JP2016011256A - ディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ディスプレイ用ガラス基板は、SiO2、Al2O3を含有し、モル%表示で、B2O3が0〜8%であり、R2Oが0.01〜0.8%であり、BaO/ROが0.05〜1であり、歪点が670℃以上である。
ディスプレイ用ガラス基板は、あるいは、SiO2、Al2O3、MgOを含有し、MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、歪点が700℃以上である、ガラスからなり、熱収縮率が5ppm〜75ppmである。ディスプレイ用ガラス基板は、あるいは、SiO2、Al2O3、BaOを含有し、B2O3 0〜7%、BaO 1〜15%、SiO2/Al2O3が6.0以下であり、歪点が700℃以上である。ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表し、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。
【選択図】なし
Description
このような背景から、熱収縮率を低減させるためにガラスの歪点を高くする技術が開示されている(特許文献1)。また、徐冷点から歪点付近までの温度領域における平均密度曲線の勾配と平均線膨張係数との比を調整して熱収縮を低減する技術が開示されている(特許文献2)。また、熱収縮率を低減させるためにTgを高くする技術が開示されている(特許文献3)。さらに、近年益々ディスプレイパネルの高精細化が求められるため、特許文献3の技術では、不十分な熱収縮率の低減となってきた。このために、ガラスの歪点を725℃以上にする技術も開示されている(特許文献4)。
そのため、特許文献1に記載のガラスを直接通電加熱による熔融を経て製造しようとする場合、上記熔解槽熔損の問題が発生することが強く懸念される。さらに、近年益々高精細化が求められ、さらにガラスの歪点を高くすることが求められていることから、上記問題はより顕著となる。
また、上記特許文献2に開示されたガラスの歪点が682〜699℃であるため、熱収縮を十分に小さくするような平均密度曲線の勾配とするには、徐冷速度を極めて遅くする必要があり、生産性が低下するという問題があった。さらに、特許文献2に開示されたガラスは失透温度が1287℃以上であるため、失透が生じやすいという問題もあった。また、上述した問題はダウンドロー法を用いて成形を行う場合に、特に顕著となる。
さらに、ガラス基板を用いるディスプレイの製造では生産性を向上させることが求められ、例えば、薄膜トランジスタが形成されたガラス基板を薄板化する工程の生産性の向上も求められている。ガラス基板を薄板化する工程の生産性は、ガラス基板のエッチングにかかる時間に大きく依存する。そのため、ディスプレイガラス基板には、エッチングレートの上昇による生産性の向上と熱収縮率の低減とを両立することが求められている。しかし、上記特許文献4に記載のガラス基板については、歪点は高いものの、エッチングレートについて配慮されていないという問題があった。
(1)高歪点とガラスの熔解時の直接通電加熱による熔解槽熔損の防止とを両立するガラス基板、
あるいは、
(2)高歪点と成形工程における失透抑制とを両立するガラス基板、
あるいは、
(3)高歪点と高エッチングレートとを両立するガラス基板、
と、この製造方法を提供することを目的とする。特に、本実施形態は、LTPS−TFTあるいはOS−TFTを用いたディスプレイに適したディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
SiO2、Al2O3を含有し、
モル%表示で、
B2O3が0〜8%であり、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
BaO/ROで表される、式中の成分の含有量から計算される値が0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表しており、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。
SiO2、Al2O3、BaOの含有量は、モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
BaO 0.1〜15%、である、[1]記載のガラス基板。
(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO+(10×R2O))で表される、式中の成分の含有量から計算される値が2.5以上である、[1]又は[2]記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜8%、を含有し、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO+(10×R2O))で表される、式中の成分の含有量から計算される値が2.5以上であり、
BaO/ROが0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表しており、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。
モル%表示で、
MgO 0〜15%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜15%、
BaO 0.1〜15%、を含有する、[1]〜[4]の何れかに記載のガラス基板。
モル比SiO2/Al2O3で表される値が10未満である、[1]〜[5]の何れかに記載のガラス基板。
モル%表示で、B2O3+RO+ZnOで表される、式中の成分の含有量から計算される値が15〜25%である、[1]〜[6]のいずれかに記載のガラス基板。
SnO2とFe2O3とをさらに含有し、
モル%表示で、
SnO2の含有量は0.03〜0.15%であり、
SnO2とFe2O3との含有量の合量は、0.05〜0.2%である、[1]〜[7]のいずれかにガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜8%、
MgO 0〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜8%、
MgO 0〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有し、
BaO/ROの値が0.1〜0.5であり、CaO/ROの値が0.2〜0.6であり、MgO/(RO+ZnO)の値が0.15〜0.6である、[1]〜[9]のいずれかに記載のガラス基板。
La2O3及びY2O3を実質的に含有しない、[1]〜[10]のいずれかに記載のガラス基板。
SiO2、Al2O3、MgOを含有し、
モル%表示で、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上である、ガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。
SiO2、Al2O3、BaOを含有し、
モル%表示で、
BaO 1〜15%であり、
Sb2O3を実質的に含有せず、歪点が700℃以上である、ガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
SiO2、Al2O3の含有量は、モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、である、[12]又は[13] に記載のガラス基板。
モル%表示でMgO 1〜15%である、[12]〜[14]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜15%、
BaO 1〜15%、を含有し、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上であるガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。
モル%表示で、(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO)が2.8〜20である、[12]〜[16]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、
MgO 1〜15%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜15%、を含有する、[12]〜[17]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、SiO2/Al2O3が6.0以下である、[12]〜[18]のいずれかに記載のガラス基板。
SnO2とFe2O3とを含有し、
モル%表示で、
SnO2 0.03〜0.15%であり、
SnO2とFe2O3との合量は、0.05〜0.2%である、[12]〜[19]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜7%、
MgO 1〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、 BaO 1〜10%、を含有する、[12]〜[20]のいずれかに記載のガラス基板。
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜7%、
MgO 1〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有し、
BaO/ROの値が0.1〜0.5であり、Ca/ROの値が0.2〜0.6であり、MgO/(RO+ZnO)の値が0.15〜0.6である、[12]〜[21]のいずれかに記載のガラス基板。
SiO2、Al2O3、BaOを含有し、
モル%表示で、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、
SiO2/Al2O3が6.0以下であり、
歪点が700℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
SiO2、Al2O3の含有量は、モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 10.5〜20%である、[23]に記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 10.5〜20%、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、を含有し、
As2O3を実質的に含有せず、
ROが10.0〜18.0%であり、
SiO2/Al2O3が3以上5.7以下であり、
SrO<0.25×CaOであり、
歪点が700℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。
モル%表示で、
MgO 0〜15%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜8%、を含有する、[23]〜[25]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、SrO/ROが0〜0.1である、[23]〜[26]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、CaO/ROが0.1〜0.8である、[23]〜[27]のいずれかに記載のガラス基板。
SnO2とFe2O3とを含有し、
モル%表示で、
SnO2 0.03〜0.15%、
SnO2とFe2O3との合量は、0.05〜0.2%の範囲である、[23]〜[28]のいずれかにガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜7%、
MgO 0〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有する、[23]〜[29]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜7%、
MgO 0〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有し、
BaO/ROの値が0.1〜0.5であり、Ca/ROの値が0.2〜0.6であり、MgO/(RO+ZnO)の値が0.15〜0.6である、[23]〜[30]のいずれかに記載のガラス基板。
100〜300℃における平均熱膨張係数が28.0〜45.0×10-7℃-1である、[23]〜[31]のいずれかに記載のガラス基板。
(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO)で表される値が3.1以上である、[1]〜[11]及び[23]〜[32]の何れかに記載のガラス基板。
モル%表示で、SiO2-(1/2×Al2O3)で表される、式中の成分の含有量から計算される値が65%未満である、[1]〜[33]の何れかに記載のガラス基板。
As2O3を実質的に含有しない、[1]〜[34]のいずれかに記載のガラス基板。
Sb2O3を実質的に含有しない、[1]〜[35]のいずれかに記載のガラス基板。
モル%表示で、R2O(Li2O+Na2O+K2O)が0.1〜0.4%である、[1]〜[22]のいずれかに記載のガラス基板。
100〜300℃における平均熱膨張係数が28.0〜50.0×10-7℃-1である、[1]〜[22]のいずれかに記載のガラス基板。
オーバーフローダウンドロー法で成形されたガラス基板である、[1]〜[38]のいずれかに記載のガラス基板。
低温ポリシリコンまたは酸化物半導体を用いて形成された薄膜トランジスタがガラス基板表面に形成されたフラットパネルディスプレイ用ガラス基板である、[1]〜[39]のいずれかに記載のガラス基板。
液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ用ガラス基板である、[1]〜[40]記載のガラス基板。
前記ガラス基板は、CRT(ブラウン管)ディスプレイを除くディスプレイ用のガラス基板である、[1]〜[41]記載のガラス基板。
所定の組成に調合したガラス原料を少なくとも直接通電加熱を用いて熔解する熔解工程と、
前記熔解工程にて熔解した熔融ガラスを平板状ガラスに成形する成形工程と、
前記平板状ガラスを徐冷する工程であって、前記平板状ガラスの熱収縮率を低減するように前記平板状ガラスの冷却条件を制御する徐冷工程と、を含む[1]〜[42]のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
熔解工程は、少なくとも高ジルコニア系耐火物を含んで構成される熔解槽においてガラス原料を熔解する、[43]に記載の製造方法。
前記徐冷工程は、平板状ガラスがTgから(Tg−100℃)となる温度範囲内において、平板状ガラスの冷却速度が30〜300℃/分となるように徐冷を行う、[43]又は[44]に記載の製造方法。
[1]〜[45]のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板を用いたディスプレイ。
また、上述のガラス基板の一態様によれば、高歪点であり、かつ成形時の失透を抑制できるガラスを製造することが可能となる。
さらに、上述のガラス基板の一態様によれば、高歪点と高エッチングレートを両立したガラス基板を製造することが可能となる。
これにより、ディスプレイ製造時の熱収縮を低減することができるディスプレイ用ガラス基板、特に、LTPS−TFT又はOS−TFTを用いたフラットパネルディスプレイに適したディスプレイ用ガラス基板を提供することができる。
モル%表示で、
B2O3が0〜8%であり、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
BaO/ROが0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である。
本明細書において、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表しており、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
BaO 0.1〜15%、であることが好ましい。
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜8%、を含有し、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO+(10×R2O))が、2.5以上であり、
BaO/ROが0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である。
上記ガラス基板は、ガラス基板(A)として後述する実施例では説明する。
SiO2、Al2O3、MgOを含有し、
モル%表示で、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上である、ガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。当該形態ではMgO/(RO+ZnO)を0.1〜0.9とするので、高歪点を維持しつつ、成形時の失透を抑制できる。また、MgO/(RO+ZnO)を0.1〜0.9とすることで、ガラスの熔解性も維持することもできる。さらに、熱収縮率を5ppm〜75ppmとするので、LTPS−TFTを用いたディスプレイに適したディスプレイ用ガラス基板、OS−TFTを用いたディスプレイ用ガラス基板として適している。
モル%表示で、
BaO 1〜15%であり、
Sb2O3を実質的に含有せず、歪点が700℃以上である、ガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである。
なお、SiO2、Al2O3の含有量は、モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、であることが好ましい。
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜15%、
BaO 1〜15%、を含有し、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上であるガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
当該形態ではMgO/(RO+ZnO)を0.1〜0.9、BaOの含有量を1〜15%とするので、低い失透温度を維持しつつ、ガラスの歪点を高くできる。さらに、熱収縮率を5ppm〜75ppmとするので、LTPS−TFTを用いたディスプレイに適したディスプレイ用ガラス基板、OS−TFTを用いたディスプレイ用ガラス基板として適している。上記ガラス基板は、ガラス基板(B)として後述する実施例では説明する。
モル%表示で、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、
SiO2/Al2O3が6.0以下であり、
歪点が700℃以上である。
B2O3含有量を0〜7%とすることで、ガラスの高温粘性を低下させ、熔融性を改善することができる。
BaOの含有量を1〜15%とすることで、ガラスの歪点を高く保ったまま、失透温度を効果的に下げることができる。
SiO2/Al2O3を6.0以下とすることで、エッチングレートを良好にすることができる。
また、ガラスの歪点を700℃以上とすることで、熱収縮率を所定範囲に制御することができる。
なお、SiO2、Al2O3の含有量は、モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 10.5〜20%であることが好ましい。
SiO2を60〜80%とすることで、ガラスの熱膨張係数の増加を抑制しながら、低密度化を図ることができる。また、Al2O3を10.5〜20%とすることで、歪点の低下を抑制しながら、失透温度の上昇を抑制することができる。
SiO2 60〜80%、
Al2O3 10.5〜20%、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、を含有し、
As2O3を実質的に含有せず、
ROが10.0〜18.0%であり、
SiO2/Al2O3が3以上5.7以下であり、
SrO<0.25×CaOであり、
歪点が700℃以上である。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。
ROを10.0〜18.0%とすることで、熔解性を維持しながら低密度化を図り、かつ熱膨張係数の増加を抑制することができる。
SiO2/Al2O3を3以上5.7以下にすることで、高歪点、耐失透性、エッチングレートを両立することができる。
SrO<0.25×CaOとすることで、ガラスの失透温度を効果的に低下させることができる。
また、ガラスの歪点を700℃以上とすることで、熱収縮率を所定範囲に制御することができる。
上記ガラス基板は、ガラス基板(C)として後述する実施例では説明する。
なお、SiO2+(2×Al2O3)の値が近似している組成を有するガラスでは、エッチングレートはSiO2/Al2O3に、より顕著に依存する。高歪点、耐失透性、エッチングレートを両立させるという観点からは、SiO2+(2×Al2O3)が75〜100mol%であり、かつ、SiO2/Al2O3が3.5以上10未満であることが好ましく、より好ましくは、SiO2+(2×Al2O3)が92〜98mol%であり、かつ、SiO2/Al2O3が4.0〜6.0の範囲であることが好ましい。
が少なすぎると、熔解性が悪化する。ROが多すぎると、歪点およびヤング率が低下し、密度及び熱膨張係数が上昇する。このような観点から、ROは、好ましくは5〜25mol%の範囲であり、より好ましくは8〜18mol%、さらに好ましくは10〜18mol%、一層好ましくは10〜17mol%の範囲である。
好ましい。
との整合がとりにくくなり、周辺部材が剥離してしまう虞がある。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
このとき、「熱処理前後のガラスの収縮量」とは、「熱処理前のガラスの長さ−熱処理後のガラスの長さ」である。
きる。
る。中でも、高精細が求められる携帯端末などのディスプレイ用ガラス基板に好適である。
本実施形態は、LTPS−TFTまたはOS−TFTをガラス基板表面に形成したフラットパネルディスプレイを包含し、このフラットパネルディスプレイはガラス基板が上記本実施形態のガラス基板である。本実施形態のフラットパネルディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであることかできる。
本実施形態のディスプレイ用ガラス基板の製造方法は、所定の組成に調合したガラス原料を、例えば、少なくとも直接通電加熱を用いて、熔解する熔解工程と、前記熔解工程にて熔解した熔融ガラスを平板状ガラスに成形する成形工程と、前記平板状ガラスを徐冷する徐冷工程と、を有する。
特に、前記徐冷工程は、前記平板状ガラスの熱収縮率を低減するように前記平板状ガラスの冷却条件を制御する工程であることが好ましい。
成形工程では、熔解工程にて熔解した熔融ガラスを平板状ガラスに成形する。平板状ガラスへの成形方法は、例えば、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法が好適であり、平板状ガラスとしてガラスリボンが成形される。その他、フロート法、リドロー法、ロールアウト法などを適用できる。ダウンドロー法を採用することにより、フロート法など他の成形方法を用いた場合に比べ、得られたガラス基板の主表面が雰囲気以外とは非接触である自由表面で形成されるために、極めて高い平滑性を有しており、成形後のガラス基板表面の研磨工程が不要となるために、製造コストを低減することができ、さらに生産性も向上させることができる。さらに、ダウンドロー法を使用して成形したガラス基板の両主表面は均一な組成を有しているために、エッチング処理を行った際に、成型時の表裏に関係なく均一にエッチングを行うことができる。
徐冷時の条件を適宜調整することでガラス基板の熱収縮率をコントロールすることができる。特に、前記平板状ガラスの熱収縮率を低減するように前記平板状ガラスの冷却条件を制御することが好ましい。ガラス基板の熱収縮率は上述のように、90ppm以下であり、好ましくは75ppm以下、より好ましくは5〜75ppmである。このような数値の熱収縮率を持つガラス基板を製造するためには、例えば、ダウンドロー法を使用する場合は、平板状ガラスとしてのガラスリボンの冷却速度を、Tgから(Tg−100℃)の温度範囲内において、30〜300℃/分とするように徐冷を行うことが好ましい。冷却速度が速すぎると、熱収縮率を十分低減することができない。一方、冷却速度が遅すぎると、生産性が低下すると共に、ガラス製造装置(徐冷炉)が大型化してしまうという問題が生じる。冷却速度の好ましい範囲は、30〜300℃/分であり、50〜200℃/分がより好ましく、60〜120℃/分がさらに好ましい。冷却速度を30〜300℃/分とすることで、本実施形態のガラス基板をより確実に製造することができる。なお、徐冷工程の下流で平板状ガラスを切断した後に、別途オフラインで徐冷を行うことでも熱収縮率は低下させることができるが、この場合、徐冷工程を行う設備の他に、別途オフラインで徐冷を行う設備が必要となる。そのため、上述したように、オフライン徐冷を省略することができるように、徐冷工程において熱収縮率を低減できるように制御したほうが、生産性及びコストの観点からも好ましい。なお、本明細書では、ガラスリボンの冷却速度とは、ガラスリボンの幅方向中央部の冷却速度を示すものとする。
ビーム曲げ測定装置(東京工業株式会社製)を用いて測定を行い、ビーム曲げ法(ASTM C−598)に従い、計算により歪点を求めた。
ガラスを粉砕し、2380μmのふるいを通過し、1000μmのふるい上に留まったガラス粒を白金ボートに入れた。この白金ボートを、1050〜1380℃の温度勾配をもった電気炉内に
5時間保持し、その後、炉から取り出して、ガラス内部に発生した失透を50倍の光学顕微鏡にて観察した。失透が観察された最高温度を、失透温度とした。
熔融ガラスの比抵抗は、HP社製 4192A LF インピーダンス・アナライザーを用いて、四端子法にて測定し、前記測定結果より1550℃での比抵抗値を算出した。
示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて測定した。この時の昇温速度は5℃/分とした。測定結果を元に100〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数およびTgを求めた。
熱収縮率は、90mm〜200mm×15〜30mm×0.5〜1mmの大きさのガラスについて、ケガキ線法で求めた。熱収縮測定の熱処理としては、エアサーキュレーション炉(Nabertherm製N120/85HA)を用いて、室温から10℃/分で昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温(降温速度約2.7℃/分)し、その後、エアサーキュレーション炉の扉を半開きし、室温まで放冷した。
熱収縮率(ppm)={熱処理でのガラスの収縮量/熱処理前のガラスのケガキ線間距離}×106 なお、ガラス原料を白金ルツボで熔解した後に鉄板上に流し出し、冷却固化して得たガラスの熱収縮を測定する場合は、0.7mmの厚さとなるように切断・研削・研磨を施し、電気炉を用いて、Tg+15℃の温度で30分間保持した後、4分間で炉外へ取り出したガラスを用いた。このときのTg+15〜150℃の範囲の平均冷却速度は100〜200℃/分であった。
ガラスの密度は、アルキメデス法によって測定した。
エッチングレート(μm/h)は、ガラス(12.5mmx20mmx0.7mm)を、HF濃度1mol/kg、HCl濃度5mol/kgとなるように調整した40℃のエッチング液(200mL)に1時間浸漬した場合の厚み減少量(μm)を測定し、単位時間(1時間)当たりのガラス基板の一方の表面の厚み減少量(μm)を算出することで求めた。
表1〜4に示すガラス組成になるように、実施例1〜60、比較例1〜3のガラスを以下の手順に従って作製した。得られたガラスについて、歪点、失透温度、Tg、100〜300℃の範囲における平均熱膨張係数(α)、熱収縮率、密度、エッチングレートを求めた。
表5〜7に示すガラス組成になるように、実施例101〜148及び比較例101のガラスを以下の手順に従って作製した。得られたガラスについて、歪点、失透温度、Tg、100〜300℃の範囲における平均熱膨張係数(α)、熱収縮率、密度、エッチングレートを求めた。
また、直接通電加熱を用いてガラス原料を熔解してオーバーフローダウンドロー法でガラス基板を製造した場合にも、同様の結果が得られた。したがって、実施例101〜148のガラスを用いることで、オーバーフローダウンドロー法により、LTPS−TFTが適用されるディスプレイに用いることが可能な、ガラス基板を製造することができる。また、実施例101〜148のガラス基板は、OS−TFT用ガラス基板としても適したものである。
表8〜11に示すガラス組成になるように、実施例201〜255および比較例201〜203のガラスを以下の手順に従って作製した。得られたガラスについて、歪点、失透温度、Tg、100〜300℃の範囲における平均熱膨張係数(α)、熱収縮率、密度、エッチングレートを求めた。
B2O3の含有量が7%以下の実施例1〜55および比較例1、2では、歪点が700℃よりも高かった。失透温度は1100℃以上であった。
一方、B2O3の含有量が12.0%の比較例203では、失透温度が1050℃に低下したものの、歪点が660℃に低下した。
Claims (14)
- SiO2、Al2O3を含有し、
モル%表示で、
B2O3が0〜8%であり、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
BaO/ROが0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表しており、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。 - モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜8%、を含有し、
R2Oが0.01〜0.8%であり、
(SiO2+(2×Al2O3))/((2×B2O3)+RO+(10×R2O))が2.5以上であり、
BaO/ROが0.05〜1であり、
歪点が670℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表しており、R2Oは(Li2O+Na2O+K2O)を表している。 - モル%表示で、
MgO 0〜15%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜15%、
BaO 0.1〜15%、を含有する、請求項1又は2記載のガラス基板。 - モル%表示で、SiO2-(1/2×Al2O3)が65%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板。
- モル%表示で、B2O3+RO+ZnOが15〜25%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板。
- SnO2とFe2O3とを含有し、
モル%表示で、
SnO2 0.03〜0.15%、
SnO2とFe2O3との合量は、0.05〜0.2%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板。 - モル%表示で、
SiO2 66〜72%、
Al2O3 11〜15%、
B2O3 0〜8%、
MgO 0〜6%、
CaO 2〜11%、
SrO 0〜1%、
BaO 1〜10%、を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス基板。 - As2O3を実質的に含有しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス基板。
- SiO2、Al2O3、MgOを含有し、
モル%表示で、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上である、ガラスからなり、 昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2
時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。 - SiO2、Al2O3、BaOを含有し、
モル%表示で、
BaO 1〜15%であり、
Sb2O3を実質的に含有せず、歪点が700℃以上である、ガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106 - モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 8〜20%、
B2O3 0〜15%、
BaO 1〜15%、を含有し、
MgO/(RO+ZnO)が0.1〜0.9であり、
歪点が700℃以上であるガラスからなり、昇温速度で10℃/分昇温させ、550℃で2時間保持し、55分かけて400℃まで降温し、その後、常温まで放冷した場合の下記式で示される熱収縮率が5ppm〜75ppmである、ディスプレイ用ガラス基板。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
ここで、ROは(MgO+CaO+SrO+BaO)を表している。 - SiO2、Al2O3、BaOを含有し、
モル%表示で、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、
SiO2/Al2O3が6.0以下であり、
歪点が700℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。 - モル%表示で、
SiO2 60〜80%、
Al2O3 10.5〜20%、
B2O3 0〜7%、
BaO 1〜15%、を含有し、
As2O3を実質的に含有せず、
ROが10.0〜18.0%であり、
SiO2/Al2O3が3以上5.7以下であり、
SrO<0.25×CaOであり、
歪点が700℃以上である、ガラスから形成されるディスプレイ用ガラス基板。 - 所定の組成に調合したガラス原料を少なくとも直接通電加熱を用いて熔解する熔解工程と、
前記熔解工程にて熔解した熔融ガラスを平板状ガラスに成形する成形工程と、
前記平板状ガラスを徐冷する工程であって、前記平板状ガラスの熱収縮率を低減するように前記平板状ガラスの冷却条件を制御する徐冷工程と、を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス基板を製造するディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
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