JP4182716B2 - ガラス保護フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス保護フィルムに関するものである。更に詳しくは、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラス、あるいは公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの保護に好適なガラス保護フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスは優れた光線透過性、ガスバリア性、寸法特性等から、さまざまな用途に使用されている。その中には建築物や自動車、電車車両の窓ガラスのみならず、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等に代表されるフラットディスプレイの分野も含まれ、より高性能なガラスが提供されている。しかしながら、ガラスの性質の劣点として、破損しやすいまたは破損によってガラスが飛散することが挙げられる。この問題は薄肉化の要求が進むフラットディスプレイの分野においても顕著であり、フラットディスプレイ全体の薄肉化に伴い表示用ガラス自体も薄肉化し、使用時においてガラスが破損しやすいといった問題がある。
【0003】
このようなガラス破損やさらに破損によって起こるガラス飛散の問題に対し、ガラスに熱可塑性樹脂からなるフィルムを貼りつけることにより防止する方法が種々提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、ポリエチレンテレフタレート層とセバシン酸共重合−ポリエチレンテレフタレート層からなる多層積層フィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できることが記載されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−278639号公報(第2−8項、第1−2図)
【0006】
【特許文献2】
特開平6−190997号公報(第6−12項、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1記載の方法では、高い衝撃に対してガラス飛散を防止する効果が低く、また、フラットディスプレイ等に必要とされる高い透明性は有していない。
【0008】
また、特許文献2記載の方法では、ガラスの飛散を防止することに効果はあるものの、多層積層フィルムを構成するセバシン酸共重合−ポリエチレンテレフタレート層のガラス転移温度が低いために、時間が経過するとともに結晶化が生じ白化することとなり、可視光線透過率が低下する現象が生じていた。また、フィルムの耐引裂性については向上が認められるものの、耐面衝撃性については効果が少なく、ガラスの破壊そのものを防ぐ効果は不充分なものであった。従って、高い可視光線透過率が継続して求められ、かつガラスの破損そのものを防ぐことが要求されるフラットディスプレイ用ガラス保護フィルムとしては使用できるものではなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を有する。すなわち本発明は、ガラス転移温度が50℃以上である少なくとも2種類の熱可塑性樹脂から構成される多層構造を有し、少なくとも1種の熱可塑性樹脂が、式1に示す構造単位を15mol%以上45mol%以下含むポリエステルを含有し、面衝撃強度が18J/mm以上であることを特徴とするガラス保護フィルムである。
(式1)
【化3】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
本発明のガラス保護フィルムはガラス転移温度が50℃以上である少なくとも2種類の熱可塑性樹脂から構成される多層構造を有することを必須とする。より好ましくは60℃以上である。上限は特に規定されないが、結晶性の熱可塑性樹脂の場合は250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましい。
【0012】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度が50℃より低い場合には、ガラス保護フィルムとして使用した際に、太陽光やディスプレイから発せられる熱により、寸法変化や変色、あるいは白化を引き起こし、耐面衝撃性が低下する可能性が生じてくるためである。また、上記範囲以上では、製膜性が困難となる場合があるため好ましくない。
【0013】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。本発明においては、耐面衝撃性、透明性、熱安定性の観点から、特にポリエステルであることが好ましく、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる成分とするポリエステルの場合より好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートは、安価であり、非常に多岐にわたる用途に用いることができ、効果が高い。
【0014】
これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。共重合しうるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げられる。また、共重合しうるグリコール成分として、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0015】
また、本発明の効果が妨げられない限りにおいて、これらの樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、難燃剤、不活性無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤などが添加されていてもよい。特に機能性粒子を使用する場合においては樹脂中に粒子を分散させるより、フィルムの表面にコーティング等の手法により塗布する等の手法によりフィルム表層部に、これらの機能を持たせた層を設けることが、全光線透過率をさらに向上させ、ヘイズをより低減させるのに有効である。本発明に使用する熱可塑性樹脂の製造方法は特にに限定されない。
【0016】
フィルムの衝撃破壊のような破れが生じる現象において、破壊を阻止するのに有効な手段としては、破れのきっかけである初期の段階では耐面衝撃性の向上が有効であり、その後の破れ箇所の拡大においては耐引裂性の向上が有効であると考えられることから、本発明における大きなガラス破損防止およびガラス飛散防止効果を得るためには、この2つの特性の両立を得ることが特に好ましい。
【0017】
本発明のガラス保護フィルムは、その面衝撃強度が18J/mmであることを要する。より好ましくは20J/mmであり、特に好ましくは25J/mmである。上限は特に規定されないが、100J/mm以下が好ましい。ここで、面衝撃強度はASTM D 3763に準じて落錘型衝撃試験機を用いて測定した衝撃吸収エネルギーを指す。上記範囲未満では、ガラス保護フィルムとしての強度が不足し、ガラスの破損および破損後のガラス片の飛散を効果的に防止できない。また、上記範囲以上においては施工時の取り扱い性が低下する場合があるため好ましくない。
【0018】
本発明のガラス保護フィルムは、ヘイズが3%以下であることが好ましい。より好ましくは2.5%以下であり、もっとも好ましくは2%以下である。上記範囲以上では、ディスプレイ用ガラス保護フィルムの様に高い透明性を求められる場合において、視認性の点から画像が鮮明とならず好ましくない。これら、ヘイズを低下させる方法としては、樹脂中の含有粒子の量を低減させる方法、粒子の1次粒径を小さくする方法により達成することができる。特に、粒子の含有量は0.5重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。また粒子の1次粒径は200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
【0019】
本発明のガラス保護フィルムは、少なくとも1層に式1を構成成分とするポリエステルを含有した層を有することが、耐引裂性の向上のみならず、耐面衝撃性の大幅な向上、およびヘイズ3%以下の高透明性をも同時に達成することができ、さらに本発明のガラス保護フィルムをガラスに貼りつけた際にはガラスの破損を防止することが可能になるとともに高い視認性をも確保できるようになるために好ましい。
(式1)
【0020】
【化3】
【0021】
本発明において式1を構造単位として含むポリエステルにおいて、共重合量は15mol%以上45mol%以下である。より好ましくは20mol%以上40mol%以下である。上記範囲であるときに耐引裂性の効果が著しく向上する。
【0022】
本発明では、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートを主たる成分とする層と、式1を構成成分とする共重合ポリエステルを主たる成分とする層とが、厚み方向に交互に積層されていることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする層と、式1を構成成分とする共重合ポリエステルを主たる成分とする層とが、厚み方向に交互に積層されていることがより好ましい。このような構成の場合に、本発明の目的とする耐面衝撃性、高透明性を効率よく同時に達成できる。
【0023】
本発明における式1を構成成分とするポリエステルを含有した層の厚みは、0.05μm以上30μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1μm以上25μm以下である。さらに好ましくは、0.2μm以上20μm以下である。0.05μmより薄い場合、十分な耐面衝撃性能が得られない。また、30μm以上の場合には、十分な耐引裂性能が得られない。
【0024】
本発明のガラス保護フィルムは、少なくとも1層に式2を構成成分とするポリエステルを含有した層を含有することが、耐引裂性の向上のみならず、従来の技術では達成不可能であった耐面衝撃性の大幅な向上、およびヘイズ3%以下の高透明性をも同時に達成することができ、本発明のガラス保護フィルムをガラスに貼りつけた際にはガラスの破損を防止することが可能になるとともに高い視認性をも確保できるようになるために好ましい。
(式2)
【0025】
【化4】
【0026】
本発明のガラス保護フィルムの積層構成は少なくとも2層であること以外は特に限定されない。さらに本発明のガラス保護フィルムは8〜256層の範囲の場合が好ましく、より好ましくは16〜128層の範囲であり、最も好ましくは32〜128層の範囲である。2層以上の多層積層構造を有し、多数の界面を構造として持つことにより、厚み方向への衝撃の伝播が妨げられ耐面衝撃性が向上するために、大きなガラス破損防止効果が得ることができる。また、上記範囲以上ではフィルム中の積層構造の1層あたりの厚みが薄くなるために高い耐面衝撃性のフィルムを製造しにくくなる場合があるため好ましくない。また、厚み方向に交互に積層されている場合に、耐引裂性が向上するために特に大きな効果が得られ、好ましい。
【0027】
本発明のガラス保護フィルムは、フィルム厚みが10〜500μmであることが好ましく、より好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは50〜200μmである。フィルム厚みが上記範囲未満であると高い耐面衝撃性のフィルムを製造しにくく、また、上記範囲以上では、可視光線透過率の高いフィルムを製造しにくくなるため好ましくない。
【0028】
本発明のガラス保護フィルムでは、熱可塑性樹脂により構成されるフィルムの一方の表層に易接着層、粘着層、反射防止膜、ハードコート層を有することが好ましい。これらの層としては、特に限定されず各種の従来から知られている技術等を用いることができる。これらの層を有することにより、平面ディスプレイ等のガラスにガラス保護フィルムとして貼りつけることが可能となるほか、表面の反射による写り込みを防止できるほか、傷による視認性低下を防ぐことが可能となり好ましい。
【0029】
本発明のガラス保護フィルムでは、フィルムのすくなくとも片面の鉛筆硬度が2H以上であることが好ましい。より好ましくは、3H以上であり、さらに好ましくは4H以上である。鉛筆硬度が2Hより小さい場合には、ガラス保護フィルムとして実使用した際、フィルム表面に傷が入りやすく視認性が悪くなるため好ましくない。
【0030】
本発明において、フィルムの少なくとも片面の鉛筆硬度が2H以上にする方法としては、フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けることが好ましい。硬度を上げ耐擦傷性を向上させる方法としては、通常のハードコートの硬度を上げる方法により行うことができるが、ハードコート層の厚みを通常より薄くして、ハードコート層割れを防止する方法が好ましく使用される。
【0031】
ハードコート層を構成する成分としては特に限定されないが、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート含有化合物を反応せしめてなる樹脂を含むことが好ましい。ここで、反応には、重合や共重合、変性等の概念を含む。
【0032】
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用しても良い。
【0033】
ハードコート層を構成する樹脂は、多官能(メタ)アクリレートのみの組み合わせからなる樹脂であっても良いし、その他の公知の反応成分を含んでいても構わない。好ましくは、多官能(メタ)アクリレートを80モル%以上含んでいることである。
【0034】
ハードコート層の厚さは、用途に応じて適宜選択されるが、通常0.5μm〜30μm、好ましくは1〜8μmである。ハードコート層の厚さが0.5μm未満では表面硬度が低下傾向となり傷が付きやすくなる。また、30μmより大きいと、衝撃を受けたときにクラックがハードコート層を伝って伝播するために耐面衝撃性が落ちやすくなる。加えて、硬化膜がもろくなりフィルムを折り曲げたときにクラックが入りやすくなる。
【0035】
本発明のガラス保護フィルムとしては、近赤外線透過率が20%以下であることが好ましく、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下である。近赤外線透過率が20%より大きい場合、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、CRTディスプレイ等のガラス保護フィルムとして用いた場合、ディスプレイから発せられる近赤外線がガラス保護フィルムを通して、リモコンスイッチ等の制御に異常をきたす可能性が生じる。
【0036】
近赤外線透過率を20%以下にする方法は特に限定されないが、たとえば近赤外線吸収剤を熱可塑性樹脂中や粘着剤層中に分散するか、近赤外線遮蔽層をガラス保護フィルム中もしくはガラス保護フィルム上に設けることなどによって達成できる。
【0037】
本発明のガラス保護フィルムは、可視光線透過率が70%以上であることが好ましい。より好ましくは可視光線透過率が80%以上であり、最も好ましくは可視光線透過率が90%以上である。可視光線透過率が上記の範囲より低い場合には、ディスプレイ用のガラス保護フィルムとして、視認性の点から不十分であり好ましくない。
【0038】
可視光線透過率を上げる方法としては特に限定されないが、たとえば多界面構造を構成する各熱可塑性樹脂間の屈折率差を小さくする方法、1種類以上の熱可塑性樹脂が島状分散する場合はその分散径を0.1μm以下にする方法などが好ましく用いられる。
【0039】
本発明における積層フィルムにおいては、各層を構成する各々の熱可塑性樹脂は、ヤング率が1400MPa以上が好ましく、2000MPa以上であることがより好ましい。上限は特に規定されないが、6000MPa以下のヤング率を有していることが好ましい。このような熱可塑性樹脂は、外力に対し変形しにくいため耐面衝撃性向上に有効である。また、上記範囲以下の場合、フィルム製膜の延伸工程において厚み斑が生じやすくなるため、フラットディスプレイ等の表示素子の前面ガラスに使用した場合、像のゆがみが生じるために好ましくない。また、上記範囲以上であるときは製膜時に延伸が困難となる場合があるため好ましくない。
【0040】
また本発明では、長手方向および/または幅方向の引裂強度は10N/mm以上であることが好ましい。より好ましくは30N/mm以上であり、さらに好ましくは50N/mm以上である。引裂強度が10N/mm未満では、ガラス保護フィルムとしての強度が不足し、ガラスの破損および破損後のガラス片の飛散を効果的に防止できない。
【0041】
本発明のガラス保護フィルムは、フラットディスプレイ用ガラスの前面に貼り付けて用いることができる。フラットディスプレイとは、たとえば平面CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等であり、特に平面CRTディスプレイやプラズマディスプレイのガラス保護フィルムとして好適に用いられる。
【0042】
本発明のガラス保護フィルムの製造方法の具体例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で十分に乾燥させ後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された溶融押出機に供給し、口金より押し出し、表面温度が熱可塑性樹脂のガラス転移点以下のキャスティングドラム上で冷却して未延伸フィルムを作る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。また、溶融押出機中で異物や変質ポリマーを除去するために各種フィルター、例えば、燒結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることがヘイズ低減のために好ましい。フィルターの濾過精度は、使用する不活性粒子の粒径によって適宜選択することが好ましいが、特に、ヘイズを3%以下、好ましくは2.5%以下とするためには、粒径20μmの異物や変質ポリマーを除去できる濾過精度の、好ましくは金網からなるフィルターを用いることが重要である。
【0044】
さらに、各種フィルターを経た後、ポリマー流路にギヤポンプ等を使用し、押出量を均一化することが各層の積層斑を低減するために好ましい。
【0045】
多層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。
【0046】
次に、この未延伸フィルムをフィルム長手方向および/または幅方向に延伸してもかまわない。延伸方法としては、未延伸フィルムをロールやステンターを用い縦方向、横方向に逐次延伸する逐次二軸延伸法がある。また、未延伸フィルムをステンターを用い縦延伸及び横延伸を同時に行う同時二軸延伸法は、逐次二軸延伸法に比べ工程が短くなるのでコストダウンにつながり、延伸破れやロール傷が発生しにくい為、本発明のフラットディスプレイ用ガラス保護フィルムとして特に有効である。さらに、縦横二方向に逐次延伸したフィルムを再度縦方向に延伸する、再縦延伸法は、縦方向を高強度化するのにきわめて有効である。上記再縦延伸法に続けて、再度横方向に延伸する再縦再横延伸法は、横方向にもさらに強度を付与したい場合にきわめて有効である。また、フィルムの縦方向に2段以上延伸し、引き続きフィルムの横方向に延伸を行う縦多段延伸法が本発明においては特に有効である。
【0047】
本発明において、例えば、逐次二軸延伸法を用いる場合、長手方向の延伸の条件は使用する熱可塑性樹脂により異なるが、通常は2〜15倍が好ましく、ポリエステル樹脂を用いた場合には2.5〜10倍、さらには3.0〜5倍の範囲が好ましい。また、延伸速度1000〜50000%/分の速度で、延伸温度は、構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上、(ガラス転移温度+50℃)以下の範囲が好ましく、長手方向に延伸することにより一軸配向フィルムを得る。
【0048】
こうして得られた延伸フィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等の公知のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層、高光線透過性を付与しても構わない。これらのコーティングは二軸延伸後にオフラインで施してもかまわないし、縦延伸の工程と横延伸の工程の間においてインラインで施してもかまわない。特に機能性粒子を使用する場合においては樹脂中に粒子を分散させるより、フィルムの表面にコーティング等の手法により塗布する手法が、全光線透過率を向上させ、ヘイズを低減させるのに有効である。
【0049】
次に行う幅方向の延伸は、従来から用いられているテンターを用いて、延伸温度を、構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上、(ガラス転移温度Tg+80℃)以下、より好ましくは熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上、(ガラス転移温度Tg+40℃)以下の範囲とし、延伸倍率を2.0〜10倍、より好ましくは2.5〜5倍の範囲として行えばよい。その際の延伸速度は特に限定されないが、1000〜50000%/分が好ましい。さらに、必要に応じてこの二軸配向フィルムを再度長手方向、幅方向の少なくとも一方向に延伸を行ってもよい。この場合、再度行う縦延伸は延伸温度を構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂の(ガラス転移温度Tg+20℃)以上(ガラス転移温度+120℃)以下が好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度Tg+50℃)以上(ガラス転移温度+100℃)以下の範囲とし、延伸倍率は1.2倍〜2.5倍が好ましく、1.2倍〜1.7倍がより好ましい。また、その後に再度行う横延伸は延伸温度を構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂の(ガラス転移温度Tg+20℃)以上(ガラス転移温度Tg+150℃)とすることが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度Tg+50℃)以上(ガラス転移温度+130℃)以下の範囲とし、延伸倍率は1.02倍〜2倍の範囲が好ましく、1.1倍〜1.5倍の範囲がより好ましい。
【0050】
また、同時二軸延伸法により延伸する場合は、リニアモーターを利用した駆動方式によるテンターを用いて同時二軸延伸する方法が好ましい。同時二軸延伸の温度としては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下であることが好ましい。延伸温度がこの範囲を大きくはずれると、均一延伸ができなくなり、厚みむらやフィルム破れが生じ好ましくない。延伸倍率は、縦方向、横方向それぞれ3〜10倍とすればよい。延伸速度としては特に限定されないが、2000〜50000%/分が好ましい。
【0051】
次に、熱収縮率の低減および平面性を付与するために、必要に応じて熱処理を行う。本発明の効果である前述したとおりの低いヘイズを得るために、ならびに面衝撃強度が18J/mm以上であるという高い耐面衝撃性を得るために、熱処理条件としては、定長下、微延伸下、弛緩状態下のいずれかで、(構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg)〜(構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移点+130℃)の範囲で0.5〜60秒間行うことが好適であり、(構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+40℃)〜(構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移点+80℃)の範囲で0.5〜10秒間行うことがもっとも好適である。上記範囲以下では熱収縮率が大きくなり、上記した範囲以上ではヘイズが高く、耐面衝撃性が低下する場合がある。
【0052】
特に、可視光線透過率が好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上本発明にかかるフラットディスプレイ用ガラス保護フィルムは、フィルムの一方の表層に反射防止膜を有することにより得ることができる。反射防止膜としては特に限定されず従来から知られている技術等を用いることができる。
【0053】
このようにそれぞれの方法で二軸配向し熱処理を施したフィルムを、室温まで徐冷しワインダーにて巻き取る。冷却方法は、二段階以上に分けて室温まで徐冷するのが好ましい。このとき、長手方向、幅方向に0.5〜10%程度のリラックス処理を行うことは、熱寸法安定性を低減するのに有効である。冷却温度としては、一段目が(熱処理温度−20℃)〜(熱処理温度−80℃)、二段目が(一段目の冷却温度−30℃)〜(一段目の冷却温度−40℃)の範囲が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
物性値の評価法:
(1)引裂伝播抵抗
重荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いて、引裂強さを測定した。サンプルサイズは幅60mm 長さ70mmで、幅方向中央部に端から20mmの切れ込みを入れ、残り50mmを引き裂いたときの指示値を読みとった。また、この指示値(g)に9.8を乗じ、フィルム厚み1mm当たりに換算して引裂伝播抵抗(N/mm)を求めた。なお、この引裂強さは縦方向および横方向のそれぞれ5サンプルの試験結果を平均化したものとした。
(2)全光線透過率およびヘイズ
直読式ヘイズメーター(スガ試験機器製作所)を用いて測定した。ヘイズ(%)は拡散透過率を全光線透過率で除し、100を乗じて算出した。
(3)ガラス飛散防止試験
JIS A5759−1998 A法に従って測定した。ガラスが破損しなかった場合を優良という意味で「◎」、破損してもガラスが飛散しなかった場合を良という意味で「○」、ガラスが破損しさらに飛散した場合を不可という意味で「×」とした。その中で、優良と良の◎と○を合格とした。
(4)近赤外線透過率
分光光度計MPC−3100を用いて測定した。波長800nmから波長2100nmまでの範囲の全光線透過率を測定し、近赤外線領域(800nm〜1200nm)での平均光線透過率を近赤外線透過率とした。
(5)鉛筆硬度
JIS−K5400に準じ各種硬度の鉛筆を90度の角度でフィルム層に押しあて加重1Kgで引掻きを与えた時、傷が発生した時の鉛筆硬さで表示した。
(6)固有粘度
オルトクロロフェノールを溶媒として用い25℃で測定した。
(7)層構成および層厚み
フィルムの層構成は、フィルムの断面観察より求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を3000〜200000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。
(8)ガラス転移温度
示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製DSC RDC220、データ解析装置として同社製ディスクステーション SSC/5200を用いて測定した。測定条件としては、アルミパンにサンプル約5mgを封入し、300℃で5分間保持、液体窒素で急冷した後、昇温速度20℃/分で測定した。
(9)面衝撃吸収エネルギー
ASTM D 3763に準拠して、グラフィックインパクトテスタ(東洋精機(株)社製)を用いて測定した。測定条件は試験速度が3.3m/S、錘の直径が12.7mm、押さえ穴の直径76mmである。面吸収エネルギーは錐体が突き抜ける際の全吸収エネルギーを単位厚み(1mm)で換算した。
(10)ヤング率
各層を構成する熱可塑性樹脂のヤング率は、ASTM試験方法D882−88に従って行う。サンプルフィルムは25℃の温度に制御したキャスティングドラム上で急冷固化し、公知の静電印可装置を用いてドラムとフィルムの密着性を向上させる事により得られた未延伸フィルムを用いた。測定はインストロンタイプの引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”)を用いて測定した。幅10mmの試料フィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で引張り、ヤング率を求めた。
【0055】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。落錘型衝撃試験機として、東洋精機(株)製グラフィックインパクトテスタを用い、測定条件は試験速度が3.3m/s、錘の直径が12.7mm、押さえ穴の直径76mmであった。
(実施例1)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度81℃、ヤング率1990MPa)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして1,4−シクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエステル(例えばイーストマン・ケミカル社製 Easter PETG6763が挙げられる、以下PETG(30mol%)と称す)(ガラス転移温度81℃、ヤング率1700MPa)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0056】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、スタティックミキサーに供給し、熱可塑性樹脂Aが33層、熱可塑性樹脂Bが32層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がA/B=5になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計65層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
【0057】
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、188μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例1と同様の装置・条件で、計65層からなる延伸フィルムを得た。但し、熱可塑性樹脂Bにはシクロヘキサンジメタノールが100mol%重合されたポリシクロヘキサンジメタレート(以下PCTと称す)(ガラス転移温度95℃、ヤング率1750MPa)を用いた。得られた結果は表1に示す。
(比較例7)
実施例1と同様の装置・条件で、計65層からなる延伸フィルムを得た。但し、熱可塑性樹脂Bにはシクロヘキサンジメタノールが10mol%共重合された共重合ポリエステル(例えば、イーストマン・ケミカル社製 Easter PETG9921が挙げられる。以下PETG(10mol%)と称す)(ガラス転移温度82℃、ヤング率2200MPa)を用い、また、樹脂の吐出量を調整しフィルムの厚みが150μmとなるようにした。得られた結果は表1に示す。
(比較例8)
比較例7と同様の装置・条件で、計65層からなる延伸フィルムを得た。但し、熱可塑性樹脂Aには、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度 76℃)に赤外線吸収剤を1wt%添加したものを用いた。得られた結果は表1に示す。なお、近赤外線透過率は16%であった。
(実施例2)
積層装置としては、7層マルチマニホールドダイのみを用い、熱可塑性樹脂Aが4層、熱可塑性樹脂Bが3層からなる積層フィルムとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、計7層からなる延伸フィルムを得た。ただし、樹脂の吐出量を調整しフィルムの厚みが150μmとなるようにした。得られた結果を表1に示した。
(実施例3)
熱可可塑性樹脂Aが17層、熱可塑性樹脂Bが16層からなる計33層の積層フィルムとした以外は実施例1と同様にして得られたキャストフィルムを、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸し1軸延伸フィルムを得た。このフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、ポリエステル/メラミン架橋剤/平均粒径140nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内でリラックス率5%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは150μmであった。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
吐出量を調整し厚みを100μmとした以外は実施例3と同様にして延伸フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
吐出量を調整し厚みを100μmとし、熱処理温度を230℃とした以外は実施例3と同様にして延伸フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
吐出量を調整し厚みを100μmとし、得られたフィルムの片面に反射防止層および鉛筆硬度4Hのハードコート層を設け、もう一方の片面に粘着層を設けた以外は実施例3と同様にして延伸フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
(参考例1)
吐出量を調整し厚みを100μmとし、熱可塑性樹脂Bにジカルボン酸成分としてテレフタル酸をジオール成分としてエチレングリコール90モル%およびビスフェノールAエチレンオキサイド10モル%を用いた共重合ポリエステル(以下、PE・BPA−EO/T(10mol%)と称す)(ガラス転移温度78℃、ヤング率1900MPa)を使用した以外は実施例3と同様の装置・条件で、計33層からなる厚み100μmの延伸フィルムを得た。得られた結果は表1に示す。
(参考例2)
吐出量を調整し厚みを100μmとし、熱可塑性樹脂Bにジカルボン酸成分としてテレフタル酸をジオール成分としてエチレングリコール80モル%およびビスフェノールAエチレンオキサイド20モル%を用いた共重合ポリエステル(以下、PE・BPA−EO/T(20mol%)と称す)(ガラス転移温度78℃、ヤング率1900MPa)を使用した以外は実施例3と同様の装置・条件で、計33層からなる厚み100μmの延伸フィルムを得た。得られた結果は表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様の装置・条件で、次の単膜フィルムを得た。すなわち、押出機は1台のみを使用し、フィールドブロックおよびスタティックミキサーは用いず、熱可塑性樹脂としては、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレートを用いて、単膜フィルムとした。得られたフィルムの厚みは、188μmであった。得られた結果は表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の装置・条件で、次の単膜フィルムを得た。すなわち、押出機は1台のみを使用し、フィールドブロックおよびスタティックミキサーは用いず、熱可塑性樹脂Bとしては、シクロヘキサンジメタノールが10mol%共重合された共重合ポリエステル(PETG(10mol%))(ガラス転移温度82℃、ヤング率2200MPa)を用い、単膜フィルムとした。得られたフィルムの厚みは188μmであった。得られた結果は表1に示す。
(比較例3)
吐出を調整しフィルム厚みを100μmとし、長手方向に延伸した後フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、ポリエステル/メラミン架橋剤/平均粒径140nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した以外は比較例1と同様にして延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
吐出を調整しフィルム厚みを100μmとし、熱可塑性樹脂Bにジカルボン酸成分としてセバシン酸20モル%及びテレフタル酸30モル%とジオール成分としてエチレングリコール50モル%を用いた共重合ポリエステル(以下、PET/Sと称す)(ガラス転移温度2℃、ヤング率85MPa)を使用し、得られたフィルムの片面に反射防止層および鉛筆硬度4Hのハードコート層を設け、もう一方の片面に粘着層を設けた以外は実施例3と同様にしてフィルム厚みが100μmとなるフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例5)
吐出を調整しフィルム厚みを100μmとし、熱可塑性樹脂BにPET−PEN共重合ポリマー(KOLON社製 NOPLA KE831、 以下PET/Nと称す。)(PEN成分15mol%以下、ガラス転移温度84℃、ヤング率2200MPa)を使用した以外は、実施例3と同様にしてフィルム厚みが100μmとなるフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
本発明のガラス保護フィルムは、ガラス転移温度が50℃以上である少なくとも2種類の熱可塑性樹脂から構成される多層構造を有し、少なくとも1種の熱可塑性樹脂が、式1に示す構造単位を15mol%以上45mol%以下含むポリエステルを含有し、面衝撃強度が18J/mm以上であるので、ガラスに貼り付けた場合、ガラスが破損した際にかかる衝撃力や吸引力にも耐えうる高い耐面衝撃性を持つ、従って特にCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の表示ガラスの保護用フィルムとして有用である。また、公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両等の窓ガラスの保護用フィルムなど広い分野においてガラス保護フィルムとして有用である。
Claims (15)
- ヘイズが3%以下である請求項1に記載のガラス保護フィルム。
- 熱可塑性樹脂が1400MPa以上の引張弾性率を有する請求項1〜3のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 8層以上256層以下の多層構造である請求項1〜4のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 式1を構成成分とするポリエステルを含有した層の厚みが、0.05μm以上30μm以下である請求項1に記載のガラス保護フィルム。
- フィルム厚みが10μm以上500μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 少なくとも片面に粘着層を有する請求項1〜7のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 少なくとも片面に反射防止膜を有する請求項1〜8のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 少なくとも片面にハードコート層を有する請求項1〜9のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 少なくとも片面の鉛筆硬度が2H以上である請求項1〜10のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 近赤外線透過率が20%以下である請求項1〜11のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 可視光線透過率が90%以上である請求項1〜12のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- 長手方向および/または幅方向の引裂伝播抵抗が10N/mm以上である請求項1〜13のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
- ディスプレイの前面に貼り付ける請求項1〜14のいずれかに記載のガラス保護フィルム。
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