JP2016144897A - 離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引き裂き強度を、TMとし、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引き裂き強度を、TTとしたとき、TM/TTの値が、1.5以上5.0以下である。
【選択図】なし
Description
従来の離型フィルムは、当該離型フィルムの追従性を向上させるため、離型フィルムの貯蔵弾性率または離型フィルム表面の硬度を小さくすることにより、当該離型フィルムの離型性が下がる傾向にあった。一方、従来の離型フィルムは、当該離型フィルムの離型性を向上させるため、離型フィルムの貯蔵弾性率または離型フィルム表面の硬度を大きくすることにより、当該離型フィルムの追従性が下がる傾向にあった。このように、本発明者は、従来の離型フィルムにおいて離型性および追従性の間には、トレードオフの関係があることを知見した。言い換えれば、本発明者は、従来の離型フィルムには、離型フィルムの離型性と追従性の両方をバランスよく向上させるという観点において、改善の余地があることを見出した。なお、離型フィルムについて、離型性の向上に着目した技術や、追従性の向上に着目した技術はあったものの、離型性と追従性の両方をバランスよく向上させる技術は、これまでに報告されていなかった。
JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引き裂き強度を、TMとし、
JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引き裂き強度を、TTとしたとき、
TM/TTの値が、1.5以上5.0以下である、離型フィルムが提供される。
本実施形態における離型フィルムは、少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引き裂き強度を、TMとし、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引き裂き強度を、TTとしたとき、TM/TTの値が、1.5以上5.0以下であるものである。これにより、離型フィルムの離型性と追従性のバランスを向上させることができる。
なお、得られた成型品表面に生じる荒れとは、成型品表面の一部が波打つこと、成型品表面の一部が爛れること、成型品表面の形状が滑らかではなく、粗い状態となること等を指す。
本実施形態における離型フィルムの製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、離型層の製造条件を高度に制御する必要がある。すなわち、以下の2つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって初めて、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引き裂き強度を、TMとし、JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引き裂き強度を、TTとしたとき、TM/TTの値が、上述した特定の条件を満たす離型フィルムを得ることができる。
(1)離型層を形成する樹脂材料の選択
(2)延伸条件
まず、(1)離型層を形成する樹脂材料の選択について説明する。
離型層を形成するポリエステル樹脂として、結晶性のポリエステル樹脂を選択した場合には、離型層の配向度を制御することができる。しかしながら、本実施形態における離型層は、単に、結晶性のポリエステル樹脂を用いて離型層を形成しただけで実現できるものではない。この理由として、結晶性のポリエステル樹脂には、カルボキシル基のような極性基が存在していることが挙げられる。そのため、結晶性のポリエステル樹脂を用いて離型層を形成した場合には、当該離型層の表面(離型面)を形成する材料中のカルボキシル基等の極性基量についても高度に制御する必要がある。こうすることで、加熱プレスする際に、離型フィルムを配する対象物表面を形成する材料中の未反応の官能基と、離型層を形成する樹脂中の極性基との間で相互作用することを初めて抑制することが可能となる。
本実施形態における離型フィルムを得るためには、上記(1)で説明したようにして選択された離型層を形成する樹脂材料に適した延伸条件を採用する必要がある。具体的には、延伸処理時のフィルム温度、延伸倍率、フィルムの延伸処理に使用する装置等の各因子を高度に制御して組み合わせることが特に重要となる。
次に、本実施形態の離型フィルムの使用方法について説明する。
まず、表面が熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された成型物の上記表面に対して、上記本実施形態に係る離型フィルムの離型層表面を配置する。そして、離型フィルムを配置した対象物に対し、金型内でプレス処理を行う。ここで、上述した熱硬化性樹脂は、半硬化状態であっても、硬化状態であってもよいが、半硬化状態であると、当該離型フィルムの作用効果が一層顕著なものとなる。特に、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む樹脂組成物である場合には、当該エポキシ樹脂が、硬化反応の中間の段階にあること、すなわち、Bステージ状態にあることが好ましい。
具体的には、離型フィルムは、例えば、フレキシブルプリント配線基板の製造工程の一つであるカバーレイプレスラミネート工程において用いられる。より詳細には、離型フィルムは、回路露出フィルムへのカバーレイフィルム接着時にカバーレイフィルムを回路パターンの凹凸部に密着させるためにカバーレイフィルムを包むように配置され、回路露出フィルム及びカバーレイフィルムと共にプレス成型機により加熱加圧される。プレス成型機は、加圧を開始してから15分で常温から170℃まで昇温した後、35分間その温度を維持し、その後、50分かけて170℃から常温まで冷却する。このときのプレス圧力は、5〜15MPaで適宜調節される。
3台の押し出し機に離型層、第2の離型層(副離型層)、クッション層の樹脂を供給し、三層マルチマニホールドダイより共押出しを行い、離型層、クッション層、第2の離型層の順に積層されたフィルムを作成した。
ここで、離型層および第2の離型層の原料としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5020)を用いた。
クッション層の原料としては、ポリプロピレン(住友化学社製、FH1016)、変性ポリエチレン(エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学社製、WD106)、酸変性ポリエチレン(三菱化学社製、F515A)及び ポリブチレンテレフタレート:品番5020、(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を含む樹脂組成物(配合比率:ポリプロピレン:エチレン−メチルメタクリレート共重合体:酸変性ポリエチレン:PBT=15:30:40:15)を用いた。
また、得られた離型フィルムの各層の厚さは、離型層、第2の離型層(副離型層)はいずれも30μm、クッション層は60μmであった。
延伸倍率を1.5倍とした点以外は、実施例1と同等にして、離型フィルムを製造した。
延伸倍率を1.2倍とした点以外は、実施例1と同等にして、離型フィルムを製造した。
離型層および、第2の離型層の樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5020)に代わり、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(長春石油化学社製、1100−211M)を用いた点以外は実施例1と同等にして、離型フィルムを作成した。
クッション層の樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(日本ポリエチレン社製、LDPE、商品名「ノバテック」)とした点以外は実施例1と同等にして、離型フィルムを作成した。
離型層および、第2の離型層の樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(長春石油化学社製、1100−211XSS)を用いて、延伸工程を経ずに、離型フィルムを得た点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。なお、離型層の厚みは、30μmであった。
離型層および、第2の離型層の樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(長春石油化学社製、1100−211XS)を用いて、延伸工程を経ずに、離型フィルムを得た点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。なお、離型層の厚みは、30μmであった。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(長春石油化学社製、1100−211XSS)を用い、三層マルチマニホールドダイより共押出しを行い、離型層、クッション層、第2の離型層の順に積層されたフィルムを作成したのち、テンターに導き、横方向に120℃で1.5倍延伸し、230℃で熱処理を行った点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。なお、離型層の厚みは、30μmであった。
・引き裂き強度:JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行い、当該離型フィルムのMD方向とTD方向の引き裂き強度を測定した。
離型フィルムの離型面に対して、カバーレイフィルム(有沢製作所社製、CMタイプ)の接着剤面を貼り合わせ、プレス成型機を用いて、195℃、6MPaの圧力で、2分間の熱プレスを行い、引っ張り試験機(エーアンドデイ社製Force gauge AD−4932A−50N)を用いて、180°方向に約50mm/秒の速度で、離型面とカバーレイフィルムにおける接着剤間の剥離強度を測定した。測定はプレス直後に実施した。
離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のカバーレイフィルム(CMタイプ)のポリイミド面を貼り合わせ、プレス成型機を用いて、195℃、6MPaの圧力で、2分間の熱プレスを行った後、離型フィルムを剥離し、カバーレイフィルムの表面について、JPCA規格の「7.5.7.2項しわ」に準じて測定した。
○:シワ発生率 2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
○:良品が98%以上
×:良品が98%未満
Claims (7)
- 少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引き裂き強度を、TMとし、
JIS K7128に準じて、23℃、負荷速度200mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引き裂き強度を、TTとしたとき、
TM/TTの値が、1.5以上5.0以下である、離型フィルム。 - JIS K7127に準じて、23℃、負荷速度500mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのMD方向の引張り抗張力を、TSMとし、
JIS K7127に準じて、23℃、負荷速度500mm/minという条件で引張試験を行った際に得られる当該離型フィルムのTD方向の引張り抗張力を、TSTとしたとき、
TSM/TSTの値が、0.2以上0.8以下である、請求項1に記載の離型フィルム。 - 前記離型層が、ポリブチレンテレフタレートを含む、請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 前記離型層の離型面の算術平均粗さ(Ra)が、0.08μm以上1μ以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層の離型面の10点平均粗さ(Rz)が、0.5μm以上10μm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記離型層、クッション層、及び副離型層をこの順に積層した三層構造を有している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の離型フィルム。
- 前記クッション層が、α−オレフィン系重合体と、α−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物を含む、請求項6に記載の離型フィルム。
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