本発明は消去対象のNAND不揮発性メモリの選択トランジスタのVtシフトを低減することにある。
本発明の幾つかの実施形態には、選択トランジスタのVtシフトを低減するために、新しい消去方法と組み合わせて、新しいNANDフラッシュメモリのユニットまたは3D配列の新しい構造が提供される。
本発明のその他の実施形態には、一般的なNANDフラッシュメモリ構造が既知の発明と比較して変換が無い場合、選択トランジスタのVtシフトを低減させるための新しい動作方法が提供される。
詳細には、本発明には以下の項目が含まれる。
[1]、直列に接続するメモリセルの列と、メモリセルの列の二つの端部に結合する二つのソース/ドレイン(S/D)領域と、メモリセルの列を選択するための列の端部とS/D領域の間に結合する少なくとも一つの選択トランジスタと、少なくとも一つの選択トランジスタのVtシフトを低減するための少なくとも一つの選択トランジスタとS/D領域の間に結合する少なくとも一つの消去トランジスタと、を含むNANDフラッシュメモリユニット。
[2]、少なくとも一つの選択トランジスタが列の二つの端部と各々に結合している第一選択トランジスタ及び第二選択トランジスタを含み、少なくとも一つの消去トランジスタが第一選択トランジスタ及び第二選択トランジスタ各々に結合する第一消去トランジスタ及び第二消去トランジスタを含む、[1]のNANDフラッシュメモリユニット。
[3]、メモリセルの複数のゲートが第一電源に結合され、少なくとも一つの選択トランジスタのゲートが第二電源に結合され、少なくとも一つの消去トランジスタのゲートが第三電源に結合されており、第一電源、第二電源、及び第三電源がそれぞれ異なる、[1]又は[2]のNANDフラッシュメモリユニット。
[4]、各メモリセル、少なくとも一つの選択トランジスタ、および少なくとも一つの消去トランジスタが電荷トラッピング層を有する、[1]−[3]いずれかのNANDフラッシュメモリユニット。
[5]、電荷トラッピング層がシリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜(ONO)複合層を含む、[4]のNANDフラッシュメモリユニット。
[6]、[4]または[5]のNANDフラッシュメモリユニットを消去する方法であって、電圧VCGをメモリセルのゲートに印加するステップと、VCGより正に高い電圧VS/DをS/D領域に印加するステップと、"VSG<VS/D"の不等式を満たす電圧VSGを少なくとも一つの選択トランジスタに印加するステップと、"VEG<VS/D"の不等式を満たす電圧VEGを少なくとも一つの消去トランジスタのゲートに印加するステップとを含む、NANDフラッシュメモリユニットを消去する方法。
[7]、[4]又は[5]のNANDフラッシュメモリユニットを消去する方法であって、少なくとも一つの選択トランジスタのゲートがフロートするステップと、電圧VCGをメモリセルのゲートに印加するステップと、VCGより正に高い電圧VS/DをS/D領域に印加するステップと、"VEG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VEGを少なくとも一つの消去トランジスタのゲートに印加するステップとを含む、NANDフラッシュメモリユニットを消去する方法。
[8]、並列に配置される複数の線形スタックと、各線形スタックを覆う電荷トラッピング層と、線形スタックの間にクロスオーバーし伸びている複数の導電ラインと、線形スタックの間にクロスオーバーし伸びており、複数の導電ラインと隣り合わせる少なくとも一つの選択ラインと、線形スタックの間にクロスオーバーし伸びている少なくとも一つの選択ゲートラインと隣り合わせる少なくとも一つの消去ゲートラインとを含み;各線形スタックが交互に積み重なった複数の絶縁層及び複数のチャネル層を含み、各チャンネル層がその両端部に二つのS/D領域を有し;チャネル層、チャネル層の側の導電ラインの一部とチャネル層の側の電荷トラッピング層の一部がメモリセルの列を構成し;チャネル層、チャネル層の側の選択ラインの一部とチャネル層の側の電荷トラッピング層の一部が、ターゲットとなるメモリセルの列を選択するための選択トランジスタを構成し;少なくとも一つの選択ゲートラインが複数の導電ラインと少なくとも一つの消去ゲートラインにあり、少なくとも一つの消去ゲートラインが選択トランジスタの閾値電圧(Vt)シフトを低減するためである、3D NANDフラッシュメモリ配列。
[9]、少なくとも一つの選択ゲートラインが複数の導電ラインの両側に各々ある第一選択ゲートラインおよび第二選択ゲートラインを含み、少なくとも一つの消去ゲートラインが第一選択ゲートラインおよび第二選択ゲートラインに各々隣り合わせる第一消去ゲートライン及び第二消去ゲートラインを含む[8]の3D NANDフラッシュメモリ配列。
[10]、電荷トラッピング層がONO複合層を含む[8]又は[9]の3D NANDフラッシュメモリ配列。
[11]、複数の導電ライン、少なくとも一つの選択ゲートラインおよび少なくとも一つの消去ゲートラインが各々異なる電圧源に結合する[8]−[10]いずれかの3D NANDフラッシュメモリ配列。
[12]、電圧VCGを導電ラインに印加するステップと、VCGより正に高い電圧VS/DをS/D領域に印加するステップと、"VSG<VS/D"の不等式を満たす電圧VSGを少なくとも一つの選択ゲートラインに印加するステップと、"VEG<VS/D"の不等式を満たす電圧VEGを少なくとも一つの消去ゲートラインに印加するステップとを含む[8]−[11]いずれかの3D NANDフラッシュメモリ配列を消去する方法。
[13]、[8]−[11]いずれかの3D NANDフラッシュメモリ配列を消去する方法であって、少なくとも一つの選択ゲートラインがフロートするステップと、電圧VCGを導電ラインに印加することと、VCGより正に高い電圧VS/DをS/D領域に印加するステップと、"VEG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VEGを少なくとも一つの消去ゲートラインに印加するステップとを含む3D NANDフラッシュメモリ配列を消去する方法。
[14]消去対象となるNANDフラッシュメモリユニットの少なくとも一つの選択トランジスタの閾値電圧(Vt)シフトを低減する方法であって、NANDフラッシュメモリユニットが直列に接続するメモリセルの列、メモリセルの列の両端部に各々結合する二つのS/D領域、メモリセルの列の端部とS/D領域の間を結合すると少なくとも一つの選択トランジスタを含み、各メモリセルおよび少なくとも一つの選択トランジスタが電荷トラッピング層を有し、そして消去動作時に、電圧VCGがメモリセルのゲートに印加され、電圧VCGより正に高い電圧VS/Dがソース/ドレイン領域に印加され、消去中に"VSG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VSGを印加するステップ、を含む方法である。
[15]、少なくとも一つの選択トランジスタがメモリセルの列の両端部に各々結合する第一選択トランジスタおよび第二トランジスタを含む、[14]の方法。
[16]、NANDフラッシュメモリが3D NANDフラッシュメモリ配列であり、3D NANDフラッシュメモリ配列が並列に配置された複数の線形スタックと、各線形スタックを覆う電荷トラッピング層と、線形スタックの間をクロスオーバーし伸びている複数の導電ラインと、前記線形スタックの間をクロスオーバーし伸びている複数の導電ラインと隣り合う少なくとも一つの選択ゲートラインとを含み、その中、各線形スタックが交互に重ねられた複数の絶縁層および複数のチャネル層を含み、各チャネル層が両端部に二つのS/D領域を有する、[14]または[15]の方法。
[17]、少なくとも一つの選択ゲートラインが複数の導電ラインの両側に各々ある第一選択ゲートラインおよび第二選択ゲートラインを含む、[16]の方法。
[18]、消去対象のNANDフラッシュメモリの少なくとも一つの選択トランジスタのVtシフトを低減する方法であって、NANDフラッシュメモリユニットが直列に接続するメモリセルの列、メモリセルの列の両端部に結合するS/D領域、およびメモリセルの列の端部およびS/D領域の間に結合する少なくとも一つの選択トランジスタを含み、各メモリセルおよびその少なくとも一つの選択トランジスタが電荷トラッピング層を有し、消去動作において、電圧VCGがメモリセルのゲートおよび少なくとも一つの選択トランジスタのゲートに印加され、そして電圧VCGよりも正に高い電圧VS/Dがソース/ドレイン領域に印加され、消去動作後、a)選択トランジスタの閾値電圧(Vt)が許容範囲内であるかどうかを測定するステップと、b)もし選択トランジスタのVtが許容範囲外であれば選択トランジスタを再プログラムし、ステップa)に戻る、又は選択トランジスタのVtが許容範囲内であれば終了するステップとを含む、Vtシフトを低減する方法。
[19]、再プログラムが少なくとも一つの選択トランジスタの電荷トラッピング層に電子を注入するステップを含む、[18]の方法。
[20]、許容範囲がαV(α>0)よりも高くなっている、[18]または[19]の方法。
[21]、NANDフラッシュメモリユニットが3D NANDフラッシュメモリ配列にあり、3D NANDフラッシュメモリ配列が並列に配置された複数の線形スタックと、各線形スタックを覆う電荷トラッピング層と、線形スタックの間をクロスオーバーし伸びている複数の導電ラインと、線形スタックの間をクロスオーバーし伸びている複数の導電ラインと隣り合わせる少なくとも一つの選択トランジスタとを含み、その中、各線形スタックが交互に重ねられた複数の絶縁層および複数のチャネル層を含み、各チャネル層が両端部に二つのS/D領域を有する、[18]から[20]いずれかの方法。
[22]、少なくとも一つの選択ゲートラインが複数の導電ラインの両側に各々ある第一選択ゲートライン及び第二選択ゲートラインを含む、[21]の方法。
本発明の上記にあるいずれの実施形態を適用することで、消去対象のNANDフラッシュメモリユニットまたは配列の選択トランジスタのVtシフトは低減することが可能となる。このように、NANDフラッシュメモリの後の動作は悪影響を受けない。
本発明の前述および他のオブジェクト、特徴、および利点を分かりやすくするため、望ましい実施形態は図面と併せて以下に詳細に記載される。
幾つかの専門用語は利便性のためだけに以下の記述に使用されており、本発明を制限するものではない。 本発明の実施形態は、詳細な説明さらに/または図式に掲示されているのを含め、ここに記述されている新しい機能のいずれか一つ、またはそれ以上の特徴を含む。 ここに使用されているように、「少なくとも一つ」、「一つ又は複数」、および「さらに/または」は動作において接続語および離接的接続詞の両方となる変更可能な表現である。 例えば、「A、BおよびCの少なくとも一つ」、「A、BまたはCの少なくとも一つ」、「A、BおよびCの一つまたは複数」、「A、BまたはCの一つまたは複数」、および「A、Bおよび/またはC」の各々の表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの両方、AおよびCの両方、BおよびCの両方、またはA、BおよびCの全て、を意味する。
図1Aは本発明の第一実施形態に基づく三次元(3D)NANDフラッシュメモリ配列の斜視図であり、図1Bは3D NANDフラッシュメモリ配列のNANDフラッシュメモリユニットのI−I'の断面図である。ここでは、四段階のメモリセルのみ開示してある。しかしながら、段階の数は多数にまで拡大することが可能である。
図1Aおよび1Bを参照すると、3D NANDフラッシュメモリ配列は、絶縁体基板、半導体基板、又は金属基板であることができる、基板100に基いて形成されている。 この絶縁体基板はクオーツまたはガラスを含むことができる。他の例示の実施形態において、基板100は下層の半導体又は他の構造部材(図示せず)の上に配置されることができる。本発明の例示の実施形態において、3D NANDフラッシュメモリ配列は、並列に配列された複数の線形スタック104、電荷トラッピング層116、連続的に配置された複数の導電ライン120a、二つの選択ゲートライン120b、二つの消去ゲートライン120c、及び回路内の構成部品または構造を互いに絶縁し、かつライン120a、120b、120cの間を埋めるための誘電体層124を含み、そのなか、各スタック104が交互に積み重ねられた絶縁層108およびチャネル層112を含む。誘電体層124が図1Aに図示されていないため、ライン120a、120b、および120cと線形スタック104間の関係はより明確に図示され、この例示の実施形態において、基板100はフラッシュメモリ配列のプログラムまたは消去に必要となる電気的な特徴をサポートしていない。
この例示の実施形態において、チャネル層112はビット線として構成されており、導電ライン120aはワード線として作用することができ、消去ゲートライン120cは複数の線形スタック104上に共形に配置され、複数の導電ラインは複数の線形ストック104と共形する下表面を有し、複数の線形ストック104によって定義された溝を埋めている。
図1Bに開示されているように、各チャネル層112は両端部に二つのソース/ドレイン(S/D)領域112aおよび112bを、二つのS/D領域112aおよび112bの間にセルチャネル領域112cを有する。絶縁層108の材料は二酸化ケイ素でよい。チャネル層112は二つのS/D領域112aおよび112bが形成される前にドープポリシリコン又は非ドープポリシリコンを含むことができる。この例示の実施形態において、チャネル層112は二つのS/D領域112aおよび112bが形成される前にp型半導体材料を含むことが可能である。導電ライン120aは導電型(例えばp+型)が同様または異なる半導体材料を含むことが可能である。例えば、チャネル層112はp型ポリシリコンまたはp型エピタキシャル単結晶シリコンを原料とすることが可能であるが、導電ライン120aは比較的大量のドープp型ポリシリコンを原料とすることが可能である。
また、チャネル層112はn型半導体材料を含むことが可能である。導電ライン120aは導電型(例えばp型)が同様または異なる半導体材料となることが可能である。このn型ストリップ配置は埋め込みチャネル、デプレッションモード電荷トラッピングメモリセルと成る。例えば、チャネル層112はn型ポリシリコンまたはn型エピタキシャル単結晶シリコンを原料とすることが可能であるが、導電ライン120aは比較的大量のドープp型ポリシリコンを原料とすることが可能である。
別の例示の実施形態において、各チャネル層112はさらにライン120a、120bおよび120c間にドープ領域を有することが出来る。この例示の実施形態において、電荷トラッピング層116は複数の線形スタック104を覆い、別の実施形態においては、少なくとも線形スタック104のサイドウォールにあり、二つの酸化シリコン層10および14、さらにその間のシリコン窒化物(SiN)層12を含むONO複合層となることが可能である。その結果、NANDフラッシュ配列で構成される3D配列のSONOS型メモリセルが形成される。チャネル層112に、ソース領域、ドレイン領域、およびチャネル領域が形成され、ゲートは導電ライン120aの材料物質を含む。別の例示の実施形態において、電荷トラッピング層116はON-high-Kまたはオキシド−ニトリド−オキシド−ニトリド−オキシド(ONONO)複合層となることが可能で、「K」は誘電率を意味する。本発明の別の例示の実施形態において、NANDフラッシュメモリはメタル−オキシド−ニトリド−オキシド−シリコン(MONOS)タイプまたはタンタル−酸化アルミニウム−ニトリド−オキシド−シリコン(TANOS)タイプフラッシュメモリであることが可能である。
導電ライン120a、選択ゲートライン120bおよび消去ゲートライン120cは全て同様の導電層から定義され、導電層はドープポリシリコン又はメタルを含むことが出来る。導電ライン120a、選択ゲートライン120bおよび消去ゲートライン120cの各々は線形スタック104間をクロスオーバーし伸びており、電荷トラッピング層116によって線形スタック104から隔たれている。導電ライン120aは互いに隣り合って配置されている。二つの選択ゲートライン120bの中には、一つは複数の導電ライン120aの一側に配備され、もう一つは同様の複数の導電ライン120aのもう一側に配備される。二つの消去ゲートライン120cの中には、一つは二つの選択ゲートライン120bの一つに隣り合わせて配備され、もう一つは選択ゲートライン120bのもう一方に隣り合わせて配備される。各選択ゲートライン120bは複数の導電ライン120aおよび消去ゲートライン120cの間にある。
誘電体層124はSiO2を含むことができる。また、選択ゲートライン120bおよび隣り合わせる消去ゲートライン120c間の距離が十分にあるため、それらの電圧差によって起こる電界はそれらの間の誘電体層124の破壊 (breakdown)電界よりも低い。この例示の実施形態によると、複数の導電ライン120a、選択ゲートライン120bおよび消去ゲートライン120cは各々異なる電圧源(示せず)に結合する。
再度図1Bにおいて、3つの隣り合う線形スタック104内2つ毎の間にセルゲートとする導電ライン120aの一部、電荷トラッピング層116の対応する一部、及びチャネル層112の対応する一部がメモリセル20を構成する。詳細には、この例示の実施形態において、メモリセル20は一つの導電ライン120aおよび一つのチャネル層112の交点において形成されることが出来る。三つおきに二つの隣り合う線形スタック104間に選択ゲートとする選択ゲートライン120bの一部、電荷トラッピング層116の対応する一部、及びチャネル層112の対応する一部が、対応するメモリセルの列を選択するため、または配列にある隆線形のスタックに沿った列を選択するための選択トランジスタ22を構成する。三つおきに二つの隣り合う線形スタック104間に消去ゲートとする消去ゲートライン120cの一部、電荷トラッピング層116の対応する一部、及びチャネル層112の対応する一部が、選択トランジスタ22の閾値電圧シフト(Vt-シフト)を低減するための電子正孔対を発生させるための消去トランジスタ24を構成する。
図2−3は図1BにあるNANDフラッシュメモリユニットの等価回路図であり、本発明の第二および第三実施形態に基いたメモリユニット又は3D NANDフラッシュメモリ配列を消去する二つの方法である。この例示の実施形態において、メモリセル20の複数のゲートは第一電源(示せず)と結合しており、選択トランジスタ22のゲートは第二電源(示せず)と結合し、消去トランジスタ24のゲートは第三電源(示せず)と結合している。第一電源、第二電源、そして第三電源は互いに異なる。
図2において、第一消去トランジスタ24、第一選択トランジスタ22、メモリセル20、第二選択トランジスタ22および第二消去トランジスタ24は順に直列に接続している。本発明の第二実施形態の消去動作において、電圧VCGが各セルゲート120aに印加され、VCGより正に高い電圧VS/DがS/D領域に印加され、"VSG<VS/D"の不等式を満たす電圧VSGが各選択ゲート120cに印加され、"VEG<VS/D"の不等式を満たす電圧VEGが各消去ゲートに印加される。本発明の他の例示の実施形態において、"0V≦VEG<VS/D"の不等式を満たす電圧VEGが各消去トランジスタ24のゲート120cに印加される。
従って、図1A、1Bに開示された3D NANDフラッシュメモリ配列全体の対応する消去において、電圧VCGが各導電ライン120aに印加され、電圧VS/DがS/D領域112aおよび112bに印加され、電圧VSGが各選択ゲートライン120bに印加され、電圧VEGが消去ゲートライン120cに印加される。
この例示の第二実施形態において、VCG=0V、VS/Dは約20V、VSGは10Vから20Vの範囲、そしてVEGは0Vから16Vの範囲である。
この実施形態において、消去トランジスタはS/D領域及び選択ゲート間に挿入されているため、電子正孔対は消去トランジスタのチャネル領域の端部で発生する。発生した正孔はチャネル層112内で蓄積されるため、チャネル層112の電位は高くなる。従って、選択トランジスタのVtシフトは低減され、NANDフラッシュメモリの後に続く動作は悪影響を受けない。
図3において、本発明の第三実施形態の消去動作では、各選択ゲート120bはフロートされ、電圧VCGが各セルゲート120aに印加され、VCGより正に高い電圧VCGがS/D領域に印加され、そして"VEG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VEGが各消去ゲート120cに印加される。本発明の別の例示の実施形態においては、"0V≦VEG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VEGが各消去トランジスタ24のゲート120cに印加される。
従って、図1A/Bに開示された3D NANDフラッシュメモリ配列全体の対応する消去において、各選択ゲートライン120bがフロートされ (Floating)、電圧VCGが各導電ライン120aに印加され、電圧VS/DがS/D領域112aおよび112bに印加され、電圧VEGが各消去ゲートライン120cに印加される。
この例示の第三実施形態において、VCG=0V、VS/Dは約20V、VSGは10Vから20Vの範囲、そしてVEGは0Vから16Vの範囲である。
この実施形態において、消去トランジスタはS/D領域及び選択ゲート間に挿入されているため、電子正孔対は消去トランジスタのチャネル領域の端部で発生する。発生した正孔はチャネル層112内で蓄積されるため、チャネル層112の電位は高くなる。 従って、選択トランジスタのVtシフトは低減され、NANDフラッシュメモリの後に続く動作は悪影響を受けない。
また、消去ゲートを有する本発明の新しいNANDフラッシュメモリユニットに適用する上記の第二または第三実施形態の消去動作において、選択していないブロックの消去ゲートを含む全てのゲートがフロートすることが可能になる。
反対に、新しいNANDフラッシュメモリユニットのプログラミングまたは読取りにおいて、選択していないブロックの全ての消去ゲートをフロートさせ、選択ブロックの全ての消去ゲートに正の電圧を適用することは可能であるが、選択していないブロックおよび選択ブロックにあるセルゲートと選択ゲートに印加される電圧は、先行技術において適用されているのと同様である。
図4は本発明の第四実施形態に基づいた、消去対象のNANDフラッシュメモリユニットの少なくとも一つの選択トランジスタのVtシフト問題に対処する方法である。この方法は消去トランジスタを装備しない一般的なNANDフラッシュメモリユニット構造に適応される。
図4において、一般的なNANDフラッシュメモリユニット構造は消去トランジスタが欠けている点において、図2または図3に開示されているのと異なる。この実施形態の消去動作において、電圧VCGはメモリセル40のゲートに印加され、VCGより正に高い電圧VS/DがS/D領域に印加され、そして"0V<VSG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VSGが選択レジスタ42のゲートに印加される。
この実施形態において、各選択レジスタ42のゲートは"0V<VSG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VSGに適応されるため、電子正孔対は選択トランジスタ42のチャネル領域の端部で発生する。発生した正孔はチャネル層内で蓄積されるため、チャネル層の電位は高くなる。選択ゲート電圧は0Vより高いため、選択ゲートのVtシフトを低減することが可能になる。これにより、NANDフラッシュメモリの後に続く動作は悪影響を受けない。
図5は本発明の第五実施形態に基づいた、消去対象の一般的なNANDフラッシュメモリユニット構造(図4)の少なくとも一つの選択トランジスタのVtシフト問題に対処するもう一つの方法である。これは電圧VCGがメモリセルのゲートおよび少なくとも一つの選択トランジスタのゲートに印加され、電圧VCGより正に高い電圧VS/DがS/D領域に印加される一般的な消去動作後に適応される方法である。
図5において、消去動作510後、選択トランジスタのVtが許容範囲以内であるかどうかが測定される(ステップ520)。もし選択トランジスタのVtが許容範囲外であると測定されると、選択トランジスタは再プログラム(ステップ530)され、動作がステップ520に戻る。もしVtが許容範囲内であると測定されると、動作は終了となる。
実施形態において、許容範囲はαV(α>0)より高く、再プログラムは少なくとも一つの選択トランジスタの電荷トラッピング層に電子が注入されることを含むことがある。
本発明の上記第五実施形態の方法によって、消去することが原因となる選択トランジスタのVtシフトが取り除かれるため、NANDフラッシュメモリの後に続く動作には悪影響を受けない。
本発明の上記第四および第五実施形態の方法は、図6Aに斜視図が開示されている一般的な3D NANDフラッシュメモリ配列など、様々な一般的なNANDフラッシュメモリ構造に適応されることが可能である。図6Bは図6Aに開示された一般的な3DNANDフラッシュメモリ配列にあるNANDフラッシュメモリユニットのVI−VI'断面図である。
図6Aおよび6Bにおいて、一般的な3D NANDフラッシュメモリ配列は、基板600、線形スタック604、線形スタック604にある絶縁層608およびチャネル層612(各々が二つのS/D領域612aと612bの間にあるセルチャネル領域612cを含む)、電荷トラッピング層616、導電ライン620a、選択ゲートライン620b、誘電体層624、メモリセル60及び選択トランジスタ62は第一実施形態にあるそれらの類似物100、104、108、112、116、120a、20および22と類似しているが、消去ゲートライン及び消去トランジスタが欠けている点において、本発明の第一実施形態のものとは異なる。
本発明の第四実施形態の方法が一般的な3D NANDフラッシュメモリ配列に適応される時、電圧VCGが導電ライン620aまたはメモリセル60のゲートに印加され、VCGより正に高い電圧VS/DがS/D領域612aおよび612bに印加され、そして"0V<VSG≦VS/D"の不等式を満たす電圧VSGが選択ゲートライン620bまたは選択トランジスタ62のゲートに印加される。
本発明の上記いずれかの実施形態を適応することによって、消去対象となるNADNフラッシュメモリユニットまたは配列の選択レジスタのVtシフトを低減することが可能となる。このように、NANDフラッシュメモリの後の動作には悪影響を受けない。
本発明の上記第二から第五実施形態の方法も、BiCSおよび基板接点の無い他の種類のNANDフラッシュメモリなど、セミコンダクタ−オン−インシュレータ(SOI)基板、垂直チャネル3D NANDフラッシュメモリに電子を蓄積するために、誘電体電荷トラッピング構造にあるSiNまたは他の要素の使用によって、電荷蓄積層を有するNANDフラッシュメモリに適応されることが可能である。