JP2016070219A - オイルポンプ構造 - Google Patents
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Abstract
【目的】可変容量タイプのオイルポンプにおいて、吐出圧を安定させるオイルポンプ構造とすること。
【構成】第1油圧制御室17aと第2油圧制御室17bを有するオイルポンプAと、弁操作油路42,第1流入路43,第2流入路45,第1流出路44,第2流出路46と、ドレン流路47を有する油圧制御バルブBと、オイル回路9とを備え、油圧制御バルブBは、オイル回路9の分岐流路91と接続され、油圧制御バルブBのスプール弁体5は、連結軸54と軸方向に直交して形成される前方弁部51と後方弁部52と中間弁部53とを有し、中間弁部53の軸方向寸法は第2流出路46の軸方向寸法よりも大とし、第2流出路46とドレン流路47とは共に、スプール弁体5の移動により中間弁部53と前方弁部51との間に一時的に収まり、油圧制御バルブBにて、第1油圧制御室17aには常時制御油圧を掛けると共に第2油圧制御室17bには制御油圧を増減させること。
【選択図】 図1
【構成】第1油圧制御室17aと第2油圧制御室17bを有するオイルポンプAと、弁操作油路42,第1流入路43,第2流入路45,第1流出路44,第2流出路46と、ドレン流路47を有する油圧制御バルブBと、オイル回路9とを備え、油圧制御バルブBは、オイル回路9の分岐流路91と接続され、油圧制御バルブBのスプール弁体5は、連結軸54と軸方向に直交して形成される前方弁部51と後方弁部52と中間弁部53とを有し、中間弁部53の軸方向寸法は第2流出路46の軸方向寸法よりも大とし、第2流出路46とドレン流路47とは共に、スプール弁体5の移動により中間弁部53と前方弁部51との間に一時的に収まり、油圧制御バルブBにて、第1油圧制御室17aには常時制御油圧を掛けると共に第2油圧制御室17bには制御油圧を増減させること。
【選択図】 図1
Description
本発明は車両用エンジン等に用いられる可変容量タイプのオイルポンプにおいて、吐出圧を安定させるためのオイルポンプ構造に関する。
自動車のエンジンのオイルポンプとして吐出量を増減させることができる可変容量オイルポンプが存在する。その中で、吐出量の可変操作を油圧手段にて行うものが存在する。この種のポンプの具体的なものが特許文献1に開示されている。特許文献1では、吐出量の可変手段として調整リング(14)を移動させてポンプ容量を増減するように変化させている。前記調整リング(14)の移動手段として油圧バルブが使用されている。
特許文献1では、吐出ポート(3)からエンジン(E)にオイルを供給する供給油路(31)が形成され、この供給油路(31)からのオイル圧が作用する位置に制御弁(V)が備えられている。受圧部(21)へ制御圧を与えたり、又は制御圧を外す操作を行うための第1制御油路(C1)が、制御弁(V)と受圧部(21)との間に配置される。
供給油路(31)から弁体(35)の中間部分にオイル圧を作用させる第2制御油路(C2)が形成される。制御弁(V)から排出されたオイルを低圧空間(LP)に送る排出油路(33)が形成される。上記構成において、段落[0066]に記載されたように、エンジン回転数がN3〜N4未満にある場合、エンジン回転数がN3を超えた(オイル圧が第3制御値を超えた)タイミングで図4に示すように、第2制御油路(C2)が制御弁(V)によって遮断される。
これと同時に、第1制御油路(C1)が制御弁(V)によって排出油路(33)に接続され、受圧部(21)に作用する制御圧が大きく低下する。このように受圧部(21)に作用する制御圧が遮断されるタイミングと、受圧部(21)に作用していた制御圧が排出油路(33)から逃がされるタイミングは、同時となっていることが段落[0066]に記載されている。
特許文献1の図3と図4を対比すると、以下のような現象が起きる事が懸念される。受圧部(21)に制御圧が掛かるとポンプ容量は減少してオイル圧も減少する。また、受圧部(21)に制御圧が掛からなければポンプ容量は増大してオイル圧も増大する。また、オイル圧は一定では無く、脈動により増減を繰り返しているものである。
オイル圧が第3制御値の近傍となった場合は、オイル圧は短い周期で増減を繰り返すため、受圧部(21)に制御圧が掛かったり、掛からなかったりする動作を短い周期で繰り返す事となる。受圧部(21)に制御圧が掛かったり掛からなかったりする動作が短い周期で繰り返されると、ポンプ容量が増大したり、減少したりする状態も短い周期で繰り返すことになる。そのため、オイル圧が短い周期で増減を繰り返す事となる。これはオイル圧の脈動が増大してしまう事を意味し、オイル圧の脈動が増大すると、騒音や振動が発生し、運転手が不快であると共に装置の耐久性も低下してしまうものである。
また、特に、例は挙げないが、上記現象は「ベーン」タイプの可変容量オイルポンプでも同様に発生するおそれがある。そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、油圧制御によって吐出量を可変操作するタイプのオイルポンプにおいて、可変操作時に油圧の急激な変化を抑え、吐出量の可変時の振動,脈動,衝撃音,騒音等を防止することにある。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、吐出量の可変操作を行うための第1油圧制御室と第2油圧制御室とを有し、前記第1油圧制御室と第2油圧制御室に制御油圧をかけることによって容量可変操作が行われるオイルポンプと、該オイルポンプからの吐出オイルが流入する弁操作油路と第1流入路と第2流入路と、前記第1油圧制御室にオイルを送る第1流出路と、前記第2油圧制御室にオイルを送る第2流出路と、オイルを外部に排出可能なドレン流路とを有する油圧制御バルブと、前記オイルポンプによってオイルが循環するオイル回路とを備え、前記油圧制御バルブは、前記オイル回路の分岐流路と接続され、前記油圧制御バルブ内を摺動するスプール弁体は、連結軸と該連結軸の軸方向に直交して形成される前方弁部と後方弁部と前記前方弁部と前記後方弁部との間に位置する中間弁部とからなり、該中間弁部の軸方向寸法は前記第2流出路の軸方向寸法よりも大とし、前記第2流出路と前記ドレン流路とは共に、前記スプール弁体の移動により前記中間弁部と前記前方弁部との間に一時的に収まり、前記油圧制御バルブによって、前記第1油圧制御室には常時制御油圧を掛けると共に前記第2油圧制御室には制御油圧を増減させてなるオイルポンプ構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1において前記油圧制御バルブには、前記第2油圧制御室と常時、連通するオリフィスが設けられてなるオイルポンプ構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記弁操作油路と連通又は遮断の何れか一方に切り替える操作バルブが備えられてなるオイルポンプ構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項3において、前記操作バルブはソレノイドバルブとしてなるオイルポンプ構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、第1油圧制御室と第2油圧制御室に制御油圧をかけることによって容量可変操作が行われるオイルポンプと、該オイルポンプからの吐出オイルが流入する弁操作油路と第1流入路と第2流入路と、前記第1油圧制御室にオイルを送る第1流出路と、前記第2油圧制御室にオイルを送る第2流出路とを有する油圧制御バルブと、前記弁操作油路とスプール弁体通路内とを連通又は遮断の何れか一方に切り替えるソレノイドバルブとを備えたものである。そして、該油圧制御バルブによって、前記第1油圧制御室には常時、制御油圧を掛けると共に、前記第2油圧制御室には制御油圧を増減させることにより、オイルポンプの容量が可変した場合の騒音や振動を少なくすることができる。
また、油圧制御バルブ内のスプール弁体における中間弁部の軸方向寸法は第2流出路の軸方向寸法よりも大としている。これによって、前記中間弁部は、第2流出路を完全に塞ぐ事ができ、スプール弁体が後方側に移動するときでも、第2油圧制御室内にオイルを閉じ込めた状態とする時間帯(期間)を存在させることができる。この状態では、オイルが非圧縮性流体であるために、第2油圧制御室内のオイルはダンパーとしての役目をなし、オイルポンプの作動における微振動を抑制でき、振動や騒音を低減できる。そして、中間弁部が多少移動しても第2流出路は閉じ状態を維持することができ、オイルのダンパー効果によりハンチングを抑制できる。
さらに、油圧制御バルブには、ドレン流路が設けられており、前記第2流出路と前記ドレン流路とは、前記スプール弁体の移動により一時的に前記中間弁部と前記前方弁部との間に収まる位置となる。つまり、第2流出路とドレン流路とが連通し、且つ第2流出路と第2流入路とは遮断される。これによって、第2油圧制御室内のオイルを容易に排出することができ、オイルポンプの吐出量の変化が円滑に行われる。
請求項2の発明では、油圧制御バルブにオリフィス流路を設けたものである。これによって、オイルポンプの第2油圧制御室に制御油圧が掛かっている状態から、油圧制御バルブを切り替えて、オイルポンプの第2油圧制御室の油圧を一気に大気解放しようとしたとしても、前記オリフィスを介して微小の油圧がオイルポンプの第2油圧制御室の制御室に常に掛かり続けているため、オイルポンプの第2油圧制御室の油圧変動は、オリフィスを介して掛かる油圧分だけ減少する。
油圧制御バルブにより油路を切り替えたとしても、オイルポンプの第2油圧制御室の制御室の油圧変動を少なくできるため、オイルポンプの吐出容量(吐出性能)は、変化するが、その変化は急変ではない。また、オイルポンプの吐出油圧も、変化はするが、その変化は急変ではなく、大きな油圧の振幅(いわゆるハンチング)の発生を抑制できるものである。これにより、制御に本発明のスプールバルブを用いたオイルポンプでは、騒音や振動を抑制する事ができる。
請求項3の発明では、前記弁操作油路と連通又は遮断の何れか一方に切り替える操作バルブが備えられたことにより、油圧制御バルブの油圧制御バルブの動作がより一層確実に行われるものである。請求項4の発明では、前記操作バルブはソレノイドバルブとしたことにより、高い精度にて自由自在に油圧制御バルブの操作を行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明は、図1に示すように、主にオイルポンプAと油圧制御バルブBと操作バルブCとから構成される。オイルポンプAは、主に自動車のエンジンにオイルを循環させるものであり、エンジンの回転数に比例せずに吐出量を可変することができる可変容量タイプのものである。オイルポンプAの吐出量の可変操作は、該オイルポンプAからオイルをエンジンに循環するオイル回路9に設けられた油圧制御バルブBと操作バルブCによって行われる。
オイルポンプAは、種々の構造のものが存在しているが、本発明では内接歯車タイプのものを説明する(図1参照)。オイルポンプAは、ポンプハウジング1と、インナーロータ21と、アウターロータ22と、アウターリング3とから構成される。ポンプハウジング1には、ロータ室11が形成される。該ロータ室11の底面部には、ポンプ駆動用の駆動軸23が装着される軸孔12が形成され、該軸孔12の周囲に吸入ポート13と吐出ポート14が形成されている。
前記吸入ポート13の終端部から吐出ポート14の始端部の間には第1シールランド16aが存在し、吐出ポート14の終端部から吸入ポート13の始端部の間には第2シールランド16bが存在する。前記ポンプハウジング1には,ロータ室11に連続する操作室17が形成され、後述するアウターリング3の操作突出部31が配置される。ロータ室11には、インナーロータ21、アウターロータ22及びアウターリング3が内装される。
インナーロータ21は、トロコイド形状又は略トロコイド形状とした歯車であり、複数の外歯が形成されている。また、直径方向中心位置には、駆動軸用のボス孔が形成され、該ボス孔には、駆動軸23が貫通固定される。アウターロータ22は、環状に形成され、内周側に複数の内歯が形成されている。
そして、インナーロータ21の外歯の数は、アウターロータ22の内歯の数よりも1つ少ないものとして構成されている。インナーロータ21の外歯と、アウターロータ22の内歯によって複数のセル(歯間空間)Sが構成される。
インナーロータ21の回転中心Paと、アウターロータ22の回転中心Pbとの距離を偏心量とし、インナーロータ21の回転中心Paを中心とし偏心量を半径とする軌跡円が形成される。アウターリング3の操作によって、アウターロータ22の回転中心Pbは、初期位置状態から最終位置状態に亘って前記軌跡円の一部分である扇形状の円弧に沿って移動する。
アウターリング3は、略円環状に形成され、その外周側面の所定箇所から直径方向外方に突出状に形成される操作突出部31が設けられている。また、アウターリング3の内方側には真円状の貫通孔となる抱持内周部32が形成されている。アウターリング3は、前記操作突出部31を介して後述する操作手段によってロータ室11内で揺動操作される。
操作突出部31は、前記操作室17に配置され、該操作室17内にて揺動することができる。
操作突出部31は、前記操作室17に配置され、該操作室17内にて揺動することができる。
前記抱持内周部32は、円形の内壁面として形成されたものであり、抱持内周部32の内径は、アウターロータ22の外径と略同一であり、具体的には抱持内周部32の内径が、アウターロータ22の外径よりも僅かに大きく、前記アウターロータ22が円滑に回転自在となるように抱持内周部32とアウターロータ22の間にクリアランスを有して挿入される。
アウターリング3の抱持内周部32の直径中心は、該抱持内周部32に挿入された状態のアウターロータ22の回転中心Pbと位置が一致する。アウターリング3は、ポンプハウジング1のロータ室11に内装されるものであり、該ロータ室11内で、揺動可能となる構成となっている。アウターリング3は、後述する油圧制御バルブB及び操作バルブCによって揺動操作を行うものである。
操作突出部31には、揺動方向の一方に第1受圧面31aが形成され、他方に第2受圧面31bが形成されている(図1,図4,図5参照)。操作突出部31は、操作室17内に配置された状態で、操作突出部31が操作室17を二つに仕切る構成となる。そして、操作室17内において、第1受圧面31aが面する側の油圧室を第1油圧制御室17aとし、第2受圧面31bが面する側の油圧室を第2油圧制御室17bとする。
また、操作室17には付勢部材8が備わっている(図1参照)。該付勢部材8は、アウターリング3の第2受圧面31bを弾性的に押圧して、アウターリング3及びアウターロータ22を常時、初期位置となるようにしている。また、操作室17との間に、前記第1油圧制御室17aと連通する第1油路18aが形成され、前記第2油圧制御室17bと連通する第2油路18bが形成される。
油圧制御バルブBは、バルブハウジング4とスプール弁体5と弾性部材6とから構成される。油圧制御バルブBは、前記ポンプハウジング1の一部として該ポンプハウジング1に組み込まれて一体化されることもある。或いはポンプハウジング1とバルブハウジング4とは、それぞれ独立した部材としてもよい。
バルブハウジング4の内部には、弁体通路41が設けられている(図1,図2等参照)。弁体通路41の軸方向一端側には弁操作油路42が形成されている。ここで、弁体通路41は、軸方向において前記弁操作油路42と連通する側を弁体通路41の前方側とし、軸方向において該弁操作油路42と反対側を弁体通路41の後方側とする。
弁体通路41には、スプール弁体5が配置され、該スプール弁体5が弁体通路41の軸方向に沿って前方側と後方側とを往復移動するものである。前記弁操作油路42は、オイルポンプAの吐出ポート14側の下流側に操作バルブCを介して連通している。スプール弁体5は、弁体通路41内の前方側と後方側との間を往復する。
前記バルブハウジング4で且つ弁体通路41には、第1流入路43,第1流出路44,第2流入路45,第2流出路46,ドレン流路47,オリフィス48が形成されている(図1,図2参照)。そして、前記弁体通路41の前方側から後方側に向かって第1流入路43,第1流出路44,ドレン流路47,第2流出路46,第2流入路45,オリフィス48の順番で形成されている(図1乃至図3等参照)。
第1流入路43と第2流入路45は、オイルポンプAの吐出ポート14側とエンジンの間を連結するオイル回路9の下流の分岐流路91に連通する。第1流入路43と第2流入路45は、バルブハウジング4内では、後述する操作バルブCが組み込まれる共有油路49からそれぞれ分岐する〔図2(A),(C)参照〕。
オイルポンプAから吐出されたオイルが、常時、弁体通路41内に流入可能となる構成である。第1流出路44は、オイルポンプAの第1油圧制御室17aに第1連通路92によって連通している。第2流出路46は、オイルポンプAの操作室17の第2油圧制御室17bに第2連通路93によって連通している(図1参照)。また、断面積が絞られた絞り油路としての機能を有するオリフィス48は前記第3連通路94によって第2油圧制御室17bと連通する。また第3連通路94は、前記第2連通路93と合流する構成とすることもある(図1参照)。
ドレン流路47は、バルブハウジング4の外部に連通し、オイルを外部に排出する役目をなす。外部に排出されるオイルは、オイルパン等に収容され、再度オイルポンプAの吸入ポート13側に戻るように構成されている。オリフィス48は、オイルポンプAの第2油圧制御室17bに連通している。
スプール弁体5は、前方弁板51,後方弁板52,中間弁板53が連結軸54にて所定間隔をおいて連結されている(図1,図2参照)。さらに前方弁板51から軸方向前方側に受圧軸55が形成されている。また、後方弁板52の軸方向後方側にはバネ支持軸56が形成されている。前方弁板51,後方弁板52,中間弁板53は、直径が同一であり、弁体通路41の内径と略等しく、精度の高い嵌合構造となっている。
受圧軸55は、前記弁操作油路42内に摺動可能に挿入されている。そして、弁操作油路42内の油圧を受けて、受圧軸55が摺動することによってスプール弁体5が弁体通路41を摺動する。弁体通路41の後方側には弾性部材6が収納されており、スプール弁体5は弁体通路41の前方側に弾性付勢されている。このときスプール弁体5の受圧軸55が弁操作油路42から油圧を受けない状態で、スプール弁体5は弁体通路41の前方側に位置する。この状態をスプール弁体5の初期位置状態とする。
スプール弁体5の初期位置状態及びその他のどのような位置においても、前方弁板51は、前記第1流入路43と前記第1流出路44を閉じることはない(図4,図5参照)。つまり、後述する操作バルブCが連通するならば第1流入路43と第1流出路44とは常時開き状態であり、第1流入路43から弁体通路41内へは、常時オイルが流入し、第1流出路44からは常時オイルを流出させて、オイルポンプAの第1油圧制御室17aへ油圧をかけ続けることができる構成となっている。
スプール弁体5は、第1流入路43と第1流出路44とを閉じることができないように、摺動範囲を規制するために規制手段4aが設けられる。具体的には、弁操作油路42に段差部を設け、スプール弁体5の受圧軸55の摺動範囲を規制するものである。また、前記規制手段4aとして、弁体通路41の前方側の適宜の位置に段差部を形成することもある。
前記第2流入路45及び前記第2流出路46は、スプール弁体5の中間弁板53によって開閉される構造となっている。したがって、第2流入路45から第2流出路46へのオイルの流れは、弁体通路41内におけるスプール弁体5の位置によって、連通及び非連通(遮断)の何れかの状態となる。つまり、第2流出路46からオイルポンプAの第2油圧制御室17bへのオイルの流れが行われたり、停止されたりすることができる(図4,図5参照)。
次に、スプール弁体5の中間弁板53と、第2流出路46と、ドレン流路47とのサイズ及び位置関係の構成を以下に示す。
油圧制御バルブB内のスプール弁体5における中間弁部53の軸方向寸法は第2流出路46の軸方向寸法Lhよりも大としている。これによって、前記中間弁部53は、第2流出路46を完全に塞ぐ事ができる。
そして、中間弁部53が多少移動しても第2流出路46は閉じ状態が維持され、オイルのダンパー効果によりハンチングを抑制できる。そして、上記のことから、第2油圧制御室17bにオイルを閉じ込めた状態とする時間帯(期間)を存在させることができる〔図3(C)参照〕。
この状態では、オイルが非圧縮性流体であるために、第2油圧制御室17bのオイルはダンパーとしての役目をなす。そのために、オイルポンプの作動における微振動を抑制でき、振動や騒音を低減できる。そして、中間弁部53が多少移動しても第2流出路46は閉じ状態が維持され、オイルのダンパー効果によりハンチングを抑制できる。
また、前記第2流出路46と前記ドレン流路47は、前記スプール弁体5のスプール弁体通路41内における軸方向移動により前記中間弁部53と前記前方弁部51との間に一時的に収まる構成としている。ここで、前述した第2流出路46とドレン流路47とが中間弁部53と前方弁部51との間に収まる構成とは、スプール弁体5がスプール弁体通路41を後方側に移動する行程において、中間弁板53と前方弁板51との間に、第2流出路46とドレン流路47とが共に位置し、連通状態となるときが一時的に存在するということである〔図3(D)参照〕。また、収まる構成は、第2流出路46とドレン流路57のそれぞれの一部同士が中間弁板53と前方弁板51との間に入って入れば良い〔図3(D)参照〕。
つまり、前記スプール弁体5の中間弁部53と前記前方弁部51との間に形成される空隙部の軸方向における間隔寸法をLtとし、前記バルブハウジング4の第2流出路46とドレン流路47との軸方向における最小間隔寸法をLqとすると、
となる〔図3(A),(D)参照〕。
となる〔図3(A),(D)参照〕。
このような構成によって、スプール弁体5が移動する行程で、第2流出路46とドレン流路47とは、中間弁板53と前方弁板51との間で連通することができ、オイルを第2流出路46からドレン流路47に排出可能となる〔図3(D)参照〕。また、このとき、第2流入路45と第2流出路46とは、中間弁板53によって遮断され、オイルポンプAの第2油圧制御室17b内のオイルは、第2連通路93と第2流出路46とドレン流路47とから構成される連通路によって容易に排出される〔図5(B)参照〕。これによって、オイルポンプAのアウターリング3は、円滑に回動することができ、吐出量の変化が円滑に行われる〔図3(D),図5(B)参照〕。
そして、さらに油圧が高くなるにつれ、スプール弁体5は弾性部材6の力よりも油圧による力が徐々に上回り、スプール弁体通路41の後方側に移動する。第2流出路46は、スプール弁体5の中間弁板53によって閉じられ、油圧はオイルポンプAの第2油圧制御室17bには伝搬しない。
次に、操作バルブCは、前記油圧制御バルブBを操作制御するために使用するものである(図1,図2等参照)。操作バルブCは、具体的にはソレノイドバルブC1が使用される。該ソレノイドバルブC1は、バルブケース7の内部に、供給油路71,第1分岐供給油路72及び第2分岐供給油路73が形成されている。前記供給油路71は、オイル回路9の分岐流路91と連通している。第1分岐供給油路72は、前記油圧制御バルブBの共有油路49と連通しており、第2分岐供給油路73は弁操作油路42と連通している。
供給油路71と第1分岐供給油路72と第2分岐供給油路73とは、方向制御弁体74を介して接続されている。該方向制御弁体74は、主方向制御油路74aと副方向制御油路74bとが形成され、主方向制御油路74aと副方向制御油路74bとは方向制御弁体74内部で連通している。方向制御弁体74は、主方向制御油路74aによって供給油路71と第1分岐供給油路72とを常時連通している。
また、供給油路71と第2分岐供給油路73とは、主方向制御油路74aと副方向制御油路74bとによって連通し〔図2(A),(B)参照〕、方向制御弁体74を回動させることで遮断に適宜切り換えることができる構成となっている〔図2(C),(D)参照〕。方向制御弁体74は、電磁操作によって方向制御が行われる。したがって、ソレノイドバルブC1は、分岐流路91と共有油路49とを常時連通させる(図2参照)。
また、分岐流路91と弁操作油路42とは、ソレノイドバルブC1の方向制御弁体74によって、適宜連通及び遮断が行われる〔図2(C),(D)参照〕。そして、ソレノイドバルブC1は、エンジンの回転数域によって、スプール弁体5が弁体通路41内を低いエンジン回転数で移動する必要があるときに、弁操作油路42に油圧がかかるように分岐流路91と弁操作油路42とを連通させるように制御する(図4参照)。また、スプール弁体5を、なるべく高いエンジン回転数まで初期位置に停止させる状態とするときには、ソレノイドバルブC1は、分岐流路91と弁操作油路42とを遮断させるように制御する(図5参照)。また、操作バルブCは、ソレノイドバルブC1の他に、特に図示しないが油圧式の操作バルブも存在する。
次に本発明におけるオイルの流れの制御動作について図4,図5に基づいて説明する。まず、エンジンの低回転数域では、ソレノイドバルブC1は、オイル回路9の分岐流路91と、油圧制御バルブBの弁操作油路42とが連通し、スプール弁体5には油圧がかかっている〔図4(A)参照〕。しかし、低回転数域では油圧は低く、スプール弁体5は弾性部材6の力が油圧による力を相対的に上回り、弁体通路41の弁操作油路42側に位置する。この状態で、第2流出路46は、スプール弁体5の中間弁板53によって塞がれないため、油圧はオイルポンプAの第2油圧制御室17bに伝搬自在である〔図4(A)参照〕。
エンジンの中回転数域では、低回転数域の場合の操作バルブCの動作と同等の動作が継続されており、オイル回路9の分岐流路91と、油圧制御バルブBの弁操作油路42とが連通している〔図4(B)参照〕。中回転数域では、油圧が高くなるにつれ、スプール弁体5は、弾性部材6の力よりも油圧による力が徐々に上回り、弁体通路41を後方側に移動を開始する。さらに、スプール弁体5は、弁操作油路42及び第1流入路43から油圧を受けて弁体通路41の後方側に移動し、中間弁板53は、第2流出路46の軸方向の略同一位置に到達する〔図4(B)参照〕。
第2流出路46は、スプール弁体5の中間弁板53によって塞がれ、油圧はオイルポンプAの第2油圧制御室17bには伝搬しなくなる。このように前記中間弁部53は、第2流出路46を完全に塞ぐ事ができ、中間弁部53が多少移動しても第2流出路46は閉じ状態であり、オイルのダンパー効果によりハンチングを抑制できる〔図3(C)参照〕。
スプール弁体5の中間弁板53が、第2流出路46の軸方向の中央を僅かに通り過ぎても、まだ第2流出路46は、中間弁板53によって閉じたままであり、更に中間弁板53が弁体通路41の後方側に移動して初めて、第2流出路46とドレン流路47とが連通する〔図3(D)参照〕。これによって、第2油圧制御室17b内のオイルが排出される。また、このとき、オリフィス48からは、第2油圧制御室17b内にオイルを僅かに送り続けることができ、第2油圧制御室17bにおける急激な圧力変化を防止することができる。
中回転数域から回転数が増加して高回転数域に移行しようとする変化域では、ソレノイドバルブC1の方向制御弁体74は、分岐流路91と弁操作油路42とを遮断し、該弁操作油路42からのスプール弁体5の受圧軸55への油圧供給が停止される。このため、スプール弁体5を弁体通路41の後方側に押圧するための受圧面積が減少し、スプール弁体5を弁体通路41の後方側に押圧する油圧による力も減少する。これによって、弾性部材6による力が上回り、スプール弁体5は前方側に移動する。よって、第2流出路46は、スプール弁体5のいずれの弁板によっても閉じられず、油圧はオイルポンプAの第2油圧制御室17bに伝搬自在となる〔図5(A)参照〕。
次に、高回転数域では、より一層油圧が高くなり、スプール弁体5に油圧による力が掛かる面積が小さかったとしても、弾性部材6による力を上回り、スプール弁体5は弁体通路41を後方側に移動する。このとき、第2流入路45は、スプール弁体5の中間弁板53によって塞がれ、油圧はオイルポンプAの第2油圧制御室17bには伝搬しなくなる。このように、高回転数域でも、第2流入路45と第2流出路46とは連通しない。また、図7では、エンジンの低回転数域,中回転数域,変化域及び高回転数域における油圧の状態を示すものである。
また、オリフィス48は、オイルポンプAの第2油圧制御室17bに常時、連通しており、オイルポンプAの第2油圧制御室17bには、常時、若干の油圧が掛かる構造となっている(図4,図5参照)。オリフィス48を油圧制御バルブBに設けたことにより、オリフィス48を介して微小の油圧がオイルポンプAの第2油圧制御室17bに常に掛かり続けているため、該第2油圧制御室17bの油圧変動は、オリフィス48を介して掛かる油圧分だけ減少する。これによって、第2油圧制御室17bの油圧変動を少なくできるため、オイルポンプAの吐出容量(吐出性能)は変化はするが、急変することなく、大きな油圧の振幅(いわゆる油圧脈動)の発生を抑制できる。
そして、オリフィス48から供給される油圧分だけオイルポンプAの第2油圧制御室17bの油圧は大気圧よりは若干高くなる。これによって、オイルポンプAの第2油圧制御室17bの油圧変動を少なくできる。また、油圧制御バルブBには、オリフィス48が設けられないこともある(図6参照)。この場合、第2油圧制御室17bには、常時オイルは送られないが、第1流入路43と第1流出路44によって、第1油圧制御室17aに常時オイルが送られているので、第1油圧制御室17a側には、常時油圧が掛かり、これによって、オイルポンプAの騒音や振動を抑えることができる。
A…オイルポンプ、17a…第1油圧制御室、17b…第2油圧制御室、
42…弁操作油路、43…第1流入路、44…第1流出路、45…第2流入路、
46…第2流出路、47…ドレン流路、48…オリフィス、B…油圧制御バルブ、
5…スプール弁体、1…前方弁部、52…後方弁部、53…中間弁部、54…連結軸、
59…オイル回路、C…操作バルブ。
42…弁操作油路、43…第1流入路、44…第1流出路、45…第2流入路、
46…第2流出路、47…ドレン流路、48…オリフィス、B…油圧制御バルブ、
5…スプール弁体、1…前方弁部、52…後方弁部、53…中間弁部、54…連結軸、
59…オイル回路、C…操作バルブ。
Claims (4)
- 吐出量の可変操作を行うための第1油圧制御室と第2油圧制御室とを有し、前記第1油圧制御室と第2油圧制御室に制御油圧をかけることによって容量可変操作が行われるオイルポンプと、該オイルポンプからの吐出オイルが流入する弁操作油路と第1流入路と第2流入路と、前記第1油圧制御室にオイルを送る第1流出路と、前記第2油圧制御室にオイルを送る第2流出路と、オイルを外部に排出可能なドレン流路とを有する油圧制御バルブと、前記オイルポンプによってオイルが循環するオイル回路とを備え、前記油圧制御バルブは、前記オイル回路の分岐流路と接続され、前記油圧制御バルブ内を摺動するスプール弁体は、連結軸と該連結軸の軸方向に直交して形成される前方弁部と後方弁部と前記前方弁部と前記後方弁部との間に位置する中間弁部とからなり、該中間弁部の軸方向寸法は前記第2流出路の軸方向寸法よりも大とし、前記第2流出路と前記ドレン流路とは共に、前記スプール弁体の移動により前記中間弁部と前記前方弁部との間に一時的に収まり、前記油圧制御バルブによって、前記第1油圧制御室には常時制御油圧を掛けると共に前記第2油圧制御室には制御油圧を増減させてなることを特徴とするオイルポンプ構造。
- 請求項1において、前記油圧制御バルブには、前記第2油圧制御室と常時、連通するオリフィスが設けられてなることを特徴とするオイルポンプ構造。
- 請求項1又は2において、前記弁操作油路と連通又は遮断の何れか一方に切り替える操作バルブが備えられてなることを特徴とするオイルポンプ構造。
- 請求項3において、前記操作バルブはソレノイドバルブとしてなることを特徴とするオイルポンプ構造。
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