JP6323797B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有する非水電解質二次電池に関する。
従来、非水電解質二次電池であるリチウム二次電池には、正極活物質として、α−NaFeO型結晶構造を有する「LiMeO型」活物質(Meは遷移金属)が検討され、LiCoOが広く実用化されていた。LiCoOを正極活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が120〜130mAh/g程度であった。
充放電サイクル性能の点でも優れる「LiMeO型」活物質が種々提案され、一部実用化されている。例えば、LiNi1/2Mn1/2やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3は、150〜180mAh/gの放電容量を有する。
前記Meとして、地球資源として豊富なMnを用いることが望まれていた。しかし、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5を超える「LiMeO型」活物質は、充電に伴いα−NaFeO型からスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できず、充放電サイクル性能が著しく劣るという問題があった。
そこで、近年、上記のような「LiMeO型」活物質に対し、遷移金属(Me)に対するマンガン(Mn)のモル比Mn/Meが0.5を超え、充電をしてもα−NaFeO構造を維持できる活物質が提案された。
特許文献1には、MeとしてNi,Co及びMnを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.62〜0.72であるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いた非水電解質二次電池であって、製造工程中に行う初期充放電における充電を4.5〜4.6V(vs.Li/Li+)で行い、使用時における充電時の正極の最大到達電位を4.4V(vs.Li/Li+)以下や4.3V(vs.Li/Li+)以下とする電池について、200mAh/g以上の放電容量が得られることが記載されている。特許文献2にも、同様の正極活物質について、初期充放電の充電を4.6V(vs.Li/Li+)で行い、その後の充放電を4.3V(vs.Li/Li+)充電で行い、同様の高放電容量を得ることが記載されている。
このように、従来の「LiMeO型」正極活物質の場合とは異なり、MeとしてNi,Co及びMnを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5を超える正極活物質では、初回に、使用時の充電電位より高い4.5V以上の電位に至るまで充電(以下、「初回充電」という。)を行うことにより、高い放電容量が得られるという特徴がある。
なお、この材料は、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meが1より大きく、例えばLi/Meが1.25〜1.6であるように原料を混合して合成されることから、「リチウム過剰型」活物質とも呼ばれ、合成後の組成はLi1+αMe1−α(α>0)と表記できる。ここで、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meをβとすると、β=(1+α)/(1−α)であるから、例えば、Li/Meが1.5のとき、α=0.2である。
特許文献3には、Mn/Meが0.5を超えるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池が、初回において高充電電圧で充電を行うことが記載されている。リチウム二次電池の負極活物質として、炭素材料や、金属元素又は半金属元素を構成元素として含む材料が記載され、黒鉛、ケイ素単体、スズ単体、酸化ケイ素が例示されている。
特許文献4には、Mnを含むリチウム遷移金属酸化物を活物質に含む正極と、SiOと黒鉛とを含み、SiOと黒鉛との合計100質量%中のSiOの比率が3〜20質量%である負極材料を用いた負極とを組み合わせることにより、高容量であり、かつ、SiOの体積変化に伴う電池特性の低下を抑制したリチウム二次電池を得ることが記載されている。
特許文献5には、炭素材料からなる活物質と、Siを含む材料からなる添加剤とを負極合剤に含み、両者の合計に対して添加剤を0.05質量%以上1質量%未満含む負極を有する、充放電サイクル性能、高温貯蔵特性及び過充電時の安全性に優れた非水電解質二次電池について記載されている。
WO2012/091015 WO2013/084923 特開2012−142155号公報 特開2010−212228号公報 特開2012−84426号公報
従来技術では、α−NaFeO型結晶構造を有し、遷移金属中のMnのモル比Mn/Me>0.5であるリチウム遷移金属複合酸化物(以下、「Mnリッチの複合酸化物」という。)を含む正極活物質の場合、使用時の作動電位である例えば4.35Vを超える電位で初回充電を行い、高容量を引き出している。
ところが、初回充電時のみ、使用時の充電電位を超える電位に至って充電を行うことから、初期充電過程で正極活物質から引き抜かれるリチウム量は、使用時の充電過程で正極活物質から引き抜かれるリチウム量を超えることになる。従って、初回充電時に余剰に引き抜かれるリチウムを吸蔵するために、初回充電時にしか必要でない余剰の負極活物質が必要である。
一方、高容量化に適する負極活物質として、Siを構成元素に含む物質、又はこれと炭素質材料とを混合したものも知られている。
しかし、Mnリッチの複合酸化物を含む正極活物質と組み合わせる負極活物質について、Siを構成元素に含む物質を用いて、電池の高容量密度化、充放電サイクル性能の観点から検討されることはなかった。
本発明は、このような課題に鑑み、Mnリッチの複合酸化物を含む正極活物質を有する非水電解質二次電池において、高容量で、充放電サイクル性能の改善された非水電解質二次電池を得ることを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
正極と負極と非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極は、α−NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、前記遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、
前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、
前記負極は、炭素質材料とSiを構成元素に含む物質よりなる負極活物質を有し、
前記Siを構成元素に含む物質のSi量が、質量比で前記負極活物質中のx%(0<x≦1.9)を占めることを特徴とする非水電解質二次電池。
本発明によれば、充放電サイクル性能が向上した非水電解質二次電池を提供することができる。
正極と負極の組み合わせによる放電容量バランスの模式図 別の正極と負極の組み合わせによる放電容量バランスの模式図 本発明に係る非水電解質電池の外観図 本発明に係る非水電解質電池を集合してなる蓄電装置の概念図
本発明者らは、鋭意検討した結果、炭素質材料にSiを構成元素に含む物質を混合し、混合したSiの質量が負極活物質中のx%(0<x≦1.9)を占める場合に、容量密度が大きくなるとともに、充放電サイクル性能が向上するという予想外の効果を奏する非水電解質二次電池を得ることができた。
Siを構成元素に含む物質よりなる負極活物質は、特許文献4(0046)、特許文献5(0032)に記載されるように、充放電に伴う体積変化が大きい。したがって、高容量密度化と充放電サイクル性能の向上との両立は困難であった。高容量密度化のためにSiを構成元素に含む物質の添加量を増やすと、充放電サイクル性能は劣化することが当業者において技術常識と考えられてきた。
本発明は、上記の技術常識に反して、主として炭素質材料からなる負極に、Siを構成元素に含む物質を添加し、特定の構成とすることにより、充放電サイクル性能が向上させることができることを見出してなされたものであり、その理由は、以下のように推察される。
図1及び図2は、正極、負極の組み合わせによる放電容量バランスの模式図である。正極と負極とを組み合わせて充電電気量を一定とした場合の各活物質を用いた電極の放電曲線を示している。放電電気量が大きいほど、電極の効率が高いことを表している。
例えば、LiCoOを正極に用い、炭素質材料を負極に用いた一般的なリチウムイオン電池では、正極の効率が負極の効率に比べやや高いから、負極制限の電池となる。負極制限の電池は、LiCoOを用いた正極が低電位まで放電されないので、充放電サイクルによる劣化が抑制される。しかしながら、Mnリッチの複合酸化物を正極に用いた場合、正極の効率が負極の効率に比べて低いから、正極制限の電池となる。正極制限の電池では、Mnリッチの複合酸化物を用いた正極が低電位まで放電されるので、正極活物質が劣化してしまう。したがって、充放電サイクルを重ねるにつれて正極活物質の劣化が発生し、充放電サイクル性能が劣化していく原因となる。
本発明によれば、主として炭素質材料からなる負極にSiを構成元素に含む物質を混合することにより、Siを構成元素に含む物質の反応電位が炭素質材料の反応電位よりも高いので、負極の効率が低くなる。よって、負極の効率がMnリッチの複合酸化物を用いた正極の効率に近づき、正負極の放電容量バランスが改善するため、正極を低電位まで放電せずに充放電サイクルを行うことができる。したがって、Siを構成元素に含む物質による体積変化があるとしても、充放電サイクル性能が改善したと推察される。
なお、Siを構成元素に含む物質の混合量が多すぎると、負極の効率が下がることで、負極制限の電池となる。負極制限の電池では、充放電に伴うSiを構成元素に含む物質による体積変化により負極活物質が劣化してしまう。したがって、充放電サイクルを重ねるにつれて負極活物質の劣化が発生し、これが主要因となって充放電サイクル性能が劣化するという、従来の技術常識どおりの現象が起こる。
(正極活物質)
本発明に係る非水電解質二次電池におけるリチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、モル比Mn/Me>が0.5である。モル比Mn/Meは0.6〜0.75とすることが好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、非水電解質二次電池の初期効率及び高率放電性能を向上させるために、遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは、0.05〜0.40とすることが好ましく、0.10〜0.30とすることがより好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、Mn/Meが高いにも関わらず、充電してもα−NaFeO2構造を維持するために、遷移金属Meに対するリチウム(Li)のモル比Li/Meが1より大きいという特徴がある。この特徴は、Li1+αMe1−α((1+α)/(1−α)>1)と表記することができる。
なかでも、初期効率及び高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得るために、遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meは、1.2より大きく且つ1.6より小さいこと、すなわち、組成式Li1+αMe1−αにおいて1.2<(1+α)/(1−α)<1.6とすることが好ましい。放電容量が特に大きく、高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得ることができるという観点から、前記Li/Meが1.25〜1.5のものを選択することがより好ましい。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、典型的には、Li1+α(CoNiMn1−α、但し、α>0、a+b+c=1、a>0、b>0、c≧0.6で表わされるものであり、Li、Co、Ni及びMnからなる複合酸化物である。前記リチウム遷移金属複合酸化物は、放電容量を向上させるために、Naを1000ppm以上含ませることが好ましい。Naの含有量は、2000〜10000ppmがより好ましい。
Naを含有させるために、水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体を作製する工程において、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を中和剤として使用し、洗浄工程でNaを残存させるか、及び、その後の焼成工程において炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を添加する方法を採用することができる。
また、リチウム遷移金属複合酸化物は、本発明の効果を損なわない範囲で、Na以外のアルカリ金属、Mg,Ca等のアルカリ土類金属、Fe,Zn等の3d遷移金属に代表される遷移金属など少量の他の金属を含有することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物は、炭酸塩前駆体、又は水酸化物前駆体から作製される。
炭酸塩前駆体から作製されるリチウム繊維金属複合酸化物粒子は、二次粒子の粒度分布における累積体積が50%となる粒子径であるD50が、5μm以上であることが好ましく、5〜18μmであることがより好ましい。また、水酸化物前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、D50が、8μm以下であることが好ましく、8〜1μmであることがより好ましい。
本発明において、初期効率及び充放電サイクル性能が優れた非水電解質二次電池用正極活物質を得るために、炭酸塩前駆体から作製されるリチウム遷移金属複合酸化物は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30〜40nmの範囲で、ピーク微分細孔容積が0.75mm/(g・nm)以上であることが好ましい(特許文献2参照)。
また、本発明に係る正極活物質のタップ密度は、充放電サイクル性能及び高率放電性能が優れた非水電解質二次電池を得るために、1.25g/cc以上が好ましく、1.7g/cc以上がより好ましい。
(正極活物質の製造方法)
次に、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法について説明する。
リチウム遷移金属複合酸化物は、基本的に、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnなど)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例で用いるリチウム遷移金属複合酸化物は、「共沈法」を採用して作製した。
共沈前駆体を作製するにあたって、Co,Ni,MnのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mnが2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、Co,Ni,Mnの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に本発明の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いので、水溶液中の溶存酸素を除去することが特に重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。なかでも、共沈炭酸塩前駆体を作製する場合には、酸素を含まないガスとして二酸化炭素を採用すると、炭酸塩がより生成しやすい環境が与えられるため、好ましい。
溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHは限定されるものではないが、前記共沈前駆体を共沈水酸化物前駆体として作製しようとする場合には、10〜14とすることができ、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、7.5〜11とすることができる。タップ密度を大きくするためには、pHを制御することが好ましい。共沈炭酸塩前駆体については、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電性能を向上させることができる。さらに、pHを8.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できる。
前記共沈前駆体は、MnとNiとCoとが均一に混合された化合物であることが好ましい。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度の活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
前記共沈前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を一例として挙げることができる。
本発明においては、アルカリ性を保った反応槽に前記共沈前駆体の原料水溶液を連続的に滴下供給して共沈前駆体を得る反応晶析法を採用する。ここで、中和剤として、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物等を使用することができるが、前記共沈前駆体を共沈水酸化物前駆体として作製する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムと水酸化リチウム、又は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物を使用することが好ましく、また、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製する場合には、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸リチウム、又は、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物を使用することが好ましい。Naを1000ppm以上残存させるために、炭酸ナトリウム(水酸化ナトリウム)と炭酸リチウム(水酸化リチウム)のモル比であるNa/Li、又は、炭酸ナトリウム(水酸化ナトリウム)と炭酸カリウム(水酸化カリウム)のモル比であるNa/Kは、1/1[M]以上とすることが好ましい。Na/Li又はNa/Kを1/1[M]以上とすることにより、引き続く洗浄工程でNaが除去されすぎて1000ppm未満となってしまう虞を低減できる。
前記原料水溶液の滴下速度は、生成する共沈前駆体の1粒子内における元素分布の均一性に大きく影響を与える。特にMnは、CoやNiと均一な元素分布を形成しにくいので注意が必要である。好ましい滴下速度については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、30ml/min以下が好ましい。放電容量を向上させるためには、滴下速度は10ml/min以下がより好ましく、5ml/min以下が最も好ましい。
また、反応槽内に錯化剤が存在し、かつ一定の対流条件を適用した場合、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続けることにより、粒子の自転および攪拌槽内における公転が促進され、この過程で、粒子同士が衝突しつつ、粒子が段階的に同心円球状に成長する。即ち、共沈前駆体は、反応槽内に原料水溶液が滴下された際の金属錯体形成反応、及び、前記金属錯体が反応槽内の滞留中に生じる沈殿形成反応という2段階での反応を経て形成される。従って、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続ける時間を適切に選択することにより、目的とする粒子径を備えた共沈前駆体を得ることができる。
原料水溶液滴下終了後の好ましい攪拌継続時間については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、粒子を均一な球状粒子として成長させるために0.5h以上が好ましく、1h以上がより好ましい。また、粒子径が大きくなりすぎることで電池の低SOC領域における出力性能が充分でないものとなる虞を低減させるため、30h以下が好ましく、25h以下がより好ましく、20h以下が最も好ましい。
また、共沈水酸化物前駆体から作製するリチウム遷移金属複合酸化物の50%粒子径(D50)を1〜8μmとするための好ましい攪拌継続時間、共沈炭酸塩前駆体から作製するリチウム遷移金属複合酸化物の50%粒子径(D50)を5〜18μmとするための好ましい攪拌継続時間は、制御するpHによって異なる。例えば、共沈水酸化物前駆体については、pHを10〜12に制御した場合には、撹拌継続時間は1〜10hが好ましく、pHを12〜14に制御した場合には、撹拌継続時間は3〜20hが好ましい。共沈炭酸塩前駆体については、pHを7.5〜8.2に制御した場合には、撹拌継続時間は1〜20hが好ましく、pHを8.3〜9.4に制御した場合には、撹拌継続時間は3〜24hが好ましい。
共沈前駆体の粒子を、中和剤として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を使用して作製した場合、その後の洗浄工程において粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去するが、本発明においては、Naが1000ppm以上残存するような条件で洗浄除去することが好ましい。例えば、作製した共沈前駆体を吸引ろ過して取り出す際に、イオン交換水200mlによる洗浄回数を5回とするような条件を採用することができる。
本発明において、リチウム遷移金属複合酸化物は、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体とLi化合物とを混合した後、熱処理することで好適に作製することができる。Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることで好適に製造することができる。但し、Li化合物の量については、焼成中にLi化合物の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物中のNaの含有量を1000ppm以上とするために、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体に含まれるNaが1000ppm以下であっても、焼成工程においてLi化合物と共にNa化合物を、前記水酸化物前駆体又は炭酸塩前駆体と混合することで活物質中に含まれるNa量を1000ppm以上とすることができる。Na化合物としては炭酸ナトリウムが好ましい。
焼成温度は、活物質の可逆容量に影響を与える。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向がある。このような分相が多く含まれすぎると、活物質の可逆容量の減少を導くので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが好ましい。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とリチウム化合物を混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本発明において、共沈水酸化物を前駆体として用いたときには焼成温度は少なくとも700℃以上とすることが好ましい。また、共沈炭酸塩を前駆体として用いたときには焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが好ましい。特に、前駆体が共沈炭酸塩である場合の最適な焼成温度は、前駆体に含まれるCo量が多いほど、より低い温度となる傾向がある。このように1次粒子を構成する結晶子を十分に結晶化させることにより、結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すことができる。
本発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することにより、前駆体が共沈水酸化物である場合においては、焼成温度が650℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、650℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができること、及び、前駆体が共沈炭酸塩である場合においては、焼成温度が750℃未満の温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、750℃以上の温度で合成することで顕著にひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電をおこなうことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。
上記のように、焼成温度は、活物質の酸素放出温度に関係するが、活物質から酸素が放出される焼成温度に至らずとも、900℃以上において1次粒子が大きく成長することによる結晶化現象が見られる。これは、焼成後の活物質を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。900℃を超えた合成温度を経て合成した活物質は1次粒子が0.5μm以上に成長しており、充放電反応中における活物質中のLi+移動に不利な状態となり、高率放電性能が低下する。1次粒子の大きさは0.5μm未満であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
以上のことからみて、リチウム遷移金属複合酸化物において、Li/Meのモル比(1+α)/(1−α)が1.2<(1+α)/(1−α)<1.6である場合、焼成温度は、750〜900℃とすることが好ましく、800〜900℃とすることがより好ましい。
以上の工程により、例えば以下のリチウム遷移金属複合酸化物が作製される。
Li1.18Co0.10Ni0.17Mn0.55
(Li/Me=1.44、Mn/Me=0.67)
Li1.13Co0.21Ni0.17Mn0.49
(Li/Me=1.30、Mn/Me=0.56)
Li1.18Co0.17Ni0.10Mn0.55
(Li/Me=1.44、Mn/Me=0.67)
Li1.20Co0.10Ni0.15Mn0.55
(Li/Me=1.50、Mn/Me=0.69)
(負極活物質)
Siを構成元素に含む物質は、SiO(0.5≦x≦1.5)等のSiの合金又は化合物、Si単体等である。SiOは、非晶質のSiOマトリックス中に微結晶、又は非晶質層のSiが分散した構造であってもよい。SiOは、十分な導電性を有さないから、導電性材料を有する物質で被覆されていることが望ましく、表面に微量のカーボンをコートしたSiOx粉末を用いることができる。
炭素質材料としては、グラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等が挙げられる。
負極活物質は、Siを構成元素に含む物質を炭素質材料に少量混合して作製する。
(正極板・負極板)
正極及び負極には、前記正極活物質、及び負極活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、特に0.5質量%〜30質量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総質量に対して添加量は30質量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記正極活物質、前記負極活物質、およびその他の材料を混練して正極合材及び負極合材とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水に混合させた後、得られた混合液を集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
集電体としては、アルミニウム箔、銅箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはアルミニウム箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合材層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
(非水電解質)
本発明に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/Lである。
(セパレータ)
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせたりすることが可能である。
(非水電解質二次電池の構成)
本発明の非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図3に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
(蓄電装置の構成)
本発明の非水電解質二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数の非水電解質二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図4に、非水電解質二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
(実施例1)
<正極活物質の合成>
硫酸コバルト7水和物14.08g、硫酸ニッケル6水和物21.00g及び硫酸マンガン5水和物65.27gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mlに溶解させ、Co:Ni:Mnのモル比が10:17:55となる2.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mlのイオン交換水を注ぎ、COガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCOを溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、2.0Mの炭酸ナトリウム、及び0.4Mのアンモニアを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに5h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、100℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.278gに、炭酸リチウムをLi:(Co,Ni,Mn)のモル比が1.44:1となるように加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から900℃の温度まで10時間かけて昇温し、昇温後温度で10h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、Naを2100ppm含み、D50が13μmであるリチウム遷移金属複合酸化物(Li1.18Co0.10Ni0.17Mn0.55)を作製した。
<正極板の作製>
N−メチルピロリドンを分散媒とし、正極活物質として上記のリチウム遷移金属複合酸化物、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が95.5:3:1.5の質量比率で含有している塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、プレス及び乾燥を実施して正極板を作製した。正極板の塗布重量は15mg/cmとした。
<負極板の作製>
カーボンを粒子表面にコートしたSiO粉末(x=1.0)(以下、「SiO−C」という。)1質量部と黒鉛質炭素材料99質量部を混合した負極活物質に、スチレンブタジエンゴム2質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部を加えた塗布用ペーストを作製し、このペーストを厚さ10μmのCu箔の片面に塗布し、プレス及び乾燥を実施して負極板を得た。負極板の塗布重量は13mg/cmとした。負極活物質中のSi量は、まずSiO−C量に含まれるカーボン質量比から負極活物質中のSiO量を求め、求めたSiO量、xおよび原子量の比からSi量を求めた。なお、x=1.0であった。ここで、SiO−C中に含まれるカーボンの質量比は、Si量に対して十分小さく、Si量の計算結果に与える影響は極めて小さいので、無視して取り扱った。
<電池の作製>
非水電解質として、フルオロエチレンカーボネート(FEC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比が1:9である混合溶媒100質量部に濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリエチレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止して、非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2〜4)
黒鉛質炭素材料に、SiO−Cをそれぞれ1.5質量部、2質量部、3質量部混合し、合計100質量部とした負極活物質を用い、負極板の塗布重量をそれぞれ12.7mg/cm、12.5mg/cm、11.9mg/cmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
負極活物質として、黒鉛質炭素材料のみを用い負極板の塗布重量を13.7mg/cmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
(比較例2)
負極活物質の材料として、SiO−Cのみを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の非水電解質二次電池を作製した。
<初回充放電>
上記の非水電解質二次電池を、25℃雰囲気下、以下の条件で初回充放電を行った。
充電:0.1CmAの電流値で4.35Vまで2時間充電、その後、0.2CmAの電流値で4.475Vまで、電流値が0.01CmAに低下するまで定電圧充電
放電:0.1CmAの電流値で2.00Vまで放電
(1CmA=40mA)
<容量確認試験>
上記の条件で初回充放電を行った電池に対して、25℃雰囲気下、以下の条件で容量確認試験を行った。
充電:0.1CmAの電流値で4.35Vまで、その後、電流値が0.01CmAに低下するまで定電圧充電
放電:0.1CmAの電流値で2.00Vまで放電
<サイクル試験>
サイクル試験は、45℃の雰囲気下、以下の充放電を1サイクルとし、100サイクルまで実施した。
充電:1CmAの電流値で4.35Vまで、その後、電流値が0.05CmAに低下するまで定電圧充電
放電:1CmAの電流値で2.00Vまで放電
実施例1〜4及び比較例1,2の電池の特性を表1に示した。
1st放電容量:初回充放電後の1回目の充放電で確認された放電容量
1st放電容量密度:1st放電容量/(正極合材質量+負極合材質量)
1CmA充放電サイクル維持率(61st/1st):初回充放電後、サイクル試験によ
る61回目の充放電で確認された放電容量/1st放電容量
1CmA充放電サイクル維持率(100th/1st):初回充放電後、サイクル試験による100回目の充放電で確認された放電容量/1st放電容量
Figure 0006323797
実施例1〜4及び比較例1の1st放電容量と、1st放電容量密度から、SiOの量が多いと、本発明は質量あたりの容量密度を大きいことが分かる。
また、実施例1〜4及び比較例1のサイクル試験による放電容量維持率の比較を示す。
比較例1の電池は、充放電サイクルが進むにつれて、放電容量維持率の劣化速度が大きい。これに対して、実施例1〜4の電池は、放電容量維持率の劣化が緩慢であり、特にSiO−Cが質量比で3%以下(Siが質量比で1.9%以下)の範囲で、放電容量維持率の極大値が見出された。
この結果は、Siを構成元素に含む物質を含む負極活物質では、充放電に伴う膨張が大きく、活物質としての使用量が多ければ多いほど充放電サイクル性能が劣化すると考えられていた従来の技術常識からは予測されないものである。
(符号の説明)
1 非水電解質二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
以上のとおり、本発明は、質量あたりの容量密度を上げるとともに、良好な充放電サイクル性能を有する非水電解質二次電池を提供することができるから、携帯機器用はもちろんのこと、ハイブリッド自動車用、電気自動車用として利用が可能である。

Claims (1)

  1. 正極と負極と非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
    前記正極は、α−NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を有し、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、前記遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、
    前記遷移金属中のMnのモル比Mn/MeがMn/Me>0.5であり、
    前記負極は、炭素質材料とSiを構成元素に含む物質とからなる負極活物質を有し、
    前記Siを構成元素に含む物質のSi量が、質量比で前記負極活物質中のx%(0<x≦1.9)を占めることを特徴とする非水電解質二次電池。


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