JP6136788B2 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、各種電気機器から電気自動車に至る様々な用途に供されている。規格は様々であるものの、いずれの用途においても優れた高負荷特性が要求されている現状がある。すなわち、リチウムイオン二次電池が備えるべき高負荷特性として、放電電流が大きい場合においても高い放電容量を確保できるような優れたレート特性を有すること、高負荷の条件においても電圧降下が低度に抑えられるように内部抵抗が小さいことが求められている。
このようなリチウムイオン二次電池の高負荷特性に影響する因子の一つとして、正極集電体上に形成される正極合剤層の電子伝導性が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の正極合剤層には、正極の電気化学的反応を担う正極活物質として、コバルト酸リチウムに代表されるリチウムと遷移金属との酸化物が用いられている。
近年では、特に、高い放電電圧を有するリチウムマンガンスピネル等のLiMで表記されるスピネル型構造の正極活物質や、放電容量に優れるLiMO−LiMOで表記される層状固溶体正極活物質や、熱安定性に優れるLiMPOで表記されるオリビン型正極活物質等が、その主流となっている(Mは、Ni、Co、Mn等の遷移金属元素である)。
一般には、これら正極活物質の電子伝導性は必ずしも充分ではないことから、その導電性を補うために、化学的にも安定な黒鉛粉末やカーボンブラック等の炭素材料が導電剤として併用されている。このような導電剤を増量することによって、正極合剤層の電子伝導性を向上させることはできるものの、その場合には、正極活物質の密度が相対的に減少し、エネルギ密度が低下するという問題がある。
そこで、黒鉛粉末やカーボンブラック等と比較して高いアスペクト比を有し、より少量で電子伝導性を向上できるカーボンナノチューブを導電剤として用いる技術が提案されている。
特許文献1には、電池の正極を形成するための正極形成材であって、正極活物質の粒子と、これら正極活物質の粒子表面に網目状に付着している微細炭素繊維とを含むことを特徴とする正極形成材が開示されている。
また、特許文献2には、導電材、分散剤および分散媒を含有し、導電材が、平均外径が30nm以下であり、かつ、凝集せずに分散しているカーボンナノチューブであり、前記分散剤が、非イオン性分散剤を含有することを特徴とする、導電材分散液が開示されている。
また、特許文献3には、リチウムイオン二次電池の正極に用いる導電剤であって、直径が0.5〜10nmであり、長さが10μm以上であるカーボンナノチューブを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極用導電剤が開示されている。
特開2008−270204号公報 特開2011−070908号公報 特開2012−221672号公報
しかしながら、特許文献1において用いられる微細炭素繊維であるカーボンナノファイバーは、平均繊維径1nm〜100nmおよびアスペクト比5以上であって繊維としての長さは短く、平均粒径0.03μm〜40μmの正極活物質の粒子表面に網目状に付着するだけのものである(段落[0020]参照)。
また、特許文献2において用いられるカーボンナノチューブは、比較的長さが短く(段落[0020]参照)、導電剤分散液を調製する際の撹拌のせん断力によってさらに分断されると、正極活物質の粒子表面に付着して被覆するだけの作用しか示すことができないものである。
そのため、これら特許文献1及び特許文献2に開示される技術では、正極合剤層に含まれる正極活物質同士の間で効率的な電子伝導を行うことができず、優れた高負荷特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができないという問題がある。
また、特許文献3において用いられるカーボンナノチューブは、水分散された後に正極活物質と混合される(段落[0042]参照)ことによって任意の状態で分散されており、正極合剤層でカーボンナノチューブが形成する導電パスは、必ずしも、正極活物質粒子同士の間で効率的に電子伝導を行うようには形成されていない。
そのため、特許文献3に開示される技術では、効率的に電子伝導を行う導電パスを構成していないカーボンナノチューブの割合が比較的多くなり、その体積又は重量に相当するエネルギ密度が犠牲になることから、優れた高負荷特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することは容易ではないと考えられる。
したがって、本発明の課題は、重量又は体積当たりの電子伝導性が良好で、高負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極は、複数の正極活物質粒子、導電剤及びバインダを含んでなる正極合剤層と、正極集電体とを備え、前記導電剤は、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブは、前記バインダに埋設されて分散しており、前記正極合剤層における前記カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。 実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の放電容量と放電レートの関係を示す図である。 実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の高負荷時における放電容量を示す図である。 実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る電池の放電容量と放電レートの関係を示す図である。 実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る電池の放電容量と放電レートの関係を示す図である。 実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。 実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。 実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。 実施例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例1−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例1−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例1−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例1−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例1−4に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例2−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例2−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例2−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例3−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例3−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例3−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例3−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 比較例3−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。 実施例に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。図24(a)、図24(b)、図24(c)及び図24(d)は、それぞれ実施例に係る正極の正極合剤層表面に特徴的な構造を示す電子顕微鏡像である。
以下に本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池、並びに、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極(以下、単に正極ということがある。)は、少なくとも、正極活物質、導電剤及びバインダを含む正極合剤が、正極集電体上に塗工される等して形成された正極合剤層と、正極集電体とを少なくとも備えるリチウムイオン二次電池に適用される正極である。
本実施形態に係る正極が含む正極活物質は、微細な正極活物質粒子として正極合剤層に複数含まれている。
正極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池用正極に用いられる正極活物質であれば特に制限されるものではなく、例えば、LiMOで表記される層状構造型正極活物質や、LiMO−LiM’Oで表記される層状固溶体正極活物質や、LiMで表記されるスピネル型構造正極活物質や、LiMPOのように表記されるオリビン型正極活物質や、Liのように表記されるポリアニオン型正極活物質等が用いられる。
なお、それぞれの表記において、M及びM’は、互いに異なる、Ni、Cu、Zn、Co、Fe、Mn、Cr、V、Ti、Mg、Al、Sn、Mo、Nb、V、Zr、Ta、Ru及びWからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Aは、PO、SiO、BO等のアニオンを示している。
なお、これらの正極活物質の元素組成比は、厳密に化学量論比に従うものに限られず、結晶構造上許容される範囲の組成比であればよい。
本実施形態に係る正極が含む正極活物質は、共沈法、固相法、水熱法等の一般的な正極活物質の製法に従い調製することができる。
正極活物質の原料としては、含リチウム化合物、M(またはM’の元素)を含む化合物及びAを構成するヘテロ原子を含む化合物を、所望の正極活物質の元素組成比を達成するような比率でそれぞれ用いる。
例えば、固相法においては、固体の原料化合物を、ボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕及び混合して均一化し原料粉末を得る。
そして、得られた原料粉末を、窒素やAr等の不活性ガス雰囲気又は空気中等の酸化ガス雰囲気において、例えば、500〜1000℃程度の温度で焼成し、正極活物質とする。
原料の含リチウム化合物としては、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(LiSO)、硝酸リチウム(LiNO)、酢酸リチウム(CHCOLi)、水酸化リチウム(LiOH)等を用いることができる。
また、Mの元素(またはM’の元素)を含む化合物としては、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、蓚酸塩等を用いることができる。複数の価数を採り得る元素にあっては、2価の化合物を用いることが好ましい。
また、Aを構成するヘテロ原子を含む化合物として、酸化物、オキソ酸、オキソ酸塩等を用いることができる。
本実施形態に係る正極が含む導電剤は、少なくともカーボンナノチューブを含んでなる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網をなすグラフェンが筒状に丸められた構造を有する繊維状の炭素である。アスペクト比が高く、電子伝導性に優れた性質を有しているため、カーボンナノチューブを正極合剤層に適切に分散させることによって、少量で正極の電子伝導性を向上させることができる。
カーボンナノチューブの種類としては、1層のグラフェンにより形成されるシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)と2層以上のグラフェンにより形成されるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)がある。本実施形態に係る導電剤としては、SWCNT及びMWCNTの少なくとも1種を用いることができる。
なお、本明細書において、カーボンナノチューブには、同等のアスペクト比を有するカーボンナノホーンが含まれる。
一般に、カーボンナノチューブは凝集し易い性質を有しており、多数のカーボンナノチューブの繊維が集合すると、それぞれの繊維が他方向に向いた状態で結合して凝集塊を形成することが多い。そのため、従来の正極では、導電剤として用いたカーボンナノチューブの多くは凝集塊として存在し、適切に分散された非凝集のカーボンナノチューブの割合は少なく、導電パスの形成が効率的に行われていない状態にある。また、導電剤として用いたカーボンナノチューブは、正極活物質等の他の粒子の表面に側面が付着した状態となることが多く、高いアスペクト比を有するというカーボンナノチューブの特徴が充分には活かされていない状態にある。
これに対し、製造条件を制御することによって作製される本実施形態に係る正極では、カーボンナノチューブは、バインダに埋設されることによって、実質的には凝集塊を形成することなく、単繊維として又はバンドルを形成して分散している。
なお、本明細書において、カーボンナノチューブがバインダに埋設されているとは、カーボンナノチューブの単繊維の一部分が、バインダに被覆された状態にあることを云う。
カーボンナノチューブがバインダに被覆された状態では凝集塊が形成され難いため、カーボンナノチューブが凝集し易い性質を有しているにも拘らず、本実施形態に係る正極は、単繊維のまま分散しているカーボンナノチューブとバンドルを形成しているカーボンナノチューブとを合わせた非凝集のカーボンナノチューブの総量が、凝集塊を形成しているカーボンナノチューブの総量を上回るという特徴を有している。
導電剤として用いたカーボンナノチューブが凝集しているか否かは、正極合剤層を走査型顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)で観察することにより判断される。具体的には、カーボンナノチューブを捉える一辺が5μm以上50μm以下の領域を十視野観察し、電子顕微鏡像の画像処理に基づいて、非凝集のカーボンナノチューブ及び凝集塊を形成しているカーボンナノチューブのそれぞれの面積計算を行うことによって、観察される範囲に存在する各カーボンナノチューブの総量に相当する面積を算出する。そして、算出された面積同士を比較することによって、カーボンナノチューブが非凝集及び凝集のいずれの状態であるかについて判断する。
バインダに埋設されたカーボンナノチューブは、単に他の粒子の表面に側面が付着した状態となるに留まらず、バインダに支持されて、より立体的な配置を採ることが可能である。具体的には、本実施形態に係る正極合剤層中では、バインダに埋設されたカーボンナノチューブが、所定の方向に配列して正極活物質粒子の表面を覆う形態や、正極活物質粒子の表面の空孔を架橋する形態、さらには、バインダに埋設されたカーボンナノチューブの一部が、正極活物質粒子同士の間を架橋する形態が形成される。
本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブの平均長さは、1μm以上、好ましくは1μm以上1000μm以下、より好ましくは5μm以上500μm以下とする。また、カーボンナノチューブの長さ分布は、1μm以上1000μm以下の範囲、BET比表面積は、300m/g以上400m/g以下の範囲にあることが好ましい。
カーボンナノチューブの平均長さが1μm以上であれば、鎖状又は房状のストラクチャを形成する炭素粒子を用いた従来の正極と比較して、長距離且つ適切に分散された導電パスが形成されるため、正極合剤層における電子伝導性が良好となる。また、カーボンナノチューブが、正極活物質粒子同士の間を架橋する配置を採ることができる。その一方で、1μm未満であると、正極合剤層が含有するカーボンナノチューブの多くは、架橋を形成することなく、単に正極活物質粒子の表面に付着するに留まるため適切ではない。
バインダに埋設されているカーボンナノチューブの長さは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
一般的な正極において用いられる正極活物質の粒子径は、数μmから数十μm程度である。したがって、バインダに埋設されたカーボンナノチューブの長さが1μm以上であれば、カーボンナノチューブが、正極活物質同士を結着するバインダに埋もれた状態で、各正極物質粒子表面に近接するため、正極活物質粒子同士の間に架橋が形成され、正極活物質粒子間で効率的に電子伝導を行うことができる。また、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブが埋設されているバインダは、カーボンナノチューブが芯材として機能することによって、より離れて存在している正極活物質同士を結着させることを可能とし、さらに、その結着の機械的強度も向上して正極の寿命が向上する作用が得られる。その一方で、1μm未満であると、カーボンナノチューブがバインダに埋設されていても、電子伝導性を向上させる作用は小さくなる。
なお、本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブの平均長さは、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)によって正極合剤層の断面を観察し、数視野〜数十視野について確認された百本の各カーボンナノチューブの繊維長さを計測し、その算術平均を算出することによって求めることができる。
本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブの平均直径は、好ましくは0.5nm以上20nm以下とする。
カーボンナノチューブの平均直径が0.5nm以上であれば、カーボンナノチューブを形成するグラフェンの歪みが比較的軽微であるため合成が困難となる虞がない。また、平均直径が20nm以下であれば、正極におけるカーボンナノチューブの総重量を低減することが可能であり、ひいてはエネルギ密度を向上させることができる。
なお、カーボンナノチューブがバンドルを形成している場合には、バンドル全体の外径は、100nm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブの炭素純度は、99%以上、好ましくは99.5%以上、さらに好ましくは99.9%以上とする。
カーボンナノチューブの炭素純度が99%以上であれば、結晶構造に含まれる欠損が少なく導電性が優れているため、正極合剤層の電子伝導性を有効に向上させることができる。
本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブの含有量は、正極合剤層全体の質量に対して0.01質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。
カーボンナノチューブの含有量が0.01質量%以上であれば、正極合剤層の電子伝導性が有意に向上し、優れた高負荷特性を有する電池を得ることができる。また、0.1質量%以下であれば、正極合剤層を作製する際に調製する正極合剤スラリーが過度に粘調となることがなく、混合や塗工に適したものとなる。また、正極合剤層に分散されたカーボンナノチューブのうち、導電パスの形成に寄与しないものの割合が抑制されるため、エネルギ密度が損なわれる虞が小さい。
本実施形態に係る正極が含有するカーボンナノチューブは、化学気相成長法(CVD)、アーク放電法、レーザー蒸発法等の一般的な製法に従い調製することができる。
化学気相成長法としては、熱CVD、プラズマCVD、光CVD、レーザーCVD等が用いられ、例えば、熱CVDにおいては、所定の粒子径の触媒を担持させた基板上に、加熱下、炭素源となる原料ガスを供給することによって、MWCNT及びSWCNTのいずれをも調製することができる。
基板としては、例えば、アルミナ、炭化珪素、シリコン、石英、ガラス、ゼオライト等の無機化合物や、Fe、Cu、Ni、Ti等の金属やこれらの金属を含む合金からなる基板等、触媒としては、Fe、Co、Ni、Mo等の遷移金属やこれらの遷移金属を含む合金からなる金属ナノ粒子が用いられる。
また、触媒を基板に担持させる方法としては、金属硝酸塩や金属有機塩等といった触媒の原料化合物を溶媒に溶解し、その溶液を基板に塗布する等した後、溶媒を乾燥除去する方法や、触媒を基板に蒸着させる方法等の適宜の方法を用いることができる。
熱CVDにおけるカーボンナノチューブの成長反応は、反応炉等において、触媒を担持させた基板をカーボンナノチューブの形成温度付近まで加熱した後、所定の比率でキャリアガスと混合した原料ガスを基板上に供給しながら、例えば、400〜1200℃程度まで反応炉を加熱することによって進行させる。
原料ガスとしては、アルカン、アルケン、アルキン、一酸化炭素、アルコール、芳香族炭化水素、エーテル等、キャリアガスとしては、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン等を用いることができる。
所望の長さのカーボンナノチューブは、成長反応の時間を調節することによって調製することが可能であり、反応後には、キャリアガスをパルス化して基板上を通流させることによって、堆積したカーボンナノチューブを回収することができる。
他方、アーク放電法においては、一対の炭素電極間にアーク放電を生じさせて炭素電極を蒸発させることによって、また、レーザー蒸発法においては、レーザー光を照射して炭素ターゲットを蒸発させることによって、気化した炭素のその後の冷却過程でそれぞれMWCNTを得ることができる。これらの方法においては、金属触媒と炭素とのコンポジットを電極又はターゲットとすることによってSWCNTを調製することができる。
なお、これらカーボンナノチューブの調製工程においてカーボンナノチューブに混入する金属触媒やタール等の不純物は、カーボンナノチューブの炭素純度を低下させる要因となる。そのため、酸処理や黒鉛化処理を行うことによって、不純物をあらかじめ除去しておくことが好ましい。
本実施形態に係る正極には、前記したカーボンナノチューブと共に、一般的なリチウムイオン二次電池用正極に用いられる他の導電剤が含まれてもよい。
他の導電剤としては、鱗片状乃至球状の炭素粒子や、金属粒子や、導電性ポリマー等を用いることができる。具体的には、炭素粒子としては、天然黒鉛粉末や、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、金属粒子としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等の粉末状粒子、導電性ポリマーとしては、ポリフェニレン等が挙げられる。
カーボンナノチューブと併用する他の導電剤としては、これらの中でも、炭素粒子が好ましく、粒子径の制御が容易であるカーボンブラックがより好ましい。
カーボンナノチューブと併用する他の導電剤の平均粒子径は、10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上300nm以下程度とする。
このようにカーボンナノチューブより小さい粒子径の導電剤を併用することによって、カーボンナノチューブのみでは形成できない、より微細な導電ネットワークを形成することができる。また、導電剤粒子の一部がカーボンナノチューブの表面に結着することによって、カーボンナノチューブの径方向の導電パスを拡張することができる。
本実施形態に係る正極が含有する他の導電剤の含有量は、電池の用途や規格、正極の厚さ、密度、正極活物質の種類等に応じて、適宜の量とすることができるが、カーボンナノチューブの含有量と合算した総量が、正極合剤層全体の質量に対して10質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る正極が含むバインダは、一般的なリチウムイオン二次電池用正極に用いられるバインダを含んでなる。
具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン、ポリ六フッ化プロピレン等のフッ素系樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム等のスチレン系樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂や、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂等が挙げられる。
本実施形態に係るバインダは、正極合剤層を形成する正極活物質及び導電剤や集電体を結着する賦形剤としての機能を果たすと共に、導電剤であるカーボンナノチューブを埋設するためのものである。
そのため、本実施形態に係るバインダとしては、増粘剤を添加しなくても比較的高い粘度を示し、極性基を有するアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂を構成する単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル等が挙げられ、置換基を有するこれらの誘導体であってもよい。
また、重合体は、これら単量体のうちの1種が重合したホモポリマー又は複数種が重合したヘテロポリマーのいずれでもよく、これら単量体と共に、重合開始剤又は樹脂に機能性を付与する他の単量体を加えてもよい。このような他の単量体としては、エチレン、プロピレン等のオレフィンや、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸又はそのエステルや、ジクリシジルエーテル等のエポキシド、ハロゲン化ビニル、グリコール、直鎖状エーテル、アミド又はイミド等が挙げられる。
このようなアクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリロニトリル骨格に、接着性を付与するアクリル酸、柔軟性を付与する直鎖エーテル基を付加したLSR−7(日立化成工業株式会社製)を用いることができる。
本実施形態に係る正極合剤層におけるバインダの含有量は、正極合剤層全体の質量に対して0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
このような本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極によれば、導電剤として機能するカーボンナノチューブの分散性が確保され、少量のカーボンナノチューブで有効な導電パスが形成されるため、重量又は体積当たりの電子伝導性が良好で、高負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。そして、正極合剤層の電子伝導性が向上することによって、より正極合剤層が厚いリチウムイオン二次電池を製造することが可能となり、優れた充放電特性や、電池容量を得ることが可能となる。
また、バインダに埋設されたカーボンナノチューブは強度が増すため、製造工程における圧縮成型に伴って発生する応力やリチウムイオンの挿入又は脱離に起因する体積変化によって生じる応力に起因したカーボンナノチューブの切断又は破損が、減少する効果が得られる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極は、以上説明した正極活物質、導電剤及びバインダを主な原料として、カーボンナノチューブの分散液を調製する工程と、正極合剤スラリーを調製する工程と、正極合剤スラリーを正極集電体に塗工する工程と、正極を成形する工程とを経ることによって製造される。
一般には、正極合剤スラリーは、正極活物質、カーボンナノチューブ、他の導電剤及びバインダを、それぞれ溶媒に分散させて一時に混合することによって調製することができる。
しかしながら、カーボンナノチューブとバインダとを各別に分散させた後に混合する方法では、高分子であるバインダが各カーボンナノチューブの繊維を良好に被覆できないため、再凝集が生じ易く、カーボンナノチューブをバインダに埋設させることができない。また、カーボンナノチューブが正極活物質又は他の導電剤に付着し得る状態で、バインダと混合すると、原料スラリーを撹拌しても、カーボンナノチューブをバインダに埋設させることは困難となる。
したがって、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、前記の各工程を順次備えることが好ましい。
カーボンナノチューブの分散液を調製する工程では、導電剤であるカーボンナノチューブと分散媒とを混合して、カーボンナノチューブが分散した導電剤分散液を調製する。
導電剤として用いるカーボナノチューブは、凝集し易い性質を有しているため、本実施形態に係る正極を作製するためには、正極合剤を調製する際に行われる一般的な混合の場合と比較して、より強いせん断力を負荷する必要がある。
しかしながら、導電剤として用いるカーボナノチューブを適切に分散させる程度の強いせん断力を負荷すると、正極の原料として用いられる造粒粒子や他の正極活物質等の粒子が損壊する虞がある。
そのため、この工程においては、正極活物質や他の導電剤の非存在下において、あらかじめカーボンナノチューブのみを分散媒と混合することによって、凝集し易いカーボンナノチューブが均一に分散した分散液を調製する。
カーボンナノチューブと分散媒とを混合する手段としては、比較的短時間に高いせん断力を印加できる限り、メディア型分散機及びメディアレス分散機のいずれも用いることができるが、メディアレス分散機を用いることが好ましい。
メディアレス分散機としては、例えば、コロイドミル、高圧ホモジナイザ、高圧ジェット式乳化分散機等が挙げられる。
また、このような分散機と共に、他の機械的な撹拌手段、超音波撹拌手段等を併用することもできる。
カーボンナノチューブと分散媒との混合は、分散媒を少量ずつに分割して添加し、各添加毎に充分に撹拌して行うことが好ましい。
このような操作を逐次繰り返して混合することによって、カーボンナノチューブと分散媒とを均一に混合することができ、カーボンナノチューブの再凝集を抑制することができる。
カーボンナノチューブを分散させる分散媒としては、前記したバインダを用いることが好ましく、比較的高粘度を有しているアクリル系樹脂を用いることがより好ましい。
カーボンナノチューブを分散させる分散媒として比較的粘度の高い樹脂製のバインダを用いることにより、カーボンナノチューブに効率よく撹拌によるせん断力を伝達することができる。これによって、カーボンナノチューブが分散媒に均一に分散され、製造される正極においてカーボンナノチューブをバインダに埋設させることが可能となる。
また、この工程において、カーボンナノチューブを一旦バインダに分散させると、カーボンナノチューブの表面がバインダに被覆された状態となるため、以後の工程においてカーボンナノチューブ同士の再凝集が生じ難くなる。
さらに、分散媒がバインダであるため、調製される分散液を正極合剤スラリーの調製に直接供することが可能となり、工程を簡略化できるという利点も有している。
カーボンナノチューブを分散させるバインダは、あらかじめ一般的な溶媒に溶解してバインダ溶液とした上で用いることができる。
バインダを溶解する溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミドや、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールや、エーテル類や、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、水等が挙げられるが、非水溶媒が好ましく、N−メチルピロリドンがより好ましい。
バインダ溶液の粘度は、25℃において、1.0mPa・s以上であることが好ましく、1.0Pa・s以上であることがより好ましく、5.0Pa・s以上であることがさらに好ましい。
分散媒と混合するカーボンナノチューブの平均長さは、10μm以上1000μm以下とすることが好ましい。
カーボンナノチューブは、正極を製造する工程において混合される際に、撹拌によって受けるせん断力によって細分化され、繊維の長さが短くなる傾向がある。そのため、製造された正極において、カーボンナノチューブが所定の長さ以上となるように、あらかじめ所定長さを有するカーボンナノチューブを原料として用いる必要がある。
分散媒と混合するカーボンナノチューブの平均長さが10μm以上であれば、通常の混合で生じる程度のせん断力がカーボンナノチューブに作用しても、製造された正極におけるカーボンナノチューブの平均長さを概ね1μm以上とすることができる。また、1000μm以下であれば、カーボンナノチューブ同士の凝集が低度に抑えられるため、均一に分散した導電剤分散液を調製することができる。
正極合剤スラリーを調製する工程では、正極活物質と、調製された分散液と、所望の他の導電剤と、を混合して正極合剤スラリーを調製する。
正極活物質と調製された導電剤分散液とを混合する手段としては、せん断力が比較的強い高粘度用撹拌機を用いることが好ましい。
高粘度用撹拌機としては、具体的には、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、自転・公転ミキサ等が挙げられる。
正極活物質と調製された分散液との混合は、調製された分散液を少量ずつに分割して添加し、各添加毎に充分に撹拌して行うことが好ましい。
このような操作を逐次繰り返して混合することによって、カーボンナノチューブを均一に混合することができ、カーボンナノチューブの再凝集を抑制することができる。
正極合剤スラリーを正極集電体に塗工する工程では、調製された正極合剤スラリーを正極集電体に塗工し、乾燥させて正極合剤層を形成する。
正極合剤スラリーの塗工には、ダイコーター、グラビアコーター、ドクターブレード等の一般的な塗工手段を用いることができる。
正極集電体としては、10μm以上30μm以下程度の厚さのアルミニウム箔等が通常用いられるが、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の形態であってもよい。
正極合剤層が形成された正極集電体は、ロールプレス等により所定の圧力を負荷して圧縮成形した後、所望の形状に裁断又は打ち抜くことでリチウムイオン二次電池用正極とする。なお、圧縮されて形成される正極合剤層の厚さは、例えば、50μm以上300μm以下程度とする。
以上の工程を経て作製されるリチウムイオン二次電池用正極は、リチウムイオン二次電池用負極と、セパレータと、電解液と、を含んでなるリチウムイオン二次電池に適用される。
このような本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の製造方法によれば、重量又は体積当たりの電子伝導性が良好で、高負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池に用いられる正極を好適に製造することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる負極と同様に、負極活物質及びバインダを含む負極合剤が、負極集電体上に塗工される等して形成された負極合剤層と、負極集電体とを備えている。
負極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池用負極に用いられる負極活物質であれば特に制限されるものではなく、例えば、グラファイト、炭素繊維、ハードカーボン、アモルファスカーボン等の炭素材料や、チタン酸リチウムに代表されるSi、Ti、Sn等とのリチウム金属酸化物や、Si、Al、Sn、Sb、In、Ga、アルカリ土類金属等の元素とリチウムとの合金や、金属リチウムや、これらを複合化した材料を用いることができる。
なお、負極におけるバインダとしては、前記した正極において用いられ得るバインダと同様のものを用いることができる。また、前記した正極において用いられ得る導電剤を用いることもできる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質、導電剤及びバインダを主な原料として、負極合剤スラリーを調製する工程、負極合剤スラリーを負極集電体に塗工する工程を経ることによって製造される。
負極合剤スラリーを調製する工程では、負極活物質と、バインダ溶液とをN−メチルピロリドンや水等の溶媒中において混合して負極合剤スラリーを調製する。
なお、負極に導電剤を含有させる場合には、所望の量を秤量して、負極活物質及びバインダと共に混合すればよい。
負極合剤スラリーを負極集電体に塗工する工程では、調製された負極合剤スラリーを負極集電体に塗工し、乾燥させて負極合剤層を形成する。
負極集電体としては、5μm以上20μm以下程度の厚さの銅箔等が通常用いられるが、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の形態であってもよい。また、銅に替えてニッケル等を用いることができる。
負極合剤層が形成された負極集電体は、ロールプレス等により所定の圧力を負荷して圧縮成形した後、所望の形状に裁断又は打ち抜くことでリチウムイオン二次電池用負極とする。なお、圧縮されて形成される負極合剤層の厚さは、例えば、20μm以上70μm以下程度とする。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。
このリチウムイオン二次電池1は、ボタン型の形状を有するものである。
作製されたリチウムイオン二次電池用負極11及び正極13は、それぞ、負極合剤、正極合剤を塗工していない領域にそれぞれリードを接合し、セパレータ12を挟むように積層配置して、例えばSUSを材質とするボタン型の金属性電池缶14内に収容する。
セパレータ12としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリアミド、アラミド等の樹脂製、繊維状ガラス製等の微多孔質薄膜を用いることができる。なお、セパレータ12には、耐熱性又は難燃性を向上させるためにアルミナ、ガラス等の絶縁性無機化合物層を被覆してもよい。
このように電極を収容した電池缶14に、乾燥空気中又は不活性ガス雰囲気の下で電解液を注入した後、ガスケット15で周囲を密封し、蓋16で封止してリチウムイオン二次電池とする。
なお、電池の外装は、図1に示すボタン型に限られず、円筒型、角型等であってもよい。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の絶縁性シートで内張りされた袋状のアルミラミネートシート等であってもよい。例えば、円筒型電池にあっては、セパレータを挟むように積層配置させた正極と負極を円筒状に捲回して電池缶に収容し、角形電池にあっては、セパレータを挟むように積層配置させた正極と負極を楕円状に二軸を中心に捲回し、又はセパレータを挟むように積層配置させた正極と負極のそれぞれの外側にさらにセパレータを積層した構成として電池缶に収容することによって、リチウムイオン二次電池が得られる。
電解液としては、リチウム塩を非水溶媒に溶解させた非水電解液が用いられる。
リチウム塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等を一種又は複数種組み合わせて用いることができる。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状又は環状のカーボネート系溶媒やパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系溶媒を用いることができる。なお、これらカーボネートは、フッ素置換する等した誘導体であってもよい。
また、電解液には、電池寿命を向上させるために、ビニレンカーボネート、フェニルシクロヘキサン、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド等を添加したり、難燃性を向上させるために、リン酸エステル等を添加してもよい。
リチウムイオン二次電池が備える正極の性状は、電池を不活性雰囲気の下で解体して正極を取り出し、適切な前処理を施した後に機器分析を行うことで確認することができる。
例えば、正極に含まれるバインダの分子構造や分子量は、アセトンやNMP等の溶媒を用いて、正極からバインダを抽出し、核磁気共鳴(NMR)分析やフーリエ変換赤外分光解析(FT−IR)又はゲル浸透クロマトグラフィー解析等を行うことにより確認することができる。
また、正極合剤層における導電剤の分散や埋設の状態については、正極合剤層を走査型顕微鏡又は透過型顕微鏡等を用いて観察することによって確認することができる他、正極合剤層からバインダを溶解させて除去することにより得られる固形成分を、比重に基づいて分離した後、走査型顕微鏡又は透過型顕微鏡等を用いて局所構造解析して確認することもできる。
また、正極合剤層における導電剤の含有量は、例えば、燃焼法による重量変化に基づいて確認することが可能である。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の用途は、特に制限されるものではなく、例えば、電気自動車やハイブリッド型電気自動車等の動力用電源、運動エネルギの一部を回収する形式のエレベータ等の産業用機器の電源、各種業務用又は家庭用の蓄電システム用の電源、太陽光や風力等の自然エネルギ発電システム用の電源等に例示される大型電源として用いることができる。
また、各種携帯型機器、情報機器、家庭用電気機器、電動工具等に例示される小型電源として用いることができる。
次に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を製造し、その形態及び電池性能を評価した。
正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が91質量%、バインダが6質量%、導電剤が3質量%含まれる実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る正極をそれぞれ製造した。
なお、実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る正極においては、正極活物質としては、平均粒径が約11μmであるLiMn1.52Ni0.48を、バインダとしては、ポリアクリロニトリル骨格にアクリル酸と直鎖エーテルが付加されたアクリル系樹脂「LSR」(日立化成工業株式会社製)のNMP溶液を用いた。
また、カーボンナノチューブとしては、炭化水素ガスを炭素源、鉄ナノ粒子を触媒として合成した平均直径4nm、平均長さ700μmのカーボンナノチューブを、カーボンブラックとしては、平均粒径50nmであるものを用いた。
[実施例1−1]
実施例1−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が91質量%、バインダが6質量%、カーボンナノチューブが0.10質量%、カーボンブラックが2.90質量%含まれる正極を作製した。
まず、称量した正極活物質とカーボンブラックとをプラネタリーミキサで混合した。また、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.1質量%となる量のカーボンナノチューブをバインダに分散させて導電剤分散液を調製した。なお、導電剤分散液は、ホモジナイザを用いて予備分散を行った後に、高圧ホモジナイザ及び高圧ジェット式乳化分散機を併用して本分散を行うことによって調製した。
次に、カーボンブラックと混合された正極活物質と導電剤分散液とをプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体に所定量塗工し、乾燥させた後に16mm径となるように打ち抜き、所定密度となるようにプレス機で圧縮成形して、実施例1−1に係る正極とした。
[実施例1−2]
実施例1−2としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が91質量%、バインダが6質量%、カーボンナノチューブが0.02質量%、カーボンブラックが2.98質量%含まれる正極を作製した。
なお、実施例1−2に係る正極は、実施例1−1と同様の手順で作製した。但し、導電剤分散液は、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.05質量%となる量のカーボンナノチューブをバインダに分散させてあらかじめ調製し、カーボンナノチューブの含有量がそれぞれ所定質量%となる量を正極活物質と混合した。このとき、不足するバインダは、NMP溶液として2回に分割して添加し、各添加毎にプラネタリーミキサで充分に混合することによって、カーボンナノチューブの再凝集を防いだ。
[実施例1−3]
実施例1−3としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が91質量%、バインダが6質量%、カーボンナノチューブが0.01質量%、カーボンブラックが2.99質量%含まれる正極を作製した。
なお、実施例1−3に係る正極は、実施例1−2と同様の手順で作製した。
[比較例1−1]
比較例1−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が91質量%、バインダが6質量%、カーボンブラックが3.00質量%含まれる正極を作製した。すなわち、導電剤としてカーボンナノチューブを用いることなく、カーボンブラックのみを分散させた。
なお、比較例1−1に係る正極は、実施例1−1と同様の手順で作製した。但し、カーボンナノチューブを分散させた導電剤分散液に代えて、単なるバインダのNMP溶液を用いた。
[比較例1−2]
比較例1−2としては、実施例1−1に係る正極と同様の組成の正極を、導電剤分散液を調製することなく作製した。
まず、称量した正極活物質とカーボンナノチューブとカーボンブラックとを、あらかじめNMPに溶解しておいたバインダと共にプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例1−1と同様の手順で正極を作製し、比較例1−2に係る正極とした。
[比較例1−3]
比較例1−3としては、実施例1−1に係る正極と同様の組成の正極を、純水を分散媒とした導電剤分散液を用いて作製した。
分散媒の純水にあらかじめ界面活性剤として微量のポリビニルアルコールを溶解させた後、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.1質量%となる量のカーボンナノチューブを混合してホモミキサで分散させて導電剤分散液を調製した。
次いで、調製した導電剤分散液に正極活物質を混合し、常圧乾燥及び減圧乾燥によって水分を除去して乾燥粉末とした。
そして、この乾燥粉末とカーボンブラックとバインダのNMP溶液とをプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例1−1と同様の手順で正極を作製し、比較例1−3に係る正極とした。
[比較例1−4]
比較例1−4としては、実施例1−1に係る正極と同様の組成の正極を、より長さが短いカーボンナノチューブを用いて作製した。
なお、比較例1−4に係る正極は、実施例1−1と同様の手順で作製した。但し、平均直径4nm、平均長さ700μmのカーボンナノチューブに代えて、平均直径10nm、平均長さ9μmのカーボンナノチューブを用いた。
次に、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が93.9質量%、バインダが6質量%、導電剤が0.10質量%含まれる実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る正極をそれぞれ製造した。
なお、実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る正極においては、正極活物質としては、平均粒径が約11μmであるLiMn1.52Ni0.48を、バインダとしては、ポリアクリロニトリル骨格にアクリル酸と直鎖エーテルが付加されたアクリル系樹脂「LSR」(日立化成工業株式会社製)のNMP溶液を用いた。
また、カーボンナノチューブとしては、炭化水素ガスを炭素源、鉄ナノ粒子を触媒として合成した平均直径4nm、平均長さ700μmのカーボンナノチューブを用いた。
[実施例2−1]
実施例2−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が93.9質量%、バインダが6質量%、カーボンナノチューブが0.10質量%含まれる正極を作製した。
まず、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.1質量%となる量のカーボンナノチューブをバインダに分散させて導電剤分散液を調製した。なお、導電剤分散液は、ホモジナイザを用いて予備分散を行った後に、高圧ホモジナイザ及び高圧ジェット式乳化分散機を併用して本分散を行うことによって調製した。
次に、正極活物質と導電剤分散液とをプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。このとき、導電剤分散液は、2回に分割して添加し、各添加毎にプラネタリーミキサで充分に混合することによって、カーボンナノチューブの再凝集を防いだ。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例1−1と同様の手順で正極を作製し、実施例2‐1に係る正極とした。
[比較例2−1]
比較例2−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が93.9質量%、バインダが6質量%、カーボンブラックが0.10質量%含まれる正極を作製した。すなわち、導電剤としてカーボンナノチューブを用いることなく、カーボンブラックのみを分散させた。
なお、比較例2−1に係る正極は、実施例2−1と同様の手順で作製した。但し、カーボンナノチューブを分散させた導電剤分散液に代えて、単なるバインダのNMP溶液を用いた。
[比較例2−2]
比較例2−2としては、実施例2−1に係る正極と同様の組成の正極を、導電剤分散液を調製することなく作製した。
まず、称量した正極活物質とカーボンナノチューブとを、あらかじめNMP溶液としたバインダと共にプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例1−1と同様の手順で正極を作製し、比較例2−2に係る正極とした。
次に、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が92質量%、バインダが5質量%、導電剤が3質量%含まれる実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る正極をそれぞれ製造した。
なお、実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る正極においては、正極活物質としては、平均粒径が約11μmであるLiMn1.52Ni0.48を、バインダとしては、PVDFのNMP溶液を用いた。
また、カーボンナノチューブとしては、炭化水素ガスを炭素源、鉄ナノ粒子を触媒として合成した平均直径15nm、平均長さ90μmのカーボンナノチューブを、カーボンブラックとしては、平均粒径50nmであるものを用いた。
[実施例3−1]
実施例3−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が92質量%、バインダが5質量%、カーボンナノチューブが0.10質量%、カーボンブラックが2.90質量%含まれる正極を作製した。
まず、称量した正極活物質とカーボンブラックとをプラネタリーミキサで混合した。また、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.1質量%となる量のカーボンナノチューブをバインダに分散させて導電剤分散液を調製した。なお、導電剤分散液は、ホモジナイザを用いて予備分散を行った後に、高圧ホモジナイザ及び高圧ジェット式乳化分散機を併用して本分散を行うことによって調製した。
次に、カーボンブラックと混合された正極活物質と導電剤分散液とをプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体に所定量塗工し、乾燥させた後に16mm径となるように打ち抜き、所定密度となるようにプレス機で圧縮成形して、実施例3−1に係る正極とした。
[実施例3−2]
実施例3−2としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が92質量%、バインダが5質量%、カーボンナノチューブが0.02質量%、カーボンブラックが2.98質量%含まれる正極を作製した。
なお、実施例3−2に係る正極は、実施例3−1と同様の手順で作製した。但し、導電剤分散液は、カーボンナノチューブの含有量が所定質量%となる量を正極活物質と混合した。このとき、不足するバインダは、NMP溶液として2回に分割して添加し、各添加毎にプラネタリーミキサで充分に混合することによって、カーボンナノチューブの再凝集を防いだ。
[比較例3−1]
比較例3−1としては、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、正極活物質が92質量%、バインダが5質量%、カーボンブラックが3.00質量%含まれる正極を作製した。すなわち、導電剤としてカーボンナノチューブを用いることなく、カーボンブラックのみを分散させた。
なお、比較例3−1に係る正極は、実施例3−1と同様の手順で作製した。但し、カーボンナノチューブを分散させた導電剤分散液に代えて、単なるバインダのNMP溶液を用いた。
[比較例3−2]
比較例3−2としては、実施例3−1に係る正極と同様の組成の正極を、導電剤分散液を調製することなく作製した。
まず、称量した正極活物質とカーボンナノチューブとカーボンブラックとを、あらかじめNMP溶液としたバインダと共にプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例1−1と同様の手順で正極を作製し、比較例3−2に係る正極とした。
[比較例3−3]
比較例3−3としては、実施例3−1に係る正極と同様の組成の正極を、バインダが溶解されていないNMPを分散媒とした導電剤分散液を用いて作製した。
分散媒のNMPに、正極合剤層全体の乾燥重量に対して0.1質量%となる量のカーボンナノチューブを混合し、ホモミキサで分散させて導電剤分散液を調製した。
次いで、調製した導電剤分散液とバインダとをプラネタリーミキサで混合した後、正極活物質とカーボンブラックとを添加してプラネタリーミキサで混合し、さらに、NMPを添加しながらディスパーミキサで混合することによって、塗工に適した粘度の正極合剤スラリーを調製した。
そして、調製した正極合剤スラリーを用いて実施例3−1と同様の手順で正極を作製し、比較例3−3に係る正極とした。
以上の実施例及び比較例に係る正極を用いてボタン型リチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。
具体的には、負極の金属リチウム箔に、厚さ30μmのポリプロピレン製の多孔質セパレータを積層し、さらに、セパレータに正極合剤層が接するように正極を積層して電池缶に収容した。
そして、電池缶に非水電解液を注入し、ガスケットを介して、蓋をかしめて電池缶を封止して、リチウムイオン二次電池とした。
なお、非水電解液としては、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/メチルエチルカーボネート混合溶媒(体積比2:4:4)に、終濃度が1mol/dmとなる六フッ化リン酸リチウムを溶解させた電解液を用いた。
次に、作製したリチウムイオン二次電池について、時間率を変化させてそれぞれ放電容量を測定し、放電レート特性を評価した。
電池の充放電条件は、充電電流を0.2CAとして、充電終止電圧4.85Vまで定電流、定電圧で6時間の充電を行い、充電後、開回路状態で10分間休止させた後、放電電流を0.2CAとして、放電終止電圧3Vまで定電流で放電を行うものとした。
はじめに、このような充放電条件のサイクルを計3サイクル繰り返し、3サイクル目にあたる放電容量を0.2CAの放電容量(mAh/g)として計測した。
続いて、同じ条件で充電及び休止を行った後、放電電流を1.0CAに変えて、放電終止電圧3.0Vまで定電流の放電を行って1.0CAの放電容量(mAh/g)を測定し、さらに、同じ条件で充電及び休止を行った後、放電電流を3.0CAに変えて、放電終止電圧3.0Vまで定電流の放電を行って、3.0CAの放電容量(mAh/g)を測定した。
0.2CA、1.0CA及び3.0CAの放電容量の測定結果を図2〜図5に示す。
図2は、実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の放電容量と放電レートの関係を示す図である。
図2に示されるように、実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4のいずれの電池についても、放電電流が増大するに伴って放電容量は低下したが、実施例1−1〜1−3に係る電池については、比較例1−1〜1−4に係る電池と比較して放電容量の低下幅が小さく、高負荷時においても高い容量を維持できることが確認された。
図3は、実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の高負荷時における放電容量を示す図である。
図3に示されるように、放電電流を3.0CAとした高負荷時において、実施例1−1〜1−3に係る電池は、高い放電容量を有していることが認められた。特に、正極合剤層全体の乾燥重量に対して、カーボンナノチューブが0.02質量%以上含まれている実施例1−1及び実施例1−2に係る電池の放電容量は顕著に優れていた。
また、純水を分散媒とした導電剤分散液を用いて作製した比較例1−3に係る電池と比較して、実施例1−1〜1−3に係る電池はいずれも高い放電容量を示しており、バインダを分散媒とした導電剤分散液を用いることによって形成された、バインダに埋設されたカーボンナノチューブの構造の有効性が確認された。
図4は、実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る電池の放電容量と放電レートの関係を示す図である。
図4に示されるように、実施例2−1及び比較例2−1〜2−2のいずれの電池についても、放電電流が増大するに伴って放電容量は低下したが、実施例2−1に係る電池については、比較例2−1〜2−2に係る電池と比較して放電容量の低下幅が小さく、高負荷時においても高い容量を維持できることが確認された。
なお、比較例2−1に係る電池では、放電電流1.0CA以上においては、放電容量が略得られなかった。
図5は、実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る電池の放電容量と放電電流の関係を示す図である。
図5に示されるように、実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3のいずれの電池についても、放電電流が増大するに伴って放電容量は低下したが、実施例3−1〜3−2に係る電池については、比較例3−1〜3−3に係る電池と比較して放電容量の低下幅が小さく、高負荷時においても高い容量を維持できることが確認された。
次に、作製したリチウムイオン二次電池について、それぞれ直流内部抵抗を測定した。
はじめに、充電電流を0.2CAとして、充電終止電圧4.85Vまで定電流、定電圧で2.5時間の充電を行い、開回路状態で30分間休止させた後、開回路電圧(V)を測定した。
次いで、放電電流を0.2CAとして、放電終止電圧3.0Vまで定電流で10秒間の放電を行い、10秒後の電圧(V10)を測定し、V10とVの差分(ΔV)を求めた。
同様にして、放電電流が0.5CA、1.0CA、2.0CA、3.0CAのそれぞれの場合について各ΔVを測定し、これらΔVと各放電電流の電流変化の傾きから、各電池の直流内部抵抗(Ω)を算出した。
その結果を図6〜8に示す。
図6は、実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。
図6に示されるように、実施例1−1〜1−3に係る電池は、比較例1−1〜1−4に係る電池と比較して直流内部抵抗が低く、電子伝導性が優れていることが確認された。
図7は、実施例2−1及び比較例2−1〜2−2に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。
図7に示されるように、実施例2−1に係る電池は、比較例2−2に係る電池と比較して直流内部抵抗が低く、電子伝導性が優れていることが確認された。
なお、比較例2−1に係る電池は、放電電流1.0CA以上においては、10秒間の放電を行うだけの放電容量が得られず、直流内部抵抗を測定することができなかった。
図8は、実施例3−1〜3−2及び比較例3−1〜3−3に係る電池の直流内部抵抗を示す図である。
図8に示されるように、実施例3−1〜3−2に係る電池は、比較例3−1〜3−3に係る電池と比較して直流内部抵抗が低く、電子伝導性が優れていることが確認された。
次に、作製した実施例及び比較例に係る正極の正極合剤層表面を電界放出型走査電子顕微鏡で観察した。なお、電子顕微鏡における加速電圧は、5kVとした。以下の図に示す電子顕微鏡像において、右図は、左図の一部領域を拡大して示した電子顕微鏡像である。
図9は、実施例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
粒径が約11μm程度の正極活物質が分散し(左図参照)、正極活物質粒子間の空孔に、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックとカーボンナノチューブが分散していることが確認された(右図参照)。
また、左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士を架橋する構造が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図の破線で囲んだ領域に示されるように、これらの架橋構造がカーボンナノチューブが埋設されたバインダであることが確認された。左図及び右図の破線で囲んだ領域に示される構造は、いずれも分散したカーボンナノチューブに沿ってバインダが付着し、カーボンナノチューブがバインダに埋設された形態を有していた。
実施例1−1で確認された架橋構造の長さは、10μm以上のものが中心であった。
図10は、実施例1−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
実施例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像においてと同様に、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックと、カーボンナノチューブが埋設されたバインダによる架橋構造とがそれぞれ確認された。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質に結合した直線的な構造が多数認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右側に破線で囲んだ領域には、分散したカーボンナノチューブに沿ってバインダが付着し、カーボンナノチューブがバインダに埋設された形態の架橋構造、中央に破線で囲んだ領域には、分散したカーボンナノチューブに沿ってバインダが付着して形成された架橋構造に対してさらに繊維に沿ってカーボンブラックが付着している形態、左側に破線で囲んだ領域には、バインダによる架橋構造中に、カーボンナノチューブが分散して存在する形態がそれぞれ認められた。
実施例1−2で確認された架橋構造の長さは、4μm程度のものが中心であった。
図11は、実施例1−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
実施例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像においてと同様に、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックと、カーボンナノチューブが埋設されたバインダによる架橋構造とがそれぞれ確認された。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質に結合した直線的な構造が多数認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右側に破線で囲んだ領域に示されるように、バインダによる架橋構造にカーボンナノチューブが分散して存在する形態が認められた。
実施例1−3で確認された架橋構造の長さは、2〜3μm程度のものが中心であった。
図12は、比較例1−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
電子顕微鏡像より、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックが確認されたものの、導電剤としてカーボンナノチューブを用いていないため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
図13は、比較例1−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
電子顕微鏡像より、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックと、カーボンナノチューブとが確認されたものの、導電剤分散液を調製することなく作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質と同等の大きさの凝集体が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図に示されるように、これらの凝集体は、他方向に向いて凝集しているカーボンナノチューブに沿って、カーボンブラックが列状に付着したものであり、正極活物質同士を架橋できるものではないことが確認された。
図14は、比較例1−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
電子顕微鏡像より、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックと、カーボンナノチューブとが確認されたものの、純水を分散媒とした導電剤分散液を用いて作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士の間にバインダが付着している構造は存在したが、その長さは1μm未満であり、カーボンナノチューブは埋設されていないことが確認された。
図15は、比較例1−4に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
電子顕微鏡像より、粒径が約11μm程度の正極活物質と、粒径がサブミクロン以下のカーボンブラックと、カーボンナノチューブとが確認されたものの、より長さが短いカーボンナノチューブを用いて作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、カーボンナノチューブに沿って、カーボンブラックが列状に付着した構造は認められたものの、単に正極活物質の粒子表面に付着しただけの構造であった。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図の破線で囲んだ領域に示されるように、カーボンナノチューブが埋設されたバインダが、カーボンブラック同士を架橋する構造は存在したものの、その長さは1μm未満であり、正極活物質同士を架橋できるものではないことが確認された。
図16は、実施例2−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士がカーボンナノチューブが埋設されたバインダによって架橋されている構造が多数認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質の表面を網目状に被覆する繊維状カーボンナノチューブが多数確認されると共に、右図に指し示すように、架橋構造の末端と正極活物質との結合部に細線状に分散して埋設されたカーボンナノチューブが確認された。
図17は、比較例2−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
導電剤としてカーボンナノチューブを用いていないため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
図18は、比較例2−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
導電剤分散液を調製することなく作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士の間にバインダが付着している構造は存在したが、カーボンナノチューブは埋設されていないことが確認された。付着したバインダは、幅が数μm程度の架橋構造となっている場合もあり、実施例2−1において認められた架橋構造と比較して太い構造であった。
図19は、実施例3−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士を架橋する構造が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図の左側矢印が示すように、これらの架橋構造はカーボンナノチューブが埋設されたバインダであることが確認された。また、この架橋構造に対して、右側矢印が示すように、さらに繊維に沿ってカーボンブラックが付着している構造が認められた。
実施例3−1で確認された架橋構造の長さは、4μm程度のものが中心であった。
図20は、実施例3−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士を架橋する構造が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図に指し示すように、これらの架橋構造はカーボンナノチューブが埋設されたバインダであることが確認され、バインダによる架橋構造中に、カーボンナノチューブが分散して存在する形態が認められた。
実施例3−2で確認された架橋構造の長さは、2μm程度のものが中心であった。
図21は、比較例3−1に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
導電剤としてカーボンナノチューブを用いていないため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
右図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質同士が結着した構造が認められたが、カーボンナノチューブは埋設されていないことが確認された。
図22は、比較例3−2に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
導電剤分散液を調製することなく作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質と同等の大きさの凝集体が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、これらの凝集体は、他方向に向いて凝集しているカーボンナノチューブに沿って、カーボンブラックが列状に付着したものであり、正極活物質同士を架橋できるものではないことが確認された。
図23は、比較例3−3に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
バインダが溶解されていないNMPを分散媒とした導電剤分散液を用いて作製されているため、正極活物質同士を架橋する構造は認められなかった。
左図の破線で囲んだ領域に示されるように、正極活物質の表面に凝集体が多数形成されていることが認められた。高倍率の電子顕微鏡像を観察したところ、右図に指し示すように、これらの凝集体は、正極活物質の表面に付着しているカーボンナノチューブに沿って、さらにカーボンブラックが列状に付着したものであり、正極活物質同士を架橋できるものではないことが確認された。
図24は、実施例に係る正極の正極合剤層表面の電子顕微鏡像である。
前記した実施例に係る正極の正極合剤層表面には、共通して、バインダに埋設されたカーボンナノチューブが形成する特徴的な構造が散見された。
図24(a)には、破線で囲んだ領域に示されるように、バインダに埋設されたカーボンナノチューブが所定の方向に配列し、正極活物質粒子の表面を部分的に覆っている形態、図24(b)には、破線で囲んだ領域に示されるように、複数のカーボンナノチューブがより合わさって、正極活物質の表面の空孔を架橋している形態が確認された。
また、図24(c)には、破線で囲んだ領域の上側矢印が示すバインダに埋設されたカーボンナノチューブと下側矢印が示すカーボンブラックとがそれぞれ集合して架橋構造を形成している形態が確認された。なお、破線で囲んだ領域の外側に指し示す粒子は、正極活物質粒子である。
また、図24(d)には、破線で囲んだ領域に示されるように、長さが数μmのカーボンナノチューブが分散して、カーボンブラックの粒子間を架橋する形態がそれぞれ多数認められ、導電ネットワークの形成に寄与していることが確認された。
1 リチウムイオン二次電池
11 リチウムイオン二次電池用負極
12 セパレータ
13 リチウムイオン二次電池用正極
14 電池缶
15 ガスケット
16 蓋

Claims (11)

  1. 複数の正極活物質粒子、導電剤及びバインダを含んでなる正極合剤層と、
    正極集電体と
    を備え、
    前記導電剤は、平均長さが1μm以上であるカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブは、前記バインダに埋設されて分散しており、
    前記正極合剤層における前記カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上0.1質量%以下である
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 前記カーボンナノチューブの平均長さが5μm以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記バインダに埋設され、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブが、前記複数の正極活物質粒子の少なくとも一部の粒子同士の間を架橋している
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 長さが1μm以上であるカーボンナノチューブが埋設されている前記バインダが、前記複数の正極活物質粒子の少なくとも一部の粒子同士の間を架橋している
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記カーボンナノチューブが、単繊維として又はバンドルを形成して前記正極合剤層に分散している
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 前記カーボンナノチューブが、凝集塊を形成することなく前記正極合剤層に分散している
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 前記カーボンナノチューブの平均直径が、0.5以上20nm以下である
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  8. 前記導電剤は、さらに、炭素粒子を含み、
    前記カーボンナノチューブの少なくとも一部は、表面に前記炭素粒子を結着させていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  9. 前記炭素粒子が、カーボンブラックである
    ことを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  10. 前記バインダが、アクリル系樹脂である
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極と、
    負極と、セパレータと、電解液と、を含んでなる
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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