JP2016028109A - 多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性樹脂をバインダーとして使用する電極膜において、電極膜構成要素であるカルボキシメチルセルロースナトリウムのみを用い且つ少量添加で、多層カーボンナノチューブを高濃度まで分散させた多層カーボンナノチューブ水分散液、これを用いた多層カーボンナノチューブ含有電極膜用導電ペースト及び電極膜を提供する。
【解決手段】平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブのカルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液であって、該多層カーボンナノチューブの含量が3〜20質量%の範囲であって、該多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、レーザー回折・散乱法で測定した該分散液のメディアン径(d50)が0.3〜0.6μm、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPa・s以下である多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液。
【選択図】なし
【解決手段】平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブのカルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液であって、該多層カーボンナノチューブの含量が3〜20質量%の範囲であって、該多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、レーザー回折・散乱法で測定した該分散液のメディアン径(d50)が0.3〜0.6μm、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPa・s以下である多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液。
【選択図】なし
Description
多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)が溶解した水溶液中に、平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブが5〜20質量%分散し、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布メジアン径d50が0.3〜0.6μmであり、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPas以下の多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液、それを用いた多層カーボンナノチューブ含有電極膜用ペースト、これらを用いて作製する電極膜及びリチウムイオン二次電池に関する。
約20年前に存在が確認された多層カーボンナノチューブは、直径1μm以下のチューブ状材料であり、理想的なものとしては炭素原子の6員環網目構造のシートがチューブ軸に対して平行な管を形成したもので、さらにこの管が二層、三層、四層または多層になるものもある。この多層カーボンナノチューブは炭素原子からなる6員環網目構造の数や、チューブの太さによってさまざまな性質を有する。そのため、そうした化学的特性、電気的特性、機械的特性、熱伝導特性、構造特性等の物性を利用して、静電気防止部品、二次電池電極材料、強化樹脂複合材料、電波吸収材料、電熱変換材料、フラットパネルディスプレイ用電界放出陰極材料、透明導電膜等に適用され始め、さらに熱電変換素子材料、キャパシタ電極、水素貯蔵材、電気配線、放熱材料、太陽電池材料および触媒担持材料への応用が期待されている。
二次電池用途では、リチウムイオン二次電池(LIB電池)の負極膜において、負極膜用活物質(天然黒鉛、人造黒鉛)に150nmの多層カーボンナノチューブを添加し、多層カーボンナノチューブの強化フィラー効果を利用して負極膜を強化し、LIB電池のサイクル特性を向上させる効果が確認された事で、携帯電話、パソコン用に用いられるリチウムイオン電池に既に採用されている。
現在の問題点は、150nmの多層カーボンナノチューブでLIB電池のサイクル特性を向上させるために、負極膜中に150nmの多層カーボンナノチューブを4〜5質量%添加しなければならない事である。
更に、LIB電池はハイブリッドカーおよび電気自動車に用いる高出力、高容量な二次電池が必要になるため、正極活物質をコバルト酸リチウムからリン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、三元型活物質NCM(Li[NiMnCo]O2)に変更する検討が行われ、一部採用され始めている。しかしながら、これら正極活物質はコバルト酸リチウムに比べ、活物質自体の導電性が低いため、正極活物質単独では電極膜の導電性が低い。そのため、少量添加で高い導電補助効果が期待できる材料が必要となり、導電補助効果が高い多層カーボンナノチューブを添加する検討が行われている。
以上のように、多層カーボンナノチューブは、電気的、機能的、機械的および複合的効果を併せ持つ材料として様々な用途に適用が検討されているが、添加効果を最大限に引き出すためには、多層カーボンナノチューブが、水、有機溶媒、樹脂溶液、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂などの分散媒体に均一に分散していることが必須となる。
しかしながら、多層カーボンナノチューブは、直径1μm以下のチューブ状繊維が絡み合って凝集体を形成し、あるいはネットワーク構造を有し、更に嵩比重を上げるために、通常それらを集合させた状態で市販されている。そのため、これらを一本一本に解繊させ、分散するのは非常に困難である。また、一本一本に解繊した多層カーボンナノチューブ、あるいは数μm〜数十μmサイズとなった凝集体は、非常に強い繊維間相互の凝集力(ファンデルワールス力)を有する。そのため、水、有機溶媒、樹脂溶液、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂などの分散媒体中で分散させることが困難であり、いったん解繊・分散した多層カーボンナノチューブ・凝集体同士も、容易に再凝集する。これらの理由から、十分に分散し、かつ分散状態が安定した多層カーボンナノチューブの集合体を得にくいのが現状である。
したがって、多層カーボンナノチューブは特異で有用な物性を有するにもかかわらず、分散面の問題から、各種用途への応用が事実上困難となっている。これまでに報告された試みとして、特許文献1〜3におけるCNT含有有機溶媒分散液、特許文献4の有機溶剤可溶性樹脂の有機溶剤溶液中での炭素繊維分散、特許文献5から7でのCNT含有水分散液を、以下に概説する。
特許文献1では、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を製造する方法であって、(1)カーボンナノチューブと環式有機化合物とを5〜120s−1の振動数で振動粉砕処理し、カーボンナノチューブ混合物を得る工程、および(2)カーボンナノチューブ混合物に有機溶媒を加えて、カーボンナノチューブを含んで成る分散液を得る工程、を含んでおり、(1)の工程で用いる環式有機化合物が、(2)で用いる有機溶媒に対して可溶性を有する、カーボンナノチューブ分散液の製造方法が開示されている。環式有機化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホネートおよびポリチオフェンが用いられている。
特許文献2では、炭素材料を、塩基性高分子分散剤を添加した炭化水素系溶媒中に分散させ、この溶媒中で被被覆材を陽極として電圧を印加し、該陽極表面上に炭素材料薄膜を形成せしめることを特徴とする炭素材料薄膜の製造方法が開示されている。塩基性高分子分散材としては、ポリエステルマレイドアミン塩が用いられている。
特許文献3では、カーボンナノチューブ、アミド系極性有機溶媒およびポリビニルピロリドンからなるカーボンナノチューブ分散溶液が開示されている。アミド系極性有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が用いられている。
特許文献4では、有機溶剤可溶性樹脂の有機溶剤溶液中で炭素繊維を分散させる際に、下記一般式で表される化合物を炭素繊維用分散剤として添加して分散性を高め、調製した炭素繊維分散液が開示されている。
特許文献5では、複数のカーボンナノチューブバンドルを構成する各カーボンナノチューブの少なくとも一部分に両性分子を付着させ、該カーボンナノチューブバンドルのうち、一のカーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブに付着した両性分子が、隣接する他のカーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブに付着した両性分子と電気的に引き合うことにより、複数のカーボンナノチューブバンドルを構成する各カーボンナノチューブを孤立分散させて、ペーストを製造する、カーボンナノチューブ分散ペーストの製造方法が開示されている。
特許文献6では、アニオン性界面活性剤(A)、ノニオン性界面活性剤(B)およびアニオン性界面活性剤(A)とは異なる化合物であるアニオン性界面活性剤(C)を含有する水溶液中で、多層カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする多層カーボンナノチューブ水分散液が開示されている。
特許文献7では、(a)多糖類と、(b)カーボンナノチューブと、(c)パーフルオロアルキル基を有する水溶性化合物とからなるカーボンナノチューブ水分散液が開示されている。
特許文献1〜3で開示された、炭素繊維を有機溶媒中に分散させた分散液は、極性有機溶媒にはアニオン性界面活性剤を用い、非極性有機溶媒にはノニオン性界面活性剤を用いて良好な炭素繊維分散液を調製しているが、LIB電池の電極膜用多層カーボンナノチューブ含有水分散液用分散剤ではない。
特許文献4に記載の有機溶剤可溶性樹脂の有機溶剤溶液中で炭素繊維を分散させる方法は、樹脂溶液の粘度を利用した炭素繊維の分散方法であるが、水が媒体であるLIB電池の電極膜用多層カーボンナノチューブ水分散剤には適用ではない。
特許文献5および6に記載の多層カーボンナノチューブ水分散液は、良好な分散状態を得るため、両性界面活性剤、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などLIB電池用電極膜の構成要素ではない分散剤を用いて多層カーボンナノチューブ水分散液を調製しているが、それらの分散剤は電気伝導性に不利な影響が持たす恐れがあるため、結果的にLIB電池の性能を劣化する恐れがある。
特許文献7に記載の多層カーボンナノチューブ水分散液は、LIB電池用電極膜の構成要素であるカルボキシメチルセルロースナトリウムを、多層カーボンナノチューブに対して300質量%添加し、LIB電池用電極膜の構成要素ではない、パーフルオロアルキル基を有する水溶性化合物を混合した水溶液を用いて、平均繊維径が50nm以下の多層カーボンナノチューブ水分散液を3質量%以下の低濃度調製している。LIB電池の性能をさらに改良するため、分散剤の添加量の低減と多層カーボンナノチューブの添加量増量で改善される余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、水溶性樹脂をバインダーとして使用する電極膜において、電極膜構成要素であるカルボキシメチルセルロースナトリウムのみを用い且つ少量添加で、極めて高い凝集力を有する凝集体である多層カーボンナノチューブを高濃度まで分散および分散安定化させた、電極膜作製用多層カーボンナノチューブ水分散液、これを用いた多層カーボンナノチューブ含有電極膜用導電ペーストを調製し、これらを用いて得られる電極膜を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を続けた結果、多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2である低濃度でカルボキシメチルセルロースナトリウムを水溶液に添加した後、平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブを全体に対して3〜20質量%と高濃度まで添加した多層カーボンナノチューブ水分散液が調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、平均繊維外径が50〜110nmの多層カーボンナノチューブに対して質量比は0.1〜0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムが含有する水溶液中に、多層カーボンナノチューブが全体に対して3〜20質量%分散している水分散液において、レーザー回折・散乱法で測定した前記水分散液のメディアン径(d50)が0.3〜0.6μm、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPa・s以下であることを特徴とする多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液である。
また、本発明は前記の多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液に水溶性樹脂溶液、二次電池用負極活物質を添加して得られる多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストである。
本発明は、前記の多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液に水溶性樹脂溶液、導電性炭素材料、二次電池用正極活物質を添加して得られた多層カーボンナノチューブ含有正極膜用導電ペーストである。
また、本発明は前記負極或正極用導電ペーストを用いて塗布して得られる電極膜である。
さらに、前記得られた電極膜の厚み方向の体積抵抗値が3000Ω・cm以下である。
また、前記の電極膜を用いて得られるリチウムイオン二次電池である。
LIB電池用電極膜のバインダーにはNMP有機溶剤に可溶なPVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))タイプと水溶性樹脂タイプ(SBR(スチレンブタジエンコポリマー))バインダーがあるが、本発明は水溶性樹脂を用いた電極膜を作製する際に使用することが可能な多層カーボンナノチューブ水分散液である。一般的に水溶性樹脂を用いる場合、その電極膜用導電ペーストの粘度調整にはカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いる。本発明では、この電極膜構成成分であるカルボキシメチルセルロースを電極膜中のカルボキシセルロース構成比率を上げない添加量で、多層カーボンナノチューブ水分散液を高濃度まで調製できた。すなわち、LIB電池用電極ペースト構成組成量以下のカルボキシメチルセルロース水溶液に、3〜20質量%の多層カーボンナノチューブを分散させた、他の絶縁性の多層カーボンナノチューブ用分散剤を必要としない。従って、LIB電池用電極膜中において、多層カーボンナノチューブ本来の高い導電性を最大限に発揮できる。またその他の分散剤を使用しないため、従来どおりの方法でLIB電池用電極膜を作製することができ、更にLIB電池としての安定性も従来どおりでよいという効果がある。
本発明で使用する多層カーボンナノチューブは、気相成長法の浮遊CVD法により三次元構造を有する多層カーボンナノチューブであり、平均繊維径は50〜110nmに限る。例えば、保土谷化学工業株式会社製多層カーボンナノチューブNT−7(平均繊維径65nm)及びCT−12(平均繊維径105nm)等が挙げられる。
多層カーボンナノチューブの平均繊維径が50nm以下である場合、いかなる方法で製造した多層カーボンナノチューブであっても、カルボキシメチルセルロース添加量が多層カーボンナノチューブに対して10〜20質量%の場合、再凝集なく安定した粘度100mPa・s以下の3〜20質量%多層カーボンナノチューブ水分散液を調製する事が極めて困難である。
平均繊維径が50〜110nmの範囲内であっても、浮遊CVD法以外の気相成長方法(例えば触媒担持法)で製造した多層カーボンナノチューブは、繊維が屈曲しており、絡み合いが多いため、カルボキシメチルセルロース添加量が多層カーボンナノチューブに対して10〜20質量%の場合、再凝集なく安定した多層カーボンナノチューブ水分散液を3〜20質量%調製する事が極めて困難である。
浮遊CVD法で製造した多層カーボンナノチューブであっても、平均繊維径が110nm以上の範囲の多層カーボンナノチューブは、カルボキシメチルセルロースナトリウム添加量が多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2の場合、多層カーボンナノチューブ水分散液を調製する事は可能であるが、その粒度分布メジアン径(d50)が1.0μm前後であり、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が1.3以上であり、分散は不十分である事から、それを用いて得られた電極ペーストや電極導電膜の性能は悪くなる恐れがある。また平均繊維外径が110nm以上と太いため、電極膜の体積抵抗値を3000Ω・cm以下にするためには多層カーボンナノチューブ添加量が多くなってしまい、電極膜中の電極活物質の比率が低下してしまい、リチウムイオン二次電池の最大容量を低下させてしまう。
本発明の平均繊維径が50〜110nmの多層カーボンナノチューブ水分散液中の多層カーボンナノチューブの含有量は3〜20質量%の範囲であり、より好ましくは5〜10質量%である。多層カーボンナノチューブ水分散液中の多層カーボンナノチューブの含有量が3質量部以下である場合、それを用いて得られる電極膜用ペーストの粘度が低すぎて、良好な電極膜が得られない。多層カーボンナノチューブ水分散液中の多層カーボンナノチューブの含有量が20質量%以上である場合、それを用いて得られる電極膜用ペーストの粘度が高すぎて、平滑性の高い電極膜が作製できない。
本発明で使用するカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は、例えば、第一工業製薬製セロゲン5A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲン6A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲン7A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンPR(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンWS−A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンPL−15(エーテル化度0.45〜0.55)、第一工業製薬製セロゲンWS−CN(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンWS−C(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンWS−D(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンBS(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンHH(エーテル化度0.55〜0.65)、第一工業製薬製セロゲン3H(エーテル化度0.55〜0.65)、第一工業製薬製セロゲン4H(エーテル化度0.55〜0.65)、第一工業製薬製セロゲンBS−H(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンBSH−3(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンBSH−4(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンBSH−5(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンBSH−6(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンBSH−10(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンBSH−12(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲン6HS9(エーテル化度0.80〜0.90)、第一工業製薬製セロゲンEP(エーテル化度0.90〜0.96)、第一工業製薬製セロゲンMP−50(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンMP−60(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンMP−110(エーテル化度0.75〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンMP−120(エーテル化度0.75〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンMP−980C(エーテル化度0.90〜1.00)、第一工業製薬製セロゲンF−EPH(エーテル化度0.80〜0.90)、第一工業製薬製セロゲンHE−1500F(エーテル化度1.15〜1.45)、第一工業製薬製セロゲンF−5A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンF−7A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンF−907A(エーテル化度0.90〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンF−SL(エーテル化度0.80〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンF−8A(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンF−810A(エーテル化度0.75〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンF−815A(エーテル化度0.80〜0.90)、第一工業製薬製セロゲンF−SB(エーテル化度0.85〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンF−930A(エーテル化度0.85〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンF−SA(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンF−AG(エーテル化度0.85〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンF−820B(エーテル化度0.80〜0.95)、第一工業製薬製セロゲンHE−90F(エーテル化度1.20〜1.30)、第一工業製薬製セロゲンHE−600F(エーテル化度1.15〜1.45)、第一工業製薬製セロゲンF(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンF−SH(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンF−3H(エーテル化度0.55〜0.65)、第一工業製薬製セロゲンF−4H(エーテル化度0.55〜0.65)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH(エーテル化度0.70〜0.80)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH−3(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH−4(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH−5(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH−6(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンF−BSH−12(エーテル化度0.65〜0.75)、第一工業製薬製セロゲンF−815C(エーテル化度0.80〜0.90)、第一工業製薬製セロゲンF−6HS9(エーテル化度0.80〜0.90)、第一工業製薬製セロゲンHE−1500F(エーテル化度1.15〜1.45)、第一工業製薬製セロゲンP−603A(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンPR−S(エーテル化度0.70〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンP−715A(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンF−SC(エーテル化度0.70〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンAGガムM(エーテル化度0.70〜0.85)、第一工業製薬製セロゲンF(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンPM−250L(エーテル化度0.60〜0.70)、第一工業製薬製セロゲンP−815C(エーテル化度0.70〜0.85)等が挙げられる。
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液中のカルボキシメチルセルロールナトリウムは、以下のように、分散剤的役割を果たすと考えられる。
多層カーボンナノチューブの分散剤は多種存在するが、その構造と機能は統一性があり、構造活性相関がある。例えば、ヘテロ原子は多層カーボンナノチューブと相容性がよく、置換基としては、水酸基、シクロエーテル環基、アミノ基、アミド基、チオール基等が挙げられる。この中でも、水酸基とシクロエーテル環基と多層カーボンナノチューブの相容性がよく、ポリビニルアルコールは水溶性の多層カーボンナノチューブ用分散剤として、ポリビニルブチラール等は油性の多層カーボンナノチューブ用分散剤として使用される。
カルボキシメチルセルロースナトリウムの構造式は、水酸基が多数置換したシクロエーテル環基が多数連結した構造式であり、上記に述べた通り、水酸基及びシクロエーテル環基は、多層カーボンナノチューブと相容性が良い。そのため、カルボキシメチルセルロースナトリウムが分散剤的役割を果たして多層カーボンナノチューブを単分散し、さらに単分散化された多層カーボンナノチューブの表面に付着し、立体反発効果により、多層カーボンナノチューブを安定して水溶液中に保持できるものであると考えられる。
カルボキシメチルセルロースは、本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液の保存安定性及び再凝集防止の役割を果たすために、最適な添加量が必要である。その添加量は、多層カーボンナノチューブの平均繊維径及び比表面積と相関があり、さらに本発明の多層カーボンナノチューブ含有電極膜内ではカルボキシメチルセルロースの添加量に制限があるため、注意深く決定する事が必要である。
一般的に、LIB電池の電極膜作製用電極ペーストに使用されるバインダーが水溶性樹脂であり、その電極膜用導電ペーストは水系であるため粘度が低く、製膜のハンドリング性は悪い。低い粘度によるハンドリングの悪さを改善するため、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを添加して粘度調整を行う。
しかしながら、カルボキシメチルセルロースは絶縁性であるため、添加量が多い場合、電極膜の導電性が低下し、最終的にLIB電池特性を損なう。そのため、カルボキシメチルセルロースの添加量には制限があり、多層カーボンナノチューブの平均繊維径及び比表面積を考量して計算した結果は、多層カーボンナノチューブ含有水分散液に使用可能なカルボキシメチルセルロース添加量は多くても2質量%濃度の水溶液、それ以下に制限することが望ましいである。
更に、多層カーボンナノチューブに必要な分散剤の添加量としては、多層カーボンナノチューブの平均繊維外径及び分散剤の種類によっても異なるが、比表面積が40以下(平均繊維径が50nm以上)の多層カーボンナノチューブの場合、多層カーボンナノチューブ添加量に対して20〜200質量%必要になる。
経験則から述べれば、比表面積が18m2/g前後の平均繊維径が105nmの多層カーボンナノチューブの場合、分散剤の添加量は、多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.13程度であり、比表面積が28m2/g前後の平均繊維径が65nmの多層カーボンナノチューブの場合、分散剤の添加量は、多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.13〜0.15必要となる。
本発明のカルボキシメチルセルロースの添加量は、多層カーボンナノチューブ含有電極膜中の組成量に対する制限から、多層カーボンナノチューブ水溶液中に多層カーボンナノチューブに対して質量比0.2であるため、例えば、比表面積が18m2/g前後の平均繊維径が105nmの多層カーボンナノチューブの場合、水溶液中に多層カーボンナノチューブを最大で20質量%前後分散させる事が可能であると算出でき、比表面積が28m2/g前後の平均繊維径が65nmの多層カーボンナノチューブは、水溶液中に多層カーボンナノチューブを最大13質量%前後を分散させる事が可能と算出できる。
したがって、本発明のカルボキシメチルセルロースの添加量は、電極膜中のカルボキシメチルセルロースナトリウム添加量の制限から、多層カーボンナノチューブ水分散液中には多層カーボンナノチューブに対して質量比0.2以下が好ましい。
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液調製するための分散機は、一般的な分散機が用いられる。例えば、ビーズミル分散機(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライズ製)、TKラボディスパー、TKフィルミックス、TKパイプラインミクサー、TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、TKユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TKアジホモディスパー(以上、特殊機化工業(株)製)、ホモジナイザー・ポリトロン((株)セントラル科学貿易製)、ホモジナイザー・ヒストロン((株)日音医理科機器製作所製)、バイオミキサー((株)日本精機製作所製)、ターボ型攪拌機((株)小平製作所製)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株)製)、エバラマイルザー(荏原製作所(株)製)、超音波装置または超音波洗浄機(アズワン(株)製)等が挙げられる。これらの機器を用いて本発明の分散処理を行なう際の該機器等の条件設定は、所望する多層カーボンナノチューブの分散状態に応じて、適宜設定すればよい。
多層カーボンナノチューブ水分散液の分散状態はレーザー回折・散乱粒度分布計で測定したメディアン径で評価する。レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布は原理上粒子の体積分布を評価する。メディアン径のd50とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径であり、d90はその存在が90%に達したときの粒子径である。また、多層カーボンナノチューブ水分散液中の凝集粒子の粒径ばらつきを表すパラメータ、スパン値が下記式(1)で定義される。
スパン値=(D90−D50)/D50 (1)
D50:多層カーボンナノチューブ水分散液中凝集粒子の体積基準における50%積算径
D90:多層カーボンナノチューブ水分散液中凝集粒子の体積基準における90%積算径
スパン値=(D90−D50)/D50 (1)
D50:多層カーボンナノチューブ水分散液中凝集粒子の体積基準における50%積算径
D90:多層カーボンナノチューブ水分散液中凝集粒子の体積基準における90%積算径
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液中の凝集粒子の粒度分布は、メディアン径(d50)は、0.3〜0.6μmの範囲であり、好ましくは0.4〜0.55μmの範囲である。更にd90は、好ましくは0.9〜1.2μmであり、より好ましくは0.95〜1.05μmである。d50及びd90から計算し得たスパン値が0.9〜1.2であり、好ましくは0.95〜1.05の範囲である。
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液には、その用途に応じた添加剤を加えてもよい。添加剤として、無機顔料、有機顔料、フィラーとしてウィスカ、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、沈降防止剤、紫外線防止剤、湿潤剤、乳化剤、皮張り防止剤、重合防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分れ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、耐火・防止剤、防カビ・防藻剤、抗菌剤、殺虫剤、海中防汚剤、金属表面処理剤、脱さび剤、脱脂剤、皮膜化成剤、漂白剤、着色剤、ウッドシーラー、目止め剤、サンディングシーラー、シーラー、セメントフィラーまたは樹脂入りセメントペースト等が挙げられる。
従来の多層カーボンナノチューブを使用しない電極膜用導電ペーストの構成要素は、例えば負極膜の場合、一般的に、負極活物質、水溶性樹脂溶液、アセチレンブラック(AB)、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はその水溶液である。本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液を用いて多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストを調製する際、従来の構成要素のアセチレンブラックを多層カーボンナノチューブ水分散液に置き換えるだけ、他の絶縁性分散剤を加える必要がない。即ち、本発明の多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストの構成要素は、例えば、負極活物質、水溶性樹脂溶液、多層カーボンナノチューブ水分散液、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はその水溶液である。
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散液を用いて多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストは、多層カーボンナノチューブとカルボキシメチルセルロースナトリウムと水のみで構成されているため、負極膜用導電ペーストは、カルボキシメチルセルロースナトリウムが通常組成であるため、多層カーボンナノチューブ水分散液を使用する際の懸念事項である、分散剤の悪影響は存在しない。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストに負極用活材を添加する、例えば、市販の天然黒鉛と人造黒鉛、LTO、シリコン系材料等が挙げられる。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストに添加する水溶性樹脂溶液としては、一般的に用いられる電極膜用水溶性樹脂溶液であるが、例えば、SBR(JSR株式会社製、日本ゼオン株式会社製、ダイセル株式会社製)、PTFE(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
上記の負極膜用導電ペーストと同様に、本発明の多層カーボンナノチューブ含有正極膜用導電ペーストの構成要素は、例えば、正極活物質、水溶性樹脂溶液、多層カーボンナノチューブ水分散液、アセチレンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はその水溶液である。従来の多層カーボンナノチューブを使用しない正極膜用導電ペーストの構成要素に多層カーボンナノチューブ水分散液を加えただけである。
本発明の多層カーボンナノチューブ水分散樹脂液は、多層カーボンナノチューブとカルボキシメチルセルロースナトリウムと水のみで構成されているため、正極膜用導電ペーストとしては、カルボキシメチルセルロースナトリウムが通常組成であるため、多層カーボンナノチューブ水分散樹脂液を使用する際の懸念事項である、分散剤の悪影響は存在しない。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有正極膜用導電ペーストに添加する正極用活材として、例えば、コバルト酸リチウム(LCO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、ニッケル酸リチウム(LNO)、クロム酸リチウム、マンガン酸リチウム(LMO)、チタン酸リチウム(LTO)、スカンジウム酸リチウム、イットリウム酸リチウム、コバルトマンガン酸リチウム、鉄マンガン酸リチウム、銅マンガン酸リチウム、クロムマンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、ニッケルバナジウム酸リチウム、コバルトバナジウム酸リチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸鉄リチウム、シリコン材料等が上げられる。
また本発明の多層カーボンナノチューブ含有正極膜用導電ペーストは、例えば、導電補助材を添加しても良い。例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、スーパーP等が挙げられる。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペーストに添加する水溶性樹脂溶液としては、一般的に用いられる電極膜用水溶性樹脂溶液であるが、例えば、SBR(JSR株式会社製、日本ゼオン株式会社製、ダイセル工業株式会社製等)、PTFE(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負又は正極膜用導電ペーストをアルミ箔または銅箔電極上に塗工する方法として、一般的な方法を挙げるが、特にこれらに限定するものではない。例えば、グラインドゲージ、ワイヤーバー、それらを用いた自動塗工装置、スピンコーターを用いた塗装等が挙げられる。塗膜の厚さにも特に制限はないが、硬化塗膜が1〜500μmであることが好ましく、より好ましくは5〜250μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。またこれらの塗布膜は密度を上げるため、一般的な方法によりプレスされ、所望の密度の電極膜として利用される。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負又は正極膜用導電ペーストを電極に塗装して後の乾燥温度は、塗膜を十分に乾燥させるために、50〜300℃に加熱することが好ましく、より好ましくは75〜250℃であり、特に好ましくは80〜150℃である。乾燥温度が50℃未満であると乾燥が十分に進まないおそれがあり、300℃を超えると、素材の変形、塗膜の黄変、膜物性低下等をまねくおそれがある。
本発明の多層カーボンナノチューブ含有負又は正極膜用導電ペーストを塗布する基材については、特に限定されるものではないが、例えば、銅箔およびアルミニウム箔等の金属が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
<実施番号1>
[多層カーボンナノチューブ水分散液の調製法]
多層カーボンナノチューブは、保土谷化学工業(株)製NT−7(平均繊維径65nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した。イオン交換水942.5gに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製WS−C)7.5gを混合し、均一に溶解させた後、50gのNT−7を添加し、ビーズミル分散機(株式会社シンマルエンタープレイズ製、MULTI LAB型ダイノーミル)を用いて分散処理を行い、多層カーボンナノチューブが5質量%含有する水分散液を得た。
[多層カーボンナノチューブ水分散液の粘度測定]
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液の粘度は、SV型(音叉型振動式)粘度計(エーアンドディーカンパニー株式会社製SV−10)を用いて粘度測定を行い、その結果を表1に示した。
[多層カーボンナノチューブ水分散液の調製法]
多層カーボンナノチューブは、保土谷化学工業(株)製NT−7(平均繊維径65nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した。イオン交換水942.5gに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製WS−C)7.5gを混合し、均一に溶解させた後、50gのNT−7を添加し、ビーズミル分散機(株式会社シンマルエンタープレイズ製、MULTI LAB型ダイノーミル)を用いて分散処理を行い、多層カーボンナノチューブが5質量%含有する水分散液を得た。
[多層カーボンナノチューブ水分散液の粘度測定]
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液の粘度は、SV型(音叉型振動式)粘度計(エーアンドディーカンパニー株式会社製SV−10)を用いて粘度測定を行い、その結果を表1に示した。
[多層カーボンナノチューブ水分散液の粒度分布測定]
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−950V2)を用いて、累積分布(メディアン径d50及びd90)の測定を行い、これらの値を用いてスパン値[(d90−d50)/d50]を求め、それらの結果を表1に示した。粒度分布のグラフは図1に示した。
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−950V2)を用いて、累積分布(メディアン径d50及びd90)の測定を行い、これらの値を用いてスパン値[(d90−d50)/d50]を求め、それらの結果を表1に示した。粒度分布のグラフは図1に示した。
[多層カーボンナノチューブ水分散液の分散状態の観察]
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液の分散状態は、光学顕微鏡を用いて観察(対物レンズ50倍、デジカルカメラ変倍率0.7)し、凝集粒子がなければ、○と記入し、凝集粒子があれば、×と記入した(表1に参照)。
得られた多層カーボンナノチューブ水分散液の分散状態は、光学顕微鏡を用いて観察(対物レンズ50倍、デジカルカメラ変倍率0.7)し、凝集粒子がなければ、○と記入し、凝集粒子があれば、×と記入した(表1に参照)。
<実施番号2>
多層カーボンナノチューブは保土谷化学工業(株)製CT−12(平均繊維径105nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した以外は、実施番号1の調整方法に準じて、5質量%多層カーボンナノチューブを含有する水分散液を得た。粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図2に示した。
多層カーボンナノチューブは保土谷化学工業(株)製CT−12(平均繊維径105nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した以外は、実施番号1の調整方法に準じて、5質量%多層カーボンナノチューブを含有する水分散液を得た。粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図2に示した。
<比較番号1>
多層カーボンナノチューブは、保土谷化学工業(株)製NT−7(平均繊維径65nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した。イオン交換水942.5gに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製WS−C)7.5gを混合し、均一に溶解させた後、50gのNT−7を添加し、スリーワンモーターにて攪拌混合を24時間行った。粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図3に示した。
多層カーボンナノチューブは、保土谷化学工業(株)製NT−7(平均繊維径65nm、R値0.10、純度99.5%)を使用した。イオン交換水942.5gに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製WS−C)7.5gを混合し、均一に溶解させた後、50gのNT−7を添加し、スリーワンモーターにて攪拌混合を24時間行った。粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図3に示した。
<比較番号2>
多層カーボンナノチューブを平均繊維径105nmである保土谷化学工業(株)製CT−12)を使用した以外は、比較番号1に準じて水分散液の作成を行い、粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図4に示した。
多層カーボンナノチューブを平均繊維径105nmである保土谷化学工業(株)製CT−12)を使用した以外は、比較番号1に準じて水分散液の作成を行い、粘度、粒度分布及び分散状態の光学顕微鏡評価の結果は表1に示し、粒度分布のグラフは図4に示した。
<実施番号3〜8>
[多層カーボンナノチューブ含有正極膜用ペースト調製方法]
実施番号1及び実施番号2に調整した5wt%多層カーボンナノチューブ水分散液に、正極用活物質であるLCO(コバルト酸リチウム、日本化学株式会社製セルシードC−5H)、導電補助材であるAB(アセチレンブラック、電気化学工業株式会社製デンカブラックHS−100)、及びSBR樹脂溶液(JSR株式会社製TRD2001)を混合し、フィルミックス分散機(プライミクス社製)にて多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜用導電ペーストを調製した。多層カーボンナノチューブ含有正極用ペースト中の各構成の固形分比率は表2に示す。
[多層カーボンナノチューブ含有正極膜用ペースト調製方法]
実施番号1及び実施番号2に調整した5wt%多層カーボンナノチューブ水分散液に、正極用活物質であるLCO(コバルト酸リチウム、日本化学株式会社製セルシードC−5H)、導電補助材であるAB(アセチレンブラック、電気化学工業株式会社製デンカブラックHS−100)、及びSBR樹脂溶液(JSR株式会社製TRD2001)を混合し、フィルミックス分散機(プライミクス社製)にて多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜用導電ペーストを調製した。多層カーボンナノチューブ含有正極用ペースト中の各構成の固形分比率は表2に示す。
[多層カーボンナノチューブ含有正極用ペーストを用いた正極膜作製方法]
上記の調製した多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜用導電ペーストをアルミニウム箔上にアプリケーターを用いて塗布し、120℃乾燥機にて乾燥し、多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜を作製した。JIS K6911の測定方法で、作製した各正極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表2に示した。
上記の調製した多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜用導電ペーストをアルミニウム箔上にアプリケーターを用いて塗布し、120℃乾燥機にて乾燥し、多層カーボンナノチューブ含有LCO正極膜を作製した。JIS K6911の測定方法で、作製した各正極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表2に示した。
[多層カーボンナノチューブ含有正極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態]
得られた多層カーボンナノチューブ含有正極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、走査電子顕微鏡SEM(JEOL JSM−6700F)を用いて観察(5000倍)を行った。観察結果は、図5(実施番号3)と図6(実施番号5)にそれぞれ示した。
得られた多層カーボンナノチューブ含有正極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、走査電子顕微鏡SEM(JEOL JSM−6700F)を用いて観察(5000倍)を行った。観察結果は、図5(実施番号3)と図6(実施番号5)にそれぞれ示した。
<比較番号3、4>
比較番号1及び2で調製した多層カーボンナノチューブ含有水分散溶液を使用した以外、実施番号3〜8の手順に準じて正極膜用ペースト及び正極膜の作成を行った、上記測定方法で作製した各正極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。また多層カーボンナノチューブ含有正極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態SEM観察の結果は、図7(比較番号3)と図8(比較番号4)にそれぞれ示した。
比較番号1及び2で調製した多層カーボンナノチューブ含有水分散溶液を使用した以外、実施番号3〜8の手順に準じて正極膜用ペースト及び正極膜の作成を行った、上記測定方法で作製した各正極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。また多層カーボンナノチューブ含有正極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態SEM観察の結果は、図7(比較番号3)と図8(比較番号4)にそれぞれ示した。
<実施例9〜11>
[多層カーボンナノチューブ含有負極膜用ペースト調製方法]
実施番号1で調整した5wt%多層カーボンナノチューブ水分散液に、負極用活物質である市販人造黒鉛、及びSBR樹脂溶液を混合し、フィルミックス分散機(プライミクス社製)にて多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜用導電ペーストを調製した。得られた多層カーボンナノチューブ含有負極膜用ペースト中の各構成の固形分比率を表3に示す。
[多層カーボンナノチューブ含有負極膜用ペースト調製方法]
実施番号1で調整した5wt%多層カーボンナノチューブ水分散液に、負極用活物質である市販人造黒鉛、及びSBR樹脂溶液を混合し、フィルミックス分散機(プライミクス社製)にて多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜用導電ペーストを調製した。得られた多層カーボンナノチューブ含有負極膜用ペースト中の各構成の固形分比率を表3に示す。
[多層カーボンナノチューブ含有負極膜用ペーストを用いた負極膜の作製方法]
上記に調製した多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜用導電ペーストを銅箔上にアプリケーターを用いて塗布し、120℃乾燥機にて乾燥し、多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜を作製した。前記の測定方法で作製した各負極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。
上記に調製した多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜用導電ペーストを銅箔上にアプリケーターを用いて塗布し、120℃乾燥機にて乾燥し、多層カーボンナノチューブ含有人造黒鉛負極膜を作製した。前記の測定方法で作製した各負極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。
[多層カーボンナノチューブ含有負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態]
得られた多層カーボンナノチューブ含有負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した(5000倍)。実施番号10に得た負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態のSEM観察結果を図9に示した。
得られた多層カーボンナノチューブ含有負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した(5000倍)。実施番号10に得た負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態のSEM観察結果を図9に示した。
<比較番号5>
比較番号1で調製した5wt%多層カーボンナノチューブ含有水分散溶液を使用した以外、実施番号9〜11の手順に準じて負極膜用ペースト及び負極膜の作成を行った。上記測定方法で作製した負極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。また多層カーボンナノチューブ含有負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態のSEM観察結果は、図10に示した。
比較番号1で調製した5wt%多層カーボンナノチューブ含有水分散溶液を使用した以外、実施番号9〜11の手順に準じて負極膜用ペースト及び負極膜の作成を行った。上記測定方法で作製した負極膜の厚み方向の体積抵抗を測定し、その値は表3に示した。また多層カーボンナノチューブ含有負極膜中の多層カーボンナノチューブの分散状態のSEM観察結果は、図10に示した。
[多層カーボンナノチューブ含有正極膜を用いた二次電池特性評価方法]
<実施番号12>
実施番号5で得られた正極膜、セパレーター、銅箔上に成形された負極を組み込み、これらを有機電解液に含侵させ、リチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。測定機器は北斗電工株式会社製充放電装置(HJ−2010型)、電流レートは0.1Cで100サイクル後の初期容量維持率が95%以上であれば良好(○と記入)、95%以下であれば不可(×と記入)とした。また電流レートが5Cの場合、100サイクル後の初期容量維持率が80%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした(表4に参照)。
<実施番号12>
実施番号5で得られた正極膜、セパレーター、銅箔上に成形された負極を組み込み、これらを有機電解液に含侵させ、リチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。測定機器は北斗電工株式会社製充放電装置(HJ−2010型)、電流レートは0.1Cで100サイクル後の初期容量維持率が95%以上であれば良好(○と記入)、95%以下であれば不可(×と記入)とした。また電流レートが5Cの場合、100サイクル後の初期容量維持率が80%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした(表4に参照)。
<比較番号6>
比較番号3で得られた正極膜を使用した以外は、実施番号12の手順に準じてリチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。評価基準も実施番号12と同様にして評価し、その結果を表4に示した。
比較番号3で得られた正極膜を使用した以外は、実施番号12の手順に準じてリチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。評価基準も実施番号12と同様にして評価し、その結果を表4に示した。
[多層カーボンナノチューブ含有負極膜を用いた二次電池特性評価方法]
<実施番号13>
実施番号10で得られた負極膜、セパレーター、アルミ箔上に成形された正極を組み込み、これらを有機電解液に含侵させ、リチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。測定機器は北斗電工株式会社製充放電装置(HJ−2010型)、電流レートは0.1Cで100サイクル後の初期容量維持率が95%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした。また電流レートが5Cの場合、100サイクル後の初期容量維持率が80%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした(表5に参照)。
<実施番号13>
実施番号10で得られた負極膜、セパレーター、アルミ箔上に成形された正極を組み込み、これらを有機電解液に含侵させ、リチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。測定機器は北斗電工株式会社製充放電装置(HJ−2010型)、電流レートは0.1Cで100サイクル後の初期容量維持率が95%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした。また電流レートが5Cの場合、100サイクル後の初期容量維持率が80%以上であれば良好(○と記入)、それ以下であれば不可(×と記入)とした(表5に参照)。
<比較番号7>
比較番号5で得られた負極膜を使用した以外は、実施番号13の手順に準じてリチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。評価基準も実施番号13と同様にして評価し、その結果を表5に示した。
比較番号5で得られた負極膜を使用した以外は、実施番号13の手順に準じてリチウムイオン電池を作製してサイクル特性評価を実施した。評価基準も実施番号13と同様にして評価し、その結果を表5に示した。
実施番号1〜13及び比較番号1〜7の結果から、多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液の分散状態は二次電池の電極膜(正又は負極膜)の導電性能に明らかな影響があり、最終的に二次電池の性能、例えばサイクル特性に大きく影響することは明白である。即ち、平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブを3〜20質量%含有し、該多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むカルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液において、レーザー回折・散乱法で測定した該水分散液のメディアン径(d50)が0.3〜0.6μm、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPa・s以下である多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液は、良好な導電性能を有する二次電池用電極膜、及び良好な電池特性(例えばサイクル特性)を有する二次電池の作製に最適である。
本発明は、水系LIB電極ペーストを調製する際に、電極膜構成要素であるカルボキシメチルセルロースナトリウムのみを用い、且つ少量添加で、極めて高い凝集力を有する凝集体である平均繊維径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブを高濃度まで分散および分散安定化させて、電極膜作製用多層カーボンナノチューブ水分散溶液を調製することが出来る。また本発明の多層カーボンナノチューブ含有電極ペーストは、粘度が低く、更にそれを用いて作製した電極膜は、膜中においても多層カーボンナノチューブが良好に分散した状態を保つ事が出来る。そのため、これらを用いたリチウムイオン二次電池は高寿命化、高速充放電特性に優れる。
Claims (6)
- 平均繊維外径が50〜110nmの範囲である多層カーボンナノチューブのカルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液であって、該多層カーボンナノチューブの含量が3〜20質量%の範囲であって、該多層カーボンナノチューブに対して質量比が0.1〜0.2のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、レーザー回折・散乱法で測定した該分散液のメディアン径(d50)が0.3〜0.6μm、且つスパン値[(d90−d50)/d50]が0.9〜1.2であり、粘度が100mPa・s以下である多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液。
- 請求項1に記載の多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液に水溶性樹脂溶液、二次電池用負極活物質を添加して得られる多層カーボンナノチューブ含有負極膜用導電ペースト。
- 請求項1に記載の多層カーボンナノチューブ含有カルボキシメチルセルロースナトリウム水分散液に水溶性樹脂溶液、導電性炭素材料、二次電池用正極活物質を添加して得られた多層カーボンナノチューブ含有正極膜用導電ペースト。
- 請求項2または3に記載の多層カーボンナノチューブ含有導電ペーストを用いて得られる電極膜。
- 請求項4に記載の電極膜の厚み方向の体積抵抗値が3000Ω・cm以下であることを特徴とする電極膜。
- 請求項4または5に記載の電極膜を用いて得られるリチウムイオン二次電池。
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