JP2016134588A - 保護部材の剥離方法及び剥離装置 - Google Patents

保護部材の剥離方法及び剥離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】剥離動作中の保護部材の割れを抑えて、ウエーハから樹脂を良好に剥離すること。
【解決手段】インゴットからワイヤーソーでスライスされたウエーハ(W)のスライス面から保護部材(81)を剥離する剥離方法であり、超音波振動手段(71)によりウエーハのスライス面に貼着された保護部材に超音波振動を伝播させる工程と、把持部(51)により保護部材の外周縁(84)を把持する工程と、ウエーハと保護部材の界面に超音波振動を作用させながら、ウエーハと把持部を相対移動させてウエーハのスライス面から保護部材を剥離する工程とを有する構成にした。
【選択図】図4

Description

本発明は、インゴットから切り出されたウエーハの片面に塗布された保護部材を、研削後のウエーハから剥がす保護部材の剥離方法及び剥離装置に関する。
半導体デバイスの製造工程では、円柱状のインゴットがワイヤーソーで板状にスライスされてアズスライスウエーハ(ウエーハ)が形成される。ウエーハのスライス面には、ワイヤーソーによるスライス時に凹凸が発生しており、研削加工やラップ加工が施されることで凹凸が除去される。研削加工で凹凸を除去する場合、シートに塗布された樹脂(保護部材)に対してウエーハが押し付けられることで一方のスライス面が平坦にされ、この平坦面を研削時の基準面として他方のスライス面が研削加工された後、シートと共に樹脂を剥がして一方のスライス面が研削加工される。
ところで、ウエーハから樹脂を剥がす際に、一方のスライス面に樹脂の一部が残ると、このスライス面から残りの樹脂を剥離することが難しい。このようなウエーハから樹脂を引き剥がす剥離方法として、ウエーハの一方のスライス面からシートと共に樹脂をR形状に捲り上げながら、樹脂を引き剥がす方法が知られている(例えば、特許文献1−3参照)。これらの剥離方法は、ウエーハからはみ出したシートの端部を把持した状態で、ウエーハを水平方向に移動させることでシートに接着された樹脂をスライス面から引き剥がしている。
特開2012−151275号公報 特開2013−184268号公報 特開2014−063882号公報
しかしながら、ウエーハのスライス面に形成された凹凸に樹脂が入り込んでいるため、一方のスライス面から保護部材が剥がれ難くい。樹脂にはシートのような柔軟性がないため、シートの端部を把持して引き剥がす途中で樹脂が割れてしまい、スライス面に樹脂を残したままシートだけがスライス面から剥がれてしまう場合があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ウエーハから保護部材を良好に剥離することができる保護部材の剥離方法及び剥離装置を提供することを目的とする。
本発明の保護部材の剥離方法は、ウエーハの一方の面に保護部材を貼着し、該保護部材を介して加工テーブルでウエーハを保持し露出する他方の面に所定の加工を施した後、該加工テーブルから搬出したウエーハの他方の面を剥離テーブルの吸引面で吸引保持し該保護部材をウエーハから剥離する保護部材の剥離方法であって、該保護部材は、ウエーハの外径以上の外径の樹脂シートと、少なくともウエーハの一方の面の全面の面積で該樹脂シートに塗布される樹脂と、から構成され、超音波振動手段により該保護部材に超音波振動を伝播させる超音波振動工程と、該保護部材の外周縁を把持部で把持する把持工程と、該超音波振動工程を継続させ該把持部をウエーハから離反する方向に移動させウエーハから該保護部材を剥離する剥離工程と、からなる。
本発明の剥離装置は、ウエーハに貼着された保護部材の剥離方法を可能にする剥離装置であって、ウエーハを吸引保持する吸引面を有する剥離テーブルと、ウエーハの一方の面を保護する該保護部材をウエーハから剥離する剥離手段と、を備え、該剥離手段は、該保護部材の外周縁を把持する把持部と、該把持部が該保護部材を把持しウエーハから該保護部材を離間させる方向に該把持部と該剥離テーブルとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、該保護部材は、ウエーハの外径以上の外径の樹脂シートと、少なくともウエーハの一方の面の全面の面積で該樹脂シートに塗布される樹脂と、から構成され、該剥離テーブルは、該吸引面に超音波振動を伝播させ該吸引面で吸引保持するウエーハに超音波振動を伝播させる超音波振動手段と、該吸引面を加温するヒータ部と、を備える。
これらの構成によれば、保護部材の樹脂に超音波振動が伝播されて、ウエーハと樹脂の界面に超音波振動が作用すると共に、超音波振動の摩擦熱によって樹脂が温められる。超音波振動によってウエーハと樹脂の界面の貼着力が弱くなると共に、樹脂が温められて軟化することで剥離途中の樹脂の割れが抑えられている。よって、ウエーハにおける樹脂の剥がし残しを無くして、ウエーハから樹脂シートと共に樹脂を良好に剥離することができる。
上記の保護部材の剥離方法において、該剥離テーブルには、吸引保持したウエーハを加温するヒータ部を備え、該剥離工程を開始するまでに該ヒータ部でウエーハを加温させ該保護部材を軟化させる保護部材軟化工程を含み、該剥離工程では、該把持部をウエーハの外周から中央に向かい、その延長の外周に向かって移動させ軟化した該保護部材を折曲げた折曲げ部を形成させ、該把持部の移動に伴い該折曲げ部が移動して該保護部材を剥離する。
上記の剥離装置において、該剥離手段は、該保護部材の上面を押圧する押圧ローラを備え、該押圧ローラは、該移動手段の移動方向に対して直交する方向に延在し、該保護部材の上面から超音波振動を伝播させる第2の超音波振動手段を備え、該移動手段により該押圧ローラが該剥離テーブルに対して相対的に移動される。
本発明によれば、保護部材に超音波振動を伝播させながら剥離することで、剥離動作中の保護部材の割れを抑えて、ウエーハから樹脂を良好に剥離することができる。
第1の実施の形態に係る剥離装置の模式図である。 比較例に係る剥離動作の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る保護部材に対する超音波振動の作用の説明図である。 第1の実施の形態に係る剥離装置による剥離動作の一例を示す図である。 第1の実施の形態の変形例に係る剥離装置の模式図である。 第2の実施の形態に係る剥離装置による剥離動作の一例を示す図である。
以下、第1の実施の形態に係る剥離装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る剥離装置の模式図である。図2は、比較例に係る剥離動作の一例を示す図である。なお、剥離装置は、図1に示す構成に限定されない。剥離装置は、保護部材の外周縁を把持してウエーハから引き剥がす構成であれば、どのような構成でもよい。
図1に示すように、剥離装置1は、円形のウエーハWの上面86に貼り付けられたシート状の保護部材81を剥離するように構成されている。この剥離装置1は、剥離テーブル21にウエーハWを保持しており、ウエーハWの外周からはみ出した保護部材81の外周縁84を把持して、ウエーハWから保護部材81を引き剥がすように動作する。ウエーハWは、デバイスパターンが形成される前のアズスライスウエーハであり、円柱状のインゴットをワイヤーソーで切断して形成される。ウエーハWは、剥離装置1に搬入される前に、研削装置(不図示)において研削加工(所定の加工)が施されている。
研削加工では、ウエーハWの一方の面(上面86)に貼着された保護部材81を介して、加工テーブル(不図示)にウエーハWが保持される。保護部材81は、ウエーハWの外径以上の外径の樹脂シート82に、少なくともウエーハWの上面86の全面の面積で樹脂83を塗布して構成されている(図2参照)。保護部材81によってウエーハWの上面側の凹凸が平坦にされ、この平坦面で加工テーブルに保持される。そして、露出した他方の面(下面87)に研削が施されて凹凸等が除去された後、剥離装置1にウエーハWが搬入されて、ウエーハWの上面86を保護する保護部材81に対する剥離動作が実施される。
なお、ウエーハWは、シリコン、ガリウムヒソ、シリコンカーバイド等のワークに限定されるものではない。例えば、セラミック、ガラス、サファイア系の無機材料基板、板状金属や樹脂の延性材料、ミクロンオーダーからサブミクロンオーダの平坦度(TTV: Total Thickness Variation)が要求される各種加工材料をウエーハWとしてもよい。ここでいう平坦度とは、ウエーハW被研削面を基準面として厚み方向を測定した高さのうち、最大値と最小値との差を示している。
ウエーハWは保護部材81によって全体的に覆われており、保護部材81の外周縁84がウエーハWの外周からはみ出している。剥離装置1は、保護部材81の外周縁84を把持した把持部51を上昇移動させると共に、ウエーハWを保持した剥離テーブル21を水平移動させることによって保護部材81の剥離動作を実施している。剥離装置1の基台11には、剥離テーブル21を水平方向に移動させる水平移動部31が設けられている。水平移動部31は、基台11上に配置された一対のガイドレール32(1つのみ図示)と、一対のガイドレール32にスライド可能に設置されたモータ駆動のスライドテーブル33とを有している。
スライドテーブル33の上面には、テーブル支持台41を介して剥離テーブル21が回転可能に支持されている。スライドテーブル33の背面には、ナット部34が設けられており、このナット部34に基台11内に配置されたボールネジ35が螺合されている。そして、ボールネジ35の一端部に連結された駆動モータ36が回転駆動されることで、剥離テーブル21がガイドレール32に沿って水平方向に移動される。なお、水平方向とは、重力方向に対して完全に直交する方向に限らず、重力方向に対して実質的に直交と見なせる程度に傾斜する方向を含んでいる。
テーブル支持台41は、中央に開口42が形成された板状部43の周囲に複数の脚部44をネジ止めされて構成されている。板状部43の開口42には、剥離テーブル21の下面から突出する軸部22が挿通され、テーブル支持台41上で剥離テーブル21が回転可能に支持されている。剥離テーブル21には、ポーラスセラミックス材によってウエーハWを吸引保持する吸引面23が形成されている。吸引面23は、軸部22内の流路を通じて吸引源(不図示)に接続されており、吸引源からの吸引力によって負圧にされている。なお、本実施の形態に係る剥離テーブル21は、回転可能な構成に限らず、向きが固定されていてもよい。
把持部51は、剥離テーブル21の外周付近に位置付けられ、ウエーハWの外周からはみ出した保護部材81の外周縁84を把持可能に構成されている。把持部51の先端には、保護部材81の外周縁84を挟み込むエアー駆動式の挟持部52が設けられている。把持部51の基端には、上昇移動部56のシリンダ57内に収容されたピストン53が設けられている。上昇移動部56は、シリンダ57によってピストン53をガイドすることで、把持部51を略上方向に移動可能に支持している。上昇移動部56のシリンダ57は、鉛直姿勢に対して剥離方向に僅かに傾けられている。
シリンダ57の下端側には、ピストン53よりも下方空間にエアを取り込む吸気口58が形成され、シリンダ57の上端側には、ピストン53よりも上方空間からエアを排気する排気口59が形成されている。シリンダ57内はピストン53によって仕切られており、下端側の吸気口58にエアが供給されることでピストン53が略上方に押し上げられる。これにより、ピストン53に連結された把持部51が保護部材81の外周縁84を把持した状態で略上方向に移動される。このとき、シリンダ57が剥離方向に僅かに傾けられているため、把持部51の上昇に応じて保護部材81を引き剥がし易くしている。
本実施の形態においては、上昇移動部56による把持部51の上方移動中に、水平移動部31によって剥離テーブル21が水平移動させることで、ウエーハWから保護部材81を離間させる方向に把持部51と剥離テーブル21とを相対的に移動させている。なお、本実施の形態において、略上方向とは、鉛直上方よりも僅かに斜めに傾いた方向に限られず、ウエーハWに対して上方と見なせる方向を含んでいる。したがって、略上方向とは、ウエーハWの上面に完全に垂直な鉛直上方向であってもよい。この場合には、シリンダ57は、剥離テーブル21の吸引面23に対して鉛直姿勢で設置される。
また、剥離テーブル21の上方には、保護部材81の上面を押圧する押圧ローラ61が設けられている。押圧ローラ61は、ウエーハWの径方向において把持部51に対向しており、把持部51から所定の距離だけウエーハWの径方向内側に離間して配設されている。押圧ローラ61は、押圧シリンダ62のピストン(不図示)に連結され、保護部材81に対して離接可能に駆動される。押圧ローラ61は、剥離テーブル21の移動方向に対して直交する方向(紙面奥方)に延在しており、ウエーハWの全体を押し付け可能なようにウエーハWの直径よりも長く形成されている。
ウエーハWは、押圧ローラ61の押圧力と剥離テーブル21の保持力によって吸引面23に強く保持されている。この押圧力と保持力との合力は、上昇移動部56によって把持部51が押し上げられる上昇力よりも強く調整されている。また、この把持部51の上昇力は、ウエーハWに対する保護部材81(樹脂83)の粘着力よりも強くなるように調整されている。したがって、把持部51が保護部材81を把持した状態で上昇しても、ウエーハWが剥離テーブル21の吸引面23から外れることがなく、ウエーハWから保護部材81だけを引き剥がすことが可能となっている。
押圧ローラ61がウエーハWの外周部分に位置付けられている状態では、押圧ローラ61によって把持部51の上昇が抑えられている。これは、押圧ローラ61の押付け位置と把持部51の把持位置とが近いため、保護部材81を介して押圧ローラ61によって把持部51の上昇が規制されるからである。保護部材81の剥離時には、剥離テーブル21の水平移動によって押圧ローラ61の押付け位置がウエーハWの外周部分から移動される。これにより、押圧ローラ61によって抑え込まれていた把持部51の上昇が開放され、押圧ローラ61の移動距離に応じて保護部材81が引き剥がされる。
このように、剥離装置1は、剥離テーブル21の水平方向の移動によって、ウエーハW上の押圧ローラ61の押付け位置が移動することで、ウエーハWから保護部材81を剥離している。ところで、図2Aに示すように、ウエーハWの上面86には、ワイヤーソーによるスライス切断時の凹凸(スライス模様)が残されている。ウエーハWの上面86の凹凸には樹脂83が入り込んで広い面積で貼着されているため、ウエーハWの上面86から樹脂83が剥がれ難くなっている。また、保護部材81の樹脂83は十分な柔軟性を有さないため、剥離途中で樹脂83が割れるおそれがある。
図2Bに示すように、保護部材81の剥離途中で樹脂83が割れると、ウエーハWの上面86に樹脂83が強く貼着されているため、樹脂83から樹脂シート82だけが剥離されてウエーハWの上面86に樹脂83が残ってしまう。そこで、本実施の形態では、剥離テーブル21に超音波振動手段71(図1参照)を設けて、ウエーハWと樹脂83の界面に超音波振動を作用させることでウエーハWの上面86から樹脂83を剥がし易くすると共に振動による摩擦熱で樹脂83を軟化させている。さらに、超音波振動で樹脂83を温めるためには長い時間がかかるため、剥離テーブル21にヒータ部76(図1参照)を設けて、短時間で樹脂83を加温して軟化させている。つまり、樹脂83は熱可塑性樹脂である。
図3を参照して、保護部材に伝播された超音波振動の作用について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る保護部材に対する超音波振動の作用の説明図である。
図3に示すように、剥離テーブル21とテーブル支持台41の間には、ウエーハWに超音波振動を伝播させる超音波振動手段71が設けられている。超音波振動手段71から剥離テーブル21の吸引面23に超音波振動が伝播され、さらに吸引面23で吸引保持するウエーハWに超音波振動が伝播される。ウエーハWに伝播された超音波振動はウエーハWの上面86の凹凸によって四方八方に散乱されて、ウエーハWと樹脂83の界面に繰り返し作用する。これにより、ウエーハWと樹脂83の界面に超音波振動が強く作用してウエーハWの上面86に対する樹脂83の貼着力が低下する。
このとき、樹脂83と樹脂シート82の界面にも超音波振動が作用している。しかしながら、ウエーハWと樹脂83の界面を通過することで超音波振動が十分に小さくなっており、さらにウエーハWと樹脂83の界面よりも樹脂83と樹脂シート82の界面の貼着面積が小さいため、樹脂83と樹脂シート82の界面にはウエーハWと樹脂83の界面ほど超音波振動が強く作用することはない。したがって、樹脂83と樹脂シート82の貼着力がウエーハWと樹脂83の貼着力よりも強いため、ウエーハWから樹脂シート82だけが剥がされることなく、ウエーハWから樹脂シート82と共に樹脂83が剥がされる。
また、剥離テーブル21内には、剥離テーブル21の吸引面23を加温するヒータ部76が設けられている。吸引面23上のウエーハWはヒータ部76によって加温され、ウエーハWを介して保護部材81の樹脂83も加温されている。これにより、樹脂83が軟化され、樹脂83を捲り上げて剥離する際に曲がり(撓り)易くなって樹脂83の割れが抑制される。樹脂83は超音波振動の摩擦熱によっても温められるが、ヒータ部76からの熱によって短時間で温められる。このような構成により、剥離途中で樹脂83が割れることがなく、樹脂83と樹脂シート82を一体的に剥離することが可能になっている。
図4を参照して、剥離装置による剥離動作について説明する。図4は、第1の実施の形態に係る剥離装置による剥離動作の一例を示す図である。また、図4においては、説明の便宜上、移動手段の一部の構成を省略して記載している。
図4Aに示すように、剥離テーブル21上にウエーハWが保持されると、超音波振動手段71によって保護部材81に超音波振動が伝播される(超音波振動工程)。これにより、ウエーハWと樹脂83の凹凸の界面に超音波振動が強く作用して、ウエーハWに対する樹脂83の貼着力が低下すると共に超音波振動の摩擦熱で樹脂83が温められる(図3参照)。また、摩擦熱に加えてヒータ部76によってウエーハWが加温されて保護部材81が軟化される(保護部材軟化工程)。これにより、ウエーハWから保護部材81が剥がれ易くなると共に、ウエーハWの上面86から保護部材81を捲り上げ可能な程度に樹脂83が軟化される。
そして、保護部材81(樹脂シート82)の外周縁84が把持部51に近づけられ、保護部材81の外周縁84が把持部51に把持される(把持工程)。このとき、上昇移動部56によって把持部51に樹脂83(図3参照)の貼着力よりも強い上昇力が付与されているが、押圧ローラ61の押圧力によって把持部51の上昇が最小限に抑えられている。また、ウエーハWと樹脂83の界面に超音波振動が作用しているため、ウエーハWと樹脂83との界面で保護部材81が剥がれ易くなっている(図3参照)。ここでは、把持部51が僅かに上昇して、保護部材81の外周縁が押圧ローラ61の周面に沿って捲り上げられている。
図4Bに示すように、超音波振動手段71による超音波振動及びヒータ部76による加温を継続させた状態で、剥離テーブル21が把持部51に対して相対移動される(剥離工程)。これにより、押圧ローラ61の押付け位置が、ウエーハWの外周から中央を挟んで逆側の外周に向かって所定距離だけ移動される。この押圧ローラ61の押圧位置の相対移動によって、押圧ローラ61に規制されていた把持部51の上昇が開放されて、ウエーハWから保護部材81が剥離される。このとき、把持部51は、ウエーハWの外周から中央に向かうように相対的に移動され、さらに中央から逆側(延長)の外周に向かって相対的に移動される。
ウエーハWに対する把持部51の相対的な移動によって保護部材81に折曲げ部89が形成されて、把持部51の移動に伴って折曲げ部89の位置(本実施の形態では押圧ローラ61の位置)が移動することでウエーハWから保護部材81が剥離される。保護部材81は十分に軟化しているため、押圧ローラ61の周面に沿って折曲げられても剥離途中で割れることがない。このように、剥離テーブル21が水平方向に移動されつつ、把持部51が斜め上方に引き上げられることで、ウエーハWの上面86から保護部材81がR形状に捲り上げられながら引き剥がされる。なお、本実施の形態において、折曲げ部89は、折り目が付くように曲げられる構成に限らない。折曲げ部89は、保護部材81を折り返す方向に曲げられていればよく、緩やかに湾曲していてもよい。
ところで、保護部材81の剥がし終わりでは、押圧ローラ61の押付け状態で剥離テーブル21が水平移動されると、ウエーハWから保護部材81が剥がれた反動でウエーハWが滑って、ウエーハWが剥離テーブル21上から外れる場合がある。そこで本実施の形態では、図4Cに示すように、保護部材81の剥がし終わりの直前では、剥離テーブル21が停止されて、押圧ローラ61が保護部材81の表面から上方に離間される。これにより、把持部51の上昇力だけでウエーハWから保護部材81が剥がされるため、保護部材81の剥離時の反動を抑えてウエーハWが剥離テーブル21上から外れることがない。
以上のように、第1の実施の形態に係る剥離装置1では、保護部材81の樹脂83に超音波振動が伝播されて、ウエーハWと樹脂83の界面に超音波振動が作用する。また、超音波振動の摩擦熱及びヒータ部76によって樹脂83が温められる。超音波振動によってウエーハWと樹脂83の界面の貼着力が弱くなると共に、樹脂83が温められて軟化することで剥離途中の樹脂83の割れが抑えられている。よって、ウエーハWにおける樹脂83の剥がし残しを無くして、ウエーハWから樹脂シート82と共に樹脂83を良好に剥離することができる。
なお、上記の第1の実施の形態では、剥離テーブル21に超音波振動手段71を設ける構成にしたが、この構成に限定されない。図5に示す変形例のように、保護部材81の上面から超音波振動を伝播させる第2の超音波振動手段72を押圧ローラ61に設けてもよい。このような構成であっても、押圧ローラ61から保護部材81に対して超音波振動が伝播され、樹脂83とウエーハWの界面に超音波振動が作用する。樹脂83とウエーハWの界面では、ウエーハWの上面86の凹凸によって超音波振動が四方八方に散乱されて繰り返し作用して、ウエーハWに対する樹脂83の貼着力が低下する。
この場合、保護部材81に対して直に超音波振動が伝播されるため、第1の実施の形態のようにウエーハWを介して保護部材81に超音波振動が伝播されるよりも、保護部材81(樹脂83)に対して超音波振動を強く作用させることが可能になっている。押圧ローラ61で保護部材81を押さえ付けているため押圧ローラ61の真下では超音波振動が作用しないが、押圧ローラ61の周辺に超音波振動が作用して樹脂83の貼着力が弱まっている。よって、第1の実施の形態の変形例においても、ウエーハWから樹脂シート82と共に樹脂83を良好に剥離することができる。
続いて、図6を参照して、第2の実施の形態に係る剥離装置について説明する。第2の実施の形態に係る剥離装置は、押圧ローラを使用せずに保護部材を折り返しながら剥離する点で第1の実施の形態と相違している。したがって、第1の実施の形態と相違する点についてのみ説明し、共通する構成については説明を省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付して説明する。図6は、第2の実施の形態に係る剥離装置による剥離動作の一例を示す図である。
図6Aに示すように、第2の実施の形態に係る剥離装置91では、剥離テーブル21の外周付近に把持部96が位置付けられており、把持部96の先端の挟持部97で保護部材81の外周縁84を挟み込むように構成されている。把持部96の基端は、上昇移動部99によって上下方向に移動可能に支持されている。また、剥離装置91には押圧ローラ61(図1参照)が設けられておらず、剥離テーブル21の水平移動と把持部96の上方移動とによって保護部材81を捲り上げて折曲げ部89を形成している。第2の実施の形態では、把持部96及び上昇移動部99以外の構成については、第1の実施の形態と同様である。
このように構成された剥離装置91では、剥離テーブル21上にウエーハWが保持され、超音波振動手段71から保護部材81に超音波振動が伝播され(超音波振動工程)、ヒータ部76によって保護部材81が加温されて軟化される(保護部材軟化工程)。これにより、ウエーハWと樹脂83の凹凸の界面に超音波振動を作用させて貼着力が低下され、ヒータ部76の熱によってウエーハWの上面86から保護部材81を捲り上げ可能な程度に樹脂83が軟化される(図3参照)。そして、保護部材81(樹脂シート82)の外周縁84が把持部96に把持され(把持工程)、把持部96が上昇して保護部材81の外周縁84がウエーハWの上面86から捲り上げられる。
図6Bに示すように、超音波振動手段71による超音波振動及びヒータ部76による加温を継続させた状態で、剥離テーブル21が把持部96に対して相対移動される(剥離工程)。このとき、把持部96が上昇移動部99によって上昇位置まで移動され、さらに剥離テーブル21が把持部96の下方を通過するように移動する。これにより、把持部96はウエーハWの外周から中央に向かうように相対的に移動され、さらに中央から逆側(延長)の外周に向かって相対的に移動される。
ウエーハWに対する把持部96の相対的な移動によって保護部材81に折曲げ部89が形成されて、把持部96の移動に伴って折曲げ部89の位置が移動することでウエーハWから保護部材81が剥離される。保護部材81は十分に軟化しているため、保護部材81が折曲げられても剥離途中で割れることがない。このように、剥離テーブル21が水平方向に移動されつつ、把持部96が上方に引き上げられることで、ウエーハWの上面86から保護部材81がR形状に捲り上げられる。そして、図6Cに示すように、剥離テーブル21が把持部96の下方を完全に通過することでウエーハWから保護部材81が剥離される。
以上のように、第2の実施の形態に係る剥離装置1においても、超音波振動によってウエーハWと樹脂83の界面の貼着力が弱くなると共に、樹脂83の軟化によって剥離途中の樹脂83の割れが抑えられている。よって、ウエーハWにおける樹脂83の剥がし残しを無くして、ウエーハWから樹脂シート82と共に樹脂83を良好に剥離することができる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記各実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記した第1、第2の実施の形態においては、移動手段として、把持部51、96を上方移動させる上昇移動部56、99と、剥離テーブル21を水平移動させる水平移動部31とを設ける構成にしたが、この構成に限定されない。移動手段は、把持部51、96に把持された保護部材81をウエーハWから離間させる方向に把持部51、96と剥離テーブル21とを相対的に移動させる構成であれば、どのように構成されてもよい。例えば、把持部51、96が上方移動する代わりに剥離テーブル21が下方に移動してもよいし、剥離テーブル21が水平移動する代わりに把持部51、96が水平移動してもよい。
また、上記した第1の実施の形態においては、押圧ローラ61に対して剥離テーブル21が水平移動する構成にしたが、この構成に限定されない。剥離テーブル21に対して押圧ローラ61が水平移動してもよい。
また、上記した第1、第2の実施の形態においては、剥離テーブル21とテーブル支持台41の間に超音波振動手段71が設けられる構成にしたが、この構成に限定されない。超音波振動手段71は、剥離テーブル21の吸引面23に超音波振動を伝播させ、吸引面23で吸引保持するウエーハWに超音波振動を伝播させる構成であれば、どのように構成されてもよい。なお、超音波振動手段71は、上下方向に振動を発生させるように超音波振動子を配置して構成されてもよいし、径方向に振動を発生させるように超音波振動子を配置して構成されてもよい。
また、上記した第1、第2の実施の形態においては、剥離テーブル21内にヒータ部76を設ける構成にしたが、この構成に限定されない。剥離装置1、91は、ヒータ部76を有さない構成でもよく、このような構成であっても、超音波振動によってウエーハWと樹脂83の界面の貼着力を弱めると共に、振動時の摩擦熱によって樹脂83を軟化させて剥離途中の樹脂83の割れを防止できる。
また、上記した第1の実施の形態においては、剥離手段として、把持部51、移動手段(上昇移動部56、水平移動部31)、押圧ローラ61を備える構成にしたが、この構成に限定されない。剥離手段は、ウエーハWの上面86を保護する保護部材81をウエーハWから剥離する構成であれば、把持部51、移動手段、押圧ローラ61以外の構成を備えていてもよい。同様に、第2の実施の形態においても、剥離手段として、把持部96、移動手段以外の構成を備えていてもよい。
また、上記した第1、第2の実施の形態においては、保護部材軟化工程を超音波振動工程と同時に実施する構成にしたが、この構成に限定されない。保護部材軟化工程は、剥離工程を開始するまでに該ヒータ部でウエーハを加温させ該保護部材を軟化可能であればよく、例えば、超音波振動工程よりも先に実施されていてもよい。また、超音波振動工程及び把持工程についても、剥離工程を開始するまでに実施されていればよく、特に順番は限定されない。
また、上記した第1、第2の実施の形態においては、ウエーハWを吸引保持する剥離テーブル21を例示したが、この構成に限定されない。剥離テーブル21は、ウエーハWを保持可能であれば、どのように構成されてもよい。
また、上記した第1の実施の形態においては、保護部材81の剥がし終わりの直前に、剥離テーブル21が停止されると共に、押圧ローラ61が保護部材81の表面から離間される構成としたが、この構成に限定されない。半分以上の保護部材81がウエーハWから剥がされていれば、把持部51の上昇力だけでウエーハWから保護部材81を剥がすことが可能である。
以上説明したように、本発明は、ウエーハから保護部材を良好に剥離することができるという効果を有し、特に、インゴットから切り出されたウエーハの一方の面に貼着された保護部材を、ウエーハの他方の面の研削後に剥がす保護部材の剥離方法及び剥離装置に有用である。
1、91 剥離装置
21 剥離テーブル
23 剥離テーブルの吸引面
31 水平移動部(移動手段)
51、96 把持部
56、99 上昇移動部(移動手段)
61 押圧ローラ
71 超音波振動手段
72 第2の超音波振動手段
76 ヒータ部
81 保護部材
82 樹脂シート
83 樹脂
84 保護部材の外周縁
86 ウエーハの上面(ウエーハの一方の面)
87 ウエーハの下面(ウエーハの他方の面)
89 保護部材の折曲げ部
W ウエーハ

Claims (4)

  1. ウエーハの一方の面に保護部材を貼着し、該保護部材を介して加工テーブルでウエーハを保持し露出する他方の面に所定の加工を施した後、該加工テーブルから搬出したウエーハの他方の面を剥離テーブルの吸引面で吸引保持し該保護部材をウエーハから剥離する保護部材の剥離方法であって、
    該保護部材は、ウエーハの外径以上の外径の樹脂シートと、少なくともウエーハの一方の面の全面の面積で該樹脂シートに塗布される樹脂と、から構成され、
    超音波振動手段により該保護部材に超音波振動を伝播させる超音波振動工程と、
    該保護部材の外周縁を把持部で把持する把持工程と、
    該超音波振動工程を継続させ該把持部をウエーハから離反する方向に移動させウエーハから該保護部材を剥離する剥離工程と、からなる保護部材の剥離方法。
  2. 該剥離テーブルには、吸引保持したウエーハを加温するヒータ部を備え、
    該剥離工程を開始するまでに該ヒータ部でウエーハを加温させ該保護部材を軟化させる保護部材軟化工程を含み、
    該剥離工程では、
    該把持部をウエーハの外周から中央に向かい、その延長の外周に向かって移動させ軟化した該保護部材を折曲げた折曲げ部を形成させ、該把持部の移動に伴い該折曲げ部が移動して該保護部材を剥離する請求項1記載の保護部材の剥離方法。
  3. ウエーハに貼着された保護部材の剥離方法を可能にする剥離装置であって、
    ウエーハを吸引保持する吸引面を有する剥離テーブルと、
    ウエーハの一方の面を保護する該保護部材をウエーハから剥離する剥離手段と、を備え、
    該剥離手段は、
    該保護部材の外周縁を把持する把持部と、
    該把持部が該保護部材を把持しウエーハから該保護部材を離間させる方向に該把持部と該剥離テーブルとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、
    該保護部材は、ウエーハの外径以上の外径の樹脂シートと、少なくともウエーハの一方の面の全面の面積で該樹脂シートに塗布される樹脂と、から構成され、
    該剥離テーブルは、該吸引面に超音波振動を伝播させ該吸引面で吸引保持するウエーハに超音波振動を伝播させる超音波振動手段と、該吸引面を加温するヒータ部と、を備える剥離装置。
  4. 該剥離手段は、該保護部材の上面を押圧する押圧ローラを備え、
    該押圧ローラは、該移動手段の移動方向に対して直交する方向に延在し、該保護部材の上面から超音波振動を伝播させる第2の超音波振動手段を備え、該移動手段により該押圧ローラが該剥離テーブルに対して相対的に移動される請求項3記載の剥離装置。
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