JP2016126976A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、近年、上記のような「LiMeO2型」活物質に対し、遷移金属(Me)に対するマンガン(Mn)のモル比Mn/Meが0.5を超え、充電をしてもα−NaFeO2構造を維持できる活物質が提案された。
正極と負極と非水電解質を備えたリチウム二次電池であって、前記正極は、α−NaFeO2構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、前記負極は、黒鉛と、非晶質炭素と、Siを構成元素に含む物質と、を含む負極活物質を有する合剤層を有し、前記Siを構成元素に含む物質のSi量の前記負極活物質中の質量比率が0.6〜1.9%であり、前記負極の合剤層の密度が1.39〜1.54g/ccであるリチウム二次電池。
例えば、LiCoO2を活物質とする正極と、黒鉛を活物質とする負極を用いた一般的なリチウム二次電池では、正極の効率が負極の効率に比べやや高いから、充放電サイクルが進行しても、負極制限の状態を維持できる。負極制限の状態では、LiCoO2を活物質とする正極が低電位まで放電されないので、充放電サイクルによる劣化が抑制される。なお、Si系物質は、黒鉛に比べて充放電効率が低い。したがって、黒鉛を活物質とする負極にSi系物質を混合しても、充放電サイクルの進行に伴う容量低下が進行するだけであり、無益である。
しかしながら、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極では、初回充電時にのみ深充電を行うことから、黒鉛を活物質とする負極と組み合わせると、初回充電後は電池の容量バランスが正極制限となる。正極制限の状態では、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極が低電位まで放電されるので、充放電サイクルを重ねるにつれて正極活物質の劣化が促進され、充放電サイクル性能が低下する原因となる。
しかし、正極に「リチウム過剰型」の活物質を用い、初回にのみ深充電を行う場合、上記したように、初回充電時に発生する正極不可逆容量を補うための負極活物質が必要となる。本発明によれば、黒鉛を主たる活物質とする負極に非晶質炭素及びSi系物質を混合させることで、この不可逆容量分を吸収させると共に、作動電位を貴とする作用によって深充電時の負極へのリチウム電析が抑制される。これにより、優れた容量性能とサイクル性能を両立したリチウム二次電池が得られたものと推察される。
本発明に係るリチウム二次電池におけるリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、リチウム(Li)と遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、モル比Mn/MeがMn/Me>0.5である。モル比Mn/Meは0.55〜0.75とすることが好ましい。
炭酸塩前駆体から作製されるリチウム繊維金属複合酸化物粒子は、2次粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50が、5μm以上であることが好ましく、5〜18μmであることがより好ましい。また、水酸化物前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、D50が、8μm以下であることが好ましく、8〜1μmであることがより好ましい。
次に、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法について説明する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、基本的に、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例で用いるリチウム遷移金属複合酸化物は、「共沈法」を採用して作製した。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
本発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することにより、前駆体が共沈水酸化物である場合においては、焼成温度が650℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、650℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができること、及び、前駆体が共沈炭酸塩である場合においては、焼成温度が750℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、750℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
Li1.13Co0.11Ni0.17Mn0.59O2
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.67)
Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2
(Li/Me=1.40、Mn/Me=0.67)
Li1.13Co0.17Ni0.17Mn0.53O2
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.60)
また、寿命特性をより向上させるために、得られたリチウム遷移金属複合酸化物に表面修飾を行ってもよい。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物粒子表面にAl、Ti、Zrなどの異種元素を付与することで、活物質からのCo、Ni、Mn(特にMn)の溶出を抑制することができる。
本願明細書において、黒鉛とは、平均面間隔d002が0.34nm未満であり、結晶子サイズLcが20nm以上の炭素質材料をいう。本発明に用いることができる黒鉛の種類は、限定されない。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。特性が安定した材料を入手できるという点で、人造黒鉛が好ましい。
本願明細書において、非晶質炭素とは、平均面間隔d002が0.34nm以上の炭素質材料をいう。なお、非晶質炭素の結晶子サイズLcは、一般に、0.8〜2nmである。本発明に用いることができる非晶質炭素の種類は、限定されない。非晶質炭素としては、平均面間隔d002が0.37nm以上のハードカーボンや、平均面間隔d002が0.34〜0.36nmのソフトカーボンが挙げられる。また、非晶質炭素としては、樹脂由来のもの、石油ピッチ由来のもの、アルコール由来のもの等が挙げられる。
Siを構成元素に含む物質としては、SiOx(0.5≦x≦1.5)、SiOx以外のSiの合金又は化合物、Si単体等が挙げられる。SiOxは、非晶質のSiO2マトリックス中に微結晶、又は非晶質層のSiが分散した構造であってもよい。SiOxは、十分な導電性を有さないから、導電性材料を有する物質で被覆されていることが望ましく、表面に微量のカーボンをコートしたSiOx粉末を用いることができる。
負極活物質は、黒鉛を主剤とし、非晶質炭素とSi系物質とを混合して作製する。
正極及び負極には、前記正極活物質、及び負極活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
集電体としては、アルミニウム箔、銅箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはアルミニウム箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合剤層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
本発明に係るリチウム二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。リチウム二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本発明のリチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図3に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
本発明のリチウム二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数のリチウム二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図4に、リチウム二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
<正極活物質の合成>
硫酸コバルト7水和物7.04g、硫酸ニッケル6水和物10.53g及び硫酸マンガン5水和物32.60gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が12.5:20.0:67.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、1.0Mの炭酸ナトリウム及び0.2Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に8.0(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
電極の作製にあたっては、N−メチルピロリドンを分散媒とし、上記の活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、正極を作製した。塗布重量を2g/100cm2に調整し、ロールプレス機を用いて厚みを調整することで、実施例1に係る正極の合剤密度を2.40g/ccとなるようにした。
負極活物質にはグラファイト(TIMCAL製 SFG15)、非晶質炭素であるハードカーボン(クレハ製 カーボトロンP)、及び1粒子中にSiとSiO2が分散し、表面にカーボンをコートしたSiOx粉末(信越化学製、以下「SiOC」という。)を質量比89.1:9.9:1.0に混合したものを用いた。なお、SiOCの質量比を元素Siの比率に換算すると、0.6である。
この混合活物質に対して、水に分散させたSBRを結着剤に、水に溶解させたCMCを増粘剤として、負極合剤に係る水系ペーストを作製した。このペーストをアプリケーターを用いて厚さ10μmの銅箔集電体上に片面塗布し、大気中100℃で乾燥させた。その後、ロールプレス機を用いて電極厚みを調整し、負極合剤密度を1.54g/ccとした。
非水電解質として、フルオロエチレンカーボネート(FEC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比が1:9である混合溶媒にプロペンサルトン2wt%を加え、濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリエチレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止して、実施例1のリチウム二次電池を作製した。
負極活物質中のSiOC混合量を、元素Siの比率に換算して、それぞれ1.2質量%、1.9質量%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2,3のリチウム二次電池を作製した。
負極合剤密度を1.48g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、実施例4〜6のリチウム二次電池を作製した。
負極合剤密度を1.39g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、実施例7〜9のリチウム二次電池を作製した。
Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が140:100になるように、共沈炭酸塩前駆体に炭酸リチウムを加えた以外は、実施例1と同様にして、正極活物質Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2を合成し、実施例1と同様にして正極を作製した。
合剤密度を1.50g/ccとした以外は、実施例2と同様の負極を作製した。
上記の正極及び負極を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例10のリチウム二次電池を作製した。
Co:Ni:Mnのモル比が20.0:20.0:60.0となるように秤量して作製した共沈炭酸塩前駆体を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極活物質Li1.13Co0.17Ni0.17Mn0.53O2を合成し、実施例1と同様にして正極を作製した。
実施例2と同様の負極活物質を用い、合剤密度1.45g/ccの負極を作製した。
上記の正極及び負極を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例11のリチウム二次電池を作製した。
SiOCを混合せず、黒鉛とハードカーボンの混合物負極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のリチウム二次電池を作製した。
負極活物質中のSiOC混合量を、元素Siの比率に換算して、それぞれ2.5質量%、3.1質量%とした負極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2,3のリチウム二次電池を作製した。
負極活物質中にハードカーボンを混合しない以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして比較例4〜6のリチウム二次電池を作製した。
負極合剤密度を1.62g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、比較例7〜9のリチウム二次電池を作製した。
負極合剤密度を1.35g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、比較例10〜12のリチウム二次電池を作製した。
正極活物質がLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2である以外は、実施例3と同様にして、比較例13のリチウム二次電池を作製した。
上記のリチウム二次電池について、初回充電を行った。初回充電は、25℃環境気下、0.1CmAの電流値で4.5Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02CmAに減衰するまで4.5Vの電圧を保持した。この時点における負極の利用率は92%である。放電は、電流値0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電で行った。次に、さらに、0.1CmAの電流値で4.35Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02CmAに低下するまで4.35Vの電圧を保持した。開回路状態で2h放置後、1CmAの電流値で2.0Vまで放電した。ここで得られた容量を「電池容量(mAh)」として記録した。
45℃環境下において50サイクルの充放電サイクル試験を行った。充電は、電流0.75CmAの定電流充電とし、充電終止電圧は4.35Vとした。放電は、電流0.75CmAの定電流放電とし、放電終止電圧は2.0Vとした。充電後及び放電後の休止期間は設けなかった。前記「電池容量(mAh)」に対する50サイクル後の放電容量の割合を算出し、「容量維持率(%)」として記録した。
なお、充放電サイクル後の正極活物質中のモル比Li/Meを次の手順によって確認した。上記充放電試験後、放電末状態の電池を解体して正極を単独で取り出し、金属リチウムを対極にしてセルを組み立て、電流0.1CmAにて2.0Vに至るまで定電流放電を行い、放電末状態とした。再び取り出した正極板をジメチルカーボネート(DMC)で洗浄し、室温で30分真空乾燥した。乾燥後の正極から、正極活物質とABとPVdFとが混合している正極合剤50mgを剥がし取り、35wt%塩酸中に加え、150℃で10分間煮沸することによって正極活物質のみを溶解した。この溶液をろ過することによってABとPVdFを取り除いた。得られたろ液についてICP発光分光分析をおこなった。その結果、モル比Li/Meは、合成後(充放電を行う前)のリチウム遷移金属複合酸化物のモル比Li/Meに対して95〜98%であった。
したがって、原料の仕込み量によって定まるリチウム遷移金属複合酸化物のLi/Meは、活物質として電池電極に用いると、充放電状態によってLi量が変化してしまうが、電池を解体して上記の処理を経て測定されるLi量に、約3%分加味することにより、正極活物質の合成後(充放電を行う前)のLi/Me量を推定することができる。
比較例10〜12は、合剤密度が1.39g/ccを下回る1.35g/ccである。低合剤密度により電池容量が低く、また、活物質粒子同士、及び、活物質と負極集電体との電気的接触が充分でないことにより、充放電サイクル性能も低下している。
したがって、「リチウム過剰型」の正極活物質と組み合わせる負極活物質がハードカーボンを含み、Si系物質を適量含んでいても、負極の合剤密度が1.39〜1.54g/ccの範囲外であると、十分な充放電サイクル性能が得られない。
1 リチウム二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (1)
- 正極と負極と非水電解質を備えたリチウム二次電池であって、
前記正極は、α−NaFeO2構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム(Li)と遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、
前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、
前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、
前記負極は、黒鉛と、非晶質炭素と、Siを構成元素に含む物質と、を含む負極活物質を有する合剤層を有し、
前記Siを構成元素に含む物質のSi量の前記負極活物質中の質量比率が0.6〜1.9%であり、
前記負極の合剤層の密度が1.39〜1.54g/ccであることを特徴とするリチウム二次電池。
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