JP2004058594A - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス保護用途、特にフラットディスプレイ等の表示用ガラスの保護用に好適な熱可塑性樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルムである。また、全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが3%以下であり、フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の引裂強度が50N/mm以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルムである。また、全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが3%以下であり、フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の引裂強度が50N/mm以上である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。更に詳しくは、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラス、あるいは公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの保護用フィルムに好適な熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスは優れた光線透過性、ガスバリア性、寸法特性等から、さまざまな用途に使用されている。その中には建築物や自動車、電車車両の窓ガラスのみならず、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等に代表されるフラットディスプレイの分野も含まれ、より高性能なガラスが提供されている。しかしながら、ガラスの性質の劣点として、破損しやすいまたは破損によってガラスが飛散することが挙げられる。この問題は薄肉化の要求が進むフラットディスプレイの分野においても顕著であり、フラットディスプレイ全体の薄肉化に伴い表示用ガラス自体も薄肉化し、使用時において破損しやすいといった問題がある。
【0003】
ガラス破損やさらに破損によって起こるガラス飛散の問題に対し、ガラスに熱可塑性樹脂からなるフィルムを貼りつけることにより防止する方法が種々提案されている。例えば、特開平6−190997号公報には、ポリエチレンテレフタレート層とセバシン酸共重合−ポリエチレンテレフタレート層からなり、少なくとも1.208GPa以上、好ましくは3.105GPa以上のヤング率を示す多層積層フィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止することが提案されている。また特開平10−076620号公報には、フィルム長手方向及びフィルム幅方向のF−5値が100MPa以上、より好ましくはフィルム長手方向もしくは幅方向のF−5値が150MPa以上である、ポリエチレンテレフタレート層と、ビスフィノールA基またはビスフィノールAのエチレンオキサイド付加重合物が共重合されてなるポリエステル層を主体とする層からなる多層積層フィルムをガラスに貼りつけて、ガラスが割れた際のガラス飛散を防止することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしフラットディスプレイの形状は横長の長方形である場合がほとんどだが、この様な形状においては、フラットディスプレイの破損時の衝撃力に分布が生じ、端部に衝撃力が集中するので、従来の技術ではフィルムが貼られていても、主として長手方向の左右の端部から破れが生じやすく、ガラスが飛散する問題があった。また、特にCRTディスプレイにおいては、破損時にブラウン管内の真空状態が破られることによって起こる爆縮により、非常に大きな衝撃力や吸引力がかかるため、より一層フィルムが破損し易く、ガラスが飛散及び吸引され易いのであった。
【0005】
このように、特開平6−190997号公報や特開平10−076620号公報に記載されたフィルムを貼付けたものでは、一般的なガラス破損時におけるガラス飛散を防止する効果はあるものの、フラットディスプレイの破損時にかかる大きな衝撃力や吸引力には耐えうるものでなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、かかる問題を解決し、フラットディスプレイに使用される表示用ガラスの保護に好適な熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的にして検討した結果、フラットディスプレイの保護用には、フィルム縦方向と横方向のヤング率の比を特定範囲内とすることが、フラットディスプレイ破損時の非常に大きな衝撃力や吸引力を効率良く受け止め、またガラス飛散を防止するために効果的であることを見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
すなわち本発明は、次のとおりである。
(1)厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルム。
(2)全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが3%以下である上記(1)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(3)フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の引裂強度が50N/mm以上である上記(1)から(2)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。(4)フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の熱収縮率が、2.0%以下である上記(1)から(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(5)2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂が少なくとも含まれている上記(1)から(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(6)ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートを主成分とする層と、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基および/またはシクロヘキサン基を有するポリエステルを主成分とする層とが交互に厚み方向に積層されている上記(1)から(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(7)積層数が20層以上である上記(1)から(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(8)上記(1)から(7)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの表面に粘着層および/またはハードコート層が形成されてなるガラス保護フィルム。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
本発明に係るフィルムは、厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では少なくとも2種類の熱可塑性樹脂から構成される厚み方向の積層数が5層以上であることを要する。より好ましくは20層以上であり、最も好ましくは30層以上である。層数の上限は特にないが、透明性や生産性の観点から500層以下であることが好ましく、さらに好ましくは100層以下である。積層数が5層より少ない場合はガラス保護に必要な引裂強度を有する熱可塑性樹脂フィルムが得られ難い。
【0011】
また本発明ではフィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上であることを要する。より好ましくは1.3GPa以上であり、最も好ましくは1.5GPa以上である。また上限は特に定めないが、3.0GPa以下であることが取り扱い性の観点から望ましい。
【0012】
この様にフィルム縦方向と横方向のヤング率バランスを、上記した特定範囲内とすることにより、フラットディスプレイの破損時にかかる衝撃力や吸引力を効率良く受け止め、またガラス飛散を防止することができる。即ち、フラットディスプレイは、通常、横長の長方形形状をしているので、その破損時の衝撃力や吸引力を効率的に受け止めるためには、上記したヤング率バランスをとることが有効である。
【0013】
これに対し、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPaより小さいと、長方形であるフラットディスプレイの破損時に、フィルム端部に集中する衝撃力に耐えきれず、端部からフィルム破れが生じてガラスが割れ落ちる場合があるので、本発明の目的を達成することが困難である。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは全光線透過率が88%以上であり、最も好ましくは89%以上である。また本発明の熱可塑性樹脂フィルムはヘイズが3%以下であることが好ましい。さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率が80%より低い、あるいはヘイズが3%より高い場合には、ディスプレイ等のガラス保護フィルムとしては、視認性の点から不十分であり好ましくない。
【0015】
全光線透過率を上げる、およびヘイズを下げる方法としては特に限定されないが、たとえば、多層積層構造の各層を構成する各熱可塑性樹脂間の屈折率差を極力小さくする方法、熱可塑性樹脂の結晶性を抑制する方法などが好ましく用いられる。また熱可塑性樹脂フィルムの製造過程では、取り扱い性向上などのための表面形成に、熱可塑性樹脂へ粒子を添加する方法を用いることがあるが、この方法では熱可塑性樹脂内部の粒子が透過する光線を散乱し、ヘイズを上げる原因となる。よって本発明では、熱可塑性樹脂フィルムの表面に粒子を含む極薄の膜を積層する方法や、粒子を含む塗液をコーティングする方法を用いて、使用する粒子の量を低減し、ヘイズを下げる方法を取ることが非常に好ましい。
【0016】
さらに本発明では、長手方向および/または幅方向の引裂強度は好ましくは50N/mm以上であり、より好ましくは90N/mm以上であり、最も好ましくは120N/mm以上である。引裂強度が50N/mm未満では、ガラス保護フィルムとしての強度が不足し、ガラスの破損および破損後のガラス片の飛散を効果的に防止できない。
【0017】
引裂強度を上げる方法としては特に限定されないが、5層以上に積層されたそれぞれの層間での、2種類の熱可塑性樹脂間の親和性を高める方法が好んで用いられる。そしてこの熱可塑性樹脂フィルムは引き裂きの力を受けたとき、高い親和性をもつ2種類の熱可塑性樹脂間で剥離することにより引き裂きのエネルギーを吸収し、非常に大きな引裂強度を発現するものである。
【0018】
また本発明ではフィルム幅方向の熱収縮率が好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.5%以下である。熱収縮率2.0%より大きい場合、ガラス保護フィルム表面にハードコート層、粘着層、反射防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、帯電防止層等を設ける際に、加工時の熱によりフィルムが変形し易いために、平面性が悪化ししわ等が発生するため好ましくない。また、ガラス保護フィルムとして使用する際も、ディスプレイ等からの熱により、表示画像がゆがむなどの問題が生じ易く好ましくない。
【0019】
本発明のフィルムで用いる少なくとも2種の熱可塑性樹脂は特に限定されず、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0020】
この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるポリエステル樹脂を含むものである。また、ポリエステル樹脂の中でも、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特に価格の点からもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
本発明で用いる熱可塑性樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。共重合しうるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げられる。また共重合しうるグリコール成分として1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
【0023】
また、本発明で用いる熱可塑性樹脂の少なくとも1種は、耐熱性と透明性の観点から、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂が含まれていることが好ましい。より好ましくはポリエチレンナフタレートもしくはポリエチレンテレフタレートを主成分とする層と、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂を主成分とする層とが交互に厚み方向に積層されていることが、さらに好ましい。
【0024】
2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基を有する熱可塑性樹脂の例としては、共重合ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、変性ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、変性ポリアリレート樹脂等などを挙げることができる。2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン構造を有する熱可塑性樹脂の中で、好ましく用いられるのが共重合ポリエステルであり、たとえばジエチレングリコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を重縮合したポリエステルなどが特に好ましく用いられる。このようなポリエステルとしては、少なくともジオール成分としてのビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、その他のジオールとして、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどから選ばれるジオール成分と、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから選ばれるジカルボン酸成分との任意の組み合わせにより重縮合されて得られる共重合ポリエステルがあげられる。
【0025】
次にシクロヘキサンジメタノール基を有する熱可塑性樹脂の例としては、共重合ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、共重合ポリアクリレートが挙げられ、ジエチレングリコール成分としてシクロヘキサンジメタノール、その他のジオールとして、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどから選ばれるジオール成分と、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから選ばれるジカルボン酸成分との任意の組み合わせにより重縮合されて得られる共重合ポリエステルが挙げられる。
【0026】
これらの共重合量は特に限定されないが、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン、および/またはシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上であることが好ましい。より好ましくは25mol%以上であり、さらに好ましくは30mol%以上である。また上限は特に定めないが、好ましくは80mol%以下であり、より好ましくは60mol%以下である。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムをガラス保護フィルムとして用いる際には、表面に粘着層および/またはハードコート層を形成することが好ましい。
【0028】
粘着層は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラス、あるいは公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの表面に貼りつける際に有用であり、その材料としては特に限定されないが、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、シリコーン系、合成ゴム系等の粘着性樹脂材料が用いられ、特にアクリル系樹脂材料では耐候性、透明性に優れていることから、フラットディスプレイ等のガラスに使用するフィルムの粘着剤として適している。
【0029】
ハードコート層は傷つき防止、および光学特性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、耐磨耗性等の向上に有効である。その材料は特に定めないがメラミン樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シラン系樹脂およびシリコーン系の材料等が使用可能である。
【0030】
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、その表面あるいは内部に、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、その他の層、例えば、易接着層、易滑層、反射防止層、帯電防止層、粘着層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、光線透過率制御層、ハードコート層などが設けられていてもよい。
【0031】
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの好ましい製造方法を説明する。
【0032】
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介してろ過し、異物や変性した樹脂分が除去される。さらに、樹脂は、ダイにて目的のフィルム形状に成形された後、吐出される。
【0033】
多層積層フィルムを製造するための方法としては、例えば2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂をフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。特に、本発明ではフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層することが好ましい。
【0034】
ダイから吐出された多界面構造体を有するシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、未延伸フィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
【0035】
このようにして得られた未延伸フィルムは、必要に応じて一軸延伸または二軸延伸される。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
【0036】
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍がとくに好ましく用いられる。
【0037】
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等の公知のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層、高光線透過率を付与しても構わない。
【0038】
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。本発明に示す、長手方向のヤング率EMDと幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルムを得る方法としては、一軸延伸の場合は横方向に2.0倍〜5.5倍の範囲で延伸するのが好ましく、より好ましくは横方向に3.0倍〜5.5倍の範囲である。二軸延伸の場合は、縦方向に2.2倍〜3.5倍、横方向に2.2〜4.5倍の範囲で延伸するのが好ましい。この時に縦方向と横方向の延伸倍率はどちらが高くてもよいが、縦方向の延伸倍率DMDと横方向の延伸倍率DTDとの差の絶対値(|DMD−DTD|)は、好ましくは0.8倍以上、より好ましくは1.0倍以上である。また上限は特に定めないが、取り扱い性の点から好ましくは2.3倍以下、より好ましくは2.0倍以下である。
【0039】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましく、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、熱処理温度が120℃〜200℃である方が、高い引裂強度を得ることができるが、その場合、高温下での熱収縮など耐熱性の点で問題となることがあり、好ましくは200℃以上であると良い。ただし、本発明のフィルムはこのように高い熱処理温度でも特開平6−190997号公報の方法のように大幅な引裂強度の低下をもたらすものではない。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは高い耐引裂性を有することからガラスの破損・飛散を防止する機能を有するものであり、さらに、高い透明性をも有することができる。従って、特にプラズマディスプレイ用をはじめとする、高いガラス破損防止機能と高い透明性とを要求されるフラットディスプレイ用のガラス保護フィルムに最も適しており、また建築物、車両等の窓ガラス用の保護フィルムとしても好適なものである。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムをガラスに貼付ける際、フィルムのガラスに対する好ましい向きは用途・目的によって適宜選択することができる。例えば、小型のCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の、横長の長方形のフラットディスプレイでは、横方向の左右の端部において破れが生じやすいので、ヤング率の高い方向とフラットディスプレイの横方向(長手方向)とを一致する向きで貼付けることが、左右端部におけるフィルム破れを防ぎ、かつガラスの飛散を防止するという目的のために好ましい。また公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラス等に用いる場合においても、ヤング率の高い方向とガラスの長手方向とを一致させることが好ましい。
【0042】
但し、大型のCRTフラットディスプレイに代表されるような、破損時にブラウン管内の真空状態が破られることによって起こる爆縮により、非常に大きな衝撃力や吸引力がかかるガラスに用いる場合においては、ヤング率の高い方向とフラットディスプレイの縦方向(短い方向)を一致させる方が好ましい場合がある。即ち、このような場合では、フィルム端部の破れ発生よりも、フィルム全体がフラットディスプレイの本体から切れ落ちないで、あるいは剥がれ落ちないで、破損したガラスの飛散を防止することの方が重要であるので、横長の長方形であるフラットディスプレイにおいて、端部破れの生じにくい縦方向(短い方向)と、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのヤング率の高い方向とを一致させることによって、たとえ横方向の左右の端部で破れが生じたとしても、縦方向上下の端部でフィルムが強く保持され、破損したガラスの飛散が防止されるようにすることが好ましいからである。
【0043】
【実施例】
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)ヤング率(引張弾性率)
ORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA1000を用いて測定した。サンプルサイズは長さ150mm、幅10mmで、端から50mmの位置を上下からチャックで挟んで、下側のチャックを300mm/minで移動させて引っ張り、ヤング率(引張弾性率)を求めた。なお測定は5本のサンプルで行ない、その平均値を採用した。
【0044】
(2)全光線透過率
常態(23℃、相対湿度65%)において、フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、波長590nmの光線における全光線透過率を測定した。3回の測定値の平均値を該サンプルの全光線透過率とした。
(3)ヘイズ
常態(23℃、相対湿度65%)において、フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、波長590nmにおけるヘイズを測定した。3回の測定値の平均値を該サンプルのヘイズとした。
【0045】
(4)引裂強度
JIS K7128−2の引裂強さ試験方法に準じて測定した。重荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いた。サンプルは、A辺の長さが63±0.5mm、B辺の長さが75±0.5mmの長方形サイズとし、そのB辺の中央部の位置に端から20±0.5mmの深さの切れ込みを入れ、残り43mmを引き裂いたときの指示値を読みとった。引裂強度としては、指示値より求めた引裂力(N)をフィルム厚み(mm)で除した値とした。なお、測定は10本のサンプルを用いて行い、その平均値を採用した。
フィルム長手方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのA辺がフィルム長手方向と平行になるようにサンプリングし、また、フィルム幅方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのA辺がフィルム幅方向と平行になるようにサンプリングした。
【0046】
(5)熱収縮率
製膜後24時間以上経過したフィルムから、大きさ300mm×10mmで、かつその長手方向と測定方向が合致するように採取した被測定サンプルを、23℃、60%RHの雰囲気下に30分間放置し、その雰囲気下で、サンプル長手方向に約200mmの間隔で2つの印を付け、リニアスケール測長機を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとした。次に、被測定サンプルを、張力フリーの状態で150℃の雰囲気中に30分間放置し、次いで23℃、60%RHの雰囲気中で1時間冷却、調湿後、先に付けた印の間隔を測定し、測定値をBとした。この時次式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率=100×(A−B)/A
【0047】
(6)落球試験
JIS R3206落球試験の方法に準じて測定した。ただし、試験に用いたサンプルには、次のフィルム貼り付けガラスを用いた。フィルムの片面に、アクリル系の粘着層を厚さ30μmで形成した後、フラットディスプレイの縦横の大きさに合わせてカットした。このカットフィルムを、その粘着層により縦340mm、横610mm、厚さ5mmの均質なフロートガラス(フラットディスプレイ用ガラス)の表面上に、フィルムヤング率の高い方向がガラスの横方向(長手方向)となるように貼りつけ、これをサンプルとした。フィルムを貼った面を下側にし、落球試験を行なった。結果は、ガラスが破損してもフィルムによってガラスが飛散しなかった場合を「○」(合格)、ガラスが破損しフィルムが切れ落ちて、ガラスが飛散した場合を「×」(不合格)と評価した。
【0048】
本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度 76℃。以下PETと称す。)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして、固有粘度0.8のシクロヘキサンジメタノール33mol%共重合ポリエチレンテレフタレート“EASTAR”6763(イーストマン・ケミカル社製。以下CHDM共重合PETと称す。)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0049】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、スタティックミキサーに供給し、熱可塑性樹脂Aが9層、熱可塑性樹脂Bが8層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がA/B=5になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計17層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。また吐出量はフィルム厚みが160μm周辺になるように調整した。
【0050】
得られた未延伸フィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に2.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.6倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなること以外は、実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。この熱可塑性樹脂フィルムは透明性・耐引裂性に優れたものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが65層、熱可塑性樹脂Bが64層の計129層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
【0052】
(実施例4)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが257層、熱可塑性樹脂Bが256層の計513層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2と同様の装置・条件で、乾燥・溶融・押出しをし、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなるキャストフィルムを作製した。得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に2.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
(実施例6)
熱処理温度を150℃とすること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。この熱可塑性樹脂フィルムは、熱処理温度を150℃と低くしたことから透明性・耐引裂性に非常に優れたものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
熱可塑性樹脂Aがポリエチレンナフタレート(ガラス転移温度113℃。以下PENと称す。)であること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
【0054】
(実施例8)
熱可塑性樹脂BがビスフィノールAのエチレンオキサイド付加重合物が共重合されてなるポリエステル(以下BPA−EO共重合PETと称す。)であること以外は、実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
(実施例9)
吐出量を調整して、フィルム厚みを100μmとしたこと以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。(実施例10)
吐出量を調整して、フィルム厚みを75μmとしたこと以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0055】
(比較例1)
実施例2と同様の装置・条件で、乾燥・溶融・押出しをし、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなるキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂Bが、ジカルボン酸成分がテレフタル酸60mol%、セバシン酸40mol%、ジオール成分がエチレングリコール100mol%からなるセバシン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(セバシン酸共重合PET)であること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0056】
(比較例3)
3層のフィードブロックを用い、熱可塑性樹脂Aが2層、熱可塑性樹脂Bが1層の計3層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0057】
(比較例4)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度76℃)を乾燥した後、押出機に供給した。熱可塑性樹脂Aは押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介してTダイに供給し、シート状に成形した。静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化して、ポリエチレンテレフタレート単膜のキャストフィルムとした。また吐出量はフィルム厚みが160μm周辺になるように調整した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に2.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.6倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、表示用フラットディスプレイ表面に貼付けて使用した場合、そのディスプレイが破損した際にかかる衝撃力や吸引力にも耐えうる高い耐衝撃性を持つので、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラスの保護用フィルムとして有用である。また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両等の窓ガラスの保護用フィルムとしても有用であり、広い分野において保護用フィルムとして有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。更に詳しくは、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラス、あるいは公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの保護用フィルムに好適な熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスは優れた光線透過性、ガスバリア性、寸法特性等から、さまざまな用途に使用されている。その中には建築物や自動車、電車車両の窓ガラスのみならず、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等に代表されるフラットディスプレイの分野も含まれ、より高性能なガラスが提供されている。しかしながら、ガラスの性質の劣点として、破損しやすいまたは破損によってガラスが飛散することが挙げられる。この問題は薄肉化の要求が進むフラットディスプレイの分野においても顕著であり、フラットディスプレイ全体の薄肉化に伴い表示用ガラス自体も薄肉化し、使用時において破損しやすいといった問題がある。
【0003】
ガラス破損やさらに破損によって起こるガラス飛散の問題に対し、ガラスに熱可塑性樹脂からなるフィルムを貼りつけることにより防止する方法が種々提案されている。例えば、特開平6−190997号公報には、ポリエチレンテレフタレート層とセバシン酸共重合−ポリエチレンテレフタレート層からなり、少なくとも1.208GPa以上、好ましくは3.105GPa以上のヤング率を示す多層積層フィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止することが提案されている。また特開平10−076620号公報には、フィルム長手方向及びフィルム幅方向のF−5値が100MPa以上、より好ましくはフィルム長手方向もしくは幅方向のF−5値が150MPa以上である、ポリエチレンテレフタレート層と、ビスフィノールA基またはビスフィノールAのエチレンオキサイド付加重合物が共重合されてなるポリエステル層を主体とする層からなる多層積層フィルムをガラスに貼りつけて、ガラスが割れた際のガラス飛散を防止することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしフラットディスプレイの形状は横長の長方形である場合がほとんどだが、この様な形状においては、フラットディスプレイの破損時の衝撃力に分布が生じ、端部に衝撃力が集中するので、従来の技術ではフィルムが貼られていても、主として長手方向の左右の端部から破れが生じやすく、ガラスが飛散する問題があった。また、特にCRTディスプレイにおいては、破損時にブラウン管内の真空状態が破られることによって起こる爆縮により、非常に大きな衝撃力や吸引力がかかるため、より一層フィルムが破損し易く、ガラスが飛散及び吸引され易いのであった。
【0005】
このように、特開平6−190997号公報や特開平10−076620号公報に記載されたフィルムを貼付けたものでは、一般的なガラス破損時におけるガラス飛散を防止する効果はあるものの、フラットディスプレイの破損時にかかる大きな衝撃力や吸引力には耐えうるものでなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、かかる問題を解決し、フラットディスプレイに使用される表示用ガラスの保護に好適な熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的にして検討した結果、フラットディスプレイの保護用には、フィルム縦方向と横方向のヤング率の比を特定範囲内とすることが、フラットディスプレイ破損時の非常に大きな衝撃力や吸引力を効率良く受け止め、またガラス飛散を防止するために効果的であることを見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
すなわち本発明は、次のとおりである。
(1)厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルム。
(2)全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが3%以下である上記(1)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(3)フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の引裂強度が50N/mm以上である上記(1)から(2)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。(4)フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の熱収縮率が、2.0%以下である上記(1)から(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(5)2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂が少なくとも含まれている上記(1)から(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(6)ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートを主成分とする層と、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基および/またはシクロヘキサン基を有するポリエステルを主成分とする層とが交互に厚み方向に積層されている上記(1)から(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(7)積層数が20層以上である上記(1)から(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(8)上記(1)から(7)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの表面に粘着層および/またはハードコート層が形成されてなるガラス保護フィルム。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
本発明に係るフィルムは、厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では少なくとも2種類の熱可塑性樹脂から構成される厚み方向の積層数が5層以上であることを要する。より好ましくは20層以上であり、最も好ましくは30層以上である。層数の上限は特にないが、透明性や生産性の観点から500層以下であることが好ましく、さらに好ましくは100層以下である。積層数が5層より少ない場合はガラス保護に必要な引裂強度を有する熱可塑性樹脂フィルムが得られ難い。
【0011】
また本発明ではフィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上であることを要する。より好ましくは1.3GPa以上であり、最も好ましくは1.5GPa以上である。また上限は特に定めないが、3.0GPa以下であることが取り扱い性の観点から望ましい。
【0012】
この様にフィルム縦方向と横方向のヤング率バランスを、上記した特定範囲内とすることにより、フラットディスプレイの破損時にかかる衝撃力や吸引力を効率良く受け止め、またガラス飛散を防止することができる。即ち、フラットディスプレイは、通常、横長の長方形形状をしているので、その破損時の衝撃力や吸引力を効率的に受け止めるためには、上記したヤング率バランスをとることが有効である。
【0013】
これに対し、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPaより小さいと、長方形であるフラットディスプレイの破損時に、フィルム端部に集中する衝撃力に耐えきれず、端部からフィルム破れが生じてガラスが割れ落ちる場合があるので、本発明の目的を達成することが困難である。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは全光線透過率が88%以上であり、最も好ましくは89%以上である。また本発明の熱可塑性樹脂フィルムはヘイズが3%以下であることが好ましい。さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率が80%より低い、あるいはヘイズが3%より高い場合には、ディスプレイ等のガラス保護フィルムとしては、視認性の点から不十分であり好ましくない。
【0015】
全光線透過率を上げる、およびヘイズを下げる方法としては特に限定されないが、たとえば、多層積層構造の各層を構成する各熱可塑性樹脂間の屈折率差を極力小さくする方法、熱可塑性樹脂の結晶性を抑制する方法などが好ましく用いられる。また熱可塑性樹脂フィルムの製造過程では、取り扱い性向上などのための表面形成に、熱可塑性樹脂へ粒子を添加する方法を用いることがあるが、この方法では熱可塑性樹脂内部の粒子が透過する光線を散乱し、ヘイズを上げる原因となる。よって本発明では、熱可塑性樹脂フィルムの表面に粒子を含む極薄の膜を積層する方法や、粒子を含む塗液をコーティングする方法を用いて、使用する粒子の量を低減し、ヘイズを下げる方法を取ることが非常に好ましい。
【0016】
さらに本発明では、長手方向および/または幅方向の引裂強度は好ましくは50N/mm以上であり、より好ましくは90N/mm以上であり、最も好ましくは120N/mm以上である。引裂強度が50N/mm未満では、ガラス保護フィルムとしての強度が不足し、ガラスの破損および破損後のガラス片の飛散を効果的に防止できない。
【0017】
引裂強度を上げる方法としては特に限定されないが、5層以上に積層されたそれぞれの層間での、2種類の熱可塑性樹脂間の親和性を高める方法が好んで用いられる。そしてこの熱可塑性樹脂フィルムは引き裂きの力を受けたとき、高い親和性をもつ2種類の熱可塑性樹脂間で剥離することにより引き裂きのエネルギーを吸収し、非常に大きな引裂強度を発現するものである。
【0018】
また本発明ではフィルム幅方向の熱収縮率が好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.5%以下である。熱収縮率2.0%より大きい場合、ガラス保護フィルム表面にハードコート層、粘着層、反射防止層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、帯電防止層等を設ける際に、加工時の熱によりフィルムが変形し易いために、平面性が悪化ししわ等が発生するため好ましくない。また、ガラス保護フィルムとして使用する際も、ディスプレイ等からの熱により、表示画像がゆがむなどの問題が生じ易く好ましくない。
【0019】
本発明のフィルムで用いる少なくとも2種の熱可塑性樹脂は特に限定されず、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0020】
この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるポリエステル樹脂を含むものである。また、ポリエステル樹脂の中でも、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特に価格の点からもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
本発明で用いる熱可塑性樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。共重合しうるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げられる。また共重合しうるグリコール成分として1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
【0023】
また、本発明で用いる熱可塑性樹脂の少なくとも1種は、耐熱性と透明性の観点から、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂が含まれていることが好ましい。より好ましくはポリエチレンナフタレートもしくはポリエチレンテレフタレートを主成分とする層と、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂を主成分とする層とが交互に厚み方向に積層されていることが、さらに好ましい。
【0024】
2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基を有する熱可塑性樹脂の例としては、共重合ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、変性ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、変性ポリアリレート樹脂等などを挙げることができる。2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン構造を有する熱可塑性樹脂の中で、好ましく用いられるのが共重合ポリエステルであり、たとえばジエチレングリコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を重縮合したポリエステルなどが特に好ましく用いられる。このようなポリエステルとしては、少なくともジオール成分としてのビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、その他のジオールとして、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどから選ばれるジオール成分と、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから選ばれるジカルボン酸成分との任意の組み合わせにより重縮合されて得られる共重合ポリエステルがあげられる。
【0025】
次にシクロヘキサンジメタノール基を有する熱可塑性樹脂の例としては、共重合ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、共重合ポリアクリレートが挙げられ、ジエチレングリコール成分としてシクロヘキサンジメタノール、その他のジオールとして、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどから選ばれるジオール成分と、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから選ばれるジカルボン酸成分との任意の組み合わせにより重縮合されて得られる共重合ポリエステルが挙げられる。
【0026】
これらの共重合量は特に限定されないが、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン、および/またはシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上であることが好ましい。より好ましくは25mol%以上であり、さらに好ましくは30mol%以上である。また上限は特に定めないが、好ましくは80mol%以下であり、より好ましくは60mol%以下である。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムをガラス保護フィルムとして用いる際には、表面に粘着層および/またはハードコート層を形成することが好ましい。
【0028】
粘着層は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラス、あるいは公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの表面に貼りつける際に有用であり、その材料としては特に限定されないが、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、シリコーン系、合成ゴム系等の粘着性樹脂材料が用いられ、特にアクリル系樹脂材料では耐候性、透明性に優れていることから、フラットディスプレイ等のガラスに使用するフィルムの粘着剤として適している。
【0029】
ハードコート層は傷つき防止、および光学特性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、耐磨耗性等の向上に有効である。その材料は特に定めないがメラミン樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シラン系樹脂およびシリコーン系の材料等が使用可能である。
【0030】
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、その表面あるいは内部に、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、その他の層、例えば、易接着層、易滑層、反射防止層、帯電防止層、粘着層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、光線透過率制御層、ハードコート層などが設けられていてもよい。
【0031】
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの好ましい製造方法を説明する。
【0032】
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介してろ過し、異物や変性した樹脂分が除去される。さらに、樹脂は、ダイにて目的のフィルム形状に成形された後、吐出される。
【0033】
多層積層フィルムを製造するための方法としては、例えば2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂をフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。特に、本発明ではフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層することが好ましい。
【0034】
ダイから吐出された多界面構造体を有するシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、未延伸フィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
【0035】
このようにして得られた未延伸フィルムは、必要に応じて一軸延伸または二軸延伸される。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
【0036】
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍がとくに好ましく用いられる。
【0037】
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等の公知のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層、高光線透過率を付与しても構わない。
【0038】
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。本発明に示す、長手方向のヤング率EMDと幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上である熱可塑性樹脂フィルムを得る方法としては、一軸延伸の場合は横方向に2.0倍〜5.5倍の範囲で延伸するのが好ましく、より好ましくは横方向に3.0倍〜5.5倍の範囲である。二軸延伸の場合は、縦方向に2.2倍〜3.5倍、横方向に2.2〜4.5倍の範囲で延伸するのが好ましい。この時に縦方向と横方向の延伸倍率はどちらが高くてもよいが、縦方向の延伸倍率DMDと横方向の延伸倍率DTDとの差の絶対値(|DMD−DTD|)は、好ましくは0.8倍以上、より好ましくは1.0倍以上である。また上限は特に定めないが、取り扱い性の点から好ましくは2.3倍以下、より好ましくは2.0倍以下である。
【0039】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましく、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、熱処理温度が120℃〜200℃である方が、高い引裂強度を得ることができるが、その場合、高温下での熱収縮など耐熱性の点で問題となることがあり、好ましくは200℃以上であると良い。ただし、本発明のフィルムはこのように高い熱処理温度でも特開平6−190997号公報の方法のように大幅な引裂強度の低下をもたらすものではない。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは高い耐引裂性を有することからガラスの破損・飛散を防止する機能を有するものであり、さらに、高い透明性をも有することができる。従って、特にプラズマディスプレイ用をはじめとする、高いガラス破損防止機能と高い透明性とを要求されるフラットディスプレイ用のガラス保護フィルムに最も適しており、また建築物、車両等の窓ガラス用の保護フィルムとしても好適なものである。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムをガラスに貼付ける際、フィルムのガラスに対する好ましい向きは用途・目的によって適宜選択することができる。例えば、小型のCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の、横長の長方形のフラットディスプレイでは、横方向の左右の端部において破れが生じやすいので、ヤング率の高い方向とフラットディスプレイの横方向(長手方向)とを一致する向きで貼付けることが、左右端部におけるフィルム破れを防ぎ、かつガラスの飛散を防止するという目的のために好ましい。また公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラス等に用いる場合においても、ヤング率の高い方向とガラスの長手方向とを一致させることが好ましい。
【0042】
但し、大型のCRTフラットディスプレイに代表されるような、破損時にブラウン管内の真空状態が破られることによって起こる爆縮により、非常に大きな衝撃力や吸引力がかかるガラスに用いる場合においては、ヤング率の高い方向とフラットディスプレイの縦方向(短い方向)を一致させる方が好ましい場合がある。即ち、このような場合では、フィルム端部の破れ発生よりも、フィルム全体がフラットディスプレイの本体から切れ落ちないで、あるいは剥がれ落ちないで、破損したガラスの飛散を防止することの方が重要であるので、横長の長方形であるフラットディスプレイにおいて、端部破れの生じにくい縦方向(短い方向)と、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのヤング率の高い方向とを一致させることによって、たとえ横方向の左右の端部で破れが生じたとしても、縦方向上下の端部でフィルムが強く保持され、破損したガラスの飛散が防止されるようにすることが好ましいからである。
【0043】
【実施例】
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)ヤング率(引張弾性率)
ORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA1000を用いて測定した。サンプルサイズは長さ150mm、幅10mmで、端から50mmの位置を上下からチャックで挟んで、下側のチャックを300mm/minで移動させて引っ張り、ヤング率(引張弾性率)を求めた。なお測定は5本のサンプルで行ない、その平均値を採用した。
【0044】
(2)全光線透過率
常態(23℃、相対湿度65%)において、フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、波長590nmの光線における全光線透過率を測定した。3回の測定値の平均値を該サンプルの全光線透過率とした。
(3)ヘイズ
常態(23℃、相対湿度65%)において、フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、波長590nmにおけるヘイズを測定した。3回の測定値の平均値を該サンプルのヘイズとした。
【0045】
(4)引裂強度
JIS K7128−2の引裂強さ試験方法に準じて測定した。重荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いた。サンプルは、A辺の長さが63±0.5mm、B辺の長さが75±0.5mmの長方形サイズとし、そのB辺の中央部の位置に端から20±0.5mmの深さの切れ込みを入れ、残り43mmを引き裂いたときの指示値を読みとった。引裂強度としては、指示値より求めた引裂力(N)をフィルム厚み(mm)で除した値とした。なお、測定は10本のサンプルを用いて行い、その平均値を採用した。
フィルム長手方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのA辺がフィルム長手方向と平行になるようにサンプリングし、また、フィルム幅方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのA辺がフィルム幅方向と平行になるようにサンプリングした。
【0046】
(5)熱収縮率
製膜後24時間以上経過したフィルムから、大きさ300mm×10mmで、かつその長手方向と測定方向が合致するように採取した被測定サンプルを、23℃、60%RHの雰囲気下に30分間放置し、その雰囲気下で、サンプル長手方向に約200mmの間隔で2つの印を付け、リニアスケール測長機を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとした。次に、被測定サンプルを、張力フリーの状態で150℃の雰囲気中に30分間放置し、次いで23℃、60%RHの雰囲気中で1時間冷却、調湿後、先に付けた印の間隔を測定し、測定値をBとした。この時次式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率=100×(A−B)/A
【0047】
(6)落球試験
JIS R3206落球試験の方法に準じて測定した。ただし、試験に用いたサンプルには、次のフィルム貼り付けガラスを用いた。フィルムの片面に、アクリル系の粘着層を厚さ30μmで形成した後、フラットディスプレイの縦横の大きさに合わせてカットした。このカットフィルムを、その粘着層により縦340mm、横610mm、厚さ5mmの均質なフロートガラス(フラットディスプレイ用ガラス)の表面上に、フィルムヤング率の高い方向がガラスの横方向(長手方向)となるように貼りつけ、これをサンプルとした。フィルムを貼った面を下側にし、落球試験を行なった。結果は、ガラスが破損してもフィルムによってガラスが飛散しなかった場合を「○」(合格)、ガラスが破損しフィルムが切れ落ちて、ガラスが飛散した場合を「×」(不合格)と評価した。
【0048】
本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度 76℃。以下PETと称す。)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして、固有粘度0.8のシクロヘキサンジメタノール33mol%共重合ポリエチレンテレフタレート“EASTAR”6763(イーストマン・ケミカル社製。以下CHDM共重合PETと称す。)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0049】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、スタティックミキサーに供給し、熱可塑性樹脂Aが9層、熱可塑性樹脂Bが8層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がA/B=5になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計17層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。また吐出量はフィルム厚みが160μm周辺になるように調整した。
【0050】
得られた未延伸フィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に2.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.6倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなること以外は、実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。この熱可塑性樹脂フィルムは透明性・耐引裂性に優れたものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが65層、熱可塑性樹脂Bが64層の計129層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
【0052】
(実施例4)
スタティックミキサーの構成を変更し、熱可塑性樹脂Aが257層、熱可塑性樹脂Bが256層の計513層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2と同様の装置・条件で、乾燥・溶融・押出しをし、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなるキャストフィルムを作製した。得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に2.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
(実施例6)
熱処理温度を150℃とすること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。この熱可塑性樹脂フィルムは、熱処理温度を150℃と低くしたことから透明性・耐引裂性に非常に優れたものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
熱可塑性樹脂Aがポリエチレンナフタレート(ガラス転移温度113℃。以下PENと称す。)であること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
【0054】
(実施例8)
熱可塑性樹脂BがビスフィノールAのエチレンオキサイド付加重合物が共重合されてなるポリエステル(以下BPA−EO共重合PETと称す。)であること以外は、実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
(実施例9)
吐出量を調整して、フィルム厚みを100μmとしたこと以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。(実施例10)
吐出量を調整して、フィルム厚みを75μmとしたこと以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0055】
(比較例1)
実施例2と同様の装置・条件で、乾燥・溶融・押出しをし、熱可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層の計33層からなるキャストフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂Bが、ジカルボン酸成分がテレフタル酸60mol%、セバシン酸40mol%、ジオール成分がエチレングリコール100mol%からなるセバシン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(セバシン酸共重合PET)であること以外は実施例2と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0056】
(比較例3)
3層のフィードブロックを用い、熱可塑性樹脂Aが2層、熱可塑性樹脂Bが1層の計3層からなること以外は実施例1と同様の装置・条件によって延伸フィルムを作製した。得られた結果を表2に示す。
【0057】
(比較例4)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度76℃)を乾燥した後、押出機に供給した。熱可塑性樹脂Aは押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介してTダイに供給し、シート状に成形した。静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化して、ポリエチレンテレフタレート単膜のキャストフィルムとした。また吐出量はフィルム厚みが160μm周辺になるように調整した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に2.5倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.6倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた結果を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、表示用フラットディスプレイ表面に貼付けて使用した場合、そのディスプレイが破損した際にかかる衝撃力や吸引力にも耐えうる高い耐衝撃性を持つので、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラスの保護用フィルムとして有用である。また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両等の窓ガラスの保護用フィルムとしても有用であり、広い分野において保護用フィルムとして有用である。
Claims (8)
- 厚み方向に5層以上積層されてなる熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向のヤング率EMDとフィルム幅方向のヤング率ETDとの差の絶対値(|EMD−ETD|)が1.0GPa以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
- 全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の引裂強度が50N/mm以上であることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- フィルム長手方向および/またはフィルム幅方向の熱収縮率が、2.0%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- 2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基、および/またはシクロヘキサン基を有する熱可塑性樹脂が少なくとも含まれていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートを主成分とする層と、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン基および/またはシクロヘキサン基を有するポリエステルを主成分とする層とが交互に厚み方向に積層されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- 積層数が20層以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの表面に、粘着層および/またはハードコート層が形成されてなることを特徴とするガラス保護フィルム。
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