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リチウムイオン二次電池用正極活物質、及びリチウムイオン二次電池
本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質と、それを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いことから、携帯情報端末などの小型電源として広く普及している。近年、電気自動車やハイブリッド型電気自動車などの車両用途、又は電力貯蔵などの定置型産業用途に用いる大型電源としても、リチウムイオン二次電池は用いられ始めている。
大型電源として用いる場合、多数のリチウムイオン二次電池が用いられる。電池は、必要に応じ多直列で使用されうる。従来のリチウムイオン二次電池の電圧は4V前後であるが、よりエネルギー密度の高い電池として、又は電池の直列数を低減する目的で、さらに高電圧のリチウムイオン二次電池が求められている。
高電圧のリチウムイオン二次電池には、その正極に金属リチウム基準で4.5V以上の高電位を安定して発現する正極活物質を用いる。
従来は、一般式LiMO(MはCo、Ni、又はMnを主成分とする遷移金属)で表記される層状岩塩型の結晶構造を持つ正極活物質が、4.3V前後の上限電位で使用されてきた。近年では、この正極活物質の上限電位の引き上げが試みられている。
一方、4.5V以上の電位を安定して発現する正極活物質として、一般式LiMn2−X(MはNi、Co、Cr、Fe、又はCuなど)で表記されるMnの一部を遷移金属で置換したスピネル型複合酸化物が知られている。スピネル型複合酸化物は、Mnの酸化還元による4V前後の電位を発現するが、上記の遷移金属の置換により、遷移金属の酸化還元による4.5V以上の電位を安定して発現する。特に、Mnの一部をNiで置換したスピネル型複合酸化物は、特に安定した性能を発現することが知られている。
一方、高電圧のリチウムイオン二次電池は、総じて高温寿命(高温(40℃〜60℃で一般的には50℃以上)で動作したときの寿命)が短いという課題があることが知られている。この主因の1つが、高電位の正極表面での電解液の酸化分解の進行であることも、よく知られている。
また、この課題の別の主因が、高電位の正極活物質からの遷移金属元素の溶出であることも知られている。金属元素の溶出により正極活物質が劣化するとともに、溶出した金属元素が負極に析出することで負極の性能をも低下させる。正極電位が高いほど、溶出量は増加する傾向がある。
充電状態のスピネル型複合酸化物では、例えば50℃の高温環境でMnが電解液中に溶出するという課題がよく知られている。4.5V以上を発現する遷移金属置換のスピネル型複合酸化物においても、その使用電位が高いことから、金属元素の溶出量は著しく増加する。
この課題に対する先行技術として、例えば以下のような技術がある。特許文献1には、特定のカチオンを置換したスピネル型複合酸化物が開示されている。しかし、金属元素の溶出を抑制するという効果は、必ずしも十分ではない。特許文献2には、アニオンであるフッ素で酸素の一部を置換したスピネル型複合酸化物が開示されている。しかし、フッ素の置換量が増えるに従い容量が著しく低下し、活物質としての性能が低下するという課題がある。また、高電位正極における、金属元素の溶出を抑制する効果は、十分に明らかではない。
この課題に対する他の先行技術として、正極活物質の表面に関するものがある。例えば、特許文献3には、フッ素化合物でコーティングした正極活物質が開示されている。しかし、コーティング層内のリチウムイオンの拡散性の低下から正極活物質とリチウムイオンとの反応が阻害され、高負荷特性など活物質としての性能が低下する課題がある。特許文献4には、結晶性の金属ハロゲン化物を含むフッ素置換スピネル層を設けた正極活物質が開示されている。しかし、金属元素の溶出を抑制するという効果は、必ずしも十分ではない。
特開2005−322480号公報 特開2002−75366号公報 特表2008−536285号公報 特開2000−128539号公報
上述したように、高電圧のリチウムイオン二次電池は、正極活物質から遷移金属元素が溶出することで、高温寿命が短いという課題がある。先行技術では、この課題を十分に解決できておらず、容量の低下を招く場合もある。
本発明の目的は、高電位を発現でき、金属元素の溶出を抑制できる正極活物質と、容量と高温寿命に優れたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質は、次のような特徴を有する。Li(リチウム)と少なくともMn(マンガン)を含む遷移金属との複合酸化物と、2価以上の金属元素を有する酸化物である表面酸化物とを有する。前記複合酸化物は、表層部がフッ素化しており、中央部がフッ素化していない。前記表面酸化物は、前記複合酸化物の表面に存在し、フッ素化しており、かつリチウム化している。
本発明によると、高電位を発現でき、金属元素の溶出を抑制できる正極活物質を提供できる。この正極活物質を用いることにより、容量と高温寿命に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
正極活物質の断面のSEM像の写真であり、正極活物質の構成元素の比率を求めた測定箇所の例を示す図。 正極充電用のラミネートセルの模式図。 ラミネート型のリチウムイオン二次電池の模式図。 実施例1(正極活物質4A)と比較例1(正極活物質4Z)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例2(正極活物質5N)と比較例2(正極活物質ZN、及び正極活物質FN)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例2(正極活物質5T)と比較例2(正極活物質ZT)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 参考例(正極活物質5G)と比較例3(正極活物質ZG)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例(正極活物質5M)と比較例4(正極活物質ZM)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例(正極活物質5E)と比較例4(正極活物質ZE)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例(正極活物質5C)と比較例5(正極活物質ZC)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。 実施例(正極活物質5U)と比較例5(正極活物質ZU)における、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率を示す図。
本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Li(リチウム)と少なくともMn(マンガン)を含む遷移金属との複合酸化物と、2価以上の金属元素を有する酸化物である表面酸化物とを有し、複合酸化物は、表層部がフッ素化しており、中央部がフッ素化しておらず、表面酸化物は、複合酸化物の表面に存在し、フッ素化していることを特徴とする。
本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質の特徴を、以下に詳述する。
高電位の正極活物質からの金属イオンの溶出は、正極活物質と非水電解液との界面で進行する。この反応は、電解液中に不純物として存在する水分や、リチウム塩であるフッ素化合物由来の微量のフッ素イオンが関与するといわれている。
本発明による正極活物質の特徴の1つは、正極活物質として作用する複合酸化物の表層部がフッ素化していることである。すなわち、複合酸化物の表層部に、酸素に比べ電気陰性度の大きいフッ素が存在し、このフッ素が遷移金属と結合している。これにより、遷移金属とアニオンとの結合力が強くなり、遷移金属の溶出が抑制される作用があると考えられる。なお、複合酸化物の表層部の全てがフッ素化している必要はない。すなわち、複合酸化物は、表層部の一部がフッ素化していてもよく、フッ素化した表層部が複合酸化物を完全に覆わなくてもよい。また、複合酸化物の中央部は、フッ素化していない。
本発明による正極活物質の特徴のもう1つは、複合酸化物の表面に、2価以上の金属元素を有する酸化物が存在し、この酸化物(以下「表面酸化物」と称する)がフッ素化していることである。表面酸化物の作用の1つは、正極活物質と電解液との直接の接触を防ぐ物理的作用である。さらに、正極活物質に代わり水分やフッ素イオンと反応することで、正極活物質の溶出反応を防ぐ作用もあると推定される。ただし、この水分やフッ素イオンとの反応により、表面酸化物を構成する金属元素が溶出する可能性もありうる。そこで、表面酸化物をフッ素化する。表面酸化物をある程度フッ素化することにより、金属元素とアニオンとの結合力が強くなり、金属元素の溶出を抑制しつつ上記の作用を発現するものと推定される。
なお、表面酸化物は、必ずしも複合酸化物の表面の全てを覆うように存在する必要はない。表面酸化物が複合酸化物の表面の一部を覆うように存在すると、表面酸化物が複合酸化物の表面の全てを覆うように存在する場合に比べて、リチウムイオンの複合酸化物への挿入・脱離が阻害されなくなり、電池の抵抗の増大や容量の低下を防止することができる。
酸化物のフッ素化とは、酸化物のフッ素化合物が存在するようになることである。例えば、酸化物の酸素の一部がフッ素と置換することにより、酸化物がフッ素化する。
上記の作用と効果は、正極活物質の使用電位が高いほど、具体的には4.5V以上で、より顕著になる。このような高電位では、複合酸化物の表層部と表面酸化物との両方がフッ素化することで、正極活物質から金属が溶出するのを抑制する効果が得られるものと考えられる。言い換えると、複合酸化物の表層部と表面酸化物との少なくともどちらか一方(例えば、表面酸化物)がフッ素化していない場合には、フッ素化していない方(表面酸化物)からの金属の溶出が集中して進行する恐れがある。
ここで、本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質について、正極活物質として作用する複合酸化物について説明する。
本発明による正極活物質は、リチウム(Li)と少なくともマンガン(Mn)を含む遷移金属との複合酸化物を有し、複合酸化物が容量を発現する。複合酸化物には、LiとMnを含めば、特に限定はない。例えば、複合酸化物は、一般式LiMO(Mは、Mnを含み、CoとNiのうち一方又は両方を含む)で表記される層状岩塩型の結晶構造の複合酸化物であってもよい。Mnを主構成元素として含むスピネル型複合酸化物は、4.5V以上の電位を安定して発現するので、正極活物質としてより望ましい。
スピネル型複合酸化物は、一般式LiMnで表記される立方晶スピネル型結晶構造であり、Mnの酸化還元により4V前後の放電電位を安定に発現する。ここで、Mnの一部を特定の遷移金属元素で置換する事により、4.5V以上の酸化還元電位を安定して発現する。このような遷移金属元素としては、Ni、Cr、Fe、Co、及びCuなどが知られている。
特に、Mnの一部をNiで置換した一般式LiNiMn2−xで表記されるスピネル型複合酸化物は、4.6V付近に大きくかつ安定した容量を発現する。4.6V付近の容量は、上記の一般式において、xの増大とともに増大し、x=0.5において理論上は最大に達する。
本発明による正極活物質に用いられる上記のNiで置換したスピネル型複合酸化物は、一般式LiNiMn4+α(Mは、Ti、Ge、Mg、Fe、Co、及びCuのうちの少なくとも1種、0.3≦x≦0.55、1.2≦y≦1.6、0≦≦0.4、1.9≦x+y+z≦2.05、0.95≦a≦1.1、−0.2≦α≦0.1)と記載することができる。
Niの置換量xが0.3未満では、4.5V未満で容量を発現する遷移金属元素の比率が大きく、必ずしも望ましくない。xが0.55超えると、異相生成の恐れがある。このため、0.3≦x≦0.55であるのが望ましい。
元素Mは、Ti、Ge、Mg、Fe、Co、及びCuのうちの1種以上であり、必ずしも正極活物質に含まれなくてもよい(z=0でもよい)。元素Mの作用は、元素の種類により異なる。Ti、Ge、及びMgは、これら自身の酸化還元による4.5V以上での容量の発現には必ずしも寄与しないが、結晶構造を安定化させ、遷移金属の溶出の抑制に対してある程度の効果が期待できる。Fe、Co、及びCuは、結晶構造の安定化の他、4.5V以上での容量の発現にも寄与しうる。元素Mの適した置換量zは、元素の種類と他の元素の置換量などにより必ずしも一定ではないが、0.4を超えると異相生成の恐れがある。このため、0≦≦0.4であるのが望ましい。
また、元素Mに、上記の元素以外の金属元素が含まれていてもよい。
Mnの組成比yの値は、スピネル型複合酸化物の構造を維持するため、1.2≦y≦1.6であるのが望ましい。
上記の一般式LiNiMn4+αにおけるNi、Mn、及び元素Mの組成比率の和(x+y+z)は、LiMnと同じ2前後が望ましいが、製造時の不定比化により1.9≦x+y+z≦2.05の範囲となることがある。x+y+zの値が上記の範囲外では、異相の生成する恐れがあり好ましくない。
aの値は、製造時のLiの不定比性を示す値である。aが0.95未満となると容量が低下する恐れがあり、1.1を超えると異相が生成する恐れがある。このため、0.95≦a≦1.1であるのが望ましい。
αの値は、製造時の酸素の不定比性を示す値である。−0.2≦α≦0.1の範囲外では、異相の生成する恐れがあり、好ましくない。
本発明による正極活物質では、正極活物質として作用する複合酸化物の表層部がフッ素化している。表層部がフッ素化した複合酸化物は、複合酸化物を一般式LiNiMn4+αで表した場合には、LiNiMn4+α−ββのように、酸素の一部がフッ素に置換していると表記することができる。フッ素の量は、測定法、測定箇所、及び測定範囲に影響を受けるが、上記の一般式においては、βが0.5以下の範囲が好ましい。フッ素の量が多いほど、金属の溶出の抑制に対してより高い効果を期待できるが、フッ素の量が多すぎると、スピネル構造を維持できない恐れがあり、容量の低下やリチウムとの反応性の低下などにより、活物質としての性能が低下する恐れがある。このため、0<β≦0.5であるのが望ましい。
本発明による正極活物質は、複合酸化物の表層部がフッ素化しており、複合酸化物の中央部はフッ素化していない。複合酸化物の中央部までフッ素化すると、容量の低下といった活物質としての性能低下を招く恐れがある。このため、複合酸化物の表層部のみをフッ素化し、中央部はフッ素化しない。
ここで、本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質について、複合酸化物の表面に存在する表面酸化物について説明する。
本発明による正極活物質は、複合酸化物の表面に、2価以上の金属元素を有する酸化物(表面酸化物)が存在し、表面酸化物がフッ素化している。複合酸化物の表面に、フッ素化した表面酸化物が存在することで、正極活物質と電解液との直接の接触を防ぐとともに、正極活物質からの金属元素の溶出を抑制できると考えられる。複合酸化物の表面に、酸化物ではなくフッ化物がコーティングされていると、フッ化物のフッ素とリチウムイオンとの結合力が強すぎるため、リチウムイオンの拡散が阻害され、活物質としての性能が低下する恐れがある。さらに、フッ化物では電解液中のフッ素イオンとの反応が進行せず、正極活物質の溶出反応を防ぐ作用が得られない恐れがある。
表面酸化物を構成する金属元素は、1価であると酸化物としての安定性が劣るので、2価以上とする。表面酸化物を構成する2価以上の金属元素は、その種類を特に限定しないが、Al、Ti、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn、及びTaのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。この理由の1つとして、酸化物としての安定性が高く、フッ素との結合エネルギーが高いことが考えられる。
表面酸化物は、上述の金属元素とリチウムとの複合物であり、かつフッ素化していることがより好ましい。すなわち、表面酸化物がリチウム化かつフッ素化していることが好ましい。表面酸化物がリチウム化していると、表面酸化物中のリチウムの拡散速度が上がる効果、又は拡散するリチウム量が増大する効果が期待できる。表面酸化物におけるリチウムと金属元素との比率は、量論組成である必要はない。
なお、表面酸化物のリチウム化とは、表面酸化物のリチウム化合物が存在するようになることである。例えば、表面酸化物の酸素の一部がリチウムと置換することにより、表面酸化物がリチウム化する。
リチウム化かつフッ素化した表面酸化物を構成する金属元素としては、Nb、Ta、又はTiが好ましい。この理由としては、酸化物としての安定性やフッ素との結合エネルギーが高いことに加え、リチウム化がある程度容易であることが考えられる。
本発明による正極活物質は、例えば、以下の方法で得ることができる。
本発明による正極活物質は、複合酸化物を作製し、その表面に表面酸化物を設けた後、これらをフッ素化することで得ることができる。好ましくは、フッ素化とともに又はフッ素化後に、表面酸化物をリチウム化する。この他に、作製した複合酸化物の表面をフッ素化後、この表面にフッ素化した表面酸化物を設けることで得ることもできる。これ以外に、作製した複合酸化物の表面をフッ素化後、この表面に表面酸化物を設けてから表面酸化物をフッ素化して得ることもできる。以下では、複合酸化物を作製し、その表面に表面酸化物を設けた後、これらをフッ素化する方法を記載する。
複合酸化物は、一般的な無機化合物の合成方法と同様の方法で得ることができる。所望する元素の比率になるように、原料を秤量し、均質に混合し、熱処理することで、複合酸化物を得ることができる。解砕又は造粒の工程を入れてもよい。
原料となる化合物は、それぞれの元素の好適な酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、又は炭酸塩などを用いることができる。また、2つ以上の元素を含む化合物を原料として用いることもできる。原料となる化合物は、例えば、MnやNiなどの遷移金属元素が溶解した溶液を弱アルカリ性とし、複合水酸化物として沈殿させて得ることもできる。又は、原料となる金属元素が溶解した溶液を噴霧乾燥して得ることもできる。
原料の混合と熱処理の工程は、必要に応じて繰り返してもよい。その際の混合条件と熱処理条件は、適宜に選択できる。また、混合と熱処理を繰り返す際に原料を適宜追加し、最終の熱処理において目的とする組成比になるようにしてもよい。例えば、MnとNiの原料を混合し熱処理して酸化物とし、これにリチウム原料を加えてより低温の熱処理をし、所望の組成の複合酸化物を得ることもできる。
複合酸化物に表面酸化物を設ける方法は、限定されない。液相法であれば、表面酸化物の原料を溶解した水溶液中に複合酸化物を投入後、pHを調整して表面酸化物を析出してもよく、又はこの水溶液を噴霧して乾燥させてもよい。又は、金属アルコキシドを溶解した有機溶液中に複合酸化物を投入して撹拌し、溶媒を蒸発させて除去することで得ることもできる。気相法であれば、複合酸化物を投入した流動床の反応容器に表面酸化物の原料を導入し、反応させて析出させてもよい。いずれの方法でも、反応が完結していない表面酸化物を設けた状態から、酸化処理、又は熱処理をし、所望の表面酸化物としてもよい。
フッ素化処理の方法も、限定されない。表面酸化物を設けた複合酸化物にフッ化アンモニウム又は酸性フッ化アンモニウムとの熱処理を行うことで、これらの酸化物をフッ素化することができる。
また、複合酸化物とフッ化リチウムとの熱処理により、酸化物のフッ素化とともに表面酸化物をリチウム化することができる。
本発明による正極活物質の形態と組成は、正極活物質又はこれを用いた正極に対し、適切な前処理を施して機器分析を行うことで知ることができる。電池内の正極活物質については、電池を不活性雰囲気内で解体して正極を取り出し、適切な前処理を施して同様の機器分析を行うことにより知ることができる。
電池から取り出した正極を、電解液と同成分の有機溶媒やアセトンなどで洗浄することで、分析用の正極が得られる。さらに、正極から活物質を含む合剤部をサンプリングし、バインダーや正極活物質の表面の電解質由来の成分をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒で除去し、固体粉末成分を取り出す。導電剤と正極活物質とは、走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察とエネルギー分散型X線分光分析(EDX)による組成分析などの手段により、用意に区別できる。
本発明による正極活物質、複合酸化物とその表層部、及び表面酸化物の組成は、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線(XRF)分析、又は二次イオン質量分析(SIMS)などの手段により知ることもできる。
本発明の正極活物質の形態と組成を知るには、活物質の断面について、分析範囲をサブミクロンオーダー以下にまで極めて絞りAESやSIMSで元素分析することが、好的な手段の1つである。
活物質の断面を観察するには、正極活物質を樹脂中などに埋め、切断する方法がある。又は、正極活物質を固めた後、切断することも可能であり、場合により正極の形態で切断する方法もある。
次に、本発明によるリチウムイオン二次電池の構成例を説明する。本発明によるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解液とを備える。
正極は、本発明の正極活物質を有し、例えば以下の手順で作製する。正極活物質とカーボンブラック(CB)などの導電剤の粒子を混合し、これにバインダーを溶解した溶液を加えて混合して撹拌し、正極合剤スラリーを作製する。このスラリーをアルミニウム箔などの正極集電体に塗工して乾燥させた後、このアルミニウム箔にプレスなどの成型や所望の大きさにする裁断を行い、正極を作製する。なお、正極集電体の一端部は、正極合剤スラリーを塗工しない未塗工部とする。
バインダーの材料は、特に限定されない。ポリビニリデンフロライドなどのフッ素系樹脂、セルロース系高分子、スチレン系樹脂、又はアクリル系樹脂など、公知のバインダーを用いることができる。バインダーは、材料の種類に応じ、水やNMPなどの溶媒に溶解し、溶液として用いることができる。
負極に用いる負極活物質は、特に限定されない。金属リチウム、各種の炭素材料、金属リチウム、チタン酸リチウム、スズやシリコンなどの酸化物、スズやシリコンなどのリチウムと合金化する金属、又はこれらの材料の複合材料を用いることができる。電池電圧を高くするには、比較的電位の低い黒鉛、易黒鉛化炭素、又は難黒鉛化炭素などの炭素材料を負極に用いることができる。
粉状の負極活物質を用いる場合、負極は、例えば以下のように作製する。所望の合剤組成となるように負極活物質、バインダーを溶解した溶液、及び必要に応じてCBなどの導電剤を秤量して混合し、負極合剤スラリーを作製する。このスラリーを銅箔などの負極集電体に塗工して乾燥させた後、この銅箔にプレスなどの成型や所望の大きさにする裁断を行い、負極を作製する。なお、負極集電体の一端部は、負極合剤スラリーを塗工しない未塗工部とする。
電解液は、特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池に用いられている、リチウム塩を非水溶媒に溶解した非水電解液を用いることができる。
リチウム塩として、LiClO、LiCFSO、LiPF、LiBF、又はLiAsFなどを、単独で又は2種類以上で用いることができる。
非水溶媒として、各種環状カーボネートや鎖状カーボネートなどを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、又はジエチルカーボネートなどを用いることができる。又は、より耐酸化性を有するとされる、カーボネートの水素の一部をフッ素などで置換した誘導体を用いることもできる。さらに、本発明の目的を妨げない範囲で、非水電解液に各種の添加剤を加えることもでき、例えば、電池寿命の向上のためにビニレンカーボネートを添加することや、難燃性の付与のためにリン酸エステルなどを添加することもできる。非水溶媒としては、イミゾダゾリウム/フルオロスルホニルイミドなどの、常温で液体の塩である、イオン性液体を用いることもできる。
以上に説明した正極、負極、及び電解液を用い、本発明のリチウムイオン二次電池を作製する。本発明のリチウムイオン二次電池は、ボタン型、円筒型、角型、又はラミネート型などの形状を持つことができる。
円筒型の電池は、例えば、以下のようにして作製する。正極と負極とを帯状に裁断し、電流を取り出すための端子を未塗工部に設ける。これらの正極と負極との間にセパレータを挟み、これを円筒状に捲回して電極群を作製し、SUSやアルミニウム製の円筒型容器に収納する。この電極群を収納した容器に、乾燥空気中又は不活性ガス雰囲気で非水電解液を注入し、容器を封止して円筒型リチウムイオン二次電池を作製する。
セパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はアラミドなどの樹脂製多孔質絶縁物フィルムや、これらにアルミナなどの無機化合物層を設けたものなどを用いることができる。
角型の電池は、例えば、以下のようにして作製する。上記の円筒型の電池の作製手順での捲回において、捲回軸を二軸とし、楕円形の電極群を作製する。この後、この電極群を角型容器に収納し、円筒型の電池と同様に、電解液を注入後、密封する。
円筒型と角型の電池において、捲回の代わりに、セパレータ、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層した電極群を用いることもできる。
ラミネート型の電池は、例えば、以下のようにして作製する。上記の積層した電極群を、ポリエチレンやポリプロピレンなどの絶縁性シートで内張りした袋状のアルミラミネートシートに収納する。開口部から電極の端子が突き出た状態として、アルミラミネートシートの袋に電解液を注入後、開口部を封止する。
本発明によるリチウムイオン二次電池の用途は、特に限定されない。例えば、電気自動車やハイブリッド型電気自動車などの動力用電源、運動エネルギーの少なくとも一部を回収するシステムを備えるエレベータなどの産業用機器、業務用や家庭用の蓄電システム用の電源、及び太陽光や風力などの自然エネルギー発電システム用電源など、各種の大型電源として用いることができる。また、携帯型機器、情報機器、家庭用電気機器、及び電動工具などの、各種の小型電源として用いることもできる。
以下、本発明によるリチウムイオン二次電池用正極活物質の詳細な実施例を示し、具体的に説明する。但し、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
実施例1では、複合酸化物の組成がLi1.06Mn1.94であり、表面酸化物がフッ素化とリチウム化したチタン酸化物である正極活物質4Aを作製した。
(正極活物質の作製)
原料である二酸化マンガン(MnO)と炭酸リチウム(LiCO)とを秤量し、遊星型粉砕機で純水を用いてこれらを湿式混合した。混合物を乾燥後、アルミナ製のるつぼに入れ、電気炉により800℃で20時間、空気雰囲気で焼成した。焼成物を粉砕して、複合酸化物を得た。
表面酸化物の原料として、チタンイソプロポキシドを用いた。フラスコに、得られた複合酸化物と、複合酸化物に対し3重量%のチタンイソプロポキシドを溶解したイソプロピルアルコールとを投入した。これらを50℃温浴で撹拌しつつ減圧し、アルコールを蒸発させて乾燥させた。得られた粉末をフラスコからとりだし、80℃にて空気中で乾燥させた。
乾燥して得られたこの粉末と、フッ化リチウムと水酸化リチウムとを混合した。混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、電気炉により700℃で5時間、空気雰囲気で焼成し、正極活物質4Aを得た。
[比較例1]
比較例1として、組成がLi1.06Mn1.943.90.1であり、複合酸化物の表面に表面酸化物が存在しない正極活物質4Zを作製した。実施例1で用いたMnOとLiCOに加えてフッ化リチウム(LiF)を用い、実施例1と同様にして複合酸化物を得た。この複合酸化物を、正極活物質4Zとした。
(正極の作製)
正極活物質88重量%に、導電剤としてCB6重量%を混合した後、結着剤としてアクリル系バインダー6重量%のNMP溶液を添加して混合し、正極合剤スラリーを作製した。このスラリーを、アルミニウム箔(正極集電体)の片面に塗布した。スラリーの乾燥後、このアルミニウム箔を裁断し、プレス機により圧縮成形し、未塗工部にアルミニウム製の端子を溶接し、電池評価用の正極を作製した。また、これとは別に、分析用の正極と溶出試験用の正極も作製した。分析用及び溶出試験用の正極は、スラリーの乾燥後のアルミニウム箔を20mm径に打ち抜いた後で圧縮成形して、作製した。
(負極の作製)
負極材料として、人造黒鉛92重量%と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)8重量%をNMPに溶解した溶液とを混合し、負極合剤スラリーを作製した。このスラリーを、銅箔(負極集電体)の片面に塗布した。スラリーの乾燥後、この銅箔を裁断し、プレス機により圧縮成形し、未塗工部にニッケル製の端子を溶接し、負極を作製した。
(正極活物質の元素分析)
正極活物質の元素分析では、分析用の正極をイオンミリングにより断面加工し、正極活物質の断面をAES(電子銃加速電圧10kV、電流10nA、ビーム径約25nm)で測定して、正極活物質の構成元素の比率を求めた。
図1は、正極活物質の断面のSEM像の写真であり、正極活物質の構成元素の比率を求めた測定箇所の例を示す図である。測定は、正極活物質の最表面(複合酸化物の表面)に存在する表面酸化物(A)、複合酸化物の表層部(B)、複合酸化物の中央部(C)の3箇所とした。
(正極の溶出試験)
正極の溶出試験では、正極充電用のラミネートセルを作製して溶出試験用の正極を充電し、充電後の溶出試験用の正極を高温の電解液中に浸沈し、電解液中に溶出した金属イオンの量を測定した。
図2は、作製した正極充電用のラミネートセルの模式図である。アルミニウム製の集電箔11の上に、20mm径の溶出試験用の正極12、厚さ30μmのポリプロピレン製の多孔質セパレータ13、金属リチウム箔14、及び銅製の集電箔15を、この順で積層した。この積層体を、ポリプロピレンで内張りした6cm四方のラミネートシート16で挟み、集電箔11、15がラミネートシート16から突出するようにして、ラミネートシート16の3辺を封止した。袋状のラミネートシート16に非水電解液を注液し、減圧により電解液を電極とセパレータに含浸させた後、ラミネートシート16の底辺(封止していない1辺)を封止して、正極充電用のラミネートセルを作製した。
このラミネートセルに対し、充放電電流が時間率0.2CAで充電上限電圧が4.3Vであり総充電時間が6時間の定電流定電圧充電と、放電下限電圧が3.5Vの定電流放電とを3回繰り返した後、充放電電流が0.2CAで上限電圧が4.3Vであり総充電時間が6時間の定電流定電圧充電を行った。
この後、セルを解体して、充電した正極を取り出した。取り出した正極と5cmの電解液とをテフロン(登録商標)製の密閉容器に入れて密封し、50℃の環境で7日間保存した。保存後の電解液を高周波誘導プラズマ分光分析(ICP)により分析し、正極活物質を構成するLiを除く金属元素の濃度を測定し、電解液中の金属元素の総量(mol)を求めた。そして、正極活物質の重量(g)当たりの、金属元素の溶出量(mol/g)を求めた。
電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比3:7で混合した非水混合溶媒に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウムを1mol/dm溶解した非水電解液を用いた。
(電池の作製)
図3は、作製したラミネート型のリチウムイオン二次電池の模式図である。塗工部が40mm×27mmである正極22、厚さ30μmのポリプロピレン製の多孔質セパレータ23、塗工部が42mm×30mmである負極27を、この順で積層した。この積層体を、ポリプロピレンで内張りした7cm四方のラミネートシート26で挟み、ニッケル製の負極端子28とアルミニウム製の正極端子29がラミネートシート26から突出するようにして、ラミネートシート26の底辺(端子28、29が突出している辺に対向する辺)を除く3辺を封止した。袋状のラミネートシート26に電解液を注液し、減圧により電解液を電極とセパレータに含浸させた後、底辺を封止して、ラミネート型の電池を作製した。電池は、実施例1の正極活物質4Aを用いた電池と、比較例1の正極活物質4Zを用いた電池を、それぞれ作製した。
電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比3:7で混合した非水混合溶媒に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウムを1mol/dm溶解した非水電解液を用いた。
(充放電試験と高温寿命試験)
作製した電池に対し、充放電試験と高温寿命試験を行った。
充放電試験の充電条件は、充電電流が時間率0.2CAで充電上限電圧が4.2Vであり、総充電時間が6時間の定電流定電圧充電である。放電条件は、放電電流が0.2CAで放電下限電圧が3Vの定電流放電である。この充放電サイクルを5サイクル行い、5サイクル目の放電容量を電池容量として求めた。ついで、レート試験として、この充電条件での充電後、放電電流が1CAで放電下限電圧が3Vの定電流放電を行い、電池容量を測定し、0.2CAでの放電後の電池容量に対する比率を容量比として求めた。
ついで、高温寿命試験を行った。上記の充電条件での充電後、電池を50℃の環境で7日間保存した。その後、室温で、0.2CAで3Vの定電流放電後、電池容量の測定と同様の条件で充放電を1サイクル行い、この際の放電容量を高温寿命試験後の電池容量とし、高温寿命試験前の電池容量との比率を維持率として求めた。維持率が高いと、高温寿命が長くなる。
図4は、実施例1と比較例1における正極活物質の元素分析の結果を示す図であり、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率(mol%)を示す図である。
実施例1の正極活物質4Aでは、チタンを含む表面酸化物からフッ素とリチウムが検出された。また、複合酸化物の表層部からフッ素が検出されたが、中央部からはフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質4Aは、本発明による正極活物質であることが確認できた。
一方、比較例1の正極活物質4Zは、表面酸化物を有せず、複合酸化物の表層部と中央部の両方からフッ素が検出され、本発明による正極活物質ではないことが確認できた。
表1に、実施例1の正極活物質4Aと比較例1の正極活物質4Zの、金属元素の溶出量、及びこれらの正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池容量、1CA放電時の容量比、高温寿命試験後の維持率を示す。
Figure 2016076454
実施例1の正極活物質4Aは、比較例1の正極活物質4Zに比べ、金属元素の溶出量が少ない。この結果、正極活物質4Aを用いて作製した実施例1の電池は、正極活物質4Zを用いて作製した比較例1の電池に比べ、維持率が高いという効果が得られた。また、実施例1の電池は、比較例1の電池に比べ、電池容量が高いという効果が得られた。この理由は、正極活物質4Zは複合酸化物の全体がフッ素化しているのに対し、正極活物質4Aは中央部がフッ素化していないためだと考えられる。
実施例2では、複合酸化物の組成がLiNi0.46Mn1.54である正極活物質5Nと、LiNi0.45Mn1.35Ti0.2である正極活物質5Tとを作製した。表面酸化物は、どちらの正極活物質も、フッ素化とリチウム化したニオブ酸化物である。
正極活物質5Nと正極活物質5Tの作製方法を説明する。まず、リチウムを除く金属元素の複合酸化物の原料を作製した。正極活物質5Nについては、MnO、及び酸化ニッケル(NiO)を秤量、混合した。正極活物質5Tについては、MnO、酸化ニッケル、及び酸化チタン(TiO)を秤量、混合した。これらの混合物を、それぞれアルミナ製のるつぼに入れ、電気炉により1000℃で12時間、空気雰囲気で焼成し、正極活物質5Nと正極活物質5Tの複合酸化物の原料を得た。それぞれの複合酸化物の原料、及びLiCOを秤量、混合し、800℃で20時間、空気雰囲気で焼成した。焼成物を粉砕して、正極活物質5Nと正極活物質5Tの複合酸化物を得た。
表面酸化物の原料として、ペンタエトキシニオブを用いた。得られたそれぞれの複合酸化物に対して2重量%のペンタエトキシニオブをエチルアルコールに溶解した。以下、得られたそれぞれの複合酸化物と、ペンタエトキシニオブを溶解したエチルアルコールとを用いて、実施例1と同様にして、正極活物質5Nと正極活物質5Tを作製した。
[比較例2]
比較例2として、複合酸化物の表面に表面酸化物が存在しない正極活物質を3種類作製した。
組成が正極活物質5Nと同じLiNi0.46Mn1.54である複合酸化物を、実施例2と同様にして作製し、これを正極活物質ZNとした。
組成がLiNi0.46Mn1.543.90.1である複合酸化物を、LiFも原料に用いて、実施例2と同様に作製し、これを正極活物質FNとした。
組成が正極活物質5Tと同じ組成LiNi0.45Mn1.35Ti0.2である複合酸化物を、実施例2と同様に作製し、これを正極活物質ZTとした。
(正極の溶出試験)
正極の溶出試験は、充電上限電圧を4.9Vとした以外は、実施例1と同様に行った。
(電池の作製)
作製した実施例2と比較例2の正極活物質を用いて、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、実施例1と同様にしてそれぞれ作製した。
(充放電試験と高温寿命試験)
充放電試験と高温寿命試験は、充電上限電圧を4.8Vとした以外は、実施例1と同様に行った。
図5及び図6は、実施例2と比較例2における正極活物質の元素分析の結果を示す図であり、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率(mol%)を示す図である。図5には、正極活物質5N、正極活物質ZN、及び正極活物質FNの結果を、図6には、正極活物質5T、及び正極活物質ZTの結果を、それぞれ示す。
実施例2の正極活物質5Nと正極活物質5Tでは、ニオブを含む表面酸化物からフッ素とリチウムが検出された。また、複合酸化物の表層部からフッ素が検出されたが、中央部からはフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質5Nと正極活物質5Tは、本発明による正極活物質であることが確認できた。
一方、比較例2の正極活物質ZN、正極活物質FN、及び正極活物質ZTは、表面酸化物を有せず、正極活物質ZN、及び正極活物質ZTからはフッ素が検出されず、正極活物質FNは複合酸化物の表層部と中央部の両方からフッ素が検出された。したがって、正極活物質ZN、正極活物質FN、及び正極活物質ZTは、本発明による正極活物質ではないことが確認できた。
表2に、実施例2の正極活物質5N、及び正極活物質5Tと、比較例2の正極活物質ZN、正極活物質FN、及び正極活物質ZTの、金属元素の溶出量、及びこれらの正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池容量、1CA放電時の容量比、高温寿命試験後の維持率を示す。
Figure 2016076454
実施例2の正極活物質5N、及び正極活物質5Tは、比較例2の中で最も溶出量の少ない正極活物質FNと比較しても、金属元素の溶出量が少ない。この結果、正極活物質5N、5Tを用いて作製した実施例2の電池は、正極活物質ZN、FN、ZT用いて作製した比較例2の電池と比較して、維持率が高いという効果が得られた。
また、正極活物質5N、5Tを用いて作製した実施例2の電池は、正極活物質FNを用いて作製した比較例2の電池と比較して、電池容量が高いという効果が得られた。この理由は、正極活物質FNは複合酸化物の全体がフッ素化しているのに対し、正極活物質5N、5Tは中央部がフッ素化していないためだと考えられる。また、正極活物質5N、5Tを用いて作製した実施例2の電池は、正極活物質ZN、ZTを用いて作製した比較例2の電池に比べて、容量を発現しない表面酸化物が正極活物質に存在するため僅かに電池容量が小さいものの、容量比は同程度であり、維持率が高いという効果が得られた。
[参考例]
本参考例では、複合酸化物の組成がLiNi0.45Mn1.45Ge0.1である正極活物質5Gを作製した。表面酸化物は、フッ素化した酸化アルミニウムである。
正極活物質5Gの作製方法を説明する。正極活物質5Gの作製方法は、実施例2の正極活物質5Nと正極活物質5Tの作製方法と同様である。まず、MnO、酸化ニッケル、及び酸化ゲルマニウム(GeO)を秤量、混合した。この混合物を、それぞれアルミナ製のるつぼに入れ、電気炉により1000℃で12時間、空気雰囲気で焼成し、正極活物質5Gの複合酸化物の原料を得た。この複合酸化物の原料、及びLiCOを秤量、混合し、800℃で20時間、空気雰囲気で焼成した。焼成物を粉砕して、正極活物質5Gの複合酸化物を得た。
表面酸化物の原料として、アルミニウムトリイソプロポキシドを用いた。得られた複合酸化物と、複合酸化物に対し1.5重量%のアルミニウムトリイソプロポキシドを用い、実施例1と同じ手順で乾燥した粉末を得た。
乾燥して得られたこの粉末と、フッ化リチウムと水酸化リチウムとを混合した。混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、電気炉により700℃で5時間、空気雰囲気で焼成した。焼成物を蒸留水で洗浄して乾燥させた後、不活性雰囲気にて400℃で12時間、再度、熱処理し、正極活物質5Gを得た。
[比較例3]
比較例3として、組成が参考例と同じ複合酸化物の表面を、フッ化アルミニウムでコーティングした正極活物質ZGを作製した。すなわち、正極活物質ZGは、複合酸化物の表面に、フッ化アルミニウムのコーティング部を有する。
ビーカーに、硝酸アルミニウム水溶液と、参考例と同様に作製した複合酸化物とを投入し、これらを温度80℃で撹拌しながら、フッ化アンモニウム水溶液を徐々に添加した。その後、80℃で24時間撹拌した後、ろ過して粉末物を得た。この粉末物を蒸留水で洗浄・乾燥後、不活性雰囲気にて400℃で熱処理し、正極活物質ZGを作製した。
(正極活物質の元素分析)
参考例の表面酸化物及び比較例3のコーティング部の元素分析に限り、これらを断面としたときの両者の厚さが薄いことから、活物質表面からのAESで元素比を測定した。
(電池の作製)
作製した参考例と比較例3の正極活物質を用いて、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、実施例2と同様にしてそれぞれ作製した。
(充放電試験と高温寿命試験)
充放電試験と高温寿命試験は、実施例2と同様に行った。
図7は、参考例と比較例3における正極活物質の元素分析の結果を示す図であり、正極活物質の表面酸化物(比較例3ではコーティング部)、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率(mol%)を示す図である。
参考例の正極活物質5Gでは、アルミニウムを含む表面酸化物からフッ素が検出され、リチウムはほぼ検出されなかった。また、複合酸化物の表層部からフッ素が検出されたが、中央部からはフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質5Gは、本発明による正極活物質であることが確認できた。
一方、比較例3の正極活物質ZGは、コーティング部から酸素が不純物的に検出されたが、コーティング部がアルミニウムとフッ素で構成されており、表面酸化物が存在せず、本発明による正極活物質ではないことが確認できた。
表3に、参考例の正極活物質5Gと比較例3の正極活物質ZGの、金属元素の溶出量、及びこれらの正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池容量、1CA放電時の容量比、高温寿命試験後の維持率を示す。
Figure 2016076454
参考例の正極活物質5Gは、比較例3の正極活物質ZGに比べ、金属元素の溶出量が少ない。この結果、正極活物質5Gを用いて作製した参考例の電池は、正極活物質ZGを用いて作製した比較例3の電池に比べ、維持率が高いという効果が得られた。また、参考例の電池は、比較例3の電池に比べ、電池容量と容量比がともに高いという効果が得られた。この理由は、正極活物質5Gの表面酸化物は、リチウムイオン拡散性が、正極活物質ZGのコーティング部よりも優れているためだと推定される。
実施例では、複合酸化物の組成がLiNi0.45Mn1.5Mg0.05である正極活物質5Mと、LiNi0.4Mn1.4Fe0.2である正極活物質5Eとを作製した。表面酸化物は、どちらの正極活物質も、フッ素化とリチウム化したチタン酸化物である。
正極活物質5Mと正極活物質5Eの作製方法を説明する。正極活物質5Mについては、MnO、酸化ニッケル、及び酸化マグネシウム(MgO)を用い、正極活物質5Eについては、MnO、酸化ニッケル、及び酸化鉄(Fe)を用い、実施例2と同様の方法でそれぞれの複合酸化物の原料を得て、実施例2と同様の方法でそれぞれの複合酸化物を得た。
これらの複合酸化物を用い、実施例1と同様の方法で複合酸化物に表面酸化物を設け、正極活物質5Mと正極活物質5Eとを作製した。
[比較例4]
比較例4として、実施例と同じ複合酸化物を用い、複合酸化物の表面に表面酸化物を設けずにフッ素化及びリチウム化処理をした正極活物質を2種類作製した。
組成が実施例の正極活物質5Mと同じ複合酸化物と、フッ化リチウムと水酸化リチウムとを混合した。混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、700℃で5時間、空気雰囲気で焼成し、正極活物質ZMを得た。
同様に、組成が実施例の正極活物質5Eと同じ複合酸化物を用い、正極活物質ZEを得た。
(正極の溶出試験)
正極の溶出試験は、実施例2と同様に行った。
(電池の作製)
作製した実施例と比較例4の正極活物質を用いて、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、実施例2と同様にしてそれぞれ作製した。
(充放電試験と高温寿命試験)
充放電試験と高温寿命試験は、実施例2と同様に行った。
図8及び図9は、実施例と比較例4における正極活物質の元素分析の結果を示す図であり、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率(mol%)を示す図である。図8には、正極活物質5M、及び正極活物質ZMの結果を、図9には、正極活物質5E、及び正極活物質ZEの結果を、それぞれ示す。
実施例の正極活物質5Mと正極活物質5Eでは、チタンを含む表面酸化物からフッ素とリチウムが検出された。また、複合酸化物の表層部からフッ素が検出されたが、中央部からはフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質5Mと正極活物質5Eは、本発明による正極活物質であることが確認できた。
なお、図8ではマグネシウムのプロットは他の元素のプロットと重なっており見えるように描かれていないが、実施例の正極活物質5Mでは、複合酸化物の表層部と中央部からマグネシウムが検出され、表面酸化物からはマグネシウムが検出されなかった。
一方、比較例4の正極活物質ZM、及び正極活物質ZEは、複合酸化物の表層部からフッ素が検出され、中央部からフッ素が検出されなかった。しかし、正極活物質ZM、及び正極活物質ZEは、表面酸化物を有しない。したがって、正極活物質ZM、及び正極活物質ZEは、本発明による正極活物質ではないことが確認できた。
表4に、実施例の正極活物質5M、及び正極活物質5Eと、比較例4の正極活物質ZM、及び正極活物質ZEの、金属元素の溶出量、及びこれらの正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池容量、1CA放電時の容量比、高温寿命試験後の維持率を示す。
Figure 2016076454
実施例の正極活物質5M、及び正極活物質5Eは、比較例4の正極活物質ZM、及び正極活物質ZEと比較して、ともに金属元素の溶出量が少ない。この結果、正極活物質5M、5Eを用いて作製した実施例の電池は、正極活物質ZM、ZEを用いて作製した比較例4の電池と比較して、維持率が高いという効果が得られた。また、実施例の電池は、比較例4の電池と比較して、電池容量が同程度か僅かながら高く、容量比が僅かながら高いという効果が得られた。
実施例では、複合酸化物の組成がLiNi0.4Mn1.4Co0.2である正極活物質5Cと、LiNi0.4Mn1.5Cu0.1である正極活物質5Uとを作製した。表面酸化物は、どちらの正極活物質も、フッ素化とリチウム化したタンタル酸化物である。
正極活物質5Cと正極活物質5Uの作製方法を説明する。正極活物質5Cについては、MnO、酸化ニッケル、及び酸化コバルト(Co)を用い、正極活物質5Uについては、MnO、酸化ニッケル、及び酸化銅(CuO)を用い、実施例2と同様の方法でそれぞれの複合酸化物の原料を得て、実施例2と同様の方法でそれぞれの複合酸化物を得た。
表面酸化物の原料として、ペンタエトキシタンタルを用いた。得られた複合酸化物と、複合酸化物に対し2重量%のペンタエトキシタンタルを用い、実施例2と同様の方法で複合酸化物に表面酸化物を設けて、フッ素化処理とリチウム化処理を行い、正極活物質5Cと正極活物質5Uとを作製した。
[比較例5]
比較例5として、実施例と同じ複合酸化物を用い、実施例と同じタンタル酸化物の表面酸化物を複合酸化物の表面に設けたが、表面酸化物にフッ素化処理とリチウム化処理を行わない正極活物質を2種類作製した。
実施例の正極活物質5Cと同じ複合酸化物を作製し、実施例と同様に表面酸化物を設ける処理を行い(フッ素化処理とリチウム化処理は行わない)、正極活物質ZCを作製した。
同様に、実施例の正極活物質5Uと同じ複合酸化物を用い、正極活物質ZUを作製した。
(正極の溶出試験)
正極の溶出試験は、充電上限電圧を5.0Vとした以外は、実施例2と同様に行った。
(電池の作製)
作製した実施例と比較例5の正極活物質を用いて、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、実施例2と同様にしてそれぞれ作製した。
(充放電試験と高温寿命試験)
充放電試験と高温寿命試験は、充電上限電圧を4.9Vとした以外は、実施例2と同様に行った。
図10及び図11は、実施例と比較例5における正極活物質の元素分析の結果を示す図であり、正極活物質の表面酸化物、複合酸化物の表層部、及び複合酸化物の中央部での元素比率(mol%)を示す図である。図10には、正極活物質5C、及び正極活物質ZCの結果を、図11には、正極活物質5U、及び正極活物質ZUの結果を、それぞれ示す。
実施例の正極活物質5Cと正極活物質5Uでは、タンタルを含む表面酸化物からフッ素とリチウムが検出された。また、複合酸化物の表層部からフッ素が検出されたが、中央部からはフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質5Cと正極活物質5Uは、本発明による正極活物質であることが確認できた。
一方、比較例5の正極活物質ZCと正極活物質ZUでは、タンタルを含む表面酸化物、及び複合酸化物の表層部のいずれもからフッ素が検出されなかった。したがって、正極活物質ZC、及び正極活物質ZUは、本発明による正極活物質ではないことが確認できた。
表5に、実施例の正極活物質5C、及び正極活物質5Uと、比較例5の正極活物質ZC、及び正極活物質ZUの、金属元素の溶出量、及びこれらの正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池容量、1CA放電時の容量比、高温寿命試験後の維持率を示す。
Figure 2016076454
実施例の正極活物質5C、及び正極活物質5Uは、比較例5の正極活物質ZC、及び正極活物質ZUと比較して、ともに金属元素の溶出量が少ない。この結果、正極活物質5C、5Uを用いて作製した実施例の電池は、正極活物質ZC、ZUを用いて作製した比較例5の電池と比較して、維持率が高いという効果が得られた。また、実施例の電池は、比較例5の電池と比較して、電池容量と容量比が同程度か僅かながら高いという効果が得られた。
以上の実施例で示したように、本発明によると、高電位を発現できて金属元素の溶出を抑制できる正極活物質と、容量と高温寿命に優れたリチウムイオン二次電池とを提供することができる。
11…アルミニウム製の集電箔、12…溶出試験用の正極、13…多孔質セパレータ、14…金属リチウム箔、15…銅製の集電箔、16…ラミネートシート、22…正極、23…多孔質セパレータ、26…ラミネートシート、27…負極、28…負極端子、29…正極端子。

Claims (6)

  1. Liと少なくともMnを含む遷移金属との複合酸化物と、
    2価以上の金属元素を有する酸化物である表面酸化物と、を有し、
    前記複合酸化物は、表層部がフッ素化しており、中央部がフッ素化しておらず、
    前記表面酸化物は、前記複合酸化物の表面に存在し、フッ素化しており、かつリチウム化している、
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. 前記複合酸化物は、Mnを含むスピネル型複合酸化物である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 前記複合酸化物は、一般式LiNiMn 4+α(Mは、Ti、Ge、Mg、Fe、Co、及びCuのうちの少なくとも1つ、0.3≦x≦0.55、1.2≦y≦1.6、0≦≦0.4、1.9≦x+y+z≦2.05、0.95≦a≦1.1、−0.2≦α≦0.1)で表される、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 前記表面酸化物は、前記金属元素としてAl、Ti、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn、及びTaのうち少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  5. 前記表面酸化物は、前記金属元素としてNb、Ta、及びTiのうち少なくとも1つを含み、リチウム化している、請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  6. 正極と、負極と、電解液とを備え、
    前記正極は、正極活物質として、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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