JP6874283B2 - 導電性組成物、蓄電デバイス用下地付き集電体、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス - Google Patents
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Description
本発明者らは、導電性組成物の固形分比と導電性組成物から形成された塗膜の光沢値を適切に制御すると、驚くべきことに、通常作動時の内部抵抗の低減と、蓄電デバイス内の温度が上昇したときに効果的な抵抗上昇が発現することを見出し、本発明をなすに至った。
本発明の導電性組成物は、蓄電デバイス用電極の下地層形成用として使用できる。導電性組成物は、導電性の炭素材料(A)と水溶性樹脂バインダー(B)と、少なくともポリエステル系樹脂微粒子またはポリウレタン系樹脂微粒子を含む水分散性樹脂微粒子(C)と、水性液状媒体(D)とを含有する。
本発明における導電性の炭素材料(A)としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、2
05等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(デンカ社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の水溶性樹脂(B)とは、25℃の水99g中に水溶性樹脂(B)1g入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で樹脂が溶解可能なものである。
本発明の水分散樹脂微粒子(C)としては、一般的に水性エマルションとも呼ばれるものであり、樹脂粒子が水中で溶解せずに、微粒子の形態で分散されているものである。
本発明に使用する水性液状媒体(D)としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、集電体への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
本発明に使用する非導電材料(E)としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの酸化物粒子、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物粒子、フッ化カルシウム、硫酸バリウムなどのイオン結合粒子、炭化珪素、ダイヤモンドなどの共有結合粒子などの無機材料が挙げられる。
さらに、導電性組成物には、界面活性剤、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
本発明の導電性組成物や後述する合材インキを得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
本発明の蓄電デバイス用下地層付き集電体とは、集電体上に、本発明の導電性組成物から形成された下地層を有するものである。また、本発明の蓄電デバイス用電極とは、集電体上に、本発明の導電性組成物から形成された下地層と、電極活物質とバインダーとを含有する電極形成用組成物(合材インキ)から形成された合材層とを有する。
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種蓄電デバイス用にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。リチウムイオン電池の場合、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、それぞれ好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
前記したように、一般的な蓄電デバイス用の合材インキは、活物質と、溶媒を必須とし、必要に応じて導電助剤と、バインダーとを含有する。
活物質はできるだけ多く含まれることが好ましく、例えば、合材インキ固形分に占める活物質の割合は、80〜99質量%が好ましい。導電助剤を含む場合、合材インキ固形分に占める導電助剤の割合は、0.1〜15質量%であることが好ましい。バインダーを含む場合、合材インキ固形分に占めるバインダーの割合は、0.1〜15質量%であることが好ましい。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム
、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
合材インキ中で使用されるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
また、水性の合材インキ中で好適に使用されるバインダーとしては水媒体のものが好ましく、水媒体のバインダーの形態としては、水溶性型、エマルション型、ハイドロゾル型等が挙げられ、適宜選択することができる。
本発明の導電性組成物を、集電体上に塗工・乾燥し、下地層を形成し、蓄電デバイス用下地層電極を得ることができる。
正極もしくは負極の少なくとも一方に上記の電極を用い、二次電池、キャパシターなどの蓄電デバイスを得ることができる。
リチウムイオン二次電池の場合を例にとって説明する。電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
<導電性組成物>
導電性の炭素材料としてアセチレンブラック(A−1:デンカブラックHS−100、デンカ社製)50質量部、水溶性樹脂であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル#1240、ダイセル化学工業社製)2.5%水溶液800質量部(固形分として20質量部)をディスパーで30分間混合し、更にサンドミルに入れて30分間分散を行った。次に水分散樹脂粒子であるポリウレタン系樹脂微粒子(C−1:ユーブレンUXA−307、三洋化成工業社製、40%水系分散液(平均粒子径0.20μm))75質量部(固形分として30質量部)を入れ、ディスパーで10分間混合し、導電性組成物(1)を得た。
(水分散樹脂微粒子の体積平均粒子径)
水分散樹脂微粒子分散液を、固形分に応じて200〜1000倍に水希釈し、該希釈液約5mlをナノトラック(日機装社製 Wave−EX150)のセルに注入し、水および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行い、D50体積平均粒子径を求めた。尚、「体積平均粒子径」を「平均粒子径」と略記することがある。
(光沢値)
作製した導電性組成物を、乾燥後の膜厚が3μmとなるように、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムに塗工した後、150℃オーブンに2分入れ、塗膜を作製した。この塗膜を黒鉛の平板上に置き、光沢計(BYK社製 micro−TRI−gloss)にて60°光沢値を求めた。
(カルボキシメチルセルロース水溶液の粘度)
カルボキシメチルセルロース1gを25℃の水99g中に入れて撹拌して得られた1質量%水溶液を作成した。そして、水溶液の粘度をレオメーター(TAインスツルメント社製AR−G2)により、コーンプレート(60mm、1°)を用いて、測定温度25℃、せん断速度360(1/s)で測定した。
表1に示す材料、組成比、および導電性の炭素材料と水溶性樹脂のサンドミルで分散する時間を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれ実施例および比較例の導電性組成物(2)〜(22)、(24)〜(27)を得た。
ただし、本明細書において実施例1〜22の導電性組成物およびそれを用いた集電体および電極は参考例である。
(導電性の炭素材料(A))
・A−1:デンカブラックHS−100(デンカ社製、アセチレンブラック、一次粒子径48nm、比表面積39m2/g)
・A−2:EC−300J(ライオン社製、ケッチェンブラック、一次粒子径40nm、比表面積800m2/g)
・A−3:KS6(Timcal社製、グラファイト、比表面積20m2/g)
(水溶性樹脂(B))
・B−1:CMCダイセル#1240(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース、粘度0.02Pa・s)
・B−2:クラレポバールPVA235(クラレ社製、ポリビニルアルコール)
・B−3:ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業社製、平均分子量5000)
(水分散樹脂微粒子(C))
・C−1:ユーブレンUXA−307(固形分40%水分散液、平均粒子径0.20μm、ポリウレタン系樹脂微粒子)(三洋化成工業社製)
・C−2:ユーコートUX−485(固形分40%水分散液、平均粒子径0.12μm、ポリウレタン系樹脂微粒子)(三洋化成工業社製)
・C−3:セポルジョンHT937(固形分40%水分散液、平均粒子径5.20μm、ポリエステル系樹脂微粒子)(住友精化社製)
・C−4:エリーテルKZA−3556(固形分30%水分散液、ポリエステル系樹脂微粒子)
(水分散樹脂微粒子(C)以外の樹脂微粒子)
・C−5:ポリテトラフルオロエチレン30J(固形分60%水分散液、ポリテトラフルオロエチレン、PTFEと略すことがある)(三井・デュポンフロロケミカル社製)
(非導電材料(E))
・E−1:アルミナゾルAS−520(アルミナ、固形分20%水分散液、平均粒子径23nm)(日産化学工業社製)
・E−2:スノーテックスN(シリカ、固形分20%水分散液、平均粒子径12nm)(日産化学工業社製)
(分散機)
・ディスパー(プライミクス社製 T.K.ホモディスパー)
・サンドミル(シンマルエンタープライゼス ダイノミル)
導電性組成物(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)を、乾燥後の厚みが表1に示す厚みとなるように、集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔(以下、「アルミ」と略記することがある)上にバーコーターを用いて塗布をした後、80℃で加熱乾燥し、下地層付き集電体(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)をそれぞれ得た。尚、表中、空欄は使用していない事を表す。
導電性組成物(18)を、乾燥後の塗膜の厚みが3μmとなるように、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にバーコーターを用いて塗布をした後、80℃で加熱乾燥し、下地層付き集電体(18)を得た。得られた導電性組成物および集電体を、表1に示す。
電極活物質の一種である正極活物質としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2O293質量部、導電剤としてアセチレンブラック4質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン3質量部、N―メチルピロリドン45質量部を入れて混合して、電極形成用組成物の一種である正極用合材インキを得た。
電極活物質の一種である負極活物質として人造黒鉛98質量部、カルボキシメチルセルロース1.5%水溶液66.7質量部(固形分として1質量部)をプラネタリーミキサーに入れて混練し、水33質量部、スチレンブタジエンエマルション48質量%水系分散液2.08質量部(固形分として1質量部)を混合して、電極形成用組成物の一種である負極二次電池電極用合材インキを得た。
上述のリチウムイオン二次電池正極用合材インキを、二次電池用下地層付き集電体(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)の下地層が形成された面に、乾燥後の目付け量が20mg/cm2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cm3となる正極(1)〜(17)、(19)〜(22)、(24)〜(27)をそれぞれ作製した。
上述のリチウムイオン二次電池正極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上に乾燥後の目付け量が20mg/cm2となるように塗布、加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cm3となる正極(18)、(23)をそれぞれ作製した。
上述のリチウムイオン二次電池負極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上に乾燥後の目付け量が12mg/cm2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が1.5g/cm3となる負極(1)〜(17)、(19)〜(27)をそれぞれ作製した。
上述のリチウムイオン二次電池負極用合材インキを、下地層付き集電体(18)の下地層が形成された面に、乾燥後の目付け量が12mg/cm2となるようにドクターブレードを用いて塗布、80℃で加熱乾燥した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が1.5g/cm3となる負極(18)を作製した。
表2に示す正極と負極を、各々45mm×40mm、50mm×45mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、真空乾燥の後、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)を注入した後、アルミ製ラミネートを封口してラミネート型リチウムイオン電池をそれぞれ作製した。ラミネート型リチウムイオン型電池の作製は、アルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、ラミネート型リチウムイオン型電池作製後、以下に示す方法により、初期抵抗、抵抗増加、レート特性およびサイクル特性の電池特性評価を行った。
放電電流12mA(0.2C)にて放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・初期抵抗
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
上述したラミネート電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流12mA(0.2C)にて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mAを行った後、放電電流12mA(0.2C)および120mA(2C)で放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と2C放電容量の比、つまり以下(式2)で表される。
(式2) レート特性=2C放電容量/0.2C放電容量×100(%)
以下の基準で評価した結果を表2に示す。
○○:「レート特性が80%以上。特に優れている。」
○:「レート特性が75%以上、80%未満。優れている。」
△:「レート特性が70以上、75%未満。下地層なしの比較例1のレート特性と同等。」
×:「レート特性が70%未満。劣っている。」
50℃恒温槽にて充電電流を60mAにて充電終止電圧を4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.6mA)を行った後、放電電流60mAで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、初回放電容量を求めた。この充放電サイクルを200回行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する200回目の放電容量の百分率)を算出した。以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・サイクル特性
○:「放電容量維持率が85%以上。優れている。」
△:「放電容量維持率が80%以上、85%未満。下地層なしの比較例1の放電容量維持率と同等。」
×:「放電容量維持率が80%未満。劣っている。」
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)3.3部(固形分として2部)、水220部を混合して正極、負極用合材インキをそれぞれ作製した。
上述の電気二重層キャパシター用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極および負極をそれぞれ作製した。
(実施例23)
上述の電気二重層キャパシター用合材インキを、実施例1の下地層付き集電体(1)の下地層が形成された面に、ドクターブレードを用いて塗布した後、80℃で加熱乾燥した後、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが50μmとなる正極を作製した。
下地層付き集電体(1)を表3に示す集電体に変更した以外は、実施例23と同様にして、正極および負極をそれぞれ得た。
表3に示す正極と負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(プロピレンカーボネート溶媒に(TEMABF4(四フッ化ホウ素トリエチルメチルアンモニウム)を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなる電気二重層キャパシターを作製した。電気二重層キャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、電気二重層キャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。
得られた電気二重層キャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。また、充放電電流レートは、セル容量を1時間で放電出来る電流の大きさを1Cとした。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い放電容量維持率の変化率を算出した(100%に近いほど良好)。
△:「変化率が85%以上、80%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「変化率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
・初期抵抗
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社製)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社製)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)3.3部(固形分として2部)を混合して正極用合材インキを作製した。
負極活物質として黒鉛90部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、デンカ社製)5部、ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製)2重量%水溶液175部(固形分として3.5部)をミキサーに入れて混合し、水26.3部、バインダー(SBR:スチレンブタジエン系ラテックス40%水系分散体)3.75部(固形分として1.5部)を混合して、負極用合材インキを作製した。
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。
(実施例43)
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用合材インキを、実施例1の下地層付き集電体(1)の下地層が形成された面に、ドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。
下地層付き集電体(1)を表4に示す集電体に変更した以外は実施例43と同様にして、正極を得た。
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
(実施例58)
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用合材インキを、実施例15の下地層付き集電体(15)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
表4示す正極と、あらかじめリチウムイオンのハーフドープ処理を施した負極を、それぞれ直径16mmの大きさで用意し、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるリチウムイオンキャパシターを作製した。リチウムイオンのハーフドープは、ビーカーセル中で負極とリチウム金属の間にセパレーターを挟み、負極容量の約半分の量となるようリチウムイオンを負極にドープして行った。また、リチウムイオンキャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、リチウムイオンキャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。
得られたリチウムイオンキャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い放電容量維持率の変化率を算出した(100%に近いほど良好)。
△:「変化率が85%以上、90%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「変化率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行ったラミネート型電池を、インピーダンスアナライザー(biologic社製SP−50)にて500kHzでの抵抗測定を行った。
上述したラミネート型電池を25℃から180℃まで加熱し、各々の温度での抵抗測定を行った。25℃で測定した抵抗を初期抵抗とし、下記(式1)により算出される値を抵抗増加とした。
(式1) 抵抗増加=180℃での抵抗値/25℃での抵抗値
初期抵抗および抵抗増加について、以下の基準で評価した結果を表2に示す。
○:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より小さい。優れている。」
△:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗と同等。」
×:「初期抵抗が下地層なしの比較例1の初期抵抗より大きい。劣っている。」
・抵抗増加
○○:「抵抗増加が初期抵抗の10倍以上。特に優れている。」
○:「抵抗増加が初期抵抗の5倍以上、10倍未満。優れている。」
△:「抵抗増加が初期低能の3倍以上、5倍未満。実用可能なレベル。」
×:「抵抗増加が初期抵抗の3倍未満。電流の遮断効果が低い。劣っている。」
Claims (5)
- 導電性の炭素材料(A)と、水溶性樹脂(B)と、水分散樹脂微粒子(C)と、水性液状媒体(D)と、非導電材料(E)とを含有してなる蓄電デバイス用電極の下地層形成用導電性組成物であって、前記水分散樹脂微粒子(C)が少なくともポリエステル系樹脂微粒子を含み、水分散樹脂微粒子(C)中に含まれるポリエステル系樹脂微粒子の含有率が50〜100質量%であり、導電性組成物の固形分の合計100質量%中、導電性の炭素材料(A)の含有率が10〜60質量%であり、水溶性樹脂(B)の含有率が10〜50質量%であり、水分散樹脂微粒子(C)の含有率が20〜70質量%であり、導電性組成物から形成された塗膜の光沢値が1〜30であり、非導電材料(E)がシリカまたはアルミナであることを特徴とする蓄電デバイス用電極の下地層形成用導電性組成物。
- 集電体と、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極の下地層形成用導電性組成物から形成された下地層とを有する蓄電デバイス用下地層付き集電体。
- 集電体と、請求項1または2記載の蓄電デバイス用電極の下地層形成用導電性組成物から形成された下地層と、電極活物質とバインダーとを含有する電極形成用組成物から形成された合材層とを有する蓄電デバイス用電極。
- 正極と負極と電解液とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、請求項3に記載の蓄電デバイス用電極である蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスが、非水電解質二次電池、電気二重層キャパシターまたはリチウムイオンキャパシターである請求項4記載の蓄電デバイス。
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