JP6665483B2 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いことから、電気自動車などの移動体用大型電源として、あるいは電力貯蔵などの各種定置型大型電源としても用いられ始めている。
大型電源として用いる場合、多数のリチウムイオン二次電池を、場合により多直列で使用する。よって、よりエネルギー密度の高い電池として、あるいは電池の直列数を低減する目的で、従来のリチウムイオン二次電池より高電圧のリチウムイオン二次電池が求められている。
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とリチウムイオンを伝導する電解質とを有する。一般に、正極は、正極活物質の粉末と、導電剤と、を含む正極合剤を有する。合剤中の正極活物質及び導電剤は、バインダー樹脂により集電体と結着されている。
上述の高電圧のリチウムイオン二次電池は、正極に金属リチウム基準で4.5V以上の高電位を安定して発現する正極活物質を有する。
このような正極活物質として、一般式LiNiMn2−xで表される、Mnの一部をNiで置換したスピネル型マンガン酸リチウム(以下、「5Vスピネル」と称する。)が好ましい。5Vスピネルは、Niの価数変化により4.7V前後の高電位を安定して発現する。高電位の容量は、置換量xにおおよそ比例し、理論組成のLiNi0.5Mn1.5で、理論的には全ての容量が高電位となる。しかし、置換量xが増えると、調製の際に酸化ニッケルなどの異相が生成するおそれが高まる。
特許文献1には、リチウムイオンの挿入・脱離反応が4.5V(vs.Li/Li)以上4.9V(vs.Li/Li)以下で進行する安定性が高い正極活物質として、LiMn1−b(0<a≦2、0≦b≦0.5、1≦c≦2、MはAl、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Crなど)の組成を有するスピネルが開示されている。また、特許文献1には、導電助材としてカーボンナノチューブなどが例示されている。
特許文献2には、リチウムイオン二次電池用正極の導電剤として、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブを用いることが記載されている。また、特許文献2には、カーボンナノチューブの添加量の例が記載されている。
特許文献3には、リチウムイオン二次電池の正極材料用の導電助剤として、平均繊維径5〜25nm、平均繊維長100〜10000nm、平均比表面積100〜500m/gの範囲にあるカーボンナノファイバーが記載されている。また、特許文献3には、カーボンナノファイバーの添加量の例が記載されている。
特開2014−203658号公報 特開2015−053165号公報 特開2013−077475号公報
5Vスピネルを正極に用いたリチウムイオン二次電池の課題は、高温寿命、特に高温サイクル寿命である。高温環境で充放電を繰り返すことで、容量が著しく低下する。
一般的なリチウムイオン二次電池におけるサイクル劣化の原因は、充放電により活物質の体積変化が繰り返され、活物質の劣化や正極合剤の導電性の低下が考えられる。また、高電位正極特有の原因として、高電位の正極表面で電解液の酸化分解が進行し、劣化することがあげられる。さらに、5Vスピネル特有の課題として、5Vスピネルを構成する金属元素が溶出し、正極活物質が劣化することがある。
このように、高電位正極を用いたリチウムイオン二次電池の高温サイクル劣化は、複数の要因からなるため、その解決は容易ではない。
本発明の目的は、高温サイクル寿命に優れ、かつ、電位が高い正極を作製し、これを用いて高温サイクル寿命に優れたリチウムイオン二次電池を得ることにある。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、スピネル型結晶構造を有するニッケル置換マンガン酸リチウムである正極活物質と、導電剤と、を含む正極合剤を有し、正極活物質は、組成式LiNiMn(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3)であり、かつ、その比表面積が0.05m/g以上1.0m/g以下であり、導電剤は、カーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.0005質量%以上0.2質量%以下である。
本発明の正極を用いることにより、高温サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
正極活物質の容量測定に用いたラミネートセルを模式的に示す分解図である。 作製したラミネート型リチウムイオン二次電池を模式的に示す分解図である。 正極の微細構造を示す拡大模式断面図である。
本発明の正極の実施形態は、正極活物質である5VスピネルのNiの比率、置換する元素の種類と比率、活物質の比表面積、さらに導電剤としてCNTを有する、という4形態を、定められた範囲とするものである。
高温サイクル特性を優れたものとするためには、まず、充放電サイクルによっても正極合剤の集電性が低下せずに維持される必要がある。このための手段として、まず、導電剤としてCNTを含有する。さらに、活物質と導電剤との導電性を維持するため、活物質の比表面積を定められた範囲とする。さらに、本発明に用いる5Vスピネル特有の課題の一つとして、一般的なコバルト酸リチウムなどの層状岩塩型の活物質、あるいはNiの置換量が比較的少ないスピネル型マンガン酸リチウムに比べ、活物質自体の導電性が低いことがある。そこで、Niを定められた範囲とするとともに、特定の元素をNiもしくはMnと置換することにより、5Vスピネルの導電性を高める。
上記の、正極合剤の集電性の維持、活物質と導電剤との導電性の維持、さらに5Vスピネルの導電性の全ての作用により、高温サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池とすることができる。
以下、個々の形態について詳述する。
5Vスピネル(一般式LiNiMn)における4.5V以上の高電位容量は、おおよそNiの組成に比例し、理論組成のx=0.5で理論的には高電位容量が100%となる。本発明において、5Vスピネルが発現する4.5V以上の容量の値に限定は無いが、高電位の正極である以上、80%以上は4.5V以上の容量であることが好ましい。このためには0.4≦xが望ましい。一方、Niの組成が理論値のx=0.5に近づくと次の反作用がある。一つは、未反応のNiが異相として形成され、残存するおそれがある。第二は、Ni比率が増えるに従い、正極活物質の導電性が低下する。
よって、本発明では、後述する置換元素Mの効果を併せることでx≦0.48が望ましい。従って、Niの組成は0.4≦x≦0.48の範囲である。
置換元素Mは、Ge、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上で、5VスピネルのMnあるいはNiと置換するものである。元素Mは、次の2つの作用を併せ持つものである。一つは、高温環境で5Vスピネルからの金属元素の溶出を抑え、劣化を抑制するものである。もうひとつは、5Vスピネルの導電性を高めるものである。
適切な置換量zは、Mの種類やNiの比率によりやや異なるが、置換量が多すぎると、異相の形成や、高電位容量の低下などの性能低下のおそれがある。よって、Mの組成は、0<z≦0.2の範囲である。
Li組成におけるaは、理論組成a=1からのずれである。高温サイクル特性に対する影響は小さいと考えられるが、理論組成からの大きなずれは異相形成のおそれがある。従って、0.99≦a≦1.04の範囲が望ましい。
正極活物質である5Vスピネルは、立方晶スピネル構造であることが好ましいことから、Ni、Mn、元素MおよびLi組成におけるaの組成比率の和(a+x+y+z)と酸素との好ましい比率は3:4となる。
上述の5Vスピネルの作用を妨げない範囲であれば、例えば高温特性を向上させる目的で、M以外の置換元素、TiやFe、Alなどを有してもよい。
同様に、若干のフッ素を反応させた5Vスピネルとしてもよい。フッ素は、酸素より電気陰性度が高く、金属元素との結合力を強化し、溶出を抑制し、高温特性の向上を期待できる。この場合、組成式は、LiNiMn4−δδ(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3、δ≦0.01)と表される。
また、活物質の導電性を大きく妨げない範囲で、5Vスピネルに特定の元素を被覆してもよい。被覆は、金属元素の溶出と劣化の抑制や、活物質と電解液の直接の接触を抑制し、電解液の劣化抑制効果が期待できる。被覆材として金属酸化物や金属フッ化物などがあげられ、例えばアルミニウム酸化物やニオブ酸化物が好ましい。
本発明における正極活物質の比表面積は0.05m/g以上1.0m/g以下であり、望ましくは0.1m/g以上0.5m/g以下である。正極活物質の比表面積が大きすぎると、金属イオンの溶出が問題となる。一方、正極活物質の比表面積が小さすぎると、Liの移動の面で問題となる。上記の比表面積の範囲は、これらの相反する課題を解決するものである。
前述したように、5Vスピネルの比表面積を大きくし、充放電サイクルによる活物質と導電剤との接触性低下を抑えることにより、導電性を維持することができる。一方、5Vスピネル特有の課題である金属元素の溶出、及び高電位正極特有の課題である電解液の酸化分解に対しては、比表面積を小さくし、溶出面積や分解反応面積を抑えることが望ましい。つまり、比表面積を高めることは、サイクル性能の向上に比べ、高温劣化の影響が大となるおそれがある。
したがって、本発明では、前述の5VスピネルのNi組成と置換元素Mの効果、さらに後述のCNTの作用を併せることで、上述の比表面積の範囲とする。
次に、導電剤について詳述する。
正極合剤の導電剤の比率を極度に高めれば、合剤の集電構造の低下はある程度抑制されるが、容量その他の電池の基本性能の観点から、導電剤は少ない方が好ましい。
一般的に好ましい正極導電剤としてカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)がある。カーボンブラックは、炭素質であるため、導電性を有し、化学的にも安定である。構造は、数十ないし数百nmの炭素質粒子が房状となったストラクチャーと称する形態を一般的に有する。よって、活物質との接触性が良く、かつ、合剤の集電構造も形成できる。しかし、本発明の狙いとする5Vスピネル正極の高温サイクル向上に対し、カーボンブラックだけでは効果が十分とはいえない。
CNTは、グラファイトにおける炭素六角網面(グラフェン)を筒状に巻いた形状を有する炭素繊維の一種である。物性的には、サブミクロンオーダーからナノオーダーの径であり、0.5nmのものも知られている。さらに、CNTは、繊維長がミクロン以上のものがあり、アスペクト比が極めて高い。さらに、CNTは、導電性が高いという特徴がある。従って、少量の添加で活物質の体積変化をともなう充放電サイクルに対し、電子伝導性を維持する高い効果が得られる。
一方、CNTは容易に絡み合う性質を有するため、CNTの過剰な添加は凝集のおそれがある。特に、バインダーあるいはカーボンブラック(CB)などとともに凝集する懸念がある。凝集により、CNTの作用が発現せずに性能低下の可能性もある。さらに、凝集により、合剤スラリーの流動性が失われる点、あるいは合剤の圧縮が妨げられる点など、製造面での課題が生ずるおそれもある。
上述の作用から、CNTの添加量には望ましい上下限がある。好ましい範囲は、CNTの繊維径やアスペクト比により変化するが、本発明の正極に用いる5Vスピネルの作用を併せると、0.002質量%以上1質量%以下の範囲である。
より望ましいCNTの形態は、繊維径が0.5〜20nmで繊維長が1μm以上である。これにより、極少量で合剤の集電性や活物質と導電剤との導電性を高める効果が得られる。このようなCNTの形態であれば、その含有量は0.0005質量%以上0.2質量%以下、望ましくは0.002質量%以上0.2質量%以下である。
本発明に用いるCNTは単層でも多層でもよい。また、複数の繊維が繊維方向に束ねられたバンドルの形態であってもよい。なお、上述の繊維径は、バンドルの径であってもよい。
本発明の正極に用いる5Vスピネルは、一般的な無機化合物の合成と同様の方法で調製できる。
所望する元素の比率となるよう原料を秤量し、均質に混合し、熱処理することで得られる。粉砕・解砕あるいは造粒の工程を入れてもよい。熱処理の温度や時間、あるいは粉砕・解砕や造粒の条件などを適宜制御する事で所望の比表面積とすることができる。
原料となる化合物は、それぞれの元素の好適な酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩などを用いることができる。また、2つ以上の元素を含む化合物を原料として用いることもできる。例えば、MnやNiなどの遷移金属元素が溶解した溶液を弱アルカリ性として、複合水酸化物として沈殿させて得ることもできる。あるいは、原料となる金属元素が溶解した溶液を噴霧乾燥して得ることもできる。
本発明のような、多くの金属元素を有する正極活物質を固相法で調製する際は、リチウムを除くカチオンを予め複合化合物原料とすること、異相形成の可能性を低減できる。
また、上記の各工程は、必要に応じて繰り返してもよい。その際は、混合条件、熱処理条件を適宜に選択できる。また、工程を繰り返す際に原料を適宜追加し、最終の熱処理において目的とする組成比になるようにしてもよい。例えば、MnとNiの原料を混合し、熱処理して複合酸化物とし、これにリチウム原料を加えてより低温の熱処理をし、所望組成の正極活物質を得ることもできる。
本発明の正極活物質の形態は、正極活物質もしくはそれを用いた正極に対し、適切な前処理を施し、機器分析などで知ることができる。
調製した正極活物質の異相あるいは不純物の有無は、粉末X線回折(XRD)などで知ることができる。活物質の比表面積は、ガス吸着法などで知ることができる。
電池内の正極については、電池を不活性雰囲気内で解体して正極を取り出し、適切な前処理を施し、同様の機器分析により知ることができる。電池から取り出した正極を電解液と同成分の有機溶媒やアセトンなどで洗浄することで、分析用の正極が得られる。さらに正極から合剤部をサンプリングし、バインダーや正極活物質表面の電解質由来成分をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒で除去し、固体粉末分を取り出す。導電剤と正極活物質とは、走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)による組成分析などの手段により容易に区別できる。
正極活物質の組成は、ICP発光分光分析(ICP−AES)、X線光電子分光(XPS)、オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線(XRF)分析、二次イオン質量分析(SIMS)、グロー放電質量分析(GD−MS)などの手段により知ることもできる。
CNTの形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などで知ることができる。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の構成例について説明する。
本発明の正極は、例えば以下の手順で作製する。
本発明の組成、比表面積を有する5Vスピネル、CNT他カーボンブラック(CB)などの導電剤などの粒子を混合し、これに結着剤としてのバインダーを溶解した溶液を加えて混合撹拌し、正極合剤スラリーを調製する。CNTは、適当な溶剤中に凝集状態のCNTを分散させた後に添加してもよい。溶剤は、例えば、添加するバインダー溶液であってもよい。スラリーをアルミニウム箔などの正極集電体に塗布し、乾燥した後、プレスなどの成型や所望の大きさにする裁断を行い、正極を作製する。
バインダーに特に限定はない。ポリビニリデンフロライドなどのフッ素系樹脂、セルロース系高分子、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂など公知のバインダーを用いることができる。バインダーの種類に応じ、水やNMPなどの溶媒に溶解し、溶液として用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる負極活物質は特に限定されない。金属リチウム、各種の炭素材料、チタン酸リチウムやスズ、シリコンなどの酸化物、スズ、シリコンなどのリチウムと合金化する金属、およびこれらの複合材料を用いることができる。
粉状の負極活物質を用いる場合、負極は、例えば以下のように作製する。
所望の合剤組成となるよう負極活物質、バインダーを溶解した溶液、および必要に応じてCBなどの導電剤を秤量して混合し、負極合剤スラリーを調製する。このスラリーを銅箔などの負極集電体に塗工し、乾燥した後、プレスなどの成型や所望の大きさにする裁断を行い、負極を作製する。
電解質も特に限定はされず、従来のリチウムイオン二次電池に用いられているリチウム塩を非水溶媒に溶解した非水電解液も用いることができる。
リチウム塩として、LiClO、LiCFSO、LiPF、LiBF、LiAsF、あるいはLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)やLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)などのイミド系などを単独もしくは2種類以上を用いることができる。
非水溶媒としては、各種環状カーボネートや鎖状カーボネートなどを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを用いることができる。あるいは、より耐酸化性を有するとされる、カーボネートの水素の一部をフッ素などで置換した誘導体を用いることもできる。さらに、本発明の目的を妨げない範囲で、非水電解液に各種の添加剤を加えることもでき、例えば電池寿命向上を目的としたビニレンカーボネートや、難燃性を付与するためにリン酸エステルなどを添加することもできる。
あるいは、イミゾダゾリウム/フルオロスルホニルイミドなどの、常温で液体の塩であるイオン性液体を用いることもできる。
さらには、各種の硫黄系、LATPやLAGPなどのチタンやゲルマニウムのリン酸塩系、ランタン−ジルコニウム酸化物系などの固体電解質を用いることもできる。
図3は、正極の微細構造を示す拡大模式断面図である。
本図において、正極30は、正極活物質31と、導電剤32(カーボンナノチューブ(CNT)を含む。)と、バインダー33と、を混合して調製された正極合剤を集電箔34に塗工することにより形成されている。正極活物質31及び導電剤32は、バインダー33により集電箔34に接着されている。
正極活物質31は、一般に、表面に凹凸を有する。導電剤32であるCNTは、非常に細長い形状を有するため、正極活物質31の凹部に入り込み、正極活物質31との接触を確実にすることができる。言い換えると、CNTは、正極活物質31の凹部に入り込み、正極活物質31との多くの接点を有するため、正極活物質31の凹部の寸法よりも直径が大きい粒子状の炭素質の導電剤よりも接触面積が大きくなる。また、CNTは、十分に長さを有するため、複数の正極活物質31の橋渡しをすることができ、かつ、その橋渡しを集電箔34にもつなげることができる。すなわち、CNTは、複数の正極活物質31及び集電箔34を電気的に確実に接続することができる。
よって、正極活物質31が所定の比表面積を有し、かつ、所定の量のCNTが含まれる正極合剤を備えた正極30は、合剤抵抗率が低くなり、かつ、容量維持率が高くなる。これは相乗的な作用効果である。
上記の正極、負極及び電解質を用い、ボタン型、円筒型、角型、ラミネート型などの形状を有する、本発明のリチウムイオン二次電池を作製する。
円筒型二次電池は、以下のようにして作製する。
帯状に裁断し、電流を取り出すための端子を未塗工部に設けた正極と負極とを用いる。正極と負極との間にセパレータを挟み、これを円筒状に捲回して電極群を作製し、SUS鋼やアルミニウム製の容器に収納する。この電極群を収納した容器に、乾燥空気中または不活性ガス雰囲気で非水電解液を注入し、容器を封止して円筒型リチウムイオン二次電池を作製する。
セパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミドなどの樹脂製多孔質絶縁物フィルムや、それらにアルミナなどの無機化合物層を設けたものなどを用いることができる。
また、角形の電池とするためには、例えば以下のように作製する。
上記の捲回において捲回軸を二軸とし、楕円形の電極群を作製する。円筒型と同様に、角型容器にこれを収納し、電解液を注入した後、密封する。
また、捲回の代わりに、セパレータ、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層した電極群を用いることもできる。
また、ラミネート型の電池とするためには、例えば以下のように作製する。
上記の積層型の電極群を、ポリエチレンやポリプロピレンなどの絶縁性シートで内張りした袋状のアルミラミネートシートに収納する。開口部から電極の端子が突き出た状態とし、電解液を注入した後、開口部を封止する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の用途は、特に限定されない。例えば、電気自動車やハイブリッド型電気自動車などの動力用電源や、運動エネルギーの少なくとも一部を回収するシステムを有するエレベータなどの産業用機器、各種業務用や家庭用の蓄電システム用の電源、さらには太陽光や風力などの自然エネルギー発電システム用電源など、各種大型電源として用いることができる。
また、各種携帯型機器や情報機器、家庭用電気機器、電動工具などの各種小型電源としても用いることができる。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池の実施例について具体的に説明する。但し、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
(正極活物質の調製)
表1に示す正極活物質を固相法により調製した。
原料には以下のものを用いた。
二酸化マンガン(MnO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、四酸化三コバルト(Co)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化銅(CuO)及び炭酸リチウム(LiCO)である。
目標組成となるよう各原料を秤量した後、炭酸リチウムを除く全ての原料を遊星型粉砕機で純水を用いて湿式混合した。乾燥後、アルミナるつぼに入れ、電気炉により1050℃で15時間、空気雰囲気で焼成し、複合酸化物粉を得た。ただし、原料に酸化銅を含む場合は、焼成温度を1000℃とした。所望の比表面積の範囲となるよう必要に応じて解砕し、粉砕した。その後、複合酸化物と炭酸リチウムとを同様に混合し、乾燥した後、アルミナるつぼに入れ、780℃で20時間、つづいて600℃で12時間、空気雰囲気で焼成した後、解砕することにより、正極活物質を得た。
得られた正極活物質については、粉末X線回折(CuKα線、管電圧40kV、管電流40mA)によりスピネル相と異相の確認をした。
(比表面積の測定)
調製した活物質は、BET法(マイクロトラックベル株式会社、ベルソープ型)により比表面積を測定した。
(活物質の比抵抗の測定)
活物質の比抵抗(粉体抵抗)は、活物質粉末を圧縮状態とし、四探針法により測定した。抵抗率計は、四探針測定における抵抗演算機能内蔵の三菱化学アナリテック製ロレスタGP型を用い、50MPa圧縮時の比抵抗を測定した。
(正極活物質の容量の測定)
正極活物質90質量部に導電剤として平均粒径50nmのカーボンブラック(CB)6質量部を混合した後、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)4質量部のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を添加して混合し、正極スラリーを作製し、アルミニウム箔の片面に塗布した。これを20mm径に打ち抜いた後、圧縮成形し、容量測定用の正極を作製した。
図1は、正極活物質の容量測定に用いたラミネートセルを模式的に示す分解図である。
本図に示すように、アルミニウム製集電箔11の上に容量測定用正極12、厚さ30μmのポリプロピレン製多孔質セパレータ13、金属リチウム箔14、銅製集電箔15の順で積層した。この積層体をポリプロピレンで内張りしたラミネートシート16で挟み、集電箔11および15が突き出るように、ラミネートシートの3辺を封止した。非水電解液を注液した後、底辺を封止し、セルを作製した。
非水電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比3:7で混合した非水混合溶媒に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム1mol/dm溶解したものを用いた。
このセルを、充放電電流を時間率0.2CAで、充電上限電圧4.9Vで総充電時間6時間の定電流定電圧充電、放電下限電圧3.5Vの定電流放電を3回繰り返した。3回目の放電における電気量と4.5V以上の電気量とを測定し、正極中の活物質の質量(g)当たりの全容量および高電位容量(mAh/g)を求めた。
(カーボンナノチューブ)
本実施例のカーボンナノチューブ(CNT)には、鉄ナノ粒子触媒を用いて炭化水素ガスを炭素源として反応させ、合成した。得られたCNTは、次の2種である。
CNT−Lは、平均繊維径4nm、平均繊維長約200μmであった。これをPVDFバインダー溶液に投入した後、ホモジナイザーによる予備分散し、その後、高圧ホモジナイザー又は高圧ジェット式乳化装置による本分散を行った。これをCNT溶液として正極の作製に供した。この本分散により、CNTは切断され、CNT溶液中には数μmないし数十μmのCNTが多く認められた。
CNT−Sは、平均繊維径150nm、平均繊維長6μmであった。これをPVDFバインダー溶液に投入した後、ホモジナイザー分散を行った。この溶液を正極作製に供した。
(正極の作製)
正極活物質90質量部に導電剤として平均粒径50nmのCB(6質量部)を加え、更にPVDFバインダー溶液に分散したCNT−L(導電剤)を加え、CNT−Lが合剤質量基準で0.002%となるように混合した。さらに、PVDFが合剤質量基準で4質量%となるようにPVDF溶液を加えて混合し、正極スラリーを作製した。このスラリーをアルミニウム箔の片面に塗布した。
乾燥後、裁断し、圧縮成形し、未塗布部にアルミニウム製の端子を溶接することにより、正極を作製した。
一部の正極については、正極スラリーをPETフィルムの片面に塗布し、乾燥した後、所定密度まで圧縮成形し、合剤抵抗測定用の正極を作製した。合剤抵抗の測定は、直列四探針の測定プローブを合剤にあて、活物質の比抵抗測定と同様に測定した。
(負極の作製)
負極材料としてのチタン酸リチウム(LiTi12:LTO)88質量部とCB(6質量部)とを混合した後、結着剤としてのポリビニリデンフロライドPVDF6質量部をNMPに溶解した溶液とを混合し、負極合剤スラリーを作製した。負極合剤スラリーを銅箔(負極集電体)の片面に塗布し、乾燥した。裁断後、プレス機により圧縮成形し、未塗工部にニッケル製の負極端子を溶接し、負極を作製した。
(電池の作製)
図2に模式的に示すラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
本図に示すように、正極17、多孔質セパレータ13、負極18の順で積層した。この積層体をラミネートシート16で挟み、ニッケル製負極端子19、アルミニウム製正極端子20が突き出るように、ラミネートシートの底辺(端子の反対側)を除く3辺を封止した。非水電解液を注液した後、底辺を封止し、電池を作製した。
非水電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比3:7で混合した非水混合溶媒に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム1mol/dm溶解したものを用いた。
(充放電試験とサイクル試験)
作製した電池の充放電試験とサイクル試験を行った。
充放電試験条件は、充電電流が時間率0.2CAで充電上限電圧3.4V、総充電時間6時間の定電流定電圧充電後、0.2CAで放電下限電圧2Vの定電流放電とした。これを1サイクルとした。環境温度は25℃とした。この充放電サイクルを5サイクル行い、5サイクル目の放電容量を電池容量とした。
ついで、サイクル試験をした。環境温度は50℃とした。充電条件は、電流1.0CAで、上限電圧3.4V、終止条件が3時間もしくは電流0.02CAの定電流定電圧充電とした。放電条件は、1.0CAで放電下限電圧2Vの定電流放電とした。これを1サイクルとした。
100サイクル後、上記の充放電試験を行い、同様にサイクル試験後の電池容量を計測した。サイクル試験前後の容量の比率(維持率)を求めた。
表1は、調製した正極活物質の名称、組成、異相の有無、比表面積、活物質の比抵抗、容量測定における全容量と4.5V以上の電位の高電位容量とその比率、および100サイクルのサイクル試験後の容量維持率を示したものである。
Figure 0006665483
表1においてサイクル試験に用いた正極は全て、CNTを合剤質量基準で0.002%有する。そして、表1記載の(比較活物質ではない)正極活物質は、本発明の範囲のNi組成、置換元素種とその組成、比表面積であった。また、いずれも異相は確認されず、比抵抗は200kΩ・cm以下であり、かつ、全容量に占める4.5V以上の高電位容量の比率は80%以上であった。
従って、本発明の正極活物質であり、容量維持率の値は本発明の正極を用いた本発明のリチウムイオン二次電池の結果である。その容量維持率は全て60%以上であり、比較活物質を用いた電池に比べ容量維持率が優れる効果があった。さらに、比表面積が0.1m/g以上0.5m/g以下である正極活物質を用いたことで、容量維持率を70%以上とする更に優れた効果があった。
比較活物質GAとGB、比較活物質CAとCB、比較活物質MAとMB、比較活物質UAとUBは、Ni組成、置換元素種とその組成は本発明の範囲内だが、比表面積のみが本発明の範囲外であった。これらの比較活物質を用いた正極は、CNTを含有するにもかかわらず、容量維持率は60%未満であった。
比較活物質GC、比較活物質MC及び比較活物質UCは、置換元素の比率が本発明の範囲より大きかった。これらの活物質においては、異相が認められた。
比較活物質CCも、同様にCoを本発明の範囲より多量に有する活物質であり、高電位容量の比率が80%未満であった。
比較活物質GD、比較活物質CD、比較活物質MD及び比較活物質UDは、そのNi比率が本発明の範囲に満たなかった。その高電位容量の比率は全て80%未満であった。
比較活物質N1、比較活物質N2及び比較活物質N3は、Ni組成及び比表面積は本発明の範囲内だが、置換元素Mを有さない活物質であった。高電位容量の比率は80%以上であったが、その比抵抗が200kΩ以上であった。これらの比較活物質を用いた正極は、CNTを含有するにもかかわらず、容量維持率は60%未満であった。
なお、比較活物質N1、比較活物質N2及び比較活物質N3を比較すると、Ni比率を高めるに従い、高電位容量の比率が増大する一方で、比抵抗が増加、すなわち導電性が低下することが認められた。
また、比較活物質N4は、置換元素Mを有さないとともにNiが理論組成のx=0.5であるが、異相が認められた。
実施例1で調製した本発明の範囲にある幾つかの正極活物質を用い、実施例1と同様に正極を、さらにリチウムイオン電池を作製し、サイクル試験を行った。
正極活物質には、表1にある正極活物質G2(置換元素Ge、比表面積0.3m/g)、正極活物質C2(同Co、0.1m/g)、正極活物質M2(同Mg、0.2m/g)、および正極活物質U2(同Cu、0.5m/g)を用いた。
導電剤として、CNT−LもしくはCNT−Sを用いた。CNT−Lの添加量は、合剤質量基準で0.0005%、0.002%および0.2%とし、実施例1と同様に正極を作製した。CNT−Sの添加量は、合剤質量基準で0.2%および1.0%とした。CNT−Sもバインダー溶液に分散した分散液を用い、同様に正極を作製した。
(比較例1)
CNTを添加していない正極を実施例2と同様に作製し、さらにリチウムイオン電池を作製した。
また、CNT−Lの添加量が合剤質量基準で0.3%である正極の作製を実施例2と同様に試みたが、正極スラリーの流動性が低下し、正極の作製に適さなかった。
また、CNT−Sの添加量が合剤質量基準で1.5%である正極の作製を実施例2と同様に試みたが、正極スラリーの流動性が低下し正極作製に適さなかった。
表2は、実施例2および比較例1の各電池に用いた正極活物質、CNTの種類及び添加量、合剤の抵抗率、並びに100サイクルのサイクル試験後の容量維持率を示したものである。
実施例2の電池は、いずれも容量維持率が全て60%以上であり、比較例1の電池に比べ容量維持率が優れる効果があった。また、CNTが0.002%以上の正極は、その合剤抵抗率が40Ω・cm以下であり、かつ、容量維持率が70%以上と更に優れた効果があった。
Figure 0006665483
実施例1と同様に、同一組成で比表面積の異なる正極活物質を調製し、これを用いCNT−Lの添加量の異なる正極を作製し、さらにリチウムイオン電池を作製し、サイクル試験を行った。
表3に示す正極活物質TUを、粉砕条件を変えることで異なる比表面積のものを調製した。Niの組成はx=0.45とし、本発明の置換元素CuとともにTiを添加した。Tiの原料には酸化チタン(TiO)を用いた。活物質の組成は本発明の範囲内であり、その比抵抗は全て200kΩ・cm以下であり、かつ、全容量に占める4.5V以上の高電位容量の比率は80%以上であった。
Figure 0006665483
表4に作製した正極に使用した正極活物質TUの比表面積、CNT−Lの添加量、合剤抵抗率、及び100サイクルのサイクル試験後の容量維持率を示す。
Figure 0006665483
電池T5_1、電池T5_2、電池T5_3、電池T1_1、電池T1_2及び電池T1_3は、CNT−Lを有し、かつ、活物質の比表面積は本発明の範囲内であった。その容量維持率は60%以上であった。また、CNT−Lの添加量が0.002%以上の正極は、合剤抵抗率が40Ω・cm以下であり、電池の容量維持率が更に優れる効果があった。
比較電池T2および比較電池T7は、CNT−Lの添加量は、本発明の範囲内であり、活物質の比表面積だけが本発明の範囲外であった。作製した電池の容量維持率は60%未満であった。
比較電池T5_0および比較電池T1_0は、活物質の比表面積は本発明の範囲内であるが、CNTを有さない正極であった。作製した電池の容量維持率は60%未満であった。
比較電池T5_4および比較電池T1_4では、活物質の比表面積は本発明の範囲内であるが、CNT−Lの添加量を合剤質量基準で0.3%とすることを試みたものである。この場合、正極スラリーの流動性が低下し、正極の作製に適さなかった。
実施例1と同様に、表5に示す正極活物質を調製し、これを用いてCNT−Lの添加量0.002%(合剤質量基準)の正極を作製し、さらにリチウムイオン電池を作製し、サイクル試験を行った。
表5に示すGeを置換した正極活物質G6、並びにそれをフッ素化した正極活物質GF_1及びGF_2を調製した。フッ素原料にはフッ化リチウム(LiF)を用い、原料の炭酸リチウム(LiCO)の1.25%(正極活物質GF_1)及び2.5%(正極活物質GF_2)(いずれもモル比)をLiFとし、実施例1と同様に調製した。どちらの正極活物質も本発明のNiおよびGe組成の範囲であり、異相は確認されず、かつ、比表面積も本発明の範囲であった。全容量に占める4.5V以上の高電位容量の比率は80%以上であった。
作製したリチウムイオン電池の容量維持率は70%以上であり、実施例1と同様に優れた効果が得られた。
なお、正極活物質GFの比抵抗が正極活物質G6に比べ若干高かったにもかかわらず、用いた電池の容量維持率が高かった要因は、フッ素化により活物質の金属溶出による劣化が更に抑制されたためと考えられる。
Figure 0006665483
実施例1と同様に、表6に示すアルミニウム酸化物又はニオブ酸化物を被覆した活物質を調製し、CNT−Lの添加量0.002%(合剤質量基準)の正極を作製し、さらにリチウムイオン電池を作製し、サイクル試験を行った。
まず、表6に示す、GeとMgの2元素を置換した正極活物質GMを調製した。
正極活物質100質量部に対して2質量部のアルミニウムイソプロポキシドをイソプロピルアルコール(IPA)に投入し、60℃温浴で撹拌後、室温で一昼夜静置した。その上澄み液と正極活物質GMをフラスコに投入した。60℃温浴で撹拌しつつ、1PA:蒸留水の体積比10:1の溶液を投入し、撹拌した。その後、減圧し、溶媒を蒸発乾燥した。得られた粉末を80℃空気中で乾燥し、さらに600℃、5時間、空気雰囲気で熱処理し、正極活物質GM_Aを得た。被覆量は、酸化物換算で約1質量%であった。
正極活物質100質量部に対して1質量部のニオブペンタエトキシドのエチルアルコール溶液と正極活物質GMをフラスコに投入した。60℃温浴で撹拌しつつ、エチルアルコール:蒸留水の体積比10:1の溶液を滴下しつつ撹拌した。その後、減圧し、溶媒を蒸発乾燥した。得られた粉末を80℃空気中で乾燥し、さらに600℃、5時間、空気雰囲気で熱処理し、正極活物質GM_Bを得た。被覆量は、酸化物換算で約0.8質量%であった。
表6の活物質のNi、Ge及びMgの組成は、本発明の範囲であり、異相は確認されず、かつ、比表面積も本発明の範囲であった。全容量に占める4.5V以上の高電位容量の比率は80%以上であった。
作製したリチウムイオン電池の容量維持率は70%以上であり、実施例1と同様に優れた効果が得られた。
なお、被覆した正極活物質GM_Aと正極活物質GM_Bの比抵抗が、被覆前の正極活物質GMに比べ高いのは、被覆層が抵抗となったためと考えられる。それにもかかわらず、被覆した正極活物質を用いた電池の容量維持率が高かった要因は、被覆により、活物質の金属溶出が抑制されたこと、及び電解液の酸化分解が抑制されたことが考えられる。
Figure 0006665483
11:アルミニウム製集電箔、12:容量測定用正極、13:多孔質セパレータ、14:金属リチウム箔、15:銅製集電箔、16:ラミネートシート、17:正極、18:負極、19:ニッケル製負極端子、20:アルミニウム製正極端子、30:正極、31:正極活物質、32:導電剤、33:バインダー、34:集電箔。

Claims (14)

  1. スピネル型結晶構造を有するニッケル置換マンガン酸リチウムである正極活物質と、導電剤と、を含む正極合剤を有し、
    前記正極活物質は、組成式LiNiMn(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3)であり、かつ、その比表面積が0.05m/g以上1.0m/g以下であり、
    前記導電剤は、カーボンブラック及びカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.0005質量%以上0.2質量%以下であり、
    電池としての100サイクル後の容量維持率が60%以上である、リチウムイオン二次電池用正極。
  2. スピネル型結晶構造を有するフッ素を含むニッケル置換マンガン酸リチウムである正極活物質と、導電剤と、を含む正極合剤を有し、
    前記正極活物質は、組成式LiNiMn4−δδ(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3、0<δ≦0.01)であり、かつ、その比表面積が0.05m/g以上1.0m/g以下であり、
    前記導電剤は、カーボンブラック及びカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.0005質量%以上0.2質量%以下であり、
    電池としての100サイクル後の容量維持率が60%以上である、リチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.002質量%以上0.2質量%以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 前記正極活物質の比表面積は、0.1m/g以上0.5m/g以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記正極活物質を50MPaで圧縮した状態で測定した比抵抗は、200kΩ・cm以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 前記正極合剤の比抵抗は、40Ω・cm以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 前記正極活物質の表面の少なくとも一部は、アルミニウム酸化物又はニオブ酸化物で被覆されている、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  8. 正極と、負極と、電解質と、を含み、
    前記正極は、スピネル型結晶構造を有するニッケル置換マンガン酸リチウムである正極活物質と、導電剤と、を含む正極合剤を有し、
    前記正極活物質は、組成式LiNiMn(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3)であり、かつ、その比表面積が0.05m/g以上1.0m/g以下であり、
    前記導電剤は、カーボンブラック及びカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.0005質量%以上0.2質量%以下であり、
    100サイクル後の容量維持率が60%以上である、リチウムイオン二次電池。
  9. 正極と、負極と、電解質と、を含み、
    前記正極は、スピネル型結晶構造を有するフッ素を含むニッケル置換マンガン酸リチウムである正極活物質と、導電剤と、を含む正極合剤を有し、
    前記正極活物質は、組成式LiNiMn4−δδ(MはGe、Mg、Co及びCuからなる群から選ばれた1種以上であり、0.99≦a≦1.04、0.4≦x≦0.48、0<z≦0.2、a+x+y+z=3、0<δ≦0.01)であり、かつ、その比表面積が0.05m/g以上1.0m/g以下であり、
    前記導電剤は、カーボンブラック及びカーボンナノチューブを含み、
    前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.0005質量%以上0.2質量%以下であり、
    100サイクル後の容量維持率が60%以上である、リチウムイオン二次電池。
  10. 前記カーボンナノチューブの含有量は、合剤質量基準で0.002質量%以上0.2質量%以下である、請求項8又は9に記載のリチウムイオン二次電池。
  11. 前記正極活物質の比表面積は、0.1m/g以上0.5m/g以下である、請求項8又は9に記載のリチウムイオン二次電池。
  12. 前記正極活物質を50MPaで圧縮した状態で測定した比抵抗は、200kΩ・cm以下である、請求項8又は9に記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記正極合剤の比抵抗は、40Ω・cm以下である、請求項8又は9に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 前記正極活物質の表面の少なくとも一部は、アルミニウム酸化物又はニオブ酸化物で被覆されている、請求項8又は9に記載のリチウムイオン二次電池。
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