JP6931974B2 - 正極合剤スラリー、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
まず、本実施形態に係る正極合剤スラリーの構成について説明する。正極合剤スラリーは、非水電解質二次電池の正極活物質層を作製するために使用される。正極合剤スラリーは、溶媒と、複合化正極活物質と、繊維状炭素材料と、第2のバインダとを含む。
溶媒は、従来の正極合剤スラリーに使用される溶媒であればよく、例えばN−メチルピロリドンである。
複合化正極活物質は、正極活物質と、正極活物質の表面を覆う第1のバインダとを含む。正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な物質であれば特に限定されず、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、酸化バナジウム等が挙げられる。リチウム含有遷移金属酸化物の例としては、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、「NCA」と称する場合もある。)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、「NCM」と称する場合もある。)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
繊維状炭素材料は、正極活物質層内で導電助剤として機能する。したがって、繊維状炭素材料は、導電性を有する。さらに、繊維状炭素材料は、正極合剤スラリーの粘度安定化剤としても機能する。すなわち、繊維状炭素材料は、塗工層の粘度をある程度高めることで、塗工層内で複合化正極活物質を沈降しにくくすることができる。言い換えれば、繊維状炭素材料は、塗工層中により均一に複合化正極活物質を分布させることができる。ここで、繊維状炭素材料の平均繊維径は40nm以下、平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は500以上である。繊維状炭素材料のサイズがこれらの条件を満たす場合に、繊維状炭素材料は上述した機能を十分に発揮することができる。なお、繊維状炭素材料の繊維径、繊維長、アスペクト比は、繊維状炭素をSEMなどで観察することで測定可能である。これらの平均値は、例えば複数個の繊維状炭素の繊維径、繊維長、アスペクト比の算術平均値である。なお、平均繊維径は1.4nm以上であることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。なお、平均繊維径は、上記範囲内でなるべく小さいことが好ましい。平均アスペクト比は100000以下であることが好ましい。繊維状炭素材料は、具体的には、例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等である。また、平均繊維長は特に制限されないが、1μm以上であることが好ましい。
第2のバインダは、溶媒に可溶なバインダである。第2のバインダは、正極活物質層を正極集電体に結着させる。さらに、第2のバインダは、繊維状炭素材料と同様に、正極合剤スラリーの粘度安定化剤としても機能する。正極合剤スラリーの全固形分の総質量に対する第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%である。第2のバインダの質量%が0.1質量%未満となる場合、第2のバインダは、正極活物質層を正極集電体に十分に結着させることができない。さらに、第2のバインダは、粘度安定化剤としても十分に機能しない。一方、第2のバインダの質量%が0.5質量%を超える場合、第2のバインダのマイグレーションによる影響が大きくなる。すなわち、第2のバインダのマイグレーションによって、正極活物質層の柔軟性が低下する可能性がある。さらに、正極集電体と正極活物質層との密着性が低下する可能性もある。さらに、非水電解質二次電池の高率放電特性及び容量維持率が低下する可能性がある。
次に、正極合剤スラリーを用いた正極活物質層の製造方法について説明する。正極活物質層の製造方法自体は特に制限されないが、例えば以下の方法であってもよい。まず、上述した組成の正極合剤スラリーを作製する。ついで、正極合剤スラリーを正極集電体上に塗工する。これにより、塗工層が形成される。ついで、塗工層を急速乾燥する。急速乾燥は、例えば熱風炉を用いて行う。急速乾燥の時間は特に制限されないが、例えば90〜120秒であってもよい。乾燥炉の熱風温度は70〜130度、風量は0.5〜5m/秒であってもよい。但し、マイグレーションを極力抑制する観点からは、溶剤の蒸発速度を極力遅くすることが好ましい。このため、熱風温度及び風量は、上記急速乾燥時間内に溶剤を99体積%以上蒸発可能な範囲内で、できる限り低くすることが望ましい。ついで、急速乾燥後の塗工層を圧延し、真空乾燥する。これにより、正極活物質層が正極集電体上に形成される。
つぎに、上述した正極活物質層を用いた非水電解質二次電池の構成例を図1に基づいて説明する。図1は、巻回素子1aの平断面図と、巻回素子1aの領域Aを拡大した拡大図とを示す。非水電解質二次電池1は、巻回素子1aと、非水電解質溶液と、外装材40とを備える。したがって、非水電解質二次電池1はいわゆる巻回型二次電池となっている。巻回素子1aは、正極10、セパレータ(separator)20、負極30、及びセパレータ20がこの順で積層された電極積層体を長手方向に巻回し、矢印B方向に圧縮したものである。もちろん、各構成要素の積層順序はこの限りではない。また、本実施形態は、巻回型二次電池以外の非水電解質二次電池に適用してもよいことはもちろんである。
正極10は、帯状となっており、正極集電体11と、正極活物質層12とを備える。正極集電体11は、特に限定されないが、例えばアルミニウム(Al)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel plated)鋼等で構成される。正極集電体11は、電気化学安定性の観点からは、アルミニウム(Al)、ステンレス(stainless)鋼で構成されることが好ましい。正極集電体11には、正極端子が接続される。
セパレータ20は、特に制限されず、一般的な非水電解質二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。また、セパレータは、Al2O3、Mg(OH)2、SiO2等の無機物によってコーティングされていてもよい。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(polyester)系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(perfluorovinylether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を使用することができる。セパレータの気孔率も特に制限されず、非水電解質二次電池のセパレータが有する気孔率が任意に適用可能である。
負極30は、帯状となっており、負極集電体31と、負極活物質層32とを含む。負極集電体31は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等で構成される。ここで、負極活物質層32は、非水電解質二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、負極用バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、およびLi4Ti5O12等の酸化チタン(TiOx)系化合物等を使用することができる。なお、ケイ素の酸化物は、SiOx(0≦x≦2)で表される。また、負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等を使用することができる。
cellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl
cellulose)のナトリウム塩等である。なお、負極用バインダは、負極活物質および導電助剤を負極集電体31上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。また、負極用バインダの含有量は、特に制限されず、非水電解質二次電池の負極活物質層に適用される含有量であればいずれであってもよい。
電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定されることなく使用することができる。ここで、電解液は、非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(buthylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate)等の鎖状カーボネート(carbonate)類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(methyl butyrate)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)またはその誘導体;1,3−ジオキサン(1,3−dioxane)、1,4−ジオキサン(1,4−dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(1,4−dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyldiglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(dioxolane)またはその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等を単独で、またはそれら2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
次に、非水電解質非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
(4−1.正極の製造方法)
正極10の製造方法は上述した通りである。
負極30は、例えば、以下の方法により作製される。すなわち、負極活物質層の材料を溶剤(例えば水)に分散させることで負極合剤スラリーを形成し、この負極合剤スラリーを集電体上に塗工する。これにより、塗工層を形成する。ついで、塗工層を乾燥する。ついで、乾燥した塗工層を負極集電体31とともに圧延する。これにより、負極30が作製される。
ついで、正極10、セパレータ20、負極30、及びセパレータ20をこの順で積層することで電極積層体を作製する。ついで、電極積層体を巻回する。これにより、巻回素子1aを作製する。ついで、巻回素子1aを例えば矢印B方向に押しつぶすことで扁平状の巻回素子1aを作製する。ついで、扁平状の巻回素子1aを非水電解液とともに外装体(例えばラミネートフィルム)40に挿入し、外装体を封止することで、非水電解質二次電池1を作製する。なお、外装体を封止する際には、各集電体に導通する端子を外装体の外部に突出させる。
つぎに、本発明の実施例を説明する。実施例1では、以下の工程により実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
第1のバインダの水分散体として、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の水分散体を準備した。また、正極活物質として比表面積が0.22(m2/g)であるコバルト酸リチウムを準備した。コバルト酸リチウムの比表面積は、高速比表面積・細孔分布測定装置(Quantachrome製NOVA)によって測定した。そして、転動流動コーティング装置(Powrex製MP−mini)を用いてコバルト酸リチウムに固形分3.3質量%の水分散体を噴霧し、その後乾燥することで、複合化正極活物質を作製した。ついで、複合化正極活物質の質量から複合化前のコバルト酸リチウムの質量を減算することで、コバルト酸リチウムに複合化したテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量を算出した。そして、この質量に基づいて、複合化正極活物質の総質量に対するテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量%を算出した。この結果、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の質量%は0.2質量%であった。したがって、b/aは0.91となった。
黒鉛、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を固形分の質量比98:1:1で水溶媒中に溶解分散させることで、負極合剤スラリーを作製した。ついで、この負極合剤スラリーを厚さ6μmの銅箔集電体(負極集電体31)の両面に塗工後、乾燥した。乾燥後の塗工層を圧延し、真空乾燥することで負極を作製した。その後、ニッケルリード線を負極の端部に溶接した。
正極、セパレータ(旭化成イーマテリアルズ社製ND314)、負極、セパレータをこの順に積層し、直径3cmの巻き芯を用いて、この積層体を長手方向に巻きつけた。端部をテープにて固定した後、巻き芯を取り除き、厚さ3cmの2枚の金属プレートの間に円筒状電極巻回素子を挟み、3秒間保持することで、扁平状の巻回素子を得た。
上記電極巻回素子をポリプロピレン/アルミ/ナイロンの3層からなるラミネートフィルムに、2本のリード線が外に出るように電解液とともに減圧封止することで、電池を作製した。電解液には、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネートを3対7(体積比)で混合した溶媒に、10体積%のFEC(フルオロエチレンカーボネート)及び1.3MのLiPF6を溶解させたものを使用した。この電池を90℃に加熱した厚さ3cmの2枚の金属プレートの間に挟み、5分間保持した。以上の工程により、非水電解質二次電池を作製した。
正極を作製する前に、正極合剤スラリーの安定性を以下のように評価した。すなわち、正極合剤スラリーを、1日静置した。その後、正極合剤スラリーを観察し、複合化正極活物質の沈降の有無を確認した。複合化正極活物質が沈降し、正極合剤スラリーが複合化正極活物質と他の材料とに分離している場合には、安定性を「×」と評価した。なお、安定性が「×」となる場合、繊維状炭素材料及び第2のバインダのうち、少なくとも一方の粘度安定化作用が弱かったと推定される。また、このような分離が確認できない場合(すなわち、複合化正極活物質が沈降していない場合)には、安定性を「○」と評価した。実施例1では、安定性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。なお、表2中の「−」は、評価を行っていないことを示す。
塗工層を圧延する前に、塗工層の密着性を以下のように評価した。すなわち、塗工層の180℃剥離試験を行った。試験装置は万能試験機(島津製作所製AGS−X)を用いた。そして、剥離強度が5mN/mm以上であれば密着性を「○」と評価し、5mN/mm未満であれば密着性を「×」と評価した。密着性の評価が「×」となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生していると推定される。実施例1では、密着性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。
巻回素子を作製する前に、正極の可撓性を以下のように評価した。すなわち、作製した正極を180°折り曲げることで、正極の可撓性(すなわち、柔軟性)を評価した。正極の可撓性が低いと、180°折り曲げ後に正極集電体が破断してしまう。正極集電体が破断した場合、非水電解質二次電池の特性が著しく低下する。そこで、本試験では、180°折り曲げ後に正極集電体の破断(ピンホールを含む)の有無を目視で確認した。そして、破断が確認できなかった場合には可撓性を「○」と評価し、破断が確認できた場合には可撓性を「×」と評価した。実施例1では、可撓性の評価は「○」となった。評価結果を表2にまとめて示す。
非水電解質二次電池の特性を評価する前に、以下の活性化処理を行った。すなわち、非水電解質二次電池を室温環境下、電池電圧4.40V、電流0.2C、終止電流0.05Cで定電流定電圧充電した。ついで、非水電解質二次電池を、電池電圧が2.75Vとなるまで0.2Cで定電流放電した。これにより、非水電解質二次電池を十分に活性化させた。その後、各非水電解質二次電池を以下の各評価に供した。
非水電解質二次電池の高率放電特性を以下のように評価した。すなわち、非水電解質二次電池を室温環境下、電池電圧4.40V、電流0.5C、終止電流0.05Cで定電流定電圧充電した。ついで、非水電解質二次電池を電池電圧が3.0Vとなるまで1.5Cで定電流放電した。この結果得られた放電容量を測定した。さらに、測定された放電容量と、同様の方法で測定した比較例1の放電容量とに基づいて、相対容量比(%)を算出した。相対容量比は、比較例1の放電容量を100とした時の放電容量を意味する。そして、相対容量比が115以上の場合は高率放電特性が良好なレベルであると評価した。なお、相対容量比が115未満となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生していると推定される。評価結果を表2にまとめて示す。
以下の充放電サイクルを室温環境下で200サイクル行い、1サイクル目の放電容量に対する200目の放電容量を容量維持率として算出した。
充電:電池電圧4.40V、電流0.7C、終止電流0.05C、定電流定電圧充電
放電:電流1C、終止電圧3.0V、定電流放電
容量維持率が80%以上の場合は容量維持率が良好なレベルであると評価した。なお、容量維持率が80%未満となる場合、第2のバインダのマイグレーションが顕著に発生しているか、第1のバインダが過剰であると推定される。評価結果を表2にまとめて示す。
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は40nm、平均繊維長は20μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
繊維状炭素材料の種類及び質量%を変更した他は、実施例6と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は10nm、平均繊維長は100μm、平均アスペクト比は10000であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は2nm、平均繊維長は1μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
正極活物質の種類、第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。なお、正極活物質の比表面積は0.6(m2/g)であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例9と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの種類、第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。なお、実施例11では、第1のバインダとしてフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))を使用した。フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体は、テトラフルオロエチレン成分を50mol%の割合で含む。このバインダの溶解度は0質量%であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、繊維状炭素材料を使用しなかったこと、他の導電助剤及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第2のバインダの質量%を変更した他は、比較例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、繊維状炭素材料の質量%、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は50nm、平均繊維長は25μm、平均アスペクト比は500であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第2のバインダの質量%を変更した他は、比較例4と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
正極活物質を第1のバインダで複合化しなかったこと、第2のバインダの種類及び質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。ここで、比較例6では、第2のバインダとして、実施例1で使用した変性ポリフッ化ビニリデンと水素化アクリロニトリルブタジエンゴムとの混合物を使用した。混合比は質量比で2:1とした。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
第1のバインダの質量%、b/a、繊維状炭素材料の種類、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。繊維状炭素材料の平均繊維径は10nm、平均繊維長は3μm、平均アスペクト比は300であった。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
<19.比較例8>
第1のバインダの質量%、b/a、及び第2のバインダの質量%を変更した他は、実施例1と同様の処理を行った。正極合剤スラリーの組成を表1に示す。評価結果を表2に示す。
実施例1〜11は、いずれの評価も良好であった。なお、実施例5、6、9の非水電解質二次電池の特性は、他の実施例1〜4、7、8、10、11より若干低下した。実施例5に関しては、b/aが4.1より大きかったためであると推定される。実施例6に関しては、平均繊維径が好ましい範囲2〜10nmから外れたからであると推定される。実施例9に関しては、第2のバインダの質量%が好ましい範囲0.2〜0.4質量%から外れたからであると推定される。一方、他の実施例1〜4、7、8、10、11は、本実施形態の要件を満たすのみならず、b/aは好ましい範囲0.9〜4.1であり、平均繊維径も好ましい範囲2〜10nmであり、第2のバインダの質量%も好ましい範囲0.2〜0.4質量%であった。したがって、この点でも他の実施例1〜4、7、8、10、11の特性が良好であったと推定される。
1a 巻回素子
10 正極
11 正極集電体
12 正極活物質層
20 セパレータ
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
Claims (7)
- 溶媒と、
正極活物質と、前記正極活物質の表面を覆い、前記溶媒に不溶な第1のバインダとを含む複合化正極活物質と、
平均繊維径が40nm以下、平均アスペクト比が500以上である繊維状炭素材料と、
前記溶媒に可溶な第2のバインダと、を含み、
前記複合化正極活物質の総質量に対する前記第1のバインダの質量%は0.2〜1.5質量%であり、
全固形分の総質量に対する前記繊維状炭素材料の質量%は0.01〜0.5質量%であり、
全固形分の総質量に対する前記第2のバインダの質量%は0.1〜0.5質量%であり、
前記正極活物質の比表面積をa(m2/g)、前記複合化正極活物質の総質量に対する前記第1のバインダの質量%をb(質量%)とした場合、b/aは5.0以下となることを特徴とする、正極合剤スラリー。 - 前記第1のバインダは、テトラフルオロエチレン(TFE)を含む共重合体であることを特徴とする、請求項1記載の正極合剤スラリー。
- 前記第1のバインダは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(P(TFE/P))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%以上の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))からなる群から選択されるいずれか一種以上で構成されることを特徴とする、請求項2記載の正極合剤スラリー。
- 前記第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性ポリフッ化ビニリデン、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含むフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、テトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE))、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/HFP/TFE))、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体(水素化NBR)、アクリレート−フッ化ビニリデン共重合体(P(Acrylate/VdF))、アクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(Acrylate/VdF/HFP))、アクリレート−フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(Acrylate/VdF/TFE))、及びアクリレート−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(P(Acrylate/VdF/HFP/TFE))共重合体からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。
- 前記第2のバインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、変性フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF/HFP))、及びテトラフルオロエチレン成分を50mol%未満の割合で含む変性フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(P(VdF/TFE)からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項4記載の正極合剤スラリー。
- 前記正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする、請求項1〜
5のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。 - 前記溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の正極合剤スラリー。
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