JP2020164403A - グラフェン分散液および二次電池用電極 - Google Patents

グラフェン分散液および二次電池用電極 Download PDF

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郁也 片瀬
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Abstract

【課題】高分散性であり、電極材料の添加剤として用いた場合に高い導電性を長期間維持することが可能なグラフェン水分散液を提供すること。 【解決手段】窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理を施したグラフェンと分散剤が、水を50質量%以上含む溶媒に分散したグラフェン分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、グラフェン分散液およびリチウムイオン電池、全固体電池等の二次電池用電極に関するものである。
グラフェンは、炭素原子からなる二次元結晶であり、2004年に発見されて以来、非常に注目されている素材である。グラフェンは、優れた電気特性、熱特性、光学特性および機械特性を有し、電池材料、エネルギー貯蔵材料、電子デバイス、複合材料などの分野において幅広い応用が期待されている。
グラフェンの製造方法としては、例えば、機械剥離法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、CEG(Crystal Epitaxial Growth)法、酸化還元法などが挙げられる。その中で、酸化還元法は、天然黒鉛の酸化処理により酸化黒鉛または酸化グラファイトを得た後、還元反応によりグラフェンを製造する方法であり、大量生産が可能であることから、産業的な製造方法として有望である。
また、リチウムイオン電池などの製造においては、電極に用いられる分散液の分散媒として、従来、N−メチルピロリドンなどの溶媒が用いられてきた。しかしながら、環境負荷の低減に対する関心が一段高まっており、負極に用いられる分散液の分散媒は、大部分が水に置き換えられており、近年、正極においても水への置き換えの検討が進められている。グラフェンの水分散液の製造方法に関して、例えば、分散剤としてセルロースナノファイバー水分散液を用いてグラフェンナノプレートレットを水に分散させることを特徴とするグラフェンナノプレートレット水分散液の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、炭素材を含む炭素材分散液を生成し、基材を前記炭素材分散液内に入れることで、前記基材の表面に前記炭素材分散液を接触させ、前記炭素材分散液に高エネルギー推力を提供し、前記高エネルギー推力が前記炭素材分散液を推進することにより、前記炭素材が前記基材に混入し、前記炭素材を含む複合材料を形成することを特徴とする高エネルギー推力を用いて炭素材を含む複合材料を製造する方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
特開2016−117639号公報 特開2016−147795号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2のような技術によってもなお、グラフェンの官能基が存在しないため、グラフェンが凝集し、水分散液中における分散性が低く、そのポテンシャルを発揮することができていなかった。本発明は、高分散性であり、電極材料の添加剤として用いた場合に高い導電性を長期間維持することが可能なグラフェン水分散液を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理を施したグラフェンと分散剤が、水を50質量%以上含む溶媒に分散したグラフェン分散液である。
本発明のグラフェン分散液は、分散性に優れる。本発明のグラフェン分散液を用いることにより、導電助剤として機能するために十分に薄いグラフェンが水中に十分に分散して存在することから、樹脂や電極ペースト中におけるグラフェンの分散性が良好になるとともに、活物質等の無機粒子表面へのグラフェンの吸着も容易となる。そのため、グラフェンがリチウムイオン電池等の活物質表面に吸着することにより、電極材料の添加剤として用いた場合に、活物質表面における高い導電性を長期間維持することが可能となる。
<グラフェン分散液>
本発明のグラフェン分散液は、窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理を施したグラフェンと分散剤が、水を50質量%以上含む溶媒に分散した分散液である。
〔グラフェン〕
グラフェンとは、狭義には1原子の厚さのsp結合炭素原子のシート(単層グラフェン)を指すが、本明細書においては、単層グラフェンが積層した薄片状の形態を持つものも含めてグラフェンと呼ぶ。また、酸化グラフェンも同様に、積層した薄片状の形態を持つものも含めた呼称とする。
本発明に用いられるグラフェンは、窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理が施されている。本明細書においては、表面処理が施されたグラフェンを「表面処理グラフェン」と記載する場合がある。窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理が施されていることにより、グラフェン表面に窒素を有し極性化合物となりやすくなるため、極性が高い分散媒である水との相互作用が起きやすく、その結果、水分散液中におけるグラフェンの分散性を向上させることができる。ここで本発明における分散性とは、特に記載がない限りは、分散液製造後の長期にわたる分散性を指し、具体的には、分散液を製造後1週間程度静置したときの分散性を指す。表面処理が施されているとは、表面処理剤がグラフェン表面に付着した状態を指し、表面処理グラフェンを質量比100倍の水に分散してろ過する洗浄工程を5回以上繰り返し、その後凍結乾燥、スプレードライ等の方法により乾燥した後に、当該表面処理剤が表面処理グラフェン中に残存していることをいう。表面処理剤が残存していることは、乾燥後の表面処理グラフェンの、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)による測定において、正二次イオンスペクトルで表面処理剤分子がプロトン付加分子の形で検出できることにより確認することができる。表面処理剤が塩の場合は、アニオン分子が除去された表面処理剤分子にプロトンが付加した形で検出することができる。
本発明に用いられる表面処理剤は、水との親和性を向上させるためにはアミノ基を有することが好ましい。さらに、芳香族炭化水素基とアミノ基の両方を有することが好ましく、芳香族炭化水素基がグラフェンと吸着するため、グラフェン同士の凝集を抑制することができ、二次電池において、高い導電性をより長期間維持することができる。
芳香族炭化水素基は、単環でも多環でもよいが、グラフェン分散効果をより向上させる観点から、その縮合数は1以上4以下であることが好ましい。また、芳香族炭化水素基中の芳香環は、その水素原子の少なくとも一部が置換されていてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜12の炭化水素基;エーテル結合、エステル結合、ヒドロキシル基および/またはカルボニル基を有する炭素数1〜12の有機基;アミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;カルボキシル基;カルボニル基;ハロゲン基;シアノ基;アルコキシ基:チオール基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基およびアミノ基を有する表面処理剤の具体例としては、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、アニリン、p−トルイジン、m−トルイジン、o−トルイジン、N−メチル−p―トルイジン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、1−アミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8−ジアミノピレン、3−(2−ナフチル)−L−アラニン、2−(1−ナフチル)アセトアミド、N−メチル−1−ナフチルメチルアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−イソプロピルアニリン、4−エチルアニリン、4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、4−ニトロアニリン、1,2,4−トリアミノベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−メチルジフェニルアミン、4−アミノジフェニルアミン、4−アミノトリフェニルアミン、2−ブロモアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、4−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、2−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、N−メチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−2−ナフチルアミン、2,4,6−トリクロロアニリン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、4−シアノアニリン、2,6−ジアミノトルエン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、4−メトキシアニリン、4−アミノベンゼンチオール、ホルムアニリド、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4−メチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N−tert―ブチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、N−エチルベンジルアミン、ベンズアミド、4−(1−アミノエチル)トルエン、4−フルオロベンジルアミン、クロロベンジルアミン、4−メチルベンズアミド、イソフタルアミド、N−エチル−N−メチルベンジルアミン、2−アミノベンジルアミン、4−(アミノメチル)安息香酸、トリベンジルアミン、4−アミノベンズアミド、2−クロロベンズアミド、4−クロロベンズアミド、2,4−ジクロロベンズアミド、N−ベンジルアセトアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、4−フルオロベンズアミドおよび1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、カテコール、ドーパミン、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、4−(1−ヒドロキシ−2−アミノエチル)カテコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、カフェイン酸、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルピロカテコールなどの化合物や、これらの塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
芳香族炭化水素基とアミノ基を有する表面処理剤の中でも、下記一般式(1)で表される化合物またはその塩が好ましい。かかる表面処理剤を用いて表面処理が施したグラフェンは、電気化学的安定性が高く、二次電池において、高い導電性をより長期間維持することができる。
Figure 2020164403
(一般式(1)中、Aは、縮合数1〜4の、フェノール性ヒドロキシ基を有しない芳香族炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基は、その水素原子の少なくとも一部が前述の置換基により置換されていてもよい。Rは、直接結合、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、もしくは、エーテル結合、エステル結合、水酸基および/またはカルボキシル基を有する炭素数1〜12の2価の有機基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、もしくは、エーテル結合、エステル結合、水酸基および/またはカルボキシル基を有する炭素数1〜12の2価の有機基を表す。nは、1〜6の整数を表す。)
下記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、アニリン、p−トルイジン、m−トルイジン、o−トルイジン、N−メチル−p―トルイジン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、1−アミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8−ジアミノピレン、3−(2−ナフチル)−L−アラニン、2−(1−ナフチル)アセトアミド、N−メチル−1−ナフチルメチルアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−イロプロピルアニリン、4−エチルアニリン、4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、4−ニトロアニリン、1,2,4−トリアミノベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−メチルジフェニルアミン、4−アミノジフェニルアミン、4−アミノトリフェニルアミン、2−ブロモアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、4−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、2−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、N−メチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−2−ナフチルアミン、2,4,6−トリクロロアニリン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、4−シアノアニリン、2,6−ジアミノトルエン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、4−メトキシアニリン、4−アミノベンゼンチオール、ホルムアニリド、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4−メチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N−tert―ブチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、N−エチルベンジルアミン、ベンズアミド、4−(1−アミノエチル)トルエン、4−フルオロベンジルアミン、クロロベンジルアミン、4−メチルベンズアミド、イソフタルアミド、N−エチル−N−メチルベンジルアミン、2−アミノベンジルアミン、4−(アミノメチル)安息香酸、トリベンジルアミン、4−アミノベンズアミド、2−クロロベンズアミド、4−クロロベンズアミド、2,4−ジクロロベンズアミド、N−ベンジルアセトアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、4−フルオロベンズアミド、1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミンなどの化合物が挙げられる。これらやその塩を2種以上用いてもよい。これらの中でも、導電性低下をより抑制する観点から、より低分子であることが好ましく、3−クロロアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、1−ナフチルアミンやこれらの塩が好ましい。
前記化合物と塩を形成する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、ホウ酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、副反応が少なく安定性が高いこと、取り扱いが容易であることなどから、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸が好ましい。
本発明に用いられる表面処理グラフェンの厚みには特に制限はないが、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。グラフェンの厚みが100nm以下であると、柔軟性が向上し、様々な材料と面で接触しやすくなることから、より強固な導電ネットワークを形成することができ、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができる。表面処理グラフェンの厚みは、以下のようにして求めることができる。まず、後述の方法により合剤層から分離した表面処理グラフェンを、水を用いて0.002質量%に希釈し、ガラス基板上に滴下、乾燥する。そして、基板上の表面処理グラフェンを、立体形状の測定が可能であるレーザー顕微鏡を用いて観察し、個々の表面処理グラフェンについて、厚みを測定する。個々の表面処理グラフェンの厚みにバラつきがある場合には、面積平均を求める。無作為に選択した50個の表面処理グラフェンについてこのように厚みを算出し、その算術平均値を表面処理グラフェンの厚みとする。
表面処理グラフェンの面方向の大きさにも特に制限はないが、下限として、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.7μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、上限として、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下である。表面処理グラフェンの面方向の大きさが0.5μm以上であると、材料と接する部分が増えることから、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性をより長期間維持することができる。一方、グラフェンの面方向の大きさが50μm以下であると、表面処理グラフェンの凝集を抑制し、電子抵抗を低減させることができる。グラフェンの面方向の大きさは、後述の方法により合剤層から分離したグラフェンを、レーザー顕微鏡を用いて倍率1,000倍で拡大観察し、無作為に選択した100個のグラフェンについてそれぞれ面積Sを測定し、2×(S/π)1/2によって得られる値の算術平均値を算出することにより求めることができる。
表面処理グラフェンの比表面積は、グラフェンの厚さとグラフェンの剥離度を反映している。グラフェンの比表面積が大きいほどグラフェンが薄く、剥離度が高いことを示している。グラフェンの比表面積が大きい、すなわち剥離度が高いほど、電極の導電ネットワークを形成しやすくなる一方、凝集しやすくなるため分散性が低下しやすい傾向にある。本発明に用いられる表面処理グラフェンのBET測定法により測定される比表面積は、80m/g以上250m/g以下であることが好ましく、100m/g以上200m/g以下であることがより好ましく、130m/g以上180m/g以下であることが更に好ましく、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができる。なお、BET測定法はJIS Z8830:2013に記載の方法で行い、吸着ガス量の測定方法はキャリアガス法で、吸着データの解析は一点法で行うものとする。
本発明に用いられる表面処理グラフェンは、X線光電子分光分析によって測定された炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.08以上0.30以下であることが好ましい。表面処理グラフェンのO/C比は、より好ましくは0.10以上0.20以下、更に好ましくは0.12以上0.17以下である。表面処理グラフェンのO/C比が0.08以上であると、分散性をより向上させることができ、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性をより長期間維持することができる。一方、表面処理グラフェンのO/C比が0.30以下であると、十分に還元され、π電子共役構造により導電性をより向上させることができ、二次電池において高い導電性を長期間維持することができる。表面処理グラフェン表面の酸素原子は、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、エステル結合(−C(=O)−O−)、エーテル結合(−C−O−C−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エポキシ基などの酸素原子を含有する極性の高い官能基に由来する。グラフェン自体の官能基だけでなく、表面処理グラフェンに用いる表面処理剤が有する官能基に由来する酸素原子も、「表面処理グラフェン表面の酸素原子」に含めるものとする。
O/C比は、例えば、化学剥離法を用いた場合は、原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり表面処理剤の量を変えたりすることにより調整することができる。酸化グラフェンの酸化度が高いほど還元後に残る酸素の量も多くなり、酸化グラフェンの酸化度が低いほど還元後の酸素量が低くなる。また、酸性基を有する表面処理剤の付着量が多くなるほど酸素量を多くすることができる。
また、本発明に用いられる表面処理グラフェンは、X線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素比(N/C比)が0.005以上0.030以下であることが好ましく、0.008以上0.025以下であることが好ましい。グラフェン表面の窒素原子は、表面処理グラフェンに用いられる表面処理剤に含まれる窒素に由来するものである。表面処理グラフェンのN/C比が0.005以上であると、表面処理グラフェンの極性溶媒に対する分散性が向上し、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性をより長期間維持することができる。一方、表面処理グラフェンのN/C比が0.030以下であると、グラフェンのπ電子共役構造により導電性をより向上させることができる。
本発明の表面処理グラフェンをX線光電子分光法で測定すると284eV付近に炭素に由来するC1sピークが検出されるが、炭素が酸素に結合している場合は高エネルギー側にシフトすることが知られている。具体的には炭素が酸素に結合していないC−C結合、C=C二重結合、C−H結合に基づくピークはシフトせずに284eV付近に検出され、C−O一重結合の場合286.5eV付近に、C=O二重結合の場合287.5eV付近に、COO結合の場合288.5eV付近にシフトする。そのため、炭素に由来する信号は、284eV付近、286.5eV付近、287.5eV付近、288.5eV付近のそれぞれのピークを重ね合わせた形で検出される。また同時に、402eV付近に窒素に由来するN1sピークが検出され、533eV付近には酸素に由来するO1sピークが検出される。さらに、C1sピークとO1sピークのピーク面積からO/C比を求めることができる。なお、N/C比は、O/C比と同様に、C1sピークとN1sピークのピーク面積から求めることができる。
〔分散剤〕
本発明のグラフェン分散液は、分散剤を含む。本発明における分散剤とは、水に表面処理グラフェンを均一に分散可能な材料を言う。分散剤を含む用いることにより、表面処理グラフェンの分散性を向上させ、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性を長期間維持することができる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、セルロースナノファイバー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸化合物、キトサン化合物や、それらの塩などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)やその塩は、増粘剤として働くため、分散液の粘度を高めて分散性をより向上させ、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができるため好ましい。
分散性をより向上させる観点から、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度は0.8以上1.2以下が好ましい。エーテル化度を0.8以上とすることにより、二次電池の作製において、ペースト固形分濃度の低下を抑制し、高い導電性をより長期間維持することができる一方、エーテル化度を1.2以下とすることにより、分散性をより向上させ、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができる。
本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度とは、カルボキシメチルセルロースまたはその縁の無水グルコース単位中に存在する水酸基に対するカルボキシメチル基の置換度をいう。単位中に水酸基が3つ存在するため、理論的にはエーテル化度「3.0」が可能である。
エーテル化度は、CMC工業会分析法(灰化法)に従い得ることができる。例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gを精秤し、磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムを、N/10硫酸を用いてフェノールフタレインを指示薬として滴定し、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gあたりの滴定量Y[mL]を用いて、次式により算出することができる。
エーテル化度=(162×Y)/(10,000−(80×Y))。
本発明において、分散剤としてカルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩を用いる場合、全分散剤の含有量に対するカルボキシメチルセルロースおよびその塩の合計含有量の重量比((カルボキシメチルセルロースおよびその塩)/全分散剤)は、0.5以上が好ましい。ここで、カルボキシメチルセルロースおよびその塩の合計含有量とは、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のみを含む場合はその含有量を、これらの両方を含む場合はその含有量の総和を指す。かかる重量比を0.5以上とすることにより、分散液の粘度を高めて分散性をより向上させ、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができる。
本発明のグラフェン分散液中における分散剤の含有量の、表面処理グラフェンの含有量に対する重量比(分散剤/表面処理グラフェン)は、0.1以上4.0以下が好ましく、0.4以上2.0以下がより好ましく、0.5以上1.0以下がさらに好ましい。かかる重量比が0.1以上の場合、グラフェンの分散性をより向上させ、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性をより長期間維持することができる。一方、かかる重量比が4.0以下である場合、電子伝導性が低い材料の割合が増加することによる高抵抗化を抑制することができる。
なお、分散液中に存在する分散剤の物性や含有量は、以下の方法により分析することができる。分散液を真空乾燥することにより得られる濃縮乾固物について、フーリエ変換赤外分光(略称FT−IR)分析や核磁気共鳴(略称NMR)分析により、分散剤の構造と含有量を算出することができる。ただし、分散液の原料の配合量が既知である場合には、原料配合量比から分散液中の含有量比としてもよい。
本発明のグラフェン分散液において、表面処理グラフェンと分散剤との合計含有量は、グラフェン分散液100質量%中、0.3質量%以上40質量%以下が好ましい。表面処理グラフェンと分散剤との合計含有量が0.3質量%以上であると、流動性が出やすく取り扱い性に優れる。表面処理グラフェンと分散剤との合計含有量が40質量%以下であると、分散液中におけるグラフェンの積層凝集を抑制し、分散性をより向上させることができ、二次電池において高い導電性をより長期間維持することができる。
グラフェン分散液における、表面処理グラフェンと分散剤との合計含有量は、他の固形分を含有しない場合には、グラフェン分散液から溶媒を乾燥させた後の質量を測定し、測定値をグラフェン分散液自体の質量で除すことにより算出することができる。具体的には、グラフェン分散液1g程度を質量既知のガラス基板上に付着させ、120℃に温度調整したホットプレート上で1.5時間加熱して溶媒を揮発させた際に残存した表面処理グラフェンの質量を測定する。ただし、分散液の原料の配合量が既知である場合には、原料の配合量比を分散液中の含有量比としてもよい。
〔溶媒〕
本発明のグラフェン分散液の溶媒(以下、分散媒、溶剤と呼ぶ場合がある。)は、水を50質量%以上含む。水を50質量%以上含むことにより、N−メチルピロリドンなどの溶媒を用いた場合と比較して、環境負荷の低減と分散液としての低コスト化が可能となる。水は極性が高い溶媒であるため、表面処理剤に含まれるアミノ基、ニトロ基などの窒素含有官能基と親和性が高い。本発明の表面処理グラフェンは、表面に窒素が存在するため、グラフェン、窒素および水の三者間で相互作用して良好な分散状態を形成する傾向がある。
溶媒は、水を50質量%以上含んでいればよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。水以外の溶媒としては、水と親和性が高い極性溶媒が好ましく、取り扱い性の観点から高沸点の溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。
<グラフェン分散液の製造方法>
本発明のグラフェン分散液は、一例として、
酸化グラフェンと、前述の窒素を有する表面処理剤とを溶媒中で混合する表面処理工程;
水を含む分散媒に分散した酸化グラフェンを還元する還元工程;
還元工程を経た中間体分散液と分散剤とを混合する分散剤混合工程;
分散剤を含む中間体分散液をミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/s以下で撹拌処理する強撹拌工程;
を含む製造方法により作製することができる。さらに、後述する洗浄工程や微細化工程を有してもよい。
〔酸化グラフェン〕
酸化グラフェンの作製法に特に限定はなく、ハマーズ法等の公知の方法を使用できる。また、市販の酸化グラフェンを購入してもよい。
酸化グラフェンは高い分散性を有するが、それ自体は絶縁性で導電助剤等に用いることはできない。酸化グラフェンの酸化度を低くすることにより、還元して得られるグラフェン粉末の導電性を向上させることができるため、酸化グラフェンの、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の割合は、0.4以上であることが好ましい。酸化グラフェンをX線光電子分光法で測定する際には、十分に溶媒を乾燥させた状態で行う。
また、内部までグラファイトが酸化されていると、還元した時に薄片状のグラフェン粉末が得られやすい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥させてX線回折測定をした時に、グラファイト特有のピークが検出されないことが望ましい。
酸化グラフェンの酸化度は、例えば、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることにより調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。黒鉛に対する硝酸ナトリウムの質量比は、0.20以上0.80以下が好ましく、0.25以上0.50以下がより好ましい。黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの比は、1.0以上が好ましく、1.40以上がより好ましく、1.65以上がさらに好ましい。また、黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの比は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましい。
〔表面処理工程〕
表面処理工程においては、酸化グラフェンを、前述の表面処理剤と混合する。表面処理剤は、少なくともその一部がグラフェンの表面に付着して存在していることにより、グラフェンの分散性を高める効果を発揮するものであり、水中におけるグラフェンの分散性向上に特に有効となる。
〔還元工程〕
還元工程においては、水を50質量%以上含む分散媒に分散した酸化グラフェンを還元する。還元工程で用いる溶媒としては、極性溶媒が好ましく、例えば、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、前述の表面処理工程を溶媒中で行う場合には、表面処理工程の終了後の状態でそのまま還元工程に移るか、あるいは表面処理工程で用いた溶媒と同じ溶媒で希釈して還元することが好ましい。
酸化グラフェンを還元する方法は特に限定されないが、化学還元が好ましい。化学還元の場合、還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤がより好ましい。
無機還元剤としては、例えば、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムが好ましく、酸性基を比較的保持しながら還元できるため、表面処理グラフェンの分散性をより向上させることができる。
〔洗浄工程〕
還元工程の後、好ましくは水で希釈し濾過する洗浄工程を行うことにより、表面処理グラフェンの純度が向上し、表面処理グラフェンが水に分散したゲル状の分散液が得られる。なお、本明細書においては、最終的に完成したグラフェン分散液以外の、表面処理グラフェンまたは酸化グラフェンが何らかの分散媒に分散した状態にある製造途中の中間体を、ゲル状のものも含め、便宜的に全て「中間体分散液」と呼ぶものとする。
〔微細化工程〕
還元工程の前後または最中に、中間体分散液に含まれる酸化グラフェンまたは還元後の表面処理グラフェンを微細化する微細化工程を行うことが好ましい。本発明で使用するグラフェン分散液を得るためには、酸化グラフェンを微細化した状態で還元工程を行うことが好ましいことから、微細化工程は還元工程の前または還元工程の最中に行うことが好ましい。
微細化工程を加えることにより、酸化グラフェンまたは表面処理グラフェンの面方向の大きさを前述の好ましい大きさにすることができる。微細化する手法としては特に限定はないが、例えば、複数のビーズやボールなどの粉砕メディアを分散液と混合し、粉砕メディア同士を衝突させる方法などが挙げられる。具体的には、圧力を印加した中間体分散液を単体のセラミックボールに衝突させる手法、圧力を印加した中間体分散液同士を衝突させて分散を行う液−液せん断型の湿式ジェットミルを用いる手法、中間体分散液に超音波を印加する方法などが挙げられる。
微細化工程においては、処理圧力や出力が高いほど酸化グラフェンまたは表面処理グラフェンは微細化する傾向にあり、処理時間が長いほど微細化する傾向にある。微細化工程における微細化処理の種類・処理条件・処理時間により還元後の表面処理グラフェンの大きさを前述の好ましい範囲に調整することができる。
〔分散剤混合工程〕
分散剤混合工程においては、還元工程後の中間体分散液と分散剤とを混合する。表面処理工程および還元工程を経て得られた中間体分散液または必要に応じてさらに洗浄工程および/または微細化工程を行った中間体分散液と、分散剤とを直接混合することが好ましい。すなわち、還元工程終了後から分散剤混合工程における分散剤との混合まで、中間体分散液は常に分散液の状態にあり、中間体分散液から水を除去してグラフェンを粉末状態として回収する凍結乾燥等の操作は行わないことが好ましい。
〔強撹拌工程〕
分散剤混合工程の後、中間体分散液を、ミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/sで撹拌処理する工程(強撹拌工程)を実施することが好ましい。強撹拌工程において表面処理グラフェンを剥離することにより、表面処理グラフェン同士のスタックを解消することができ、水中における表面処理グラフェンの分散性をより向上させることができる。このため、活物質等の無機粒子表面への表面処理グラフェンの吸着も容易となる。なお、本明細書においては、中間体分散液にこのような強い撹拌力を与えられる回転刃ミキサーを「強撹拌ミキサー」と呼ぶ。
強撹拌工程において、ミキサーの回転刃の周速は10m/s以上が好ましく、30m/s以上がより好ましい。ミキサーの回転刃の周速は、周長×回転速度で定義される。周速を適度に大きくすることにより、表面処理グラフェンの剥離を促進し、表面処理グラフェンの剥離度を向上させることができる。一方、周速を適度に小さくすることにより、分散性をより向上させることができる。
強撹拌工程におけるせん断速度は、毎秒5,000〜毎秒50,000が好ましい。せん断速度を適度に大きくすることにより、表面処理グラフェンの剥離を促進し、表面処理グラフェンの剥離度を向上させることができる。一方、せん断速度を適度に小さくすることにより、分散性をより向上させることができる。
せん断速度は、ミキサーの回転刃の最大径における周速を、ミキサー回転刃先端(最大径を決定する刃先)の壁面に対する距離で除した値である。
また、強撹拌工程の処理時間は15秒間から300秒間が好ましく、20秒間から120秒間がより好ましく、30秒間から80秒間がさらに好ましい。
強撹拌工程に用いる強撹拌ミキサーとしては、ディスパー付きのプラネタリミキサーやロボミクスなどの高い周速が得られる装置が好ましく、また薄膜旋回方式、ローター/ステーター式などの旋廻する刃と壁面との距離が10mm以下の短い形状であり、メディアレス方式の高いせん断力を有するミキサーがさらに好ましい。このような高いせん断力を有するミキサーとしては、例えば、“フィルミックス”(登録商標)30−30型(プライミクス社製)、“クレアミックス”(登録商標)CLM−0.8S(エム・テクニック社製)スーパーシェアミキサーSDRT0.35−0.75(佐竹化学機械工業(株)製)などが挙げられる。
<二次電池用電極>
前述のグラフェン分散液は、二次電池用電極に好適に用いることができる。二次電池用電極としては、二次電池用負極、二次電池用正極が挙げられる。
〔二次電池用負極〕
第1の態様として、前述したグラフェン分散液を用いて二次電池用負極を作製する。二次電池用負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、負極集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、負極活物質を含有し、さらに導電剤やバインダーを含むことができる。
負極活物質の例には、リチウム金属やリチウム合金;コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、有機高分子化合物燃焼体、炭素繊維などの炭素系活物質;Si、SiO、SnまたはSnOなどのリチウムと合金系活物質;チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブチタン酸化物、ナトリウムニオブチタン酸化物などが含まれる。これらを2種以上用いてもよい。負極活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
特に、Si、SiO、SnまたはSnOなどのリチウムと合金系活物質;チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブチタン酸化物、ナトリウムニオブチタン酸化物などは活物質自体が電子伝導性に乏しいため、本発明のグラフェン分散液と組み合わせることにより、二次電池において、電子抵抗をより低減し、高い導電性をより長期間維持することができる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、負極活物質間や負極活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。本発明のグラフェン分散液を用いるがそれ以外の導電剤と組み合わせてもよい。このような導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(カーボンナノファイバーともいう)、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素材料が含まれる。
バインダーは、分散された負極活物質の間隙を埋め、また、負極活物質と負極集電体を結着させるために配合される。バインダーの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、アルギン酸化合物、イミド化合物などが含まれる。これらを2種以上用いてもよい。
バインダーは、予め水に溶解させて用いることが好ましい。バインダー溶液の濃度は、5.0質量%以上20質量%以下が好ましく、7.0質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
負極活物質含有層中の活物質、導電剤及びバインダーは、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下、及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。
負極集電体は、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金からなることが好ましい。これらの中でも、銅箔が好ましく用いられる。負極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましい。
負極の製造方法の一例を以下に示す。負極活物質および前述のグラフェン分散液を、ミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/s以下で強撹拌処理した後、バインダー溶液を加え、その後、ミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/s以下で強撹拌処理した後、必要に応じて適量の水を加え、電極ペーストを調製し、集電箔に塗布し、乾燥した後、プレス機を用いてプレスを行うことにより、二次電池用負極を製造することができる。ここで、グラフェン分散液を電極ペースト作製前に一度乾燥させてしまうと凝集が強くなるため、乾燥せずに行うことが、最終的な負極における導電ネットワーク形成の観点から好ましい。
〔二次電池用正極〕
第2の態様として、前述したグラフェン分散液を用いて二次電池用正極を作製する。二次電池用正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質を含有し、さらに導電剤やバインダーを含むことができる。
二次電池用活物質粒子は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な二次電池用活物質の粒子である。このような二次電池用活物質の一例としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルをマンガン・コバルトなどの遷移元素で一部置換した三元系(LiNiMnCo1−y−Z)(0.8≦x≦1.5、y≧0、z≧0、y+z≦1を表す。)、コバルト・アルミニウムで一部置換した三元系(LiNiCoAl1−y−z)(0.8≦x≦1.5、y≧0、z≧0、y+z≦1を表す。)、あるいは固溶体系活物質、ジスルフィド、ポリ(ジスルフィド)、ポリスルフィド、チオール及びこれらの変性物などの硫黄系などを用いることができる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質間や正極活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。本発明のグラフェン分散液を用いるがそれ以外の導電助剤と組み合わせても良い。このような導電剤の例としては、二次電池用正極における導電剤として例示したものが挙げられる。
バインダーは、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体を結着させるために配合される。バインダーの例としては、二次電池用正極におけるバインダーとして例示したものが挙げられる。
バインダーは、予め水に溶解させて用いることが好ましい。バインダー溶液の濃度は、5.0質量%以上20質量%以下が好ましく、7.0質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
正極集電体としては、金属箔あるいは金属メッシュが好ましく用いられ、負極集電体を構成する材料として例示した金属が挙げられる。特に、アルミニウム箔が好ましく用いられる。正極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましい。
正極の製造方法の一例を以下に示す。正極活物質粒子および前述のグラフェン分散液を、ミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/s以下で強撹拌処理した後、バインダー溶液を加え、その後、ミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/s以下で強撹拌処理した後、必要に応じて適量の溶媒を加え、固形分濃度が65質量%〜75質量%になるように電極ペーストを調製し、集電箔に塗布し、乾燥した後、プレス機を用いてプレスを行うことにより二次電池用正極を製造することができる。
〔測定例1:O/C比、N/C比の測定〕
表面処理グラフェンおよびグラフェンのO/C比とN/C比は、Quantera SXM (PHI社製)を使用して測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°であった。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、酸素原子に基づくO1sピークを533eV付近のピーク、窒素原子に基づくN1sピークを402eV付近のピークに帰属し、各ピークの面積比からO/C比およびN/C比を求めた。測定は、各実施例および比較例において作製した還元後の表面処理グラフェンまたはグラフェン/水分散液を吸引濾過器を用いて濾過した後、水で0.5質量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄し、さらに凍結乾燥して得た表面処理グラフェンまたはグラフェンに対して行った。
〔測定例2:分散性の評価〕
各実施例および比較例において調製したグラフェン水分散液50gを、容積110mlのスクリュー管瓶(マルエム社製 スクリュー管瓶Nо.8)に入れ、1週間静置した後、目視によりグラフェンの沈降の有無を観察した。グラフェンの沈降が全く認められない場合をI、2層に分離しており、グラフェンを含む黒色層が全体の9割以上の体積を占める場合をII、2層に分離しており、グラフェンを含む黒色層が全体の8割以上9割未満の体積を占める場合をIII、2層に分離しており、グラフェンを含む黒色層が全体の5割以上8割未満の体積を占める場合をIV、2層に分離しており、グラフェンを含む黒色層が全体の5割未満の体積を占める場合をVと評価した。
〔測定例3:負極単極容量の測定〕
実施例1〜36および各比較例において作製した負極をφ16.1mmのポンチで打ち抜くことにより作用極とし、対極としてリチウム箔(厚さ500μm)を直径16.8mmに切り出し、さらに直径16.8mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)をセパレータとし、作用極、セパレータ、対極の順に組んだ後、LiPFを1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3(体積%)の溶媒を電解液として、2032型コイン電池を作製し、充放電試験機(東洋システム社製 TOSCAT−3100)にセットし、電気化学評価を行った。下限電圧10mVまで0.1Cで定電流充電を行い、下限電圧に達した後、0.01Cに達するまで定電圧充電を行った。その後、上限電圧1.5Vまで0.1Cで定電流放電を行った時の放電容量を負極単極容量とした。
〔測定例4:300サイクルおよび600サイクル後の放電容量の測定(寿命の評価)〕
実施例1〜36および各比較例において作製した負極をφ16.8mmのポンチで打ち抜くことにより対極とし、作用極として以下の正極を用いた。
導電助剤としてアセチレンブラックHS−100(電気化学工業(株)製“デンカブラック”(登録商標))を粉体のまま1.0質量部、バインダー溶液(5.0質量%)としてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)をバインダー固形分として1.0質量部加え、“フィルミックス”(登録商標)30−30型(プライミクス社)を用いて周速40m/s(せん断速度:毎秒40,000)で60秒間処理した。次に活物質材料としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3(メジアン径10μm)を100質量部加え、プラネタリミキサーを用いて30RPMで30分間混合した。さらに溶媒としてNMPを合計量35質量部になるように追加で添加した後、プラネタリミキサーを用いて1.5RPMで30分間混合して電極ペーストを得た。この電極ペーストを15.0mAh/cmとなるようにアルミニウム箔(厚さ18μm)にドクターブレードを用いて塗布し、80℃30分間乾燥後、ロールプレス機によりプレスを行い、真空乾燥機を用いて120℃5時間真空乾燥することにより正極を得た。
次に正極を直径16.1mmに切り出し、さらに直径16.8mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)をセパレータとし、負極、セパレータ、正極の順に組んだ後、LiPFを1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3(体積%)の溶媒を電解液として、2032型コイン電池を作製し、充放電試験機(東洋システム社製 TOSCAT−3100)にセットし、電気化学評価を行った。上限電圧4.2V、下限電圧2.5Vで、充電電圧まで1Cで定電流充電を行い、その後4.2Vで定電圧充電を行った。定電圧充電の終了電流は0.01Cであった。放電レートは1Cで行い、上述した1C充電、1C放電を繰り返し、計300回のサイクル試験を行った。また、実施例1〜5および12〜17については、さらに300回、計600回のサイクル試験を行った。300回目、ただし、実施例1〜5および12〜17については300回目および600回目のレート1Cの放電容量を測定することにより寿命を評価した。
実施例37においては、作製した正極をφ16.8mmのポンチで打ち抜くことにより作用極とし、実施例1において作製した負極をφ16.8mmのポンチで打ち抜くことにより対極として用いて、前記方法によりサイクル試験を行い、300回目のレート1Cの放電容量を測定することにより寿命を評価した。
(調製例1:酸化グラフェンゲルの調製)
1.500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械撹拌し、混合液の温度を20℃以下に保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間撹拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に1.5分間撹拌して反応させた。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間撹拌して反応させ、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを調製した。調製した酸化グラフェンゲルの、X線光電子分光法により測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)は0.53であった。
(実施例1)
調製例1において調製した酸化グラフェンゲルを、イオン交換水で濃度30mg/mlに希釈し、超音波洗浄機を使用して、超音波を30分間印加し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
得られた酸化グラフェン分散液20mlと、表面処理剤として0.3gのドーパミン塩酸塩を混合し、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて回転数3,000rpmで60分間処理した(表面処理工程)。処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社製)を使用して、出力300Wの条件で超音波を30分間印加した。処理後に酸化グラフェン分散液をイオン交換水で5mg/mlに希釈し、希釈した分散液20mlに0.3gの亜ジチオン酸ナトリウムを添加して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて、40℃で回転数3,000rpmで60分間処理しながら還元反応を行った。その後、減圧吸引濾過器で濾過し、さらに水で0.5質量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄後のウェットケーキを120℃に温度調整したホットプレート上で1.5時間加熱して水を揮発させ、残存したグラフェンの質量を測定し、測定値を乾燥前のウェットケーキの質量で除すことによりウェットケーキの濃度を測定したところ、2.7質量%であった。
洗浄後のウェットケーキに分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)水溶液(濃度1.0質量%)とイオン交換水をグラフェン/分散剤/水(質量比)=1.5/0.75/97.75となるように添加し、“フィルミックス”(登録商標)30−30型(プライミクス社)を用いて周速40m/s(せん断速度:毎秒40,000)で60秒間処理(強撹拌工程)し、グラフェン分散液を得た。分散液に含まれる表面処理グラフェンの面方向の大きさは3.6μmであった。
導電助剤として前記グラフェン分散液を表面処理グラフェン固形分として2.0質量部と、活物質粒子として天然黒鉛を96質量部加え、プラネタリミキサーを用いて回転数30rpmで30分間混合した。次にSBRエマルジョン(濃度48.3質量%)(JSR(株)製、型番TRD2001)を固形分換算で1質量部とイオン交換水を添加し、プラネタリミキサーを用いて回転数30rpmで30分間混合し、電極ペーストを得た。この電極ペーストを、9.7mAh/cmとなるように銅箔(厚さ10μm)にドクターブレードを用いて塗布した。ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いてプレスを行い、ガラスチューブオーブンを用いて80℃5時間真空乾燥することにより負極を作製した。
(実施例2)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)にかえてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2280、エーテル化度0.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例3)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)にかえてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#1330、エーテル化度1.2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例4)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)にかえてカルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙社製、型番F150LC、エーテル化度0.6)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例5)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)にかえてカルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙(株)製、型番A04SH、エーテル化度1.4)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例6)
グラフェン/分散剤/水(質量比)=1.5/1.5/97.0となるように調製したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、天然黒鉛の添加量を95質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例7)
グラフェン/分散剤/水(質量比)=0.75/1.5/97.75となるように調製したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、グラフェン分散液の添加量を表面処理グラフェン固形分として0.5質量部、天然黒鉛の添加量を97.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例8)
グラフェン/分散剤/水(質量比)=1.0/4.0/95.0となるように調製したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、グラフェン分散液の添加量を表面処理グラフェン固形分として0.5質量部、天然黒鉛の添加量を96.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例9)
グラフェン/分散剤/水=1.0/0.1/98.9となるように調製したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、グラフェン分散液の添加量を表面処理グラフェン固形分として5.0質量部、天然黒鉛の添加量を93.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例10)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、グラフェン分散液の添加量を表面処理グラフェン固形分として5.0質量部、天然黒鉛の添加量を91.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例11)
グラフェン/分散剤/水=1.5/0.75/47.75となるように調製したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、グラフェン分散液の添加量を表面処理グラフェン固形分として5.0質量部、天然黒鉛の添加量を91.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例12)
表面処理剤として0.3gの2−フェニルエチルアミン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例13)
表面処理剤として0.3gのベンジルアミン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例14)
表面処理剤として0.3gの3−クロロアニリン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例15)
表面処理剤として0.3gの1−ナフチルアミン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例16)
表面処理剤として0.3gのヘキシルアミン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例17)
表面処理剤として0.3gのブチルアミン塩酸塩を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例18)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を3重量部、天然黒鉛を93質量部混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例19)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を10重量部、天然黒鉛を86質量部混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例20)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を20重量部、天然黒鉛を76質量部混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例21)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を48重量部、天然黒鉛を48質量部混合としたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例22)
実施例1で得られたグラフェン分散液を用いて、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を96重量部混合したこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例23)
導電助剤として実施例1で得られたグラフェン分散液をグラフェン固形分として4.0質量部と、活物質粒子として天然黒鉛を46.5質量部、シリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を46.5重量部加えたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例24)
導電助剤として実施例1で得られたグラフェン分散液をグラフェン固形分として4.0質量部と、活物質粒子としてシリコン(シグマアルドリッチ社製、粒子径100nm)を93.0重量部加えたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例25)
分散剤としてアルギン酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製、濃度1.0質量%)を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして負極を作製した。
(実施例26)
実施例25により得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例21と同様にして負極を作製した。
(実施例27)
分散剤としてポリビニルピロリドン水溶液(富士フイルム和光純薬社製、濃度1.0質量%)を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして負極を作製した。
(実施例28)
実施例27により得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例21と同様にして負極を作製した。
(実施例29)
分散剤としてメチルグリコールキトサン水溶液(富士フイルム和光純薬社製、濃度1.0質量%)を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして負極を作製した。
(実施例30)
実施例29により得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例21と同様にして負極を作製した。
(実施例31)
分散剤としてセルロースナノファイバー水溶液(濃度1.0質量%)を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして負極を作製した。
(実施例32)
実施例31により得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例21と同様にして負極を作製した。
(実施例33)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)水溶液(濃度1.0質量%)およびアルギン酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬社製、濃度1.0質量%)を用い、グラフェン/カルボキシメチルセルロースナトリウム/アルギン酸ナトリウム/水(質量比)=1.5/0.6/0.15/97.75となるようにイオン交換水を添加したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例34)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)水溶液(濃度1.0質量%)およびアルギン酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製、濃度1.0質量%)を用い、グラフェン/カルボキシメチルセルロースナトリウム/アルギン酸ナトリウム/水(質量比)=1.5/0.45/0.30/97.75となるようにイオン交換水を添加したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例35)
分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム社製、型番#2200、エーテル化度0.9)水溶液(濃度1.0質量%)およびアルギン酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製、濃度1.0質量%)を用い、グラフェン/カルボキシメチルセルロースナトリウム/アルギン酸ナトリウム/水(質量比)=1.5/0.225/0.525/97.75となるようにイオン交換水を添加したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例36)
分散剤としてアルギン酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬社製、濃度1.0質量%)を混合したこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン水分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いて、実施例1と同様にして負極を作製した。
(実施例37)
導電助剤として実施例25により得られたグラフェン分散液をグラフェン固形分として2.0質量部と、活物質粒子としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3(メジアン径10μm)を100質量部加え、プラネタリミキサーを用いて30rpmで30分間混合した。次にSBRエマルジョン(濃度48.3質量%)(JSR(株)製、型番TRD2001)を固形分換算で1質量部、更にイオン交換水を添加し、プラネタリミキサーを用いて30rpmで30分間混合し、電極ペーストを得た。この電極ペーストを、15.0mAh/cmとなるようにアルミニウム箔(厚さ18μm)にドクターブレードを用いて塗布した。ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いて、プレスを行い、ガラスチューブオーブンを用いて80℃5時間真空乾燥することにより正極を作製した。
(比較例1)
実施例1において、洗浄後のグラフェンウェットケーキの代わりにアセチレンブラックHS−100(電気化学工業(株)製“デンカブラック”(登録商標))を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液を得た。得られたカーボンブラック分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例2)
実施例1において、洗浄後のグラフェンウェットケーキの代わりに“VGCF”(登録商標)−H(昭和電工(株)製気相成長炭素繊維、平均直径150nm、平均長さ6μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、気相成長炭素繊維分散液を得た。得られた気相成長炭素繊維分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例3)
実施例1において、洗浄後のグラフェンウェットケーキの代わりにFLoTube7010(Cnano社製カーボンナノチューブ、平均直径7〜11nm、平均長さ10〜20μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散液を得た。得られたCNT水分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例4)
実施例1において、表面処理剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例5)
実施例1において、洗浄後のグラフェンウェットケーキの代わりにグラフェン粉末(XG−SCIENCE社製、XGNP−M−5)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例6)
比較例2で調製した気相成長炭素繊維分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして負極を作製した。
(比較例7)
比較例2で調製した気相成長炭素繊維分散液を用いたこと以外は実施例21と同様にして負極を作製した。
各実施例、比較例における分散液組成と表面処理グラフェンおよびグラフェンの物性を表1〜2に、分散液を用いて作製した電極組成、電池性能を表3〜4にまとめた。
Figure 2020164403
Figure 2020164403
Figure 2020164403
Figure 2020164403

Claims (12)

  1. 窒素を含む表面処理剤を用いて表面処理を施したグラフェンと分散剤が、水を50質量%以上含む溶媒に分散したグラフェン分散液。
  2. 前記窒素を含む表面処理剤が、アミノ基を有する請求項1に記載のグラフェン分散液。
  3. 前記窒素を含む表面処理剤が、芳香族炭化水素基とアミノ基を有する請求項2に記載のグラフェン分散液。
  4. 前記窒素を含む表面処理剤が、下記一般式(1)で表される化合物またはその塩である、請求項2または3に記載のグラフェン分散液。
    Figure 2020164403
    (一般式(1)中、Aは、縮合数1〜4の、フェノール性ヒドロキシ基を有しない芳香族炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基は、その水素原子の少なくとも一部が置換されていてもよい。Rは、直接結合、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、もしくは、エーテル結合、エステル結合、水酸基および/またはカルボキシル基を有する炭素数1〜12の2価の有機基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、もしくは、エーテル結合、エステル結合、水酸基および/またはカルボキシル基を有する炭素数1〜12の2価の有機基を表す。nは、1〜6の整数を表す。)
  5. 前記分散剤が、カルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩を含む請求項1〜4いずれかに記載のグラフェン分散液。
  6. 前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度が0.8〜1.2である請求項5に記載のグラフェン分散液。
  7. 前記表面処理を施したグラフェンの、X線光電子分光法により測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.08以上0.30以下である、請求項1〜6いずれかに記載のグラフェン分散液。
  8. 前記表面処理を施したグラフェンの、X線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素比(N/C比)が0.005以上0.030以下である、請求項1〜7いずれかに記載のグラフェン分散液。
  9. 前記表面処理を施したグラフェンと分散剤との合計含有量が、0.3質量%以上40質量%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のグラフェン分散液。
  10. 前記表面処理を施したグラフェンの含有量に対する分散剤の含有量の重量比(分散剤/表面処理を施したグラフェン)が0.1〜4.0である、請求項1〜9のいずれかに記載のグラフェン分散液。
  11. 全分散剤の含有量に対するカルボキシメチルセルロースおよびその塩の合計含有量の重量比((カルボキシメチルセルロースおよびその塩)/全分散剤)が0.5以上である、請求項10に記載のグラフェン分散液。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のグラフェン分散液を用いて作製した二次電池用電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023040087A1 (zh) * 2021-09-17 2023-03-23 中国科学院深圳先进技术研究院 石墨烯铜基复合材料及其制备方法与应用

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