JP5757138B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質、リチウム遷移金属複合酸化物、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質、リチウム遷移金属複合酸化物、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、その正極活物質に用いるリチウム遷移金属複合酸化物、その正極活物質の製造方法、及びその正極活物質を用いた非水電解質二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池には、正極活物質として主にLiCoOが用いられている。しかし、LiCoOを正極活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が120〜130mAh/g程度しかなく、充電状態における電池内での熱的安定性も劣るものであった。
そこで、リチウム二次電池用活物質として、LiCoOを他の化合物と固溶体を形成させた材料が知られている。即ち、リチウム二次電池用活物質として、LiCoO、LiNiO及びLiMnOをそれぞれ3つの成分として配置した三元系状態図上に示されるα−NaFeO型結晶構造を有する固溶体であるLi[Co1−2xNiMn]O(0<x≦1/2)が2001年に発表された。前記固溶体の一例であるLiNi1/2Mn1/
やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が150〜180mAh/gとLiCoOよりも優れ、充電状態における電池内での熱的安定性の点でもLiCoOより優れている。
しかし、放電容量がさらに大きいリチウム二次電池用活物質が求められていた。そこで、Li及び遷移金属元素(Co、Ni、Mnなど)で構成されたリチウム遷移金属複合酸化物について、Liを富化することにより放電容量を大きくした活物質が開発された(たとえば、特許文献1〜7参照)。
特許文献1及び2には、一般式xLiMO・(1−x)LiM′O(0<x<1)のリチウム二次電池用活物質が記載され、MをMn、Co及びNiから選択された一種以上とすること、M′をMnとすることも記載され、このLiを富化した活物質は、結晶構造が安定化し、これを使用することにより放電容量が大きいリチウム二次電池が得られることが示されているが、初期充放電効率、高率放電特性の向上については示されていない。また、これらの特許文献には、Mnの含有量が多く、Coの含有量が少ない活物質については、具体的な記載がなく、比表面積、タップ密度についても記載されていない。
特許文献3には、一般式Li1+xNiαMnβγ(x=0〜0.2、α=0.1〜0.5、β=0.4〜0.6、γ=0〜0.1)のリチウム二次電池用活物質が記載され、AをCoとすることも記載され、特定の製造方法で製造した上記組成のLiを富化した活物質を使用することにより、放電容量が大きいリチウム二次電池が得られることが示されているが、初期充放電効率、高率放電特性の向上については示されていない。また、特許文献3には、遷移金属元素に対するLiのモル比が0.2を超え、遷移金属元素中のMnの含有量が0.6を超える活物質の発明については記載がなく、比表面積、タップ密度についても記載されていない。
特許文献4には、「周期律表の7A族及び8A族から選択された少なくとも1種の遷移金属をMe、このMeとは異なる遷移金属をMtとし、Mt、Na、K、Rb、Cs、Al、Ga、In、Tl、B、Mg、Ca、Sr、Ba及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素をAとしたとき、LiXMeY(1-Y)(1+X)(但し、1.3≦X≦2.5、0.5≦Y≦0.999)で現わされる組成を有し、六方晶の結晶構造をもつ複合酸化物からなる正極活物質を有することを特徴とするリチウム電池。」(請求項1)が記載され、このLiを富化した正極活物質は、結晶構造が安定化し、これを使用することによりエネルギー密度が大きいリチウム電池が得られることが示されているが、初期充放電効率、高率放電特性の向上については示されていない。また、特許文献4には、xが1.3、MeがMn、AがCoであり、Mnの含有量が多く、Coの含有量が少ない活物質が示されているが、Aとして、Co及びNiを選択することについては具体的な記載がなく、比表面積、タップ密度についても記載されていない。
特許文献5には、「リチウム、マンガン、ニッケル、コバルト及び酸素からなるリチウムマンガンニッケルコバルト酸化物を用いた非水二次電池用正極材料において、前記リチウムマンガンニッケルコバルト酸化物が層状構造であってLi[Li[(1-2x-y)/3]NixCoyMn[(2-x-2y)/3]]O2と表され、0.2<x<0.5及び0<y<0.2の条件を満たし、かつ1<2x+yの条件を満たすことを特徴とする非水二次電池用正極材料。」(請求項1)が記載され、この正極材料を用いることにより、サイクル特性の向上することが示されているが、初期充放電効率、高率放電特性の向上については示されていない。そして、実施例として、全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.353、モル比Co/Meが0.059、モル比Mn/Meが0.647のリチウムマンガンニッケルコバルト酸化物であるLi1.15Ni0.25Co0.05Mn0.55が示されている(実施例4)が、比表面積、タップ密度については記載されていない。また、特許文献5の実施例においては、リチウムマンガンニッケルコバルト酸化物の焼成温度が1000℃である。
特許文献6には、「下記の化学式で表されるリチウム複合酸化物を含有することを特徴とする正極活物質。[化1]Li1+a[MnbCocNi(1-b-c)(1-a)(2-d)
(式中、a、b、cおよびdはそれぞれ0<a<0.25、0.5≦b<0.7、0≦c<(1−b)、−0.1≦d≦0.2の範囲内である。)」(請求項1)が記載され、この正極活物質を用いることにより、大きい放電容量が実現できることが示され、充放電効率も示されているが、充放電効率の向上を意図したものではなく、高率放電特性の向上については示されていない。また、実施例として、全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが、1.30のリチウム複合酸化物も示されている(実施例1−3、実施例2−2〜実施例2−8、実施例3−1、実施例3−2)が、殆どがMnの含有量は少ないものである。唯一のMnの含有量が多いものとしてLi1.13[Mn0.65Co0.20Ni0.150.87が示されているが、比表面積、タップ密度については記載されていない。
特許文献7には、「α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有するLi,Co,Ni及びMnの組成比が、Li1+1/3xCo1−x−yNiy/2Mn2x/3+y/2(x+y≦1、0≦y、1−x−y=z)を満たし、Li[Li1/3Mn2/3]O(x)−LiNi1/2Mn1/2(y)−LiCoO(z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0.18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上又は内部に存在する範囲の値で表され、かつ、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が、充放電前においてI(003)/I(104)≧1.56であり、放電末においてI(003)/I(104)>1であることを特徴とするリチウム二次電池用活物質。」(請求項1)が記載され、このLiを富化した活物質を使用することにより、放電容量が大きく、特に4.3V以下の電位領域における放電容量が大きいリチウム二次電池が得られることが示されているが、初期充放電効率、高率放電特性の向上についての記載はない。そして、実施例として、全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.353、モル比Co/Meが0.059、モル比Mn/Meが0.647のリチウム遷移金属複合酸化物である0.45Li[Li1/3Mn2/3]O、0.50LiNi1/2Mn1/2、0.05LiCoOが示されている(実施例4)が、比表面積、タップ密度については記載されていない。また、特許文献7の実施例においては、溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHが11.5であり、リチウム遷移金属複合酸化物の焼成温度が1000℃である。
特許文献7のように、高電位で初期化成を行ったのちに正極充電電位を4.3V以下に変更して使用することはエネルギー密度の低下につながる。これを抑制するには、初回の高電位化成において高い充放電効率(高い初期充放電効率)が求められる。また、初期化成後に正極充電電位を4.3V以下に変更したときの高率放電特性が求められる。
一方、Li及び遷移金属元素(Co、Ni、Mnなど)で構成されたリチウム遷移金属複合酸化物について、比表面積、タップ密度を大きくした活物質も公知である(例えば、特許文献8及び9参照)。
特許文献8には、「層状の結晶構造を有し、リチウム元素と、少なくとも3種類の遷移金属元素を含む酸化物の結晶粒子からなる前記酸化物を構成する酸素原子の配列が立方構造であって、比表面積が0.9〜2.5m/gで、かつタップ密度が1.8〜2.5g/cmを有する正極活物質。」(請求項1)の発明が記載され、この発明によれば、初期充放電効率が高いリチウム二次電池の得られることが示されている。また、特許文献6には、「一般式Li[LiqCoxNiyMnz]O(但し−0.2≦q≦0.2、0.8≦1+q≦1.2、0.1<X≦0.6、0.1<Y≦0.6、0.2<Z≦0.6、0.7≦X+Y+Z≦1.2で表されるリチウム二次電池用正極活物質」(請求項2)が示されているが、遷移金属元素に対するLiのモル比が1.25以上であり、遷移金属元素中のMnのモル比が0.625以上である正極活物質は具体的に示されていないから、このような組成の正極活物質の初期充放電効率は予測し得るものではない。
特許文献9には、「下記一般式(1):LiNi1−y−zMnCo(1)
(式中、xは0.9≦x≦1.3、yは0<y<1.0、zは0<z<1.0を示す。但し、y+z<1である。)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物であり、平均粒径が5〜40μm、BET比表面積が5〜25m/g、且つ、タップ密度が1.70g/ml以上であることを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物。」(請求項1)の発明が記載され、この発明によれば、初期充放電効率が高く、負荷特性(高率放電特性)の優れたリチウム二次電池の得られることが示されている。しかし、特許文献7には、xが1.25以上であり、yが0.625以上である正極活物質については具体的に示されていないから、このような組成の正極活物質の初期充放電効率、高率放電特性は予測し得るものではない。
また、リチウムを富化したリチウム遷移金属複合酸化物の高率放電特性改良に当たって、酸素の一部の部分フッ素化(非特許文献1)や、表面被覆技術(非特許文献2)などが提案されている。しかしながら、これらはいずれも電解液の分解電位窓に当たる正極充電電位4.5V以上での使用を見込んだ技術であり、初期化成後に正極充電電位を4.5Vより低い電位、例えば、4.3Vに変更して使用するときの高率放電特性の向上を意図したものではない。
米国特許第6,677,082号明細書 米国特許第7,135,252号明細書 米国特許第7,314,684号明細書 特開平10−106543号公報 特開2005−100947号公報 特開2007−220630号公報 特開2010−86690号公報 特開2006−93067号公報 特開2009−205893号公報
Thackeray et al.,155(4),269−275(2008) Kang et al.,JPS,146,654−657(2005)
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、放電容量が大きく、特に、充電時の正極の最大到達電位が4.5(vs.Li/Li)より低くなるような、例えば、4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用した場合でも放電容量が大きく、初期充放電効率、高率放電特性が優れた非水電解質二次電池を得るための正極活物質及びその製造方法を提供すること、また、その正極活物質に用いることができる新規なリチウム遷移金属複合酸化物を提供することを課題とする。
本発明においては、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)層状岩塩型結晶構造を有し、一般式LiCoNiMn(a+x+y+z=2)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物において、a/(x+y+z)が1.25〜1.40であり、x/(x+y+z)が0.020〜0.230であり、z/(x+y+z)が0.625〜0.719であり、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が、充放電前においてI (003) /I (104) ≧1.58であり、かつ、BET比表面積が0.88m/g以上、タップ密度が1.25g/cc以上であることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物である。
(2)前記(1)のリチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質である。
(3)前記(1)のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法であって、pHが、8.5〜9.4の溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程、前記前駆体とリチウム化合物を混合し、焼成する工程を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
(4)前記前駆体とリチウム化合物を混合し、焼成する工程における焼成温度が、800〜940℃であることを特徴とする前記(3)の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
(5)前記(2)の正極活物質を備えた非水電解質二次電池である。
本発明によれば、新規なリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を備えた放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含むものであり、そのリチウム遷移金属複合酸化物は、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であり、モル比Co/Meが0.020〜0.230であり、モル比Mn/Meが0.625〜0.719であり、かつ、BET比表面積が0.88m/g以上、タップ密度が1.25g/cc以上であることを特徴とする。
なお、非水電解質二次電池としては、リチウム二次電池が典型的なものであるから、以下においては、リチウム二次電池について説明する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、一般式LiCoNiMn(a+x+y+z=2)で表され、a/(x+y+z)が1.25〜1.40であり、x/(x+y+z)が0.020〜0.230であり、z/(x+y+z)が0.625〜0.719であり、かつ、BET比表面積が0.88m/g以上、タップ密度が1.25g/cc以上であることが好ましい。
全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40(a/(x+y+z)が1.25〜1.40)、Meに対するCoのモル比Co/Meが0.020〜0.230(x/(x+y+z)が0.020〜0.230)、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.625〜0.719(z/(x+y+z)が0.625〜0.719)、BET比表面積が0.88m/g以上、タップ密度が1.25g/cc以上という全ての要件を満たすリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として用いることにより、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25よりも小さいと、放電容量が小さくなると共に、高率放電特性が低くなり、Li/Meが1.40よりも大きいと、放電容量が小さくなると共に、初期充放電効率、高率放電特性が低くなるので、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得るために、Li/Meは1.25〜1.40(a/(x+y+z)は1.25〜1.40)とする。Li/Meは1.25〜1.35が好ましい。
全遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meが0.020よりも小さい、又はCo/Meが0.230よりも大きいと、放電容量が小さくなると共に、初期充放電効率、高率放電特性が低くなるので、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得るために、Co/Meは0.020〜0.230(x/(x+y+z)は0.020〜0.230)とする。Co/Meは0.040〜0.205が好ましく、0.058〜0.173がより好ましい。
全遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.625よりも小さいと、放電容量が小さくなると共に、高率放電特性が低くなり、Mn/Meが0.719よりも大きいと、放電容量が小さくなると共に、初期充放電効率、高率放電特性が低くなるので、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得るために、Mn/Meは0.625〜0.719(z/(x+y+z)は0.625〜0.719)とする。Mn/Meは0.650〜0.707が好ましい。
BET比表面積が0.88m/gより小さいと、初期充放電効率、高率放電特性が低くなるので、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得るために、BET比表面積は0.88m/g以上とする。BET比表面積は1.24〜5.87m/gが好ましい。
タップ密度が1.25g/ccより小さいと、高率放電特性が低くなるので、高率放電特性に優れたリチウム二次電池を得るために、タップ密度は1.25g/cc以上とする。タップ密度は1.44g/cc以上が好ましい。
また、本発明のリチウム遷移金属複合酸化物は、本質的に、結晶構造が六方晶に帰属される。空間群としてはP312又はR3−mに帰属可能である。ここで、P312は、R3−mにおける3a、3b、6cサイトの原子位置を細分化した結晶構造モデルであり、R3−mにおける原子配置に秩序性が認められるときに該P312モデルが採用される。なお、「R3−m」は本来「R3m」の「3」の上にバー「−」を施して表記すべきものである。
次に、本発明のリチウム二次電池用活物質を製造する方法について説明する。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnなど)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
共沈前駆体を作製するにあたって、Co,Ni,MnのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mnが2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、Co,Ni,Mnの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に本発明の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いので、水溶液中の溶存酸素を除去することが特に重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。なかでも、後述する実施例のように、共沈炭酸塩前駆体を作製する場合には、酸素を含まないガスとして二酸化炭素を採用すると、炭酸塩がより生成しやすい環境が与えられるため、好ましい。
タップ密度を1.25g/cc以上とするためには、溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHを制御することが極めて重要である。前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電特性を向上させることができる。pHは、8.5〜9.4であることが好ましい。
前記共沈炭酸塩前駆体は、MnとNiとCoとが均一に混合された化合物であることが好ましい。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度の活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
前記共沈前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を一例として挙げることができる。
前記共沈前駆体の作製に用いる原料としては、アルカリ水溶液と沈殿反応を形成するものであればどのような形態のものでも使用することができるが、好ましくは溶解度の高い金属塩を用いるとよい。
本発明におけるリチウム二次電池用活物質は前記共沈前駆体とLi化合物とを混合した後、熱処理することで好適に作製することができる。Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることで好適に製造することができる。
可逆容量の大きな活物質を得るにあたって、焼成温度の選択は極めて重要である。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向があり、このような材料は、活物質の可逆容量が大きく減少するので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが重要である。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とLiOH・HOを混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性も大きく低下するので好ましくない。焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが必要である。十分に結晶化させることは結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すために重要である。結晶化の度合いの見極め方として走査型電子顕微鏡を用いた視覚的な観察が挙げられる。本発明の正極活物質について走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、試料合成温度が800℃以下ではナノオーダーの一次粒子から形成されているものであったが、さらに試料合成温度を上昇させることでサブミクロン程度まで結晶化するものであり、電極特性向上につながる大きな一次粒子を得られるものであった。
また、発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで800℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが100nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電を行うことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは50nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。即ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出温度にできるだけ近付けるように選択することにより、はじめて、可逆容量が顕著に大きい活物質を得ることができる。
上記のように、好ましい焼成温度は、活物質の酸素放出温度により異なるから、一概に焼成温度の好ましい範囲を設定することは難しいが、本発明においては、BET比表面積を0.88m/g以上とするために、焼成温度を800〜940℃とする。940℃以下で焼成することにより、BET比表面積が大きくなり、初期充放電効率が向上する。より比表面積を大きくするためには、焼成温度を800〜900℃とすることが好ましい。
本発明に係るリチウム二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaClO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有す
るリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。
負極材料としては、限定されるものではなく、リチウムイオンを出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極活物質の粉体および負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を混練し合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
リチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
従来のリチウム二次電池においては、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上に至る充電をして使用することが一般的に行われているが、本発明の活物質も、正極電位が4.5V(vs.Li/Li)付近に至って充放電が可能である。しかしながら、使用する非水電解質の種類によっては、充電時の正極電位が高すぎると、非水電解質が酸化分解され電池性能の低下を引き起こす虞がある。したがって、使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用しても、充分な放電容量が得られるリチウム二次電池が求められる場合がある。本発明の活物質を用いると、使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)より低くなるような、例えば、4.4V(vs.Li/Li)以下や4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用しても、約200mAh/g以上という従来の正極活物質の容量を超える放電電気量を取り出すことが可能である。
本発明に係る正極活物質が、高い放電容量を備えたものとするためには、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する遷移金属元素が層状岩塩型結晶構造の遷移金属サイト以外の部分に存在する割合が小さいものであることが好ましい。これは、焼成工程に供する前駆体において、Co,Ni,Mnといった遷移金属元素が十分に均一に分布していること、及び、活物質試料の結晶化を促すための適切な焼成工程の条件を選択することによって達成できる。焼成工程に供する前駆体中の遷移金属の分布が均一でない場合、十分な放電容量が得られないものとなる。この理由については必ずしも明らかではないが、焼成工程に供する前駆体中の遷移金属の分布が均一でない場合、得られるリチウム遷移金属複合酸化物は、層状岩塩型結晶構造の遷移金属サイト以外の部分、即ちリチウムサイトに遷移金属元素の一部が存在するものとなる、いわゆるカチオンミキシングが起こることに由来するものと本発明者らは推察している。同様の推察は焼成工程における結晶化過程においても適用でき、活物質試料の結晶化が不十分であると層状岩塩型結晶構造におけるカチオンミキシングが起こりやすくなる。前記遷移金属元素の分布の均一性が高いものは、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が大きいものとなる傾向がある。本発明において、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比は、I(003)/I(104)≧1.20であることが好ましく、I(003)/I(104)≧1.40であることがより好ましく、I(003)/I(104)≧1.50であることが特に好ましい。本願明細書の実施例に示した正極活物質は、比較例も含めて全て、正極活物質が合成によって得られた段階、即ち、未だ充放電に供していない状態において、I(103)/I(104)≧1.58であった。また、充放電を経た放電末の状態においてI(103)/I(104)>1であることが好ましい。前駆体の合成条件や合成手順が不適切である場合、前記ピーク強度比はより小さい値となり、しばしば1未満の値となる。
本願明細書に記載した合成条件及び合成手順を採用することにより、上記のような高性能の正極活物質を得ることができる。とりわけ、充電上限電位を4.5Vより低く設定した場合、例えば4.4Vや4.3Vといった充電上限電位を設定した場合でも高い放電容量を得ることができる非水電解質二次電池用正極活物質とすることができる。
(実施例1)
硫酸コバルト7水和物4.6873g、硫酸ニッケル6水和物6.5743g及び硫酸マンガン5水和物22.110gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co;Ni:Mnのモル比が0.1250:0.1875:0.6875となる0.67Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2dmの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、COガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCOを溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、0.67Mの炭酸ナトリウム及び0.067Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に8.6(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。静置することにより、反応槽内に生成する共沈炭酸塩の粒子を十分に成長させることができる。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、100℃にて乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.3040gに、炭酸リチウム0.9436gを加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Co,Ni,Mn)のモル比が1.25:1.00である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、900℃で10h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、本発明に係る活物質を作製した。
(実施例2〜12)
共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合比率について、表1の実施例2〜12の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、本発明に係る活物質を合成した。但し、焼成温度は、実施例2〜4については900℃、実施例5〜8については850℃、実施例9〜12については800℃とした。
(実施例13〜48)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の実施例13〜48の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、本発明に係る活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例1〜5)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の比較例1〜5の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、活物質を合成した。但し、焼成温度は1000℃とした。
(比較例6〜8)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の比較例6〜8の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例9〜11)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の比較例9〜11の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、活物質を合成した。但し、焼成温度は850℃とした。
(比較例12〜14)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の比較例12〜14の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、活物質を合成した。但し、焼成温度は800℃とした。
(比較例15〜23)
共沈炭酸塩前駆体が含有する金属元素の組成、及び、共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムの混合量について、表1の比較例15〜23の記載に沿って変更した他は、実施例1と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(実施例49)
焼成温度を940℃としたことを除いては、実施例4と同様にして、活物質を合成した。
(実施例50)
焼成温度を920℃としたことを除いては、実施例4と同様にして、活物質を合成した。
(比較例24)
焼成温度を980℃としたことを除いては、実施例4と同様にして、活物質を合成した。
(比較例25)
焼成温度を960℃としたことを除いては、実施例4と同様にして、活物質を合成した。
(実施例51)
滴下中の反応槽中のpHが常に9.4(±0.05)を保つように制御したことを除いては、実施例2と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例26)
滴下中の反応槽中のpHが常に9.6(±0.05)を保つように制御したことを除いては、実施例2と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例27)
滴下中の反応槽中のpHが常に9.8(±0.05)を保つように制御したことを除いては、実施例2と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例28)
滴下中の反応槽中のpHが常に10.0(±0.05)を保つように制御したことを除いては、実施例2と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(比較例29)
滴下中の反応槽中のpHが常に11.0(±0.05)を保つように制御したことを除いては、実施例2と同様にして、活物質を合成した。焼成温度は900℃である。
(リチウム二次電池の作製及び評価・その1)
実施例1〜51及び比較例1〜29の活物質をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
N−メチルピロリドンを分散媒とし、活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、正極板を作製した。なお、全ての実施例及び比較例に係るリチウム二次電池同士で試験条件が同一になるように、一定面積当たりに塗布されている活物質の質量及び塗布厚みを統一した。
正極の単独挙動を正確に観察する目的のため、対極、即ち負極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させて用いた。ここで、リチウム二次電池の容量が負極によって制限されないよう、負極には十分な量の金属リチウムを配置した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)が体積比6:7:7である混合溶媒に濃度が1mol/lとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。さらに、参照電極として、ニッケル板にリチウム金属箔をはりつけた棒を設置した。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子および参照極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止した。
以上の手順にて作製されたリチウム二次電池は、25℃の下、初期充放電工程に供した。電圧制御は全て正極電位に対して行った。充電は、電流0.1CA、電圧4.6Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1CA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。この充放電を2サイクル行った。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ30分の休止過程を設けた。前記初期充放電工程における1サイクル目の「(放電電気量)/(充電電気量)×100」で示される百分率を「初期充放電効率(%)」(表においては「初期効率」と略す)として記録した。
次に、充電電圧を変更して、1サイクルの充放電試験を行った。電圧制御は全て正極電位に対して行った。この充放電試験の条件は、充電電圧を4.3V(vs.Li/Li)としたことを除いては、前記初期充放電工程の条件と同一である。このときの放電電気量を「放電容量(mAh/g)」(表においては「0.1C capa」と表記)として記録した。
続いて、充電電圧を4.3V(vs.Li/Li+)として電流0.1CAでの充電を行い、30分の休止後、2CAでの放電を終止電圧2.0Vとしておこなった。このときに得られた放電容量の、前記0.1CA時に得られた「放電容量(mAh/g)」に対する百分率を「2C/0.1C」として表記した。
(比表面積測定)
ユアサアイオニクス社製比表面積測定装置(商品名:MONOSORB)を用いて、一点法により、活物質に対する窒素吸着量[m]を求めた。得られた吸着量(m)を活物質質量(g)で除した値をBET比表面積とした。測定に当たって、液体窒素を用いた冷却によるガス吸着を行った。また、冷却前に120℃15minの予備加熱を行った。また、測定試料の投入量は、0.5g±0.01gとした。
(タップ密度測定)
REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置(1968年製)を用いて、300回カウント後の活物質の体積を質量で除した値をタップ密度とした。測定においては、10−2dmのメスシリンダーに活物質を2g±0.2g投入することで行った。
実施例1〜51及び比較例1〜29に係る活物質をそれぞれリチウム二次電池用正極活物質として用いたリチウム二次電池の試験結果を表1、表2及び表3に示す。
Figure 0005757138
表1より、Li/Me比が1.25〜1.40であり、Co/Me比が0.020〜0.230であり、Mn/Me比が0.625〜0.719である実施例1〜51の活物質を用いたリチウム二次電池は、放電容量(0.1C capa)が約200mAh/g以上であり、初期充放電効率が80%以上であり、高率放電特性(2C/0.1C)が70%以上であり、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れたものであることが分かる。
これに対して、Li/Me比が1.25より小さい1.20の場合には、比較例6、9及び12のように、放電容量(0.1C capa)が180mAh/g程度と小さくなると共に、高率放電特性(2C/0.1C)が60%未満と低くなり、Li/Me比が1.40より大きい1.45の場合には、比較例7、10及び13のように、放電容量(0.1C capa)が170〜190mAh/gと小さくなると共に、初期充放電効率が80%未満と低くなり、高率放電特性(2C/0.1C)も70%未満と低くなる。
また、Co/Me比が0.020より小さい0.010、0.000の場合には、比較例19及び20のように、放電容量(0.1C capa)が183〜185mAh/g程度と小さくなると共に、初期充放電効率が80%未満と低くなり、高率放電特性(2C/0.1C)も60%未満と低くなり、Co/Me比が0.230より大きい0.240以上の場合には、比較例21〜23のように、放電容量(0.1C capa)が180mAh/g未満と小さくなると共に、初期充放電効率が80%未満と低くなり、高率放電特性(2C/0.1C)も70%未満と低くなる。
Mn/Me比が0.625より小さい0.615の場合には、比較例15及び17のように、放電容量(0.1C capa)が170mAh/g程度と小さくなると共に、高率放電特性(2C/0.1C)が60%未満と低くなり、Mn/Me比が0.719より大きい0.725の場合には、比較例16及び18のように、放電容量(0.1C capa)が160mAh/g程度と小さくなると共に、初期充放電効率が80%未満と低くなり、高率放電特性(2C/0.1C)も60%未満と低くなる。
X線回折測定の結果、表1に示されるように、充放電前における活物質の(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I(003)/I(104)は、いずれの活物質についても1.58以上であった。
Figure 0005757138
表2より、Li/Me比が1.25〜1.40を満たす1.40であり、Co/Me比が0.020〜0.230を満たす0.125であり、Mn/Me比が0.625〜0.719を満たす0.688であり、BET比表面積が0.88m/g以上である実施例4、8、12、49及び50の活物質を用いたリチウム二次電池は、放電容量(0.1C capa)が200mAh/g以上であり、初期充放電効率が80%以上であり、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れたものであることが分かる。
また、焼成温度を940℃以下とすることにより、BET比表面積が0.88m/g以上になることが分かる。
これに対して、Li/Me比、Co/Me比、Mn/Me比が本発明の要件を満たしても、BET比表面積が0.88m/g未満の場合には、比較例2、24及び25のように、初期充放電効率が80%未満と低くなる。
Figure 0005757138
表3より、Li/Me比が1.25〜1.40を満たす1.30であり、Co/Me比が0.020〜0.230を満たす0.125であり、Mn/Me比が0.625〜0.719を満たす0.688であり、BET比表面積が0.88m/g以上であり、タップ密度が1.25g/cc以上である実施例2、6、10及び51の活物質を用いたリチウム二次電池は、高率放電特性(2C/0.1C)が70%以上であり、優れたものであることが分かる。
また、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができることが分かる。
これに対して、Li/Me比、Co/Me比、Mn/Me比、BET比表面積が本発明の要件を満たしても、タップ密度が1.25g/cc未満の場合には、比較例26〜29のように、高率放電特性(2C/0.1C)が70%未満と低くなる。
(リチウム二次電池の作製及び評価・その2)
実施例3に係る活物質をリチウム二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順でリチウム二次電池を作製し、電池特性を評価した。
「(リチウム二次電池の作製及び評価・その1)」と同様に、リチウム二次電池を作製し、初期充放電工程に供した。
次に、充電電圧を変更して、1サイクルの充放電試験を行った。電圧制御は全て正極電位に対して行った。この充放電試験の条件は、充電電圧を4.4V(vs.Li/Li)としたことを除いては、前記初期充放電工程の条件と同一である。このときの放電電気量を「放電容量(mAh/g)」として記録した。放電容量は「247.0mAh/g」であった。
充電電圧を4.3V(vs.Li/Li)とした場合と比較して、放電容量はやや大きくなり、本発明の正極活物質を使用することによって、充電時の正極の最大到達電位が4.3Vの場合でも、4.4Vの場合でも、大きな放電容量が得られることが確認された。
本発明の新規なリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を用いることにより、放電容量が大きく、初期充放電効率が優れ、高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができ、この非水電解質二次電池は、2Cレート程度で150Wh/kgのエネルギー密度を達成することができるので、ハイブリッド自動車用、電気自動車用のリチウム二次電池として有用である。

Claims (5)

  1. 層状岩塩型結晶構造を有し、一般式LiCoNiMn(a+x+y+z=2)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物において、a/(x+y+z)が1.25〜1.40であり、x/(x+y+z)が0.020〜0.230であり、z/(x+y+z)が0.625〜0.719であり、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が、充放電前においてI (003) /I (104) ≧1.58であり、かつ、BET比表面積が0.88m/g以上、タップ密度が1.25g/cc以上であることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物。
  2. 請求項1に記載のリチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 請求項に記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法であって、pHが、8.5〜9.4の溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程、前記前駆体とリチウム化合物を混合し、焼成する工程を含むことを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
  4. 前記前駆体とリチウム化合物を混合し、焼成する工程における焼成温度が、800〜940℃であることを特徴とする請求項に記載のリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
  5. 請求項に記載の正極活物質を備えた非水電解質二次電池。
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