JP2005125535A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】手切れ性や寸法安定性が良好なフィルムを提供すること、およびこのフィルムを用いた食料品、医薬品、日用品などの包装用フィルムおよび粘着テープを提供すること。
【解決手段】破断伸度が5〜100%、破断強度が10〜150MPaで、厚み方向に10層以上積層された構造を有する積層フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】破断伸度が5〜100%、破断強度が10〜150MPaで、厚み方向に10層以上積層された構造を有する積層フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は手切れ性や寸法安定性が良好なフィルム、およびこのフィルムを用いた食料品、医薬品、日用品などの包装用フィルムおよび粘着テープに関する。
近年の商品形態の複雑化の中包装の形態もまた多様化しており、誰にでも簡単に開封できる易開封性材料が求められている。これに対し様々な提案がなされている。 例えば特許文献1のような、低融点ポリエステルAと高融点ポリエステルBを積層したフィルムをA層の融点より10℃低い温度以上、B層の融点未満で熱処理することによって手切れ性のよいフィルムを得る方法が挙げられている。しかしながらこの例では、低融点層のみを極度に配向緩和させるため、熱処理後に比較的サイズが大きく不揃いな結晶が生成しやすくなる。そのため結晶化に伴う寸法変化によって寸法安定性が損なわれたり、平面性が悪化する問題があった。
また特許文献2には、基材のポリエステルフィルムにシーラント層やアルミニウムの層、紙などの剛直層を複合した手切れ性のよい構成体が挙げられている。これらの例では基材のポリエステル層の厚みを制限することによって、強度の高いポリエステルが手切れ性を悪化させることを防いでいる。しかしこれにさらにシーラント層や剛直層を複合していることから、構成体全体としては手切れ性が不足するものであった。
特許文献3では、ポリ乳酸系のフィルムの手切れ性に着目しているが、ポリ乳酸系フィルムはポリエステルフィルムに比べ強度や伸度の経時変化が大きく、耐熱性にも劣るため、耐久性や加工性の上で不充分な点があった。
さらに特許文献4のように、ポリエステルを積層することを特徴とするものがあるが、これらは積層することにより耐引裂性の高い破れにくいフィルムを提供するものであって、本発明の手切れ性のよいフィルムとは相反するものであった。
特開平05−104618号公報(第2頁)
特開2002−080459号公報(第2頁)
特開2001−191407号公報(第2頁)
特開平10−076620号公報(第2頁)
本発明の課題は、上述従来の技術の問題を解決し、手切れ性や寸法安定性が良好なフィルムを提供すること、およびこのフィルムを用いた食料品、医薬品、日用品などを包装するための包装用フィルムおよび粘着テープを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために次の形態を有する。すなわち本発明は、フィルムの縦延伸方向および横延伸方向の破断伸度が5〜100%、破断強度が10〜150MPaで、厚み方向に10層以上積層された構造を有する積層フィルムである。
本発明によれば、強度の点で優れるポリエステル樹脂を用いながら、手切れ性が良好で、かつ寸法安定性のよいフィルムを得ることができる。さらにこのフィルムを用いて包装用フィルムや粘着テープを得ることができる。
本発明の積層フィルムは、縦延伸方向および横延伸方向の破断伸度が5〜100%、破断強度が10〜150MPaの範囲にあることが必要である。好ましくは破断伸度が10〜80%、破断強度が15〜120MPaであり、最も好ましくは破断伸度が25〜70%、破断強度が20〜100MPaである。破断伸度を5〜100%、破断強度を10〜150MPaにするためには、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートを交互に10層以上積層することが必要である。また破断伸度が10〜80%、破断強度が15〜120MPaの範囲にするためには層数をさらに増やし、30層以上にすることが好ましい。さらに破断伸度が25〜70%、破断強度が20〜100MPaの範囲にするためには積層の層数を30層以上にするとともに、ポリプロピレンテレフタレートの融点±10以内の温度で熱処理を行なうことが好ましい。
破断伸度が5%より低い場合は、破断しやすいため製膜が不安定となる原因になり、また100%よりも高い場合、積層フィルムを引き裂くときにその力によって積層フィルムが伸びやすくなり、易開封性が著しく悪化するため好ましくない。また破断強度が10MPaより低い場合、破断しやすいため製膜が不安定になったり、実用上で包装材料や粘着テープとして用いる時に強度不足となるため好ましくない。また150MPaより高い場合、フィルムを引き裂くのに必要な力が大きくなり、易開封性材料として適さない。
本発明の積層の層数の上限は特に限定されるものではなく、例えば数百層や数千層程度でも良いものである。しかし生産面や製膜の安定性などの点から2500層程度までとするのが良い。このようなことから、本発明者らの知見によれば、好ましい層数の範囲は10〜2500層、より好ましくは30〜2000層である。このような構成にすることにより、破断伸度や破断強度が上述の範囲内にすることができるとともに、熱による収縮の少ない寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
また、本発明に用いる樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。この中で製膜性、透明性の観点から、好ましくはポリエステルであることがよい。さらに好ましくは、ポリエステルの中でも特に、ポリエチレンテレフタレートを主体とする層と、ポリプロピレンテレフタレートを主体とする層を積層フィルム中に設けることがよい。上記ポリエステルの構成成分であるジカルボン酸およびジオールの一部は、他のジカルボン酸およびジオールと置き換えたものでもよい。
ポリプロピレンテレフタレートはポリエチレンテレフタレートに比べ結晶化速度が早いことが知られている。そのためポリプロピレンテレフタレート単膜の逐次二軸延伸では安定製膜が難しいものである。しかしポリエチレンテレフタレートと交互に積層すると、延伸性のよいポリエチレンテレフタレート層がポリプロピレンテレフタレート層両面に挟んで保持する形となり、逐次二軸延伸を施して安定製膜することが可能であるため好ましい。ただし積層数が10層より少ない場合はこの保持する効果が不充分である。
これらの樹脂を積層するとき、たとえばa/b/a・・・/b/aという繰り返しの構成の積層フィルムにおいて、a層(表層になる層)の樹脂は特に限定されるものではないが、良好な製膜性を得るためにはポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂であることが好ましい。またポリエチレンテレフタレートの融点はポリプロピレンテレフタレートより15〜30℃程度高いことから、ポリエチレンテレフタレートを表層とした方が、より高い温度で熱処理を行なえるため好ましい。a層とb層の比は特に限定されるものではないが、a層厚みをb層厚みで除した値が0.1から9.0の範囲になることが好ましい。この範囲以外では、a層またはb層の厚みが極度に薄くなるため製膜が不安定になることがある。
これらの用いる樹脂の中には、本発明の効果を低下させない範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、吸湿剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
本発明の積層フィルムの厚みは特に限定されるものではなく、結果的に手切れ性テストにおいて良好な手切れ性を発揮し、また切れ抵抗値の値が450g以下であれば好ましいものであり、通常は、5〜30μmの範囲であることが好ましい。厚みが5μm未満であると強度が低下し、取り扱いが困難になることがある。また厚みが30μmより大きい場合、フィルムを引き裂くのに必要な力が大きくなり、十分な手切れ性を得られないことがある。
また、本発明の積層フィルムの1層あたりの平均厚みは、一軸または二軸延伸後に3μm以下であることが好ましい。3μmより厚い場合は、本発明の手切れ性や寸法安定性を十分に発揮できないため好ましくない。また1層あたりの平均厚みの下限は特に限定されるものではないが、樹脂の結晶サイズや製膜の安定性などの面から2nm以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムの層構造は、例えば、a/b/a・・・/b/aと2種類の層が交互に積層されていることが好ましいが、これに第3の層あるいはそれ以上の層が、その繰り返しの間や表層に介在してもよいものである。またこれとは別に、ヒートシール層、コーティング層、易接着層、防湿層、金属蒸着層、粘着層、印刷層などが含まれていてもよい。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
異なる2種類の樹脂aおよび樹脂bをペレットなどの形態で用意する。ただし樹脂は2種類のみに限らず、3種類以上の樹脂を用いてもよい。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
異なる2種類の樹脂aおよび樹脂bをペレットなどの形態で用意する。ただし樹脂は2種類のみに限らず、3種類以上の樹脂を用いてもよい。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
多層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸しても構わない。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上の温度での熱処理を行うのが好ましく、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。本発明において破断伸度および破断強度を上述の規定の範囲とするための手段は特に限定されるものではないが、一軸延伸または二軸延伸によって極度な配向がつくのを避けるため、延伸倍率を面倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)として3〜16倍の範囲とすることが好ましい。
またa/b/a・・・/b/aという繰り返しの構成を有する積層フィルムにおいて、b層(表層にならない層)として用いる樹脂のガラス転移温度+20℃以上の温度で延伸することが好ましい。また熱処理の温度は延伸温度以上であればよいものであるが、b層(表層にならない層)に用いられる樹脂の融点±10℃以内の温度で熱処理を行なうことがより好ましい。このような方法で延伸や熱処理を行うと、手切れ性の良好な積層フィルムを得るために有効である。ただし、先述の方法で熱処理を行なうためにはa層(表層になる層)の樹脂融点がb層(表層にならない層)の樹脂融点より高く、その差が15℃以上であることが好ましい。また、弛緩処理としては横延伸後のフィルム幅の対して4%〜12%の範囲で弛緩させることが好ましい。このようにして得られた積層フィルムは食料品、医薬品、日用品などの包装用フィルムや粘着テープの材料として好適である。本発明を包装用フィルムや粘着テープとして用いる場合には、手切れ性の効果を低下させない範囲で、機能を付与するそのほかの層を複合させてもよい。例えばヒートシール性を付与するために直鎖状低密度ポリエチレンや無延伸ポリプロピレンなどのシーラントフィルムをラミネートすることができる。またガスバリア性を付与するためにアルミニウムや珪素酸化物やアルミナなどをはじめとする金属酸化物を蒸着したりすることができる。粘着層を付与するためには、粘着剤としてアクリル系、ポリウレタン系、シリコン系、エポキシ系、ゴム系、オレフィん系などをはじめとする樹脂を用いいることができる。また印刷加工適正を付与するためにプライマー層や蒸着層設けることができ、また必要に応じて着色料を添加するなどのことができるが、これに限るものではない。
以下の実施例で使用した物性値の評価法を記載し、本発明の最良の形態を実施例を用いて説明する。
(1)破断伸度・破断強度
ORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA100を用いて、23℃、60%RHの雰囲気下で測定した。サンプルはその長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した。サイズは長さ150mm、幅10mmで、端から50mmの位置を上下からチャックで挟んで、下側のチャックを300mm/minで移動させて引っ張り、破断時の伸度および強度を求めた。なお測定は5本のサンプルで行ない、その平均値を採用した。
(1)破断伸度・破断強度
ORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA100を用いて、23℃、60%RHの雰囲気下で測定した。サンプルはその長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した。サイズは長さ150mm、幅10mmで、端から50mmの位置を上下からチャックで挟んで、下側のチャックを300mm/minで移動させて引っ張り、破断時の伸度および強度を求めた。なお測定は5本のサンプルで行ない、その平均値を採用した。
(2)平面性
23℃、60%RHの雰囲気下において、試料をコルク製台上に広げて表面が不職布やスポンジ状の棒を用いて、一定の力でフィルム表面をならして、フィルムと台の間の空気を完全に排除した。その後3分間放置した後にフィルムの状態を観察し、台からフィルムが浮き上がった部分の個数を数えた。5個以下のものを○、15個以上のものを×、その中間のものを△とした。
23℃、60%RHの雰囲気下において、試料をコルク製台上に広げて表面が不職布やスポンジ状の棒を用いて、一定の力でフィルム表面をならして、フィルムと台の間の空気を完全に排除した。その後3分間放置した後にフィルムの状態を観察し、台からフィルムが浮き上がった部分の個数を数えた。5個以下のものを○、15個以上のものを×、その中間のものを△とした。
(3)切れ抵抗値
図1に示すような試験体を作成した。図1において、1は積層フィルムであり、その長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した。サイズは75mm(図1A)×35mm(図1B)である。また2はポリエステル性粘着テープ(日東電工株式会社製 No.31B)であり、そのサイズは150mm(図1C)×35mm(図1中B)である。粘着テープを積層フィルムの両面に貼りつけ、3に示すように粘着テープの幅方向の中央に長さ75mm(図1D)の切り込みを入れる。この切り込み部を上下に開き、端から50mmの位置をORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA100の上下のチャックに掴んで、23℃、60%RHの雰囲気下で速度200mm/minにて引き裂いた。このとき引裂力の最大強度をを切れ抵抗値とした。
図1に示すような試験体を作成した。図1において、1は積層フィルムであり、その長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した。サイズは75mm(図1A)×35mm(図1B)である。また2はポリエステル性粘着テープ(日東電工株式会社製 No.31B)であり、そのサイズは150mm(図1C)×35mm(図1中B)である。粘着テープを積層フィルムの両面に貼りつけ、3に示すように粘着テープの幅方向の中央に長さ75mm(図1D)の切り込みを入れる。この切り込み部を上下に開き、端から50mmの位置をORIENTEC社製自動テンシロン AMF/RTA100の上下のチャックに掴んで、23℃、60%RHの雰囲気下で速度200mm/minにて引き裂いた。このとき引裂力の最大強度をを切れ抵抗値とした。
(4)手切れ性
1辺が50mmの正方形を、その辺が縦延伸方向または横延伸方向に合致するように切り取り、半分に折り曲げて完全に重ね合わせた。23℃、60%RHの雰囲気下において、切り込みを入れずに折り曲げた線の片側を左手で持って固定し、もう片側を右手で持って手前側に引き裂いた。この評価は官能評価であるため、いずれのサンプルでも引き裂く力が一定となるように注意した。同一方向において20枚ずつ試験を行ない、容易に引き裂けて、伸び、変形がないものが15枚以上の場合を○とし、15枚以下の場合を×とした。なおこの評価において○が実用に供するものである。
1辺が50mmの正方形を、その辺が縦延伸方向または横延伸方向に合致するように切り取り、半分に折り曲げて完全に重ね合わせた。23℃、60%RHの雰囲気下において、切り込みを入れずに折り曲げた線の片側を左手で持って固定し、もう片側を右手で持って手前側に引き裂いた。この評価は官能評価であるため、いずれのサンプルでも引き裂く力が一定となるように注意した。同一方向において20枚ずつ試験を行ない、容易に引き裂けて、伸び、変形がないものが15枚以上の場合を○とし、15枚以下の場合を×とした。なおこの評価において○が実用に供するものである。
(5)熱収縮率
製膜後24時間以上経過したフィルムから、大きさが150mm×10mmで、かつその長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した被測定サンプルを、23℃、60%RHの雰囲気に30分間放置し、その雰囲気下でフィルム長手方向に約100mmの間隔で二つの印をつけ、リニヤスケール測長機を用いてそのしるしの間隔を測定し、その値をL0とする。次に、被測定サンプルを、張力がかからない状態で150℃に保った雰囲気中に30分間放置し、次いで23℃、60RHの雰囲気下で1時間冷却、調湿後、先に付けた印の間隔を測定し、測定値をLとする。この時次式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率=100(L0−L)/L0
(実施例1)樹脂aとして、融点が255℃のポリエチレンテレフタレートを用いた。また樹脂bとして融点が229℃のポリプロピレンテレフタレートを用いた。これら熱樹脂aおよびbは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
製膜後24時間以上経過したフィルムから、大きさが150mm×10mmで、かつその長手方向とフィルムの縦延伸方向または横延伸方向が合致するように採取した被測定サンプルを、23℃、60%RHの雰囲気に30分間放置し、その雰囲気下でフィルム長手方向に約100mmの間隔で二つの印をつけ、リニヤスケール測長機を用いてそのしるしの間隔を測定し、その値をL0とする。次に、被測定サンプルを、張力がかからない状態で150℃に保った雰囲気中に30分間放置し、次いで23℃、60RHの雰囲気下で1時間冷却、調湿後、先に付けた印の間隔を測定し、測定値をLとする。この時次式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率=100(L0−L)/L0
(実施例1)樹脂aとして、融点が255℃のポリエチレンテレフタレートを用いた。また樹脂bとして融点が229℃のポリプロピレンテレフタレートを用いた。これら熱樹脂aおよびbは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
樹脂aおよびbは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した樹脂aおよびbは、スタティックミキサーに供給し、樹脂aが8層、樹脂bが7層からなる厚み方向に交互に積層された構造とし、両表層部分が樹脂aとなった。ここで、積層厚み比a:b=1:1になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計15層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸後、テンターに導き、85℃の熱風で予熱後、95℃の熱風中で横方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは15μmであり、手切れ性や寸法安定性に優れるものであった。得られた結果を表1に示す。表1で、MDは縦延伸方向、TDは横延伸方向を示した。またPETはポリエチレンテレフタレート、PPTはポリプロピレンテレフタレート、PEIはポリエチレンイソフタレート、PENはポリエチレンナフタレートの意味である。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸後、テンターに導き、85℃の熱風で予熱後、95℃の熱風中で横方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは15μmであり、手切れ性や寸法安定性に優れるものであった。得られた結果を表1に示す。表1で、MDは縦延伸方向、TDは横延伸方向を示した。またPETはポリエチレンテレフタレート、PPTはポリプロピレンテレフタレート、PEIはポリエチレンイソフタレート、PENはポリエチレンナフタレートの意味である。
(実施例2)実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸フィルムを得た。ただしフィードブロックおよび/あるいはスタティックミキサーを変更し、その積層数がa層は501層、b層は7層の計500層からなるフィルムとした。得られたフィルムの厚みは15μmであり、手切れ性や寸法安定性に非常に優れるものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸フィルムを得た。ただしフィードブロックおよび/あるいはスタティックミキサーを変更し、その積層数がa層は1501層、b層は1500層の計3001層からなるフィルムとした。得られたフィルムの厚みは15μmであり、手切れ性や寸法安定性に非常に優れるものであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸フィルムを得た。ただし押出機は1台のみを使用し、フィールドブロックおよびスタティックミキサーは用いず、熱可塑性樹脂としては、融点が255℃のポリエチレンテレフタレートを用いて、単膜フィルムとした。得られたフィルムは15μmであった。このフィルムは破断伸度や破断強度が高く、手切れ性に優れるものではなかった。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸フィルムを得た。ただしフィードブロックおよび/あるいはスタティックミキサーを変更し、その積層数がa層は2層、b層は1層の計3層からなるフィルムとした。得られたフィルムは15μmであった。このフィルムでは、破断伸度や破断強度が好ましい範囲内でないため、手切れ性に優れるものではなかった。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)比較例2と同様の装置で2軸延伸フィルムを得た。ただし横延伸倍率は3.2倍とした。得られたフィルムは15μmであった。このフィルムでは破断伸度が好ましい範囲内でないため、手切れ性に優れるものではなかった。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)比較例2と同様の装置・条件で2軸延伸フィルムを得た。ただしb層の樹脂は融点が200℃のポリエチレンイソフタレートとした。得られたフィルムは15μmであった。このフィルムは平面性が悪く、さらに破断伸度や破断強度が高いため手切れ性が不足するものであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例5)実施例1と同様の装置および条件で2軸延伸フィルムを得た。ただしフィードブロックおよび/あるいはスタティックミキサーを変更し、その積層数がa層は501層、b層は7層の計500層からなるフィルムとした。さらにb層の樹脂は融点が260℃のポリエチレンナフタレートを用いた。得られたフィルムの厚みは15μmであった。このフィルムは破断伸度や破断強度が高いため手切れ性が不足するものであった。得られた結果を表1に示す。
本発明は包装用フィルムや粘着テープに限らず易カット性の必要なあらゆる製品に応用することができる。
1 積層フィルム
2 ポリエステル製粘着テープ
3 切り込み
A 積層フィルムおよびポリエステル製粘着テープの幅方向の長さ
B 積層フィルムの長手方向の長さ
C ポリエステル製粘着テープの長手方向の長さ
D 切り込みの長さ
2 ポリエステル製粘着テープ
3 切り込み
A 積層フィルムおよびポリエステル製粘着テープの幅方向の長さ
B 積層フィルムの長手方向の長さ
C ポリエステル製粘着テープの長手方向の長さ
D 切り込みの長さ
Claims (5)
- フィルムの縦延伸方向および横延伸方向の破断伸度が5〜100%、破断強度が10〜150MPaで、厚み方向に10層以上積層された構造を有する積層フィルム。
- 厚み方向に30層以上積層された構造を有する請求項1に記載の積層フィルム。
- ポリエチレンテレフタレートを主成分とするA層とポリプロピレンテレフタレートを主成分とするB層を交互に10層以上積層した構造を有する請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムを用いた包装用フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルムを用いた粘着テープ。
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-10-22 JP JP2003361728A patent/JP2005125535A/ja active Pending
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