JP2023092639A - 非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物、それを用いた非水電解質二次電池用分散液、非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物、それを用いた非水電解質二次電池用分散液、非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、簡便な方法で分散可能なカーボン材料樹脂複合物を提供することである。【解決手段】カーボン材料と樹脂材料とを含む、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物であって、前記樹脂複合物中におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmである、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物。カーボン材料の全質量を1とした際の樹脂材料の質量比が0.4~10の範囲である、前記の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物、それを用いた非水電解質二次電池用分散液、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池に関する。
近年、電気自動車の普及、携帯機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、高いエネルギー密度を有する二次電池と、その高容量化が求められている。このような背景の下、高エネルギー密度、高電圧という特徴から、非水系電解液や固体電解質を用いる非水電解質二次電池として、特にリチウムイオン二次電池が多くの機器に使用されている。
このような二次電池の分野において、例えば、特許文献1~3では導電材の分散液の分散性能を改善させ電池特性を向上させることが記載されている。一方、導電材として使われるカーボン材料は難分散のものが多く、上記特許文献のように単独で分散液を作製し、その後活物質と混ぜ合材スラリーを作製するのが一般的である。しかしながら単独で分散液を作製した場合、合材スラリー作製までに時間が空く際に沈降等、分散状態の悪化が生じるという問題に加え、合材スラリー中に電解質を含むタイプの電池においては水分を嫌うため、分散体の吸湿が問題となる場合がある。
上記課題に対しては、分散液の溶媒を除去して固化させたカーボン材料において、再分散をした場合に分散の再現性の高いものができれば有効な手段となると考えられる。特許文献4にはカーボンナノチューブと非イオン界面活性剤と固体の増粘剤との混合物を溶解させて水分散液を調製した後に、スプレードライ法により該水分散液から水を除去し、更に水に再分散する方法が記載されている。
特開2021-86725号公報 特開2020-11872号公報 国際公開第2019/188535号 特開2009-196828号公報
リチウムイオン二次電池用の合材スラリーの作製の際には、活物質の微粒化や剥離が生じないようにプラネタリーミキサーやディスパーのような衝撃力やせん断力が弱く、キャビテーションを抑制した分散装置が使われることが多い。
しかしながら、特許文献4では乾燥工程で形成した凝集体の解砕には超音波撹拌装置、高粘度用ホモジナイザーなどによる再分散が必要となるため、上記のような簡便な方法で凝集体が解砕された分散液を実現することは困難である。
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決するため、簡便な方法で分散可能なカーボン材料樹脂複合物を提供することである。
すなわち本発明は、カーボン材料と樹脂材料とを含む、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物であって、前記樹脂複合物中におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmである、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物に関する。
また本発明は、カーボン材料の全質量を1とした際の樹脂材料の質量比が0.4~10の範囲である、上記非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物に関する。
また本発明は、樹脂材料の重量平均分子量が20,000~10,000,000である、上記非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物に関する。
また本発明は、上記の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物と、溶媒とを含む、非水電解質二次電池用分散体であって、前記カーボン材料樹脂複合物が溶媒中に分散された状態であり、前記カーボン材料の溶媒中の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmである、非水電解質二次電池用分散体に関する。
また本発明は、上記の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物、または上記の非水電解質二次電池用分散体を含む、非水電解質二次電池用電極に関する。
また本発明は、上記の非水電解質二次電池用電極を備える、非水電解質二次電池に関する。
本発明の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物により、簡便な方法で分散可能なカーボン材料樹脂複合物の提供が可能となる。
実施例で製造したカーボン材料樹脂複合体の分散体(1)を乾燥させ、SEMにより観察した図である。 比較例で製造したカーボン材料樹脂複合体の分散体(11)を乾燥させ、SEMにより観察した図である。
本発明の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物は、カーボン材料と、樹脂材料とを含み、カーボン材料の二次粒子同士が凝集することなく樹脂中に分散されていることを特徴とする。
すなわち樹脂材料により乾燥過程におけるカーボンの材料同士の乾燥凝集を抑制でき、超音波振動やキャビテーション、メディアによる破砕等の強い分散を必要とせずカーボン材料を容易に解砕可能となる。そのため、合材スラリーを作製する際、ホモディスパーや自転公転ミキサーなどの簡易的な方法でも高分散を実現できる。したがって電極の電子抵抗を低く抑えることができ、該カーボン材料樹脂複合物を用いた電極を備える電池は、優れた電池特性を発揮できる。
また、本発明のカーボン材料樹脂複合物は固体状態であるため、合材スラリーの作製にあたり分散体の輸送や保管時における沈降や増粘等の分散安定性の問題を解消できる。更に、乾燥による脱水が容易なため吸湿性の問題も解消することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物を「カーボン材料複合物」、非水電解質二次電池用カーボン材料複合物を溶媒に分散させた分散体を「分散体」、非水電解質二次電池用電極を「電極」という場合がある。なお、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物を製造する過程において、カーボン材料を樹脂材料とともに溶媒中に分散させた液は「分散液」と呼び、前記「分散体」と区別する。
<カーボン材料>
本発明に用いるカーボン材料は、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック等)、活性炭、黒鉛、ハードカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェン系炭素材料(グラフェン、グラフェンナノプレートレット等)、ナノポーラスカーボン、炭素繊維を用いることができる。これらのカーボン材料は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
[カーボンブラック]
上記カーボンブラックとしては、例えば、気体若しくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料とするケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させるチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックが挙げられる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等を使用してもよい。
これらカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
[カーボンナノチューブ]
上記カーボンナノチューブは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有するものであり、一層のグラファイトが巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、二又は三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する多層カーボンナノチューブのいずれでもよく、単層と多層とが混在するものであってもよい。
また、カーボンナノチューブの側壁はグラファイト構造でなくともよく、例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるカーボンナノチューブを用いることもできる。
カーボンナノチューブの平均外径は、好ましくは3nm以上25nm以下であり、より好ましくは5nm以上20nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上15nm以下である。カーボンナノチューブの平均外径が上記範囲であると、後述する活物質の表面がカーボンナノチューブで被覆されやすくなり、電極膜の導電性や密着性が向上する。
ハードカーボンは、乱雑な結晶子の配列を有しており、高温で焼結しても結晶子の平面的な配列が起こり難く、難黒鉛化炭素とも呼ばれるものである。ハードカーボンとしては、例えば、ガラス状炭素、セルロース炭、木炭、砂糖炭、コールタール炭が挙げられる。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のケッチェンブラックEC-300J、EC-600JD、ライオナイトEC-200L等;三菱化学社製のファーネスブラック#2350、#2600、#3050B、#3030B、#3230B、#3400B等;デンカ社製のデンカブラックLi-400、FX-35等;が挙げられる。
市販のカーボンナノチューブとしては、例えば、昭和電工社製VGCF-H、VGCF-X等;名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ;NTP社製NTP3003、NTP3021、NTP3121、NTP8012、NTP8022、NTP9012、NTP9112等;JEIO社製10B、6A;OCSiAl社製TUBALL等;が挙げられる。
<樹脂材料>
本実施形態の樹脂材料には、樹脂型分散剤および/またはバインダー樹脂が含まれる。カーボン材料の分散安定性や凝集抑制の観点から、樹脂型分散剤を含むことが好ましく、樹脂型分散剤とバインダー樹脂の双方を含むことがより好ましい。
[樹脂型分散剤]
本実施形態の樹脂型分散剤は、カーボン材料を分散安定化するものである。
樹脂型分散剤は、例えば、重量平均分子量が500以上であり、塩基性官能基を有する樹脂である塩基性樹脂型分散剤、酸性官能基を有する樹脂である酸性樹脂型分散剤、塩基性官能基及び酸性官能基を有する樹脂である両性樹脂型分散剤、ノニオン性樹脂であるノニオン性樹脂型分散剤が挙げられる。
塩基性樹脂型分散剤としては、環状を含むアミノ基又は4級アンモニウム塩を有する樹脂が挙げられ、上記アミノ基は、その一部若しくは全てが中和されていてもよい。
このような樹脂型分散剤としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等の重合性単量体の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物、及びそれらの酸中和物が挙げられる。
酸性樹脂型分散剤としては、カルボキシ基、スルホ基又はリン酸基を有する樹脂が挙げられ、上記の酸性官能基は、その一部若しくは全てが中和されていてもよい。
このような樹脂型分散剤としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシ基を有する重合性単量体;ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホ基を有する重合性単量体;モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性単量体;の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物、及びそれらのアルカリ中和物が挙げられる。
両性樹脂型分散剤としては、前記塩基性骨格と前記酸性骨格を共に含有するものが挙げられ、スチレン-マレイン酸-N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの共重合物等を用いることができる。
ノニオン性樹脂型分散剤は、前記塩基性樹脂型分散剤、酸性樹脂型分散剤、両性樹脂型分散剤以外の樹脂を指し、好ましくは水溶性樹脂である。
このようなノニオン性樹脂型分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド、ポリアルキレングリコール、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)が挙げられる。
これら樹脂型分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
樹脂型分散剤は、好ましくはノニオン性樹脂型分散剤であり、より好ましくはポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、セルロース誘導体である。
樹脂型分散剤の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは5,000以上であり、さらに好ましくは20,000以上である。重量平均分子量が上記範囲であると分散体の安定性や電池特性の向上に繋がるため好ましい。
[バインダー樹脂]
本実施形態のバインダー樹脂は、主にカーボン材料等の物質同士を結着する機能を有する。
バインダーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体又は共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、共重合体を用いてもよい。
バインダー樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000以上10,000,000以下であり、より好ましくは100,000以上5,000,000以下である。重量平均分子量が上記範囲であるとカーボン材料の凝集を抑制でき好ましい。
これらバインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
[樹脂材料の重量平均分子量]
樹脂材料の重量平均分子量は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値を求めることで測定できる。装置は、東ソー社製HLC-8320GPC等を用いることができる。
尚、樹脂型分散剤とバインダー樹脂を併用して使用する場合は、各樹脂材料の重量平均分子量に、含有する質量割合を乗じたものの合計から求められる。
カーボン材料樹脂複合物に含まれる樹脂材料の重量平均分子量は好ましくは、20、000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、より好ましくは100,000以上である。重量平均分子量が上記範囲であるとカーボン材料の凝集を抑制でき好ましい。
<カーボン材料樹脂複合物>
本発明の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物は、少なくともカーボン材料と、樹脂材料とを含み、前記樹脂複合物中におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmであることを特徴とする。なお本明細書において、樹脂複合物中におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)とは、樹脂複合物中で、カーボン材料が樹脂材料中に分散、または樹脂材料と混合され、場合により凝集が起こった状態における粒径(二次粒子の粒径)を指し、樹脂複合物の製造の過程で材料として用いるカーボン材料の一次粒子の粒径とは、必ずしも一致するものではない。
上記50%累積粒径(D50)は、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましい。
上記範囲とすることで、超音波等のキャビテーションやビーズ等による破砕等が必要な強い分散装置を用いずに、カーボン材料を容易に解砕可能で、良好な分散体を得ることができる。
上記50%累積粒径(D50)の下限値は解砕後の分散安定性の観点から、0.02μm以上であることがより好ましく、0.03μm以上であることがさらに好ましく、0.05μm以上であることが特に好ましい。
上記、カーボン材料樹脂複合物におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)は、分散体の粒度分布測定の50%累積粒径(D50)を求めることにより測定できる。これは、本発明のカーボン材料樹脂複合物は衝撃力やキャビテーションを加えずとも容易に解砕されるため、分散体における50%累積粒径(D50)はカーボン材料樹脂複合物におけるカーボン材料の二次粒子の50%累積粒径(D50)を維持していることによる。
本明細書において、分散体の50%累積粒径(D50)は、粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、NANOTRACWAVE、MT3000)を用いて測定することにより求められる。
方法としては、分散体を25℃の恒温槽に1時間以上静置し、分散体を十分に撹拌および希釈してから、粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、NANOTRACWAVE)を用いて、分散体の50%累積粒径(D50)(体積基準)を測定する。
本発明の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物は、カーボン材料に対する樹脂材料の質量比が0.4~10の範囲にあると、再分散性の向上や電池にした際の抵抗上昇などが抑えられ、好ましい。0.5~5の範囲にあるとより好ましく、1~3の範囲にあると更に好ましい。
<カーボン材料樹脂複合物の製造方法>
本発明の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物は、例えば、カーボン材料を溶媒中に樹脂材料と分散させた分散液を作製し、該分散液から溶媒を気化させて製造することができる。
[分散]
上記分散にかかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されず、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。
例えば、ディスパー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、
シンキー社製「あわとり練太郎」等の自転・公転ミキサー類、
Primix社製「ホモミクサーMarkII」等の高せん断ミキサー類、
SILVERSON社社製モデルAX5等のローター/ステータ型ミキサー類、
BRANSON社製「AdvancedDigitalSonifer(登録商標)」等の超音波ホモジナイザー類、
レッドデビル社製ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機類、
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機類、
その他ロールミルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[溶媒]
上記分散液の作製において使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水が挙げられる。
上記分散液中のカーボン材料の含有率は、分散液の全質量を基準として、好ましくは0.1~40質量%であり、さらに好ましくは0.5~20質量%である。
乾燥方法は溶媒を気化することができれば特に限定されず、従来公知の方法が使用できる。例えば、オーブンなどによる熱風乾燥やスプレードライヤーなどによる噴霧乾燥、エバポレーターなどによる減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。生産性等の観点より、熱風乾燥や噴霧乾燥が好ましい。
<非水電解質二次電池用分散体>
非水電解質二次電池用分散体は、本発明のカーボン材料樹脂複合物と、溶媒とを含み、前記カーボン材料樹脂複合物を溶媒中に分散させたものである。分散体においては、前記カーボン材料樹脂複合物に含まれるカーボン材料の溶媒中の50%累積粒径(D50)は、0.01~5μmの範囲にあると、本分散体から作製された電極中に均一にカーボン材料が分散されやすく好ましい。0.02~3μmの範囲にあるとより好ましく、0.1~1μmの範囲であるとさらに好ましい。
[溶媒]
非水電解質二次電池用分散体に含まれる溶媒は、カーボン材料樹脂複合物の製造の説明において記載した溶媒を用いることができる。
<非水電解質二次電池用分散体の製造方法>
非水電解質二次電池用分散体を得るためには、カーボン材料樹脂複合物を溶媒中に分散させる処理をすることが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されず、例えば、前記カーボン材料樹脂複合物の分散で説明した分散装置を用いることができる。本発明におけるカーボン材料樹脂複合物は、強い衝撃力やせん断力、キャビテーションを加えなくても容易にカーボン材料が解砕されるため、分散装置の中でも合材スラリーの作製などに使われるディスパー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、シンキー社製「あわとり練太郎」等の自転・公転ミキサー類などが好ましい。
上記分散体中のカーボン材料樹脂複合物の含有率は、分散体の全質量を基準として、好ましくは0.1~60質量%であり、さらに好ましくは1~40質量%である。
<合材スラリー>
本発明のカーボン材料樹脂複合物は、合材スラリーに含有させることができる。合材スラリーは、カーボン材料樹脂複合物と活物質と溶媒とバインダーとを含むものである。
[活物質]
本発明における活物質とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
(正極活物質)
正極活物質としては、特に限定はされないが、例えば、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物;導電性高分子;を使用することができる。
上記金属化合物としては、例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物が挙げられ、具体的には、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等を用いることができる。
上記導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンが挙げられる。
また、上記の金属化合物と、導電性高分子とを混合して用いてもよい。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能なものであれば特に限定されず、例えば、金属Li、金属Liとの合金であるスズ合金やシリコン合金等の鉛合金等の合金系、LixFeやLixFe、LixWO(xは0<x<1の数である)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレンやポリ-p-フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボン、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。
これら負極活物質は、1種又は複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明では負極活物質として、シリコン系負極活物質と、人造黒鉛や天然黒鉛等の炭素質粉末とを組み合わせて使用することが好ましい。
シリコン系負極活物質の配合率は、人造黒鉛あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末の質量を基準として、好ましくは3~50質量%であり、より好ましくは5~25質量%である。
[溶媒]
合材スラリーに含まれる溶媒は、カーボン材料樹脂複合物の製造の説明において記載した溶媒を用いることができる。
[バインダー]
合材スラリーに含まれるバインダーは、カーボン材料樹脂複合物の説明において記載したバインダー樹脂を用いることができる。
<合材スラリーの製造方法>
本実施形態の合材スラリーは従来公知の様々な方法で作製することができる。例えば、カーボン材料樹脂複合物の分散体にバインダーと活物質を添加して作製する方法や、カーボン材料樹脂複合物とバインダーとを溶媒中に分散した後、活物質を添加し作製する方法、カーボン材料樹脂複合物とバインダー、活物質、溶媒を同時に分散し作成する方法が挙げられる。
本実施形態の合材スラリーを得るには、カーボン材料樹脂複合物の分散体に活物質を加えた後、分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されず、例えば、前記カーボン材料樹脂複合物の製造の説明において記載した分散装置を用いることができる。中でも活物質の破砕や剥離を抑制するため、分散装置の中でもディスパー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、シンキー社製「あわとり練太郎」等の自転・公転ミキサー類などの使用が好ましい。
本実施形態の合材スラリー中の活物質の量は合材スラリー100質量部に対して、20~85質量部であることが好ましく、30~75質量部であることがより好ましく、40~70質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態の合材スラリーに含まれるカーボン材料の量は活物質100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~5質量部であることがより好ましく0.03~1質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態の合材スラリー中のバインダーの量は活物質100質量部に対して、0.5~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがより好ましく、2~20質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態の合材スラリーの固形分の量は、合材スラリー100質量%に対して、30~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましく、40~75質量%であることがさらに好ましい。
<非水電解質二次電池用電極>
非水電解質二次電池用電極は、上述の合材スラリーを用いて形成されるものであり、例えば、集電体上に合材スラリーを塗工することで形成することができる。本明細書では、合材スラリーから形成される層を、電極膜、塗工膜、合材層と略記する場合がある。
[集電体]
集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池に適したものを適宜選択することができる。集電体の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したもの、穴あき箔状のもの、メッシュ状のものを使用してもよい。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法が挙げられる。
非水電解質二次電池用電極の製造方法としては、合材スラリーを集電体に塗工した後に、乾燥工程を含んでもよい。乾燥工程を含む場合、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、非水電解質二次電池用電極の製造方法としては、合材スラリーを集電体に塗工し、必要に応じて乾燥工程を経た後に、平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよい。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<非水電解質二次電池>
非水電解質二次電池は、上記非水電解質二次電池用電極を備えるものである。非水電解質二次電池の構成は特に制限されず、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。非水電解質二次電池は通常、正極及び負極と、電解質、セパレーター等を備えるものであって、正極又は負極の少なくとも一方が、本発明のカーボン材料樹脂複合物を含む非水電解質二次電池用電極であればよい。
正極としては、集電体上に正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極を作製したものを使用することができる。
負極としては、集電体上負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極を作製したものを使用することができる。
[電解質]
電解質としては、特に限定されず、従来公知の様々なものを使用することができる。例えば、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh(ただし、Phはフェニル基である)等のリチウム塩を含むものが挙げられるが、これらに限定されず、ナトリウム塩やカルシウム塩を含むものも使用できる。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びγ-オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタン、及び1,2-ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の非水電解質二次電池は、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、これらに限定されない。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
<カーボン材料>
・CNT:JENOTUBE10B(JEIO社製)
<樹脂型分散剤>
・PVPK-15:ポリビニルピロリドンK-15(富士フィルム和光純薬社製)(Мw10,000)
・PVPK-30:ポリビニルピロリドンK-30(富士フィルム和光純薬社製)(Мw40,000)
・CMC APP―84:カルボキシメチルセルロース(日本製紙社製)(Мw20,000)
・PVB BL-10:ポリビニルブチルラール(積水化学工業社製)(Мw15,000)
・PAN:ポリアクリロニトリル(合成例1)(Мw45,000)
<バインダー樹脂>
・CMC #1190:カルボキシメチルセルロース(ダイセルミライズ社製)(Мw>100,000)
・PVDF#5130:ポリフッ化ビニリデン(Solvey社製)(Мw>1,000,000~1,200,000)
<溶剤>
・NMP:N-メチルピロリドン(キシダ化学社製)
<負極活物質>
・SiO:一酸化珪素(株式会社大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE)
<正極活物質>
・NCM:ニッケル系正極材(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同社製、HED(登録商標)NCM-111 1100)
[重量平均分子量(Mw)]
重量平均分子量は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。装置は、HLC-8320GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー社製「TSK-GELSUPERAW-4000」、「AW-3000」、及び「AW-2500」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mMのLiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6ml/minで測定した。サンプルは上記溶離液からなる溶媒に1質量%の濃度で調製し、20μL注入した。
<分散剤の合成>
(合成例1)ポリアクリロニトリルの合成
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、アセトニトリル100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、アクリロニトリル90.0部、アクリル酸10、0部及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日油社製;V-65)を5.0部の混合物を3時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに70℃で1時間反応させた後、V-65を0.5部添加し、さらに70℃で1時間反応を続けた。その後、不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認し、減圧濃縮してアセトニトリルを除去し、ノニオン性の樹脂型分散剤であるポリアクリロニトリル(PAN)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は45,000であった。
<非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物の調製>
[実施例1]
ガラス瓶に、水98部、分散樹脂(PVPK-30)0.25部を入れ、充分に混合溶解した後、カーボン材料(CNT)1部を加えた。次いで、メディアとして1.25mmφジルコニアビーズを200部加え、瓶を密閉した後、ペイントシェーカーで2時間分散し、分散液を得た。得られた分散液にバインダー樹脂(CMC #1190)1部を加え、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて十分に溶解・混合させた後、日本ビュッヒ社製スプレードライヤー(B290)を用いて、125℃で噴霧乾燥し、カーボン材料樹脂複合物(1)を得た。
[実施例2、3、10]
表1に示す配合組成及び乾燥温度に変更した以外は、実施例1と同様にして、カーボン材料樹脂複合物(2)、(3)、(10)を得た。
[実施例4]
ガラス瓶に、水98部、分散剤(CMC APP-84)0.5部を入れ、充分に混合溶解した後、カーボン材料(CNT)1部を加えた。次いで、メディアとして1.25mmφジルコニアビーズを200部加え、瓶を密閉した後、ペイントシェーカーで2時間分散し、分散液を得た。得られた分散液を日本ビュッヒ社製スプレードライヤー(B290)を用いて、125℃で噴霧乾燥し、カーボン材料樹脂複合物(4)を得た。
[実施例5~9、比較例1~4]
表1に示す配合組成及び乾燥温度に変更した以外は、実施例5と同様にして、カーボン材料樹脂複合物(5)~(9)、(11)~(14)を得た。
<非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物の分散体調製>
[実施例11]
ガラス瓶に、水99部、カーボン材料樹脂複合物(1)1部を入れ、PRIMIX社製ホモディスパーを用い、3000rpmにて1時間、簡易的に分散し、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物の分散体(1)を得た。
[実施例12~20、比較例5~8]
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例11と同様にして、カーボン材料樹脂複合物の分散体(2)~(14)を得た。なお、この時の溶媒はカーボン材料樹脂複合物を調製した際と同じ溶媒を使用した。
<カーボン材料樹脂複合物中のカーボン材料の分散粒径評価>
カーボン材料樹脂複合物中のカーボン材料の分散粒径は、カーボン材料樹脂複合物の分散体の粒度分布を行い評価した。結果を表1に示す。
[粒度分布評価]
本発明の分散体を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、分散体を十分に撹拌および希釈してから、粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、NanotracWave)を用いて、分散体の累積粒径D50を測定した。カーボンの形状は非球形とし、測定の際は、ローディングインデックスの数値が0.8~1.2の範囲になるように分散体の濃度を希釈して行った。得られた累積粒径D50の値から、以下の基準で評価した。
◎:D50が0.01μm以上0.4μm以下
〇〇:D50が0.4μmより大きく1μm以下
〇:D50が1μmより大きく5μm以下
×:D50が5μmより大きい
Figure 2023092639000002
<負極活物質を含む非水電解質二次電池用合材スラリーの調製>
[製造例1]
プラスチック容器にカーボン材料樹脂複合物(1)0.75部と水99部を量り取り、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて3000rpm、30分間撹拌した後、バインダー樹脂(CMC #1190)2.25部を添加し完全に溶解させた。その後、負極活物質である一酸化珪素(大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm)96部を加えシンキー社製自転・公転ミキサーを用いて、2000rpm、3分間撹拌した後、エマルション型アクリル樹脂分散溶液(トーヨーケム社製:W-168)2.0部(固形分50%)を加え、同自転・公転ミキサーを用いて、2000rpm、30秒間撹拌し、合材スラリー(1)を得た。
[製造例2~6、比較製造例1、2]
カーボン材料樹脂複合物をカーボン材料樹脂複合物(2)~(6)、(11)、(12)に変更し、合材スラリー中の分散樹脂及びバインダー樹脂量の合計が2.5部となるようにバインダー樹脂(CMC #1190)の添加量を調整した以外は、製造例1と同様にして、合材スラリー(2)~(6)、(11)、(12)を得た。
<正極活物質を含む非水電解質二次電池用合材スラリーの調製>
[製造例7]
プラスチック容器にカーボン材料樹脂複合物(7)1部とNMP100部を量り取り、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて3000rpm、30分間撹拌した後、バインダー樹脂(PVDF #5130)3部を添加し完全に溶解させた。その後、正極活物質(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社製、HED(登録商標)NCM-111 1100)96部を加えシンキー社製自転・公転ミキサーを用いて、2000rpm、3分間撹拌し、合材スラリー(7)を得た。
[製造例8~10、比較製造例3、4]
カーボン材料樹脂複合物をカーボン材料樹脂複合物(8)~(10)、(13)、(14)に変更し、合材スラリー中の分散樹脂及びバインダー樹脂量の合計が3.5部となるようにバインダー樹脂(PVDF #5130)の添加量を調整した以外は、製造例7と同様にして、合材スラリー(8)~(10)、(13)、(14)を得た。
<非水電解質二次電池負極用電極の作製>
[実施例21]
合材スラリー(1)を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cmとなるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃ で30分間、塗膜を乾燥させ電極(1)を得た。
[実施例22~26、比較例9、10]
合材スラリー(1)を(2)~(6)、(11)、(12)に変更した以外は同様の方法で電極(2)~(6)、(11)、(12)を作製した。
<非水電解質二次電池正極用電極の作製>
[実施例27]
合材スラリー(7)を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cm となるようにアルミ箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃ で30分間、塗膜を乾燥させ電極(7)を得た。
[実施例28~30、比較例11、12]
合材スラリー(7)を(8)~(10)、(13)、(14)に変更した以外は同様の方法で電極(8)~(10)、(13)、(14)を作製した。
<電極の体積抵抗評価>
日東精工アナリテック社製ロレスタGX MCP-T700を用いて電極の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、基材であるPET上に形成した合材層の厚みを掛けて、電極の体積抵抗率(Ω・cm)とした。電極合材層の厚みは、膜厚計(NIKON社製、DIGIMICROMH-15M)を用いて、電極膜中の4点を測定した平均値から、PET基材の膜厚を引き、電極の体積抵抗率(Ω・cm)とした。
得られた体積抵抗率の値から負極用電極は比較例9に対する体積抵抗率の割合を、正極用電極は比較例11に対する体積抵抗率の割合を其々算出し、以下の基準で評価した。
◎:体積抵抗率の割合が10%未満
〇〇:体積抵抗率の割合が10%以上40%未満
〇:体積抵抗率の割合が40%以上70%未満
△:体積抵抗率の割合が70%以上90%未満
×:体積抵抗率の割合が90%以上
Figure 2023092639000003
表1及び表2より、本発明のカーボン材料樹脂複合物を使用した実施例は、比較例と比ベて、負極及び正極用電極の体積抵抗率が良好な結果であった。これはカーボン材料樹脂複合物中のカーボン材料の凝集が抑制されており、図より明らかなように比較例に比べて実施例では簡易的な分散のみでカーボン材料を効果的に解砕することができ、電極中の導電パス形成に効果的に働いたためと考えられる。
本発明により分散体の課題である安定性や水分の問題の解消が可能となる。

Claims (6)

  1. カーボン材料と樹脂材料とを含む、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物であって、前記樹脂複合物中におけるカーボン材料の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmである、非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物。
  2. カーボン材料の全質量を1とした際の樹脂材料の質量比が0.4~10の範囲である、請求項1記載の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物。
  3. 樹脂材料の重量平均分子量が20,000~10,000,000である、請求項1又は2記載の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物。
  4. 請求項1~3いずれか1項に記載の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物と、溶媒とを含む、非水電解質二次電池用分散体であって、前記カーボン材料樹脂複合物が溶媒中に分散された状態であり、前記カーボン材料の溶媒中の50%累積粒径(D50)が0.01~5μmである、非水電解質二次電池用分散体。
  5. 請求項1~3いずれか1項に記載の非水電解質二次電池用カーボン材料樹脂複合物、または請求項4に記載の非水電解質二次電池用分散体を含む、非水電解質二次電池用電極。
  6. 請求項5に記載の非水電解質二次電池用電極を備える、非水電解質二次電池。
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