、繊維Fの配向角度θ2が上記範囲内である、所定の長さの多層の管状体が得られる。
第3の成形工程では、多層の管状体を任意の角度でベンド加工する。
加熱した上記多層の管状体を所定の角度θ3よりも小さい曲率半径で、かつ所定のベンド角θ3よりも大なるベンド角の金型により加圧成形し、この曲り多層の杆状体を加熱温度と常温との間の中間温度に冷却した上で脱型した後に、曲率半径およびベンド角がθ3の曲率半径およびベンド角に等しい金型によって加圧加工をする。
この結果、任意の角度θ3でベンド加工された湾曲部15を有する多層の樹脂配管10が得られる。
本実施形態の樹脂配管10は、樹脂配管10の任意の領域の平面視において、樹脂配管10の軸線方向の一方を0°とし、軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を-90°としたときに、軸線方向と成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超90°未満であり、軸線方向と繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である繊維Fの配向角度θ2が繊維強化樹脂層11の外表面11bの任意の領域(α)において、60°以上73°以下で配向しており、樹脂配管10は任意の角度θ3でベンド加工されている。そのため、本実施形態の樹脂配管10では、軸方向だけでなく、周方向にも、繊維14が配向している。従って、本実施形態の樹脂配管10では、周方向に繊維14が配向していることによって、繊維14の引き延ばさせが緩和されていると考えられる。よって、本実施形態の樹脂配管10は、湾曲部の外周側における機械的強度の低下を抑制することができる。
θ1~θ4の関係において、配向角度θ2が角度下限値付近の61°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は60°以上80°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は60°以上であることが好ましい。配向角度θ2が角度上限値付近の67°以上73°以下である場合、傾斜角度θ1は65°以上80°以下であることが好ましく、傾斜角度θ4は65°以上であれば、0°以上90°以下の任意の角度θ3に樹脂配管10を加工した際に、本実施形態の樹脂配管10での湾曲部15の外周側における機械的強度の低下を抑制することができる。
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。さらに、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
第1の樹脂層(最内層)を形成するための第1の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(A)を用いた。
繊維強化樹脂層(中間層)を形成するための第2の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(A)とガラス繊維(a)とを混合した混合材料を用いた。
第2の樹脂層(最外層)を形成するための第3の樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(A)を用いた。
図6に示す製造装置20を用い、以下のようにして樹脂配管を製造した。
3層の管状の成形体を得ることができる金型21に、第1の樹脂組成物、第2の樹脂組成物および第3の樹脂組成物を供給した。なお、金型21は温度を約200℃に設定した。次いで、押出量120kgf/hで各樹脂組成物を押出成形することで、第1の樹脂層および第2の樹脂層に高密度ポリエチレンを含み、繊維強化樹脂層に高密度ポリエチレンとガラス繊維とを含み、ガラス繊維が管状体の軸線方向から管状体の周方向に向けて傾斜していない3層の管状体を得た。得られた3層の管状体は、SDRが約11であり、呼び径が100Aであった。
軸に対してねじり角が67°となる線速と回転数条件で回転引取機24を動かし、3層の管状体を周方向にねじりながら引き取り成形した。
次いで、第1の水槽22および第2の水槽23で3層の管状体を冷却固化して、3層の樹脂配管を得た。
次いで、角度90°でベンド加工した。
得られた樹脂配管は、第1の樹脂層の内表面に樹脂配管の軸線方向に沿って凸部によって螺旋状の成形痕が形成していた。また、第2の樹脂層の外表面に配管の軸線方向に沿って凸部によって螺旋状の成形痕が形成していた。
また、得られた樹脂配管は、外径が約114mmであり、SDRが約11であった。また、第1の樹脂層の厚さは樹脂配管の厚さの約25%であり、繊維強化樹脂層の厚さは樹脂配管の厚さの約50%であり、第2の樹脂層の厚さは樹脂配管の厚さの約25%であった。すなわち、各層の厚さの比(第1の樹脂層の厚さ:繊維強化樹脂層の厚さ:第2の樹脂層の厚さ)は約1:2:1であった。
得られた樹脂配管について、以下のようにして、短期強度を測定した。結果を表1に示す。
短期強度の測定方法として、上記樹脂配管を約25℃の水槽内に1時間養生した後、樹脂配管の内部を一定速度で加圧し、上記樹脂配管が破壊するまでの圧力を測定した。
[比較例1]
ベンド加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の樹脂配管を得た。
実施例1と同様にして、比較例1の樹脂配管の短期強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
高密度ポリエチレン(A)の代わりに高密度ポリエチレン(B)を用い、ガラス繊維(b)を用い、ねじり角を73°としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の樹脂配管を得た。
実施例1と同様にして、実施例2の樹脂配管の短期強度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
ベンド加工を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、比較例2の樹脂配管を得た。
実施例1と同様にして、比較例2の樹脂配管の短期強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023026040000002
表1の結果から、ベンド加工することにより、ベンド加工しないもの(直管)に対して短期強度が約10%低減するものの、短期強度(破壊試験)においては必要最低限の性能を満たしていると考えられる。
[実施例3]
実施例1で作製した樹脂配管の長期強度を、以下のようにして測定した。結果を図7に示す。
長期強度の測定方法として、ポリエチレン管の長期耐久性を評価する熱間内圧クリープにて評価した。
温度80℃に加熱した温水槽内に、上記樹脂配管を浸漬させ一定圧力を樹脂管内部に加圧することで、80℃の温水槽中で一定の応力を樹脂管に負荷させて、長耐久性を外挿にて試算した。
[比較例3]
比較例1で作製した樹脂配管の長期強度を、実施例3と同様にして測定した。結果を図7に示す。
[比較例4]
比較例2で作製した樹脂配管の長期強度を、実施例3と同様にして測定した。結果を図7に示す。
[比較例5]
下記のようにして作製した高い空調配管用高性能ポリエチレン管(クウチョウハイパーCH)の長期強度を、実施例3と同様にして測定した。結果を図7に示す。
空調配管用高性能ポリエチレン管は、押出成型によって製造した。
図7の結果から、実施例3(実施例1で作製した樹脂配管)は、比較例3(比較例1で作製した樹脂配管)に対して、長期強度が約10%低減するものの、空調配管用高性能ポリエチレン管よりも高い性能を維持できる傾向がみられることが分かった。
[実施例4]
ねじり角を60°としたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂配管を得た。
得られた樹脂配管について、以下のようにして、降伏歪を測定した。結果を表2に示す。
約400mmに切断した後、約25℃で1時間以上養生した樹脂配管を引張試験機(テンシロン 500kN)に固定し、引張速度100mm/minで樹脂配管が破断するまで引張荷重をかけることにより、降伏歪を測定した。
[実施例5]
実施例1で作製した樹脂配管の降伏歪を、実施例4と同様にして測定した。結果を表2に示す。
[実施例6]
ねじり角を71°としたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂配管を得た。
得られた樹脂配管について、実施例4と同様にして降伏歪を測定した。結果を表2に示す。
[比較例6]
ねじり角を0°としたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂配管を得た。
得られた樹脂配管について、実施例4と同様にして降伏歪を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023026040000003
表2の結果から、ねじりのない樹脂配管が5.25%で降伏歪に達するのに対し、ねじり角が60°以上で71°以下の樹脂配管であれば約12.5%で降伏歪に達することが分かった。降伏歪が大きいほど樹脂配管がよく伸び、ねじり角が60°の場合は、短期強度および長期強度の測定を行ったねじり角が67°の場合と同様な降伏歪をしめしているため、ねじり角が60°の場合もベンド加工の許容範囲と考えられる。
10 樹脂配管
11 繊維強化樹脂層
12 樹脂層(第1の樹脂層)
13 樹脂層(第2の樹脂層)
14 繊維
X 配管の軸線方向
Y 配管の軸線方向に対して垂直方向(配管の周方向)
L1 樹脂配管(第1の樹脂層)の内表面に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向
L2 繊維Fの配向方向
L3
L4 樹脂配管(第2の樹脂層)の外表面に形成された螺旋状の成形痕における螺旋方向
θ1 軸線方向と樹脂配管(第1の樹脂層)の内表面に形成された成形痕とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度
θ2 軸線方向と繊維Fとのなす角度のうち、鋭角となる方の角度(繊維Fの配向角度)
θ3 ベンド管角度
θ4 軸線方向と樹脂配管(第2の樹脂層)の外表面に形成された成形痕とのなす角度のうち、鋭角となる方の角度

Claims (5)

  1. 樹脂と繊維とを含む管状の繊維強化樹脂層を備える樹脂配管であって、
    前記樹脂配管の内表面に、前記樹脂配管の軸線を軸とする螺旋状の成形痕を有し、
    前記樹脂配管の任意の領域の平面視において、前記樹脂配管の軸線方向の一方を0°とし、前記軸線方向に対して垂直方向の一方を90°、他方を-90°としたときに、前記軸線方向と前記成形痕とのなす角度のうち鋭角となる方の角度θ1が0°超90°未満であり、
    前記軸線方向と下記繊維Fとのなす角度のうち鋭角となる方の角度である下記繊維Fの配向角度θ2が前記繊維強化樹脂層の外表面の任意の領域(α)において、60°以上73°以下で配向しており、
    前記樹脂配管は任意の角度θ3でベンド加工されている樹脂配管。
    繊維F:前記繊維自体の平均繊維径を平均繊維径Dとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のそれぞれの断面での長さ方向の距離を距離Lとする。前記繊維強化樹脂層の前記軸線方向に沿う断面において観察される前記繊維のうち、前記距離Lが前記平均繊維径Dの2倍以上である繊維を繊維Fとする。
  2. 前記角度θ3が0°超90°以下である、請求項1に記載の樹脂配管。
  3. 前記繊維がガラス繊維である、請求項1または2に記載の樹脂配管。
  4. 前記繊維強化樹脂層の内表面および外表面の少なくとも一方が、樹脂を含む樹脂層で被覆されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂配管。
  5. 前記繊維強化樹脂層および前記樹脂層に含まれる樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項4に記載の樹脂配管。
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