JP2004122742A - テープ用積層フィルム、耐引裂性テープ及び粘着テープ - Google Patents

テープ用積層フィルム、耐引裂性テープ及び粘着テープ Download PDF

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園田 和衛
Shunichi Osada
長田 俊一
Kenji Tsunashima
綱島 研二
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Abstract

【課題】プラスチップフィルムを基材とした薄幅のテープは、テープを高速巻き取りする際に、わずかなノッチによっても切断し易く、テープ生産性がよくないという問題があるので、この問題を解消するために有効なテープ用積層フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも厚み方向に5層以上積層されたフィルムであって、幅方向の引裂強度が20N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の絶対値が30N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が3.0GPa以上であることを特徴とするテープ用積層フィルムである。また、この積層フィルムをテープ基材としてなる耐引裂性に優れた粘着テープである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープなどのテープ用の基材として好適な耐引裂性に優れたテープ用積層フィルムに関するものである。さらに詳しくは、印刷用・包装用粘着テープなどの、特に強度が要求される分野での使用に適した粘着テープの基材用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粘着テープ等の種々のテープの機能特性は、テープ基材の表面に粘着層等の層を形成することで付与している場合がほとんどである。また、テープの基本的な機械的特性は基材の特性に寄るところが大きい。一般にテープは幅が狭く薄膜であるため、機械巻き取り時にわずかでもノッチが入ると、ノッチ部分から裂けが伝播して、テープが切断してしまい生産性が低下するという問題が起きる。
【0003】
また、手切れ性を改良したフィルムとして、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、幅方向に一軸延伸されることにより、幅方向に易裂性を持たせたフィルムや、特許文献3や特許文献4などに記載されたようにフィルムの両端に穴やミシン目を設けることにより、裂けやすくしたフィルムがあるが、これらの手切れ性の良いフィルムでは、上記問題が特に生じ易い傾向にある。
【0004】
そのため、テープ基材は縦方向強度が大きいとともに、幅方向の引裂強度がある程度以上の水準であることが必要とされる。そのための方法として例えば、粘着テープ用のテープ基材として、ポリオレフィン系、ポリエステル系、又はポリエチレン系のフィルムを用いる場合、一般的に縦強度の大きい、すなわち引張り強度の大きい縦方向に1軸延伸された、または2軸延伸されたフィルムシートに、幅方向の引き裂き強度をさらに上げるために、例えば幅方向の配向をさらに高めるための処理を行う方法(特許文献5)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−34271号公報
【特許文献2】特公昭54−7300号公報
【特許文献3】特開平5−59334号公報
【特許文献4】特開平5−213515号公報
【特許文献5】特公昭55−8551号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれら従来のフィルムを支持体とした粘着テープは、剥離時の伸びが大きく、貼着後収縮して被着体から剥離し易い。また、長手方向の引裂強度が幅方向引裂強度に比べ極端に劣るため、横方向へ切れ目を入れて横方向に切断しようとした場合に、裂け目が縦方向へ逸れてしまうという軸ずれの問題が発生し易い。また、粘着テープの場合ではテープの粘着力がフィルムの引き裂き力を上回ってしまい易いので、物体に貼付した粘着テープを、使用後に剥がそうとした時に、剥がれずに、テープが縦方向に引き裂けてしまう問題が発生し易い。
【0007】
そのためテープ基材には、テープ巻き取り時に幅方向に裂けが伝播しないこと、横方向切断時に軸ずれが生じないことが求められ、また、粘着テープの場合にはテープ剥がし時に引き裂きが生じないことも求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するための本発明は、下記の事項から特定される。すなわち、次のとおりである。
【0009】
(1)少なくとも厚み方向に5層以上積層されたフィルムであって、幅方向の引裂強度が20N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が30N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が3.0GPa以上であるテープ用積層フィルム。
(2)幅方向の引裂強度が30N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が8N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が4.0GPa以上である上記(1)に記載のテープ用積層フィルム。
(3)ガラス転移温度の差が40℃以下である少なくとも2種の熱可塑性樹脂からそれぞれ構成される多層の積層構造を有する上記(1)又は(2)に記載のテープ用積層フィルム。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルムをテープ基材として用いる耐引裂性テープ。
(5)耐引裂性テープが、テープ基材の片側又は両側の表面に、粘着層、離型剤層、ヒートシール層の少なくとも1つの層が形成されたテープである上記(4)に記載の耐引裂性テープ。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルムからなるテープ基材の片側又は両側の表面に粘着層が形成されてなる粘着テープ
(7)テープ幅が30mm以下であり、テープ基材の厚みが50μm以下である上記(6)に記載の粘着テープ。
【0010】
このように、本発明のテープ用積層フィルムでは、従来技術の課題を解決するために、特定の積層構造をとり、引裂強度が所定水準であり、かつ、引張り弾性率が所定水準であることが必要である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明のテープ用積層フィルムは、少なくとも厚み方向に5層以上積層されたフィルムであって、幅方向の引裂強度が20N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が30N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が3.0GPa以上であり、テープ用基材として用いられる物である。
【0013】
このようなテープ用積層フィルムをテープ用基材に用いたテープは耐引裂性に優れたものとなる。従って、細幅テープとして使用した際に、機械巻き取り時にノッチが生じた際にも破断が生じないのでテープ生産性を向上することが可能であり、また、テープを剥がす際にもテープの裂けが防止され、作業性を向上することができる。
【0014】
ここで厚み方向に5層以上積層されたフィルムとは、異なる2種以上の熱可塑性樹脂からそれぞれ構成される層が5層以上積層されたフィルム状構造体のことをさす。ここで、これらの熱可塑性樹脂からなる各層は連続した層状構造としてフィルム表面にほぼ平行に5層以上存在しているものである。ここで積層数としては、より好ましくは8層以上である。積層数の上限は特に限定されないが、一般的に多くとも33層以下が好ましい。積層数の最適値はフィルム厚み等によって異なることから、適宜最も効果の高い層数を選ぶことができる。このような多層積層構造を有することにより、引き裂きエネルギーを厚み方向へと分散させることができ、この結果、高い引裂強度を得ることができるのである。
【0015】
本発明のテープ用積層フィルムは、幅方向の引裂強度が20N/mm以上であるが、さらには30N/mm以上であることが好ましい。幅方向の引裂強度を20N/mm以上にすることにより、テープの機械巻き取り時にノッチが生じた際にも切断が起こらず、テープ生産性を向上することが可能である。幅方向の引裂強度の上限は特に限定されないが、工業生産上からは例えば100N/mm以下が好ましい。
【0016】
また、長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が30N/mm以下であるが、好ましくは20N/mm以下であり、さらに好ましくは8N/mm以下である。長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が所定値以下であって、テープの引裂強度が両方向に対してバランスされていることにより、使用時に裂けの軸ずれを防止することができ、また、使用後テープを剥がすときにテープが長手方向に裂けてしまう問題も解消できる。
【0017】
さらに、本発明のテープ用積層フィルムでは、長手方向の引張り弾性率が3.0GPa以上であり、好ましくは4.0GPa以上である。長手方向における引張り弾性率が3.0GPa以上である場合に、テープは急激な荷重や振動に対して優れた機械的強度を示し、使用時の破断を防ぐことができる。長手方向の引張り弾性率の上限は特に限定されないが、工業生産上からは例えば6.0GPa以下が好ましい。
【0018】
長手方向の引裂強度や幅方向の引裂強度は、それら各方向の延伸倍率を高めることや、前記した積層構造とすること等の手段により、所定水準まで高めることができる。また、長手方向の引張り弾性率は、長手方向の延伸倍率を高める等の手段により所定水準まで高めることができる。
【0019】
また、本発明のテープ用積層フィルムにおける積層構造は、ガラス転移温度の差が40℃以下である少なくとも2種の熱可塑性樹脂からそれぞれ構成される多層からなることが好ましい。より好ましくはガラス転移温度の差が30℃以下であり、さらに好ましくは20℃以下である。該積層フィルムが上記条件より外れる場合、高温雰囲気下で経時的にフィルムの寸法変化が起こり、巻皺や平面性が損なわれるという問題が起き易い。
【0020】
また、ガラス転移温度の差が40℃を超える少なくとも2種の熱可塑性樹脂からそれぞれ構成される多層からなる多層構造フィルムの場合、強い引張力や屈曲力を受けることにより、延性を示して引き延ばされる場合がある。粘着テープのようなテープはテープカッターで切断される場合が多いが、上記のように延性を示すフィルムを用いたテープの場合では、切断時にテープカッターなどの圧断を受けると引き延ばされてしまい易く切断性が比較的悪く、作業性の低下につながるためあまり好ましくない。
【0021】
本発明で用いる熱可塑性樹脂は特に限定されず、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0022】
これらの樹脂は単独樹脂であってもよく、共重合体またはブレンド体であってもよい。また、これらの樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
【0023】
本発明で用いる熱可塑性樹脂の少なくとも1種は、好ましくはポリエステル樹脂であり、中でも、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0024】
また、本発明で用いる熱可塑性樹脂のうちの他の少なくとも1種は、共重合ポリエステルであることが好ましい。さらに好ましくは、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン、および/またはシクロヘキサンジメタノールが共重合されてなるポリエステルである。このようなポリエステルは、少なくともジオール成分としてのビスフェノールAエチレンオキサイド付加物および/またはシクロヘキサンジメタノールを含み、その他のジオール成分として、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどから選ばれるジオール成分を含み、さらに、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから選ばれるジカルボン酸成分を含むモノマ組成物の任意の組み合わせを重縮合させることにより得られる。
【0025】
これらの共重合量としては特に限定するものではないが、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパン、もしくはシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上であることが好ましい。より好ましくは25mol%以上であり、さらに好ましくは30mol%以上である。
【0026】
本発明の耐引裂性テープは、上記した本発明のテープ用積層フィルムをテープ基材に用いて製造されるものであり、具体的には、このテープ基材の片側又は両側の表面に、粘着層、離型剤層、ヒートシール層の少なくとも1つの層が形成されたテープ、例えば粘着テープが挙げられる。粘着層には、ウレタン系、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着剤を、テープ基材の材質等に応じて適宜選択して使用することができる。なお、粘着層表面の粘着性を保持させるために、使用前は粘着層外表面に剥離材を貼合することが好ましい。
【0027】
本発明は、特に粘着テープ用として好適であり、その種類は特に限定はしないが、使用時に荷重を受けやすい印刷用・包装用粘着テープなどの強度が要求される分野で使用される粘着テープに特に適している。
【0028】
また、本発明の耐引裂性テープは、幅30mm以下で且つテープ基材の厚みが50μm以下であるときにより効果が発揮されるので好ましい。より好ましくは幅20mm以下で且つテープ基材の厚みが40μm以下である。フィルムをテープ基材としたテープは、テープ幅が狭くなるほど、また、厚みが薄くなるほど、ノッチにより破断しやすくなるため、本発明の耐引裂性テープは細幅な薄いテープなどに適用することが好適である。
【0029】
また、本発明の積層フィルムには、その表面あるいは内部に易接着層、易滑層、帯電防止層などが設けられていてもよい。
【0030】
次に、本発明のテープ用積層フィルムの好ましい製造方法を説明する。
【0031】
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行った後に、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介してろ過し、異物や変性した樹脂分が除去される。さらに、樹脂は、ダイにて目的のフィルム形状に成形された後、吐出される。
【0032】
積層フィルムを製造するための方法としては、例えば、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂をフィールドブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。特に、本発明ではフィールドブロックおよびスタティックミキサーを用いて多層に積層することが好ましい。
【0033】
ダイから吐出された積層シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し当てられ、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に積層シートを密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
【0034】
このようにして得られたキャスティングフィルムは、強度を付与するために二軸延伸する必要がある。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸してもよいし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
【0035】
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍がとくに好ましく用いられる。ここで、さらに本発明の積層フィルムを得るためには、縦延伸温度が80〜140℃で、縦延伸倍率が2〜3倍であることが特に好ましい。
【0036】
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。特に、本発明の積層フィルムを得るためには、横延伸温度が80〜150℃の範囲にて、横方向に2〜3倍延伸することが特に好ましい。
【0037】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上、融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理後、均一に徐冷した後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、高い引裂強度を得るためには、熱処理温度が120℃以上200℃未満である方が好ましいが、この場合、高温下での熱収縮など耐熱性の点で好ましくない。従って、耐熱性を考慮すると熱処理温度は200℃以上である方が好ましく、例えば200〜235℃が好ましい。また、熱処理後にテンターの幅を狭めてリラックスを施してもよい。この際のリラックス率としては、3%以上20%以下であることが好ましい。
【0038】
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、縦横方向にバランスされた引裂強度を持ち、かつ、幅方向引裂強度や長手方向引張り弾性率が所定水準以上であるので、特に粘着テープ用のテープ基材として好適に使用できる。
【0039】
この積層フィルムをテープ基材に用いて粘着テープを製造する場合には、例えば次の方法を用いればよい。
【0040】
例えば、粘着層にアクリル系粘着剤を使用する場合、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソノニルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、ラウリルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、ヘキサデシルエステル、ヘプタデシルエステル、オクタデシルエステル等のアクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有単量体;N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などを含む単量体混合物を、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、UV重合などの公知の重合法にて共重合して得られるアクリル系共重合体に、必要に応じて、粘着付与剤、充填剤、架橋剤等の添加剤を添加することにより、アクリル系粘着剤の塗液を調製する。
【0041】
次に、前記アクリル系粘着剤の塗液を、テープ基材(本発明の積層フィルム)上に塗布、乾燥し、必要に応じて熱架橋させて粘着層を形成させ、さらに必要に応じて離型剤層等を設けた後、フィルム長手方向がテープ長手方向となるように所定のテープ幅にスリットして巻取り、粘着テープを製造する。
【0042】
【実施例】
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)引張り弾性率
“テンシロン”(オリエンテック社製AMF/RTA−100)を用いて、幅10mmのサンプルフィルムをチャック間長さ100mmとなるようにセットし、25℃、65%RHの条件下で引張速度300mm/分で引張試験を行う。フィルム長手方向(MD)に引張った場合、フィルム幅方向(TD)に引張った場合のそれぞれについて測定した。ここでこれらの値は10回測定した際の、それらの平均値を採用している。
【0043】
(2)引裂強度
重荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いて測定した。サンプルは、A辺の長さが70mm、B辺の長さが60mmの長方形サイズとし、そのA辺の中央部の位置に端から20mmの深さの切れ込みを入れ、残り40mmを引き裂いたときの指示値を読みとった。引裂強度としては、指示値より求めた引裂力(N)をフィルム厚み(mm)で除した値とした。なお、測定は10本のサンプルを用いて行い、その平均値を採用した。
フィルム長手方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのB辺がフィルム長手方向と平行になるようにサンプリングし、また、フィルム幅方向の引裂強度を測定する場合には、サンプルのA辺がフィルム長手方向と平行になるようにサンプリングした。
【0044】
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製DSC RDC220、データ解析装置として同社製ディスクステーション SSC/5200を用いて測定した。測定条件としては、アルミパンにサンプル約5mgを封入し、300℃で5分間保持し、液体窒素で急冷した後、昇温速度20℃/分で測定した。
(4)固有粘度
ポリエステルをo−クロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
【0045】
(5)巻き取り破断性
巻き取り機にて、速度20m/分、張力1.0Nの条件でテープを巻き取った。このときに、テープがどれくらいの頻度で破断するかにより、次の基準で判定した。
「○」 まったく切れなかった。
「△」 5サンプル中、1〜2サンプルが破断した。
「×」 5サンプル中、3〜5サンプルが破断した。
サンプルには、フィルム長手方向がテープ長手方向になるように15mm幅でスリットして40m巻いたテープであって、1m間隔ごとに1mmのノッチを入れてあるものを用いた。なお、測定は5本のサンプルを用いて行った。
【0046】
(6)高張力巻き取り破断性
巻き取り機にて、速度20m/分、張力5.0Nの条件でテープを巻き取った。このときに、テープがどれくらいの頻度で破断するかにより、次の基準で判定した。
「◎」 まったく切れなかった。
「○」 10サンプル中、1〜2サンプルが破断した。
「△」 10サンプル中、3〜7サンプルが破断した。
「×」 10サンプル中、8〜10サンプルが破断した。
サンプルには、フィルム長手方向がテープ長手方向になるように15mm幅でスリットして40m巻いたテープであって、1m間隔ごとに1mmのノッチを入れてあるものを用いた。なお、測定は10本のサンプルを用いて行った。
【0047】
(7)軸ずれ性
サンプルを100mm四方に切り取り、引裂強度の高い方向に10mmの切れ込みを入れ、残り部分を手で引き裂いた。その引き裂き時に裂けが進行していくに従って生じてくる裂け目方向の逸れについて、その発生頻度を調べ、次の基準で判定した。
「○」 5サンプル中、0〜1サンプルで裂け目方向が逸れた。
「△」 5サンプル中、2〜3サンプルで裂け目方向が逸れた。
「×」 5サンプル中、4〜5サンプルで裂け目方向が逸れた。
【0048】
(実施例1)
熱可塑性樹脂Aとして、凝集シリカ(平均粒径2μm)0.02重量%を添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度76℃)(PETと略す)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.8のビスフェノールAエチレンオキサイド付加物30mol%共重合ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度74℃)(BPA−EO共重合体PETと略す)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0049】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂Aが5層、熱可塑性樹脂Bが4層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がA/B=6になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計9層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
【0050】
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.4倍延伸した。さらにこのフィルムをテンターに導き、105℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
実施例1と同様の装置・条件で、フィードブロック出の時点での積層数(計9層)を、さらにスタティックミキサーを介することにより33層に変換させて33層からなる積層体とし、キャストフィルムを作製した。得られたキャストフィルムを実施例1と同じ装置・条件で逐次延伸・熱処理を行った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
実施例1と同様の装置・条件で、計9層からなる積層フィルムを作製した。得られたキャストフィルムを実施例1と同様の装置・条件で、縦方向に延伸し、横方向に延伸し、熱処理した。但し、横方向の延伸倍率は2.9倍に変更した。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表1に示す。
【0053】
(実施例4)
実施例1と同様の装置・条件で、計9層からなる積層フィルムを作製した。得られたキャストフィルムは、実施例1と同様の装置・条件で、縦方向に延伸し、横方向に延伸し、熱処理した。但し、横方向の延伸倍率は3.1倍に変更した。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
実施例1と同様の装置・条件で、計9層からなる積層フィルムを作製した。但し、熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.85のシクロヘキサンジメタノール33mol%共重合ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度79℃)(CHDM共重合体PETと略す)を用いた。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表1を示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004122742
【0056】
(比較例1)
実施例1と同様の装置・条件で、フィードブロック出の時点での積層数(計9層)を、さらにスタティックミキサーを介することにより65層に変換させて65層からなる積層体とし、キャストフィルムを作製した。得られたキャストフィルムを実施例1と同じ装置・条件で逐次延伸・熱処理を行った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表2に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例1と同様の装置・条件で、計9層からなる積層フィルムを作製した。得られたキャストフィルムを実施例1と同様の装置・条件で、縦方向に延伸し、横方向に延伸し、熱処理した。但し、縦方向の延伸倍率は2.8倍に変更した。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表2に示す。
【0058】
(比較例3)
実施例1と同様の装置・条件で、次の単膜フィルムを作製した。すなわち、押出機は1台のみを使用し、フィールドブロックもスタティックミキサーも用いず、熱可塑性樹脂としては、固有粘度0.65のPETを用いて、単層シートとした。得られたこの単層のキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.4倍延伸した。さらにこのフィルムをテンターに導き、105℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表2に示す。
【0059】
(比較例4)
比較例3と同様の装置・条件で、単膜フィルムを作製した。但し、縦延伸倍率を3.5倍と変更し、横延伸倍率を2.4倍と変更した。得られたフィルムの特性を測定し、さらに、幅15mmのテープ状にスリットしてテープの巻取り破断性および軸ずれ性を測定した。その結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 2004122742
【0061】
【発明の効果】
本発明によると、強度が高く、且つ引裂強度に優れるテープ用積層フィルムとすることができる。この積層フィルムをテープ基材に用いた粘着テープのようなテープ類は、耐引裂性に優れているので、テープ巻き取り時にノッチによる切断が大幅に低減され、テープ生産性を向上することができる。さらに、得られるテープ類は、横方向切断時に軸ずれが生じず、また、粘着テープのテープ剥がし時に引き裂きが生じないという利点も得られる。

Claims (7)

  1. 少なくとも厚み方向に5層以上積層されたフィルムであって、幅方向の引裂強度が20N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の絶対値が30N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が3.0GPa以上であることを特徴とするテープ用積層フィルム。
  2. 幅方向の引裂強度が30N/mm以上であり、長手方向と幅方向の引裂強度の差の絶対値が8N/mm以下であり、かつ、長手方向の引張り弾性率が4.0GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のテープ用積層フィルム。
  3. ガラス転移温度の差が40℃以下である少なくとも2種の熱可塑性樹脂からそれぞれ構成される多層の積層構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のテープ用積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムをテープ基材として用いることを特徴とする耐引裂性テープ。
  5. 耐引裂性テープが、テープ基材の片側又は両側の表面に、粘着層、離型剤層、ヒートシール層の少なくとも1つの層が形成されたテープであることを特徴とする請求項4に記載の耐引裂性テープ。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムからなるテープ基材の片側又は両側の表面に粘着層が形成されてなることを特徴とする粘着テープ。
  7. テープ幅が30mm以下であり、テープ基材の厚みが50μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の粘着テープ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007013618A1 (ja) * 2005-07-29 2007-02-01 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法
JP2016144897A (ja) * 2015-02-09 2016-08-12 住友ベークライト株式会社 離型フィルム

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