JP2020105316A - カーボンナノチューブ分散液およびその利用 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、密着性および導電性の高い電極膜を得るために、高い分散性を有するカーボンナノチューブ分散液、カーボンナノチューブ樹脂組成物および合材スラリーを提供することである。さらに詳しくは、優れたレート特性およびサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することである。【解決手段】 カーボンナノチューブ(A)と、分散剤(B)と、水及びまたは水溶性有機溶媒を含む溶媒(C)と、を含むカーボンナノチューブ分散液であって、カーボンナノチューブ(A)の比表面積が500〜800m2/gであり、動的光散乱法によって測定した累積粒径D50が200〜1000nmであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブの分散液に関する。さらに詳しくは、カーボンナノチューブ分散液、カーボンナノチューブ分散液とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物、カーボンナノチューブ分散液と樹脂と活物質とを含む合材スラリー、それを膜状に形成してなる電極膜、電極膜と電解質とを具備してなるリチウムイオン二次電池に関する。
電気自動車の普及や携帯機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、高いエネルギー密度を有する二次電池、さらに、その二次電池の高容量化が求められている。このような背景の下で高エネルギー密度、高電圧という特徴から非水系電解液を用いるリチウムイオン二次電池が多くの機器に使われるようになっている。
これらリチウムイオン二次電池に用いられる負極材料としては、リチウム(Li)に近い卑な電位で単位質量あたりの充放電容量の大きい黒鉛に代表される炭素材料が用いられている。しかしながらこれらの電極材料は質量当たりの充放電容量が理論値に近いところまで使われており、電池としての質量当たりのエネルギー密度は限界に近づいている。従って、電極としての利用率を上げるため、放電容量には寄与しない導電助剤やバインダーを減らす試みが行われている。
導電助剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、フラーレン、グラフェン、微細炭素材料等が使用されている。特に微細炭素繊維の一種であるカーボンナノチューブが多く使用されている。例えば、黒鉛やシリコン負極にカーボンナノチューブを添加することにより、電極抵抗を低減したり、電池の負荷抵抗を改善したり、電極の強度を上げたり、電極の膨張収縮性を上げることで、リチウム二次電池のサイクル寿命を向上させている。(例えば、特許文献1、2および3参照)また、正極にカーボンナノチューブを添加することにより、電極抵抗を低減する検討も行われている。(例えば、特許文献4および5参照)中でも、外径10nm〜数10nmの多層カーボンナノチューブは比較的安価であり、実用化が期待されている。
平均外径が小さいカーボンナノチューブを用いると、少量で効率的に導電ネットワークを形成することができ、リチウムイオン二次電池用の正極および負極中に含まれる導電助剤量を低減することができる。しかしながら、平均外径が小さいカーボンナノチューブは凝集力が強く分散が困難であるため、十分な分散性を有するカーボンナノチューブ分散液を得ることができなかった。
そこで、様々な分散剤を用いてカーボンナノチューブを分散安定化する方法が提案されている。例えば、水溶性高分子ポリビニルピロリドン等のポリマー系分散剤を用いた水及びNMP(N−メチル−2−ピロリドン)への分散が提案されている(特許文献4、5および6参照)。しかしながら、特許文献4では、外径10〜150nmのカーボンナノチューブを用いて作製した電極の評価を行っているが、電極抵抗が高い問題があった。また、特許文献5では、DBP吸油量の小さなカーボンナノチューブを用いた分散液が提案されているが、分散性は向上するものの、高い導電性を得ることが難しい問題があった。特許文献6では、単層カーボンナノチューブを用いた分散の検討が行われているが、溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度分散することが困難であった。特許文献7では、二層カーボンナノチューブを用いた分散の検討が行われているが、カーボンナノチューブの酸化処理や超音波ホモジナイザーでの分散が必要であり、溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度分散することが困難であった。したがって、外径が小さいカーボンナノチューブを分散媒に高濃度かつ均一に分散したカーボンナノチューブ分散液を得ることは、用途拡大に向けた重要な課題であった。
特開平4−155776号公報 特開平4−237971号公報 特開2004−178922号公報 特開2011−70908号公報 特開2014−19619号公報 特開2005−162877号公報 特開2010−254546号公報
本発明が解決しようとする課題は、密着性および導電性の高い電極膜を得るために、高い分散性を有するカーボンナノチューブ分散液、カーボンナノチューブ樹脂組成物および合材スラリーを提供することである。さらに詳しくは、優れたレート特性およびサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、比表面積が500〜800m2/gのカーボンナノチューブと、分散剤と、溶媒とを含み、動的光散乱法によって測定した累積粒径D50が200〜1000nmであるカーボンナノチューブ分散液を使用することにより、導電性および密着性に優れた電極膜が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、カーボンナノチューブ(A)と、分散剤(B)と、水及びまたは水溶性有機溶媒を含む溶媒(C)と、を含むカーボンナノチューブ分散液であって、カーボンナノチューブ(A)の比表面積が500〜800m2/gであり、動的光散乱法によって測定した累積粒径D50が200〜1000nmであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、分散液のpHが、6〜11であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)の平均外径が、1nm以上10nm未満であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(A)の体積抵抗率が、1.0×10-3〜1.5×10-2Ω・cmであることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ分散液100質量部に対してカーボンナノチューブ(A)が0.2〜2.0質量部含まれるカーボンナノチューブ分散液であって、カーボンナノチューブ分散液の粘度をB型粘度計を用いて、6rpmで測定した粘度をX、60rpmで測定した粘度をYとした際に、X/Yが、1.5≦X/Y≦5.5を満たすことを特徴とする、上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、分散剤(B)が、カーボンナノチューブ(A)100質量部に対して、30〜200質量部含まれることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、溶媒(C)が、水であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ分散液と、バインダー樹脂(D)とを含むことを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、バインダー樹脂(D)が、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタエンゴムおよびポリアクリル酸より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記カーボンナノチューブ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ樹脂組成物と活物質(E)とを含むことを特徴とする合材スラリーに関する。
また、本発明は、上記合材スラリーを膜状に形成してなる電極膜(F)に関する。
また、本発明は、正極と、負極と、リチウムイオンが移動可能な電解質とを具備してなるリチウムイオン二次電池であって、正極または負極の少なくとも一方が、上記電極膜を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池に関する。
本発明のカーボンナノチューブ分散液を使用することにより、導電性および密着性に優れた樹脂組成物、合材スラリー、電極膜が得られる。また、レート特性およびサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。よって高い導電性、密着性、耐久性が求められる様々な用途分野において、本発明のカーボンナノチューブ分散液を使用することが可能である。
以下、本発明のカーボンナノチューブ分散液、樹脂組成物、合材スラリーおよびそれを膜状に形成してなる電極膜、リチウムイオン二次電池について詳しく説明する。
(1)カーボンナノチューブ(A)
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)は、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。カーボンナノチューブ(A)は単層カーボンナノチューブが混在するものであってもよい。単層カーボンナノチューブは一層のグラファイトが巻かれた構造を有する。多層カーボンナノチューブは、二又は三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する。また、カーボンナノチューブ(A)の側壁はグラファイト構造でなくともよい。例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるカーボンナノチューブをカーボンナノチューブ(A)として用いることもできる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の形状は限定されない。かかる形状としては、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン又はカップ積層型)、トランプ状(プレートレット)及びコイル状を含む様々な形状が挙げられる。本実施形態においてカーボンナノチューブ(A)の形状は、中でも、針状、又は、円筒チューブ状であることが好ましい。カーボンナノチューブ(A)は、単独の形状、または2種以上の形状の組合せであってもよい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の形態は、例えば、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ及びカーボンナノファイバーを挙げることができるが、これらに限定されない。カーボンナノチューブ(A)は、これらの単独の形態又は二種以上を組み合わせられた形態を有していてもよい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)のBET比表面積は500〜800m2/gであり、500〜750m2/gのものがより好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の平均外径は1nm以上10nm未満であることが好ましく、3nm以上10nm未満であることがより好ましく、3nm以上8nm未満であることがさらに好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の外径の標準偏差は0.4〜5nmであることが好ましく、0.4〜4nmであることがより好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の外径および平均外径は次のように求められる。まず透過型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブ(A)を観測するとともに撮像する。次に観測写真において、任意の300本のカーボンナノチューブ(A)を選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてカーボンナノチューブ(A)の平均外径(nm)を算出する。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の分散前の繊維長は、0.1〜150μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の炭素純度はカーボンナノチューブ(A)中の炭素原子の含有率(質量%)で表される。炭素純度はカーボンナノチューブ(A)100質量%に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)中に含まれる金属量はカーボンナノチューブ(A)100質量%に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましく、2質量%未満がさらに好ましい。カーボンナノチューブ(A)に含まれる金属としては、カーボンナノチューブ(A)を合成する際に触媒として使用される金属や金属酸化物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、シリカ、マンガンやモリブデン等の金属、金属酸化物やこれらの複合酸化物が挙げられる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の純化処理方法としては、従来公知の様々な方法を用いることができる。例えば、酸処理、黒鉛化処理や塩素化処理が挙げられる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)を酸処理する際に使用する酸としては、カーボンナノチューブ(A)に含まれる金属および金属酸化物を溶解できるものであればよいが、無機酸やカルボン酸が好ましく、無機酸の中でも、塩酸、硫酸や硝酸が特に好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の酸処理は液相中で行われることが好ましく、液相中でカーボンナノチューブを分散および/または混合することがさらに好ましい。酸処理後のカーボンナノチューブは水洗し、乾燥することが好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の黒鉛化処理は、酸素濃度0.1体積%以下の不活性雰囲気下、カーボンナノチューブ(A)を1500℃〜3500℃で加熱することにより行うことができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の塩素化処理は、酸素濃度0.1体積%以下の不活性雰囲気下、塩素ガスを導入し、カーボンナノチューブ(A)を800℃〜2000℃で加熱することにより行うことができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)は、通常二次粒子として存在している。この二次粒子の形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブ(A)が複雑に絡み合っている状態でもよい。カーボンナノチューブ(A)を直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のカーボンナノチューブ(A)の集合体である二次粒子は、絡み合っているものと比べるとほぐれ易い。また直線状のものは、絡み合っているものに比べると分散性が良いのでカーボンナノチューブ(A)として好適に利用できる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)は、表面処理を行ったカーボンナノチューブでもよい。またカーボンナノチューブ(A)は、カルボキシル基に代表される官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノナノチューブ(A)も用いることができる。
カーボンナノチューブは、G/D比(G-bandとD-bandのピーク比)で評価される。本実施形態のカーボンナノチューブ(A)のG/D比はラマン分光分析法により求められる。本実施形態のカーボンナノチューブ(A)は、ラマンスペクトルにおいて1560〜1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310〜1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5〜50であることが好ましく、10〜50であることがより好ましく、30〜50であることがさらに好ましい。
ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmおよび632nmを利用する。ラマンスペクトルにおいて1590cm-1付近に見られるラマンシフトは、グラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm-1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いカーボンナノチューブほど、グラファイト化度が高い。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の体積抵抗率は1.0×10-3〜1.5×10-2Ω・cmであることが好ましく、1.0×10-3〜1.0×10-2Ω・cmであることがより好ましい。カーボンナノチューブ(A)の体積抵抗率は粉体抵抗率測定装置((株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システムMCP−PD−51))を用いて測定することができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)はどのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。カーボンナノチューブ(A)は一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法で製造できるが、これらに限定されない。例えば、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気中、500〜1000℃にて、炭素源を触媒と接触反応させることでカーボンナノチューブ(A)を製造することができる。炭素源は炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方でもよい。
カーボンナノチューブ(A)の炭素源となる原料ガスは、従来公知の任意のものを使用できる。例えば、炭素を含む原料ガスとしてメタン、エチレン、プロパン、ブタン及びアセチレンに代表される炭化水素、一酸化炭素、並びにアルコールを用いることができるが、これらに限定されない。特に使いやすさの観点から、炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方を原料ガスとして用いることが望ましい。
(2)分散剤(B)
本実施形態の分散剤(B)は、カーボンナノチューブ(A)を分散安定化できる範囲で特に限定されず、界面活性剤、樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性に分類される。カーボンナノチューブ(A)の分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。
アニオン性界面活性剤を選択する場合、その種類は特に限定されない。具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル及びポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩及びβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
またカチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類がある。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド及びドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。また両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
またノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
選択される界面活性剤は単独の界面活性剤に限定されない。このため二種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することも可能である。例えばアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせ、又はカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせが利用できる。その際の配合量は、それぞれの界面活性剤成分に対して好適な配合量とすることが好ましい。組み合わせとしてはアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせが好ましい。アニオン性界面活性剤はポリカルボン酸塩であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンフェニルエーテルであることが好ましい。
また樹脂型分散剤として具体的には、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンが挙げられる。特にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
(3)溶媒(C)
本実施形態の溶媒(C)は、カーボンナノチューブ(A)が分散可能な範囲であれば特に限定されないが、水、及び水溶性有機溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上からなる混合溶媒であり、水を含むことがより好ましい。水を含む場合は、溶媒(C)全体に対して95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶媒としては、アルコール系(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ベンジルアルコールなど)、多価アルコール系(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコールなど)、多価アルコールエーテル系(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなど)、アミン系(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミンなど)、アミド系(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルカプロラクタムなど)、複素環系(シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン系(ヘキサメチルホスホロトリアミド、スルホランなど)、低級ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、その他、テトラヒドロフラン、尿素、アセトニトリルなどを使用することができる。
(4)カーボンナノチューブ分散液
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブ(A)と分散剤(B)と溶媒(C)を含むものである。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液の累積粒径D50は、200〜1000nmであり、200〜800nmであることが好ましい。カーボンナノチューブ分散液の累積粒径D50は粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、Nanotrac UPA、model UPA−EX)を用いて測定することができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液を得るには、カーボンナノチューブ(A)を溶媒(C)中に分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(BRANSON社製Advanced Digital Sonifer(登録商標)、MODEL 450DA、エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のカーボンナノチューブ(A)の量は、カーボンナノチューブ分散液100質量部に対して、0.2〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液中の分散剤(B)の量は、カーボンナノチューブ(A)100質量部に対して、30〜200質量部使用することが好ましく、30〜100質量部使用することがより好ましく、30〜80質量部使用することがさらに好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液中のカーボンナノチューブ(A)の繊維長は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmが好ましく、0.3〜2μmが特に好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液のpHは6〜11であることが好ましく、7〜11であることがより好ましく、7〜10であることがさらに好ましく、7.5〜10であることが特に好ましい。カーボンナノチューブ分散液のpHはpH計(株式会社堀場製作所社製、pH METER F−52)を用いて測定することができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液の粘度は、B型粘度計を用いて、25℃6rpmで測定した粘度をX、60rpmで測定した粘度をYとした際に、X/Yが、1.5≦X/Y≦5.5であることが好ましく、1.5≦X/Y≦4.0であることがさらに好ましい。
(5)バインダー樹脂(D)
バインダー樹脂(D)とは、カーボンナノチューブなどの物質を結着する樹脂である。
本実施形態のバインダー樹脂(D)としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。この中でも、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸が好ましい。
バインダーの種類や量比は、カーボンナノチューブ、活物質など共存する物質の性状に合わせて、適宜選択される。例えば、カルボキシメチルセルロースを負極で使用する量については、負極活物質の質量を100質量%とした場合、カルボキシメチルセルロースの割合が0.5〜3.0質量%が好ましく、1.0〜2.0質量%がさらに好ましい。
スチレンブタジエンゴムは、水中油滴エマルションであれば、一般に黒鉛系負極の結着材として用いられているものを使用することができる。スチレンブタジエンゴムを負極で使用する量については、負極活物質の質量を100質量%とした場合、スチレンブタジエンゴムの割合が0.5〜3.0質量%が好ましく、1.0〜2.0質量%がさらに好ましい。
ポリアクリル酸を負極で使用する量については、負極活物質の質量を100質量%とした場合、ポリアクリル酸の割合が1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
(5)カーボンナノチューブ樹脂組成物
本実施形態のカーボンナノチューブ樹脂組成物は、カーボンナノチューブ(A)と分散剤(B)と溶媒(C)とバインダー樹脂(D)とを含むものである。
本実施形態のカーボンナノチューブ樹脂組成物を得るには、カーボンナノチューブ分散液(C)とバインダー樹脂(D)を混合し、均一化することが好ましい。混合方法としては、従来公知の様々な方法を行うことができる。カーボンナノチューブ樹脂組成物は前記カーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて作製することができる。
(6)合材スラリー
本実施形態の合材スラリーとは、カーボンナノチューブ(A)と分散剤(B)と溶媒(C)とバインダー樹脂(D)と活物質(E)を含むものである。
<活物質(E)>
本実施形態の活物質(E)とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2(xは0<x<1の数である。)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
本実施形態の負極活物質としては、上記シリコン系負極活物質に加えて、黒鉛系負極活物質を併用することが好ましい。
シリコン系負極活物質としては、例えば、二酸化珪素を炭素で還元して作製される所謂冶金グレードシリコンや、冶金グレードシリコンを酸処理や一方向凝固などで不純物を低減した工業グレードシリコン、そしてシリコンを反応させて得られたシランから作製される高純度の単結晶、多結晶、アモルファスなど結晶状態の異なる高純度シリコンや、工業グレードシリコンをスパッタ法やEB蒸着(電子ビーム蒸着)法などで高純度にすると同時に、結晶状態や析出状態を調整したシリコンなどが挙げられる。
また、シリコンと酸素の化合物である酸化珪素や、シリコンと各種合金及びそれらの結晶状態を急冷法などで調整したシリコン化合物も挙げられる。中でも、外側がカーボン皮膜で被覆された、珪素ナノ粒子が酸化珪素中に分散した構造を有するシリコン系負極活物質が好ましい。
シリコン系負極活物質の量は、黒鉛系負極活物質100質量%とした場合、3〜50質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本実施形態の活物質のBET比表面積は0.1〜10m2/gのものが好ましく、0.2〜5m2/gのものがより好ましく、0.3〜3m2/gのものがさらに好ましい。
本実施形態の活物質の平均粒子径は0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
(7)合材スラリーの製造方法
本実施形態の合材スラリーは従来公知の様々な方法で作製することができる。例えば、カーボンナノチューブ樹脂組成物に活物質(E)を添加して作製する方法や、カーボンナノチューブ分散液に活物質(E)を添加した後、バインダー樹脂(D)を添加して作製する方法が挙げられる。
本実施形態の合材スラリーを得るには、カーボンナノチューブ樹脂組成物に活物質を加えた後、分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。合材スラリーは前記カーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて、合材スラリーを得ることができる。
本実施形態の合材スラリー中の活物質(E)の量は合材スラリー100質量%に対して、20〜85質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態の合材スラリー中のカーボンナノチューブ(A)の量は活物質100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.02〜2質量%であることが好ましく0.03〜1質量%であることが好ましい。
本実施形態の合材スラリー中のバインダー樹脂(D)の量は活物質100質量%に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが特に好ましい。
本実施形態の合材スラリーの固形分の量は、合材スラリー100質量%に対して、30〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、40〜75質量%であることが好ましい。
(8)電極膜
本実施形態の電極膜とは、合材スラリーを膜状に形成してなるものである。例えば、集電体上に合材スラリーを塗工乾燥することで、電極合材層を形成した塗膜である。
本実施形態の電極膜に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
(8)リチウムイオン二次電池
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを具備してなり、正極または負極の少なくとも一方が、本発明の電極膜を含むものである。
正極としては、集電体上に正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。
負極としては、集電体上に負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。
電解質としては、イオンが移動可能な従来公知の様々なものを使用することができる。例えば、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4(ただし、Phはフェニル基である)等リチウム塩を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。電解質は非水系の溶媒に溶解して、電解液として使用することが好ましい。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
本実施形態のリチウムイオン二次電池には、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中、「カーボンナノチューブ」を「CNT」を略記することがある。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
<物性の測定方法>
後述の各実施例及び比較例において使用されたCNTの物性は以下の方法により測定した。
<CNTのラマン分光分析>
ラマン顕微鏡(XploRA、株式会社堀場製作所社製)にCNTを設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行った。測定条件は取り込み時間60秒、積算回数2回、減光フィルタ10%、対物レンズの倍率20倍、コンフォーカスホール500、スリット幅100μm、測定波長は100〜3000cm-1とした。測定用のCNTはスライドガラス上に分取し、スパチュラを用いて平坦化した。得られたピークの内、スペクトルで1560〜1600cm-1の範囲内で最大ピーク強度をG、1310〜1350cm-1の範囲内で最大ピーク強度をDとし、G/Dの比をCNTのG/D比とした。
<CNTの体積抵抗率>
粉体抵抗率測定装置((株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システムMCP−PD−51)を用い、試料質量1.2gとし、粉体用プローブユニット(四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mm)により、印加電圧リミッタを90Vとして、種々加圧下の導電性粉体の体積抵抗率[Ω・cm]を測定した。1g/cm3の密度におけるCNTの体積抵抗率の値について評価した。
<CNT純度の測定>
CNTをマイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル社製、ETHOS1)を使用し、酸分解し、CNTに含まれる金属を抽出した。その後、マルチ型ICP発光分光分析装置(Agilent社製、720−ES)を用いて分析を行い、抽出液に含まれる金属量を算出した。CNTの純度は次のようにして計算した。
(式1)CNT純度(%)=((CNT質量−CNT中の金属質量)÷CNT質量)×100
<CNTの比表面積>
CNTを電子天秤(sartorius社製、MSA225S100DI)を用いて、0.03g計量した後、110℃で15分間、脱気しながら乾燥させた。その後、全自動比表面積測定装置(MOUNTECH社製、HM−model1208)を用いて、CNTの比表面積を測定した。
<CNT分散液の粘度測定>
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌してから、粘度計(TOKISANGYO CO.LTD、VISCOMETER、MODEL BL)を用いて、撹拌速度6rpmと60rpm時の粘度を測定した。
<CNT分散液の粒度分布測定>
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌および希釈してから、粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、Nanotrac UPA、model UPA−EX)を用いて、CNT分散液の累積粒径D50を測定した。CNTの粒子屈折率は1.8、形状は非球形とした。溶媒の屈折率は1.333とした。測定の際は、ローディングインデックスの数値が0.8〜1.2の範囲になるようにCNT分散液の濃度を希釈して行った。
<CNT分散液のpH測定>
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌してから、pH計(株式会社堀場製作所社製、pH METER F−52)を用いて測定した。
<負極用の電極膜の体積抵抗率>
負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cm2となるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させた。その後、(株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP、MCP−T610を用いて乾燥後の塗膜の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、銅箔上に形成した電極合材層の厚みを掛けて、負極用の電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)とした。電極合材層の厚みは、膜厚計(NIKON社製、DIGIMICRO MH−15M)を用いて、電極膜中の3点を測定した平均値から、銅箔の膜厚を引き算し、電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)とした。
<負極用の電極膜の剥離強度>
合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cm2となるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させた。その後、塗工方向を長軸として90mm×20mmの長方形に2本カットした。剥離強度の測定には卓上型引張試験機(東洋精機製作所社製、ストログラフE3)を用い、180度剥離試験法により評価した。具体的には、100mm×30mmサイズの両面テープ(No.5000NS、ニトムズ(株)製)をステンレス板上に貼り付け、作製した電池電極合材層を両面テープのもう一方の面に密着させ、一定速度(50mm/分)で下方から上方に引っ張りながら剥がし、このときの応力の平均値を剥離強度とした。
<リチウムイオン二次電池のレート特性評価>
ラミネート型リチウムイオン二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM−8)を用いて充放電測定を行った。充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流1mA(0.02C))を行った後、放電電流10mA(0.2C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流(1mA0.02C))を行い、放電電流0.2Cおよび3Cで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と3C放電容量の比、以下の式1で表すことができる。
(式1) レート特性 = 3C放電容量/3回目の0.2C放電容量 ×100 (%)
<リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価>
ラミネート型リチウムイオン二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM−8)を用いて充放電測定を行った。充電電流25mA(0.5C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流2.5mA(0.05C))を行った後、放電電流25mA(0.5C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を50回繰り返した。1Cは正極の理論容量を1時間で放電する電流値とした。サイクル特性は25℃における3回目の0.5C放電容量と50回目の0.5C放電容量の比、以下の式2で表すことができる。
(式2)サイクル特性 = 3回目の0.5C放電容量/50回目の0.5C放電容量×100(%)
<正極用合材スラリー及び正極の作製>
後述の各実施例及び比較例において使用された正極用合材スラリーおよび正極は以下の方法により作製した。
<正極用合材スラリーの作製>
正極活物質(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社製、HED(登録商標)NCM−111 1100)93質量部、アセチレンブラック(デンカ株式会社製、デンカブラック(登録商標)HS100)4質量部、PVDF(株式会社社クレハ・バッテリー・マテイラルズ・ジャパン社製、クレハKFポリマー W#1300)3質量部を容量150cm3のプラスチック容器に加えた後、ヘラを用いて粉末が均一になるまで混合した。その後、NMPを20.5質量部添加し、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE−310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。その後、プラスチック容器内の混合物をヘラを用いて、均一になるまで混合し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらにその後、NMPを14.6質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。最後に、高速攪拌機を用いて、3000rpmで10分間撹拌し、正極用合材スラリーを得た。
<正極の作製>
上述の正極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間乾燥して電極の単位面積当たりの目付量が20mg/cm2となるように調整した。さらにロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cm3となる正極を作製した。
表1に実施例および比較例で使用したCNT、CNTの平均外径、CNTの比表面積、G/D比、体積抵抗率、炭素純度、CB、CBの粒径を示す。
なお、市販品のCNTの平均外径は、カタログ値を記載した。
Figure 2020105316
表2に実施例、比較例および参考例で使用した分散剤を示す。
Figure 2020105316
(実施例1)
ガラス瓶(M−140、柏洋硝子株式会社製)に、CNT(JEIO社製 JENOTUBE 8S)を0.8部、分散剤(A)0.32部、消泡剤(サンノプコ株式会社製 SNデフォーマー1312)0.03部、イオン交換水を78.85部およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.5mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて10時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(A1)を得た。
(実施例2〜18)、(比較例1〜9)
表3に掲載したCNT、CB、CNT濃度、分散剤、分散剤添加量、消泡剤添加量、分散処理時間に変更した以外は実施例1と同様の方法により、CNT分散液(A2)〜(H3)を得た。
Figure 2020105316
表4に実施例1〜18、比較例1〜9で作製したCNT分散液の評価結果を示す。6rpmにおけるCNT分散液の粘度を60rpmにおけるCNT分散液の粘度で除したものをTI値とした。
Figure 2020105316
(実施例19)
容量150cm3のプラスチック容器にCNT分散液(A1)2.5質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース、ダイセルファインケム株式会社製、#1190)を2質量%溶解した水溶液を12.5質量部、イオン交換水9.9質量部を計量した。その後、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE−310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、CNT樹脂組成物(A1)を得た。その後、一酸化珪素(株式会社大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICON MONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm)を1.2質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらに、人造黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB−20)を23.1質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらにその後、スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)0.78質量部を加えて、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、合材スラリー(A1)を得た。
(実施例20〜36)、(比較例10〜18)
表5に掲載したCNT分散液に変更した。使用するCNT分散液のCNT濃度が1.5%の時は、CNT分散液の添加量を1.7質量部、CNT分散液の濃度が2%の時は、CNT分散液の添加量を0.8質量部、CNT分散液の濃度が3%の時は、CNT分散液の添加量を0.8質量部とした以外は実施例19と同様の方法により、合材スラリー(A2)〜(H3)を得た。
Figure 2020105316
(比較例19)
CNT分散液(A1)2.5質量部の代わりに、CB(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、ケッチェンブラック EC300J)を0.025質量部とイオン交換水2.475質量部加えた以外は実施例19と同様の方法により、CB樹脂組成物(I1)、合材スラリー(I1)を得た。
(実施例37)
イオン交換水9.9質量部の代わりに、ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量25万)を30%溶解した水溶液を0.8質量部と、イオン交換水9.1質量部を加えた以外は実施例19と同様の方法により、CNT樹脂組成物(AP1)、合材スラリー(AP1)を得た。
(実施例38)
イオン交換水9.9質量部の代わりに、ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量25万)を30%溶解した水溶液を4.2質量部と、イオン交換水5.7質量部加えた以外は実施例19と同様の方法により、CNT樹脂組成物(AP5)、合材スラリー(AP5)を得た。
(実施例39)
合材スラリー(A1)を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cm2となるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させ電極膜(A1)を得た。
(実施例40〜58)、(比較例19〜28)
表6に掲載した合材スラリーに変更した以外は実施例39と同様の方法により、電極膜(A2)〜(I1)を得た。
Figure 2020105316
表7に実施例39〜58、比較例19〜28で作製した電極膜の評価結果を示す。導電性の評価は電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)が0.30未満を+++(優良)、0.30以上0.40未満を++(良)、0.40以上0.70未満を+(可)、0.70以上を−(不可)とした。密着性(N/cm)の評価は1.00以上を++++(最良)、0.50以上1.00未満を+++(優良)、0.30以上0.50未満を++(良)、0.20以上0.30未満を+(可)、0.20未満を−(不可)とした。
Figure 2020105316
(実施例59)
電極膜(A1)をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cm3となる負極を作製した。
(実施例60〜78)、(比較例29〜38)
表8に掲載した電極膜に変更した以外は実施例59と同様の方法にて、負極を作製した。
Figure 2020105316
(実施例79)
負極(A1)と正極を各々50mm×45mm、45mm×40mmに打ち抜きその間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)と共にアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、70℃で1時間乾燥した。その後、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒を作製し、さらに前記電解液100質量部に対して、添加剤として、VC(ビニレンカーボネート)とFEC(フルオロエチレンカーボネート)を各1質量部加えた後、LiPF6を1Mの濃度となるよう溶解させた非水電解液)を2mL注入した後、アルミ製ラミネートを封口してラミネート型リチウムイオン二次電池(A1)を作製した。
(実施例80〜98)、(比較例39〜48)
表9に掲載された負極に変更した以外は同様の方法により、ラミネート型リチウムイオン二次電池(A2)〜(I1)を作製した。
Figure 2020105316
表10に実施例79〜98、比較例39〜48で作製したラミネート型リチウムイオン二次電池の評価結果を示す。レート特性は、レート特性が80%以上のものを+++(優良)、70%以上80%未満のものを++(良)、60%以上70%未満のものを+(可)、60%未満のものを−(不可)とした。サイクル特性は、サイクル特性が96%以上を+++(優良)、95%以上96%未満を++(良)、93%以上95%未満を+(可)、93%未満を−(不可)とした。
Figure 2020105316
表11に、本発明の効果を明確にすべく、まとめなおした。実施例1、6、12、13、比較例1〜4、7で用いたCNTおよびCNT分散液を使用して作製したラミネートリチウムイオン二次電池の評価結果を示す。
Figure 2020105316
上記実施例では、比表面積が500〜800m2/gのカーボンナノチューブであり、動的光散乱法によって測定した累積粒径D50が200〜1000nmであるカーボンナノチューブ分散液を用いた。実施例では、比較例に比べてサイクル特性に優れたリチウム二次電池が得られた。よって、本発明は従来のカーボンナノチューブ分散液では実現しがたい導電性を有するリチウム二次電池を提供できることが明らかとなった。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

Claims (12)

  1. カーボンナノチューブ(A)と、分散剤(B)と、水及びまたは水溶性有機溶媒を含む溶媒(C)と、を含むカーボンナノチューブ分散液であって、カーボンナノチューブ(A)の比表面積が500〜800m2/gであり、動的光散乱法によって測定した累積粒径D50が200〜1000nmであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  2. 分散液のpHが、6〜11であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. カーボンナノチューブ(A)の平均外径が、1nm以上10nm未満であることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノチューブ分散液。
  4. カーボンナノチューブ(A)の体積抵抗率が、1.0×10-3〜1.5×10-2Ω・cmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカーボンナノチューブ分散液。
  5. カーボンナノチューブ分散液100質量部に対してカーボンナノチューブ(A)が0.2〜2.0質量部含まれるカーボンナノチューブ分散液であって、カーボンナノチューブ分散液の粘度をB型粘度計を用いて、6rpmで測定した粘度をX、60rpmで測定した粘度をYとした際に、X/Yが、1.5≦X/Y≦5.5を満たすことを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載のカーボンナノチューブ分散液。
  6. 分散剤(B)が、カーボンナノチューブ(A)100質量部に対して、30〜200質量部含まれることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のカーボンナノチューブ分散液。
  7. 溶媒(C)が、水であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のカーボンナノチューブ分散液。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のカーボンナノチューブ分散液と、バインダー樹脂(D)とを含むことを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物。
  9. バインダー樹脂(D)が、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタエンゴムおよびポリアクリル酸より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物。
  10. 請求項9記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物と活物質(E)とを含むことを特徴とする合材スラリー。
  11. 請求項10記載の合材スラリーを膜状に形成してなる電極膜(F)。
  12. 正極と、負極と、リチウムイオンが移動可能な電解質とを具備してなるリチウムイオン二次電池であって、正極または負極の少なくとも一方が、請求項11記載の電極膜を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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