JP2023153453A - 非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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茂紀 井上
Shigenori Inoue
寛人 渡部
Hiroto Watabe
沙也加 渡邊
Sayaka Watanabe
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、充放電の前後で構造を維持できる電極を提供し、サイクル特性およびレート特性の高い非水電解質二次電池を提供することである。【課題手段】上記課題は、合材層を少なくとも含む非水電解質二次電池用電極であって、前記合材層は導電助剤と活物質とバインダーとを含み、前記導電助剤はカーボンナノチューブを含み、前記合材層はナノインデンテーション測定によるtanδが0.25以下である非水電解質二次電池用電極により解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池に関する。
電気自動車の普及や携帯機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、高いエネルギー密度を
有する二次電池、さらに、その二次電池の高容量化が求められている。このような背景の
下で高エネルギー密度、高電圧という特徴から非水系電解液を用いる非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池が多くの機器に使用されている。
これらリチウムイオン二次電池に用いられる負極材料としては、リチウム(Li)に近い卑な電位で単位質量あたりの充放電容量の大きい黒鉛に代表される炭素材料が用いられている。黒鉛の理論容量は、372mAhg-1であり、理論値に近いところまで使われている。これに対し、黒鉛を上回る容量を示す活物質として、SiやSiOなどの合金系負極材料が近年注目されている。Siの理論容量は、4200mAhg-1であり、黒鉛の11倍もの高容量を示す。しかしながら、Siは、充放電に伴う大きな体積変化から、電極の導電パスの切断や、集電体と合剤層の剥離等の恐れがある。このことは、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を低下させる要因となる。
近年、種々の高分子バインダーを適用することにより、電極構造の維持とサイクル特性の改善が報告されている。例えば、カルボキシメチルセルロースやポリアミドイミド、ポリアクリル酸、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。特許文献1では、高分子量の架橋したポリアクリル酸ナトリウムを主バインダー、低分子量の無架橋アクリル酸を補助バインダーとして用いている。主バインダーが、構造維持を担い、補助バインダーが活物質との接着性を担っている。特許文献2では、ポリビニルアセタール樹脂をバインダーとして用いることで、負極だけでなく正極でもサイクル特性が向上することが報告されている。このように、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善するために、バインダー特性の改善が有効であることが報告されている。
一方で、電極構造を安定維持させるためには、電極構造自体も体積変化への耐久性が必要である。特許文献3では、エチレン性不飽和カルボン酸化合物を繰り返し単位として含み、かつ、架橋されている高分子をバインダーとして用いることで、電極の複合弾性率および硬さを制御し、充放電に伴う電極の体積変化を抑制することが報告されている。
国際公開第2016/051811号 国際公開第2018/079200号 特開2018-107060
本発明が解決しようとする課題は、充放電の前後で構造を維持できる電極を提供し、サイクル特性およびレート特性の高い非水電解質二次電池を提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。発明者らは、合材層がナノインデンテーション測定によるtanδが0.25以下であることにより、充放電の前後で構造を維持できる電極が得られること、優れたサイクル特性およびレート特性を有する非水電解質二次電池が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、合材層を少なくとも含む非水電解質二次電池用電極であって、前記合材層は導電助剤と活物質とバインダーとを含み、前記導電助剤はカーボンナノチューブを含み、前記合材層はナノインデンテーション測定によるtanδが0.25以下である非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記合材層はナノインデンテーション測定による複素弾性率が1.7GPa以上である前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記カーボンナノチューブは、分散剤によって分散されたカーボンナノチューブを含む前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記分散剤の含有量は、100質量部の前記カーボンナノチューブに対して10質量部以上100質量部以下である前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記分散剤は、ポリアクリロニトリル系重合体を含む前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記カーボンナノチューブの含有量は、前記合材層100質量部に対して2質量部以下である前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記活物質は、シリコン系活物質を含む前記非水電解質二次電池用電極に関する。
本発明は、前記電極を用いた非水電解質二次電池に関する。
( 1 ) 合材層
非水電解質二次電池用電極の電極膜は、合材層を少なくとも含み、例えば、集電体上に合材層を有する構成が挙げられる。また、合材層は、導電助剤と活物質とバインダーとを含み、例えば、導電助剤と活物質とバインダーと溶媒とを含む合材スラリーを層状に形成して得られる。
電極膜に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いる
ことができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコー
ティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、
グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥
方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが
使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよい。電極
合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以
上、300μm以下である。
本実施形態の合材層は、導電助剤としてカーボンナノチューブを含み、かつ、ナノインデンテーション測定によるtanδが0.25以下である。tanδは0.23以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましい。
tanδとは、損失弾性率(G’’)と貯蔵弾性率(G’)との比、G’’/G’のことである。上記のようなtanδの合材層を採用することで、充放電による体積変化が起きた場合、弾性変形が優位となり、変形が元に戻りやすい。すなわち、合材層内部の粒子間の密着状態、合材層と集電体との密着状態、および導電助剤による導電パスが維持されるため、優れたサイクル特性およびレート特性を有する非水電解質二次電池が得られる。
本実施形態の合材層は、ナノインデンテーション測定による複素弾性率が1.7GPa以上であることが好ましく、2.2GPa以上がより好ましい。このような複素弾性率の合材層を採用することで、内部応力による負荷に耐えられるため、充放電による構造変化を抑制することができる。すなわち、合材層内部の粒子間の密着状態、合材層と集電体との密着状態、および導電助剤による導電パスが維持されるため、優れたサイクル特性およびレート特性を有する非水電解質二次電池が得られる。
本明細書において、合材層のtanδおよび複素弾性率は、ナノインデンテーションテスタ(アントンパール社製、UNHT3 ウルトラナノインデンテーションテスタ)を用いて測定することにより求められる。詳細には、合材層側を上にして電極膜を土台に固定し、合材層に対して連続剛性測定(Sinusモード)を行う。圧子はバーコビッチ圧子を使用し、荷重50mN、負荷速度0.05/s、周波数10Hz、最大振幅5mNにて測定し、押し込み深さが3~5μmの結果の平均値をtanδおよび複素弾性率とする。
tanδおよび複素弾性率を上記範囲に調整する方法としては、電極密度を変更する方法、バインダーの種類や添加量を変更する方法、カーボンナノチューブの種類・添加量・分散状態を変更する方法等が挙げられる。
電極の密度を変更する方法としては、合材スラリーの組成、塗工方法、乾燥条件、プレス機の種類、プレス圧、プレス温度等を変更する方法が挙げられ、ロールプレスの場合は送り速度、間隙距離を変更する方法も挙げられる。
バインダーの種類や添加量を変更する方法としては、バインダーの主鎖を変更する方法や、バインダーの側鎖や架橋構造を変更する方法、添加量を増減させる方法、バインダーの組み合わせや比率を変更する方法等が挙げられる。
カーボンナノチューブの種類や添加量を変更する方法としては、カーボンナノチューブの長さ、直径、比表面積、G/D比、表面状態を変更する方法、添加量を増減させる方法等が挙げられる。カーボンナノチューブの分散状態を変更する方法としては、カーボンナノチューブの分散方法、分散剤の種類、分散条件、合材との混合方法を変更する方法等が挙げられる。
ただし、電極の密度やバインダーの種類や添加量を適正値から変更した場合、tanδおよび複素弾性率を上記範囲に調整しても、他の要因により、エネルギー密度、サイクル特性、レート特性が低下する恐れがある。例えば、バインダーの大量添加は、リチウムイオンの伝導を妨げ、レート特性やエネルギー密度の低下を招く恐れがある。一方、カーボンナノチューブはバインダーと比較して少量添加でtanδおよび複素弾性率を調整することが可能であり、添加により電子伝導度の上昇も見込めることから、エネルギー密度を維持しつつ、サイクル特性やレート特性を向上させるために好適である。
( 2 )導電助剤
導電助剤は、少なくともカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブにより電極膜中に良好な導電パスが形成される。カーボンナノチューブ以外の導電助剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を併用してもよい。
カーボンナノチューブは、導電パス形成効果及びコスト等の観点から、前記合材層100質量部に対して0.025質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、負極では0.025質量部以上1.0質量部以下であることがより好ましく、正極では0.10質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。
カーボンナノチューブは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブが混在するものであってもよい。単層カーボンナノチューブは一層のグラファイトが巻かれた構造を有する。多層カーボンナノチューブは、二又は三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する。また、カーボンナノチューブの側壁はグラファイト構造でなくともよい。例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるカーボンナノチューブをカーボンナノチューブとして用いることもできる。
カーボンナノチューブの形状は限定されない。かかる形状としては、針状、円筒チューブ状、魚骨状( フィッシュボーン又はカップ積層型) 、及びコイル状を含む様々な形状が挙げられる。また、円筒チューブ状のカーボンナノチューブを乾式処理を行って得られた、板状またはプレートレット状の2次凝集体であってもよい。本実施形態においてカーボンナノチューブの形状は、中でも、針状、又は、円筒チューブ状であるこが好ましい。カーボンナノチューブは、単独の形状、または2 種以上の形状の組合せであってもよい。
カーボンナノチューブの形態は、例えば、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ及びカーボンナノファイバーを挙げることができるが、これらに限定されない。カーボンナノチューブは、これらの単独の形態又は二種以上を組み合わせられた形態を有していてもよい。
カーボンナノチューブの平均外径は、1nm以上25nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましく、1nm以上15nm以下であることがさらに好ましい。カーボンナノチューブの平均外径が上記範囲であると、後述する活物質の表面がカーボンナノチューブで被覆されやすくなり、電極膜の導電性や密着性が向上する。
カーボンナノチューブの外径および平均外径は次のように求められる。まず透過型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブを観測するとともに撮像する。次に観測写真において、任意の300本のカーボンナノチューブを選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてカーボンナノチューブの平均外径(nm) を算出する。
カーボンナノチューブのBET比表面積は150~1500m/gであることが好ましく、200 ~ 1300m/gであるものがより好ましい。
カーボンナノチューブは、合材層中の添加量とカーボンナノチューブの比表面積との積が10~1000が好ましい。40~700がより好ましい。
カーボンナノチューブは、通常二次粒子として存在している。この二次粒子の形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよい。カーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は、絡み合っているものと比べるとほぐれ易い。また直線状のものは、絡み合っているものに比べると分散性が良いのでカーボンナノチューブとして好適に利用できる。
カーボンナノチューブは、表面処理を行ったカーボンナノチューブでもよい。またカーボンナノチューブは、カルボキシル基に代表される官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノナノチューブも用いることができる。
カーボンナノチューブはどのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。カーボンナノチューブは一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法で製造できるが、これらに限定されない。例えば、酸素濃度が1体積% 以下の雰囲気中、500~1000 ℃ にて、炭素源を触媒と接触反応させることでカーボンナノチューブを製造することができる。
カーボンナノチューブの炭素源となる原料ガスは、従来公知の任意のものを使用できる
。例えば、炭素を含む原料ガスとしてメタン、エチレン、プロパン、ブタン及びアセチレ
ンに代表される炭化水素、一酸化炭素、並びにアルコールを用いることができるが、これ
らに限定されない。特に使いやすさの観点から、炭化水素及びアルコールの少なくともい
ずれか一方を原料ガスとして用いることが望ましい。
市販のカーボンナノチューブとしては、例えば、昭和電工社製VGCF-H、VGCF-X等;名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ;NTP社製NTP3003、NTP3021、NTP3121、NTP8012、NTP8022、NTP9012、NTP9112等;JEIO社製10B、6A;OCSiAl社製TUBALL等;が挙げられる。
( 3 )分散剤
カーボンナノチューブは、分散剤によって分散されたカーボンナノチューブの形態で合材層中に含まれることが好ましい。例えば、カーボンナノチューブと分散剤と溶媒とを含むカーボンナノチューブ分散液を調整し、このカーボンナノチューブ分散液を用いて合材スラリーを調整することで、分散剤によって分散されたカーボンナノチューブを合材層中に含み、良好な導電パスを形成できる。
分散剤は、100質量部のカーボンナノチューブに対して10質量部以上100質量部以下であることが好ましい。20質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましい。
分散剤は、カーボンナノチューブを分散安定化できる範囲で特に限定されず、界面活性剤、樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性に分類される。カーボンナノチューブの分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。
アニオン性界面活性剤を選択する場合、その種類は特に限定されない。具体的には脂肪
酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリー
ルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキ
ルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸
エステル及びポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに
限定されない。さらに、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸
硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩及びβ - ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
またカチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類
がある。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド
、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メ
チルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリ
ジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェ
ート、セチルピリジニウムブロマイド、4 - アルキルメルカプトピリジン、ポリ( ビニルピリジン) - ドデシルブロマイド及びドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。また両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
またノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル
、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルアリルエーテルが挙げられ
るが、これらに限定されない。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビ
タン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、
これらに限定されない。
選択される界面活性剤は単独の界面活性剤に限定されない。このため二種以上の界面活
性剤を組み合わせて使用することも可能である。例えばアニオン性界面活性剤及びノニオ
ン性界面活性剤の組み合わせ、又はカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組
み合わせが利用できる。その際の配合量は、それぞれの界面活性剤成分に対して好適な配
合量とすることが好ましい。組み合わせとしてはアニオン性界面活性剤及びノニオン性界
面活性剤の組み合わせが好ましい。アニオン性界面活性剤はポリカルボン酸塩であること
が好ましい。ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンフェニルエーテルであることが
好ましい。
また樹脂型分散剤として具体的には、セルロース誘導体( セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど) 、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル系重合体等が挙げられる。
分散剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル系重合体が好ましい。
また、分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル系重合体がより好ましく、ポリアクリロニトリル系重合体がさらに好ましい。ポリアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルを繰り返し単位として含む重合体であれば特に限定されず、他のモノマー成分を共重合してもよい。他のモノマー成分としては、活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースのヒドロキシ基をカルボ
キシメチルナトリウム基で置換したカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩等の塩の
形態で使用することができる。
分散剤は、プルラン換算の重量平均分子量で、5,000以上300,000 以下が好ましく、10 ,000 以上100,000 以下がより好ましく、10,000以上50,000 以下がさらに好ましい。適度な重量平均分子量を有する分散剤を使用するとCNTへの吸着性が向上し、カーボンナノチューブ分散液の安定性がより向上する。また、上記範囲を超える分散剤を使用する場合、カーボンナノチューブ分散液の粘度が高くなり、ノズル式の高圧ホモジナイザーなどの狭い流路を被分散液が通過する分散機を用いた場合、分散効率が低下する場合がある。
( 4 )カーボンナノチューブ分散液
カーボンナノチューブ分散液を調整するための分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(BRANSON社製AdvancedDigitalSonifer(登録商
標)、MODEL450DA、エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等) 類、ペイントコン
ディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」
、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」
等) 、ボールミル、サンドミル( シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等) 、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等) 、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等) 、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カーボンナノチューブ分散液のカーボンナノチューブの量は、カーボンナノチューブ分散液100質量部に対して、0.2~20質量部が好ましく、0.5~10質量部が好ましく、0 .5~7.0質量部がより好ましい。
カーボンナノチューブ分散液のpHは6~11であることが好ましく、7~11であることがより好ましく、8~11であることがさらに好ましく、9~11であることが特に好ましい。カーボンナノチューブ分散液のpHはpH計(株式会社堀場製作所社製、pHMETERF-52) を用いて測定することができる。
また、分散剤に加えて、無機塩基および無金属塩を含んでもよい。無機塩基および無機金属塩としては、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を有する化合物であることが好ましく、詳しくは、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、ならびにホウ酸塩等が挙げられる。また、これらの中でも容易にカチオンを供給できる面でアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、
水酸化物、炭酸塩が好ましい。アルカリ金属の水酸化物は、例えば、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物は、例え
ば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩は、
例えば、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩は、例えば、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。これらの中でも水酸化リチウム、水酸化
ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムがより好ましい。
また、分散剤に加えて、消泡剤を含んでもよい。消泡剤は、市販の消泡剤、湿潤剤、親水性有機溶剤水溶性有機溶剤等、消泡効果を有するものであれば任意に用いることができ、1種類でも、複数を組み合わせて用いてもよい。
例えば、アルコール系; エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、プロピレングリコール、その他グリコール類等、
脂肪酸エステル系; ジエチレングリコールラウレート、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、天然ワックス等、
アミド系; ポリオキシアルキレンアミド、アクリレートポリアミン等、
リン酸エステル系; リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等、
金属セッケン系; アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等、
油脂系; 動植物油、胡麻油、ひまし油等、
鉱油系: 灯油、パラフィン等、
シリコーン系; ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
溶媒は、カーボンナノチューブが分散可能な範囲であれば特に限定されないが、水、及びまたは、水溶性有機溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上からなる混合溶媒であることが好ましく、水を含むことがより好ましい。水を含む場合は、溶媒全体に対して95質量部以上であることが好ましく、98質量部以上であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶媒としては、アルコール系( メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ベンジルアルコールなど) 、多価アルコール系( エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコールなど) 、多価アルコールエーテル系( エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなど) 、アミン系( エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミンなど) 、アミド系(N-メチル-2-ピロリドン( NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP) 、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタムなど) 、複素環系( シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど) 、スルホン系(ヘキサメチルホスホロトリアミド、スルホランなど)、低級ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、その他、テトラヒドロフラン、尿素、アセトニトリルなどを使用することができる。
( 5 )活物質
活物質とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはイン
ターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等
を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチ
ウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム
、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどの
リチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リ
チウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリ
アニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用する
こともできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な
ものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン
合金、鉛合金等の合金系、LixFe23、LiFe34、LiWO2(xは0<x<1の数である。)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
負極活物質としては、シリコン系負極活物質が好ましく、シリコン、シリコン合金やケイ素酸リチウム等が挙げられる。
シリコンとしては、例えば、二酸化珪素を炭素で還元して作製される所謂冶金グレードシリコンや、冶金グレードシリコンを酸処理や一方向凝固などで不純物を低減した工業グレードシリコン、そしてシリコンを反応させて得られたシランから作製される高純度の単結晶、多結晶、アモルファスなど結晶状態の異なる高純度シリコンや、工業グレードシリコンをスパッタ法やEB蒸着(電子ビーム蒸着)法などで高純度にすると同時に、結晶状態や析出状態を調整したシリコンなどが挙げられる。
また、シリコンと酸素の化合物である酸化珪素や、シリコンと各種合金及びそれらの結
晶状態を急冷法などで調整したシリコン化合物も挙げられる。中でも、外側がカーボン皮
膜で被覆された、珪素ナノ粒子が酸化珪素中に分散した構造を有するシリコン系負極活物
質が好ましい。
負極活物質は、シリコン系負極活物質に加えて、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末を使用することが好ましい。その中でも、人造黒鉛や天然黒鉛等の炭素質粉末を使用することが好ましい。
シリコン系負極活物質の量は、人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末100質量
%とした場合、3~50質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより
好ましい。
活物質のBET比表面積は0.1~10m2/gのものが好ましく、0.2 ~5m2/gのものがより好ましく、0.3~ 3m2/gのものがさらに好ましい。
活物質の平均粒子径は0.5~50μmの範囲内であることが好ましく、2~20μmであることがより好ましい。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
( 6 ) バインダー
バインダーとは、活物質やカーボンナノチューブなどの物質間を結着するための樹脂である。
バインダーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体; ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂; スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類; ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でもよい。この中でも、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸が好ましい。
バインダーの種類や量比は、カーボンナノチューブ、活物質など共存する物質の性状に
合わせて、適宜選択される。例えば、カルボキシメチルセルロースを使用する量について
は、活物質の質量を100質量%とした場合、カルボキシメチルセルロースの割合が0.5~3.0質量% が好ましく、1.0~2.0質量% がさらに好ましい。
カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースのヒドロキシ基をカルボ
キシメチルナトリウム基で置換したカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩であることが好ましい。
カルボキシメチルセルロースは、1%水溶液を作製した際の粘度が500~6000mPa・sであることが好ましく、1000~3000mPa・sであることがさらに好ま
しい。カルボキシメチルセルロース1%水溶液の粘度は25℃の条件下で、B型粘度計ロ
ーター回転速度60rpmで測定することができる。
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は0.6~1.5であることが好ましく、0.8~1.2であることがさらに好ましい。
スチレンブタジエンゴムは、水中油滴エマルションであれば、一般に電極の結着材とし
て用いられているものを使用することができる。スチレンブタジエンゴムを使用する量に
ついては、活物質の質量を100質量%とした場合、スチレンブタジエンゴムの割合が0.5~3.0質量%が好ましく、1.0~2.0質量% がさらに好ましい。
( 7 ) 合材スラリー
合材スラリーとは、導電助剤と活物質とバインダーと溶媒とを少なくとも含むものである。
合材スラリーは従来公知の様々な方法で作製することができる。好ましくは、カーボンナノチューブ分散液と、バインダーと、活物質とを混合する方法であるが、これらを混合する順序は特に限定されず、それぞれを順次添加してもよいし、いずれか2つ以上を同時に添加してもよい。例えば、カーボンナノチューブ分散液にバインダーを添加してカーボンナノチューブ樹脂組成物を作製した後、活物質を添加してもよいし、カーボンナノチューブ分散液に活物質を添加した後、バインダーを添加して作製してもよい。
合材スラリーを得るには、カーボンナノチューブ樹脂組成物に活物質を加えた後、分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。合材スラリーは前記カーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて、合材スラリーを得ることができる。
合材スラリー中の活物質の量は合材スラリー100質量部に対して、20~85質量部であることが好ましく、30~80質量部であることがより好ましく、40~75質量部であることがさらに好ましい。
合材スラリー中のカーボンナノチューブの量は活物質100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~5 質量部であることがより好ましく、0 .02 ~3質量部であることがさらに好ましい。
合材スラリー中のバインダーの量は活物質100質量%に対して、0.5~30質量% であることが好ましく、1~25質量% であることがより好ましく、2~20質量% であることがさらに好ましい。
合材スラリーの固形分の量は、合材スラリー100質量% に対して、30~90質量% であることが好ましく、35~85質量% であることがより好ましく、40~80質量% であることがさらに好ましい。
( 8 ) 非水電解質二次電池
非水電解質二次電池とは正極と、負極と、電解質とを含むものである。
正極としては、集電体上に正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製
したものを使用することができる。
負極としては、集電体上負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製し
たものを使用することができる。
電解質としては、イオンが移動可能な従来公知の様々なものを使用することができる。
例えば、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh( ただし、Phはフェニル基である)等リチウム塩を含むものが挙げられるが、これらに限定されず、ナトリウム塩やカルシウム塩を含むものも使用できる。電解質は非水
系の溶媒に溶解して、電解液として使用することが好ましい。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカー
ボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びγ-オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタン、及び1,2-ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。
非水電解質二次電池には、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
非水電解質二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。例中、「カーボンナノチューブ」を「CNT」と略記することがある。
実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
<カーボンナノチューブ>
・JENOTUBE 10B(JEIO社製)
・JENOTUBE 6A(JEIO社製)
・TUBALL SWCNT 93%(OCSiAL社製)
<分散剤>
・PVPK-30:ポリビニルピロリドンK-30(富士フィルム和光純薬社製)
・PAN:ポリアクリロニトリル(合成例1)
<バインダー樹脂>
・CMC #1190:カルボキシメチルセルロース(ダイセルミライズ社製)
・PVDF#5130:ポリフッ化ビニリデン(Solvey社製)
・SBR TRD2001:スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製)
<溶剤>
・NMP:N-メチル-2-ピロリドン(キシダ化学社製)
<負極活物質>
・SiO:一酸化珪素(株式会社大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE)
<正極活物質>
・NCM:ニッケル系正極材(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同社製、HED(登録商標)NCM-111 1100)
<分散剤の合成>
(合成例1)ポリアクリロニトリルの合成
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、アセトニトリル100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、アクリロニトリル90.0部、アクリル酸10.0部及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(日油社製;V-65)を5.0部の混合物を3時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに70℃で1時間反応させた後、V-65を0.5部添加し、さらに70℃で1時間反応を続けた。その後、不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認し、減圧濃縮してアセトニトリルを除去し、ノニオン性の樹脂型分散剤であるポリアクリロニトリル(PAN)系重合体を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は45,000であった。
<重量平均分子量(Mw)>
重量平均分子量は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。装置は、HLC-8320GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー社製「TSK-GELSUPERAW-4000」、「AW-3000」、及び「AW-2500」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mMのLiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6ml/minで測定した。サンプルは上記溶離液からなる溶媒に1質量%の濃度で調製し、20μL注入した。
(実施例1)
プラスチック容器に、イオン交換水96.25部、ポリビニルピロリドンK30(富士フィルム和光純薬社製)0.75部を入れ、充分に混合溶解した後、CNT(JENOTUBE 10B、JEIO社製)3.00部を加え、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて3000rpmで1時間混合撹拌した。次いで、φ1.0mmのジルコニアビーズと共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量150~250g/分、滞留時間60分間分散して、CNT分散液(A)を得た。
別のプラスチック容器にCNT分散液(A)0.42質量部、カルボキシメチルセルロース(ダイセルミライズ社製、#1190)を2質量% 溶解した水溶液を12.50質量部、イオン交換水11.95質量部計量した。その後、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで1分間撹拌し、CNT樹脂組成物を得た。その後、負極活物質である一酸化珪素(大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm) を2.44質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。さらに、天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB-20)を21.93質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。その後、固形分濃度が48質量%のスチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)0.78質量部を加えて、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、負極用合材スラリーを得た。
負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cmとなるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃ で30分間、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cmとなる電極膜を得た。
<ナノインデンテーション測定>
ナノインデンテーションテスタ(アントンパール社製、UNHT3 ウルトラナノインデンテーションテスタ)を用いて、電極膜の合材層部分のtanδおよび複素弾性率を測定した。方法としては、合材層側を上にして電極膜を土台に固定し、合材層に対して連続剛性測定(Sinusモード)を行った。圧子はバーコビッチ圧子を使用し、荷重50mN、負荷速度0.05/s、周波数10Hz、最大振幅5mNにて測定し、押し込み深さが3~5μmの結果の平均値をtanδおよび複素弾性率とした。
表1に実施例および比較例で使用したCNT分散液を示す。
Figure 2023153453000001
CNT分散液(F)は、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて3000rpmで1時間混合撹拌した際の粘度が高く、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)で分散することができなかった。
表2に実施例および比較例で使用した合材層の組成を示す。
Figure 2023153453000002
(実施例2~14)
表1および表2に掲載したCNT分散液と合材層の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、電極膜を得た。
(実施例15)
プラスチック容器に、NMP96.25部、ポリビニルピロリドンK30(富士フィルム和光純薬社製)0.75部を入れ、充分に混合溶解した後、CNT(JENOTUBE 10B、JEIO社製)3.00部を加え、PRIMIX社製ホモディスパーを用いて3000rpmで1時間混合撹拌した。次いで、φ1.0mmのジルコニアビーズと共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量150~250g/分、滞留時間60分間分散して、CNT分散液(E)を得た。
別のプラスチック容器にCNT分散液(E)4.17質量部、PVDF(Solvey社製、#5130)を8質量% 溶解したNMP溶液を6.25質量部、NMP15.22質量部計量した。その後、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで1分間撹拌し、CNT樹脂組成物を得た。その後、正極活物質(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社製、HED(登録商標)NCM-111 1100)24.38質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌し、正極用合材スラリーを得た。
正極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cmとなるようにアルミ箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃ で30分間、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cmとなる電極膜を得た。
(実施例16~18)
表2に掲載した合材層の組成に変更した以外は実施例15と同様にして、電極膜を得た。
(比較例1)
プラスチック容器にカルボキシメチルセルロース(ダイセルミライズ社製、#1190)を2質量% 溶解した水溶液を12.50質量部、イオン交換水12.34質量部計量した。その後、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで1分間撹拌した。その後、負極活物質である一酸化珪素(大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm) を2.44質量部添加し、同自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。さらに、天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB-20)を21.93質量部添加し、同自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。その後、スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)0.78質量部を加えて、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、負極用合材スラリーを得た。
負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cmとなるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃ で30分間、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cmとなる電極膜を得た。
(比較例2~3)
表1および表2に掲載したCNT分散液と合材層の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、電極膜を得た。
(比較例4)
プラスチック容器にカルボキシメチルセルロース(ダイセルミライズ社製、#1190)、#1190)を2質量% 溶解した水溶液を12.50質量部、イオン交換水12.34質量部、CNT(JENOTUBE 10B、JEIO社製)0.08部計量した。その後、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで1分間撹拌し、CNT樹脂組成物を得た。その後、負極活物質である一酸化珪素(大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICONMONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm) を2.43質量部添加し、同自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。さらに、天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB-20)を21.87質量部添加し、同自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで5分間撹拌した。その後、スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)0.78質量部を加えて、自転・公転ミキサー(シンキー社製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、負極用合材スラリーを得た。
負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cmとなるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃ で30分間、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜をロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cmとなる電極膜を得た。
(比較例5)
表2に掲載した合材層の組成に変更した以外は実施例15と同様にして、電極膜を得た。
<リチウムイオン二次電池負極評価用セルの組み立て>
先に作製した電極膜(実施例1~14、比較例1~4)をφ16mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間にセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートを3:5:2(体積比)の割合で混合した混合溶媒を作製し、さらに添加剤として、VC(ビニレンカーボネート)とFEC(フルオロエチレンカーボネート)を混合溶媒100質量部に対してそれぞれ1質量部加えた後、LiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池負極のサイクル特性評価>
作製したリチウムイオン二次電池負極評価用セルを25℃ の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電レート0.2Cにて充電終止電圧0.05Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行った後、放電レート0.2Cにて放電終止電圧1.5Vで定電流放電を行った。この操作を20回繰り返した。1Cは負極の理論容量を1時間で充電または放電する電流値とした。サイクル特性は、3回目の0.2C放電容量と20回目の0.2C放電容量の比、以下の式1で表すことができる。
(式1)サイクル特性=3回目の0.2C放電容量/20回目の0.2C放電容量×100(%)

4:95.0%以上
3:90.0%以上95.0%未満
2:80.0%以上90.0%未満
1:60.0%以上80.0%未満
0:60.0%未満
<リチウムイオン二次電池負極のレート特性評価>
作製したリチウムイオン二次電池負極評価用セルを25℃ の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電レート0.2Cにて充電終止電圧0.05Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行った後、放電レート0.2Cにて放電終止電圧1.5Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電レート0.2Cにて充電終止電圧0.05Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行い、放電レート3Cにて放電終止電圧1.5Vで定電流放電を行った。1Cは負極の理論容量を1時間で充電または放電する電流値とした。レート特性は、0.2C放電容量と3C放電容量の比、以下の式2で表すことができる。
(式2)レート特性=3C放電容量/3回目の0.2C放電容量×100(%)

3:80.0%以上
2:65.0%以上80.0%未満
1:50.0%以上65.0%未満
0:50.0%未満
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
先に作製した電極膜(実施例15~18、比較例5)をφ16mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間にセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1 :1 で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池正極のサイクル特性評価>
作製したリチウムイオン二次電池正極評価用セルを25℃ の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電レート0.2Cにて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行った後、放電レート0.2Cにて放電終止電圧2.5Vで定電流放電を行った。この操作を200回繰り返した。1Cは正極の理論容量を1時間で充電または放電する電流値とした。サイクル特性は、3回目の0.2C放電容量と200回目の0.2C放電容量の比、以下の式3で表すことができる。
(式3)サイクル特性=3回目の0.2C放電容量/200回目の0.2C放電容量×100(%)

4:95.0%以上
3:90.0%以上95.0%未満
2:80.0%以上90.0%未満
1:60.0%以上80.0%未満
0:60.0%未満
<リチウムイオン二次電池正極のレート特性評価>
作製したリチウムイオン二次電池正極評価用セルを25℃ の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電レート0.2Cにて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行った後、放電レート0.2Cにて放電終止電圧2.5Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電レート0.2Cにて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流:0.02C電流 )を行い、放電レート3Cにて放電終止電圧2.5Vで定電流放電を行った。1Cは負極の理論容量を1時間で充電または放電する電流値とした。レート特性は、0.2C放電容量と3C放電容量の比、上記の式2で表すことができる。

3:80.0%以上
2:65.0%以上80.0%未満
1:50.0%以上65.0%未満
0:50.0%未満
表3に実施例1~18、比較例1~5で作製した電極膜およびリチウムイオン二次電池の評価結果を示す。
Figure 2023153453000003
表3より、実施例では、比較例と比ベて、サイクル特性およびレート特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られた。これはカーボンナノチューブにより電極膜に導電パスが形成され、かつ、充放電の前後で電極構造が維持されたためと考えられる。

Claims (8)

  1. 合材層を少なくとも含む非水電解質二次電池用電極であって、前記合材層は導電助剤と活物質とバインダーとを含み、前記導電助剤はカーボンナノチューブを含み、前記合材層はナノインデンテーション測定によるtanδが0.25以下である非水電解質二次電池用電極。
  2. 前記合材層はナノインデンテーション測定による複素弾性率が1.7GPa以上である請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
  3. 前記カーボンナノチューブは、分散剤によって分散されたカーボンナノチューブを含む請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用電極。
  4. 前記分散剤の含有量は、100質量部の前記カーボンナノチューブに対して10質量部以上100質量部以下である請求項3に記載の非水電解質二次電池用電極。
  5. 前記分散剤は、ポリアクリロニトリル系重合体を含む請求項3に記載の非水電解質二次電池用電極。
  6. 前記カーボンナノチューブの含有量は、前記合材層100質量部に対して2質量部以下である請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用電極。
  7. 前記活物質は、シリコン系活物質を含む請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用電極。
  8. 請求項1または2に記載する電極を用いた非水電解質二次電池。
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