JP2016126976A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】「リチウム過剰型」の活物質を有する正極を備えたリチウム二次電池において、高容量であり、良好な充放電サイクル性能を有するリチウム二次電池を提供する。【解決手段】正極活物質が、α−NaFeO2構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって、リチウム(Li)と、Co、Ni及びMnを含む遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5である正極と、負極活物質が、黒鉛と非晶質炭素とSiを構成元素に含む物質とからなり、前記Siを構成元素に含む物質のSi量の前記負極活物質中の質量比率が0.6〜1.9%であり、合剤密度が1.39〜1.54g/ccである負極とを組み合わせることにより、高容量で充放電サイクル性能に優れたリチウム二次電池を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有するリチウム二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池には、正極活物質として、α−NaFeO型結晶構造を有する「LiMeO型」活物質(Meは遷移金属)が検討され、LiCoOが広く実用化されていた。LiCoOを正極活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が120〜130mAh/g程度であった。
充放電サイクル性能の点でも優れる「LiMeO型」活物質が種々提案され、一部実用化されている。例えば、LiNi1/2Mn1/2やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3は、150〜180mAh/gの放電容量を有する。
前記Meとして、地球資源として豊富なMnを用いることが望まれていた。しかし、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5を超える「LiMeO型」活物質は、充電に伴いα−NaFeO型からスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できず、充放電サイクル性能が著しく劣るという問題があった。
そこで、近年、上記のような「LiMeO型」活物質に対し、遷移金属(Me)に対するマンガン(Mn)のモル比Mn/Meが0.5を超え、充電をしてもα−NaFeO構造を維持できる活物質が提案された。
特許文献1には、MeとしてNi,Co及びMnを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.62〜0.72であるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池であって、製造工程中に行う初期充放電における充電を4.5〜4.6V(vs.Li/Li)で行い、使用時における充電時の正極の最大到達電位を4.4V(vs.Li/Li)以下や4.3V(vs.Li/Li)以下とする電池について、200mAh/g以上の放電容量が得られることが記載されている。特許文献2にも、同様の正極活物質について、初期充放電の充電を4.6V(vs.Li/Li)で行い、その後の充放電を4.3V(vs.Li/Li)充電で行い、同様の高放電容量を得ることが記載されている。
このように、従来の「LiMeO型」正極活物質の場合とは異なり、MeとしてNi,Co及びMnを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5を超える正極活物質では、初回に、使用時の充電電位より高い4.5V以上の電位に至るまで充電(以下、「初回充電」という。)を行うことにより、高い放電容量が得られるという特徴がある。
なお、この材料は、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meが1より大きく、例えばLi/Meが1.25〜1.6であるように原料を混合して合成されることから、「リチウム過剰型」活物質ということができ、合成後の組成は理想的にLi1+αMe1−α(α>0)と表記できる。ここで、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meをβとすると、β=(1+α)/(1−α)であるから、例えば、Li/Meが1.5のとき、α=0.2である。
一方、「リチウム過剰型」活物質を用いる正極に組み合わせる負極に関して、特許文献3には、いわゆる層状型、スピネル型、又はオリビン型の第1リチウム複合酸化物と、Li1+a(MnbCocNi1-b-c1-a2(aは0<a≦0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−bである。)で表されるリチウム過剰型の第2リチウム複合酸化物を含む正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池における負極について、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化成炭素、黒鉛などの炭素材料や、金属元素又は半金属元素を構成元素として含む材料を活物質とすることが記載されている。また、酸化ケイ素や低結晶性の炭素材料などの不可逆容量の大きな材料が、充放電を繰り返しても高い電池容量が安定して得られることが記載されている(段落0104)。
特許文献4には、Li1+x(MnαCoβNiγ1−x・aLi4/3Mn2/3(0<a<1、α>0、β>0、γ>0、α+β+γ=1、0≦x<1/3)で表される正極活物質と、Sn系物質やSi系物質からなる負極活物質を組み合わせることにより、高容量でサイクル特性が良好なリチウム二次電池が得られることが記載されている。
特許文献5には、Li1+y+aNi(1−y−z+b)/2Mn(1−y−z−b)/2M1(M1はTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、MgおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、−0.1≦y≦0.1、−0.05≦a≦0.05、0≦z≦0.4、−0.1≦b≦0.6および1−y−z−b>0である)、又は Li1+c(ただし、−0.3≦c≦0.3であり、かつ、M2は、少なくともNi、MnおよびMgを含む3種以上の元素群を表し、Mを構成する各元素中で、Ni、MnおよびMgの割合(mol%)を、それぞれd、eおよびfとしたときに、70≦d≦97、0.5<e<30、0.5<f<30、−10<e−f<10および−8≦(e−f)/f≦8である)で表されるLi含有遷移金属酸化物を活物質として含有する正極と、SiOと黒鉛とを含み、SiOと黒鉛との合計100質量%中のSiOの比率が3〜20質量%である負極材料を用いた負極とを組み合わせることにより、高容量であり、かつ、SiOの体積変化に伴う電池特性の低下を抑制したリチウム二次電池を得ることが記載されている。
特許文献6には、炭素材料からなる活物質と、0.05質量%以上1質量%未満のSiもしくはSn、またはこれらの元素を含む材料からなる添加剤とを含有する負極合剤層を有する負極と、LiMnNiCo1−y−z(0≦x≦1.1、0<y<1.0、z<1.0である)などのリチウム含有複合酸化物を活物質として含む正極とを組み合わせて、充放電サイクル特性及び高温貯蔵性、及び過充電時の安全性に優れた非水電解質二次電池を得ることが記載されている。
WO2012/091015 WO2013/084923 特開2012−142157号公報 特開2009−158415号公報 特開2010−212228号公報 特開2012−84426号公報
従来技術では、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極の場合、高容量を引き出すために、使用時の作動電位を超える電位に至るまで初回充電を行い、高容量を引き出している。ところが、初回充電時のみ、使用時の電位を超える深充電を行うことから、初回充電過程で正極活物質から引き抜かれるリチウム量は、使用時の充電過程で正極活物質から引き抜かれるリチウム量を超えることになる。従って、初回充電時に余剰に引き抜かれるリチウムを吸蔵するために、初回充電時にしか必要でない余剰の負極活物質が必要である。
初回に深充電を行う「リチウム過剰型」の正極活物質が有する高容量性に見合う高容量な負極活物質として、Siを構成元素に含む物質(以下、「Si系物質」ともいう。)は、特許文献3、特許文献4に記載されているが、充放電に伴う体積変化が大きいことも知られている。したがって、特許文献3、4に記載される、Si系物質の割合が高い負極活物質では、電池の高容量化と充放電サイクル性能の向上との両立は困難である。
一方、高容量化に適する負極活物質としては、Siを構成元素に含む物質と炭素質材料とを混合したものも知られており、特許文献5,6には、黒鉛を主体とし、Si系物質を3〜20質量%又は0.05〜1質量%添加した負極活物質について記載されている。しかし、正極活物質として、Mn/Meが0.5を超え、初回に深充電を要するものは想定されていない。
すなわち、初回に深充電を要する「リチウム過剰型」の活物質を有する正極と組み合わせる負極の活物質について、容量性能、充放電サイクル性能の観点から十分な検討が行われていなかった。
本発明は、このような課題に鑑み、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極を用いて、高容量で、充放電サイクル性能の改善された非水電解質二次電池を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極と組み合わせる負極の活物質について、種々検討したところ、黒鉛に非晶質炭素を加えた炭素質材料に、Siを構成元素に含む物質を少量混合し、合剤密度を最適化することにより、高容量で充放電サイクル性能の改善されたリチウム二次電池が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
正極と負極と非水電解質を備えたリチウム二次電池であって、前記正極は、α−NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、前記負極は、黒鉛と、非晶質炭素と、Siを構成元素に含む物質と、を含む負極活物質を有する合剤層を有し、前記Siを構成元素に含む物質のSi量の前記負極活物質中の質量比率が0.6〜1.9%であり、前記負極の合剤層の密度が1.39〜1.54g/ccであるリチウム二次電池。
本発明によれば、高容量で充放電サイクル性能が顕著に向上したリチウム二次電池を提供することができる。
LiCoO正極と負極の組み合わせによる放電容量バランスの模式図 「リチウム過剰型」正極と負極の組み合わせによる放電容量バランスの模式図 本発明に係る非水電解質電池の外観図 本発明に係る非水電解質電池を集合してなる蓄電装置の概念図
本発明者らは、鋭意検討した結果、黒鉛と非晶質炭素とSi系物質を混合し、前記Si系物質中のSiの質量が負極活物質中で0.6〜1.9%であり、負極合剤の密度が1.39〜1.54g/ccである場合、「リチウム過剰型」活物質を含む正極を備えた電池の放電容量が大きくなるとともに、充放電サイクル性能が向上することを見出した。
図1及び図2は、電池の容量バランスの模式図である。正極と負極の容量バランスを負極制限として組み立てた電池について、充放電サイクルが進行したときの放電曲線を示している。
例えば、LiCoOを活物質とする正極と、黒鉛を活物質とする負極を用いた一般的なリチウム二次電池では、正極の効率が負極の効率に比べやや高いから、充放電サイクルが進行しても、負極制限の状態を維持できる。負極制限の状態では、LiCoOを活物質とする正極が低電位まで放電されないので、充放電サイクルによる劣化が抑制される。なお、Si系物質は、黒鉛に比べて充放電効率が低い。したがって、黒鉛を活物質とする負極にSi系物質を混合しても、充放電サイクルの進行に伴う容量低下が進行するだけであり、無益である。
しかしながら、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極では、初回充電時にのみ深充電を行うことから、黒鉛を活物質とする負極と組み合わせると、初回充電後は電池の容量バランスが正極制限となる。正極制限の状態では、「リチウム過剰型」の活物質を有する正極が低電位まで放電されるので、充放電サイクルを重ねるにつれて正極活物質の劣化が促進され、充放電サイクル性能が低下する原因となる。
これに対して、Si系物質は、黒鉛に比べて充放電効率が低い。したがって、黒鉛及びSi系物質を含有する負極を「リチウム過剰型」の複合酸化物を用いた正極と組み合わせることで、正極制限の電池となることを避けることができるため、正極を低電位まで放電させることなく充放電サイクルを行うことができる。よって、Si系物質が体積変化が大きいことに伴う充放電サイクル性能上の不利益を上回って、充放電サイクル性能が改善したと推察される。
非晶質炭素は、黒鉛と同様にリチウムイオンを電気化学的に吸蔵放出できるが、リチウムイオン電池の負極として用いた場合の平均作動電位が、黒鉛に比べて貴である。従って、黒鉛を活物質とする負極に非晶質炭素を混合すると、一般に容量性能が低下する。
しかし、正極に「リチウム過剰型」の活物質を用い、初回にのみ深充電を行う場合、上記したように、初回充電時に発生する正極不可逆容量を補うための負極活物質が必要となる。本発明によれば、黒鉛を主たる活物質とする負極に非晶質炭素及びSi系物質を混合させることで、この不可逆容量分を吸収させると共に、作動電位を貴とする作用によって深充電時の負極へのリチウム電析が抑制される。これにより、優れた容量性能とサイクル性能を両立したリチウム二次電池が得られたものと推察される。
なお、Si系物質の混合量が多すぎると、Si系物質の体積変化が大きいため、充放電サイクルを重ねるにつれて負極の劣化が発生し、充放電サイクル性能が劣化するという、従来の技術常識から予測されるとおりの現象が起こる。
また、負極の合剤密度によっても、充放電サイクル性能は影響を受ける。合剤密度が大きすぎると、多孔度が小さくなるため、活物質と電解質との接触面積が小さくなり、Liイオンの放出・吸蔵が速やかに行われず、電池抵抗が上昇し、充放電サイクル性能が劣化する。また、合剤密度が小さすぎると、活物質の密着性が低下し、剥離しやすくなるので、やはり充放電サイクル性能が低下する。
(正極活物質)
本発明に係るリチウム二次電池におけるリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、リチウム(Li)と遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、モル比Mn/MeがMn/Me>0.5である。モル比Mn/Meは0.55〜0.75とすることが好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム二次電池の初期効率及び高率放電性能を向上させるために、遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meを0.05〜0.40とすることが好ましく、0.10〜0.30とすることがより好ましい。
本発明に係るリチウム過剰型リチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO構造を有している。合成後(充放電を行う前)の上記リチウム遷移金属複合酸化物は、空間群P312あるいはR3−mに帰属される。このうち、空間群P312に帰属されるものには、CuKα管球を用いたエックス線回折図上、2θ=21°付近に超格子ピーク(Li[Li1/3Mn2/3]O型の単斜晶に見られるピーク)が確認される。ところが、一度でも充電を行い、結晶中のLiが脱離すると結晶の対称性が変化することにより、上記超格子ピークが消滅して、上記リチウム遷移金属複合酸化物は空間群R3−mに帰属されるようになる。ここで、P312は、R3−mにおける3a、3b、6cサイトの原子位置を細分化した結晶構造モデルであり、R3−mにおける原子配置に秩序性が認められるときに該P312モデルが採用される。なお、「R3−m」は本来「R3m」の「3」の上にバー「−」を施して表記すべきものである。
また、リチウム過剰型リチウム遷移金属複合酸化物は、CuKα線源を用いたエックス線回折パターンにおける2θ=44±1°の回折ピークの半値幅を0.265°以上とすることが好ましい。これにより、正極活物質の高率放電性能を向上させることが可能となる。2θ=44±1°の回折ピークの半値幅の上限は限定されるものではないが、0.285程度までとすることができる。なお、2θ=44±1°の回折ピークは、空間群P312では(114)面、空間群R3−mでは(104)面にそれぞれ指数付けされる。
さらに、リチウム過剰型リチウム遷移金属複合酸化物は、エックス線回折パターンを基にリートベルト法による結晶構造解析から求められる酸素位置パラメータが、放電末において0.262以下、充電末において0.267以上であることが好ましい。これにより、高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得ることができる。なお、酸素位置パラメータとは、空間群R3−mに帰属されるリチウム遷移金属複合酸化物のα―NaFeO型結晶構造について、Me(遷移金属)の空間座標を(0,0,0)、Li(リチウム)の空間座標を(0,0,1/2)、O(酸素)の空間座標を(0,0,z)と定義したときの、zの値をいう。即ち、酸素位置パラメータは、O(酸素)位置がMe(遷移金属)位置からどれだけ離れているかを示す相対的な指標となる(特許文献1及び2参照)。
リチウム遷移金属複合酸化物は、Mn/Meが高いにも関わらず、充電してもα−NaFeO構造を維持するために、遷移金属Meに対するリチウム(Li)のモル比Li/Meは1より大きくする。なかでも、初期効率及び高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得るために、遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meは、1.2より大きく且つ1.6より小さいこと、すなわち、組成式Li1+αMe1−αにおいて、1.2<(1+α)/(1−α)<1.6とすることが好ましい。放電容量が特に大きく、高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得ることができるという観点から、前記Li/Meが1.25〜1.5のものを選択することが好ましい。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、典型的には、Li1+α(CoNiMn1−α、但し、α>0、a+b+c=1、a>0、b>0、c≧0.6で表わされるものであり、Li、Co、Ni及びMnからなる複合酸化物であるが、放電容量を向上させるために、Naを1000ppm以上含ませることが好ましい。Naの含有量は、2000〜10000ppmがより好ましい。
Naを含有させるために、水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体を作製する工程において、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を中和剤として使用し、洗浄工程でNaを残存させるか、及び、その後の焼成工程において炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を添加する方法を採用することができる。
また、リチウム遷移金属複合酸化物は、本発明の効果を損なわない範囲で、Na以外のアルカリ金属、Mg,Ca等のアルカリ土類金属、Fe,Zn等の3d遷移金属に代表される遷移金属など少量の他の金属を含有することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物は、炭酸塩前駆体、又は水酸化物前駆体から作製される。
炭酸塩前駆体から作製されるリチウム繊維金属複合酸化物粒子は、2次粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50が、5μm以上であることが好ましく、5〜18μmであることがより好ましい。また、水酸化物前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、D50が、8μm以下であることが好ましく、8〜1μmであることがより好ましい。
本発明において、初期効率及び充放電サイクル性能が優れたリチウム二次電池用正極活物質を得るために、炭酸塩前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30〜40nmの範囲で、ピーク微分細孔容積が0.75mm/(g・nm)以上であることが好ましい(特許文献2参照)。
また、本発明に係る正極活物質のタップ密度は、充放電サイクル性能及び高率放電性能が優れたリチウム二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
(正極活物質の製造方法)
次に、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法について説明する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、基本的に、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnなど)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例で用いるリチウム遷移金属複合酸化物は、「共沈法」を採用して作製した。
共沈前駆体を作製するにあたって、Co,Ni,MnのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mnが2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、Co,Ni,Mnの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に本発明の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いので、水溶液中の溶存酸素を除去することが特に重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。なかでも、共沈炭酸塩前駆体を作製する場合には、酸素を含まないガスとして二酸化炭素を採用すると、炭酸塩がより生成しやすい環境が与えられるため、好ましい。
溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHは限定されるものではないが、前記共沈前駆体を共沈水酸化物前駆体として作製しようとする場合には、10〜14とすることができ、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、7.5〜11とすることができる。タップ密度を大きくするためには、pHを制御することが好ましい。共沈炭酸塩前駆体については、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電性能を向上させることができる。さらに、pHを8.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できる。
前記共沈前駆体は、MnとNiとCoとが均一に混合された化合物であることが好ましい。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度の活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
前記共沈前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を一例として挙げることができる。
本発明においては、アルカリ性を保った反応槽に前記共沈前駆体の原料水溶液を連続的に滴下供給して共沈前駆体を得る反応晶析法を採用する。ここで、中和剤として、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物等を使用することができるが、前記共沈前駆体を共沈水酸化物前駆体として作製する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムと水酸化リチウム、又は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物を使用することが好ましく、また、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製する場合には、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸リチウム、又は、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物を使用することが好ましい。Naを1000ppm以上残存させるために、炭酸ナトリウム(水酸化ナトリウム)と炭酸リチウム(水酸化リチウム)のモル比であるNa/Li、又は、炭酸ナトリウム(水酸化ナトリウム)と炭酸カリウム(水酸化カリウム)のモル比であるNa/Kは、1/1[M]以上とすることが好ましい。Na/Li又はNa/Kを1/1[M]以上とすることにより、引き続く洗浄工程でNaが除去されすぎて1000ppm未満となってしまう虞を低減できる。
前記原料水溶液の滴下速度は、生成する共沈前駆体の1粒子内における元素分布の均一性に大きく影響を与える。特にMnは、CoやNiと均一な元素分布を形成しにくいので注意が必要である。好ましい滴下速度については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、30ml/min以下が好ましい。放電容量を向上させるためには、滴下速度は10ml/min以下がより好ましく、5ml/min以下が最も好ましい。
また、反応槽内に錯化剤が存在し、かつ一定の対流条件を適用した場合、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続けることにより、粒子の自転および攪拌槽内における公転が促進され、この過程で、粒子同士が衝突しつつ、粒子が段階的に同心円球状に成長する。即ち、共沈前駆体は、反応槽内に原料水溶液が滴下された際の金属錯体形成反応、及び、前記金属錯体が反応槽内の滞留中に生じる沈殿形成反応という2段階での反応を経て形成される。従って、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続ける時間を適切に選択することにより、目的とする粒子径を備えた共沈前駆体を得ることができる。
原料水溶液滴下終了後の好ましい攪拌継続時間については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、粒子を均一な球状粒子として成長させるために0.5h以上が好ましく、1h以上がより好ましい。また、粒子径が大きくなりすぎることで電池の低SOC領域における出力性能が充分でないものとなる虞を低減させるため、30h以下が好ましく、25h以下がより好ましく、20h以下が最も好ましい。
また、共沈水酸化物前駆体から作製するリチウム遷移金属複合酸化物の50%粒子径(D50)を1〜8μmとするための好ましい攪拌継続時間、共沈炭酸塩前駆体から作製するリチウム遷移金属複合酸化物の50%粒子径(D50)を5〜18μmとするための好ましい攪拌継続時間は、制御するpHによって異なる。例えば、共沈水酸化物前駆体については、pHを10〜12に制御した場合には、撹拌継続時間は1〜10hが好ましく、pHを12〜14に制御した場合には、撹拌継続時間は3〜20hが好ましい。共沈炭酸塩前駆体については、pHを7.5〜8.2に制御した場合には、撹拌継続時間は1〜20hが好ましく、pHを8.3〜9.4に制御した場合には、撹拌継続時間は3〜24hが好ましい。
共沈前駆体の粒子を、中和剤として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を使用して作製した場合、その後の洗浄工程において粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去するが、本発明においては、Naが1000ppm以上残存するような条件で洗浄除去することが好ましい。例えば、作製した共沈前駆体を吸引ろ過して取り出す際に、イオン交換水200mlによる洗浄回数を5回とするような条件を採用することができる。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体とLi化合物とを混合した後、熱処理することで好適に作製することができる。Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることで好適に製造することができる。但し、Li化合物の量については、焼成中にLi化合物の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物中のNaの含有量を1000ppm以上とするために、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体に含まれるNaが1000ppm以下であっても、焼成工程においてLi化合物と共にNa化合物を、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体と混合することで活物質中に含まれるNa量を1000ppm以上とすることができる。Na化合物としては炭酸ナトリウムが好ましい。
焼成温度は、活物質の可逆容量に影響を与える。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本発明において、共沈水酸化物を前駆体として用いたときには焼成温度は少なくとも700℃以上とすることが好ましい。また、共沈炭酸塩を前駆体として用いたときには焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが好ましい。特に、前駆体が共沈炭酸塩である場合の最適な焼成温度は、前駆体に含まれるCo量が多いほど、より低い温度となる傾向がある。このように1次粒子を構成する結晶子を十分に結晶化させることにより、結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すことができる。
本発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することにより、前駆体が共沈水酸化物である場合においては、焼成温度が650℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、650℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができること、及び、前駆体が共沈炭酸塩である場合においては、焼成温度が750℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、750℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
上記のように、焼成温度は、活物質の酸素放出温度に関係するが、活物質から酸素が放出される焼成温度に至らずとも、900℃以上において1次粒子が大きく成長することによる結晶化現象が見られる。これは、焼成後の活物質を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。900℃を超えた合成温度を経て合成した活物質は1次粒子が0.5μm以上に成長しており、充放電反応中における活物質中のLiイオンの移動に不利な状態となり、高率放電性能が低下する。1次粒子の大きさは0.5μm未満であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
以上のことからみて、リチウム遷移金属複合酸化物において、Li/Meのモル比(1+α)/(1−α)が1.2<(1+α)/(1−α)<1.6である場合、焼成温度は、750〜900℃とすることが好ましく、800〜900℃とすることがより好ましい。
以上の工程により、例えば以下のα―NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が作製される。
Li1.13Co0.11Ni0.17Mn0.59
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.67)
Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56
(Li/Me=1.40、Mn/Me=0.67)
Li1.13Co0.17Ni0.17Mn0.53
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.60)
また、寿命特性をより向上させるために、得られたリチウム遷移金属複合酸化物に表面修飾を行ってもよい。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物粒子表面にAl、Ti、Zrなどの異種元素を付与することで、活物質からのCo、Ni、Mn(特にMn)の溶出を抑制することができる。
(負極活物質)
本願明細書において、黒鉛とは、平均面間隔d002が0.34nm未満であり、結晶子サイズLcが20nm以上の炭素質材料をいう。本発明に用いることができる黒鉛の種類は、限定されない。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。特性が安定した材料を入手できるという点で、人造黒鉛が好ましい。
本願明細書において、非晶質炭素とは、平均面間隔d002が0.34nm以上の炭素質材料をいう。なお、非晶質炭素の結晶子サイズLcは、一般に、0.8〜2nmである。本発明に用いることができる非晶質炭素の種類は、限定されない。非晶質炭素としては、平均面間隔d002が0.37nm以上のハードカーボンや、平均面間隔d002が0.34〜0.36nmのソフトカーボンが挙げられる。また、非晶質炭素としては、樹脂由来のもの、石油ピッチ由来のもの、アルコール由来のもの等が挙げられる。
Siを構成元素に含む物質としては、SiO(0.5≦x≦1.5)、SiO以外のSiの合金又は化合物、Si単体等が挙げられる。SiOは、非晶質のSiOマトリックス中に微結晶、又は非晶質層のSiが分散した構造であってもよい。SiOは、十分な導電性を有さないから、導電性材料を有する物質で被覆されていることが望ましく、表面に微量のカーボンをコートしたSiO粉末を用いることができる。
負極活物質は、黒鉛を主剤とし、非晶質炭素とSi系物質とを混合して作製する。
(正極・負極)
正極及び負極には、前記正極活物質、及び負極活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、特に0.5質量%〜30質量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総質量に対して添加量は30質量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記正極活物質、前記負極活物質、およびその他の材料を混練して正極合剤及び負極合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水に混合させた後、得られた混合液を集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
集電体としては、アルミニウム箔、銅箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはアルミニウム箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合剤層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
(非水電解質)
本発明に係るリチウム二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF6,LiPF,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,LiB10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CH)4NBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(C2H5)4N−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有するリチウム二次電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/Lである。
(セパレータ)
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。リチウム二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせたりすることが可能である。
(リチウム二次電池の構成)
本発明のリチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図3に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
(蓄電装置の構成)
本発明のリチウム二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数のリチウム二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図4に、リチウム二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
以下の実施例1〜3及び比較例1〜6の電池を作製した。
(実施例1)
<正極活物質の合成>
硫酸コバルト7水和物7.04g、硫酸ニッケル6水和物10.53g及び硫酸マンガン5水和物32.60gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が12.5:20.0:67.5となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、COガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCOを溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、1.0Mの炭酸ナトリウム及び0.2Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に8.0(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて200mlによる洗浄を1回としたときに、5回の洗浄を行う条件で粒子に付着しているナトリウムイオンを適度に洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウム0.970gを加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が130:100である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から850℃まで10時間かけて昇温し、850℃で4h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1の正極活物質に係るリチウム遷移金属複合酸化物Li1.13Co0.11Ni0.17Mn0.59を作製し、α−NaFeOを有していることを確認した。
<正極の作製>
電極の作製にあたっては、N−メチルピロリドンを分散媒とし、上記の活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、正極を作製した。塗布重量を2g/100cmに調整し、ロールプレス機を用いて厚みを調整することで、実施例1に係る正極の合剤密度を2.40g/ccとなるようにした。
<負極活物質の調製>
負極活物質にはグラファイト(TIMCAL製 SFG15)、非晶質炭素であるハードカーボン(クレハ製 カーボトロンP)、及び1粒子中にSiとSiOが分散し、表面にカーボンをコートしたSiO粉末(信越化学製、以下「SiOC」という。)を質量比89.1:9.9:1.0に混合したものを用いた。なお、SiOCの質量比を元素Siの比率に換算すると、0.6である。
<負極の作製>
この混合活物質に対して、水に分散させたSBRを結着剤に、水に溶解させたCMCを増粘剤として、負極合剤に係る水系ペーストを作製した。このペーストをアプリケーターを用いて厚さ10μmの銅箔集電体上に片面塗布し、大気中100℃で乾燥させた。その後、ロールプレス機を用いて電極厚みを調整し、負極合剤密度を1.54g/ccとした。
<電池の作製>
非水電解質として、フルオロエチレンカーボネート(FEC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比が1:9である混合溶媒にプロペンサルトン2wt%を加え、濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリエチレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止して、実施例1のリチウム二次電池を作製した。
(実施例2,3)
負極活物質中のSiOC混合量を、元素Siの比率に換算して、それぞれ1.2質量%、1.9質量%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2,3のリチウム二次電池を作製した。
(実施例4〜6)
負極合剤密度を1.48g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、実施例4〜6のリチウム二次電池を作製した。
(実施例7〜9)
負極合剤密度を1.39g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、実施例7〜9のリチウム二次電池を作製した。
(実施例10)
Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が140:100になるように、共沈炭酸塩前駆体に炭酸リチウムを加えた以外は、実施例1と同様にして、正極活物質Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56を合成し、実施例1と同様にして正極を作製した。
合剤密度を1.50g/ccとした以外は、実施例2と同様の負極を作製した。
上記の正極及び負極を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例10のリチウム二次電池を作製した。
(実施例11)
Co:Ni:Mnのモル比が20.0:20.0:60.0となるように秤量して作製した共沈炭酸塩前駆体を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極活物質Li1.13Co0.17Ni0.17Mn0.53を合成し、実施例1と同様にして正極を作製した。
実施例2と同様の負極活物質を用い、合剤密度1.45g/ccの負極を作製した。
上記の正極及び負極を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例11のリチウム二次電池を作製した。
(比較例1)
SiOCを混合せず、黒鉛とハードカーボンの混合物負極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のリチウム二次電池を作製した。
(比較例2,3)
負極活物質中のSiOC混合量を、元素Siの比率に換算して、それぞれ2.5質量%、3.1質量%とした負極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2,3のリチウム二次電池を作製した。
(比較例4〜6)
負極活物質中にハードカーボンを混合しない以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして比較例4〜6のリチウム二次電池を作製した。
(比較例7〜9)
負極合剤密度を1.62g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、比較例7〜9のリチウム二次電池を作製した。
(比較例10〜12)
負極合剤密度を1.35g/ccとした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、比較例10〜12のリチウム二次電池を作製した。
(比較例13)
正極活物質がLiCo1/3Ni1/3Mn1/3である以外は、実施例3と同様にして、比較例13のリチウム二次電池を作製した。
<容量確認試験>
上記のリチウム二次電池について、初回充電を行った。初回充電は、25℃環境気下、0.1CmAの電流値で4.5Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02CmAに減衰するまで4.5Vの電圧を保持した。この時点における負極の利用率は92%である。放電は、電流値0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電で行った。次に、さらに、0.1CmAの電流値で4.35Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02CmAに低下するまで4.35Vの電圧を保持した。開回路状態で2h放置後、1CmAの電流値で2.0Vまで放電した。ここで得られた容量を「電池容量(mAh)」として記録した。
<充放電サイクル試験>
45℃環境下において50サイクルの充放電サイクル試験を行った。充電は、電流0.75CmAの定電流充電とし、充電終止電圧は4.35Vとした。放電は、電流0.75CmAの定電流放電とし、放電終止電圧は2.0Vとした。充電後及び放電後の休止期間は設けなかった。前記「電池容量(mAh)」に対する50サイクル後の放電容量の割合を算出し、「容量維持率(%)」として記録した。
<Li/Meの確認試験>
なお、充放電サイクル後の正極活物質中のモル比Li/Meを次の手順によって確認した。上記充放電試験後、放電末状態の電池を解体して正極を単独で取り出し、金属リチウムを対極にしてセルを組み立て、電流0.1CmAにて2.0Vに至るまで定電流放電を行い、放電末状態とした。再び取り出した正極板をジメチルカーボネート(DMC)で洗浄し、室温で30分真空乾燥した。乾燥後の正極から、正極活物質とABとPVdFとが混合している正極合剤50mgを剥がし取り、35wt%塩酸中に加え、150℃で10分間煮沸することによって正極活物質のみを溶解した。この溶液をろ過することによってABとPVdFを取り除いた。得られたろ液についてICP発光分光分析をおこなった。その結果、モル比Li/Meは、合成後(充放電を行う前)のリチウム遷移金属複合酸化物のモル比Li/Meに対して95〜98%であった。
したがって、原料の仕込み量によって定まるリチウム遷移金属複合酸化物のLi/Meは、活物質として電池電極に用いると、充放電状態によってLi量が変化してしまうが、電池を解体して上記の処理を経て測定されるLi量に、約3%分加味することにより、正極活物質の合成後(充放電を行う前)のLi/Me量を推定することができる。
以上の実施例及び比較例の電池の特性を表1に示す。
比較例1は、「リチウム過剰型」の正極活物質と組み合わせる負極活物質として、ハードカーボンを含むが、Si系物質を含まない例である。黒鉛より平均動作電位が貴であるハードカーボンを含み、充放電サイクルによる体積変化が殆どない負極活物質であるため、充放電サイクル性能は良いものの、「リチウム過剰型」の正極活物質の高容量性を十分に生かすことができないから、電池容量は高くない。これに対して、Si系物質を2.5質量%や3.1質量%含む比較例2,3は、電池容量は高いものの、Si系物質の体積変化による影響が大きいため、ハードカーボンを含む効果を打ち消して、充放電サイクル性能が低下している。
比較例4〜6は、「リチウム過剰型」の正極活物質と組み合わせる負極活物質に、Si系物質は含むが、ハードカーボンを含まない例である。負極活物質がSi系物質を含むことにより、正極制限となることを避け、正極活物質の劣化を防止しているが、平均動作電位が黒鉛より貴なハードカーボンを欠いているため、深充電時の負極へのリチウム電析が抑制されない。したがって、高容量ではあるものの、充放電サイクル性能が低下している。
比較例7〜9は、負極の合剤密度が1.54g/ccを上回る1.62g/ccである。負極制限の電池であるため、高い合剤密度により、高い電池容量が得られるが、多孔度が十分でないため、Liイオンの移動が速やかに行われず、電池抵抗が上昇し、充放電サイクル性能が劣化している。
比較例10〜12は、合剤密度が1.39g/ccを下回る1.35g/ccである。低合剤密度により電池容量が低く、また、活物質粒子同士、及び、活物質と負極集電体との電気的接触が充分でないことにより、充放電サイクル性能も低下している。
したがって、「リチウム過剰型」の正極活物質と組み合わせる負極活物質がハードカーボンを含み、Si系物質を適量含んでいても、負極の合剤密度が1.39〜1.54g/ccの範囲外であると、十分な充放電サイクル性能が得られない。
これに対して、負極活物質がハードカーボンを含み、Si系物質の混合量が0.6〜1.9質量%であり、負極合剤密度が1.39〜1.54g/ccである実施例1〜11では、「リチウム過剰型」正極活物質の高容量性を活かしつつ、良好な充放電サイクル性能を奏している。
比較例13は、従来の「LiMeO型」活物質を有する正極と本発明の負極とを組み合わせた電池であるから、高容量が得られない。
(符号の説明)
1 リチウム二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
以上のとおり、本発明は、高い容量性能と、良好な充放電サイクル性能を有するリチウム二次電池を提供することができるから、携帯機器用はもちろんのこと、ハイブリッド自動車用、電気自動車用電池としての利用が可能である。

Claims (1)

  1. 正極と負極と非水電解質を備えたリチウム二次電池であって、
    前記正極は、α−NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム(Li)と遷移金属(Me)のモル比Li/MeがLi/Me>1であり、
    前記遷移金属がCo、Ni及びMnを含み、
    前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、
    前記負極は、黒鉛と、非晶質炭素と、Siを構成元素に含む物質と、を含む負極活物質を有する合剤層を有し、
    前記Siを構成元素に含む物質のSi量の前記負極活物質中の質量比率が0.6〜1.9%であり、
    前記負極の合剤層の密度が1.39〜1.54g/ccであることを特徴とするリチウム二次電池。
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