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非水電解質二次電池
JP6354964B2
Japan
Description
translated from
の発明が記載され、この発明によれば、「電池の容量維持性能を改善しながら、かつ、電池の充電保存時における開放電圧の低下を著しく抑制できる非水電解液、および、該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することができる」(段落[0037])ことが記載されている。
R1−A−R2 (1)
(式中、R1 およびR2 は各々独立して、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、もしくはアルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表すか、R1 とR2 は互いに結合して−A−とともに不飽和結合を含んでいてもよい環状構造を形成し、Aは式(2)〜(5)のいずれかで表される構造を有する)
の発明が記載され、この発明によれば、「二次電池の場合にはサイクル特性に優れた非水系電解液電池を提供することができる」(段落[0046])ことが記載されている。
の発明が記載され、この発明により、「高いサイクル特性と電池の膨れを防止した非水電解液二次電池を提供できる」(段落[0011])ことが記載されている。
また、特許文献2及び3には、特定の環状硫酸エステル化合物を含有する非水電解液を用いることにより、非水電解液二次電池のサイクル特性を改善することが記載されているが、正極活物質として、α−NaFeO2型結晶構造を有し、Mn並びにCo及び/又はNiを含有するリチウム遷移金属複合酸化物である「リチウム過剰型」正極活物質を用いることについては具体的な記載がなく、環状硫酸エステル化合物として、ジグリコールサルフェートを用いることも記載されていない。
正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極は、α−NaFeO2型結晶構造を有し、Mn並びにCo及び/又はNiを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含み、前記リチウム遷移金属複合酸化物において遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1より大きく、遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.44〜0.85であり、且つ、前記非水電解質は、下記一般式(1)で表される環状スルホン酸化合物を非水電解質の総質量の5質量%未満含有していることを特徴とする非水電解質二次電池である。
一方、α−NaFeO2構造を有さないリチウム遷移金属酸化物、例えば、スピネル構造を有するLiMn2O4等を正極活物質として用いた非水電解質電池では、本発明の効果を奏さないので好ましくない。
「Li過剰型」正極活物質は、充放電サイクル性能が劣るが、上記一般式(1)で表される環状スルホン酸化合物を含有した非水電解質を用いることにより、充放電サイクル性能が顕著に向上する。
また、D50を5μm以上とすることが、正極場における環状スルホン酸化合物の不要な分解を抑制することができ、より充放電サイクル性能が向上することから好ましい。
また、タップ密度は、高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
一般式(1)において、R1及びR2のいずれか一方が式(4)で表される基且つ他方が水素原子である環状スルホン酸化合物は、ジグリコールサルフェート(DGLST)に相当し、特許文献1において、4,4’−ビス(2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン)として示され、1,2:3,4−ジ−O−スルファニル−メゾ−エリスリトール、1,2:3,4−ジ−O−スルファニル−D,L−スレイトールの2種類のジアステレオマーが存在すると記載されているものである。
R1及びR2が、式(2)で表される互いに結合した基を示す環状スルホン酸化合物は、エリスリトール(エリトリトール)と同様の4価のアルコールを原料とし、スルホン酸と化合した2個の環を有するから、DGLSTと同様の化合物である。R1及びR2のいずれか一方が、式(5)で表される基且つ他方が水素原子である環状スルホン酸化合物も、スルホン酸と化合した2個の環を有するから、DGLSTと同様の化合物である。
R1及びR2のいずれか一方が一般式(3)で表される基且つ他方が水素原子である環状スルホン酸化合物は、3価のアルコールを原料とし、環は1個であるが、2個のスルホン酸と化合した化合物であり、ジグリコールサルフェートと同様の効果を奏するものである。R3がメチル基の場合は、4−メチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオランであり、R3がエチル基の場合は、4−エチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオランである。
これらの中でも、非水電解質への含有量が少なくて済むことから、分子量の小さいジグリコールサルフェートが好ましい。
α−NaFeO2型結晶構造を有し、Mnを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含む正極は、充放電に伴い、正極からMnが電解液中に溶出し、そのMnが負極に到達して、負極上でMnを含む被膜が形成される。このMnを含む被膜が、サイクル特性等の電池の寿命を低下させる原因になっていると考えられる。
DGLSTの還元分解電位は約1.1V(vs.Li/Li+)であり、他の一般的な溶媒よりも比較的高いため、非水電解質二次電池の初回充電時に他の溶媒に先駆けて、負極上にDGLST由来の被膜が形成される。その還元分解時に、スルホン酸を含む部位が分離し、この部位が、正極からの溶解等により発生するMnを補足することにより、負極上にMnを含む被膜が形成されることを防ぐと推測される。よって、DGLSTを非水電解質に含有させることにより、サイクル特性等の非水電解質二次電池の寿命が改善するものと考えられる。
特に、Li/Me比が1.25以上のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含む正極を用いた非水電解質二次電池では、正極からのMn溶出量が多くなりやすい傾向があるため、DGLSTがサイクル特性の改善に大きく寄与するものと考えられる。
非水電解質二次電池中の非水電解質から検出される環状スルホン酸化合物の量は、0.01質量%以上、5質量%未満であることが好ましい。検出される環状スルホン酸化合物が0.01質量%以上であれば、サイクル特性を十分に改善することが可能となるため好ましい。また、検出される環状スルホン酸化合物を5質量%未満とすることで、本発明の効果を維持しつつ、非水電解質二次電池のコストを抑制することができるため好ましい。特に好ましくは、0.05質量%以上、4質量%以下である。
非水電解質に含まれる環状スルホン酸化合物の検出(定性及び定量)は、GC−MS測定やLC−MS測定により行うことが可能である。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
炭酸塩前駆体は、80℃〜100℃で、空気雰囲気中、常圧下で乾燥させることが好ましい。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O2型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
本発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することにより、前駆体が共沈水酸化物である場合においては、焼成温度が650℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、650℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができること、及び、前駆体が共沈炭酸塩である場合においては、焼成温度が750℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、750℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
したがって、放電容量、充放電サイクル性能、高率放電性能を向上させるために、1≦モル比Li/Me≦1.6の本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする場合、焼成温度は700〜1000℃とすることが好ましい。「リチウム過剰型」正極活物質の場合は、750〜900℃で焼成することがより好ましく、「LiMeO2型」正極活物質の場合は、850〜1000℃で焼成することがより好ましい。
但し、本発明においては、環状スルホン酸化合物を還元分解させる必要がある。よって、可逆電位が1V(vs.Li/Li+)より高いチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等の活物質を使用する場合は、一度1V(vs.Li/Li+)以下まで負極電位を下げることが好ましい。
本願明細書に記載した合成条件及び合成手順を採用することにより、上記のような高性能の正極活物質を得ることができる。
(「リチウム過剰型」正極活物質の作製)
硫酸コバルト7水和物14.31g、硫酸ニッケル6水和物20.96g及び硫酸マンガン5水和物65.12gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が12.5:19.9:67.4となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、CO2ガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCO2を溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの炭酸ナトリウム及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、100℃にて乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
これを、実施例1において用いる「リチウム過剰型」正極活物質とした。
上記正極活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、質量比90:5:5の割合で混合した。この混合物を、分散媒としてN−メチルピロリドンを加えて混練分散し、塗布液を調製した。なお、PVdFについては、固形分が溶解分散された液を用いることによって、固形質量換算した。該塗布液を厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布、乾燥した。正極塗布質量は10.5mg/cm2であった。次に、ロールプレスすることによって正極板を作製した。
一方、イオン交換水を分散媒とし、負極活物質としてのグラファイト、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)が質量比97:1:2の割合で混練分散されている負極ペーストを作製した。該負極ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体の両方の面に塗布、乾燥した。負極塗布質量は14.0mg/cm2であった。次に、ロールプレスすることによって負極板を作製した。
非水電解質としては、EC/EMC/DECの体積比が3:2:5である混合溶媒に、電解質塩であるLiPF6を、その濃度が1mol/lとなるように溶解させ、この非水電解質の質量に対して0.01質量%となるようにジグリコールサルフェート(DGLST)を溶解させたものを用いた。これを実施例1において用いる非水電解質とした。
図1は、本実施例に用いた角形リチウム二次電池の概略断面図である。この角形リチウム二次電池1は、アルミ箔集電体に正極活物質を含有する正極合剤層を有する正極板3と、銅箔集電体に負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極板4とがセパレータ5を介して巻回された扁平巻状電極群2と、電解質塩を含有した非水電解質とを備える発電要素を幅34mm高さ50mm厚み5.2mmの電池ケース6に収納してなるものである。上記電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極板4は負極リード11を介して負極端子9と接続され、正極板3は正極リード10を介して電池蓋と接続されている。
セパレータ5には、厚さ20μmのポリエチレン微多孔膜(旭化成製H6022)を用いた。
上記のようにして実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)の添加量(質量%)を、0.05%、0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00%、3.00%、4.00%とした他は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜9に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)を添加しない他は、実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)の代わりにビニレンカーボネート(VC)を0.50質量%添加した他は、実施例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)の代わりにペンチルグリコールサルフェート(PEGLST)を0.50質量%添加した他は、実施例1と同様にして、比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)の代わりに1,3−プロペンスルトン(PRS)を0.50質量%添加した他は、実施例1と同様にして、比較例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(「LiMeO2型」正極活物質の作製)
硫酸マンガン5水和物と硫酸ニッケル6水和物と硫酸コバルト7水和物をCo、Ni及びMnの各元素が1:1:1の比率となるようイオン交換水に溶解させ混合水溶液を作製した。その際に、その合計濃度を0.667M、体積を180mlとなるようにした。次に、1リットルのビーカーに600mlのイオン交換水を準備し、湯浴を用いて50℃に保ち、8NのNaOHを滴下することでpHを11.5に調整した。その状態でArガスを30minバブリングさせ、溶液内の溶存酸素を十分取り除いた。ビーカー内を700rpmで攪拌させ、先程の硫酸塩の混合水溶液を3ml/minのスピードで滴下した。その間温度を湯浴にて一定に保ち、pHは8N NaOHを断続的に滴下することで一定に保った。同時に還元剤として2.0Mヒドラジン水溶液50mlを0.83ml/minのスピードで滴下した。両方の滴下終了後、攪拌を止めた状態で12h以上静止することで共沈水酸化物を十分粒子成長させた。
次に、吸引ろ過により共沈生成物を取り出し、空気雰囲気中、常圧下、オーブンで100℃にて乾燥させた。乾燥後、粒径を揃えるように、直径約120mmφの乳鉢で数分間粉砕し、前駆体乾燥粉末を得た。
次に、混合粉体を6MPaの圧力でペレット成型した。ペレット成型に供した前駆体粉末の量は、合成後の生成物としての質量が3gとなるように換算して決定した。その結果、成型後のペレットは、直径25mmφ、厚さ約10−12mmであった。前記ペレットを全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉に入れ空気雰囲気中、常圧下1000℃で12h焼成した。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、乳鉢を用いて粒径を揃える程度に粉砕した。このようにして、参考例において用いるリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
これを、参考例において用いる「LiMeO2型」正極活物質とした。
「リチウム過剰型」正極活物質の代わりに、上記の「LiMeO2型」正極活物質を用いた他は、実施例6と同様にして、参考例に係る非水電解質二次電池を作製した。
参考例で用いた非水電解質において、ジグリコールサルフェート(DGLST)を添加しない他は、参考例と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
上記実施例1〜9及び比較例1〜4において用いたリチウム遷移金属複合酸化物は、次の条件及び手順に沿って粒度分布の測定を行った。測定装置には日機装社製Microtrac(型番:MT3000)を用いた。前記測定装置は、光学台、試料供給部及び制御ソフトを搭載したコンピューターを備えており、光学台にはレーザー光透過窓を有する湿式セルが設置される。測定原理は、測定対象試料が分散溶媒中に分散している分散液が循環している湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料からの散乱光分布を粒度分布に変換する方式である。前記分散液は試料供給部に蓄えられ、ポンプによって湿式セルに循環供給される。前記試料供給部は、常に超音波振動が加えられている。今回の測定では、分散溶媒として水を用いた。又、測定制御ソフトにはMicrotrac DHS for Win98(MT3000)を使用した。前記測定装置に設定入力する「物質情報」については、溶媒の「屈折率」として1.33を設定し、「透明度」として「透過(TRANSPARENT)」を選択し、「球形粒子」として「非球形」を選択した。試料の測定に先立ち、「Set Zero」操作を行う。「Set zero」操作は、粒子からの散乱光以外の外乱要素(ガラス、ガラス壁面の汚れ、ガラス凹凸など)が後の測定に与える影響を差し引くための操作であり、試料供給部に分散溶媒である水のみを入れ、湿式セルに分散溶媒である水のみが循環している状態でバックグラウンド操作を行い、バックグラウンドデータをコンピューターに記憶させる。続いて「Sample LD (Sample Loading)」操作を行う。Sample LD操作は、測定時に湿式セルに循環供給される分散液中の試料濃度を最適化するための操作であり、測定制御ソフトの指示に従って試料供給部に測定対象試料を手動で最適量に達するまで投入する操作である。続いて、「測定」ボタンを押すことで測定操作が行われる。前記測定操作を2回繰り返し、その平均値として測定結果がコンピューターから出力される。測定結果は、粒度分布ヒストグラム、並びに、D10、D50及びD90の各値(D10、D50及びD90は、二次粒子の粒度分布における累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒度)として取得される。
得られたD50の値は、18μmであった。
実施例1〜9及び比較例1〜4において用いたリチウム遷移金属複合酸化物は、ユアサアイオニクス社製比表面積測定装置(商品名:MONOSORB)を用いて、一点法により、活物質に対する窒素吸着量[m2]を求めた。得られた吸着量(m2)を活物質質量(g)で除した値をBET比表面積とした。測定に当たって、液体窒素を用いた冷却によるガス吸着を行った。また、冷却前に120℃15minの予備加熱を行った。また、測定試料の投入量は、0.5g±0.01gとした。
得られた比表面積の値は、BET比表面積が5.6m2/gであった。
作製した角形非水電解質二次電池を25℃に設定した恒温槽に移し、1サイクルの初期充放電工程を実施した。充放電条件は以下の通りである。
<「リチウム過剰型」正極活物質を用いた電池>実施例1〜9、比較例1〜4
充電は、電流0.2CmA、電圧4.5V、充電時間8時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。充電後及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
<「LiMeO2型」正極活物質を用いた電池>参考例、比較例5
充電は、電流0.2CmA、電圧4.2V、充電時間8時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電とした。充電後及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
初期活性化工程の後、引き続き、容量確認試験を実施した。充放電条件を以下に記す。
<「リチウム過剰型」正極活物質を用いた電池>実施例1〜9、比較例1〜4
充電は、電流0.2CmA、電圧4.2V、充電時間8時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流1.0CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。また、充電後及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
<「LiMeO2型」正極活物質を用いた電池>参考例、比較例5
充電は、電流0.2CmA、電圧4.2V、充電時間8時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流1.0CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電とした。また、充電後及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
上記放電工程において得られた各電池の放電容量を「1C放電容量」として表1に示す。
さらに、各電池の放電終了後の電池厚みを計測した結果についても、同じく表1に示す。
容量確認試験後の各電池について、電池厚みの測定を行った。
容量確認試験終了後24時間経過後に、電池の長側面の中心部を当該長側面に対して略垂直な方向から(短側面の面方向に略水平な方向に)ノギスで挟み、電池厚みを測定した。この値を「サイクル前電池厚み(mm)」として表1に示す。
容量確認試験終了後24時間経過後の1kHz内部抵抗を、日置電機(株)製のHIOKI3560 AC HITESTERを用いて測定した。この値を「サイクル前内部抵抗(mΩ)」として表1に示す。
角形非水電解質二次電池を45℃設定した恒温槽に移し、100サイクルの充放電サイクル試験を実施した。各電池における充放電条件を以下に記す。
<「リチウム過剰型」正極活物質を用いた電池>実施例1〜9、比較例1〜4
充電は、電流1.0CmA、電圧4.2V、充電時間3時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流1.0CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。全ての充電及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
<「LiMeO2型」正極活物質を用いた電池>参考例、比較例5
充電は、電流1.0CmA、電圧4.2V、充電時間3時間の定電流定電圧充電とした。放電は、電流1.0CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電とした。また、充電後及び放電後に、30分の休止時間を設定した。
本サイクル試験の1サイクル目に得られた放電容量に対する100サイクル目に得られた放電容量の比率(「100サイクル目放電容量」/「1サイクル目放電容量」)を「サイクル容量維持率(%)」とし、表1に示す。
新たに、実施例1〜9、参考例及び比較例1〜5に係る電池の組み立てを行い、前記初期活性化工程を行うことで電池を作製した。作製した電池について、容量確認試験を行い、さらに容量確認試験終了後24時間経過後、1kHz内部抵抗測定した。
次に、電流1.0CmA、電圧4.2V、充電時間3時間の定電流定電圧充電を実施した後、45℃に設定した恒温槽に移し、60日間放置した。
放置後の電池を25℃に設定した恒温槽に移し、実施例1〜9及び比較例1〜4の電池については、電流1.0CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電、参考例及び比較例5の電池については、電流1.0CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電を行った。
放電後24時間経過後の1kHz内部抵抗を測定した。
放置前後の内部抵抗について、以下の式により「放置時内部抵抗増加率」を算出した。結果を表2に示す。
「放置時内部抵抗増加率(%)」=「放置後内部抵抗値」/「放置前内部抵抗値」×100
これに対して、ビニレンカーボネート(VC)を含有する非水電解質を用いた比較例2の電池は、添加しない場合と比較して、電池厚み増加率は改善されるが、サイクル容量維持率は低下し、内部抵抗は高くなる。ペンチルグリコールサルフェート(PEGLST)を含有する非水電解質を用いた比較例3の電池は、含有しない場合と比較して、いずれの特性も悪くなる。1,3−プロペンスルトン(PRS)を含有する非水電解質を用いた比較例4の電池は、含有しない場合と比較して、内部抵抗は改善されるが、サイクル容量維持率は低下し、電池厚みは増加する。
「LiMeO2型」正極活物質を用いた電池は、「Li過剰型」正極活物質を用いた電池より、サイクル容量維持率は高いが、DGLSTを含有する非水電解質を採用した場合(参考例)、DGLSTを含有しない非水電解質を採用した比較例5と比較してサイクル容量維持率はさらに向上し、内部抵抗はやや高くなる。
Claims (3)
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- 正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極は、α−NaFeO2型結晶構造を有し、Mn並びにCo及び/又はNiを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含み、前記リチウム遷移金属複合酸化物において遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1より大きく、遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.44〜0.85であり、且つ、前記非水電解質は、下記一般式(1)で表される環状スルホン酸化合物を非水電解質の総質量の5質量%未満含有していることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記リチウム遷移金属複合酸化物において遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1より大きく、1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質は、前記環状スルホン酸化合物を非水電解質の総質量の0.01質量%以上含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。