JP6931974B2 - 正極合剤スラリー、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

正極合剤スラリー、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、正極合剤スラリー、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン(note PC)等の情報処理装置の小型化に伴い、これらの情報処理装置の電源として用いられる非水電解質二次電池のさらなる高エネルギー密度化が求められている。そして、非水電解質二次電池を高エネルギー密度化する手法として、正極活物質層の厚膜化が提案されている。
ここで、正極活物質層は、概ね以下の工程で作製される。すなわち、正極集電体上に正極合剤スラリーを塗工することで集電体上に塗工層を形成する。ここで、正極合剤スラリーは、少なくとも、正極活物質、バインダ、及び溶媒を含む。次いで、塗工層を乾燥することで、塗工層から溶媒を除去する。以上の工程により、正極集電体上に正極活物質層を形成する。正極集電体及び正極活物質層によって非水電解質二次電池の正極が構成される。ここで、正極活物質層を厚膜化するためには、上述した塗工層を厚膜化する必要がある。
特許第5382120号 特許第5733314号
しかし、塗工層を厚膜化した場合、塗工層の乾燥時にバインダが塗工層の表面に移動するという現象、いわゆるマイグレーション(migration)が生じやすいという問題があった。そして、多くのバインダが塗工層の表面に移動すると、正極活物質層の表面にバインダが偏在することになる。正極活物質層の表面にバインダが偏在する場合、正極活物質層の柔軟性が低下する可能性があった。正極活物質層の柔軟性が低下した場合、巻回素子の作製時に正極集電体が破断する等の問題が生じうる。ここで、巻回素子は、正極、負極、及びセパレータを巻回した素子である。さらに、正極集電体と正極活物質層との界面のバインダ量が低下するため、これらの密着性も低下する可能性もあった。さらに、正極活物質層の表面のイオン透過性が低下し、高率放電特性及び容量維持率が低下する可能性もあった。なお、バインダのマイグレーションが発生した場合、これらの現象がすべて発生する場合もあるが、いずれかのみが発生する場合もある。
上記の問題を解決する方法として、正極合剤スラリー中のバインダ量を減らすことが考えられる。しかし、単に正極合剤スラリー中のバインダ量を減らしただけでは、正極活物質間及び正極活物質−正極集電体間の結着力が不足するのみならず正極合剤スラリーの粘度が低下してしまう。そして、正極合剤スラリーの粘度が低下した場合、塗工層中で正極活物質が沈降しやすくなるという問題があった。そして、多くの正極活物質が沈降すると、正極活物質層の表面の正極活物質密度が低下することになる。正極活物質層の表面の正極活物質密度が低下した場合にも、高率放電特性及び容量維持率が低下する可能性があった。したがって、単に正極合剤スラリー中のバインダ量を減らしただけでは、マイグレーションの問題を何ら解決することができなかった。
ところで、特許文献1、2には、正極活物質層のバインダに関する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、正極活物質層のバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)あるいはフッ化ビニリデンを含む共重合体を使用する。さらに、正極活物質層にフッ素ゴム粒子を含有させる。特許文献2に開示された技術では、テトラフルオロエチレン(TFE)及びプロピレン(P)を単量体として含むバインダを使用する。しかし、いずれの技術でも上記マイグレーションの問題を何ら解決することができなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、マイグレーションの発生を抑制し、ひいては、非水電解質二次電池の特性を向上させることが可能な、新規かつ改良された正極合剤スラリー、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、溶媒と、正極活物質と、正極活物質の表面を覆い、溶媒に不溶な第1のバインダとを含む複合化正極活物質と、平均繊維径が40nm以下、平均アスペクト比が500以上である繊維状炭素材料と、溶媒に可溶な第2のバインダと、を含み、複合化正極活物質の総質量に対する第1のバインダの質量%は0.2〜1.5質量%であり、全固形分の総質量に対する繊維状炭素材料の質量%は0.01〜0.5質量%であり、全固形分の総質量に対する第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%であり、正極活物質の比表面積をa(m/g)、複合化正極活物質の総質量に対する第1のバインダの質量%をb(質量%)とした場合、b/aは5.0以下となることを特徴とする、正極合剤スラリーが提供される。
上記のように、第2のバインダの質量%は、正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対して0.1〜0.5質量%となる。したがって、正極合剤スラリー内の全バインダの大半は第1のバインダとなる。すなわち、本観点では、第1のバインダを主として使用し、第2のバインダは、第2のバインダがその機能(具体的には、正極合剤スラリーの粘度安定化剤としての機能、及び正極活物質層を正極集電体に結着させる機能)を発現するために必要最小限だけ使用する。そして、第1のバインダは、溶媒に不溶であり、かつ、正極活物質の表面に複合化されている。
したがって、第1のバインダは、塗工層の乾燥時にマイグレーションしにくい。第2のバインダは、塗工層の乾燥時にマイグレーションする可能性があるが、第2のバインダの含有量自体が非常に低い。さらに、正極合剤スラリーは、粘度安定化剤として機能する繊維状炭素材料及び第2のバインダを含む。したがって、塗工層内で正極活物質が沈降しにくい。すなわち、正極活物質層内で正極活物質をより均一に分布させることができる。したがって、本観点によれば、マイグレーションの発生を抑制しつつ、正極活物質層を厚膜化することができる。さらに、正極活物質層内に正極活物質をより均一に分布させることができる。さらに、正極活物質層の柔軟性を確保することができるので、巻回時の正極集電体の破断等を抑制することができる。したがって、本観点によれば、非水電解質二次電池の特性、具体的には高率放電特性及び容量維持率を向上させることができる。
また、第1のバインダは、テトラフルオロエチレン(TFE)を含む共重合体であってもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
また、第1のバインダは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(P(TFE/P))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%以上の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))からなる群から選択されるいずれか一種以上で構成されてもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
また、第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性ポリフッ化ビニリデン、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/HFP/TFE))、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体(水素化NBR)、アクリレート−フッ化ビニリデン共重合体(P(Acrylate/VdF))、アクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(Acrylate/VdF/HFP))、アクリレート−フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(Acrylate/VdF/TFE))、及びアクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(P(Acrylate/VdF/HFP/TFE))共重合体からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されてもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
また、第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE)からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されてもよい。
本観点によれば、第2のバインダが少量であっても、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
また、正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であってもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
また、溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)であってもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池の特性をさらに向上させることが可能となる。
本発明の他の観点によれば、正極活物質と、正極合剤スラリーの溶媒に不溶な第1のバインダと、平均繊維径が40nm以下、平均アスペクト比が500以上である繊維状炭素材料と、正極合剤スラリーの溶媒に不溶な第2のバインダと、を含み、正極活物質及び第1のバインダの総質量に対する第1のバインダの質量%は0.2〜1.5質量%であり、全固形分の総質量に対する繊維状炭素材料の質量%は0.01〜0.5質量%であり、全固形分の総質量に対する第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%であり、正極活物質の比表面積をa(m/g)、正極活物質及び第1のバインダの総質量に対する第1のバインダの質量%をb(質量%)とした場合、b/aは5.0以下となることを特徴とする、非水電解質二次電池用正極が提供される。
本観点の正極では、マイグレーションの発生が抑制されている。さらに、正極内には、正極活物質がより均一に分布している。さらに、正極の柔軟性は確保されている。したがって、この正極を用いた非水電解質二次電池の特性がさらに向上する。
本発明の他の観点によれば、上記の非水電解質二次電池用正極を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池が提供される。
本観点による非水電解質二次電池は、優れた特性を有する。
以上説明したように本発明によれば、マイグレーションの発生を抑制し、ひいては、非水電解質二次電池の特性を向上させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成を示す平断面図である。 複合化正極活物質の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 第1のバインダで覆われていない正極活物質の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.正極合剤スラリーの構成>
まず、本実施形態に係る正極合剤スラリーの構成について説明する。正極合剤スラリーは、非水電解質二次電池の正極活物質層を作製するために使用される。正極合剤スラリーは、溶媒と、複合化正極活物質と、繊維状炭素材料と、第2のバインダとを含む。
(1−1.溶媒)
溶媒は、従来の正極合剤スラリーに使用される溶媒であればよく、例えばN−メチルピロリドンである。
(1−2.複合化正極活物質)
複合化正極活物質は、正極活物質と、正極活物質の表面を覆う第1のバインダとを含む。正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な物質であれば特に限定されず、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、酸化バナジウム等が挙げられる。リチウム含有遷移金属酸化物の例としては、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、「NCA」と称する場合もある。)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、「NCM」と称する場合もある。)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
正極活物質は、上記で列挙した例のうち、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましく、特に、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩であることが好ましい。
また、正極活物質は、高電圧時の電解液との副反応を抑制するため、上記の各物質に表面処理を施したものであってもよい。正極活物質の平均凝集粒径は、正極活物質の安全性や充填性の観点から10〜30μmが望ましい。なお、正極活物質の平均凝集粒径は、正極活物質の1次粒子が凝集した2次粒子を球体とみなした場合における直径の分布の50%体積積算値(D50値)であり、レーザ(laser)回折・散乱法によって測定することができる。
第1のバインダは、正極活物質層を正極集電体に結着させるバインダである。さらに、第1のバインダは、上記溶媒に不溶である。すなわち、本実施形態では、正極活物質の表面が溶媒に不溶な第1のバインダで覆われている。ここで、本実施形態では、溶媒に対する溶解度に基づいて、第1のバインダが溶媒に溶解するか否かを判定する。具体的には、溶媒に第1のバインダを投入し、この時の溶解度が1質量%未満となる場合、第1のバインダは溶媒に不溶であると判定する。ここで、溶解度は、第1のバインダの濃度、すなわち、溶媒に溶解した第1のバインダの溶液総質量に対する質量%として定義される。例えば、第1のバインダとしてテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体を使用し、溶媒としてNMPを使用した場合、溶解度は0質量%となる。また、複合化正極活物質の総質量に対する第1のバインダの質量%は0.2〜1.5質量%である。第1のバインダの質量%が0.2質量%未満となる場合、第1のバインダが少なすぎて正極集電体と正極活物質層との密着性を十分に確保できない。一方、第1のバインダの質量%が1.5質量%を超える場合、第1のバインダが多すぎて、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率がかえって低下する。
さらに、正極活物質の比表面積をa(m/g)、複合化正極活物質の総質量に対する第1のバインダの質量%をb(質量%)とした場合、b/aは5.0以下となる。後述する実施例に示されるように、b/aが5.0以下となる場合に、非水電解質二次電池の特性がより良好になる。b/aが5.0を超える場合、正極活物質に対する第1のバインダの質量が多すぎるので、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率がかえって低下する可能性がある。なお、比表面積に対して第1のバインダが少なすぎても同様に非水電解質二次電池の特性が低下する可能性があるので、b/aは0.8以上であることが好ましい。b/aは、0.9〜4.1であることがより好ましい。ここで、正極活物質の比表面積は、いわゆるBET比表面積であり、ガス吸着法等により測定可能である。
第1のバインダは、具体的には、テトラフルオロエチレン(TFE)を含む共重合体であることが好ましい。第1のバインダは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(P(TFE/P))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%以上の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))からなる群から選択されるいずれか一種以上で構成されることがより好ましい。この場合、第1のバインダの柔軟性、耐酸化性、及び電気化学安定性が向上する。すなわち、正極活物質層の柔軟性が向上するので、正極の巻回時に正極集電体が破断しにくくなる。さらに、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率が向上する。
第1のバインダが正極活物質の表面を覆っている(すなわち、表面に複合化されている)ことは、SEM等により確認可能である。図2に複合化正極活物質のSEM写真を示し、図3に複合化されていない正極活物質のSEM写真を示す。
複合化正極活物質は、例えば転動流動コーティング装置を用いた湿式法により作製可能である。具体的には、まず、正極活物質に第1のバインダの水分散体(いわゆるエマルジョン(emulsion))を噴霧する。これにより、正極活物質の表面に水分散体が付着する。ついで、水分散体が表面に付着した正極活物質を乾燥させる。以上の工程により、複合化正極活物質を作製する。乾燥後の複合化正極活物質の質量から複合化前の(すなわち、水分散体の噴霧前の)正極活物質の質量を減算することで、正極活物質に複合化した第1のバインダの質量を求めることができる。
また、第1のバインダは、例えば第1のバインダを構成するモノマーを乳化重合することで作製される。乳化重合の結果物は、第1のバインダの水分散体となる。したがって、この水分散体をそのまま複合化正極活物質の作製に使用してもよい。第1のバインダは、第1のバインダを構成するモノマーを懸濁重合することにより作製されてもよい。
(1−3.繊維状炭素材料)
繊維状炭素材料は、正極活物質層内で導電助剤として機能する。したがって、繊維状炭素材料は、導電性を有する。さらに、繊維状炭素材料は、正極合剤スラリーの粘度安定化剤としても機能する。すなわち、繊維状炭素材料は、塗工層の粘度をある程度高めることで、塗工層内で複合化正極活物質を沈降しにくくすることができる。言い換えれば、繊維状炭素材料は、塗工層中により均一に複合化正極活物質を分布させることができる。ここで、繊維状炭素材料の平均繊維径は40nm以下、平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は500以上である。繊維状炭素材料のサイズがこれらの条件を満たす場合に、繊維状炭素材料は上述した機能を十分に発揮することができる。なお、繊維状炭素材料の繊維径、繊維長、アスペクト比は、繊維状炭素をSEMなどで観察することで測定可能である。これらの平均値は、例えば複数個の繊維状炭素の繊維径、繊維長、アスペクト比の算術平均値である。なお、平均繊維径は1.4nm以上であることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。なお、平均繊維径は、上記範囲内でなるべく小さいことが好ましい。平均アスペクト比は100000以下であることが好ましい。繊維状炭素材料は、具体的には、例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等である。また、平均繊維長は特に制限されないが、1μm以上であることが好ましい。
さらに、正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対する繊維状炭素材料の質量%は0.01〜0.5質量%である。繊維状炭素材料の質量%が0.01質量%未満となる場合、繊維状炭素材料は、導電助剤及び粘度安定化剤としての機能を十分に発揮することができない。一方、繊維状炭素材料の質量%が0.5質量%を超える場合、かえってイオンの円滑な移動を妨げる障害になってしまうため非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率がかえって低下する。また、正極活物質層と正極集電体との密着性が十分に確保できない可能性もある。ここで、正極合剤スラリーが溶媒、複合化正極活物質、繊維状炭素材料、及び第2のバインダで構成される場合、正極合剤スラリーの全固形分は、複合化正極活物質、繊維状炭素材料、及び第2のバインダとなる。
なお、正極合剤スラリーは、繊維状炭素材料以外の他の導電助剤を含んでいても良い。他の導電助剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjen black)、アセチレンブラック(Acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対する他の導電助剤の質量%は、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、例えば0質量%以上1.5質量%以下であってもよい。他の導電助剤も単独で粘度安定化剤として機能しうるが、他の導電助剤が粘度安定化剤として十分な機能を発揮するためには、より多くの他の導電助剤を正極合剤スラリーに投入する必要がある。このため、正極合剤スラリーの粘度は安定しても、他の機能(例えば、正極活物質層と正極集電体との密着性等)が悪化する。したがって、他の導電助剤を使用する場合であっても、繊維状炭素材料は必要である。
(1−4.第2のバインダ)
第2のバインダは、溶媒に可溶なバインダである。第2のバインダは、正極活物質層を正極集電体に結着させる。さらに、第2のバインダは、繊維状炭素材料と同様に、正極合剤スラリーの粘度安定化剤としても機能する。正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対する第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%である。第2のバインダの質量%が0.1質量%未満となる場合、第2のバインダは、正極活物質層を正極集電体に十分に結着させることができない。さらに、第2のバインダは、粘度安定化剤としても十分に機能しない。一方、第2のバインダの質量%が0.5質量%を超える場合、第2のバインダのマイグレーションによる影響が大きくなる。すなわち、第2のバインダのマイグレーションによって、正極活物質層の柔軟性が低下する可能性がある。さらに、正極集電体と正極活物質層との密着性が低下する可能性もある。さらに、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率が低下する可能性がある。
第2のバインダは、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性ポリフッ化ビニリデン、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/HFP/TFE))、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体(H−NBR)、アクリレート−フッ化ビニリデン共重合体(P(Acrylate/VdF))、アクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(Acrylate/VdF/HFP))、アクリレート−フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(Acrylate/VdF/TFE))、及びアクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(P(Acrylate/VdF/HFP/TFE))共重合体からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることが好ましい。
また、少量で大きな結着性を発現できるという観点から、第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE)からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることがより好ましい。
上記のように、第2のバインダの質量%は、正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対して0.1〜0.5質量%となる。したがって、正極合剤スラリー内の全バインダの大半は第1のバインダとなる。すなわち、本実施形態では、第1のバインダを主として使用し、第2のバインダは、第2のバインダが上述した機能を発現するために必要最小限だけ使用する。そして、第1のバインダは、溶媒に不溶であり、かつ、正極活物質の表面に複合化されている。したがって、第1のバインダは、塗工層の乾燥時にマイグレーションしにくい。第2のバインダは、塗工層の乾燥時にマイグレーションする可能性があるが、第2のバインダの含有量自体が非常に低い。第2のバインダの質量%は、好ましくは0.2〜0.4質量%である。
さらに、正極合剤スラリーは、粘度安定化剤として機能する繊維状炭素材料及び第2のバインダを含む。したがって、塗工層内で正極活物質が沈降しにくい。すなわち、正極活物質層内で正極活物質をより均一に分布させることができる。したがって、本実施形態によれば、マイグレーションの発生を抑制しつつ、正極活物質層を厚膜化することができる。さらに、正極活物質層内に正極活物質をより均一に分布させることができる。さらに、正極活物質層の柔軟性を確保することができるので、巻回時の正極集電体の破断等を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、非水電解質二次電池の特性、具体的には高率放電特性及び容量維持率を向上させることができる。
<2.正極活物質層の製造方法>
次に、正極合剤スラリーを用いた正極活物質層の製造方法について説明する。正極活物質層の製造方法自体は特に制限されないが、例えば以下の方法であってもよい。まず、上述した組成の正極合剤スラリーを作製する。ついで、正極合剤スラリーを正極集電体上に塗工する。これにより、塗工層が形成される。ついで、塗工層を急速乾燥する。急速乾燥は、例えば熱風炉を用いて行う。急速乾燥の時間は特に制限されないが、例えば90〜120秒であってもよい。乾燥炉の熱風温度は70〜130度、風量は0.5〜5m/秒であってもよい。但し、マイグレーションを極力抑制する観点からは、溶剤の蒸発速度を極力遅くすることが好ましい。このため、熱風温度及び風量は、上記急速乾燥時間内に溶剤を99体積%以上蒸発可能な範囲内で、できる限り低くすることが望ましい。ついで、急速乾燥後の塗工層を圧延し、真空乾燥する。これにより、正極活物質層が正極集電体上に形成される。
なお、塗工の方法は、特に限定されないが、例えば、ドクターブレード(doctor blade)法、スロットダイ(slot die)法、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等を用いてもよい。
<3.非水電解質二次電池の構成>
つぎに、上述した正極活物質層を用いた非水電解質二次電池の構成例を図1に基づいて説明する。図1は、巻回素子1aの平断面図と、巻回素子1aの領域Aを拡大した拡大図とを示す。非水電解質二次電池1は、巻回素子1aと、非水電解質溶液と、外装材40とを備える。したがって、非水電解質二次電池1はいわゆる巻回型二次電池となっている。巻回素子1aは、正極10、セパレータ(separator)20、負極30、及びセパレータ20がこの順で積層された電極積層体を長手方向に巻回し、矢印B方向に圧縮したものである。もちろん、各構成要素の積層順序はこの限りではない。また、本実施形態は、巻回型二次電池以外の非水電解質二次電池に適用してもよいことはもちろんである。
(3−1.正極)
正極10は、帯状となっており、正極集電体11と、正極活物質層12とを備える。正極集電体11は、特に限定されないが、例えばアルミニウム(Al)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel plated)鋼等で構成される。正極集電体11は、電気化学安定性の観点からは、アルミニウム(Al)、ステンレス(stainless)鋼で構成されることが好ましい。正極集電体11には、正極端子が接続される。
正極活物質層12は、上述したように、本実施形態に係る正極合剤スラリーを用いて作製されたものである。したがって、正極活物質層12は、正極活物質と、第1のバインダと、繊維状炭素材料と、第2のバインダとを含む。第1のバインダは、正極活物質の表面を覆っているが、第1のバインダの一部は正極活物質から離脱している場合もある。ただし、b/aは変わらず5.0以下となる。bは、正極活物質及び第1のバインダの総質量に対する第1のバインダの質量%となる。
正極活物質層12の厚さは特に制限されず、少なくとも従来の非水電解質二次電池と同程度の厚さとすることが可能である。さらに、本実施形態では、正極活物質層12を厚膜化しても、マイグレーションの発生を抑制し、かつ、正極活物質を正極活物質層内により均一に分布させることができる。したがって、従来よりも正極活物質層12の厚膜化が可能である。
セパレータ20、負極30、電解液、及び外装材については、一般的な非水電解質二次電池で使用可能なものを任意に使用することができる。これらについて、概略的に説明すると以下の通りである。
(3−2.セパレータ)
セパレータ20は、特に制限されず、一般的な非水電解質二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。また、セパレータは、Al、Mg(OH)、SiO等の無機物によってコーティングされていてもよい。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(polyester)系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(perfluorovinylether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を使用することができる。セパレータの気孔率も特に制限されず、非水電解質二次電池のセパレータが有する気孔率が任意に適用可能である。
(3−3.負極)
負極30は、帯状となっており、負極集電体31と、負極活物質層32とを含む。負極集電体31は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等で構成される。ここで、負極活物質層32は、非水電解質二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、負極用バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、およびLiTi12等の酸化チタン(TiO)系化合物等を使用することができる。なお、ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。また、負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等を使用することができる。
負極用バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(ethylene−propylene−diene terpolymer)、スチレンブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluoroelastomer)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(nitro
cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl
cellulose)のナトリウム塩等である。なお、負極用バインダは、負極活物質および導電助剤を負極集電体31上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。また、負極用バインダの含有量は、特に制限されず、非水電解質二次電池の負極活物質層に適用される含有量であればいずれであってもよい。
(3−4.電解液)
電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定されることなく使用することができる。ここで、電解液は、非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(buthylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate)等の鎖状カーボネート(carbonate)類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(methyl butyrate)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)またはその誘導体;1,3−ジオキサン(1,3−dioxane)、1,4−ジオキサン(1,4−dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(1,4−dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyldiglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(dioxolane)またはその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等を単独で、またはそれら2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
また、電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n−CNClO、(n−CNI、(CN−maleate、(CN−benzoate、(CN−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(lithium stearyl sulfate)、オクチルスルホン酸リチウム(lithium octyl sulfate)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(lithium dodecylbenzene sulphonate)等の有機イオン塩等を使用することができる。なお、これらのイオン性化合物は、単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。また、電解質塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本発明では、適当なリチウム化合物(電解質塩)を0.5〜2.0mol/L程度の濃度で含有させた電解液を使用することができる。外装材40は、例えばアルミラミネートであるが、金属製の外装材であってもよい。
<4.非水電解質非水電解質二次電池の製造方法>
次に、非水電解質非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
(4−1.正極の製造方法)
正極10の製造方法は上述した通りである。
(4−2.負極の製造方法)
負極30は、例えば、以下の方法により作製される。すなわち、負極活物質層の材料を溶剤(例えば水)に分散させることで負極合剤スラリーを形成し、この負極合剤スラリーを集電体上に塗工する。これにより、塗工層を形成する。ついで、塗工層を乾燥する。ついで、乾燥した塗工層を負極集電体31とともに圧延する。これにより、負極30が作製される。
(4−3.巻回素子及び電池の製造方法)
ついで、正極10、セパレータ20、負極30、及びセパレータ20をこの順で積層することで電極積層体を作製する。ついで、電極積層体を巻回する。これにより、巻回素子1aを作製する。ついで、巻回素子1aを例えば矢印B方向に押しつぶすことで扁平状の巻回素子1aを作製する。ついで、扁平状の巻回素子1aを非水電解液とともに外装体(例えばラミネートフィルム)40に挿入し、外装体を封止することで、非水電解質二次電池1を作製する。なお、外装体を封止する際には、各集電体に導通する端子を外装体の外部に突出させる。
<1.実施例1>
つぎに、本発明の実施例を説明する。実施例1では、以下の工程により実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
(1−1.複合化正極活物質の作製)
第1のバインダの水分散体として、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の水分散体を準備した。また、正極活物質として比表面積が0.22(m/g)であるコバルト酸リチウムを準備した。コバルト酸リチウムの比表面積は、高速比表面積・細孔分布測定装置(Quantachrome製NOVA)によって測定した。そして、転動流動コーティング装置(Powrex製MP−mini)を用いてコバルト酸リチウムに固形分3.3質量%の水分散体を噴霧し、その後乾燥することで、複合化正極活物質を作製した。ついで、複合化正極活物質の質量から複合化前のコバルト酸リチウムの質量を減算することで、コバルト酸リチウムに複合化したテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量を算出した。そして、この質量に基づいて、複合化正極活物質の総質量に対するテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量%を算出した。この結果、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量%は0.2質量%であった。したがって、b/aは0.91となった。
ついで、繊維状炭素材料として、平均繊維径が10nm、分散処理後の平均繊維長が5μm、平均アスペクト比が500であるカーボンナノチューブ分散液を準備した。また、他の導電助剤として、DBP吸油量210(ml/100g)、比表面積180m/gのカーボンブラックを準備した。また、第2のバインダとして、変性ポリフッ化ビニリデンを準備した。ここで、変性ポリフッ化ビニリデンの質量平均分子量は100万であり、カルボキシル基変性量が1.0mol%以下であった。
ついで、複合化正極活物質、繊維状炭素材料分散液、及び第2のバインダをNMPに投入することで、正極合剤スラリーを作製した。ここで、正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対する繊維状炭素材料の質量%は0.1質量%、他の導電助剤の質量%は0.6質量%、第2のバインダの質量%は0.4質量%とした。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。なお、下線が付された数値は、実施形態で示した数値範囲外の値であることを示す。また、「−」の表記は、その表記がされた材料を使用していないことを示す。
ここで、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体のNMPに対する溶解度を以下の工程で確認した。すなわち、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体をNMP中に5質量%(NMPの質量に対する質量%)投入し、常温環境下、24時間ミックスローターで攪拌した。ついで、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体を溶媒から分離し、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量減少量を測定した。そして、測定値に基づいて、溶解度を測定した。この結果、溶解度は0質量%であった。
ついで、この正極合剤スラリーを厚さ12μmのアルミ箔集電体の両面に塗工し、乾燥炉の熱風温度80度、風量2m/秒の乾燥条件で100秒間急速乾燥することで、塗工層を作製した。その後、塗工層の固形分の密度が4.1g/ccとなるように圧延した。ついで、圧延後の塗工層を真空乾燥することで、正極を作製した。ついで、アルミリード線を正極端部に溶接した。
(1−2.負極の作製)
黒鉛、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を固形分の質量比98:1:1で水溶媒中に溶解分散させることで、負極合剤スラリーを作製した。ついで、この負極合剤スラリーを厚さ6μmの銅箔集電体(負極集電体31)の両面に塗工後、乾燥した。乾燥後の塗工層を圧延し、真空乾燥することで負極を作製した。その後、ニッケルリード線を負極の端部に溶接した。
(1−3.巻回素子の作製)
正極、セパレータ(旭化成イーマテリアルズ社製ND314)、負極、セパレータをこの順に積層し、直径3cmの巻き芯を用いて、この積層体を長手方向に巻きつけた。端部をテープにて固定した後、巻き芯を取り除き、厚さ3cmの2枚の金属プレートの間に円筒状電極巻回素子を挟み、3秒間保持することで、扁平状の巻回素子を得た。
(1−4.非水電解質二次電池の作製)
上記電極巻回素子をポリプロピレン/アルミ/ナイロンの3層からなるラミネートフィルムに、2本のリード線が外に出るように電解液とともに減圧封止することで、電池を作製した。電解液には、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネートを3対7(体積比)で混合した溶媒に、10体積%のFEC(フルオロエチレンカーボネート)及び1.3MのLiPFを溶解させたものを使用した。この電池を90℃に加熱した厚さ3cmの2枚の金属プレートの間に挟み、5分間保持した。以上の工程により、非水電解質二次電池を作製した。
(1−5.正極合剤スラリーの安定性評価)
正極を作製する前に、正極合剤スラリーの安定性を以下のように評価した。すなわち、正極合剤スラリーを、1日静置した。その後、正極合剤スラリーを観察し、複合化正極活物質の沈降の有無を確認した。複合化正極活物質が沈降し、正極合剤スラリーが複合化正極活物質と他の材料とに分離している場合には、安定性を「×」と評価した。なお、安定性が「×」となる場合、繊維状炭素材料及び第2のバインダのうち、少なくとも一方の粘度安定化作用が弱かったと推定される。また、このような分離が確認できない場合(すなわち、複合化正極活物質が沈降していない場合)には、安定性を「○」と評価した。実施例1では、安定性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。なお、表2中の「−」は、評価を行っていないことを示す。
(1−6.塗工層の密着性評価)
塗工層を圧延する前に、塗工層の密着性を以下のように評価した。すなわち、塗工層の180℃剥離試験を行った。試験装置は万能試験機(島津製作所製AGS−X)を用いた。そして、剥離強度が5mN/mm以上であれば密着性を「○」と評価し、5mN/mm未満であれば密着性を「×」と評価した。密着性の評価が「×」となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生していると推定される。実施例1では、密着性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。
(1−7.正極の可撓性評価)
巻回素子を作製する前に、正極の可撓性を以下のように評価した。すなわち、作製した正極を180°折り曲げることで、正極の可撓性(すなわち、柔軟性)を評価した。正極の可撓性が低いと、180°折り曲げ後に正極集電体が破断してしまう。正極集電体が破断した場合、非水電解質二次電池の特性が著しく低下する。そこで、本試験では、180°折り曲げ後に正極集電体の破断(ピンホールを含む)の有無を目視で確認した。そして、破断が確認できなかった場合には可撓性を「○」と評価し、破断が確認できた場合には可撓性を「×」と評価した。実施例1では、可撓性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。
(1−8.活性化処理)
非水電解質二次電池の特性を評価する前に、以下の活性化処理を行った。すなわち、非水電解質二次電池を室温環境下、電池電圧4.40V、電流0.2C、終止電流0.05Cで定電流定電圧充電した。ついで、非水電解質二次電池を、電池電圧が2.75Vとなるまで0.2Cで定電流放電した。これにより、非水電解質二次電池を十分に活性化させた。その後、各非水電解質二次電池を以下の各評価に供した。
(1−9.高率放電特性の評価)
非水電解質二次電池の高率放電特性を以下のように評価した。すなわち、非水電解質二次電池を室温環境下、電池電圧4.40V、電流0.5C、終止電流0.05Cで定電流定電圧充電した。ついで、非水電解質二次電池を電池電圧が3.0Vとなるまで1.5Cで定電流放電した。この結果得られた放電容量を測定した。さらに、測定された放電容量と、同様の方法で測定した比較例1の放電容量とに基づいて、相対容量比(%)を算出した。相対容量比は、比較例1の放電容量を100とした時の放電容量を意味する。そして、相対容量比が115以上の場合は高率放電特性が良好なレベルであると評価した。なお、相対容量比が115未満となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生していると推定される。評価結果を表2にまとめて示す。
(1−10.容量維持率の評価)
以下の充放電サイクルを室温環境下で200サイクル行い、1サイクル目の放電容量に対する200目の放電容量を容量維持率として算出した。
充電:電池電圧4.40V、電流0.7C、終止電流0.05C、定電流定電圧充電
放電:電流1C、終止電圧3.0V、定電流放電
容量維持率が80%以上の場合は容量維持率が良好なレベルであると評価した。なお、容量維持率が80%未満となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生しているか、第1のバインダが過剰であると推定される。評価結果を表2にまとめて示す。
<2.実施例2>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<3.実施例3>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<4.実施例4>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<5.実施例5>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<6.実施例6>
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は40nm、平均繊維長は20μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<7.実施例7>
繊維状炭素材料の種類及び質量%を変更した他は、実施例6と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は10nm、平均繊維長は100μm、平均アスペクト比は10000であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<8.実施例8>
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は2nm、平均繊維長は1μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<9.実施例9>
正極活物質の種類、第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。なお、正極活物質の比表面積は0.6(m/g)であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<10.実施例10>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例9と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<11.実施例11>
第1のバインダの種類、第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。なお、実施例11では、第1のバインダとしてフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))を使用した。フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体は、テトラフルオロエチレン成分を50mol%の割合で含む。このバインダの溶解度は0質量%であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<12.比較例1>
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、繊維状炭素材料を使用しなかったこと、他の導電助剤及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<13.比較例2>
第2のバインダの質量%を変更した他は、比較例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<14.比較例3>
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<15.比較例4>
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は50nm、平均繊維長は25μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<16.比較例5>
第2のバインダの質量%を変更した他は、比較例4と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<17.比較例6>
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、第2のバインダの種類及び質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。ここで、比較例6では、第2のバインダとして、実施例1で使用した変性ポリフッ化ビニリデンと水素化アクリロニトリルブタジエンゴムとの混合物を使用した。混合比は質量比で2:1とした。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<18.比較例7>
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は10nm、平均繊維長は3μm、平均アスペクト比は300であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<19.比較例8>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
Figure 0006931974
Figure 0006931974
<21.考察>
実施例1〜11は、いずれの評価も良好であった。なお、実施例5、6、9の非水電解質二次電池の特性は、他の実施例1〜4、7、8、10、11より若干低下した。実施例5に関しては、b/aが4.1より大きかったためであると推定される。実施例6に関しては、平均繊維径が好ましい範囲2〜10nmから外れたからであると推定される。実施例9に関しては、第2のバインダの質量%が好ましい範囲0.2〜0.4質量%から外れたからであると推定される。一方、他の実施例1〜4、7、8、10、11は、本実施形態の要件を満たすのみならず、b/aは好ましい範囲0.9〜4.1であり、平均繊維径も好ましい範囲2〜10nmであり、第2のバインダの質量%も好ましい範囲0.2〜0.4質量%であった。したがって、この点でも他の実施例1〜4、7、8、10、11の特性が良好であったと推定される。
一方、比較例1、2では、正極活物質を第1のバインダで複合化しなかった。さらに、繊維状炭素材料を使用しなかった。このため、正極合剤スラリーを安定化させるために、他の導電助剤及び第2のバインダを多く使用する必要があった。したがって、比較例1では、正極合剤スラリーの安定性は「○」となったが、密着性及び可撓性の評価はいずれも「×」となった。なお、比較例1では、可撓性の評価が「×」となったが、高率放電特性の評価の基準値を取得するため、アルミ箔集電体の厚さを15μmとして、二次電池を作製した。つまり、アルミ箔集電体を切れないように厚くした。比較例2でも、正極合剤スラリーの安定性は「○」となったが、密着性の評価は「×」となった。他の評価も比較例1と同様の結果になると推定されることから、可撓性の評価及び非水電解質二次電池の評価は行わなかった。
比較例3では、繊維状炭素材料を使用したが、正極活物質を第1のバインダで複合化しなかった。このため、正極合剤スラリーを安定化させるために多くの第2のバインダを使用する必要があった。したがって、比較例3では、正極合剤スラリーの安定性は「○」となったが、密着性及び可撓性の評価はいずれも「×」となった。これらの結果により、非水電解質二次電池の評価も期待できなかったことから、非水電解質二次電池の評価は行わなかった。
比較例4では、繊維状炭素材料のサイズが本実施形態の条件を満たさなかったため、正極合剤スラリーが安定しなかった。このため、他の評価を行わなかった。比較例5では、比較例4と同様の繊維状炭素材料を使用したが、正極合剤スラリーを安定させるために、第2のバインダの使用量を増加させた。この結果、正極合剤スラリーが安定し、密着性も「○」となった。しかし、可撓性の評価が「×」となった。このことから、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生したと推定される。比較例5では、可撓性の評価が悪かったので、非水電解質二次電池の評価も期待できなかった。このため、非水電解質二次電池の評価は行わなかった。
比較例6では、繊維状炭素材料を使用したが、正極活物質を第1のバインダで複合化しなかった。このため、正極合剤スラリーを安定化させるために多くの第2のバインダを使用する必要があった。ただし、比較例6では、第2のバインダとしてより柔らかいバインダを使用した。このため、可撓性の評価は「○」となったが、密着性が「×」となった。比較例6では、非水電解質二次電池の評価を行ったが、十分な特性は得られなかった。比較例7では、繊維状炭素材料のサイズが本実施形態の条件を満たさなかったため、正極合剤スラリーが安定しなかった。このため、他の評価を行わなかった。比較例8では、b/aが5.0を超えた。したがって、比較例8では、正極活物質に対する第1のバインダの質量が多すぎるので、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率がかえって低下した。したがって、本実施形態の特徴構成を満たす実施例1〜11では、良好な結果が得られたが、本実施形態の特徴構成のいずれか1種以上を満たさない比較例1〜8では、良好な結果が得られなかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 非水電解質二次電池
1a 巻回素子
10 正極
11 正極集電体
12 正極活物質層
20 セパレータ
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層

Claims (7)

  1. 溶媒と、
    正極活物質と、前記正極活物質の表面を覆い、前記溶媒に不溶な第1のバインダとを含む複合化正極活物質と、
    平均繊維径が40nm以下、平均アスペクト比が500以上である繊維状炭素材料と、
    前記溶媒に可溶な第2のバインダと、を含み、
    前記複合化正極活物質の総質量に対する前記第1のバインダの質量%は0.2〜1.5質量%であり、
    全固形分の総質量に対する前記繊維状炭素材料の質量%は0.01〜0.5質量%であり、
    全固形分の総質量に対する前記第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%であり、
    前記正極活物質の比表面積をa(m/g)、前記複合化正極活物質の総質量に対する前記第1のバインダの質量%をb(質量%)とした場合、b/aは5.0以下となることを特徴とする、正極合剤スラリー。
  2. 前記第1のバインダは、テトラフルオロエチレン(TFE)を含む共重合体であることを特徴とする、請求項1記載の正極合剤スラリー。
  3. 前記第1のバインダは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(P(TFE/P))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%以上の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))からなる群から選択されるいずれか一種以上で構成されることを特徴とする、請求項2記載の正極合剤スラリー。
  4. 前記第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性ポリフッ化ビニリデン、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/HFP/TFE))、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体(水素化NBR)、アクリレート−フッ化ビニリデン共重合体(P(Acrylate/VdF))、アクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(Acrylate/VdF/HFP))、アクリレート−フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(Acrylate/VdF/TFE))、及びアクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(P(Acrylate/VdF/HFP/TFE))共重合体からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。
  5. 前記第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE)からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項4記載の正極合剤スラリー。
  6. 前記正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする、請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。
  7. 前記溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。
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