JP2010265852A - ベーンポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でベーンポンプの吐出流量を調節する。
【解決手段】ベーンポンプ1は、吸入ポート23と吐出ポート24とが形成されたポンプケーシング10と、ポンプケーシング10内に設けられて回転駆動されるロータ3と、ポンプケーシング10内においてロータ3の周囲に設けられ、ロータ3の回転軸Xに対する偏心量が調節可能に構成されたカムリング4と、ロータ3に半径方向へ進退自在に設けられ、先端がカムリング4と摺接する複数のベーン5,5,点とを備えている。吐出ポート24は、ポンプ室17が上死点から下死点に向かって移動していく途中に開口する位置に形成されている。吐出ポート24の下死点側の端部24bは、下死点よりも、ポンプ室17の1つ分以上、上死点側に位置する。
【選択図】図1
【解決手段】ベーンポンプ1は、吸入ポート23と吐出ポート24とが形成されたポンプケーシング10と、ポンプケーシング10内に設けられて回転駆動されるロータ3と、ポンプケーシング10内においてロータ3の周囲に設けられ、ロータ3の回転軸Xに対する偏心量が調節可能に構成されたカムリング4と、ロータ3に半径方向へ進退自在に設けられ、先端がカムリング4と摺接する複数のベーン5,5,点とを備えている。吐出ポート24は、ポンプ室17が上死点から下死点に向かって移動していく途中に開口する位置に形成されている。吐出ポート24の下死点側の端部24bは、下死点よりも、ポンプ室17の1つ分以上、上死点側に位置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、カムリングの偏心量を調節することによって容量を調節することができる可変容量型のベーンポンプに関するものである。
従来より、カムリングの偏心量を調節することによって容量を調節することができる可変容量型のベーンポンプが知られている。このようなベーンポンプは、例えば、車両において、自動変速機用のポンプ等として搭載され、エンジンによって駆動される。
例えば、特許文献1に係るベーンポンプは、吸入ポートと吐出ポートとが形成されたケーシングと、該ケーシング内に設けられ回転駆動されるロータと、ケーシング内において該ロータの周囲に設けられ、該ロータの回転軸に対する偏心量が調節可能に構成されたカムリングと、前記ロータに半径方向へ進退自在に設けられ、先端が前記カムリングと摺接する複数のベーンとを備えている。このようなベーンポンプは、駆動源(例えば、エンジン)の回転速度に応じて回転駆動され、回転速度に応じた吐出圧及び吐出流量で作動油(作動流体)を吐出する。すなわち、ロータの回転速度が上昇すると、ベーンポンプから吐出される流体の吐出圧力及び吐出流量も上昇する。ところが、ベーンポンプを自動変速機用のポンプ等として使用する場合には、高回転領域においては、或る程度の吐出流量が得られれば十分であり、回転速度に応じた吐出流量は必要ない。
そこで、特許文献1に係るベーンポンプは、カムリングの偏心量を調節することによって、吐出流量を調節するように構成されている。詳しくは、特許文献1に係るベーンポンプにおいて、ケーシングとカムリングとの間の空間は、上死点側の空間と下死点側の空間とに仕切られ、カムリングは、バネによって上死点側に付勢されている。そして、前記上死点側の空間には、吐出ポートから吐出された吐出流体が吐出通路から分岐して流入するように構成されている。また、吐出通路からはリリーフ通路が分岐している。このリリーフ通路には、オリフィスが設けられていると共に、オリフィスの下流側には吐出圧が所定圧力以上になると開放するリリーフ弁が設けられている。さらに、リリーフ通路における、オリフィスとリリーフ弁との間の部分からは、ケーシングとカムリングとの間の下死点側の空間へ吐出流体を流入させるための分岐路が分岐している。このように構成されたベーンポンプにおいては、吐出圧が所定圧力となるまでは、リリーフ弁が閉じているため、リリーフ通路及び前記ケーシング内の下死点側の空間は吐出流体の吐出圧と同じ圧力になっている。ケーシング内の上死点側の空間も吐出圧と同じ圧力なっているため、該上死点側の空間の圧力と下死点側の空間の圧力とが釣り合って、カムリングはバネによって、ケーシング内の上死点側に押し付けられた状態となっている。このとき、ロータに対するカムリングの偏心量は最大となっている。一方、吐出圧が所定圧力となると、リリーフ弁が開放され、吐出流体がリリーフ通路を流通してリリーフ弁から流出するようになる。このとき、吐出流体がオリフィスを通過するため、オリフィスの上流側と下流側とで差圧が生じるようになる。その結果、ケーシング内の上死点側の空間の圧力は吐出圧と同じ圧力になっているのに対し、ケーシング内の下死点側の空間の圧力は吐出圧以下の圧力となるため、バネによって付勢されているカムリングが該上死点側の空間の圧力と下死点側の空間の圧力との差圧によって下死点側に押し返される。これにより、ロータに対するカムリングの偏心量が小さくなり、吐出圧及び吐出流量が減少する。このように、特許文献1に係るベーンポンプは、高回転領域において、吐出圧及び吐出流量が抑制されるように構成されている。
しかしながら、従来のベーンポンプでは、吐出流量を調節するために、油圧回路が必要となったり、ケーシングとカムリングとの間の空間を液密に構成する必要がある等、ベーンポンプの構成が複雑になってしまうという問題がある。
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成でベーンポンプの吐出流量を調節することにある。
ここに開示されたベーンポンプは、吸入ポートと吐出ポートとが形成されたポンプケーシングと、該ポンプケーシング内に設けられて回転駆動されるロータと、該ポンプケーシング内において該ロータの周囲に設けられ、該ロータの回転軸に対する偏心量が調節可能に構成されたカムリングと、前記ロータに半径方向へ進退自在に設けられ、先端が前記カムリングと摺接する複数のベーンとを備えたベーンポンプである。そして、前記吐出ポートは、隣接する2つの前記ベーンと前記ロータと前記カムリングとの間に形成されるポンプ室が、上死点から下死点に向かって移動していく途中で開口する位置に形成され、前記吐出ポートの下死点側の端部は、下死点よりも、前記ポンプ室1つ分以上、上死点側に位置するものとする。
このベーンポンプによれば、ポンプ室が下死点に到達する前に吐出ポートに開口しない状態、即ち、閉じ切り状態となるため、その状態から下死点までの間はポンプ室が縮小し、ポンプ室内の圧力が上昇することになる。この下死点近傍におけるポンプ室内の圧力上昇によって、カムリングが下死点側に押圧され、カムリングの偏心量が小さくなるように変化する。その結果、ポンプ容量が低下し、吐出流量を抑制することができる。こうして、吐出ポートの下死点側の端部を下死点よりも、ポンプ室1つ分以上、上死点側に位置させるという簡単な構成で、吐出流量を調節可能なベーンポンプを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
図1は、ベーンポンプを正面から見た(即ち、図2のI−I線における)断面図であり、図2は、ベーンポンプを側方から見た断面図である。
図1は、ベーンポンプを正面から見た(即ち、図2のI−I線における)断面図であり、図2は、ベーンポンプを側方から見た断面図である。
本実施形態に係るベーンポンプ1は、ポンプケーシング10と、該ポンプケーシング10内に設けられ、回転軸X回りに回転駆動されるロータ3と、該ポンプケーシング10内において該ロータ3に周囲に設けられ、該ロータ3の回転軸Xに対する偏心量が調節可能に構成されたカムリング4と、前記ロータ3に半径方向へ進退自在に設けられ、先端が前記カムリング4と摺接する複数のベーン5,5,…とを備えている。
前記ポンプケーシング10は、前記ロータ3やカムリング4等を収容する空間が形成されたポンプボディ11と、該ポンプボディ11に設けられたサイドプレート12と、該ポンプボディ11に取り付けられ、該空間を密閉するポンプカバー13とを有している。ポンプケーシング10内に収容されるロータ3及びカムリング4は、サイドプレート12とポンプカバー13とで挟持されている。
また、ポンプケーシング10には、駆動シャフト14が回転自在に支持されている。詳しくは、駆動シャフト14は、ポンプカバー13及びサイドプレート12を貫通して、ポンプボディ11に形成された挿通孔に挿通されている。この駆動シャフト14は、ポンプボディ11の挿通孔に設けられた軸受及びポンプカバー13の貫通孔に設けられた軸受によって回転自在に支持されている。この駆動シャフト14は、トルクコンバータ(図示省略)等を介してエンジン(図示省略)の回転が伝達するように構成されている。つまり、駆動シャフト14は、エンジンにより回転駆動される。
ポンプケーシング10には、外部から吸入される作動油が流通する吸入通路21と、外部へ吐出される作動油が流通する吐出通路22とが形成されている。詳しくは、吸入通路21は、ポンプボディ11からポンプカバー13に亘って形成されている。吐出通路22は、ポンプボディ11に形成されている。また、サイドプレート12には、ポンプケーシング10の吸入通路21の下流端と連通する吸入ポート23と、ポンプケーシング10の吐出通路22の上流端と連通する吐出ポート24とが形成されている。
前記ロータ3は、駆動シャフト14に対して一体的に回転するように取り付けられた状態で、ポンプケーシング10内に収容されている。つまり、ロータ3は、該駆動シャフト14を介して回転駆動される。
このロータ3には、複数のベーン5,5,…が設けられている。ベーン5,5,…は、ロータ3の周方向に等間隔を空けて設けられていて、ロータ3の半径方向へ自在に進退するように構成されている。これらベーン5,5,…の先端は、カムリング4の内周面に当接するようになっている。
前記カムリング4は、概略円筒状の部材である。カムリング4には、該カムリング4をポンプケーシング10に支持するための支持部41が、半径方向外方に突出して設けられている。また、カムリング4には、後述する付勢バネ15が当接するバネ当接部42が、軸心を挟んで支持部41の略反対側において半径方向外方に突出して設けられている。このように構成されたカムリング4は、ロータ3及びベーン5,5,…の周囲を覆った状態で、ポンプケーシング10内に収容されている。このカムリング4は、ポンプボディ11とポンプカバー13とに挟持されたピボットピン16を支点として揺動可能にポンプケーシング10に支持されている。ここで、ポンプケーシング10内には、カムリング4を揺動方向の一方(本実施形態では、図1の左側)へ付勢する付勢バネ15が設けられている。この付勢バネ15は、カムリング4のバネ当接部42に当接している。つまり、カムリング4は、付勢バネ15によって揺動方向の一方へ付勢され、ポンプボディ11の内周面と当接している(詳しくは、ポンプボディ11の内周面に設けられたパッドに当接している)。こうして、カムリング4が揺動方向の一方へ付勢されることによって、カムリング4はロータ3の回転軸Xに対して偏心した状態となる。この付勢バネ15が付勢部材を構成する。ここで、ロータ3とカムリング4とが最も離れた位置を上死点といい、ロータ3とカムリング4とが最も近接した位置を下死点というものとする。
この状態でロータ3が回転駆動されると、ロータ3は、カムリング4に対して相対的に偏心した状態で回転することになる。このとき、ベーン5,5,…は、ロータ3の半径方向に進退自在に構成されているため、ロータ3が回転する遠心力によって半径方向外方に進出し、その先端がカムリング4の内周面と当接する。つまり、ロータ3は、ベーン5,5,…の先端をカムリング4の内周面と摺接させながら、カムリング4に対して相対的に偏心回転する。こうして、ポンプケーシング10内において、ロータ3とカムリング4と隣接する2つのベーン5,5との間にはポンプ室17が形成される。すなわち、ポンプ室17,17,…は、ロータ3とカムリング4との間において、ベーン5,5,…の個数に応じた数だけ形成されている。
また、ロータ3は、回転軸X方向に隣接するサイドプレート12に摺接しながら偏心回転している。ここで、ロータ3に合わせて回転するポンプ室17,17,…は、サイドプレート12に形成された吸入ポート23から作動油を吸入し、サイドプレート12に形成された吐出ポート24へ作動油を吐出する。
吸入ポート23及び吐出ポート24は、サイドプレート12のうち、ロータ3とカムリング4との間の円環状の空間に臨む部分に形成されている。該円環状の空間を、ロータ3の回転方向において、下死点から上死点までの領域と上死点から下死点までの領域とに二分すると、吸入ポート23は、下死点から上死点までの間の領域に形成され、吐出ポート24は、上死点から下死点までの間の領域に形成されている。換言すれば、吸入ポート23は、ポンプ室17が、下死点から上死点に向かって移動していく途中で開口する位置に形成され、吐出ポート24は、ポンプ室17が、上死点から下死点に向かって移動していく途中で開口する位置に形成されている。
さらに詳しくは、吸入ポート23は、幅が上死点側に向かって漸次増大する円弧状に形成されている。吸入ポート23の下死点側の端部(始端部)23bは、下死点から、ポンプ室17の2つ分だけ上死点側へ離れた位置(即ち、下死点から、ベーン5,5,…の2ピッチ分だけ上死点側へ離れた位置)に位置している。ここで、ベーン5,5,…のピッチとは、隣接する2つのベーン5,5の、回転軸X回りに角度差を意味する。また、吸入ポート23の上死点側の端部(終端部)23aは、上死点から、ポンプ室17の半分だけ下死点側へ離れた位置(即ち、上死点から、ベーン5,5,…の半ピッチ分だけ下死点側へ離れた位置)に位置している。
吐出ポート24は、幅が上死点側に向かって漸次増大する円弧状に形成されている。吐出ポート24の上死点側の端部(始端部)24aは、上死点から、ポンプ室17の半分だけ下死点側へ離れた位置(即ち、上死点から、ベーン5,5,…の半ピッチ分だけ下死点側へ離れた位置)に位置している。また、吐出ポート24の下死点側の端部(終端部)24bは、下死点から、ポンプ室17の2つと半分だけ上死点側へ離れた位置(即ち、下死点から、ベーン5,5,…の2.5ピッチだけ上死点側へ離れた位置)に位置している。
以下、このように構成されたベーンポンプ1の動作について図4を参照しながら説明する。ここでは、ポンプ室17が下死点から1周回って、再び下死点に戻ってくるまでの動作を説明する。尚、ポンプ室17の位置とは、ポンプ室17の周方向中央部分、即ち、隣接する2つのベーン5,5の周方向中間部分の位置を意味する。すなわち、ポンプ室17が下死点に位置するとは、ポンプ室17の周方向中央部分(即ち、隣接する2つのベーン5,5の周方向中間部分の位置)が下死点に位置するときを意味する。
まず、ポンプ室17が下死点に位置するときには、図4(A)に示すように、ポンプ室17には、吸入ポート23も吐出ポート24も開口していない。また、下死点はロータ3がカムリング4に最も近接している位置であるため、ポンプ室17の容積は最も小さくなっている。
そこから、ロータ3の回転に伴って、ポンプ室17が下死点からロータ3の回転方向(図1では時計回り)へ回転すると、ポンプ室17の容積は漸次大きくなっていく。そして、ポンプ室17が下死点から、ベーン5,5,…の略1.5ピッチ分を超えて回転すると、図4(B)に示すように、吸入ポート23がポンプ室17に開口するようになる。吸入ポート23は、上死点に向かって延びる円弧状をしているため、ポンプ室17が上死点に到達するまでポンプ室17に開口している。そして、ポンプ室17の容積は、ポンプ室17が上死点に到達するまで、漸次大きくなるため、吸入通路21を通った作動油が吸入ポート23を介してポンプ室17に吸入される。
ポンプ室17が上死点に到達すると、図4(C)に示すように、吸入ポート23は、ポンプ室17に開口しないようになる。ポンプ室17には吐出ポート24も開口しておらず、ポンプ室17は閉じ切り状態となる。上死点はロータ3がカムリング4から最も離れている位置であるため、ポンプ室17の容積は最も大きくなっている。
ポンプ室17が上死点からロータ3の回転方向へさらに回転すると、図4(D)に示すように、吐出ポート24がポンプ室17に開口するようになると共に、ポンプ室17の容積は漸次小さくなっていく。そのため、ポンプ室17内の作動油が吐出ポート24を介して吐出通路22へ吐出される。吐出ポート24は、下死点に向かって延びる円弧状をしているため、ポンプ室17が上死点からベーン5,5,…の略4ピッチ分回転するまでの間は、吐出ポート24がポンプ室17へ開口しており、作動油の吐出が継続される。ポンプ室17が上死点からベーン5,5,…の略4ピッチ分を超えて回転すると、図4(E)に示すように、吐出ポート24がポンプ室17へ開口しなくなり、ポンプ室17が閉じ切り状態となる。
ポンプ室17が閉じ切り状態となった後、下死点までの間は、ポンプ室17の容積は漸次小さくなるものの、ポンプ室17からの作動油の吐出は行われない。そのため、ポンプ室17内の圧力は漸次高くなっていく。その結果、カムリング4の内周面のうち、ポンプ室17が作動油の吐出後、閉じ切り状態となって、下死点まで回転していく間に通過する部分は、その他の部分よりも高い圧力で半径方向外方に押圧されることになる。このポンプ室17の下死点近傍における圧力上昇によって、カムリング4にはピボットピン16を中心にカムリング4を下死点側へ揺動させるモーメントが発生する。ここで、カムリング4は、付勢バネ15によって、ピボットピン16を中心として上死点側へ押圧されている。すなわち、カムリング4にはピボットピン16を中心にカムリング4を上死点側へ揺動させるモーメントが作用している。そのため、駆動シャフト14の回転が低回転であって吐出圧が低いときには、ポンプ室17の圧力上昇によるモーメントが付勢バネ15によるモーメントよりも小さいため、カムリング4は付勢バネ15によって上死点側に押圧されて、ポンプケーシング10の内周面と当接している。そして、駆動シャフト14の回転速度が上昇して吐出圧が高くなり、ポンプ室17の圧力上昇によるモーメントが付勢バネ15によるモーメントより大きくなると、カムリング4は付勢バネ15による付勢力に抗して、下死点側へ押し返される。カムリング4が下死点側に押し返されるにつれて、付勢バネ15はさらに圧縮される。カムリング4は、ポンプ室17の圧力上昇によるモーメントと、圧縮された付勢バネ15の付勢力によるモーメントとが釣り合うところまで、下死点側へ押し返される。こうして、カムリング4が下死点側に移動すると、ベーンポンプ1の吐出流量及び吐出圧が低下する。
このように、閉じ切り後のポンプ室17の圧力上昇によるモーメントが付勢バネ15によるモーメントより大きくなるまでは、作動油の吐出流量は、駆動シャフト14の回転速度に応じて上昇していく。そして、閉じ切り後のポンプ室17の圧力上昇によるモーメントが付勢バネ15によるモーメントより大きくなると、カムリング4が下死点側へ揺動して、カムリング4の偏心量が小さくなる。これにより、駆動シャフト14の高回転領域における、ベーンポンプ1の吐出流量及び吐出圧が抑制される。
したがって、本実施形態によれば、ポンプ室17の圧力上昇を利用してカムリング4の偏心量を調節することによって、油圧回路等の複雑な構成を必要となることなく、簡単な構成で、高回転領域におけるベーンポンプ1の吐出流量及び吐出圧を抑制することができる。
詳しくは、ポンプ室17の容積は下死点に至るまで減少するため、従来のベーンポンプにおいては、吐出ポートは、ポンプ室が下死点に至ったときに閉じ切り状態になるように形成されている。それに対し、本実施形態では、カムリング4の偏心量の調節を簡易な構成で実現するために、吐出ポートを、ポンプ室が下死点に到達する前にポンプ室が閉じ切り状態となるように形成している。つまり、吐出ポート24の下死点側の端部24bが、下死点よりも、ポンプ室17の1つ分以上、上死点側に位置するようにしている。これにより、ポンプ室17の圧力を下死点近傍位置で上昇させることができるため、ポンプ室17の圧力上昇によりカムリング4を、下死点近傍におけるポンプ室17の容積が大きくなるように、即ち、カムリング4の偏心量が小さくなるように、揺動させることができる。その結果、ベーンポンプ1の吐出圧及び吐出流量を抑制することができる。そして、カムリング4の揺動量は、ポンプ室17の圧力の上昇の程度、即ち、駆動シャフト14の回転速度に応じて変わる。つまり、駆動シャフト14の回転速度が速くなるほど、カムリング4の揺動量が大きく、即ち、カムリング4の偏心量が小さくなる。このように、ベーンポンプ1の吐出流量及び吐出圧を駆動シャフト14の回転速度に応じて抑制することができる。こうして、ベーンポンプ1の吐出圧及び吐出流量を抑制することができる結果、ベーンポンプ1の駆動トルクも抑制することができる。
ここで、付勢バネ15によってカムリング4を上死点側へ押圧しているため、カムリング4に作用する、ポンプ室17の圧力上昇によるモーメントが付勢バネ15によるモーメントより大きくなるまでの間は、駆動シャフト14の回転速度に応じて、ベーンポンプ1の吐出圧及び吐出流量を上昇させることができる。そして、所定の高回転領域においては、ベーンポンプ1の吐出圧及び吐出流量を抑制することができる。
また、かかる構成によれば、油圧回路等を用いることなく、高回転領域における吐出流量及び吐出圧を抑制できるベーンポンプを実現することができるため、ベーンポンプ1の小型化を図ることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、吸入ポート23の上死点側の端部23a及び下死点側の端部23b、並びに吐出ポート24の上死点側の端部24a及び下死点側の端部24bは、前記の構成に限られるものではない。つまり、吐出ポート24の下死点側の端部24bが、下死点よりも、ポンプ室17の1つ分以上、上死点側に位置する構成であれば、ベーンポンプとして機能する限りにおいては任意の構成を採用することができる。
また、前記カムリング4は揺動するように構成されているが、これに限られるものではない。例えば、カムリング4がポンプケーシング10内において、上死点側の位置と下死点側の位置との間を直線状に移動する構成であってもよい。かかる構成の場合、カムリング4が通常時は上死点側に位置するように、カムリング4を付勢バネによって下死点側から上死点側へ押圧するように構成すればよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、この技術は、カムリングの偏心量を調節することによって容量を調節することができる可変容量型のベーンポンプについて有用である。
1 ベーンポンプ
10 ポンプケーシング
15 付勢ゴム(付勢手段)
17 ポンプ室
23 吸入ポート
24 吐出ポート
24a 吐出ポートの上死点側の端部
24b 吐出ポートの下死点側の端部
3 ロータ
4 カムリング
5 ベーン
10 ポンプケーシング
15 付勢ゴム(付勢手段)
17 ポンプ室
23 吸入ポート
24 吐出ポート
24a 吐出ポートの上死点側の端部
24b 吐出ポートの下死点側の端部
3 ロータ
4 カムリング
5 ベーン
Claims (3)
- 吸入ポートと吐出ポートとが形成されたポンプケーシングと、該ポンプケーシング内に設けられて回転駆動されるロータと、該ポンプケーシング内において該ロータの周囲に設けられ、該ロータの回転軸に対する偏心量が調節可能に構成されたカムリングと、前記ロータに半径方向へ進退自在に設けられ、先端が前記カムリングと摺接する複数のベーンとを備えたベーンポンプであって、
前記吐出ポートは、隣接する2つの前記ベーンと前記ロータと前記カムリングとの間に形成されるポンプ室が、上死点から下死点に向かって移動していく途中で開口する位置に形成され、
前記吐出ポートの下死点側の端部は、下死点よりも、前記ポンプ室1つ分以上、上死点側に位置するベーンポンプ。 - 請求項1に記載のベーンポンプにおいて、
前記カムリングは、上死点側の位置と下死点側の位置との間で揺動可能に前記ポンプケーシングに支持されると共に、付勢部材によって該上死点側に付勢されているベーンポンプ。 - 請求項1に記載のベーンポンプにおいて、
前記吐出ポートの下死点側の端部から下死点までの周方向長さは、該吐出ポートの上死点側の端部から下死点側の端部までの周方向長さよりも短いベーンポンプ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009119568A JP2010265852A (ja) | 2009-05-18 | 2009-05-18 | ベーンポンプ |
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