JP5278779B2 - オイルポンプ - Google Patents
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Description
特許文献3に記載のオイルポンプは、ロータの回転軸芯に対するカムリングの偏芯量が減少するように当該カムリングに揺動力を付与する第1圧力室と、偏芯量が増大するようにカムリングに揺動力を付与する第2圧力室と、第2圧力室に作動流体を選択的に供給する電磁弁とを備えている。
特許文献4に記載のオイルポンプは、カムリングに対してポンプ容量を減少させる力を作用させる第1制御チャンバーと、カムリングに対してポンプ容量を減少させる力を作用させる第2制御チャンバーと、第2制御チャンバーに作動流体を選択的に供給する電磁弁とを備えている。
オイル圧が第1制御値未満の圧力領域と、この第1制御値を超えた第2制御値に達するまでの圧力領域とにおいて、制御弁が制御油路を開状態に維持する。このため、制御圧が第1制御値未満である場合に、容量調整機構がポンプ容量を大きい値に維持し、エンジン回転数の増大に伴いオイルの吐出量を第1勾配で増大させる。また、制御圧が第1制御値を超えた場合には、容量調整機構が、ポンプ容量を小さい値に切り換えることにより、エンジン回転数の増大に伴い、第1勾配より緩い傾斜の第2勾配でオイルの吐出量を増大させる。これにより、低速状態においても充分な量のオイルを供給しながら、制御圧が第1制御値に達すると、エンジン回転数が増大しても不必要な量のオイルを供給することがない。
したがって、本構成のオイルポンプであれば、オイルを無駄に流動させることなく、且つ、低温時にも信頼性の高い作動を実現するオイルポンプを低コストで製作することができる。
第1実施形態
〔基本構成〕
図1には、車両のエンジンEに対して潤滑油と、エンジンEに備えた油圧機器の作動油とを供給するようにエンジンEで駆動される可変容量型のオイルポンプを示している(潤滑油と作動油との総称をオイルとする)。
このオイルポンプは、ケーシング1の内部に駆動回転軸芯(本発明におけるロータの回転軸芯に相当する)Xを中心にして駆動軸11と一体的に駆動回転するインナーロータ
(本発明におけるロータに相当する)12と、駆動回転軸芯Xと偏心する従動回転軸芯
(本発明における筒軸芯に相当する)Yを中心に回転するアウターロータ(本発明における筒状体に相当する)13とを備え、更に、アウターロータ13をインナーロータ12に対して駆動回転軸芯Xの周りで公転移動させることでポンプ容量を調整する容量調整機構Aと、この容量調整機構Aに制御油を供給する制御弁Vとを備えている。
当然のことながら、エンジン回転数(エンジンEの回転速度)が増大するほど吐出ポート3から吐出するオイルの流量が増大するためにオイルの圧力は上昇する。
容量調整機構Aは、アウターロータ13を回転自在に内挿支持すると共に、アウターロータ13の公転移動を実現する調整リング14と、この調整リング14をガイドするガイド手段Gと、調整リング14に一体形成された受圧部21と、調整リング14に付勢力を作用させる第1スプリングS1(第1付勢手段の一例)とを備えている。
これとは逆に、図8に示す如く、駆動回転軸芯Xに対する吸引ポート2と吐出ポート3とを隔てる仕切り部の方向と従動回転軸芯Yの方向が90度の位相を成す状態が、オイルの吐出量が最小になる状態である。
この駆動回転軸芯Xに対する、仕切り部の方向と従動回転軸芯Yの方向の位相を調整するために、容量調整機構Aでは、内歯13Aと外歯12Aとが噛み合う状態で駆動回転軸芯Xを中心にして従動回転軸芯Yが移動するようにアウターロータ13を公転移動させることでポンプ容量を変更調整する。
吐出ポート3から(加圧空間HPから)エンジンEにオイルを供給する供給油路31が形成され、この供給油路31からのオイル圧が作用する位置に制御弁Vが備えられている。この制御弁Vはケーシング1に一体的に備えられる構成であるが、ケーシング1から分離する構成であっても良い。
このオイルポンプは、図7に示すようにエンジン回転数(エンジンEの回転速度)がO点から増大してN1、N2、N3、N4、N5に達するまで変化した場合に、オイルの吐出量がOから増大してP、Q、R、S、T、Uのように変化するように容量調整機構Aが制御される。また、エンジン回転数がN1である状態におけるオイル圧を第1制御値と称しており、これに準じてエンジン回転数がN2〜N5にある状態における吐出ポート3
(加圧空間HP)のオイル圧を第2〜第5制御値と称している。
エンジン回転数がO〜N1未満にある場合には、オイル圧は第1制御値未満であり、図1に示すように、制御弁Vが弁体35の小径部35Aを介して制御油路Cを全開状態に維持する。これと同時に、制御油路Cから供給される制御圧に抗するように容量調整機構Aの第1スプリングS1の付勢力を設定することにより容量調整機構Aがポンプ容量を最大に維持する。この制御において制御弁Vは必ずしも全開状態である必要はなく、開状態であれば良い。
次に、エンジン回転数がN1〜N2未満にある場合において、エンジン回転数がN1を超えた(オイル圧が第1制御値を超えた)タイミングで図2に示すように、制御弁Vが制御油路Cを開状態に維持したまま、制御油路Cから供給される制御圧により受圧部21と一体的に調整リング14がポンプ容量減少側に変位する。この変位と共にアウターロータ13がポンプ容量減少方向に公転し、ポンプ容量が連続的に減少する。
(エンジン回転数がN2未満)の圧力領域では容量調整機構Aによってポンプ容量が連続的に減少されるので、不必要な供給を抑制した量のオイルをエンジンEに供給できる。
次に、エンジン回転数がN2〜N3未満にある場合において、エンジン回転数がN2を超えた(オイル圧が第2制御値を超えた)タイミングで図3に示すように、第1制御油路C1から制御弁Vの小径部35Aに対する連通部分を絞る(制御油路Cの断面積を低減する)状態に達する。これによりエンジン回転数が増大するほど制御圧は低減し、エンジン回転数の増大に伴い第1スプリングS1の付勢力により調整リング14のポンプ容量増大側への変位量が増大しようとする。一方、補助受圧部22に作用するオイル圧は、エンジン回転数が増大するほど大きくなり、調整リング14はポンプ容量減少側への変位量が増大しようとする。
このとき、補助受圧部22に作用するオイル圧よりも第1スプリングS1の付勢力の方が小さくなるように設定すると、結果として調整リング14はポンプ容量減少側へ移動する。
ところで図7のようにQ〜Rが原点Oを通る吐出特性を有する場合は、調整リング14がポンプ容量減少側へ移動する際に、アウターロータ13の公転を停止(すなわち自転のみ)するように、調整リング14の移動軌跡を設定すれば実現可能となる。
次に、エンジン回転数がN3〜N4未満にある場合において、エンジン回転数がN3を超えた(オイル圧が第3制御値を超えた)タイミングで図4に示すように、第2制御油路C2が制御弁Vによって遮断される。これと同時に、第1制御油路C1が制御弁Vによって排出油路33に接続され、受圧部21に作用する制御圧が大きく低下する。その結果、第1スプリングS1の付勢力により受圧部21と一体的に調整リング14がポンプ容量増大側の作動端まで変位する。この変位と共にアウターロータ13がポンプ容量増大方向に公転し、ポンプ容量が最大まで上昇する。このようにポンプ容量が最大に維持された状態でエンジン回転数に正比例した量(S〜T)のオイルがエンジンEに供給される。
次に、エンジン回転数がN4〜N5未満にある場合において、エンジン回転数がN4を超えた(オイル圧が第4制御値を超えた)タイミングでは図5に示すように、制御弁Vによる第2制御油路C2の遮断状態が維持される。この状態で加圧空間HP(オイル圧作用空間)から補助受圧部22と調整リング14の外周とにオイル圧が作用し調整リング14がポンプ容量減少側の作動端まで変位する。この変位によりインナーロータ12がポンプ容量減少方向に公転し、ポンプ容量が連続的に減少する。これによりポンプ容量が連続的に減少する状態でエンジン回転数に対しほぼ一定量(T〜U)のオイルがエンジンEに供給される。
次に、エンジン回転数がN5を超えた(オイル圧が第5制御値を超えた)タイミングで図6に示すように、操作油路32のオイルが制御弁Vによって排出油路33に排出され、オイル圧の上昇が抑制される。尚、このように制御弁Vがリリーフ状態に達する状況においても、加圧空間HPから調整リング14の外周に作用するオイル圧によりポンプ容量が減少した状態に維持される。
このように本発明のオイルポンプでは、インナーロータ12とアウターロータ13とを有する可変容量型のポンプと、この可変容量型ポンプの容量を調整するために機械式に作動する制御弁Vとを組み合わせることにより、オイルの粘性が高い場合でも、この粘性の影響を受けずにポンプ容量の調整を実現する。また、オイルポンプは、インナーロータ12の外歯12Aとアウターロータ13の内歯13Aとが噛み合う状態を維持しながら、アウターロータ13が公転することでポンプ容量の無段階の増減を実現する。
図9,図10は、本発明によるオイルポンプの別実施形態を示す。
本実施形態のオイルポンプは、可変容量型のベーン式オイルポンプで構成されている。
このオイルポンプは、ロータ外周側に向けて突出引退可能で突出移動するように付勢された周方向で複数の可動ベーン4を有するロータ12と、可動ベーン4との摺動により当該可動ベーン4の突出量を変更するカムリング(本発明における筒状体に相当する)13とを備えている。
外周筒部12aの内周側には、各可動ベーン4の基端側を支持する支持リング15が装着されている。
カムリング13は、可動ベーン4の先端部分が摺動する内周面が円筒面で形成された円筒状に形成されている。
ロータ12を矢印Fで示す方向に駆動回転させることにより、ポンプ室部分24aの容積が増大するに伴って吸引ポート2からオイルを当該ポンプ室部分24aに導入し、ポンプ室部分24aの容積が減少するに伴って当該ポンプ室部分24aのオイルを吐出ポート3から送り出すポンプ機構を備えている。
その他の構成及び作動形態は第1実施形態と同様であるのでその説明は省略する。
2 吸引ポート
3 吐出ポート
4 可動ベーン
12 ロータ(インナーロータ)
12A 外歯
13 筒状体(アウターロータ,カムリング)
13A 内歯
14 調整リング
21 受圧部
24 ポンプ室
35 弁体
A 容量調整機構
C 制御油路
E エンジン
HP オイル作用空間
S1 第1付勢手段(第1スプリング)
S2 第2付勢手段(第2スプリング)
V 制御弁
X 回転軸芯(駆動回転軸芯)
Y 筒軸芯(従動回転軸芯,カムリング軸芯)
P 第1制御値
Q 第2制御値
R 第3制御値
T 第4制御値
U 第5制御値
Claims (7)
- エンジンにより駆動回転されるロータと、
前記ロータの外周側との間にポンプ室を形成する筒状体と、
前記ロータ及び前記筒状体を収容するケーシングと、
前記ケーシングに形成された吸引ポート及び吐出ポートと、
前記ロータの回転に伴い、前記吸引ポートから前記ポンプ室に吸引したオイルを前記吐出ポートから吐出させるポンプ機構と、
前記筒状体を前記ロータに対して筒径方向に移動させることでポンプ容量を変更する容量調整機構と、
前記吐出ポートからのオイル圧を制御圧に変換する制御弁と、
前記制御弁からの制御圧を前記容量調整機構に作用させて前記筒状体を筒径方向に移動可能な制御油路とが備えられ、
前記容量調整機構は、前記制御圧が高いほどポンプ容量減少方向に前記筒状体を移動させる構成を備え、
前記制御弁は、前記オイル圧が第1制御値未満の圧力領域と、この第1制御値を超えた第2制御値に達するまでの圧力領域とにおいて、前記制御油路を開状態に維持し、
前記容量調整機構は、前記制御圧が前記第1制御値未満である場合にはポンプ容量を最大に設定することでエンジン回転数の増大に伴ってオイル吐出量を第1勾配で増大させ、次に、前記制御圧が第1制御値を超えた場合には前記筒状体のポンプ容量減少方向への移動によりポンプ容量を減少させる状態でエンジン回転数の増大に伴ってオイル吐出量を前記第1勾配よりも緩い傾斜となる第2勾配で増大させるオイルポンプ。 - 前記制御弁が、前記オイル圧が前記第2制御値からこの第2制御値を超える第3制御値までの圧力領域において上昇した場合に、このオイル圧が上昇するほど前記制御油路を絞ることにより前記制御圧の低下を図る作動を行い、
前記容量調整機構は、前記筒状体のポンプ容量減少方向への移動を減少もしくは停止させてポンプ容量の減少を減らし、エンジン回転数の増大に伴って前記第2勾配よりも急となる第3勾配でオイル吐出量を増大させる請求項1記載のオイルポンプ。 - 前記制御弁は、前記オイル圧が前記第3制御値を超える値に上昇した場合に、前記制御油路のうち前記オイル圧が作用する部位を遮断すると共に、前記容量調整機構側の部位を低圧側に連通させる位置に作動を行い、
前記容量調整機構は、前記制御圧の低下に伴い前記筒状体をポンプ容量増大方向に移動させてポンプ容量を増大させる請求項2記載のオイルポンプ。 - 前記容量調整機構が、前記筒状体をポンプ容量増大側に付勢する第1付勢手段と、前記制御圧を受けることにより前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記筒状体をポンプ容量減少側に移動させる受圧部とを備え、
前記制御弁が、前記吐出ポートから作用するオイル圧によって変位する弁体と、この弁体に対してオイル圧に抗する方向に付勢力を作用させる第2付勢手段とを備え、
前記オイル圧が前記第2制御値未満では、前記弁体が前記制御油路を開状態に維持するように第2付勢手段の付勢力が設定され、前記制御圧が前記第2制御値を超えた場合に前記筒状体がポンプ容量増大側へ移動するように前記第1付勢手段の付勢力が設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のオイルポンプ。 - 前記吐出ポートからの前記オイル圧が、前記ケーシングの内部において前記筒状体の外周部に作用するオイル圧作用空間が形成され、前記オイル圧が前記第3制御値を超える領域において、前記オイル圧作用空間から前記筒状体の外周部に作用する前記オイル圧により前記筒状体がポンプ容量減少側に移動するように前記第1付勢手段の付勢力が設定されている請求項4記載のオイルポンプ。
- 前記ロータは、複数の外歯を有するインナーロータであり、
前記筒状体は、前記外歯に噛み合う複数の内歯を有した環状で、前記インナーロータの回転軸芯に対して偏心する前記筒軸芯の周りで回転自在なアウターロータであり、
前記ポンプ室は、前記内歯と前記外歯との間に形成され、
前記容量調整機構は、前記内歯と前記外歯とが噛み合う状態で前記回転軸芯を中心にして前記アウターロータを公転移動させることでポンプ容量を変更可能に設けられ、
前記容量調整機構が、前記アウターロータを回転自在に支持すると共に、このアウターロータの公転を実現する調整リングを備え、
前記第1付勢手段は、前記調整リングをポンプ容量増大側に付勢するように設けられ、
前記受圧部は、前記制御圧を受けることにより前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記調整リングをポンプ容量減少側に変位させるように設けられ、
前記制御圧が前記第2制御値を超えた場合に前記調整リングのポンプ容量増大側への変位を行うように前記第1付勢手段の付勢力が設定されている請求項4記載のオイルポンプ。 - 前記ロータは、ロータ外周側に向けて突出引退可能な周方向で複数の可動ベーンを有し、
前記筒状体は、前記可動ベーンとの摺動により当該可動ベーンの突出量を変更するカムリングであり、
前記ポンプ室は、前記可動ベーンによって周方向で複数に区画され、
前記容量調整機構は、前記カムリングを前記ロータに対して前記カムリングの径方向に移動させることでポンプ容量を変更可能に設けられ、
前記第1付勢手段は、前記カムリングをポンプ容量増大側に付勢するように設けられ、
前記受圧部は、前記制御圧を受けることにより前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記カムリングをポンプ容量減少側に変位させるように設けられ、
前記制御圧が前記第2制御値を超えた場合に前記カムリングのポンプ容量増大側への変位を行うように前記第1付勢手段の付勢力が設定されている請求項4記載のオイルポンプ。
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