JP2015221838A - C4ラフィネートストリームからt−ブチルフェノールを生産する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フェノールがイソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームと選択的に反応してtert−ブチルフェノールを生産するに際して、イソブチレンはフェノールと反応するが、C4ラフィネートストリームに存在するブテン類は、フェノールとは全く反応しないかまたは反応しても極わずかとなるようした方法を提供する。【解決手段】 本発明は、フェノールまたは置換されたフェノールを、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームと選択的に反応させて、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールおよびオルト−tert−ブチルフェノール等、様々なt−ブチル−フェノール類を生産する方法に関する。2,6−ジ−tert−ブチルフェノールおよびオルト−tert−ブチルフェノールをトランスアルキル化して、パラ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール等、その他のtert−ブチルフェノール類を形成することも可能である。【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2009年12月4日に出願された米国特許仮出願第61/266,828号に基づく優先権を主張し、その全体を本明細書に参照により含めるものとする。
本発明は、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームから種々のt−ブチルフェノール類を生産する方法に関する。
原油精製において、ガソリンプール加えて、種々のナフサストリームが生成される。ナフサストリームは、エチレンおよびプロピレン等の貴重な化合物を含有するが、多くの場合、その後、ポリエチレンやポリプロピレン等の製品を生産するためにナフサクラッカーに注入される。一方、ナフサクラッカーは、イソブテン、ブタジエン、イソブチレン、およびその他のC4分子を含有するC4ラフィネートストリームを含む様々なストリームを生成するが、その多くもまた有益である。例えば、ブタジエンは、重合して種々のゴムに使用することができ、イソブチレンは、tert−ブチルフェノール類を含む多くの産業用化合物の出発原料として有益である。
しかし、イソブチレンからtert−ブチルフェノール類を生産するには、通常は、「純粋」イソブチレンが関与するが、ラフィネートストリームからのイソブチレンは、C2〜C5の範囲のその他のアルカン類およびアルケン類に加えて、様々な量のブテン類およびブタン類を含有する。C4ラフィネートストリームをフェノールと反応させる時、ブテン類、特に1−ブテンおよび2−ブテンがフェノールと競合的に反応して、所望するtert−ブチルフェノール類に加えて、所望しないsec−ブチルフェノール類も生成する。sec−ブチルフェノール類をtert−ブチルフェノール類から分離するには高価であり、所望する製品の生産量にとっては逆効果となる。
イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームからtert−ブチルフェノール類を生産する従来の方法には、通常は、メタノールまたは他のアルコールをC4ストリームに注入して反応させ、アルキル−tert−ブチルエーテル中間体を作り、さらに当該中間体を分解して高純度のイソブチレンを作り、その後、当該高純度イソブチレンをフェノールと反応させるとtert−ブチルフェノール類を生成し得る、という工程が含まれる。メタノールを加える追加工程を導入すると、tert−ブチルフェノール類を生産するコストが著しく増加し、別の所望しない副産物を作り出すこととなる。追加コストに加え、追加の副産物が生成されるとすれば、環境的理由から好ましくない。tert−ブチルフェノール類を生産するその他の種々の方法は、米国特許第4,166,191号に開示されているが、これらの方法では、従来の方法と同様、余分な工程を伴い、高価な材料を使用する。
当技術分野において必要とされているのは、フェノールがイソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームと選択的に反応してtert−ブチルフェノールを生産するに際して、イソブチレンはフェノールと反応するが、C4ラフィネートストリームに存在するブテン類は、フェノールとは全く反応しないかまたは反応しても極わずかとなるようした方法である。本発明は、その必要に応えるものである。
米国特許第4,166,191号
本発明は、アルミニウム等のグループIIIb金属、または酸化アルミニウム等のグループIIIb金属酸化物の存在下で、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールまたは置換されたフェノールと反応させることを含む、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたはオルト−tert−ブチルフェノール等のtert−ブチルフェノールの生産方法に関する。本反応は、反応温度を約50℃〜約150℃の範囲とし、イソブチレンとフェノールの分子比を約0.5:1〜約3:1の範囲として実行されるべきである。
本発明はまた、酸化アルミニウム触媒の存在下で、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールと反応させることを含む、オルト−tert−ブチルフェノールの生産方法に関する。本方法において、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲とし、イソブチレンとフェノールの分子比を約0.5:1〜約1.5:1の範囲とする。
本発明はまた、アルミニウムまたはアルミニウムトリスフェノキシドの存在下で、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをオルト−tert−ブチルフェノールと反応させることを含む、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールの生産方法に関する。本方法において、反応温度は約0℃〜約30℃の範囲とし、イソブチレンとオルト−tert−ブチルフェノールの分子比を約0.5:1〜約2.0:1の範囲とする。
本発明はまた、フェノールを、(a)イソブチレン,および(b)1−ブテンおよび/または2−ブテンを含有するC4ラフィネートストリームと反応させることを含む、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたはオルト−tert−ブチルフェノール等のtert−ブチルフェノールの生産方法に関する。本反応は、イソブチレンがフェノールと選択的に反応し、実質上1ブテンまたは2ブテンがフェノールと反応することなくtert−ブチルフェノールを生成するという反応条件下で行われる。
本発明はまた、アルキル−tert−ブチルエーテルを中間体として形成することなく、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームから直接tert−ブチルフェノールを生産する方法に関する。本過程では、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームが直接フェノールと反応し、tert−ブチルフェノールを生成する。本反応は、アルキル−tert−ブチルエーテルを形成する中間工程を経ることなく進む。
本発明はまた、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームから直接tert−ブチルフェノールを生産する、アルコールを含まない方法に関する。本方法は、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールと直接反応させてtert−ブチルフェノールを生産することを含む。本反応プロセスは、メタノールまたはアミルアルコール等のアルコールをC4ラフィネートストリームに注入するという中間工程を回避する。
本発明はまた、sec−ブチルフェノール類を0.5重量%未満含有する1つまたはそれ以上のtert−ブチルフェノール類を含む組成物に関する。本組成物は、フェノールを、(a)イソブチレンおよび(b)1−ブテンおよび/または2−ブテンを含有するイC4ラフィネートストリームと直接反応させることにより調製される。
tert−ブチルフェノール類は、可塑剤、樹脂、香辛料、重合阻害剤、老化防止剤、分子量調節剤、および様々なその他種々の化学製品を生産するための出発原料として有益である。さらに、一定のtert−ブチルフェノール類は、香料または風味の化合物として有益であり、および、香水、磨き粉、または洗濯洗剤等の家庭、個人および産業用商品に芳香を付加するという幅広い用途が可能である。
本発明の1つの実施形態は、グループIIIb金属またはグループIIIb金属酸化物の存在下で、反応温度を約50℃〜約150℃の範囲とし、イソブチレンとフェノールの分子比を約0.5:1〜約3:1の範囲として、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールまたは置換されたフェノールと反応させることを含む、tert−ブチルフェノールの生産方法に関する。本実施形態には、例えば、グループIIIb金属またはグループIIIb金属酸化物の存在下で、反応温度を約50℃〜約150℃の範囲とし、イソブチレンとフェノールの分子比を約0.5:1〜約2.5:1の範囲として、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールまたは置換されたフェノールと反応させることを含む、tert−ブチルフェノールの生産方法が含まれる。本実施形態にはまた、例えば、グループIIIb金属またはグループIIIb金属酸化物の存在下で、反応温度を約50℃〜約125℃の範囲とし、イソブチレンとフェノールの分子比を約0.5:1〜約3:1の範囲として、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールまたは置換されたフェノールと反応させることを含む、tert−ブチルフェノールの生産方法が含まれる。
所望されるtert−ブチルフェノールは、通常、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたはオルト−tert−ブチルフェノールである。しかし、2,4、6−トリ−tert−ブチルフェノール等、その他のtert−ブチルフェノール類もまた有益な生産物である。さらに、当初の反応から直接生成されるのではないその他のtert−ブチルフェノール類を、当業者に周知の方法で、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたはオルト−tert−ブチルフェノールをトランスアルキル化することにより作成することは可能である。例えば、米国特許第5,399,786号の全体を本明細書に引用により含めるが、その中には様々なトランスアルキル化反応が開示されている。例えば、2、6−ジ−tert−ブチルフェノールおよび/またはオルト−tert−ブチルフェノールを、当業者に周知のパラ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、またはその他のブチルフェノール類等の化合物を形成する周知の条件下で、トランスアルキル化することは可能である。
フェノールまたは置換されたフェノールを、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームと反応させると、tert−ブチルフェノールを生成するが、これは当技術分野でよく理解されている。所望のtert−ブチルフェノールを形成するのに、利用可能な、フェノールまたは置換されたフェノールの少なくとも約80%がイソブチレンと反応するのが好ましい。反応物質としてフェノールが好ましいが、他の所望されるtert−ブチルフェノール類を生産するために、その他種々の置換されたフェノール類を使用してもよい。但し、置換されたフェノール中の置換基が好ましい反応を干渉しないことを条件とする。
フェノールまたは置換されたフェノールと反応させるためには、C4ラフィネートストリームに十分な量のイソブチレンが存在する必要がある。イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームは、通常、35〜95%のいずれかの成分量のイソブチレンが含有されている。例えば、C4ラフィネートストリームには少なくとも75%のイソブチレンを含有することができる。一般には、C4ラフィネートストリーム中のイソブチレンの成分比率が高ければ、それだけ好ましい。だが、イソブチレンの量が少なくても、例えば35%未満であっても許容範囲であり、反応を起こすのに十分である。
反応の条件、具体的には反応温度およびイソブチレンとフェノール(または置換されたフェノール)の分子比により、イソブチレンとフェノールを選択的に反応させ、実質上不純物が存在せず、高い生成量でtert−ブチルフェノールを生産することが可能となる。反応温度は、約50℃〜約150℃の範囲であって、例えば、約70℃〜約130℃、約50oC〜約125℃、約70oC〜約125℃、または90oC〜121oCである。反応温度の過熱勾配および冷却勾配を制御することは可能であるが、それは、相対的に短い反応時間に高度な選択性と変換性を達成するために、反応の熱力学と動力学との間に適切なバランスを提供するからである。より高い反応温度で等温反応を利用してもよいが、通常は、それにより選択性が低下する。同様に、より低い反応温度で等温反応を利用することもできるが、反応時間が著しく長くなる。圧力は通常、0〜500psigである。反応は、バッチモード、連続モード、撹拌槽型反応器、連続撹拌槽型反応器、固定床型反応器、流動床反応器、または、当業者に周知の方法で行ってよい。
所望のtert−ブチルフェノールにより、イソブチレンとフェノールの分子比の範囲は異なり得る。もし所望の生成物がオルト−tert−ブチルフェノールであれば、イソブチレンとフェノールの比率は通常、約0.5:1〜約1.5:1の範囲であり、もし所望の生成物が2,6−ジ−tert−ブチルフェノールであれば、イソブチレンとフェノールの比率は通常、約1.8:1〜約2.8:1であり、もし所望の生成物がオルト−tert−ブチルフェノールと2,6−ジ−tert−ブチルフェノールの共生成物であれば、イソブチレンとフェノールの比率は通常、約1.3:1〜約1.8:1である。しかし、分子比の範囲が0.5:1〜3:1であれば、その他種々の分子比、例えば、0.5:1〜2.5:1も、所望の各生成物に利用してもよい。
任意のグループIIIb金属またはグループIIIb金属酸化物を反応の触媒として利用することができる。好適なグループIIIb金属はアルミであり、好適なグループIIIb金属酸化物は、酸化アルミニウムである。グループIIIb金属およびグループIIIb金属酸化物は別々にまたは一緒に利用してもよい。γアルミナを酸化アルミニウム触媒として利用してもよい。γアルミナは、粉末、押出物またはその他の固形形態であり得る。
4ラフィネートストリームはまた、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、および2−ブテン等の不純物を含有する。実際、ナフサストリームから生成される最も自然発生的C4ラフィネートストリームは、C1〜C5の炭化水素不純物を含有する。ブテン類がフェノールと反応すると、他の生成物に交じって所望でないsec−ブチルフェノールが形成される。C4ラフィネートストリーム中の不純物は所望されないが、不純物を取り除いて「純粋な」イソブチレンを形成するかまたは中間体を形成するか、いずれかの追加工程を行う必要もなく、不純物を含有するC4ラフィネートストリームと直接フェノールを反応させることができることによるコストの削減は有意義であり得る。
純粋または事実上純粋なイソブチレンをC4ラフィネートストリームから取得することは可能であるが、その方法は高コストである。従来のシステムにおけるより一般的なアプローチは、メタノールまたはアミルアルコール等のアルコールをC4ラフィネートストリームに注入してアルキル‐tert−ブチルエーテル類を中間生成物として形成することである。アルキル−tert−ブチルエーテル類、例えば、メチル‐tert−ブチルエーテルまたはメチル−tert−アミルエーテルが反応して、所望のモノアルキルフェノール類またはジアルキルフェノール類を形成できる。しかし、本方法においても追加工程および追加コストが必要であり、所望でない種々の副産物が生成される。
これらの追加工程を回避することは可能である。従って、本発明の1つの実施形態は、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームから直接tert−ブチルフェノールを生産する、アルコールを含まない方法、すなわち、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールと直接反応させてtert−ブチルフェノールを生産し、その反応プロセスにおいて、アルコールをC4ラフィネートストリームに注入する中間工程を回避することを含む方法に関する。本発明の別の実施形態は、アルキル−tert−ブチルエーテルを中間体として形成することなく、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームから直接tert−ブチルフェノールを生産する方法、すなわち、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームを直接フェノールと反応させてtert−ブチルフェノールを生産し、その反応プロセスにおいて、アルキル−tert−ブチルエーテルを形成する中間工程なしで反応が進むことを含む方法に関する。
tert−ブチルフェノール類を形成する時、フェノールまたは置換されたフェノールが、ブテン類とではなく、イソブチレンと反応することが望ましい。上記の反応条件は、この種の選択的反応を可能とする。よって、C4ラフィネートストリームに存在する1−ブテンおよび2−ブテンの3%未満がフェノールまたは置換されたフェノールと反応するという態様で反応は進み得る。その他の実施形態では、1−ブテンおよび2−ブテンの2%未満がフェノールまたは置換されたフェノールと反応するか、または1−ブテンおよび2−ブテンの1%未満がフェノールまたは置換されたフェノールと反応する。
この点に関して、本発明の1つの実施形態は、イソブチレンがフェノールと選択的に反応して、実質上1−ブテンまたは2−ブテンがフェノールと反応することなく、tert−ブチルフェノールを生成するという反応条件下で、フェノールを、(a)イソブチレン、および(b)1−ブテンおよび/または2−ブテンを含有するC4ラフィネートストリームと反応させることを含む、tert−ブチルフェノールの生産方法に関する。
オルト−tert−ブチルフェノールは、上記の反応条件により生成される、所望のtert−ブチルフェノール類の1つである。よって、本発明の1つの実施形態は、酸化アルミニウム触媒の存在下でイソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをフェノールと反応させることを含む、オルト−tert−ブチルフェノールの生産方法に係る。オルト−tert−ブチルフェノールを生産する時、反応温度は、約150℃〜約200℃であることが好ましく、例えば、約160℃〜約180℃で、イソブチレンとフェノールの分子比は、約0.5:1〜1.5:1であることが好ましく、例えば、約0.9:1〜約1.1:1である。酸化アルミニウム触媒は、粉末または押出物等の固体形態等のγアルミナであり得る。
2,6−ジ−tert−ブチルフェノールは、上記の反応条件で生成され得る別のtert−ブチルフェノールである。よって、本発明の1つの実施形態は、アルミニウムまたはアルミニウムトリスフェノキシドの存在下で、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをオルト−tert−ブチルフェノールと反応させることを含む、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールの生産方法に係る。2,6−ジ−tert−ブチルフェノールを生成する時、反応温度は約0℃〜約30℃であることが望ましく、例えば、約10℃〜約20℃で、イソブチレンとオルト−tert−ブチルフェノールの分子比は、約0.5:1〜約2.0:1であることが好ましく、例えば、約0.8:1〜約1.2:1である。反応は通常、0〜50psigの圧力下で起こる。
アルミニウムトリスフェノキシドは、直接反応に注入してもよいし、または反応中に形成されることもあり得る。例えば、アルミニウムトリスフェノキシドは、トリアルキルアルミニウムをオルト−tert−ブチルフェノールと反応させることにより、または、アルミニウム金属をオルト−t−ブチルフェノールと反応させることにより形成され得るが、一般的にはこれが、アルミニウムトリスフェノキシドを形成するもっとも経済的な手段である。
本発明の別個の実施形態は、sec−ブチルフェノール類0.5重量%未満を含有する1つまたはそれ以上のtert−ブチルフェノール類を含有する組成物に関するものであって、その組成物は、フェノールを、(a)イソブチレンおよび(b)1−ブテンおよび/または2−ブテンを含有するC4ラフィネートストリームと直接反応させることにより製造する。sec−ブチルフェノール類は、C4ラフィネートストリーム中のブテン類がフェノールと反応する時に形成される、所望でない生成物である。sec−ブチルフェノール類の量の制限は、所望のtert−ブチルフェノール類が実質上純粋となり、純化工程をほとんど必要としない、またはまったく必要としないようにするための1つの手段である。高純度のtert−ブチルフェノール類は、蒸留または融解結晶化により経済的に純化することができる。しかし、不純物として多量のsec−ブチルフェノールがtert−ブチルフェノール類と共存すれば、高コストの溶媒添加晶析法を用いたとしても、所望のtert−ブチルフェノール類からの精製は困難となる。よって、tert−ブチルフェノール組成物に含有されるsec−ブチルフェノール類は0.5重量%未満であり、例えば、0.1重量%未満、または0.05重量%未満である。
以下の実施例において本発明を具体的に説明する。これらの実施例は、請求項により定義される、本発明の範囲を限定するために利用されるべきではない。
〔実施例1:参考例〕
事前に乾かし、その後0.3%のアルミニウムを溶解した、112.3gのフェノールをオートクレーブに入れた。ラフィネート‐3ストリームを、温度118℃で、3g/分の割合で60分間、反応器に充填した。ラフィネート‐3ストリーム中のイソブチレン含有率は87%であり、イソブタンが12%、n−ブタンが0.5%であった。ラフィネート‐3ストリーム中のブテン含有率は0.3%であった。温度は1℃/分の割合で冷却し、3時間後に70℃になった。残りの反応時間では、温度は70℃に保たれた。総反応時間は5時間であった。5時間後の粗生成物中の2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(「2,6−DTBP」)の生成量は76%であった。最終の粗生成物中の2,6−DTBP生成量は76%であった。本実験におけるイソブチレンとフェノールの分子比は、2.06:1であった。
〔実施例2:参考例〕
純粋イソブチレンおよび純粋イソブタンを混合して製造した合成ラフィネートストリームが、以下の実験で使用された。本実施例では、実施例1と類似の実験が行われた。但し、イソブチレン90%およびイソブタン10%を含有する合成ラフィネストリームが使用された。反応温度は2.5時間の間118℃に設定し、その後70℃に冷却した。粗生成物中の2,6−DTBP生成量は、5時間後に77%であった。本実験におけるイソブチレンとフェノールの分子比は2.23:1であった。
〔実施例3:参考例〕
本実施例は、実施例2に従って行われたが、イソブチレン85%およびイソブテン15%を含有する合成ラフィネートストリームを使用した。本実施例では、2,6−DTBPの生成量は、5時間後に77%となった。本実験におけるイソブチレンとフェノールの分子比は、2.11:1であった。
〔実施例4:参考例〕
本実験は、実施例2に従って行われた。但し、80%のイソブチレンおよび20%のイソブタンを含有する合成ラフィネートストリームを使用し、2,6−DTBPの生成量は、5時間後に76%となった。本実験におけるイソブチレンとフェノールの分子比は、2.02:1であった。
〔実施例5:参考例〕
129gの乾燥したフェノールを、イソブチレン78.5%、1−ブテン1.1%、およびイソブタン20.4%を含有するラフィネートストリームと、0.3%のアルミニウム触媒を利用して反応させた。最初の反応温度は90℃であった。合成ライフィネートを4g/分の割合で最初の32分間反応器に満たした。ラフィネート注入20分後に、1.1℃/分の割合で温度が上昇し、121℃になった。65分間、温度を121℃で安定させ、その後、1℃/分の割合で反応を90℃まで冷却した。冷却期間の初めに、イソブチレンを含有するラフィネートが、4g/分の割合で20分間添加された。その後の反応の温度は90℃に保たれた。総反応時間は5時間であった。本実験におけるイソブチレンとフェノールの分子比は、2.25:1であった。最終粗生成物における2,6−DTBPの生成量は83.2%であった。2−sec−6−tert−ブチルフェノールの含有量は0.03%で、最初のラフィネート成分1−ブテンの0.94%の反応を表している。
〔実施例6:比較実施例〕
イソブチレン79%、1−ブテン1%、およびイソブタン20%を含有する合成ラフィネートストリームが、事前に乾かし、0.3%の溶解アルミニウムを含む127gのフェノールに添加された。反応時間全体において、反応温度は130℃に保たれた。当該ラフィネートは、4g/分の割合で35分間添加された。130℃で40分間反応を行い、その後、ベント工程で圧力を下げ、未反応のラフィネートを除去した。4g/分の割合でさらに35分間、追加のラフィネートを添加した。イソブチレンを反応器に入れた量に基づくイソブチレンとフェノールの分子比は、2.83:1であった。粗生成物における2,6−DTBPの生成量は、5時間後に58.36%であった。2−sec−6−tert−ブチルフェノールの含有量は0.07%であり、最初のラフィネート成分1−ブテンの3.9%が反応したことを表している。
〔実施例7:比較実施例〕
本実験は、実施例6に従って行われた。但し、以下に記載の点は変更されている。温度は、130℃〜150℃に変更した。温度上昇に伴う圧力増大を調整するために、127gのフェノールに代えて101gのフェノールを使用した。ラフィネートは、3g/分の割合で45分間添加された。150℃で半時間反応を行い、一度反応器のベントを開放した後、追加のラフィネートを3g/分の割合で20分間添加した。反応器に追加されたイソブチレンの量に基づくイソブチレンとフェノールの最終分子比は、2.6:1であった。粗生成物中の2,6−DTBPの生成量は、5時間後に61%であった。2−sec−6−tert−ブチルフェノールの量は、0.06%であり、最初のラフィネート成分1−ブテンの3.9%が反応したことを表している。
〔実施例8:比較実施例〕
本実験は、実施例7に従って行われた。但し、反応温度は150℃〜170℃に変更した。粗生成物中の2,6−DTBPの生成量は、5時間後に27%であった。2−sec−6−tert−ブチルフェノールの含有量は0.20%であり、最初のラフィネート成分1−ブテンの19.6%が反応したことを表している。
〔実施例9〕
事前に乾かし、その後5.6gのトリエチルアルミニウムを溶解した150gのOTBPを、冷却バスに接続した被覆ガラス製圧力反応器に入れた。バスの温度は20℃に設定した。イソブチレン79%、イソブテン19.5%、および1−ブテン1.5%を含有する合成ラフィネートを、1g/分の割合で70分間満たした。イソブチレン添加の間(反応の最初の1時間)の温度は、反応につながる発熱線のため35℃であった。最初の1時間が経過した後から反応の最後までの反応温度は20℃であった。粗生成物中の2,6−DTBPの生成量は、4時間後に89%であった。イソブチレンとOTBPの分子比は1:1であった。反応中に得られた最大圧力は、25psigであった。
〔実施例10〕
本実験は、実施例9に従って行われた。但し、ラフィネートは0.33g/分の割合で処理され、反応温度は10℃に保たれた。粗生成物中の2,6−DTBPの生成量は、4時間後に93%であった。反応中に得られた最大圧力は15psigであった。
〔実施例11〕
本実験は、実施例10に従って行われた。但し、反応温度は5℃に保たれた。粗生成物中の2,6−DTBPの生成量は、4時間後に80%であった。反応中に得られた最大圧力は、12psigであった。
〔実施例12〕
105gのフェノール、および、空気中で450℃の温度で焼成された5.3gの酸化アルミニウム触媒をオートクレーブに入れ、150℃に熱した。その後、イソブチレン80%、イソブタン18.7%および1−ブテン1.4%を含有するラフィネートストリームを3.5時間満たした。満たしたラフィネートの量は75gで、イソブチレンとフェノールの分子比は0.95:1であった。OTBPの生成量は、7時間後に49%であった。化学反応により2−sec−ブチルフェノールを形成したフィード中の1−ブテンの含有率は、1.3%であった。
〔実施例13:比較実施例〕
105gのフェノール、および、空気中で450℃の温度で焼成された5.0gの酸化アルミニウム触媒をオートクレーブに入れ、220℃に熱した。その後、イソブチレン82.4%、1−ブテン1.3%、およびイソブタン16.3%を含有するラフィネートストリームを3時間満たした。満たしたラフィネートの量は70gで、イソブチレンとフェノールの分子比は1.13:1であった。OTBPの生成量は、6時間後に50.41%であり、5時間後に52%に減少した。化学反応により2−sec−ブチルフェノールおよび2−sec−ブチル−4−tert−ブチルフェノールを形成したフィード中の1−ブテンの含有率は、44.5%であった。sec−ブチルフェノールの2つの不純物(2‐sec−ブチルフェノールおよび2−sec−ブチル−4−tert−ブチルフェノール)の含有率は、それぞれ0.44領域パーセントと0.15%であった。
〔実施例14:比較実施例〕
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール75.4%および2−sec−6−tert−ブチルフェノール0.43%を含有する粗2,6−ジ−tert−ブチルフェノール106gを、5gのDowexRの2030イオン交換樹脂(DR−2030、スルホン酸基で機能化されたスチレン系プラスチックビーズ)で、75℃で5時間トランスアルキル化し、2−sec−4−tert−ジ‐ブチルフェノール0.3%および含有量の測定が不可能な2−sec−6−tert−ジ‐ブチルフェノールを含有する2,4−ジ−tert−ブチルフェノールを75.4%生成した。
本実験は、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール生成のためのトランスアルキル化反応において、ラフィネートから作られた粗2,6−ジ−tert−ブチルフェノールの利用を説明している。高純度の2,4−ジーtert−ブチルフェノールは、さらに、当業者に周知の手続きによる分別蒸留によって生成可能である。
〔実施例15:比較実施例〕
フェノールをブチル化するために、DR−2030を触媒として、イソブチレン78.3%、イソブタン21%、1−ブテン0.54%を含有する合成ラフィネートストリームが使用された。反応温度は80℃に設定された。204gの合成ラフィネートが3時間添加された。GCにより定期的にサンプリングした試料を分析することにより、反応進捗をモニタリングした。2,4−DTBP生成量の領域パーセントは、5時間後に73.8%であった。2−sec−ブチル−4−tert−ブチルフェノールの量は0.49%で、2−tert−ブチル‐4−sec−ブチルフェノールの量は0.03%であった。2s4tおよび2t4sを形成するために反応したフィード中の1−ブテンの量は30%であった。

Claims (8)

  1. アルミニウムまたはアルミニウムトリスフェノキシドの存在下で、反応温度を10℃〜20℃の範囲とし、圧力を0〜50psigの範囲とし、イソブチレンとオルト−tert−ブチルフェノールの分子比を0.8:1〜1.2:1の範囲として、イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームをオルト−tert−ブチルフェノールと反応させることを含む、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールの生産方法。
  2. イソブチレンを含有するC4ラフィネートストリームが、1−ブテンおよび2−ブテンを含み、C4ラフィネートストリームに存在する1−ブテンおよび2−ブテンの3%未満がオルト−tert−ブチルフェノールと反応する、請求項1に記載の方法。
  3. 4ラフィネートストリームに存在する1−ブテンおよび2−ブテンの1%未満がオルト−tert−ブチルフェノールと反応する、請求項2に記載の方法。
  4. tert−ブチルフェノール組成物のsec−ブチルフェノール類含有率が0.5重量%未満である、請求項1に記載の方法。
  5. tert−ブチルフェノール組成物のsec−ブチルフェノール類含有率が0.1重量%未満である、請求項4に記載の方法。
  6. tert−ブチルフェノール組成物のsec−ブチルフェノール類含有率が0.05重量%未満である、請求項5に記載の方法。
  7. トリアルキルアルミニウムがオルト−tert−ブチルフェノールと反応することにより、アルミニウムトリスフェノキシドが形成される、請求項1に記載の方法。
  8. パラ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を形成するために、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールをトランスアルキル化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
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